- ◆CaseFile.39「雨に濡れた嘘」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
- 楽しい夢を見ながらの年に一度の睡眠期を終え、1週間ぶりに目覚めたシオン……が現実で目にしたのは、
事務所中に積まれた家電の山と数切れの沢庵で食事をする仲間達の姿であった。
シオンが寝ていた一週間の間、探偵仕事の依頼が全く無く、おまけにアヤセが免許を落として運転も出来ず、ドモンは最初から問題外、 タツヤの道場はたぶん月謝制……稼ぎを失った4人はひもじい生活を送っていたのであった。
……まあシオンも、あんな夢を見るわけです。
ドモンに突っかかられながら、食事を切り上げて部屋に入ったアヤセは、上着のポケットからそっと免許を取り出す。彼は、免許を 落としてなどいなかった……。
その頃、ストレスですっかりキレてしまったギエンは、ドルネロが居ないのをいい事に、アジトでゼニットを破壊して憂さ晴らし。 更に「まもなく地上は死で埋め尽くされるのだぁ」と一人のヘルズゲート囚人を解凍する。
その名は、エンボス。科学者であったが、新型の細菌兵器の開発中に、誤って自らが感染。自棄になってそのウィルスをばらまき、 数百人が死亡するバイオテロ引き起こして圧縮冷凍された無差別殺人犯であった。解凍されたエンボスは、2961年の未来で行ったのと 同じように街でウィルスをばらまき、人々は高熱を出しながら次々と倒れていく。
ニュースで事件を知ったトゥモローリサーチの面々。このレダーウィルス感染者に浮き出る特徴的な痣から、未来のウィルスだとタック は気付く。3週間程度で致死率100%のレダーウィルスに対するワクチンは未来では開発されているが、それは発症してから1週間以内 に投与しなければならず、2000年の現代では開発が極めて難しい。
頭を悩ませるタックは、時空通信のメッセージをキャッチ。それはなんと、ドルネロからのものだった!
未来でレダーウィルスに感染し、ワクチンを接種した経験のあるドルネロは、抗体を持った自分の血でワクチンを作らないか、と 5億円で自分の血液を買うように持ちかけてくる。
現代社会に地盤を形成した事で現代社会が崩壊すると困るドルネロが、タイムレンジャーに解決への協力を持ちかけながらも、それすら もお金にしようとする、というふてぶてしさが実にいい。
この申し出に思い悩むタイムレンジャーだが、続々と患者が増えているという状況に、手をこまねいているよりは、「1%でも可能性の ある方に賭けるべきだ」というアヤセの言葉もあり、ドルネロとの取引を決断。ワクチン精製の設備と5億円を 用立てる為にシティ・ガーディアンズへも協力を依頼する事となり、アヤセが滝沢の説得へと向かう。
滝沢に未来の事を話した件が、展開の中でこう繋がってくるのは、なるほど。
頭を下げるアヤセ。「5億円」も含めて、さくっと承諾する滝沢。30世紀の事について浅見社長に話したのかという問いかけには、 「話したほうが損か得か考えているところでね」との答。
「あんたからも浅見に言ってやったらどうだ。やっぱり力は必要だろ、てね」
「確かにな。でも、それだけじゃ生きられない」
この二人は、即座に喧嘩腰になるわけでなく、それなりに大人の会話も出来るしで面白い絡み。
後合わせて、「力が無くても駄目、力だけでも駄目」と、アヤセというフィルターを通す事で、タツヤ・滝沢/浅見グループの対立する 価値観が相対化されています。
どうやらドルネロのこの動きを掴んだらしいギエンは、街でウィルスをばらまいているエンボスに「死ぬのはおまえだけだ」と告げ、 ある種の恐慌状態にあるエンボスをそそのかす。
ドルネロとの取引現場で、お金を入れたトランクに爆弾を仕掛けて、採血後にドルネロの逮捕も目論んだ滝沢であったが、ドルネロ側も 血液の入ったクーラーボックスに爆弾を仕掛けており、両者引き分け。数百人の命を救う大切な血清を台無しにしかねない作戦に、 アヤセは滝沢を殴り飛ばす。
“一つないし近傍の複数の病院に収容してまとめてワクチンを打てる患者数”というリアリティを鑑みて「数百人」としたのでしょう が、割と少ないな……と思ってしまうのは、特撮に脳が冒されすぎか(^^; いや、数百人でも充分に多いのですが、ウィルスの脅威と アヤセの怒りを劇的に強調するには、「数千人」ぐらいサバを読んでも良かった気はします。
ドルネロの退場後、血清の破壊を目論んで襲いかかってくるエンボス。タイムレンジャーは変身して応戦し、エンボスの銃撃から クーラーボックスを守ったアヤセはダメージから変身が解けてしまうが、そのまま車に乗り込んで研究所を目指す。
その時、地面に落ちたアヤセの免許に気が付くタツヤ。
このままでは無免許運転?!
