■『快傑ズバット』感想まとめ1■


“2月2日、飛鳥五郎という男を殺したのは貴様か?!”


 拙ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『快傑ズバット』 感想の、まとめ1(1〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
 西部劇+時代劇+渡り鳥+怪傑ゾロ+特撮ヒーローの、超次元ハイブリッドin宮内洋。
 見よこれが、70年代の狂気だ!

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◆第1話「さすらいは爆破のあとで」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 冒頭、
 ・幼稚園バスに仕掛けられる時限爆弾
 ・園児に突っ込む自動車
 ・幼稚園児をいじめる地獄竜の部下
 たぶん、幼稚園を地上げとかしているのかとは思うのですが、劇中では全く理由は説明されません(笑)
 その時、保母さん(ヒロイン・飛鳥みどり)をしばくちんぴらを止める一人の男。
 「飛鳥五郎……といったところで知らないだろうがね。山登りの好きな貧乏学者さ」
 兄さん、割と華麗なハイキック。
 だがそこへ、地獄組の用心棒、二丁拳銃の使い手ランカークが姿を見せる。拳銃を向けられた飛鳥五郎、絶体絶命。
 「次は心臓をぶちぬいてやる」と言われ、なぜか上着の前を開く飛鳥、意味不明すぎる。
 ……という所で横から撃ち落とされる銃。ギターをかき鳴らしながら崖の上に現れたのは、黒ずくめに白マフラーのギターを持った 渡り鳥、じゃなかった、早川健!!
 「いい度胸だ。だが貴様、俺が誰だか知らないらしいな」
 「地獄竜の用心棒、ランカーク。日本じゃあ……二番目の拳銃使い」
 「二番目だと? じゃあ、日本一は誰だ」
 「ひゅう〜♪ ちっちっちちちち、(早川健、自分を指さす)はっはっはは」


 ここまで、開始3分

 凄い

 濃すぎる

 飛鳥兄妹の知己であるオサム少年の飼うウサギにくわえさせた花を狙うという早撃ち勝負では、ランカークの銃弾を空中で全て撃ち 落とすという荒技で早川が勝利を収め、ランカークはちんぴら達と撤退。だがその帰路、幼稚園バスに仕掛けられた爆弾の爆発により、 飛鳥五郎が重傷を負う。更にトラブルは続き、飛鳥の入院した病院が爆破され、混乱の中で蜂の巣にされて死ぬ飛鳥。
 飛鳥を殺したのは誰なのか……妹みどりから形見のギターを受け取った早川は、ゲリラテロ的な挿入歌を熱唱。 そして飛鳥が研究中だった宇宙探険用の強化服と特殊自動車の開発を一人引き継ぐ。
 「飛鳥見ていろ。おまえの強化服、おまえの車で、仇は必ず取ってやる」
 一介の私立探偵を名乗る早川どれだけ有能なんだ、という話になりますが、まあ、本郷猛もIQ600か何かだった筈だしな……。
 そして――
 「できたぞぉぉぉ」
 強化服に身を包み、平原に仁王立ちする早川健。
 主題歌インストとともに、
 「見てくれ飛鳥、これがおまえの強化服……ズバットスーツ!」
 突然の変なポーズ(笑)
 ズバットスーツはバイザー下ろしてマスク閉めれば割と格好いいのですが、ヘルメット状態で顔出したままだと、えらく間抜け。どうして 最初のお披露目がその間抜けな方なのか(笑)
 その頃、地獄竜は背後にある巨大組織ダッカー首領と個別面談で怒られていた……と悪玉側の巨大さを説明しつつ、地獄組に接触を はかろうとする早川の姿。
 「ランカークさんよ、地獄まで案内してもらいましょうか」
 「慌てるなよカウボーイ」
 色々とネタ元はあるのかと思いますが、あちこちに洒落た台詞が散りばめられているのが、『ズバット』の楽しさの一つ。早川は普段 気取っているのに、帽子を脱ぐと何故か凄く普通の兄ちゃんみたいな言葉遣いになりますが(笑)
 みどりとオサムを人質に取られ、地獄組に捕まる早川。竹を割ったやつ(何というのだったか)で、容赦なくみどりを しばきまくる地獄竜。今日的な目で見るとちょっと引くぐらい、女性キャラも容赦なくしばかれます(^^; 子供も踏まれます。 時代の問題か、この作品がやりすぎているのかはわかりませんが。
 続く拷問の中、地獄竜が病院に爆弾を仕掛けた張本人である事を知った早川は、いきなりの縄抜け。
 ……あれー、もしかしなくても、地獄竜が口を滑らせるまで、みどりさんを犠牲にしていたような。
 一瞬の内に姿を消した早川を捜して悪党達がきょろきょろすると、外にいきなりズバッカー! そして鞭を 振るって窓から飛び込んでくる、真紅のスーツの男!!
 「ズバッと参上! ズバッと解決!
 人呼んで……さすらいの、ヒーロー!

