■『オーバーマン・キングゲイナー』感想まとめ<前半戦>■


“愛と勇気は 言葉  感じられれば 力”

 拙ブログ「ものかきの繰り言」に書いていた、バンダイチャンネルでの 『オーバーマン・キングゲイナー』(2002年 総監督:富野由悠季)視聴の感想〔1〜13話まで〕をまとめたものです。基本的に 内容はブログ掲載時と同様ですが、若干の編集と加筆訂正などを行っています。
 視聴を優先したので、基本メモ的な感想であり、フォーマット及び密度の濃さにだいぶばらつきがあります。

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 文明が発達しすぎた結果、地球環境が極めて悪化した時代――人々は祖先の暮らしていた土地を離れ、閉鎖されたドームポリスに寄り 集まるように暮らしながら、いずれ地球環境の回復する日を待っていた。そんなドームポリス間の流通や交通を取り仕切り、莫大な利益を あげているのが、シベリア鉄道である。
 そのシベリア鉄道の管理下から逃れ、ドームポリスを離れて新たな生活圏を求める不法行為――エクソダス。
 ネットワークゲームに興じ、対戦ゲームの世界では負け無しの少年ゲイナー・サンガは、ある日エクソダス主義者と疑われて投獄された 先で、一人の男と出会う。男の名は、ゲイン・ビジョウ。“黒いサザンクロス”の異名を持つ、エクソダス請負人。
 「エクソダス、するかい?」
 今、ゲイナー・サンガの旅が始まる――。

◆第1話「ゲインとゲイナー」
◆第2話「借りは返す」
 多くのロボットアニメが、悪の軍団だったり謎の敵だったり戦争が、“やって来る”ものとして描かれるのに対して、シベリア鉄道との 戦闘を覚悟で檻の中の日常から人々が自ら「エクソダス」する――というのが物語の構図における大きな特徴。
 いわば、“戦争が来る”のでも“戦争になる”のでもなく、“戦争へ行く”物語。
 主人公自体は巻き込まれ型ですが、“戦争へ行く”という事に巻き込まれないとは限らない、というのは、多少の諷刺を含むのか。 住居区画を大幅に引き抜いて移動しているので、主人公以外にもそれなりに巻き込まれエクソダスしている住人も居そうですが、2話に おいて、エクソダスする事を選ぶ者/しない事を選んだ者、のやり取りなども挟まれています。
 学校の級友や教師までがエクソダスに関わっていた事を知りショックを受ける主人公は、その中で自分の覚悟を迫られる――。
 主人公ゲイナーの巻き込まれ方には同情の余地はあるとは思うものの、手に入れたマシンに名前登録を求められて 「キングゲイナー」とか付けてしまう所で、まあいいか、こいつ多少ひどい目にあっても、という気になるの はちょっとしたミソ。
 1−2話は、完全に前後編の造り。
 ゲインとゲイナーの出会い、オーバーマン・キングゲイナーの起動と初戦闘までを1話でやって、1話で断片的に見せていたエクソダス の姿が2話ではっきりと描写されて、同時にゲイナーの立ち位置が決まります。
 主人公は成り行きでゲインに協力する事になったものの、ある理由からエクソダスが大嫌い。憧れのクラスメイト・サラがエクソダスの 主要な実行部隊の一員だと知って動揺、最終的には彼女にいい所を見せたい気持ちと、ゲインに対する男の意地が勝って、結局、 エクソダスの旅に同行する事となります。
 2話ラスト、
ゲイナー「みんなやる事が汚いんだよ」
ゲイン「そうかなぁ……アナ姫の方が、エクソダスの意味を理解しているようだ」
ゲイナー「出ていってやる」
サラ「情けない人」
ゲイナー「えっ………………貴様に借りを返したら、出ていってやる!」
 で爆笑。
 ヒロインであるサラは結構ゲイナーに酷い気もするのですが。エクソダスに積極的に関わっている立場からすると、覚悟も決めずに オーバーマンに対する所有権だけ主張する時点で、ゲイナーに対する風当たりが冷たくなって仕方ないのか。
 主人公ゲイナーは、引きこもりのゲームマニア、みたいな描写はされるものの、“男の子”の自尊心は強く、案外と行動的。内に籠もる というよりは、周期的に爆発するタイプ。また、最初にキングゲイナーを見た時にコックピットの位置を探し当てた際のゲインとの やりとりで、「やるじゃないか、少年」「ここまでは、原理原則です」「そういう事だ」という台詞がある辺りなど、どちらかというと “理屈のわかる人間”として描写されているのが印象的。
 そのゲイナーの前に立ちはだかる、“出来る男”ゲインは、お行儀が悪いのが最大の特徴。大きな作戦を指揮する頭脳・統率力・行動力 を併せ持ち、狙撃と格闘の達人、気障で洒落者、だけど美人を見るとすぐナンパ、他人を利用する事に悪びれない、と決して清廉な人間 ではなく、どちらかといえば、悪いオトナ。
 故に、ゲイナーからゲインへの敵愾心には、どこか潔癖な子供の怒りの空気がつきまとい、それがおかしみを添えているのが、作品全体の 面白みの一つ。
 単なる、憧れとか目標とか、嫉妬に近い負けん気ではなく、“あんな大人にはなりたくない、うんそれは確かに”という部分を含んだ 上で、“しかし勝てない男”に対する関係性の描き方というのが、非常に抜群。
 2話までのキャラクターの多さと、要素の詰め込みがなかなか凄いのですが、詰め込みつつ、とりあえず先へ先へと展開して見せて しまうのが、監督・富野由悠季の手腕の巧みさ。
 固有名詞の説明が後回しなのも、いつもの富野。
 富野由悠季の巧い所は、固有名詞の説明が後回しでも、その「固有名詞」自体は、伏線でもなければ謎にもしない事。「説明ないけど、 多分、このロボットの事だな」ぐらいの理解で作品を見る事が出来るし、それで問題ない(必要ならちゃんと説明が入る)。散りばめた 説明の無い固有名詞が物語の謎になったままひたすらモヤモヤする、という展開にする事なく、物語を先に引っ張っていく。
 それで凄くわかりにくくなる時もありますが、今作は、2話まで見ればわかる造りになっています。
 逆に、1話だけだとだいぶわかりにくい造りになっていますが、故に完全に前後編の造り。
 ドームポリスの都市ブロックの一部をまるごと移動させてエクソダスする(要するに超巨大なキャラバン)、という壮大な絵図が はっきり見えるのが2話からで、そこからぐっと作品に入りやすくなります。

