■『快傑ズバット』感想まとめ2■


“ともよ ともよ ともよ
ともよみてくれ うなるムチ
おれは 快傑ズバットさ”


 拙ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『快傑ズバット』 感想の、まとめ2(7〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕


◆第7話「悪い風だぜ港町」◆ (監督:田中秀夫 脚本:滝沢真理)
 段々と鞭が、攻撃・防御・移動手段、3つの要素を兼ね備えた凄く高性能な武器に思えてきて困る。
 勿論、演奏打撃の二つの機能を併せ持ったギターも!
 飛んできた野球ボールをキャッチした早川が、ボールを拾いに来た少年とグラウンドに戻ると、 野球少年達が死屍累々。
その場を走り去る車を追いかけると、走行中に車から投げ捨てられる青年。
 ……と、今回も冒頭から好き放題のエキサイトぶり。
 その裏にあったのは、伊東で一番のホテルから5億円を脅し取ろうとする、マイナス団の悪行であった。
 ホテル従業員達の子供をさらうチンピラ達の前に立ちはだかる、早川健。
 「なにもんだ貴様!」
 「早川健! キャッチボール友達を殺した奴を捜しまわっている男さ」
 用心棒・グレートコングは、「何が日本一」か自称しないのですが、「怪力」か「プロレス」?
 そんなコングの腹にギターの一撃! そして思い切り投げ捨てる!!(ギターを)
 コングの怪力に珍しくやや苦戦する早川だったが、マウントポジションを取ってパンチ一発、続けて躊躇なく目を抉りにいった ところで、マイナス団のボス・不死身の道斎が姿を見せ、ちんぴら達は引き下がる……が、翌日、今度こそさらわれてしまう少年。 少年を人質にされてマイナス団の脅迫に屈したホテルは5億円の要求を呑むが、マイナス団のアジトを突き止めなくては金を取られる だけだ、と止めに入った早川が5億円を強奪する。金を隠して取引現場に向かった早川は、マイナス団に捕まり、金の在処を吐けと 拷問を受ける事に。
 ……うんまあ、性癖だから仕方ない。
 さらわれた少年の押し込められている船室に放り込まれた早川は時限爆弾で脅しをかけられるが、必殺の鎖抜け。 少年を救出し、チンピラとコングを一蹴。
 マイナス団のボス・不死身の道斎はトンファー使いで自らズバットに立ち向かい、トンファーvs鞭、というなかなか面白い戦い。 トンファーは吹き替え?で手元でくるくる回すアップのカットがほとんどなのが惜しかったですが。
 しかし、さんざん拷問を受けてフル充填のズバットの敵ではなく、ズバットアタックを受けて道斎は倒れる。そんな道斎に 馬乗りになり、締め上げて殴る、締め上げて殴る! しかし道斎もまた、飛鳥五郎の事は何一つ知らなかった……。
 「飛鳥を殺したのは、いったい誰なんだ!」
 5億円は早川から預けられていた東条によりホテルへ返却され、ホテルの人々は早川の真意を知る。そして早川は、次なる悪を求めて 再び旅路をいくのであった……。
 「冷たい風だぜ港町。あばよ、カモメ」