 快傑・ズバァァット!!」
 地獄竜以下、地獄組の関係者を容赦なく鞭でしばきまくるズバット。逃げまどう地獄竜を絞めては投げ、絞めては投げ、そしてとどめは 何度見ても謎な、大開脚アタック!
 まあキックだと仮面ライダーとかぶるので何か別の決め技で…というのはあったのでしょうが、わざわざ高い所に上がってジャンプした 後、空中で3回ほどひねった上で、足を広げて股間からダイブするという、おそらく特撮史上でも他に類を見ない 必殺技。……一応、広げた足を当てに行っているように見えなくもないのですが、足当てるなら、広げる必要がない(笑)
 「地獄竜! 飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな! き・さ・まだな!!」
 ズバットは戦意喪失した地獄竜を締め上げるが、地獄竜は必死にそれを否定する。
 ――そういえば病院で飛鳥が撃たれた時、銃撃のあったドアとは反対方向へ逃げていたなぁ……と散々叩きのめした後で思い出す ズバットさん。
 「では、やはり……飛鳥を殺したのはこいつではなかったのか……」
 ここまで堂々と、薄々違うとは思っていたけど色々と腹立たしかったのでフルボッコにしました、と告白するヒーローも珍しい。 この人が、ヒーロー、として成立していた時代が凄い、というか(笑)
 刑事(早川の友人・東条進吾)が駆け付けた時、現場に残っていたのは地面に伸びている地獄竜、そして「この者、爆破犯人」と書き 記されたメッセージカードだけであった……。
 こうして、早川健/快傑ズバットの復讐の旅は始まった。
 そして、みどりとオサムは、姿を消した早川の後を追いかける……と、その流れのままエンディングへ。

男はひとり道を行く 男はひとり行くものさ
燃える願いに命をかけた 山の彼方に何がある

 有名なOPは非常に格好いいですが、EDもなかなか格好良くて好きです。挿入歌もメロディは格好いい(劇中でインストBGMとして 使用)のですが、水木一郎版とか無いのかなぁ……(笑)

◆第2話「炎の中の渡り鳥」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 親友・飛鳥五郎殺害の真犯人を求めて復讐の旅路を行く早川健が訪れた街は、土地を買い占めて巨大な賭博場を作ろうとする ブラックハート団に支配されていた!
 何故か、馬に乗っている早川健とか、それをコソコソと遠巻きに眺める街の人とか、牧場の入り口にロープで 吊り下げられている老人とか、要するに西部劇の世界なのですが、このパラレル日本ぶりは凄い。
 老人を助けた早川が銃声に駆けつけると、酒場で拳銃を振り回しながらまたも女を殴り飛ばしている雑魚達。またもギターをかき 鳴らしながら登場した早川はちんぴらをざっくり片付けますが、悪党の口に火のついたタバコを突っ込んだり、基本的に敵も味方も、 悪い意味でやりたい放題。
 あと早川、友の形見のギターを、白く塗るな。
 そこに現れる今回の用心棒は、居合の達人・風流之介(天本英世)。寸前まで西部劇だったのに着流しの浪人風キャラが現れるという、 実にカオス。
 居合切りでカウンターのビール瓶の口を断ち切り、そこからビールを煽ってみせる風流之介に、
 「大した腕だな。見たところ、日本じゃ二番目の居合切りだ」
 「二番目? では、日本一は?」
 というお約束のやり取りの後、居合対決。風流之介が老人のシャツをハート形に切り裂いた後、刀を借りた早川は、そのハートの中に 更に小さなハートを切り抜いてみせ、用心棒とチンピラ達は撤退する。
 だがその夜、店に火がつけられ、放火犯を追った老人は撃ち殺されて死亡。犯人を探り出すべく早川はブラックハート団に用心棒として 潜り込むが、その意図は団のボス・ブラックスターには見透かされていた……。
 はい、ここで、挿入歌入ります。ごめんなさい、入ります。笑わずにはいられないけど、入りまーす。
 宮内洋と倉田てつをは、独自のジャンルなので仕方がない。
 ブラックスターの強行手段によりダムから吊り下げられる姉妹を救い出す早川だったが、ブラックハート団に捕まってしまう。少女に 迫る電ノコ……という所で今回は手錠抜け。
 そして外にズバッカー。
 早川健はどうして、わざわざ敵に捕まりたがるのか。
 畳返しを駆使して風流之介を打ち破ったズバットは、ブラックスターの吊り天井の罠も回避。