……ではなくて、
「あいつ……嘘ついて車の運転を避けてたんだ。それって……発作が酷くなってるって事か?」
走り出す車に、銃を向けるエンボス。
「貴様ぁ、そんなに自分だけ生きたいのか!」
横から、その腕を掴み、銃をもぎ離すタツヤ。
去来する、アヤセの言葉の数々。
「おまえに、おまえなんかに、あいつの気持ちがわかってたまるかぁ!」
怒りのタツヤの拳の一撃が、エンボスを吹き飛ばして壁に叩きつける。
「タック、アヤセをフォローしていてくれ」
「え? どういう事だ?」
「いいからぁ!」
なんか、タツヤが今までで最高に格好いいのですが、これが……愛? 追い詰められ、巨大化するエンボス。そして降り出す雨。
立ちふさがるゼニットを車で蹴散らすアヤセだったが、心臓の発作でハンドルミスを起こし、水たまりでスリップ。資材置き場に 突っ込んで車が使えなくなりながらも、クーラーボックスを抱えて雨の中を必死に歩き出す。
エンボスを撃破した4人&滝沢は、タックからの連絡を受け、アヤセの元へと駆けつける。
そこで目にしたのは、降りしきる雨に打たれたまま、地面に倒れぴくりとも動かないアヤセの姿だった……。
続く!
- ◆CaseFile.40「アヤセ脱退!?」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
- 降り続ける雨の中、立ち尽くすタツヤに、問いかける3人。遂にタツヤは、アヤセが「オシリス症候群」である、という真実を語る。 広がる絶望……そんな4人を見つめる滝沢。
ここで画面を凄く暗く作ったのは、いい演出。
一方その頃、ドルネロとリラはアジトに帰ってギエンを詰問するが、
「破壊と殺戮! 地上が悲鳴で覆い尽くされるんだ。素晴らしいよ……素晴らしい。ひゃはは、ひゃはははははははは……」
ギエンはすっかり壊れていた。
「おめえも前は、そんなんじゃなかったのによ」
と、そこはかとなく寂しげな感じを出しながら、ドルネロが以前に出てきた謎のおしゃぶりメカを、ギエンの背中のコネクタに突き刺す と、ギエンは悲鳴をあげて苦しみ出す。
「さてと、仕事の続きだ!」
ギエンに落とし前をつけたドルネロは、連続窃盗犯ドーパを解凍。精製されたワクチンを横取りしようと、第三総合研究所へ向かわせる。
えぐい、えぐいなぁ、ドルネロ様。
運び込まれた病院で目を醒ましたアヤセは、事務所に帰還。ドモンとユウリはアヤセをなんとか30世紀へ帰すべきだと主張するが、 アヤセは頑としてそれを聞き入れない。話は物別れに終わり、部屋に籠もるアヤセ。
タツヤ「アヤセは諦めたわけじゃない。その逆だから、タイムレンジャーやっているんだ」
……男性陣は同じ部屋なので、たぶん後でとても、気まずい。
翌朝、精製したワクチンを搬送中のシティ・ガーディアンズの車両がドーパに襲われ、タイムレンジャーは出撃。一緒に行こうとする アヤセに「そんな体じゃ……足手まといなんだよ!」と叫ぶドモン。
言った、ドモン言った、偉い。
だが結局はアヤセは4人を追い、シティ・ガーディアンズがドーパの襲撃を受けた後の現場(現在、タイムファイヤーが頑張って逃走中) で、すっかり青春ドラマ状態で叫び合う5人。