◆第8話「哀しみのプロパン爆破」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:長坂秀佳)
 走行中のブルドーザーのブレード部分に乗ってギターを弾きながら登場する早川健。
 いやー、凄い。
 今回は、この冒頭の奇天烈かつ壮絶に理解不能なシーンだけで元が取れます(笑)
 お陰で正直、本編の印象は薄い(^^;
 早川が訪れた街では、まむし平和会を名乗る組織のボス・ミッキー蛇山が市長選に立候補、反対活動をしていた若者達がプロパンガス の事故に見せかけて抹殺される。みどりとオサムが彼等に食事をめぐんでもらっていた縁から、たった一人の生き残りの新吉と関わった 早川は、プロパンに細工した目撃者の写った写真のネガを現像しようとするが、一足早く、まむし平和会によってネガは奪われてしまう。
 オサムくん、「丸一日何も食べていなかった」とか「一ヶ月風呂に入っていない」とか、凄まじい生活を送っているのですが、 色々大丈夫なのか……そして「臭いの僕かも、一ヶ月振りに入ってないから、あっはっは」というのは、笑い話で済んでしまうのか(^^;
 100%ちんぴら思考の早川はネガを返せとまむし平和会のアジトに乗り込み、今日もギターは大活躍。
 主に武器的な意味で。
 仕込み杖の使い手、地獄市との対決に勝ってネガを取り返す早川だったが、そこに写っていた目撃者はまむし平和会のちんぴら達に よって目を潰され、証言不能になってしまう。
 「このダッカーから、初の市長が出る事になるわけだ! はっはっはっはっは!」
 と、変な剣を持ちながら、首領は番組史上最高に上機嫌。
 思いあまってまむし平和会に乗り込んだ新吉は始末されそうになり、駆け付けた早川は蛇山の口から事件の真相を聞き出すも、 新吉を人質に取られて捕まってしまう。
 今日も袋叩きを楽しむにされる早川は、ギターと一緒に古井戸に捨てられるが、採石所に運ばれた新吉が 殺されそうになった所にズバッカーで登場。チンピラを蹴散らし、自ら目隠しを外して真の力を解放した地獄市も倒すが、蛇山は車で 逃走する、という新パターン。多分、ズバッカーのプロモ的な何か。
 途中で逃げられた為か時間不足でお仕置きタイムは短め。今回のズバット・アタックは跳び蹴りだったのですが、適当に使い分ける 方針でいくのかしら。
 「飛鳥……おまえみたいに殺された若者達の、仇は取ったぜ……! おまえを殺した犯人も、俺が必ず見つけだすからな!」
 目を潰された目撃者の目は無事に治り、良かった良かった。居なくても良いような凄まじくちょい役なのに視力奪われてそのままは あまりに酷いと思ったのですが、珍しく最後にフォローが入りました。てっきり流されるものとばかり。

◆第9話「涙の河を振り返れ」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 少女を必死に捜す初老の男と出会うオサムくん。
 「その子なら、ほら、あのボートの上に乗っているよ」
 「ああ……あの子だ。おーい……!」