◆第3話「炸裂!オーバースキル」
◆第4話「勝利の味はキスの味」
◆第5話「シベリアに光る目」
 3話からは、隊長ヤッサバ率いるシベリア鉄道警備隊との追撃戦。
 今作の登場人物達は全体的に多少の高さから落ちてもひっくり返っても死なず、非常にタフ。
 多少の迎撃受けても、しつこく戦線に復帰してきます。
 いっけんひ弱っぽい主人公も、4話でゲインに煽られて賭けボクシングで殴り合うなど、基本的な生命力が皆高め。
 そして3話では、シベリア鉄道のオーバーマン、ラッシュロッドが“時間を止めるオーバースキル”を 使用し、戦闘はトンデモバトルに突入。戦闘は全体的に、新味を出そうとして、若干もやもやっとした感じ。面白い事は面白いですが、 演出の表現などにも、ちょっと悩んでいるような感じがあります。まあどうしても油断していると、慣れた構図でガンダムになってしまう ので、それを避けよう、という意識が出ている、というのもあるでしょうが。
 段々いい味を出してきたヤッサバは5話でリタイア。
 街で出会った身よりのない少女との交流などで非常においしい感じになっていましたが……合掌……?
 (当時、ヤッサバのキャラクターがあまりに強烈になってしまい、話を全て持っていってしまう為に予定を変えて早めに退場してもらった、 という監督インタビューを読んだ記憶がありますが、不確か)