 さあ、お仕置きの時間だ

 「飛鳥五郎なんて知らない」と必死に否定するブラックスターに、執拗以上に殴る・蹴る・鞭でしばくと 暴行を加えるズバット。復讐に狂っているから仕方がない。このエクスキューズの為に、悪役は終始ひどい悪事を働いている わけですが、それにしても酷い。70年代、怖い。
 ブラックスターは飛鳥五郎の殺害犯ではなかった――ズバットは再びカードを残して去っていき、警察到着。姉妹は、ブラックハート団に 裏切ったのだと誤解して酷い言葉を投げかけた事を謝罪しながら、早川に戻ってきてほしい、と荒野に叫ぶのであった……と最後に 追いかけない以外は、1話と完全に同じ構成のオチ。
 まあ各回のゲストキャラがみんな早川を追いかけてきたら大変な事になりますが(笑)
 様々な活劇の要素を目一杯に盛り込んだ、無国籍フルコースみたいな作品。深く考えないで楽しむのが吉。

◆第3話「悲しき純金の天使」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:長坂秀佳)
 冒頭から宮内洋の熱唱で、確かに悲しい(おぃ)
 山間の駅に降り立った早川健は、金バッジ連合(暴走族の名前のようですが、れっきとした犯罪組織です)に襲われる女性・しずかを 助ける。新聞記者であった彼女の兄は金バッジ連合を調べる中で命を落とし、彼女は兄の死の真相を追っているのだという。そして早川 としずかは、金バッジ連合のボス・金仮面が求める時価300億と言われる黄金の彫像「純金の天使」を巡る事件に巻き込まれる……。
 ダッカーの支部長はこれまでの所、顔の半分に変な覆面を被り変な化粧をするという基本デザインが統一されており(覆面の色や服装は 様々)見た瞬間に頭おかしいのですが、そのおかしさを文章で伝えられないのが悔しい……!
 今回の支部長の金仮面は声が島田彰さん(事情はわかりませんが、声だけ島田さんがあてている)で、どこをどうしてもブッチャーに しか聞こえなくて困ります(笑)
−−−−−
しずかを助ける

今回の用心棒、ナイフ投げの達人・殺し屋ジョーを退ける

金バッジ連合に襲われる親子を助ける

「純金の天使」の運搬を頼まれる

ホテルに身を隠すが、親子が襲われる

実はしずかは金バッジ連合のスパイだった!

早川を撃てないしずか、逃げる

しずかの背中にナイフが突き刺さり、しずか死亡
−−−−−
 けっこう耐性ある方だと自負していたのですが、1、2話がゆるく見えるぐらいの、電光石火の展開。
 基本構成は、1時間ものの時代劇を半分に圧縮した感じ、なんですが。なにしろ半分なので、全てがわざと視聴者を振り 落とそうとしているのではないか、と疑いたくなるぐらいのスピードで展開していきます(^^;
 「通りすがりの人のピンチを救った主人公は120%信用される」「裏切ったスパイはどこからともなく飛んできた飛び道具で始末 される」とか、基本、時代劇なわけですが、それにしても、速い。
 そして激昂した早川は、金バッジ連合のアジトへと乗り込む。
 「殺し屋ジョー、女を、しかも二度も後ろから狙う下素野郎とは思わなかったぜ!」
 対決する早川とジョー。ナイフを防がれたジョーは、トランプを手裏剣の様に飛ばし金属を切断する! どうやら暗器使いでも あったようですが、ナイフよりそちらの方が凄いような(笑) だがそのジョーも、突然飛んできたナイフによって死亡。しずかを 殺した真犯人は、金仮面だったのだ!
 ジョーさん、とんだとばっちりで死亡。
 拳銃を構えた金仮面の部下に囲まれ、今回も(わざと)いたぶられる早川。金仮面は早川に奪い取った「純金の天使」を見せつけよう とするが、早川の運んでいた「純金の天使」は囮で、箱の中に入っていたのはただの石だった! 驚愕する金仮面が振り返ると、消え 失せている早川。そして――
 「ズバッと参上! ズバッと解決!!」
 窓から飛び込んでくる紅い人。
 …………もしかし実は、早川って「怒る!」みたいに敵にいたぶられる事で何らかのエネルギーを溜めないと変身できないのでしょうか。
 お仕置きタイムの開始で、逃げまどう金仮面を、殴り、蹴り飛ばし鞭で絞めあげ地面に叩きつけ