 その瞬間、ボート 大・爆・発

 そして入るサブタイトル。

 冒頭2分で限界突破。

 迸る狂気に慄然とする他ありません。
 その男の周辺では先月から立て続けに3件の殺人が起こっていた。果たして彼は何者なのか? 男が黒服に囲まれている所に行き合った 早川はちんぴらを撃退、そこに現れたTTTの用心棒・釣師十兵衛(見た目のインパクト大)を退けたところで、男の正体が中根という 科学者だと判明。ガンの薬の研究中に恐ろしい毒薬を作り出してしまった博士は、悪の組織TTTから「毒薬を渡さなければ何の関係も ない子供達を殺す」という脅迫を受けていた。
 TTTは博士に殺す予定の子供の写真を渡し、博士が子供を助けようと必死に探すその目の前で子供を殺害、という残虐非道なやり口で 博士を追い詰めていた。警察に言っても殺す、と脅され切羽詰まっていた博士に今回渡された写真……そこに写っていたのは、飛鳥 みどり!
 ……こ、子供?
 どうやら博士の脅迫と早川健の抹殺をまとめて行おうと、手抜きしたらしいTTT(ても素敵なつのめ?)。
 こう見ると、ダッカーはかなり意識的に早川を抹殺しようとしているのですが、いかんせん日本各地で地道に活動する犯罪結社なので、 戦力の一局集中ができない(恐らくは、その概念もない)のが、泣き所。まあ、あくまで今のところは、“脅威”というよりは“面子を 潰された相手”という見方のようでもありますが。
 偽電話で呼び出されたみどりを救おうとした早川と博士だが、どさくさの中で博士がちんぴらに撃ち殺されてしまう(^^; 物凄く 本末転倒感が漂う中、早川はTTTの脅迫に応じ、毒薬をもってみどりの処刑予告現場へと向かう。
 今回は井戸に吊されるみどりさん。
 さすがに段々、可哀想になってきました……。
 TTTのボス・鉄の爪は一人で早川の前に姿を現し、右手にはその名の通りの鉄の爪を装着していると、ちょっぴり武闘派。
 「偽物だな……本物が白い事はわかってるんだ」
 「ふふふふふふふっ、本物さ……本物の、黒色火薬だ!」
 瓶を投げつける早川だが、咄嗟にかわす鉄の爪。
 鉄の爪に迫る早川は、仕掛けられていた地雷を踏んで、思い切り吹き飛ぶ。死んだ……? と思ったら無事 だったので、どうやら爆風の勢いを利用して自ら飛ぶ事で衝撃を緩和した模様。
 「走れ! 飛べ! 貴様の体が疲れ切って休んだ時、そこが貴様の墓場になるんだ! これが鉄の爪の、マシンガン地獄よ!  はっはっはっはっはっはっは」
 銃弾の雨をかわしながら廃倉庫に飛び込んだ早川は、ちんぴらを人間の盾にしたりしつつみどりの元へと 向かうが、みどりが吊り下げられたロープはもはや、ろうそくの炎で燃え落ちる寸前。鉄の爪の妨害を振り切り、燃え落ちたロープを掴んだ 早川によってみどりはギリギリで助かるが、その早川に容赦なく撃ち込まれる弾丸。
 撃たれてる、撃たれてるよ早川。
 ……だが。
 かなりの至近距離から銃弾を浴びた筈なのに、何故か死なない早川。
 TTT一味が気圧されている内にロープを縛りなおしてみどりの安全を確保した早川は、しかし鉄の爪の攻撃を受けて倉庫から落下。 これでさすがに死んだだろうと一味がホッとしたのま束の間……
 やってくるのはズバッカー!
 ちんぴら達を叩き落とし、みどりを助け出してズバット参上!
 至近距離から銃撃を浴び(肉体的被虐)・みどりが目前で殺されそうになり(精神的被虐)・基本サブマシンガンに 過剰反応(憎しみのオーラ力)と三拍子揃った今日の早川健はテンション最高潮。
 十兵衛の釣り竿による連続手榴弾攻撃を回避すると、逆に手榴弾のストックに叩き込み、十兵衛、手榴弾を抱きしめて大爆発。
 用心棒史上最高の大爆死。
 残った鉄の爪は、
 首に鞭→投げ→土下座からの隠し銃攻撃を回避→首に鞭→投げ→鞭攻撃×2→投げ→首に鞭→高い所に投げて落とす→ 掴んで地面引きずり→パンチ×2→ドラム缶に叩きつける→腹パンチ→顔面パンチ→締め上げ→「飛鳥五郎を(以下略)→「知らん!」 →顔面パンチ→ズバット・アタァっっク!
 のお仕置きフルコース。
 すっきりしたズバットは、親友の妹を助けた満足感を胸に、ズバットカードを残して去っていくのであった……。
 なお今回のバトルは歌(BGM)無しで展開したのですが、やはり色々な意味で、音楽はかかっていた方がいい気はします。色々こう、 誤魔化しが効かない(^^;
 そういえば、ズバット状態でみどりと会うのは初めてでしょうか? みどりさん、割と平然とズバットを受け入れていましたが、 声を聞いて早川だとわかったのかはどうか、不明。そして残されたズバットカードを手に取る東条にみどりが「早川さんは?」と聞き、 東条はカードを手に無言……とこれまでにない展開が演出されました。“ズバットの正体”ネタが物語に絡むかはわかりませんが、 絡めても大丈夫なように一応している、という感じでしょうか……名指ししないけど、バレバレ、な気もするしなぁ(笑)
 東条の男の優しさなのか、本気で気付いていないのか。そもそも早川に隠す気はあるのか。謎のようで謎でもないけど謎です。
 ズバットスーツといえば、さすがの早川健も対銃弾・対爆発という点ではズバットスーツ頼りなのではいかと考えていたですが、 地雷を踏んでも大丈夫至近距離から鉛玉をぶち込まれても大丈夫という事が 判明してしまい、ますますスーツの意味が薄くなって参りました。
 やはりスーツ最大の機能は、警察無線の傍受なのか。
 「(警察が来るまで)あと3分しかない!」