 ここまでの基本的な構成は、ひたすらドタバタ劇が展開して、最後にちょっとシリアスなネタ(ゲイナーの過去、ゲインの過去、など) が入る、というもの。
 主にそのスキルが『機動戦士ガンダム』を代表とする戦争もので発揮されてきた為、富野由悠季というと、多量の人物を同時に展開して の歴史的・政治的な要素を含んだシリアスな群像劇の作家、というイメージが強いですが、富野監督の最大の能力というのは実は、 ドタバタ劇を筋の通った話に見せる、或いは、筋が通らないというリアリティを物語として成立させてみせるという所に あるのではないかと思います。その能力と技術は、喜劇においても十全に発揮される。むしろ、見方によってはスラップスティックこそ ふさわしい。
 今作は富野監督の、そういった部分が非常に強く出た作風となっています。
 本質的には近い所にある、富野監督のスキルの裏表、といった所でしょうか。
 いつまで経ってもすれ違う人々、誤解から噛み合わない会話、わかったつもりでわからない他人の気持ち、ひっきりなしに起きる アクシデント、その、ある意味でのリアルな日常を、劇として展開・構成する力。
 本編5話まで、劇中の9割方ドタバタしているという物語を成立させる体力と、それでいながら劇として見られるものにするスキル、 というのは、超絶技巧と呼ぶにふさわしい。
 さらっとやっていますが、非常にレベルの高い事を今作でもしています。まあ富野アニメはそれ故に、麻薬的な魅力を持つ一方で、 乗り損ねた人を突き放しがちという欠点を持ち合わせてもいるのですが。
 全体の演出としては、アナ姫様での気の抜き方が秀逸。
 もともとお姫様大好きな富野監督ですが、“人の上に立つ者の器を自然に持った、でもまだ子供”というアナ姫(&動物)を随所に挟み 込む事で、非常に巧く画面と物語に緩急をつけています。この辺りのテクニックは、さすが、の一言。
 あと1・2話でキャラクターデザインの吉田健一が自ら作監をつとめて、女性キャラを端から可愛く描いたのが、演出として流れの中で 凄く効いています。アデット姐さんとか作画が乱れがちですけど、とりあえずいつでも美人に見えるし。まさかシャボリまであんなに 可愛いくなるとは、思いもよらず。

 ――果たしてドームポリスの外の厳しい凍土の先に、豊かな大地は再生しているのか?
 シベリア鉄道がその辺りの情報にも統制をかけているのか、実際にどの程度の支配力を持っているのかは、濁されているので謎。
 少なくともドームポリスの中では、本来は警察権は無いのに勝手に住人を逮捕するなど好き勝手にやっており、ドームポリス自体が 全体主義的傾向に呑み込まれつつある姿で描かれています。
 シベリア鉄道に好きにされてもそれを受け入れる人々に向けて
 「不平不満はあっても、自分からは何もしない。それがドームポリスのピープルの習性だものな」
 と言い捨てるゲイン。
 どうやら彼の過去にもエクソダスにまつわる曰くがあるらしく、ゲインの過去を知る教師ママドゥは、ゲインの両親がエクソダスという システムに殺されたのだと、ゲイナーに聞かせる。
「システムが人間を殺すなんて……」
「殺すんだよ」
 という辺りでシリアスな部分も含ませつつ、基本的には、ひたすらドタバタ劇で物語は続く。

◆第6話 セント・レーガンの刺客
 前回の戦いで鹵獲したオーバーマンのオーバースーツ(特殊能力を発動させる為の追加外装)を剥がすキングゲイナー。
ゲイン「女の子の服をぬがせるように優しくやるんだ」
ゲイナー「やった事ないことは、わかりませんよ!」
 ゲインさんがいちいち最低ですが、スタッフがノリノリ。
 そこへ上空から急襲するミサイル。キングゲイナーで迎撃に成功するが、ミサイルの中には爆薬の代わりに大量のビラが詰まっており、 「ゲイン・ビジョウを引き渡せ」という紙が都市ユニットの上に大量に降り注ぐ。
 ゲインの引き渡しを要求してきたのは、全世界のドームポリスを統括するロンドン・イマ、その直属部隊のセント・レーガン。
 その名前に何やら思いを馳せるゲインは、迎撃に出撃したがるアナ姫の説得に成功するが、代わりに姫のペット・リンクス(3匹の総称) をガチコに同乗させる羽目になる(通信機つきで、これが後の展開の伏線になる)。
 そして姿を見せる、セント・レーガンのオーバーマン。
サラ「よほどのおバカでなきゃ、正面からなんて」
ガウリ「サラ!」
サラ「何か来たのね」
ガウリ「バカな……来やがった……」
サラ「そういうの、怖いのよ」
 真っ正面から。
 何故か両手を広げながら。
 圧倒的なパワーと装甲を持つゴレームはサラのパンサーを軽くひねり、都市ユニットに接触すると、なんと、持ち上げる (対比で言うと、人間が高層ビルを持ち上げるような感じか)。