自白を強要する早川。


 「あと一分しかない……本当の事を言え!」
 だが結局、金仮面も飛鳥五郎殺害の実行犯ではなかった……。
 ギター片手に早川健のさすらいの旅は続く……今回なぜか早川達が潜伏しようとしたホテルでボーイのバイトをしている、と物凄く 無理矢理に登場したオサムくんとみどりが「早川さーん」とお約束をやって、次回へ続く。
 加速装置使いっぱなしのエピソードですが、早川が金仮面の服に、地獄竜、ブラックスターと同じ、Dのマークが刺繍されて いる事に気付く、とちょっとした伏線。……まあもっとも、全国各地、ダッカー雑魚のデザインは一緒だったりしますが(笑)  早川健が、巨大組織ダッカーの存在に気付くのはいつなのか? これから一体どんな珍妙な支部長と用心棒が出てくるのか?  復讐の旅に、まだ果ては見えない……。
 ああそうだ早川、

 友の形見のギターで敵を殴るな。

◆第4話「涙の敵中突破」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:長坂秀佳)
 弾き語りながら渡し船で川を渡る早川健。
 船頭さんの精神力はもう、限界だ!
 その頃、高熱で道に倒れたみどりは、純朴な農家の青年・沢村誠(レッドマフラー)に助けられるが、誠の土地を狙うヤクザ鬼勘一家の 手により、誠を締め上げる材料として、トラクターから引きずり降ろされて木に吊り上げられてしばかれる。
 なんという凄まじい、とばっちり。
 だがそこへ鳴り響く、ギターと口笛。
 「なんだてめぇは」
 「泣く子も黙る鬼勘一家の鬼の勘三。なるほど、鬼が見てもそのツラは勘にさわらぁ。はははっ、だから鬼勘か」
 またもやDのマークに気付きつつ、鬼勘一家を蹴散らした早川の前に空中一回転で姿を見せるのは、日本で二番目の拳法使い、 ワルツ・リー。石灯籠破壊合戦で早川は拳法の腕を見せつけ、鬼勘一家は退却。これまでも雑魚達をしばき倒している早川では ありますが、生身の破壊力を見せたのは実は初。普段の格闘では、どうやらだいぶ手加減している模様です。
 誠から鬼勘一家がインチキ博打で村民から土地を巻き上げようとしているという話を聞いた早川は、着物姿で賭場に乗り込むと イカサマを暴いて博徒達を薙払うが、村人を人質に取られて袋叩きにされ捕まってしまう。
 うんまあ、趣味でやっているからね……ホントのところ、Mだから、早川……。
 鬼勘一家のちんぴらからこの事を聞き、早川のもとへ駆け付けようとしたみどりはワルツ・リーによって腕の骨を砕かれる重傷を負う。 ちんぴらの攻撃で気絶していたところを、通りすがりのオサム少年に助けられた誠は倒れるみどりを見つけるが、村には病院も車も無い。 みどりを病院へ運ぶ為に村で唯一の車を手に入れようと、土地の権利書を持って鬼勘一家に直談判へ向かう誠。
 ひたすら受難の続くみどりさん、さすがに粉砕骨折シーンは描かれませんでしたが、どうも根本的に不幸属性っぽい(^^;
 今回の首領Lの説教タイムによると村の地下には石油が埋蔵されており、鬼勘一家はダッカーの指示でそれを狙っているとの事。
 「貴様も悪の大組織ダッカーの一員なら、目的の為には手段は選ぶな! 殺せーっ! 誰だろうと幸せな奴らは、皆殺しにして やるのだ!」
 なんか最後で急に話が凄く大きくなりましたが、多分、首領Lは、その時の気分と勢いで物を言っている(笑)
 誠が車と引き替えに鬼勘一家に土地の権利書を渡す直前、牢屋を脱出し車を用意した早川が駆け付ける。みどりを病院へ運ぼうとする 早川達の前に立ちはだかる、ワルツ・リー。早川がワルツ・リーと戦っている間に車を走らせる誠だったが、近道の為に畑を突っ切ろう とすると、畑がなぜか爆発。
 ワルツ・リーを倒した早川が駆け付けるも一足遅く、車から投げ出された誠は、鬼勘一家のバズーカ攻撃の露と消える。
 「みどりさんの探しているのは、犯人じゃなかっただよ……。みどりさん、探しているのは、あんただ。みどりさんを、幸せに、して……」
 早川の腕の中で倒れる誠。みどりに淡い思いをいだく純朴で少しとっぽそうな青年を、『大鉄人17』で海野隊員を演じた菅野直之 さんが好演でした(ちょうど同時期の放映。撮影時期的にはこちらが早いか)。他のキャラクターに粉をかけられる事で、みどりさんの ヒロイン度も上昇。
 「誠くん……一人の力でも鬼勘一家ぐらい倒せる事を、見せてやろうぜ」
 バズーカの砲撃でえぐれた地面から石油がしみ出しているのを見た早川は、鬼勘一家の目的を悟ると、今回は早めに駆け付けた東条に 後を託し、誠の敵討ちの為に車を走らせる。
 普通乗用車in早川がバズーカの砲撃を受けると、煙の中からズバッカー&ズバットが現れる、というのは格好いい演出。