◆第10話「野球の敵を場外へ飛ばせ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:長坂秀佳)
 とあるビルの一室、バンドグループの奏でる「二人の地平線」アレンジにギターで飛び入り参加する早川健。
 「突然入ってきて、失礼しました」
 知り合いじゃないのか。
 「私の親友の、作曲なんです」
 劇中歌「二人の地平線」は飛鳥五郎の作曲であった事が判明。バンドのリーダーも飛鳥の知り合いのようですが、後の展開を考えると、 どうも程々に人口に膾炙している模様。
 数日後に石森という野球の名選手の誕生パーティ出演を控えるバンドメンバーと語らう早川だが、その時突然、天井裏に潜んでいた男に トランペッターが射殺されてしまう。男を追う早川の前に姿を見せる、“日本一のペット吹き”を自称する用心棒トミー。トミーの特技は トランペット……というか、仕込みトランペットによる吹き矢攻撃。ストレートに打ち込んできたトミーに対し、跳弾を用いて腕の違いを 見せつける早川。
 にしても、毎度の事ながら、用心棒達は平気で自分の獲物を早川に渡します(笑) 普段はちんぴら付きで優位(だと認識している) な状況なので言い訳も出来たのですが、一対一の状況で渡してみせたトミーさんは、実は男らしいのかもしれない。……トランペット 向けられて、一瞬、焦っていたけど(笑)
 トランペッターを射殺したダッカー配下、黒とかげ(今回は支部名出ず)らの目的は、バンドメンバーになりかわって、石森選手 (特別出演:石森章太郎)の誕生パーティに出席し、TVの前で石森を殺害する事にあった。
 暗殺のリハーサルを見て大喜びの首領L、
 「ただ殺すのではないぞ、うーんと苦しめろ。憧れの石森選手が、醜く殺されるさまをTVに映し出し、全国の少年たちの夢を ぶっ壊してやるのだ! ふっはははははは!」
 もっともらしい理由をつけていますが、おそらく私怨。贔屓チームが 石森選手の活躍で優勝できなかったとか、そういうレベルの。
 そして、トミーがトランペッターになりかわる、という不確定要素が入りすぎる計画の為に始末されてしまったペット吹きは、 さすがに悲惨(^^;
 案の定、バンドの募集に応募したトミーだが、目の前でリュウイチという青年にその座をかっさらわれてしまう(笑)
 リュウイチを狙う黒とかげ配下、の前に現れる早川健。
 「なんだ貴様?」
 「地獄から来た渡り鳥」
 「なんだとぉ?」
 「よしな。景色が逆さまに見えるようになるぜ」
 ちんぴらを蹴散らした早川は、リュウイチ(やたらふくよか)とその弟(やけにきらきらした瞳)の命を守るため、みどりとオサムに 彼等を任せ、自分がトランペットの代役をつとめる事にする。だが、リュウイチにはどうしてもバンドに参加し、トランペットを吹きたい 理由があった。手術を控える弟に勇気を与える為に、石森選手の誕生パーティでトランペットを吹く自分の姿を見せたかったのだ!  その思いの強さのあまり、オサム少年を振りきって隠れ家の外へ出たリュウイチはちんぴらに囲まれ、早川がそれを助けに行った隙に、 ゴーグル姿でバンドに紛れ込むトミー。
 石森選手に「二人の地平線」を捧げる理由は全く意味不明なのですが、応援歌か何かだったのでしょうか。……もしかすると、 飛鳥五郎は世間ではむしろ「作曲家」という認識で、音楽で稼いだ金を注ぎ込んでズバットスーツを造って いたのかもしれない。
 リュウイチを助けた早川が間に合い、トミーの吹き矢による暗殺は阻止されるが、会場に潜んでいた黒とかげ配下によって石森は さらわれてしまう。
 「石森選手はこの場で銃殺刑にする」
 TVの前で無惨に殺すのが目的だった筈なのに、もうすっかり意味不明に。
 石森選手、風前の灯火、のその時、東京タワーをバックに力強く飛んでくるズバッカー! ズバットは石森選手を助けトミー以下を 叩きのめすと、バイクで逃走する黒とかげを追う。スーツに半分覆面という衣装で格好良くバイクで走る黒やもりを、建物の間を縫い ながら、ズバッカーで追跡する、というなかなか凄い絵。街中に見えない事もないように撮っていますが、ズバッカーで街中で カーチェイスの撮影はさすがに出来なかろうと思われるので、建物の雰囲気から、恐らくは撮影所の中、か。
 爆走するバイク、あのデザインで右に左に疾走するズバッカー、と格好いい映像になりました。
 ズバット・アタックは、3回連続の跳び蹴り。黒やもりさんの吹き飛び方が熱演で面白かったです。
 石森章太郎ゲスト出演回(過去に『仮面ライダー』などでもあり)という事で、撮影スケジュールの都合でもあったのか、展開が雑 。……いや、いつも超時空展開は超時空展開なのですが、種類の違う雑さというか。
 普段ならもう少し、物語に絡めた責任としてリュウイチ兄弟は丁寧に扱うと思うのですが、結局、兄ちゃんのやった事は乱入して 「そのトランペッターは偽物だ!」と叫んだだけ(しかも無視)。弟との約束は果たせないし、弟も顔隠してTVでとはいえ、トミーを 兄と間違えるし、となんだか救われません。
 後から入ってきて格好良く合奏を決める早川が、役者が違うとはいえ全て持っていく、というのは仕方ないにしても、もう少し何とか してあげるべきだったのでは。最後に兄はみどりたちと一緒に「はやかわさーん」と叫ぶお約束シーンに加わって誤魔化しましたが、 兄弟に持たせた物語部分は一切合切放り捨てただけ、というのは、少々らしくない。……まあ、関わりすぎて死ぬよりましかも説は 無い事もないですが。
 さて次回、今回ズバットカードを手に「早川……まだか……」と思わせぶりに呟いていた東条に危機が迫る模様。結局のところ 東条がズバットと早川の関係性について気付いているのか気付いていないのか、行く先々で用心棒その他を皆殺しにして回るズバットを どうするつもりなのか、色々と明らかになりそうです。……殺されないと、いいなぁ。
 ……ああそうか、ズバットスーツ着ている理由って、殺人容疑を快傑ズバットに被せる為なの だろうか(おぃ)

