拙ブログ「ものかきの繰り言」に書いていた、バンダイチャンネルでの 『オーバーマン・キングゲイナー』(2002年 総監督:富野由悠季)視聴の感想〔14〜26話まで〕をまとめたものです。基本的に 内容はブログ掲載時と同様ですが、若干の編集と加筆訂正などを行っています。
視聴を優先したので、基本メモ的な感想であり、フォーマット及び密度の濃さにだいぶばらつきがあります。
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- ◆第14話「変化ドミネーター」
- 小悪党化の著しいアスハム率いるセント・レーガン部隊が、キッズ・ムントの送り込んで来たシンシア操るオーバーマン・ドミネーター によって、壊滅。
6話のゴレーム大暴れ回の引き写しといった感じで、シベリア鉄道→セント・レーガンと移っていた主導権が、再びシベリア鉄道に。 前回はヤーパンの天井の都市ユニットが犠牲になりましたが、今回はゴレーム部隊が露払いの刀のサビとなりました。
伸縮自在のボディを持ち、変形を繰り返すドミネーターが、大蹂躙。とうとう物の見事に真っ正面から完膚無きまでに叩きのめされて しまいました、アスハム。
ついでにザッキが氷海に沈められてしまったのですが……さすがに死んだ? ゴレームの腕をもがれて泳げなくなった状態で氷の海の底 に沈んでいくという、あれで死んだとしたら、そうとう惨い死に様ですが。この作品的には後で回収されたり根性で生き延びていたり しそうですが、この回ではどうなったか描かれず。
最後に、ママドゥ先生とリュポフが氷海に落ちた時に水が温かくて一命を取り留めるのですが、それがゴレームのシルエットエンジンの 影響かと思ったらそうでもないし、「二人の愛で氷は溶けないだろう」と言っていましたが、二人が助かった理由も微妙に謎のまま。 もしかしたら、よく見ていると細かいところで演出されていたかもしれませんが。
ここで、キングゲイナーの手の中で人目もはばからず熱々の二人の姿に、リンクスの1匹が呆れた表情をするのと、「メガネ、曇って るんだよな」とゲイナーが見ていないふりをする所は好き。
今回は、まさかのリンクス大活躍。
動物ものアニメみたいでしたが、こういうの、やってみたかったのかしら監督。
細かい演出や台詞回しもテンポがよく、面白い回でした。
あとシルエットエンジンが動力であると同時に暖を取る効果を持っているというのは序盤から細かく描かれてはいるのですが、ラストで 水から引き上げたママドゥ先生とリュポフをキングゲイナーのシルエットエンジンで暖めるというシーンが入って、“生命を助けるマシン” という描写が印象的なものとなりました。
で、これはおそらく、12話で、「キングゲイナーに畑を耕してもらう」とサラに言われて、ゲイナーが嫌そうな顔をしたのと、対比 しているのだろうなぁと。
数話前から微妙に秋波の予感があったママドゥ先生とリュポフは、今回で熱烈に急接近。よくよく考えるとママドゥ先生はゲインの 保護者的存在(?)なので、油断ならない人だったのかもしれない(おぃ)
- ◆第15話「ダイヤとマグマの間」
- オーバーマンバトルの対戦相手として仲が良いシンシアとオフ会(どう考えても適切な表現はオフ会)をする事になったゲイナー。 デート気分で張り切って、ゲインに背広を借り、整髪料で髪を固めて挑む事に。更にゲインから餞別に金貨を貰い、お薦めで花束を抱えて いく。そんなゲイナーのデートの予定を耳にしたアデットは面白がってついていき、それにサラも同行する事に。
一方、セント・レーガンの部隊を壊滅させたシベリア鉄道では“ヤーパンの天井”のエクソダスを阻止するべく、氷の運行部長カシマル (おかま)が前線に姿を見せる。
これまで力押しの多かった敵指揮官に比べ、おかまは穴掘りオーバーマンを使って都市ユニットを落とし穴にはめたり、更にそれを利用 して付近のドームポリスに難民を発生させてヤーパンの天井に流入させるなど、策士ぶりを発揮。キャパシティ以上の住人を新たに抱える 事になったヤーパンの天井は、エクソダスの先行きに暗雲が立ちこめる……。
14話に続いて、好みのテンポで面白かったです。
後半に入って、このぐらいの物語のテンポで進んでくれると嬉しいのですが、次の話はどうなるか。
ところでゲイナーは、簡単なキャラ紹介だと「ゲーマーの引きこもり」で済まされがちですが、引きこもりの割には通りすがりの他人に 対してしっかり謝ったりお礼を言う事が出来、コミュニケーション能力はそれほど、低くない。
途中で、クラスメイトとのコミュニケーションに問題あり、という事をサラに指摘されているエピソードがあったので、もしかしたら、 旅を通して変化していっている、という演出意図なのかもしれませんが、序盤にそれほどコミュニケーション能力の欠如が描かれている わけでもないので、あまりそうは見えないのが残念。そもそもクラスメイトとの接触シーンがほとんど無かったので、流れの中の意図だと したら、あまり、効果的にはなってはいません。
ストーリー上、両親が殺された時に27日引きこもって、「犯人を捜しもしなかった!」事がトラウマとしてあるという事になっており、 エクソダスに巻き込まれた時も、同様に27日引きこもっていてしばらく登校拒否していたので、イメージと紹介文は、そこから来ている のでしょうけど。その後は普通に登校していたりするし。