 そして、大爆破祭。

 この当時の特撮を見ていると時々、火薬の量、間違えた……?みたいな事がありますが、しけそうな火薬が倉庫に積んであって 在庫一斉処分しました、みたいな勢いの、爆発!爆発!
 ダイナマン!(待て)
 という感じの、大爆発。
 しかもタイミング的に、通り過ぎるタイミングとか避けた反対側とかではなく、何度か思いっ切り爆煙の中に突っ込んでいるのですが(^^;
 砲撃を切り抜けたズバットは、勘三一家の前にずばっと参上。
 今作はどんなに筋が力業でも、ズバットが登場して、べん、べんべべん! べん、べんべべん!と主題歌が入ると、こちらの テンションが上がって細かい事がとりあえずどうでもよくなるのが恐ろしいところ。
 ズバットはあっと言う間に博徒達を蹴散らし、鞭の一撃で斜面を派手に転がる勘三。
 「飛鳥五郎を殺したのも貴様だな!」
 「違う! 誠は殺したが、飛鳥なんて知らん」

 まあ、いきなりそんな事言われてもなぁ……。
 「嘘をつけ!」
 博徒達に袋叩きされる事によって蓄積したMパワーをSパワーに変換した早川健は、勿論聞く耳を持たない。
 勘三をなぶり続け……
 「チッ、あと一分しかない」
 ……今、「チッ」って言った、「チッ」って!
 「ちがぁう! 本当に知らん!」
 懸命に否認し続ける勘三に向けて炸裂する、

 「ずばぁっと・あ・たぁっく!!」

 (前回から、必殺・股間ダイブ時に、叫ぶ技名が付きました)
 またしても飛鳥殺害犯は見つからなかった……気を失った勘三を足下に拳を固めると、「この者、極悪殺人犯人」のズバットカードを 残し去っていく早川健であった……。
 ズバットの「あと1分」、ってスーツの着用限界の筈なのですが、パトカーの到着予定時間を関知している 気がしてきました……。
 「チッ、あと一分しか(好き放題でき)ない」みたいな。
 そして親友・東条は、早川とズバットカードの関係について疑いを持ち始めていた……。
 ラストは、一応ギブスをしてはいるものの、もう退院したらしいみどりさん、オサムくんと一緒に渡し船の上の早川に向けて叫ぶ、 でエンド。
 パラレルとはいえ現代日本を舞台に、「地下に埋蔵された石油を手に入れる為に、丁半サイコロのイカサマ博打で村人から土地を 巻き上げようとするヤクザ者」、というプロットのハイブリッドが凄すぎます(笑) 