殴ってでも止めてやる、とアヤセに掴みかかるが、結局殴れないドモン。むしろ殴る、アヤセ。何が 正しいのか? 何が正しくないのか? 死という無慈悲で圧倒的な現実の前に、答を出せない4人。アヤセと最も角付き合わせていた ドモンが、アヤセに掴みかかりながら、泣きじゃくる。
アヤセ「俺は、俺はそうしたいんだ。頼む」
明日を変えられる事を信じる為に、タイムレンジャーとして戦い続けたい――走り出すアヤセ、それを追うタツヤ。
この辺りどうも、「チームとしての機能」を考えた時に、感情論抜きでドモンの方が正しい、というのが私の見方なので、アヤセは アヤセで、4人とのもう少し機能的な妥協(アヤセがタイムブルーとして戦う上で如何に緊急時のサポート態勢を取るか、とか)が あるよなぁ、と思うわけなのですが、つまりアヤセは、一種の「同情コンプレックス」なのだな、と納得。
納得したから肯定するわけではないのですが、アヤセとタツヤが割と早く馴染んだのは、タツヤの持つ「浅見コンプレックス」に対し、 アヤセの心性が近かったという要素もあるのか。
しかしまあ、しっかりとキャラが立っているので、ここでアヤセとドモンが絡むと盛り上がる、とかが成立するのは今作の良いところ。
ゼニットに足止めを食らっていたタイムファイヤーに追いつくドーパ。ワクチンの入ったクーラーボックスを奪おうとするドーパに 飛びかかるアヤセ。更に4人も駆けつけ、変身したアヤセはドーパへ突っ込んでいく。
タツヤ「俺、決めたんだ。アヤセが信じるものを一緒に信じる。アイツに起きてる事、全部一緒に受け止めるし、俺も今まで通り アイツに助けてもらう。俺達は、アヤセの仲間なんだから!」
それに続くタツヤ、残り3人も、覚悟を決める。
アヤセ、なぜか『必殺!』アクション(笑) (※三味線屋の勇次)
巨大化したドーパはタイムロボシャドウベータとレックスロボの攻撃で圧縮冷凍され、滝沢の手によってワクチンは無事に病院へと 運び込まれる……。
じゃれあいながら去っていく5人を見送りながら、アヤセとの先日のやり取りを思い出す滝沢。
同刻、ドルネロの使った機械の効果により、すっかり幼児化したギエンは、ヘルズゲートへと閉じこめられる……。
最終コーナー回った所で、アヤセがぐんと、後続を引き離しました。
もはや真ヒロインの座は確定か。
話としてはいい話なのですが、どうもアヤセの病気の件に関しては、もっと冷静に話し合おう、と思えて仕方がありません(^^;
ドライバーとしては非常に誇り高いだけに、幸い自ら運転を自粛していましたが、日常生活にしろタイムレンジャーとしての任務に しろ、同情とかそういうの抜きで、しっかりサポートする態勢を組み上げなければいけないし、それは決して「同情」ではない。 アヤセの場合、「タイムレンジャーとして戦い続けたい」からこそ尚更、冷静に話し合うべきなのですが、ある程度の野暮は承知で、 どうもそういう点に関しては、気になってしまいます。
まあ、唯一のプロフェッショナルといえるユウリさんにしてもタイムレンジャーは本職ではない、という事情があり、あくまでも セミプロ集団であるタイムレンジャー、という事で、ぎりぎり許される範囲には収めておりますが。
次回、ヒロインレースでユウリさん逆襲?!