後おそらく(引きこもりはさておき)富野監督が本気でコミニュケーション不全の人間を書くと、病人になってしまうんだろうなぁ。 そこが富野監督のいい所であり、同時に限界とも言えるのかもしれません。
病気でもなければ、人は最低限のコミュニケーションの入り口に立つ能力は誰でも持っている、というのが根っこにあって、それなのに 誤解やすれ違いが発生する事こそ人間性の悲劇である、けれどそれを含めて人間なんだ、というのが恐らく監督の世界観。
いっそゲイナーは、今時の演出家に序盤でコミュニケーション不全というか何というかのキャラを造形させて、それを演出と作劇で 富野が矯正していく構造にしたら、凄くわかりやすかったかもしれない。見ていてイライラするだろうけど(笑) そのイライラを、 監督と一緒に打破しようという、変則的でメタなカタルシスが発生したかも(笑)
ゲイナーは、親の躾が良い家だったのかもしれない。
なんて事は、物語開始時点で両親が既に死んでおり出てこない事もあって、想像させなくもない。
- ◆第16話「奮戦、アデット隊」
- 流入した難民の男達を叩きのめして意気投合したしたアデット先生は、自警団としてアデット隊を結成。武器を手に入れる為に、 シベリア鉄道の地下秘密基地を襲撃する。
「足らないものは、他人から取っちゃう、って発想、何とかならないんですか」
「ふん、退職金を貰って、何が悪いのさ」
その頃、シンシアに囚われてキッズ・ムントの元に護送されていたアスハムは、ジャポリをナンパして逃亡の手引きを図ってもらうが (後で、これではゲインと同じだ、と反省)、追跡してきたシンシアのゴレームに敗れて、再び囚われの身に。
今回はドミネーター整備中という設定で、ゴレーム同士の対決も、アスハム瞬殺。オーバーマン乗りとしては それなりの筈のアスハムが同型マシンでも完膚無きまでに負ける事で、シンシアの圧倒的なパイロット技術とオーバーセンスが改めて 強調される形になりました。
一方、幻覚を操るオーバーマン・メックスブルートにより、“崖の上に普通の道がある幻覚”を見せられたヤーパンの天井一行はあわや 谷底に落下しそうになるが、アデット隊の基地襲撃によりメックスブルートに帰還命令が出た事により寸前で幻覚が解除され、ぎりぎりで ブレーキが間に合う。
まあ、いつでも止められると思っているエクソダスより、基地の防衛優先という事で、いいのか……? 事の天秤としてはシベリア鉄道 側(カシマル運行部長)が計り間違えた感がありますが、結果的にはアデット先生の無理・無茶・無謀がヤーパンの天井を救った事に。
という因果関係を成立させる為に、このシーンは強調されたと見るべきでしょうが。
今回は、ケジナン大活躍。
メックスブルートで基地の防衛に戻ると、自分用のオーバーマンを手に入れようとをドーベックを奪って戦うアデットを、幻覚攻撃 (つまるところ多重分身)で翻弄し、追い詰める。勢い余って、金髪王子様ルックの幻覚で登場し、アデットに求婚。
このシーンは演出も作画もノリノリで楽しい。
が、
「あたしは、ヒキガエルは、趣味じゃないんだよ!」
け、結局顔なんですかっ!?
ただアデット先生の前の男はヤッサバ(バーバリアン系)なので、顔というか、性格まで含めた評価なのでしょうが。
アデット隊の警護の為に外で待機を命じられていたゲイナーは、なかなか戻ってこないアデットの救援へと戻る。
「僕が! 隊長や先生だからって理由で、戻ってきたと思ってるんですか? 貴女は、ぶきっちょで、 がさつで、我が儘で、本当にどうしようもない人だけど、でも、僕の家族なんでしょ?! そう思ってくれるなら、僕にとっても貴女は、 家族なんです。……で……しょ?」
格好いい台詞なんだけど、ゲイナーだけに、最後ちょっと弱気。
押し掛け居候のアデットをなんだかんだで受け入れているゲイナーのスタンスを納得させる共に、家族の喪失を経験しているという設定 と絡んで、思わぬいい話になりました。
脚本の大河内一楼は『∀ガンダム』の時は下手のイメージしか無かったけど、今作では頑張っている。
アデットを救出したキングゲイナーに猛攻をかけるメックスブルート。
「よせよせぇ。幻はいくらでも造れるるぅ。卑怯だろうとハッタリだろうと中身がなかろうとなぁ、勝ちゃあいいのよ、世の中はなぁ!」
……シベリア鉄道も、こんなケジナンが延々と最前線に出張ってくるぐらいで、人材不足は甚だしい感じ。
実際問題としては、2クール作品で、お約束の敵役がころころ代わりすぎると作劇がしにくい(新キャラを出すとどうしても視聴者の目 を引くものだしそういう演出をする必要が出る)という事情はあるのでしょうが。で、有能でも困るから、基本コメディ要員。……まあ、 なんだかんだで新しいオーバーマンを次々と操っているので、意外と有能なのかもしれませんが(笑)
表面的には、失敗続きなのに何故か新オーバーマンを与えられて前線で戦い続けているように見えるので、もう少しその理由付けになる 物語的な補完は欲しかったかなぁ。
アデットと復座状態でノリノリのキングゲイナーは、幻を造るスピードより速く攻撃して幻を次々と消し去る、という滅茶苦茶な、 そしてキングゲイナーらしい作戦で、メックスブルートの幻覚作成スピードを上回り、撃破。
幻覚がなくなるとメックスブルート、部屋の片隅で体育座りしていたり。
アデット隊も外で待機中に体育座りしていましたが……寒いから?