 そして、投げる。

 序盤の敵ボス(ヤッサバ)リタイア後の新キャラ初顔見せという事で、新たな敵メカはインパクト充分の大暴れ。パイロットの顔が 出ないという演出も、不気味さをかもしだして効果的。
 都市ユニットの一つに大ダメージを与えたオーバーマン・ゴレームは一度下がると、ヤッサバを失ったシベリア鉄道の部隊と接触。 その頃、“ヤーパンの天井”では、今後の方針が話し合われる。
ゲイナー「今は、シルエットエンジンもオーバーマンも、都市ユニットの復興に向けるべきしょ。ねぇ?」
ゲイン「ああ。そりゃ、順序だな」
 という会話の後に、何故かシベリア鉄道の部隊と合流したセント・レーガンの車両を見下ろているゲインとゲイナー。
 ゲイナー「やられたらやりかえす。お礼参りといってな、ヤーパンの正しい伝統だ」
 ソリみたいなものに乗って、カチコミをかけるキングゲイナーとガチコ。
 ゲイナーに敵オーバーマンを任せ、生身で車両に乗り込むゲインは、セント・レーガンの追撃部隊の指揮を執る因縁の相手、アスハム・ ブーンと対峙、最初は割と殺すつもりぐらいの勢いで射撃していますが、結局、泥沼の殴り合いに。
 アスハムを追い詰めたかに見えたゲインだが……アスハムはあくまで、ゲインに投降を迫る。

アスハム「それで全てが収まる。カリンと、カリンの子供のこともな」
ゲイン「カリンの子供……なんのことだ」
――動揺したゲインに突き刺さるアスハムの膝蹴り、更に髪を掴んで、頭部へのパンチ。
アスハム「おまえの、娘だろうがぁっ!」
ゲイン「俺の……娘?」
アスハム「覚えがないとは、いわせないぞ!」
――ゲインの脳裏に甦る、ロンドンでの思い出。
アスハム「おまえをカリンのもとに連れて帰る」
ゲイン「ちょっと待て! 俺に娘なんて。そんな、バカな! ………………事も、ないかぁ……」
アスハム「問答無用!」
――二人の戦いは、飛んできたチェンガンで水入り。
――キングゲイナーはオーバースキルによるチョップ攻撃でゴレームをなんとか退け、すたこら逃げる二人。
ゲイナー「あの人、娘さんがどうのって言ってますよ、ゲインさん」
ゲイン「気にするな!」

 今回は最初から最後まで、ゲイン、最低。
 6話にして主役側メインキャラの一人が、子供つくって姿くらました男になってしまいました。
 またこれが、リンクスの通信機を通して、姫サイドにダダ洩れとか。
 キングゲイナーのオーバースキルは、3話におけるラッシュロッドとの戦いで説明なしに唐突に発動し、今回は使ってみたものの ゲイナーの意図とは違う形で発動したようで、どんな能力なのか、詳しい事は未だ謎。
 富野監督の前作『∀ガンダム』でメインライターの一人だった高山治郎が脚本という事もあってか、今回は台詞回しなどに『∀』ぽさが 強め。……まあ、いつでも富野節といえば富野節ですが。
 前作のギンガナムに続いて子安武人演じるライバルキャラの登場となりましたが(1話でも、ちょっとだけ出ている)、変に皮肉めいた 台詞回しなどは富野アニメとしては類型的な感じもあって、現時点でのインパクトは弱め。前回まで話を引っ張ったヤッサバが強烈すぎた、 というのもありますが。どちらかというと、知的な戦略家としての顔と、ゲインが絡んだ時の爆発とのギャップで描いていくキャラっぽい ので、今後に期待。
 話としてはAパートのゴレーム大暴れから、Bパートの殴り合いまで、テンポよく展開して面白かったです。