- ◆CaseFile.41「予言者を暴け」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
- 前回、ドルネロの落とし前により、幼児化したギエンは、アジトでしゃぼん玉で遊んでいた。
「ドルネロ、どこ行っちゃったのかなぁ。お金数えられるようになれば、戻ってくるかなぁ」
ドルネロは新居のビルで、金勘定しながら、ゼニットに命令。
「時々はギエンの様子見に行ってこいよ」
ソファで爪を磨くリラは「全くギエンには甘いんだから」と不満顔だが、「おめえにも、そうとう甘いつもりだがなぁ」と、 ドルネロが札束を放り投げると、
「ドルネロのそういうところだーい好き。お金のある限りついていくわ」
と満面の笑顔で買い物へ出かけていく。
「ああ。俺もおめえのそういう所、好きだぜ」
渋い、渋いなぁ、ドルネロ様。
その頃、トゥモローリサーチはいつものビル掃除。事前の事務所のシーンでは、仲間がアヤセを気遣い、それをアヤセが素直に受け 入れる、と前回のシーンを受けて進化が。
そしてドモンが、ホナミに「30世紀の事を話した」と突然カミングアウト。もう完全に、頭の中がお花畑で、 何を話してものろけ状態。
そんなドモンは
「タツヤ、ユウリ、おまえらもこの際、はっきりした方がいいぞ」
と煽り、
「タツヤさんとユウリさんて、そうだったんですか?」
とシオンが無邪気を装ってつつく。
いやもう、シオンの言動と行動は全て信用できません!(おぃ)
アヤセは生暖かい笑顔。
そこへ外を通りがかった、怪しげな宗教団体。彼等が疑いの目を向ける群衆の前でやってみせた念動力を見て、「30世紀の宇宙人なら 驚く事ではない……ロンダーズ?」と警戒する面々。そこへ、ビルの持ち主からの苦情を受けた、と彼等を散らしにやってくるシティ・ ガーディアンズ。
ロンダーズがらみでなくても、契約先から要請があれば、普通の警備会社的な事もやりにくるのか滝沢。
黒いバン2台でやってくるなど普通……というには、威圧的すぎますが(笑)
タックの調査で、「白王」と名乗る教祖に率いられ、2001年に世界が滅びる、と予言して信者を集めている新興宗教団体である事が 判明。30世紀に似たような詐欺を行ったストラウスという囚人が検索には引っかかるが、いつの時代にもよくある話なので、現代人の トリックという事もありうる……と、「リーダー」(浅見父が4人をスカウトしに来た時のネタ)ドモンの命令で、タツヤとユウリが 潜入捜査をする事になる。
相変わらず、情熱的に小ネタを拾いにくる脚本です。
小林靖子は、主要なエピソードは当然として、シリーズ構成作品において非常に多くの脚本を手がける脚本家なので、この辺りの フォローは実に細かい。やりすぎて、結果的に他の脚本家が書きにくくなったりする場合もあり、長所ばかりではないのですが。
先程のドモンの煽りもあり、妙にお互いを意識してぎこちなくなるタツヤとユウリ。
羞恥と困惑が一周した結果、とりあえずタツヤをなじる事にしたユウリ。
ユウリ「仕事を利用されたら迷惑だわ」
なにぶん恋愛スキル小学生中学生レベルなので、売り言葉に買い言葉で返すタツヤ。
タツヤ「自意識過剰。こっちこそ迷惑」
ドモンのお節介で、二人は典型的な妙なこじれ方に。
ちぐはぐなまま「白王の城」に潜入捜査した二人だが、女性信者にべたべたされているタツヤにカチンときたユウリは副教祖らしき男を 追い、白王が実在しない張りぼてである事を知るも捕まってしまう。タツヤは謎の時限式罠を発動させるもギリギリで気付いてユウリを 助け、逃げ出す二人。
「いいかげん一人で動こうとするのやめろよ」
「そんなつもりはなかったわ!」
逃げながら痴話喧嘩をする二人。