今回はゲイン、出番ほとんど無し。
ポイントで二言ぐらい。
- ◆第17話「ウソのない世界」
- 人が心の中に秘めている本心を、他人の心の中に拡散してしまう、プラネッタのオーバースキルにより、ヤーパンの天井は大混乱。
ウルグスクからのピープルと、難民組の間に激しい対立が発生し、始まる石合戦。
うむ、正しい喧嘩。
混乱の中で、目がハートになったり、盛り上がるママドゥ先生とリュポフ。……まあこれは、どうでもいい。
プラネッタを倒す為にゲインとゲイナーが出撃するが、心を読むオーバースキルの前に大苦戦。オーバースキルを打ち破る為、ゲイナー は懐からサラの写真(チアガール姿)を取り出し、サラへの熱い想いをぶちまける!
あまりに恥ずかしい告白が延々と続き、敵が心を読むのを嫌がってオーバースキルを停止したところで……という作戦で、心を読む系 への対処としては珍しくはありませんが、それが告白、しかもオーバースキルの影響で、ヤーパンの天井中に中継されて喧嘩も止まる、 という突き抜けた展開。
たぶん劇中一番有名なエピソードで、ゲームなどでも知っていましたが、馬鹿馬鹿しくて素晴らしい(笑)
- ◆第18話「刃の脆さ」
- 人の心の中の不安を増大させるオーバースキルを持ったオーバーマン・デスネッタが登場。
前回と今回は、特殊なオーバースキルを前面に立てた、特撮的一発ネタという感じ。
ここまでのキャラクターの蓄積を受けて、人格変換ネタの亜流という感じで、弱気なゲイン、などは素直に面白い。
前回、心を読むオーバースキルの影響で、エクソダス推進の為にゲイナーの両親を殺害した過去をサラに知られたガウリは、そこに更に 不安ウェイブの影響を受け、敵オーバーマンに操られてしまう。
一連の戦いで、ガチコが大破。
あとアデット先生が突如、ガウリ隊長の生き方に惚れる。
やられ役→ニンポー→シビアなエクソダス主義者、と来ていたガウリ隊長の過去が補完され、終盤に向けてキャラクターが固まりました。 彼女も出来ました。
ゲイナーが両親の死の真実を知り、その復讐に囚われない道を選ぼうとしようとする割と重要なエピソードな筈なのですが、幾ら何でも 作画が酷すぎて、台無し。キャラの顔からおかしい(^^; 脚本とか演出とかで誤魔化しきれないレベル。脚本も良かったとは言い 難かったですが。
- ◆第19話「リオンネッターの悪夢」
- かつてゲインと共にエクソダスをし、ゲインの相棒だった男、エリアル登場。ゲインに気のあるそぶりを見せていたコナは、ゲインに あまりに相手にされないからか、この男に興味を見せる。要するに、いわくありげでワイルドな男が好きなのか。
エリアルの持ち込んだパーツとこれまで集めた部品、前回大破したガチコのパーツで回収できたもの(ブリュンヒルデの腕や狙撃銃など) を組み合わせて、つぎはぎオーバーマンの組み立てを開始する、ゲインとメカニック達。
その頃、シベリア鉄道側と通じていたエリアルは、難民として流入しているドームポリス・ガンガランの元市長と接触。キッズ・ムント と密約を結んでいた市長は都市ユニットの一つを切り離し、停止させてしまう。更に、不満の高まるガンガラン市民から暴動が勃発。 そこへカシマル率いるシベリア鉄道が襲いかかる!
……ううーん、コンテが良くない。
ここまでで一番酷いかも。
今回のオーバーマン・リオンネッターは、相手の苦手なものを見せるというオーバースキルを所持。少々メックスブルート(幻覚攻撃) とかぶっていますが、カシマル編は、精神攻撃をしてくるオーバーマンが次々と出てくるという体裁を取ったので、多少はやむを得ないか。 幻覚の筈なのだけど、実体があるような反応を見せるし、いまいち謎。もう一ひねりは、欲しい所ではありましたが、ゲイナーが戦う事に なる、王冠付きの巨大キングゲイナーは、絵としては面白かった。
アデット先生がナメクジに弱いのは、やっぱりヘビ系の女だから?
……とすると、サラ(カエルに弱い)はナメクジなのか、という事になってしまいますが(笑)
この後色々あって、ゲインが組み立てた新オーバーマン・エンペランザで、リオンネッターを撃破。この作品では非常に珍しく、 カシマルは思いっ切り殺されました。
ゲインを裏切ったエリアルは、自分が“逆エクソダス請負人”として生きてきた事を語り、かつて二人が参加して失敗したエクソダスを、 もう一度やり直そうとゲインを誘うのですが、最後は自ら頭を撃ち抜いて死亡。
正直、ここの流れはちょっとよくわかりませんでした。基本的な話の筋はわかるのですけど、間と間を繋ぐ劇が無い為に場面場面の意味 と、キャラクターの心情が読みとりづらく、展開が非常に不明瞭。終盤の作劇で忙しくて監督がコンテ直す時間なくて「もう、仕方ない から今回はこれでやっちゃえ!」みたいな回。
- ◆第20話「カテズで勝てず」
- 買い付けに行ったドームポリス・カテズでシベリア鉄道の警備隊に追われるゲイナーとサラ。カシマルのリタイアにより直属の上司が シンシアに替わったようで、ちょっと張り切っているケジナンとエンゲ。逃亡途中にゲイナーとサラは、そのシンシアとゲームセンターで 遭遇する。
前半は、お互いの立場を知らないまま、協力してドタバタ逃亡劇(シンシアは、薄々勘付いている節が見受けられますが)。
ドームの外に出てキングゲイナーに乗り込んだゲイナーを見たシンシアは、ドミネーターを呼び、遂に二人の戦いが始まる!