◆第7話「鉄道王キッズ・ムント」
◆第8話「地獄のエキデン」
◆第9話「奮闘!アデット先生」
 序盤の展開を終え、ゲインと因縁を持つアスハム率いるセント・レーガンの部隊がエクソダス阻止の為に動く、という基本の流れが出来た 所で、6話が非常に盛り上げた後の一息。といった感じのエピソード群。
 7話では、シベリア鉄道総裁キッズ・ムント登場。ひたすら下品。なんというかこの世界は……駄目人間多いなぁ。私情と欲望に忠実と いうか。出てくるキャラ出てくるキャラ、好き勝手。
 8話は、体育祭。ゲイナー、少し前向きになって自らゲインと共に出撃。
 セント・レーガンの繰り出してきた新たなオーバーマン、アンダーゴレームは、何故か座禅を組みながら襲ってきます。
 そしてヤッサバが姿を消した後、成り行きでヤーパンの天井に紛れ込んでいたアデット、教師になる。
 9話は、そのアデットに焦点を当てた話。大暴走して、生徒と共に列車強盗に。若干、話の取り留めがなくなってしまいましたが、 サラに人付き合いの下手さを指摘されたゲイナーが級友に歩み寄りを見せたり、ペローが仲間を勇気づけて男気を見せたり、人間関係が ちょっとずつ動く。ゲイナーとペローは、やっと友達になった感じ。
 元シベリア鉄道からあっさりエクソダス側に鞍替えしたアデット先生ですが、強い男が居る場所で好きに生きられれば良いらしく、 思想的信条などにこだわりはない模様。……とにかく皆、好き勝手です。
 ゲインが狙撃の腕を見せて、ゲイナーとサラが「やっぱり、本物の“黒いサザンクロス”なのか」という会話をするのですが、ゲイナー はともかく、ガウリ隊はゲインの事、まだ信用していなかったのか……(笑)
 6話で、完全に本音では無いだろうとはいえ、セント・レーガンが本当にエクソダスに手を出してこないならゲインを引き渡すという 手もありだろうけど、そんな事はあるまい、みたいな事を言っていたのですが、なるほど、エクソダスをしようとする土着の人達と、 流れ者の請負人の間にある微妙な距離感、というのは徹底して存在していて、この時点ではまだ、完全に払拭していない模様。
 ちなみにゲイナーはその時、「引き渡せばいいじゃないですか」と、さくっと。
 ゲイナーはゲインに対する呼び方が、「ゲイン」「ゲインさん」「あいつ」と、その時々で色々ぶれまくり。
 徐々にお互い、認めあいつつあるようですが。

◆第10話「アスハムの執念」
 物資の買い付けに向かったが予算が足りなかったゲインとゲイナー、ゲインはボクシングの賭け試合に参加して、賞金を稼ごうとする。 セント・レーガンの追っ手を目くらましする為に変装する二人、何故かゲイナー、女装。だがそこにアスハムが対戦選手として現れ、 試合に負けたゲインはそのまま捕まってしまう。
 ゲインは、アスハムの鬱憤晴らしに付き合ってやるのも大変(妹を妊娠させた事について悪くは思っているらしい)などと、わざと やれらたような事を言っていて終始余裕はありそうですが、実際にはガウリ隊長が助けに来なければ危なかったので、強がりを言っていた だけ疑惑。
 今回は、そんなガウリ隊長が大活躍。というか大暴走。

 忍び装束に身を包み、ヤーパン・ニンポー大炸裂!