◆第11話「死ぬ友よ!危機一秒前」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 警察を裏切り、悪の組織タイガー団と密会する東条進吾。金の為に部下達に偽情報を与えタイガー団のための便宜をはかる東条だが、 タイガー団のボス、ゴットタイガー(ロシア風)は最後の試験として二人の人物の殺害を要求する。
 「あの二人をばらしたら本当に信用してやる」
 連れてこられたのは、なぜか、みどりとオサム。
 東条は手渡された拳銃の引き金を冷酷に引き、悲鳴とともに倒れる二人。だがそこへ、早川健が現れる――!
 いつにも増して唐突すぎる展開が超高速で続くという、まるでAパートをどこかに置き忘れたかのような展開(笑)
 ゴットタイガー一味は、早川を殺した証拠を持ってきたら信用してやる、と新たな条件を突きつけて逃亡し、残された東条は、 早川と本気で殴り合い。凄いぞ東条。タイガー団が去った後に、むくりと起きあがったみどりとオサムが二人を 止め、もちろん全ては警察の囮捜査であった……のですが、そりゃあゴットタイガーも、茶番すぎて信用しません。
 みどりとオサムまで巻き込んでの危険な囮捜査に反対する早川と、地道にここまで漕ぎ着けた警察の組織捜査の邪魔をするな、 と言う東条。
 みどりとオサムは死んだフリの訓練を一ヶ月したそうなのですが、いつの間にか、警察のご厄介になっているのか。そして 「そんなもの、死体を確認する際にバレるに決まっているし、念入りにマシンガンで蜂の巣にでもされたらどうするつもりだった」と 早川に詰問され、