現実の戦いもゲームの延長線上としてしか捉えられないシンシア、友達とは戦えないと受け身に回るゲイナーだが、殺気さえ感じる シンシアの攻撃に、反撃せざるを得ない。
オーバースキルを発動させたキングゲイナーが、カテズのシルエットマシンの動力を吸収して停電状態にしたり、変な光を放ちながら オーバーフリーズを引き起こすブリザードを発生させたり、なんか、少し∀ガンダム入ってきました(笑)
何時のまにやらシンシアに取り入ってシベリア鉄道に転職していたアスハムは、その戦いの光景を見て「オーバーデビルの眷族なのか ……」と終盤への伏線。
戦いはドミネーターの勝利に終わるが、裂けたコックピットの破片でゲイナーが大きな怪我をしたのを見たシンシアはショックを受け、 ゲイナーもまた、シンシアを倒そうとしていた自分、まるで戦いに引きずり込むかのような反応を見せたキングゲイナーに恐怖する。
ううーん、シンシアの、ゲームと現実の区別が薄い子、というのはちょっとざっくりにして唐突すぎ、かつ月並みすぎる描写になって しまったかなぁ。同じゲーマーでも……というゲイナーとの対比になっているのはわかるのですが、ちょっと浮世離れしすぎ。その辺りも 含めて、この次の回でシンシア側の事情が描写されるのですが、いっそ順序が逆でも良かったような。
- ◆21話「オーバーマンの闇」
- ゲイナーを傷つけたショックで、シンシアはドミネーターの中で体育座り。過去に想いを馳せる。
回想シーンで、彼女が親の顔も知らずに複数の子供達と共にキッズの下に集められ、シミュレーションと戦闘訓練を繰り返して選抜 された戦闘エリートであった事が描写され、やたらに浮世離れしている理由が判明します。このくだりは、ゲイナーvsシンシアの前に 置いても良かった気はします。その方が、シンシアの性質を素直に理解しやすかったような。
選抜をくぐりぬけた時にキッズから渡された母親の顔写真(シベリア鉄道に唯一残っていた母親の資料だとキッズは説明)を手に涙する シンシアは、父とも慕うキッズの為に闇雲に戦闘する事が出来なくなった自分を知ってしまい、ドミネーターに乗ったまま、逃走。一方、 怪我の治療を受けて眠っていたゲイナーは目を醒ますと、キングゲイナーに乗ってシンシア救出の為に飛び立つ。
同乗したサラに、両親が殺されて引きこもっていた時、自分を唯一現実と繋げてくれたのが、オーバーマンバトルで戦い続けてくれた シンシアの存在だったと語るゲイナー。一方のシンシアは、キッズの下での戦闘訓練に勝てば勝つほど周囲の人間が居なくなる (選抜試験から脱落)経験から、何度戦っても居なくならない相手、としてのゲイナーの存在を特別視していた。
それ故に、ゲイナーを喪失するかもしれない、事に対して混乱が大きいという話が戦闘の後付けになってしまったのは、やはりちょっと わかりにくかったか。
ただここで二人の関係を恋愛に昇華させてしまうと、安いメロドラマになってしまうので、それをしなかったのは監督のセンスと経験値。 駄目な作品は、こういう関係をすぐに恋愛にする(というかそれでしか消化できない)から、物語が安くなる。
逆に言えば、サラというキャラクターが最初から確固たる存在を占めている(そしてここまでで、ある程度、関係性が近くなっている) 為に、シンシアとゲイナーの関係をこういう形に配置できた、ともいえますが。
シンシアと接触するゲイナー。だがそこに、キッズの専用列車と共にやってきたブラック・ドミネーターが姿を見せる。ヤーパンの天井 とシベリア鉄道の戦端も開かれ、暴れ毛長象の群れによる突進攻撃(牛の角に松明くくって突撃させるあれみたいな感じ)を仕掛け、象の 背中で吼えるアスハム。
ところで毛長象(序盤からちらちら出てくるマンモスのような生き物)、この回で「保護動物」って言っているけど、19話で捕まえて バラして食卓に出していたような。
こっそりだったらいいのか?(笑)
混戦の中、再び輝きを増したキングゲイナーは戦場の全てのシルエットエンジンを停止させ、更にパイロットであるゲイナーの心までを も凍らせていく。
果たして、キングゲイナーとは何なのか?