 なんか、凄くあっさりと、拳銃の弾を弾いているのですが。
 序盤、パンサーに乗ってやられ役が多かったガウリ隊長は、もしかしなくても、シルエットマシン乗らない方が強そう。ドゴッゾぐらい は、普通に倒せそうです。
 なおゲインが連れ去られた時点ではゲイナーとの会話で「いや、セントレーガンの部隊が居なくなるなら、放置で良いんじゃない?」 などと、冷たい事を言っており、しかし実際の救出時にはそんな事はおくびにもださない、オトナ。
 またこの回では成り行きでサラがキングゲイナーに乗り込むのですが全く上手く操れず、ゲイナーのパイロットとしての腕前の高さが 示されます。
 ゲインとガウリは、最後にいい大人同士のじゃれあいみたいなシーンも入るのですが、根っこに信頼関係があるのか、ただビジネスライク なのかは、今ひとつ謎。というか全てひっくるめて、ドライにもウェットにもいざという時に見捨てる事を厭わない事も飲み込める大人 同士、という事なのでしょうが。
 それにしてもフィーチャーされた途端に、凄く突き抜けたなぁ、ガウリ隊長。

◆第11話「涙は盗めない」
 ピープルのエクソダスを許した事で、ウルグスクを統治していたメダイユ公家が取りつぶしになるかもしれないと知ったアナ姫は、 ヤーパンの天井を離れてウルグスクへと帰る事を考えるが、市場に乱入したオーバーマン・ジンバに捕まってしまう。ゲインとゲイナー の連携プレイで救出されたアナ姫は父親に連絡をするが、メダイユ公は家名の存続やその他諸々を考え、敢えてアナを勘当。アナも その父親の想いに応えるのであった。
 今回は、最近ちょっと出番の減っていたアナ姫様話。
 駄目なオトナ達や、小悪党化の進むアスハムなどを遙かに突き放して、もはや作中で一番の大人物です。
 これから大人になるにつれ、ヤーパン流に染まってどんどん汚れてしまうかもしれませんが(涙)。
 話としては、少々バタバタしすぎた感じ。
 ドームポリスとセント・レーガン(ロンドン・イマ)の関係など、政治的な部分がそれとなく描写されていたり。
 あと、アナ姫の台詞から、今回近くを通った街からシベリア鉄道を使えば、ウルグスクまで3日で帰れるとか、まだ意外と離れて いなかった事が発覚。……まあ、あまり離れると、シベリア鉄道の追撃部隊に説得力が無くなってしまうからなのでしょうが。基本的に エクソダスのスケールが大きいので、足は遅そうですし。
 あと、細かい所では、ゲインに熱をあげていた筈のリュポフさんと、ママドゥ先生が接近。やはり、子持ちの男は駄目だったのか…… どうしてそこでヒゲの中年に走るかは謎ですが。

◆第12話「巨大列石の攻防」
 世界地図が登場し、ヤーパンに辿り着いた後、農業の構想を語るサラ。
 最初にエクソダスをしたという初代ミイヤ(半ば伝説上の人物)と五賢人の話など、世界観にまつわる地味に重要な話がちらほら。
 そして石柱遺跡で、怪獣登場。
 初代ミイヤのオーバーマンとされる伝説のアーリーオーバーマン・ブリュンヒルデに何故かサラが取り込まれるのですが、ただの女好き のオーバーマンに見えなくもない。或いは、サラ・コダマ、オーバーマンすら転がす女、なのか。
 自立的に動くオーバーマンとか、“ブラックホールのようなもの”とか、謎だらけ。ブリュンヒルデのオーバースキル攻撃である ブラックホール的なものを認めたくないゲイナーが、執拗に「ようなもの」(妙なもの?)と呼称する変なギャグあり。

◆第13話「ブリュンヒルデの涙」
 前回の続き。
 ゲインやアナ姫を「見捨てちゃっても仕方ないんじゃね?」と言っていたガウリ隊長が、サラを見捨てるのを良しとしないのはちょっと 違和感がありますが、ピープルのムラ社会的なものがあるのか。……まあ、サラ、割と万能選手なので、大事な要員であるのは確かですが。
 というわけで、サラ救出&ブリュンヒルデ捕獲作戦。そこに同様にアスハムを取り込まれたセント・レーガン部隊が絡んで、大混戦。
 ブリュンヒルデの中に初代ミイヤの映像が残されていて、恐らく終盤の展開への伏線が引かれたりしつつ、最後は色々と面倒な感じに なったぽい、自爆消滅。
 しかしアスハムはどうして、こんな落ち着きのない小物になってしまったのか。どこでどう道を間違えたのか。

→〔<後半戦>へ続く〕

(2012年5月13日)


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