 沈黙する東条。

 ……おい、東条、おい。
 安い探偵ものに出てくる警察はとても間抜け、というセオリーを遙かに凌駕するレベルで、なにかこの世界の警察組織は、 本質的な所で信用できません。
 友の無茶を止める為に自らタイガー団へ潜入しようとする早川を、ゴットタイガー邸の玄関先で押しとどめる東条。
 「早川、これだけは言っておく。事の善悪は別として、警視庁内部には快傑ズバットの暴力行為はいきすぎだ、全国指名手配に してしまえ、という動きがある」
 ズバットのもろもろが「いきすぎた暴力行為」で済まされる、この世界の悪人の命は安すぎます。
 みどりさんとオサムくんとか、身寄りもなさそうだし、5万円ぐらいで済まされそうだなぁ……。
 「ズバットの正体を知っているのは俺だけだ」
 東条の告白に、ちょっと驚く早川。
 ……もしかして、本気でばれてないつもりだった?
 この辺りは義賊テーマのフォーマットいえばフォーマットなのでしょうが、早川健/ズバットの場合、「正義の為に敢えて法を 犯している」というより「私怨の為に楽しく法を犯している」ようにしか見えない為、 純粋に犯罪を隠蔽しようとしているように思えるのが困りもの。
 義賊テーマとして見るのが躊躇われるというか。
 仮の姿で戦うのは伝統と信頼の常套手段ではありますが、「天狗様の世直しじゃー」 (by鞍馬天狗)の3倍(当社比)ぐらい、タチが悪い。
 「早川、これ以上、英雄気取りはやめろ。でないと、俺はおまえを逮捕しなければならなくなるぞ」
 揉める二人の元へ、突然飛んでくる黒いゴルフボール。それは、タイガー団の用心棒、黒のゴルファー・左丹の攻撃であった。左丹 とのゴルフ対決では、チンピラの口の上にゴルフボールを載せて、見事なドライバーショットを披露する早川。……どちらがチンピラ なのか、わかったものではありません。
 だがしかし、珍しく対決に負けても引き下がらない用心棒。
 それはまあ、玄関先で刑事と早川が話し合っていたら、そのまま返すわけにはいかないか(笑)
 左丹と配下達は二人に銃を突きつけると背後の森(映像的には神社境内)へ入る事を要求する。そこは踏み込んだものに10分の間、 マシンガンの銃弾が降り注ぐという罠の仕掛けられた死の森であった。早川の逃げる時間を稼ごうと、自ら森へ飛び込む東条。それを 追う早川、二人に降り注ぐ銃弾の嵐!
 10分後、左丹と配下達が蜂の巣になった二人の死体を確認しようと森の中に踏み込むと、どっこい二人は生きていた。二人はチンピラ 達を蹴散らすが、東条をかばって銃弾を受けていた早川が倒れてしまう。
 今回も銃弾を浴びた早川ですが、もちろん、死にません。あと一応、早川がかばったという事にはなっていますが、結構な銃撃を 回避している東条は、かなり危険。冒頭で早川と取っ組み合ってパンチの応酬していたり、適当なランクの用心棒なら、素手で 倒しそうです。早川は東条の分のズバットスーツを開発するべき。
 ここでようやくAパートが終わり、Bパート冒頭、飛鳥五郎の位牌の前できゅっと一杯する早川健。
 「飛鳥……教えてくれ。俺の造ったズバットスーツは、5分しか保たないんだよ。俺はこいつをなんとか改良したいんだ」
 すっかりスーツ入れになっている形見……形見……。
 場面変わって、研究室でマネキンにズバットスーツを着せる早川の絵がひどく間抜け。そしてそれを覗く東条。早川は東条の前に 二体のスーツ着用マネキンを並べ、スイッチを入れないスーツは鉄パイプの一撃で簡単に吹き飛ぶが、タイマーをセットすると逆に 鉄パイプをねじまげるほどの固さを得る、という実演。
 …………犯行の自白にしか見えないのですが、遂に観念したのか早川(笑)
 またここの会話で、ズバットスーツは着用限界時間に達して爆発するのを防ぐ為にタイマーを解除すると、ただの“重い服”に なってしまう事が判明。5分を過ぎるとかえって足枷になってしまう為に、10分間のマシンガン地獄の中では、早川はズバットスーツ を着用する事が出来なかったのであった。
 だが……
 「見ていろ、俺はたった今、このズバットスーツの改良に成功した。もう5分たってもバラバラになる事はない」
 ええっ?!
 全身全霊を振り絞った早川の改良によりズバットスーツは5分の着用限界を超えた。タイマーが5分を超えてもスーツは爆発しない!
 「もう大丈夫だ」
 にこやかに笑う早川。
 その瞬間、大破するスーツ(笑)
 爆発の瞬間の早川の顔とポーズが素晴らしい(笑)
 スーツの改良は失敗した。東条はそんな早川をなぐさめ、タイガー団を追い詰める為に打ったもう一つの策を見せる事にする。
 一方その頃……
 「悪の大組織、ダッカーが入手したばかりの情報だ」
 過去の戦闘データの分析により、ズバットスーツのタイムリミットが判明した事を、ゴットタイガーに伝える首領L。
 「5分を過ぎると、ズバットの体は粉々になる」
 ……いや、どうデータ分析しても限界を超えた際の事がそんな具体的にはわからない気がするのですががが。
 ……東条、おい、東条?
 そしてゴットタイガーは、ズバットスーツの着用限界を利用した策を巡らせる。
 そんな事とはつゆ知らず、もう一つの策、ちんぴらとしてタイガー団に時間をかけて潜り込んでいる部下と接触をする東条。情報を 交換する場所はなんと遊園地。これなら、タイガー団も気づきはしない……て、ダッカー雑魚の服装のまま、子連れで 遊んでいる部下A。