そして姿を見せるキッズの巨大空中要塞、アガトの結晶(見た目、とにかくばかでかい岩。イメージはラピュタで可)。シンシアは ブラック・ドミネーターにより回収されてしまい、今、ヤーパンの天井のエクソダスの前に、シベリア鉄道総裁が自ら立ちふさがる。
ラスト5話という事で、巨大要塞が出てきました。
シンシアに取り入りなんだか暗躍しているアスハムとか、わざわざエクソダス阻止の前線に出てきたキッズとか、腹に一物あるキャラ達 の目的とか心理について描かれていない部分が多いので、行動原理が錯綜してわかりにくいのですが、何となく最後に盛り上がってしまう、 巨大要塞効果、恐るべし。
- ◆第22話「アガトの結晶」
◆第23話「復活のオーバーデビル」
◆第24話「オーバーマックス」
◆第25話「氷の中で」
◆第26話「ゲイン オーバー」
- 空中要塞・アガトの結晶(シベリア鉄道本社ビルらしい)を出撃させたキッズは、ヤーパンの天井の都市ユニットの一つを押し潰し、 破壊。だがアスハムの策謀などもあり、結晶の動力としていたオーバーデビルがシンシアを取り込んで覚醒、起動してしまう。
アガトの結晶は墜落、オーバーデビルは全てを凍らせながら、東――シベリア鉄道の根拠でありキッズの居城のあったリマン・メガロポリス へと向かう。オーバーデビルを制止するべく、一時的に共同戦線を張るヤーパンの天井とシベリア鉄道だが、オーバーデビルは圧倒的な力 で全てをオーバーフリーズさせていく……。
巨大なアーリーオーバーマン・オーバーデビルが登場し、物語はいよいよクライマックス。
ヒステリックな笑いをあげるアスハムは、オーバーデビルに拒否されたり、利用したり、利用されたり、大忙し。何故か勢いで ドミネーターを扱っているのですが、これは、シンシアに取り入っていた時に、何か細工していたとか、そういう解釈でいいのか。呼ぶと 飛んでくるし。
また、そのケはありましたが、重度のシスコンであった事も明確に判明。妹の為に世界を変える力を手に入れようとする……って、 あれ? 『コード○アス』?
アスハムはなぁ、結局、振り回しているつもりで振り回されている、という役を最後まで貫き通しましたが、そういえば今作は、悪の 大物、て最後まで居ない。キッズも最終的にそういう感じでは無かったですし、皆が皆、状況を操作できるつもりでいながら、物事の勢い に負けてしまう。
『∀ガンダム』にもそういう傾向がありましたが、これは監督の中で、悪の大物を出してしまうという作劇に対する、危機感みたいな物 があったのかもしれない。
お陰で、巧く行かない思惑が錯綜する、という消化にちょっと時間のかかる展開になっているのですが。
そのキッズは、最初はオーバーデビルからシンシアを取り返そうとしていたものの、後に予備のドミネーターに搭乗し、オーバーデビル に接触。オーバーデビルに自ら取り込まれようとするも、ぷちっ、と潰されて死亡。あえない最期を遂げました。
22話、アガトの結晶内部でアスハムと近接戦に持ち込み、ノックダウンに持ち込んだのが印象深い(笑)
この世界の人間は、いちいち強すぎる。
オーバーデビルと共にフリーズして封じられていたシンシアの祖母、マルチナ・レーンの助言を受けたゲイナーは、100%の限界を 突破したオーバーセンスを身につけるべく、対戦ゲームで特訓開始。そのままオーバーデビル戦に雪崩れ込み、リアルとバーチャルの 二刀流で群がる敵を撃破してシンシア救出寸前まで行くが、逆にオーバーデビルに取り込まれてしまう。
ゲイナーとシンシア、極めて高いオーバーセンスを持つ二人を取り込んだオーバーデビルは、キッズ専用列車チェルノボーグと、 チェルノボーグのフォトンマット砲の動力源とする為に連結されていたヤーパンの天井を捕獲。エンジンに触手を伸ばし、東へと列車を 走らせる。
五賢人A 「ブリザードに閉じこめられてあやつの言いなりに、連れて行かれるなど、御免こうむる」エクソダスをしながら、いつしかそのエクソダスの中での保守層となり、「エクソダスの為の犠牲」に自分を数えない事にあぐらを かいて慣れてしまっていた五賢人をぶったぎるアナ姫様。
ゲイン 「いや、ヤツがヤーパンの天井とチェルノボーグに気を取られている隙に、キングゲイナーを取り戻します」
五賢人B 「「わたくしどもを悪魔の結界から逃げられるようにするのが、請負人の仕事でおじゃろう?」
――五賢人の乗るパンサーのコックピットから顔を出すアナ姫
アナ姫 「お黙りなさい。ピープルを守るために、キングゲイナーを取り戻す事が先の筈です。エクソダスには犠牲が付き物だと言いながら、 あなたがたご自身は何もなさろうとしないのですね。
ミイヤのとなえたエクソダスというのは、自らが動き出そう、という主張の筈です。逃げ出すためのものではなかった筈なのです。 それなのに……私もチェルノボーグに移動します。ゲイン殿!」
ゲイン 「は、はいっ……姫様」
アナ姫 「世界を変えてきたのは、いつも若い力であったったという事は忘れないでください」
そしてそこへ現れる黒ゲイナー。
「姫様のおっしゃる通り。年老いただけで自分達を五賢人だと言える神経には、あきれ果てておりますよ」
ゲームとかでこの展開は知っていましたが、黒ゲイナーは面白すぎ。オーバーデビルの触手の上に造形された椅子に座って、振り子の ように揺れながら現れる、という演出も秀逸。
オーバーデビルに心を凍らされたゲイナー(彩色がモノトーン)は、黒い台詞がオーバーヒート。
「おまえらが欲しいのは、キングゲイナーだけなんだろ!」仲間達の説得にも心を開かず、ゲイナーとシンシアはガウリをもフリーズさせながら、リマン・メガロポリスへと向かう。キッズが 各ドームポリスへ提供し敷設したシベリア鉄道のレールは、全て特別なマッスルエンジンで構成されており、オーバーフリーズを伝導 する性質を持っているのであった。そしてその全てのスタート地点が、シベリア鉄道本社跡、つまりはアガトの結晶の下に隠されていた!