「そんなに俺が頼りないか? そんなに俺に頼りたくないわけ?」
「そんな事ないわ!」
――振り返るタツヤ。
「頼りに思ってるわよ。タツヤに助けてほしいって……いつも。さっきだって!」
「だったらもっとちゃんと言えよ……俺だって、助けたいと思ってるんだからさ」
タツヤはどうもやっぱり、ナチュラルに亭主関白希望な感じがしてならない。
逃亡中な事を忘れて、螺旋階段でいい雰囲気になる二人だが、頭上に迫る副教祖。
……を階下から射撃する滝沢。
白王の組織を「やばそうな集団だと思って」マークしていた滝沢は、タツヤ達の起こした騒ぎに乗じて中へ潜入していたのだった。
副教祖の変身を解き、正体を現す予言者ストラウス。
作劇上、地球人体の姿が長かったストラウスですが、割とデザイン格好良くて、ちょっと勿体なかった気が。
念動力と剣を駆使してなかなかの戦闘力を見せるストラウスだが、駆けつけた仲間の銃撃、タツヤとユウリの連携攻撃を受け、自ら 巨大化。ロボット戦で、念動力でVレックスを振り回してタイムロボに叩きつけるシーンは、パノラマで大迫力でした。
その後あっさりやられてしまいましたが(^^;
「だから、俺は本当にに気付かなかったんだって!」
「女性に手を握ってもらってね。まだまだ仕事への集中力が足りない証拠だわ」
「そうじゃないって」
「なによ、でれでれしちゃって!」
「でれでれなんかしてないよ」
教団のビルを、またも痴話喧嘩しながら後にする二人。
その姿を少し離れて見守る3人。
シオン「なんか、ドモンさんの作戦、裏目に出てませんか」
ドモン「こんな筈じゃなかったなんだけどなぁ」
アヤセ「ま、あんなもんだろ」
まあ、ユウリさんがナチュラルに痴話喧嘩する段階で、物凄く発展したと言っていいでしょう。その辺り、 煽った筈のドモンが首をひねっていて、むしろアヤセがわかっている辺りでクスリとさせるのが、今作のキャラクターバランスの描き方の 巧さ。
しかしユウリさんは、もうちょっと早くから可愛くしても良かったかなぁ……「過去の弱みをタツヤに見せる」と「ストーカー話」の 間に、もう一本ぐらい、ユウリさん可愛い話をねじ込んでおいても良かったかも。まあ、変に途中から赤桃がいちゃいちゃし出すと 鬱陶しいので、タイミング的には引っ張らないといけなかったのでしょうが。
全体の雰囲気こそ軽い感じで展開したものの、アヤセと仲間達、タツヤ×ユウリ、ドモン×ホナミ、ロンダーズの幹部達、それぞれの 人間模様を随所に挟み込んで、要素たっぷりの回。
で、次回、なんか白い人が来る?!
- ◆CaseFile.42「破壊の堕天使」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
- ロンダーズのアジトに侵入した謎の男(シルエットで顔は見えない)がプラグを引き抜き、正気を取り戻したギエンは、アジトから姿を 消す。その事を知ったドルネロは覚悟を決め、タイムレンジャーに時空通信を送ると、ギエンを制御するプラグのデータを送信する。
リラの抗議に、窓の外へ視線をやるドルネロ。
「奴はあんなじゃなかった……」
2990年――敵対ファミリーに追われ負傷したドルネロは、素朴で無垢な青年・ギエン(人間)と出会い、匿われる。教育を受けた 事がないギエンは満足に数も数えられず周囲の人々に殴られるなどの日々を送っていたが、自分を殴りもせず馬鹿にもしないドルネロを 慕うようになる。
「おお、学校なんか行かなくても充分頭いいじゃねえか。人間、金を数えられる知恵さえありゃあ充分だ」
「そうかなぁ。でも、3から上はちょっと苦手なんだ」
−−−
「1、2、3……7?」
「惜しいな……4だ」