◆第5話「花売り少女と白い粉」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 OP最初のタイトルコールがやたらな高音から、低めの声に変更。そもそも最初はなぜあんなに甲高かったのか。
 珍しく冒頭から都会……の片隅で花とマッチを売る少女。
 どこまでもここは、パラレル日本。
 だがその少女ミチルが行っているのは、合い言葉を告げる人間への、麻薬の販売であった。そうとは知らずに同情から花を買おうとした 通りすがりのみどりとオサムは、紅薔薇連盟の雑魚に路地裏に連れ込まれ、今日も勢いではたかれる。
 ――そこに響くギターの音色!
 なんかもう、このパターンを格好いいと思わせたら番組の勝ちです(笑)
 「誰だてめえ」
 「地獄から来た掃除人。おまえたちのような埃を、掃除して回っている男さ」
 うむ、格好いいから仕方ない。
 二人を助けた早川は、みどりに「これ以上、旅を続けるのはおやめさない」と告げると、紅薔薇連盟へのアジトへと乗り込む。
 「ふっふっふ、いきがりやがって、てめえが早川かい」
 「ふっふっふ、しゃれやがって、てめえがハスラーかい」
 そこに現れた用心棒、日本で二番目のビリヤードとキュー使いの名人・必殺ハスラーをビリヤード対決で破った早川はミチルを追うが、 取引現場を押さえてミチルを捕まえようとしていた刑事達を、それとは知らずに邪魔してしまう。ミチルの売っているのが麻薬である事を 東条から知らされた早川は善意からミチルを救おうとするが、麻薬を広げる紅薔薇連盟のボス・紅蜘蛛に育てられ、彼を善人と信じて 疑わないミチルに、嫌がられて逃げられる(笑)
 少女に袖にされた腹いせに、再び紅薔薇連盟のアジトへ乗り込んで紅蜘蛛を叩きのめす早川であったが、「紅蜘蛛のおじちゃんを いじめないで!」とミチルが紅蜘蛛をかばうと、自らポケットに両手を突っ込み、紅薔薇団のちんぴら達に袋叩きにされるのであった。
 ここはヒーローも相手(この場合はミチル)の気持ちを考えないで調子に乗るとしっぺ返しを受ける、という意味では凄く正しいシーン。
 そのミチルの言葉によって暴行から解放された早川は、紅蜘蛛を信じ切るミチルに残酷な真実を告げる事が果たして正しいのか、 思い悩む。しかし紅蜘蛛は、警察と早川に目を付けられたミチルを切り捨てる事を決め、ミチルの殺害を早川に予告して待ち受ける。 ミチルを助けに赴くも、紅蜘蛛の狙撃を受けて砂利置き場から転落する早川――と、その時、ズバッカー!
 と新パターンでズバット参上。
 前口上の途中で画面の端から雑魚が近づく、というのは面白かったです(笑)
 終始、やたら格好いい演出のハスラーは、仕込みキューによって攻撃してくるものの、返し技を受けて死亡(?)
 「イカすぜ……そのキュー捌き……」
 毎度の事ですが、支部長は死なないのに、用心棒はさっくり殺られる『ズバット』世界。
 今日は拷問時間少な目で、さくっとズバット・アタック。そして5話にして、ズバット・アタックが ただの跳び蹴りに!
 そこは敢えて、変更しない方が良かったなぁ……。
 紅蜘蛛は「俺にはその時間にはアリバイがあるぅ……」と飛鳥五郎殺害疑惑に抗弁し、今回も真犯人は霧の中なのであった。 ……というか途中まで完全に目的が違った(ミチル救出)事を考えるに、いつも以上に思いつきで聞いたとしか思え ませんが。
 さすらいの私立探偵・早川健の捜査方法は、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる拷問による 自白の強要なのである。
 後に某自称美少女天才魔道士が良い事を言いました。
 「悪党に人権はない」
 復讐と誤爆の旅は続く……。