「うるさいんだよっ、子供のくせに!」
「サラ、君が一番僕を使うのが上手だったよね。僕の気持ちを知っていて、いつも期待を持たせるように振る舞った」
「最初は鼻にもひっかけなかったくせに!」
「僕にはエクソダスなんてない。世界をかちんこちんに凍らせてやる」
「美しいものが好きなんだ」
「そう、清潔なのがいいんだ」
世界中をオーバーフリーズさせようとするオーバーデビル。
急展開で、局地戦が世界の危機へ。
ここはまあ、話を終わらせる格好を付ける為に、派手な事をしないと感。
途中でセント・レーガンの部隊も戦闘に加わりオーバーデビルにざくざくやられるゴレーム部隊など、戦闘もクライマックスらしい感じ に。
ところでラスボス化したゲイナーが「引きこもりの頃と同じだ」と評され、その目的が(本質的にはオーバーデビルに操られているの ですが)「全てを凍らせて清潔な世界にする」というのは、なかなか痛烈に皮肉めいております。やたらに潔癖な理想論を語る悪役が 巨悪のように出てくる作品に対して、そんな幼稚な思想を大仰に持ち込むな、と言っているように見えなくもない。
と思うと、オーバーフリーズを全世界に広げる下準備は整えていた(どこまでそのつもりだったかは不明)キッズ・ムントの名前が 「キッズ」なのは、ああそういう事だったのかな、などと。
列車を止めようとするゲイン達、その前に立ちふさがる、アスハム、そして黒ガウリ。
ぶつかり合う、デビル・ニンポーvs女教師ニンポー!
同時進行のアスハムvsゲインより、ガウリvsアデットの方が盛り上がってしまいました(笑)
一方、列車内では、落ち込むサラを、リュボフが励ます。
サラに向けて愛を語る、まさかのリュボフ。
ここは物語の流れ上はおかしくは無いのですが、結局、リュボフ役の声優(二村愛)が最後まで巧くならなかった のが、少々辛い。富野作品では、非常に珍しいミステイク。
ラスト直前で再登場のカリン・ブーンが、出番少ない割にこの時点で既にそれなりの実績のあった折笠富美子とか使っていたりするだけ に、なんか勿体ない感もあり。演出論的には、出番少ないけど重要な役回りであるからこそ、それなりの声優をあてる、という面もあるの でしょうが。
列車内に姿を見せたゲイナーに決死のキスをするも、逆にフリーズさせられてしまうサラ。ペロー達は列車の停止には成功するが、 オーバーデビルは、ゲイナー、シンシア、そしてサラと共に、リマン・メガロポリスへと向かっていく。
ゲイン達は、ゲイナーの心の奥に呼びかける為、プラネッタのオーバースキルを利用する作戦を立てる。リマン・メガロポリスでの オーバーコートの捜索を仲間達に任せ、一足先に「ゲインをぶん殴りに」飛び立つゲイナー。
たぶんシベリア鉄道のお膝元ならプラネッタのオーバーコートぐらいあるよね? みたいな大雑把な作戦なのですが、 アナ姫様が言っていると許せるのが、人徳の為せるわざか。
アガトの結晶跡に辿り着いたオーバーデビルは、シベリア鉄道のレールを用いて世界をオーバーフリーズさせていく。そこへ銃撃を 仕掛けるエンペランザ。最終決戦という事で、ゲイン及びエンペランザも見せ場。何故かブリュンヒルデを召喚して、オーバーデビルと 怪獣大決戦。そしてオーバーデビルの中から生み出されたオーバーコートを身につけたゲイナーが、オーバーマンサイズに 巨大化。「僕はサタンの申し子かもしれない!」と故意に痛すぎる台詞を口にしながら、エンペランザと直接、銃撃戦。
オーバーゲイナーとオーバーデビルの連携攻撃に追い詰められるエンペランザだが、ガウリ隊以下が駆けつけ、発見されたプラネッタの オーバーコートを装着。この、エンペランザ+プラネッタコートがデザイン的になかなか格好良くて、この場限りなのが勿体ないぐらいの 感じ。成り行きでなんとなく最終決戦仕様っぽくなってみました。
そして、エンペランザが飛ぶ。
「ゲイナー! 聞こえるか! 俺の声が!」
混迷する戦場、シンシアのオーバーデビルがエンペランザに襲いかかり、空中戦となる。
ここで、 オーバーデビルvsエンペランザの空中戦が背景へと移行し、手前側に1話における牢屋の中のゲイナー の絵が入ってきて、そこでのゲインとの出会いのシーンが重なる、という演出は超絶品。
もうここだけで、最終話の価値があるぐらい。
オーバーフリーズしたゲイナーが、心の奥の牢屋の中から外を見ている感じが出ると共に、そこへゲインが現れるという事により、現在 進行形の展開と物語の始まりとが綺麗に繋がりました。
プラネッタのオーバースキルの作用により、それぞれの心が繋がり、旅の中での思い出が、3人の心を次々と溶かしていく。
かつて人々の間に不和を撒き散らした“ウソのない世界”が、今度は人と人の心を繋ぐのに使われる、というのはどこまで狙ったのか わかりませんが、なかなか面白い展開。こういう、物事の二面性を取り込むのは、今作の一つの特徴であり、テーマ的なものだったのかも しれません。