前回冒頭、シャボン玉を数えて「1、2、3……7」というのは、伏線だったのか。
そんなある日、ドルネロの行方を探るマフィアにからまれたギエンは重傷を負い、その命を救う為、闇医者にギエンを生体改造 (脳移植?)させるドルネロ。強力な電子頭脳と黄金に輝くマシンのボディを手に入れたギエン……
「ドルネロ、見てよ、凄いでしょ。嬉しいなぁ。頭の中もすっきりしてるよ」
「そうかい、良かったなぁ」
「ひゃはははは」
「ん?」
「全ては私の思うままになる。私より賢いものがいるか? そうだな、ドルネロ。ひゃははははは」
この時から少しずつ、彼の中に狂気は芽生えつつあった。
……
「ありゃあ、俺の失敗だったかもしれねぇな」
「え? なんか言った?」
「いや。……リラ、おまえは昔とちっとも変わらねえなぁ」
「とーぜんじゃない。贅沢に昔も今もないわよぉ」
遂に明かされる、ドルネロとギエンの関係。
まさかの、ギエンは元人間(地球人)。
また、謎のプラグは、ギエンの電子頭脳を停止させるキーであった事が判明。
いやこんなに、渋いドラマが背景にあるとは思いませんでした。
基本の筋立て自体はベタなのですけど、悪の大ボスが気まぐれで見せた優しさなのではなくて、ドルネロのファミリー的な組織の ボスという積み重ねがあった上で展開して、情とビジネスと後悔の間で揺れる部分を描いている所が渋い。
最終的にどう帰着するかはわかりませんが、ドルネロ様が格好いいのは、こういったエピソードが単純な友情話などに落とし込まれる のではなく、あくまで、義理人情と利害関係が、渾然一体となっている事。わかっていても簡単にどちらか片方にしがちなのですが、 そこで安易にしなかった事で、“大人の”キャラとして仕上がっている。
また、欲望に純粋に忠実で全く変わらないキャラとしてリラを置く事で、ファミリー内でうまく対比されているのもお見事。 あくまでリラをちょっとお馬鹿より(知性レベル、という意味では、そうとう賢い筈ですが)のキャラクターとして貫いてきた事が、 ここに来て効果的になってきました。
ヘルズゲート囚・ハーバルを解凍したギエンは浅見グループの第三総合研究所を襲撃し、クライマックス幕開けの合図であるかのように、 殺戮の舞台となる第三総合研究所。
タックが傍受した通信によって出撃するタイムレンジャー。事務所で準備していたクリスマスツリーがひっっかって倒れるが、誰も 振り返る者はない。
ギエンと相まみえたタイムレンジャーは、ドルネロからの情報を元にシオンが作成した、電子頭脳の解除キーを突きつける。それを 見て、ドルネロが自分を切り捨てた事を理解するギエン。
「そうか……ついに私を見限ったかドルネロ。それも、仕方あるまい」
切り札持ってるの、わざわざ見せるな(笑)
ギエンの戦闘力に苦戦するタイムレンジャーだが、何とか取り押さえ、キーをはめようとする。だがその時、物陰から一閃した銃撃が キーを破壊。ギエンはタイムレンジャーをふりほどき、ゼニットが研究所から入手してきた大量のラムダ2000を手に、姿を消す。 ハーバルはタイムファイヤーが撃破するが、襲撃の中で浅見父が重傷を負い、病院で緊急手術を受ける事に。
そして銃を構えたまま姿を現す一人の男。
その男は――タイムレンジャー隊長・リュウヤ
自分と瓜二つの男の登場にタツヤは衝撃を受ける。
果たしてリュウヤは何の為に現代へやってきたのか?
ギエンの確保を阻止した理由は?
ギエンの残した「どうやら本当らしいな。私は歴史に必要とされている。誰も手出しはできない」という言葉の意味は?
大量のラムダ2000は何に使われるのか?
浅見父の命は?
ドルネロはこの局面でどう動くのか?
様々な思いと謎が交錯する中、タックが再び、時空パルスの異常発生を確認していた……!