◆第6話「海にほえるマシンガン」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
 今回、早川健が訪れたのは、港町。
 まあ、1回は訪れないとね、港町!
 船から波止場にわざとらしくジャンプで着地した早川は、靴の裏でマッチを擦ってシガリロに火を点けると、通りすがりの銀行強盗の 真っ最中に殴り込み。
 ……なんかもう、冒頭1分でお腹一杯です(笑)
 そしてまたまた、火の点いた葉巻を敵の口に突っ込み友の形見のギターで殴り飛ばし、 好き放題。
 鮮やかな拳銃捌きで強盗達のマフラーを撃ち落とし素顔をさらけ出させた早川は、彼等のボス・海賊キッドの所に案内させようと するが、そこへ響くマシンガンの銃声。その射撃と高笑いに、飛鳥殺害犯を思いだした早川は敵を追うが、爆弾トラップに引っかかって 捕まり、海に捨てられる。
 早川を始末した(と思った)海賊キッドだったが、銀行強盗の失敗で、お説教を受ける。
 首領L今回のお言葉:「貴様も悪の大組織ダッカーの一員なら、徹底しろ!」
 再び銀行を襲撃し、合わせて目撃者を始末するキッド一味。
 ……早川が強盗達のスカーフを撃ち落とした事で、えらい二次被害が発生(^^;
 その早川は、海岸に打ち上げられていた所を通りすがりのみどりとオサムに助けられ、病院で手術後、銀行強盗を叩きのめした際に 救った家族が経営する旅館に運ばれていた。前回、「これ以上、旅を続けるのはおやめさない」と言った相手に命を救われ、えらく ばつの悪そうな早川。
 女将から銀行が再び襲撃された事を聞いた早川は「目撃者を殺す海賊とは許せない」と怒りを燃やすが、目撃者である女将一家、 そして重傷の早川達の警護を指揮する東条に、
 「そんな体で何ができる。第一、罪もない目撃者が狙われたのは、おまえのせいだ。おまえが五人組の 覆面を取ったりしなければ、あの人達は殺されたり狙われたりする事はなかった」
 ズバッとツッコまれる。
 「おまえが動くと、巻き添えを食う人間がまた増える」
 おー、まさかはっきりと、劇中の人物がそれを口にしてくるとは。
 だがしかし、シーン変わると、キッド一味に連れ去られて殺されそうになる目撃者の女性(^^;
 警察、おい、警察!
 地元警察は裏でキッド一味と繋がっていて、東条の指揮にスムーズに従ってくれない、とここはしておきたい。
 そんな目撃者を救うのは勿論、先程の反省はどこへやら、既にノリノリの早川健!
 ……の前に姿を現した用心棒は、世界で二番目のトマホーク投げの名人・レッドボア(ネイティブアメリカン風)。トマホーク 投げ対決でレッドボアを破り、目撃者を救出した早川の元へ、遅ればせながら警官隊と東条がやってくる。
 「本気で犯人を捕まえたかったら、ピーポーパーポー、やらないで来るこった」
 早川の怪我を気遣いつつも、事件に関わるなと告げる東条に、やや喧嘩腰に早川が返す……と、毎回ラストでズバットカードを 読み上げるだけ、というまさかの可哀想なオチ要員かと思われた東条刑事が、前回今回の出番増大で急速にキャラが深まり非常に 面白い立ち位置となってきました。友情と正義感、そして本気で迷惑が入り交じった複雑な視線、 単なるなあなあの関係ではない、男の意地と意地。
 これに法治と天誅という立場の違い……までは踏み込まずに流しそうな気はしますが(早川、娑婆に出られなくなりそうですし)、 圧倒的なご都合便利キャラである東条にも、情念を匂わせる辺りは、さすが長坂秀佳。
 東条と微妙に擦れ違いながらも旅館に戻った早川を待ち受けていたのは、息子がさらわれたという女将の叫びと、彼を呼び出す 海賊キッドからの置き手紙であった!

 警・察!
 その場の格好付けで被害を広げる早川も悪いですが、警察も全く役に立たない為、誰も彼もがダメ という困った展開。
 だから全国各地で悪の組織が大暴れなんですよ!(納得)
 少年を救出に向かい捕まる早川だが、縄をほどこうと暴れた結果、縛りつけられていた杭が抜けて、断崖絶壁から海に落下(笑)  残された少年にレッドボアの槍が迫るが、そこへ爆音を轟かせて現れる、ズバッカー! 今回はAパートが約15分(配信表示)と 長かった事もあってか、Bパート早々にズバット参上。雑魚とレッドボアを蹴散らすと、海賊キッド(そういえば今回は覆面では なく眼帯)へお仕置きタイム。
 前回殴り足りなかったのと、東条に責められた事イライラ が募っていたズバットは、松の木を背にダメージが逃げないようにした上で、盛大に殴る蹴るの暴行。

 そして復活の股間ダイブ。
 ……むしろ、前回は何だったのか。
 海賊キッドを叩きのめして満足した早川は、近づくサイレンの音を耳に、ズバットカードを残して去っていく――今は、友と分かり 合えなくてもいい、男はひとりで行くものさ。

→〔まとめ2、へ続く〕

(2013年2月5日)
(2017年3月25日 改訂)
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