ゲームの中にも現実との繋がりがあり、エクソダスをする者としない者の自由があり、この世界にたった一つの正解はなく、愛は時に 憎しみを生み、しかし人と人は繋がっていく。
オーバーフリーズを脱したゲイナーは、シンシアと共にキングゲイナーに乗り込み、仲間達がワイヤーで動きを封じたオーバーデビルに 突貫。オーバーフリーズの逆、オーバーヒートを発動させ、オーバーデビルを打ち破る。そしてキングゲイナーの発したオーバー ヒートの熱は世界中のオーバーフリーズを溶かしていく……。
エンペランザを撃破されたゲインがコックピットを出ると、そこで見たのは、セント・レーガンのゴレームに乗ってここまで来ていた カリンの姿。そして、ゲインとの戦いに敗れてホワイトホール(のようなもの)でドミネーターごとリマン・メガロポリスに飛ばされて いたアスハム・ブーン。思わず身を隠すゲイン(笑)
「ゲインを追いかけてきたのか?!」と問うアスハムを
「野生の殿方とは一夜の恋のみ。ロンドンへ帰りましょ」
と連れて帰るカリン。
物陰のゲインも顔を出す事はなく、その場を離れる。
「思った以上に、きついご婦人だったか。 未練を振り切って、エクソダス、か……」
まあ、ゲインは少し、反省しろよという感じですが。
ここで格好良くその場を離れようとして氷で滑って、最後にコケ芸を披露するのは秀逸。ゲインもまた、旅の途中。
ゲイナーがゲインをオーバーしたかはともかく、同じ位置ぐらいには並んだ……のか?
或いは、最後に手を繋ぐ相手を見つけた分、ゲイナーの方が上なのか。
最終回のサブタイトルは「ゲームオーバー」と「ゲインを越えろ」を掛けていて、なかなか洒落ています。
アナ姫のダンスから繋げられたラストシーンではオープニングテーマと共に幾つかの情景が描かれ、ゴレームに撃たれたと思われた ヤッサバと女の子が、氷海に沈んだと思われたザッキを拾っているシーンも挿入。まさかのザッキ再生で、これで名前があるキャラクター で明確に死亡したのはカシマルとキッズぐらいとなりました。終盤の戦闘でセントレーガンの隊員が何人かオーバーデビルにやられたり していますが、おしなべて生命力の高い人類という事もあり、モブ含めて非常に死者の少ないシリーズとなりました。
モブ含めて、というのがポイントだと思う。これに関しては、富野監督が「あんまり悲惨なのはやめよう」という方向性で進めたそう。
最後は、地平線を見つめる、ゲイナー、サラ、シンシアの3人。シンシアを間に挟みながら、その後ろで手を繋いでいる二人…… ヤーパンへ、東の海を目指して、エクソダスは続く! という所で幕。
最終的にヤーパンに辿り着いた所ではなく、エクソダスの途上で終わる、というのは良かったと思います。
ラストが、手を繋いでいる二人、で終わるのも趣深い。
で、間にシンシアが居て、誰かが背後に来た(シルエットから一人はおそらくゲイン、もう一人はちょっとわからない)、という所で 終わるのが今作の着地したテーマなのかな、と。
最終回は、久しく出番の無かった看護婦さんなど、ほんの一言ぐらいでも、各人に台詞があるのは嬉しい所。
結局最後までキングゲイナーは出鱈目マシンのままでしたが、途中で少しキングゲイナーの出自と秘密みたいな方向に流れかけたけど、 『∀ガンダム』とかぶりそうになって軌道修正したのでは、という節あり。
基本的には積み重ねた伏線を綺麗に納めるというよりは、物語の勢い優先で面白ければOK、みたいな作品なので、らしくていいかな、 とは。
監督のそういう作劇に慣れているのであまり気にならない、という部分はある(笑)
全26話という事で、幾つか出来の悪い回の存在が目立つ所はあるのですが、全体としては面白かったです。感想には幾つか解釈も 交えてみましたが、テーマがどうこうというよりは、どたばたを楽しむ作品かと思います。余計なものを振り切ってそこへ着地したと いうか。
『∀ガンダム』で、ある程度、《ガンダム》という呪いに責任と決着をつけた富野由悠季監督が、改めて物語の勢いと愉しさを追求した 作品。
インパクト重視の部分はあるので、ゲームなどでネタを知っていた事で面白さが減じた部分は多少あり、それは勿体なかったですが、 まあこれは仕方がない。
個人の好みでいえば、富野監督作品は、もっとギリギリのテンションで展開する話の方が好きなので、演出のテンポが微妙に好みと 合わないエピソードもありましたが、今作は従来作よりもう少し、柔らかく作った作品なのでしょう。『∀』で志向した柔らかさをもう 少し伸ばしたといった感じですが、その点、『∀』はテンションと柔らかさのバランスが絶妙に好みの作品だったので。
そういう幅の部分を含め、やっぱり富野監督にはもっとアニメを作ってほしいなぁ、と思うわけであります。
……ところでキッズの顔が微妙に監督をモデルにしているように見えるのは、気のせいですか。
- ●おまけ●