 駄 目 だ こ の 部 下

 案の定、銃撃を浴びて倒れる部下Aと息子。
 混乱の中でさらわれた、東条の処刑予告を目にした早川は、罠を承知でズバッカーをタイガー団の屋敷へと走らせる。雑魚を蹴散らし、 左丹を撃破。鞭投げでズバット用の落とし穴に放り込まれた左丹は、
 「見事な……ホールインワンだぜ」
 と倒れる。
 なぜ急に落とし穴(ズバットはジャンプして一瞬で脱出)かと思ったらそういう事か。
 邸内に乗り込んだズバットを閉じこめる、厚さ20cmの鉄板の壁。執拗にスーツの着用限界を狙われるズバットだったが、鞭攻撃で 力ずくで鉄板を破壊。だがゴットタイガーは、東条を閉じこめた処刑部屋の扉を開けた瞬間に、バズーカ砲が炸裂するという最後の罠を 用意して待ち受けていた。
 迫る着用限界、高笑いするゴットタイガー。
 天井をぶち破って参上するズバット(笑)
 ズバットはギロチン台を破壊して東条を助け出すとゴットタイガーを追い詰め、いつものお仕置きセット。だが、ゴットタイガーもまた、 飛鳥五郎殺害犯ではなかった……。
 友を救った早川は、再び復讐の旅路へと向かう。
 「早川、ありがとう」
 「え?」
 東条の言葉に、建前上しらをきり?(照れくさかっただけかもしれない)、早川は去っていく。
 最後に、遊園地で撃たれた部下Aと息子は無事だったとフォローが入って終了。しかしあの部下Aは間違いなく逆スパイとして いいように利用されていたと思います。
 早川と東条の友情と葛藤を描くにあたり、せっかくだから飛鳥五郎の事も思いだしてあげよう的にズバットスーツの着用限界と パワーアップの試みについて触れるのですが、幾ら有名無実の設定とはいえ、成り行きで限界が解除されなくて本当に良かったです(笑)  ズバットは変身シーンを描かない(描けない)ヒーローなので、タイムリミット設定と食い合わせが悪いのは裏打ちされてしまいましたが(^^;
 それにしても改めて、人の命の安い世界だ……。