- 今作、抜群に出来のいいエピソードと、出来のよろしいとは言えないエピソードのギャップが激しいのですが、放映リストと 兼ねて個人的な好き嫌いの評価を簡易的に各エピソードごとにつけつつ、全体の構成について軽く振り返ってみます。
話数 タイトル 脚本 演出 絵コンテ 作画監督 評 1 ゲインとゲイナー 大河内一楼 笹木信作 斧谷稔 吉田健一 − 2 借りは返す 大河内一楼 宮地昌幸 斧谷稔 吉田健一 ◎ 3 炸裂!オーバースキル 大河内一楼 森邦宏 森邦宏 しんぼたくろう
中田栄治− 4 勝利の味はキスの味 大河内一楼 久保山えい一 斧谷稔 重田敦司 − 5 シベリアに光る目 大河内一楼 渡邊哲哉 西沢晋 大森英敏 ー 6 セント・レーガンの刺客 高山治郎 笹木信作 東海林真一 米山浩平
池田有
高瀬健一◎ 7 鉄道王キッズ・ムント 浅川美也 森邦宏 森邦宏 鷲田敏弥 − 8 地獄のエキデン 高橋哲子 宮地昌幸 東海林真一 中田栄治
橋本誠一− 9 奮闘!アデット先生 浅川美也 久保山えい一 斧谷稔
冨永恒雄重田敦司 × 10 アスハムの執念 野村祐一 五十嵐達也 斧谷稔
北村真咲大森英敏 − 11 涙は盗めない 大河内一楼 笹木信作 笹木信作 樋口靖子
田中雄一− 12 巨大列石の攻防 高山治郎 森邦宏 斧谷稔 しんぼたくろう
高瀬健一− 13 ブリュンヒルデの涙 高山治郎 宮地昌幸 宮地昌幸
斧谷稔下井草伊井乃弼
奥村正志△ 14 変化!ドミネーター 浅川美也 横山彰利 横山彰利
斧谷稔吉田健一 ◎ 15 ダイヤとマグマの間 高山治郎 わたなべぢゅんいち 小原正和
斧谷稔小原充
福島秀樹○ 16 奮戦、アデット隊 大河内一楼 笹木信作 笹木信作 中田栄治
橋本誠一◎ 17 ウソのない世界 大河内一楼 五十嵐達也 斧谷稔 重田敦司 ○ 18 刃の脆さ 野村祐一 羽生尚靖 北村真咲 井上哲 × 19 リオンネッターの悪夢 高山治郎 宮地昌幸 森邦宏 しんぼたくろう
高瀬健一× 20 カテズで勝てず 浅川美也 森邦宏
古賀理恵森邦宏
斧谷稔大森英敏 − 21 オーバーマンの闇 高橋哲子 五十嵐達也 斧谷稔 下井草伊井乃弼 − 22 アガトの結晶 浅川美也 笹木信作 笹木信作 吉田健一
中田栄治− 23 復活のオーバーデビル 高山治郎 山本裕介 山本裕介 重田敦司 − 24 オーバーマックス 高山治郎 羽生尚靖 斧谷稔 井上哲
西山忍− 25 氷の中で 大河内一楼 宮地昌幸 西沢晋
斧谷稔しんぼたくろう
高瀬健一◎ 26 ゲインオーバー 大河内一楼 森邦宏 斧谷稔 吉田健一
中田栄治
千羽由利子◎
まず序盤では、2話と6話が抜群の出来。
その後アスハム編は、演出のテンポがもう一つ安定していないというもあってか、悪くもないけど良くもない程度の一息エピソードが 続きます。この7〜13話が、全体では一番盛り上がらない。特に酷かったのが9話なのですが、あがってきたコンテがあんまり酷かった ので富野監督(斧谷稔)が直したけど時間切れした、みたいな感じ。富野演出としてはまずあり得ないような演技(アップで頭をかいて 照れ笑い)などがちらほらあって、どうしてこうなったのか。
12・13話も、伏線的には重要なブリュンヒルデ登場回なのですが、シナリオ的に今ひとつうまくまとまらず。ドタバタした挙げ句に 爆発して御破算で終わり、みたいになってしまいました。
で、若干低調になってきた所で、14話が作画・演出ともに、全体通して屈指の出来。1・2/14/25・26、と綺麗に力点が 分かれている、といえばそれまでですが。で、吉田健一が、がっつり描くと作画いいよなぁ、と。
クライマックス除くと、14話〜17話が、シナリオ的にも演出的にもテンポがよく、非常に面白いところ。
盛り上げてきておいて、18・19話の出来が悪いのですが(^^;
18話はエピソードとしては割と重要回なのですが、とにかくあまりにも作画が破綻しすぎ。
19話は、やたらに演出が酷い。コンテと演出の名前見るとここまで酷くなる筈がないのですが、とにかく酷く、裏でなんかあった のではないかと、勘繰りたくなるレベル。
20話からは、シンシア、キッズが続いて前線に出てきてアスハムも復活し、クライマックス展開。個別感想でも書いたようにシンシアの 事情はゲイナーとの戦闘より前に描いてしまって良かったのではないかと思っていますが、ラストは一気に盛り上がりました。監督得意 の乱戦の中に黒ゲイナー降臨から一気に持っていく25−26話は絶品。
2クール作品でシリーズ構成を置いている割には全体としてはドタバタ度が高いのですが、まあ、構成を置いた上でなお、面白いネタが 出てきたそちらを優先、とかしていそう。シリーズ構成の大河内一楼は、企画段階ではかなりハードな話をやりたかったのを監督に止め られて路線変更となったそうですが、その辺りの鬱屈が、後に『コードギアス』の方で解放されているような気はしないでもない。
総合的に、楽しい作品でありました。
(2012年5月14日)