◆第12話「死刑執行10秒前」◆ (監督:田中秀夫 脚本:田口成光)
 やや久々のロードムービー展開。
 小さな町を訪れた早川は、悪漢に襲われている郵便局員・新二とその許嫁・夕子を救う。「このブーメランで(腕を)へしおってやる」 と自信満々に出撃しながら、ただの郵便局員にブーメランをかわされまくる用心棒は、ここまでで最弱疑惑。結局、 女に手をあげるし(^^;
 そんな自称日本一のブーメラン使い、ブーメラン・ジャックは「ブーメラン・カッター!」と叫んで社の銘を切断してみせるが、 早川健は借りたブーメランの一撃でそれを元通りにくっつけた上に、戻ってくる時の動きでチンピラ達のベルトを切り裂いて見せる。 落ちるズボン、剥き出しになるパンツ、早川が目をそらしつつ指の隙間を開ける所にサブタイトル、と無駄に格好いい入り。
 その日、町の郵便局には、町民会館を建設する為に住人の寄付や予算の積み立てでコツコツと貯め込まれた2億7千万円が翌日の 建設業者への引き渡しの為に保管されていた。新二を狙ったのは、その2億7千万円の強奪をもくろむ、暗闇組であった。更に暗闇組の 手は町の警察にまで及んでおり、既に警察署長は暗闇組の組長に入れ替わっていた!
 暗闇組よりも、2億7千万円を現金一括払いで要求する建設業者がアヤシイ。
 その夜、現金の警護に来たと偽り、金庫を開けさせた警察署員は現金を強奪。夕子の父であった郵便局長の家に宿泊していた早川も 交えて乱戦になるが、その最中、銃弾の直撃を受けた新二が死亡。現金は奪い去られ、あろう事か局長が強盗殺人の容疑で逮捕されて しまう。
 こうして2億7千万円を強奪した組長であったが、早川健が噛んでいる事にダッカー首領Lはお怒り。
 「間抜け! 早川の本業は探偵だぞ!」
 …………えー……あー、そうでしたそうでした。
 全国各地の悪の組織のボスと用心棒をチェックしていたり、捜査能力、無いようで有るしなぁ。
 首領Lの推測通り、自分の見た「犯人は警察官」という真実を裏付ける証拠を探す為に動き出した早川は郵便局を探る内に「D」の 刻印が刻まれた弾丸を発見。それを証拠としようとするが、そこへ襲いかかってくるのは、ブーメランジャック!
 用心棒が最初とクライマックス以外にも登場して早川にやられる、という珍しい展開。
 ジャックが警察署に逃げ込む姿を目撃した早川は弾丸を署長に突きつけ、化けの皮をはごうとするが、しかし全ては罠だった。
 突然落ちてくる、檻。
 「早川……まんまと罠にはまったようだな」
 …………えー……まあ……趣味だから。
 捕まった早川は牢屋に入れられ、既に逮捕されていた局長は全ての罪を着せられて処刑場へ引き立てられていく。
 町内の掲示板に貼り付けられる処刑予告(笑)
 凄くナチュラルに町民に受け入れられているのですが、もしかして名所なのか、地獄谷処刑場。
 全編ロードムービーにはさすがに出来なかったのか、しばらく東京近辺で展開していた為にパラレル日本ぶりが薄れて油断していた のですが、ちょっと都会を離れると悪の組織が我が物顔で私刑が横行していて、物凄くカオス。
 なぜか上半身裸の獄吏によって絞首台に運ばれていく局長。見張りの警官に殴られまくりながらも、牢屋越し に羽交い締めにした早川は処刑場の場所を聞き出すと、牢屋を脱出。多量の出血をおして処刑場へと急ぐが、山道で倒れてしまう。
 「こんな事が……こんな事があってたまるか。ズバッカー……!」
 まるで早川の叫びに応えるかのように、効果音と共に翼が飛んできてズバッカーがエンジン音を鳴らす、という格好いい演出。
 基本ズバットに変身するといつの間にか乗っている、という出鱈目な演出のズバッカーでしたが、初めての前振り。
 ……いや、出鱈目は出鱈目なんですが(笑)
 局長の首に縄がかかる直前、処刑場へと突入するズバッカー。それを妨害する警察官(暗闇組組員)の攻撃による爆発は、以前の回の 使い回し。ちょっと派手めに爆発を優先したかったのかもしれませんが、前振りが良かっただけに、登場シーンはもう少し格好良く 演出できた気がして、少し勿体なかった。
 処刑場に乗り込んだズバットは局長を助け出すと、ちんぴら達とブーメランジャックを次々と撃破。
 「貴様、化けの皮をはがしてやる!」
 鞭の連打で署長の服を切り裂くと、下から出てきたのはダッカー衣装。
 ……そ、そういう事?
 飛鳥殺害を否認した署長はズバットアタックの直撃を受け、斜面を派手に滑り落ち、暗闇組はここに壊滅する。……よく考えると、 2億7千万円は既にダッカーに上納されてしまっている気がしますが。
 珍しく、事件解決後に顔を出す早川。
 東条の乗ってきたパトカーに何故か同乗していたみどりとオサムと出会い、
 みどり「もうとっくに事件は、ズバットが快傑しちゃったわよ」
 オサム「それにしても、ズバットてのは誰なんだろう?」
 と、前回、東条とズバットの関係を描いた為か、今更ながら、みどりとオサムがズバットの正体を知らないというネタ。早川が適当な 事を言って誤魔化して、少しコミカルな感じで終了。
 嗚呼、東条の視線が生暖かい。

→〔まとめ3、へ続く〕

(2013年2月5日)
(2017年3月25日 改訂)
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