という所で、引きまくって続く。
まあ、どう見ても、ギエンを解放したのはリュウヤですが。
序盤から何かと思わせぶりに怪しげだったリュウヤが、更に怪しくなっていよいよ現代へ登場。まさかのラスボスの雰囲気さえ 漂わせてきましたが、最初から全てシオンとグルで暗躍していたと言われても信じます(笑)
このあと多分、タイムロボターが壮絶な伏線として機能するに違いない!(適当)
次回予告の時点で、ギエンのどこが「堕天使」なのだろうと思ったのですが、人間の頃がああだっから、今は堕天使なのですね、納得。
難を言えば、『タイムレンジャー』は、宇宙人なのかマシンボディなのか一見してわからない(スタッフも特に区別をつけてない節)ので、 「ああ、ギエンはロボットだったのか」と、なってしまう所ですが(最初の方に明言していたかもしれないけど、覚えていない)、 それでも人間(地球人)の頃の姿が出てきたのは、インパクト大。
ここに来て、純然たる悪役であったギエンの背景にもドラマが浮かび上がってきたのは面白い。
あと浅見父が運び込まれた病院のシーンで、手術室の前の滝沢が、浅見グループの偉そうな人に「邪魔だ」みたいな感じで突き飛ばされた シーンを入れたのは、細かく上手い。あれを入れる事で、現場では大活躍で浅見父の覚えもいいけど、巨大な浅見グループの中では十把 一絡げの存在にすぎない滝沢、そしてあくまでも、そういう現実の社会機構の中での力を手に入れたい滝沢、というのがしっかりと表現 されました。
次回、まさかの主役リストラ?!
- ◆CaseFile.43「歴史修正指令」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
- 時間移動ユニットに集めた5人を前に、全ての真実を語るリュウヤ。
いわく、
2000年におけるドルネロ達の活動
ギエンの暴走
シティ・ガーディアンズの発足
全ては、歴史の通りなのだと。
ただ一つ違う事、それは……
「おまえたちが生き残っている事だ」
最終盤に来て明かされる衝撃の、どんでん返し。
なんとタイムレンジャーの4人は、第2話における、最初にリバウンドで巨大化した囚人との戦いで、死ぬ筈だった。
だがその時、未来で緊急システムを作動させ、タイムロボを送り込む事で彼等を生き延びさせた者……それこそがリュウヤ。
その目的は、現在30世紀で発生している、時空が裂け都市が次々と呑み込まれているという緊急事態――30世紀消滅の危機、 その歴史を修正する事。
「おまえたちの任務はそれであり……生き延びさせた理由だ」
タツヤ「俺が……タイムレンジャーになる事も決まっていたのか」
リュウヤ「そうだ」
という答に衝撃を受けるタツヤ。
自分で選んだ筈の道は、しょせん“歴史”という巨大なレールの上に過ぎなかったのか?
遂に本格登場した次の話から、物語の根幹と軸を揺らしまくるリュウヤ。
しかし、そう言う彼自身が、歴史に手を加えているわけであり……この辺りは謎。
そして空に広がる紫の光、巨大化する時空パルスの異常発生。
リュウヤは、タツヤにクロノチェンジャーを返すように要求する。
「浅見グループの後を継ぐ。それが歴史が望む君の役目だ」
「シティガーディアンズはいずれ、インターシティ警察の基礎となる」
「渡せ。歴史を変えるな」
リュウヤから「浅見渡が今日明日にも死ぬ」と聞かされて一笑に付すタツヤだが、そこへタックからの通信により、父が重傷で手術中 だと母から電話があったという連絡が入る。
歴史のレールの存在を認め、クロノチェンジャーをリュウヤへと渡し、最初に4人と出会った浜辺で、4人の元を去っていくタツヤ。
そのタツヤを追いかけようとする4人だが、「30世紀がどうなってもいいのか?」というリュウヤの言葉に踏みとどまる。
ああ、リュウヤとかタツヤとか、面倒くさい!(おぃ)
タツヤからクロノチェンジャーを受け取ったリュウヤはそれを腕にはめ、いよいよ彼等の前に、現在起きている歴史の乱れ、その全て の元凶となったものが現れる。
その名は、生体戦闘ロボット・Gゾード。
2994年 時空移動実験に失敗して行方不明になった戦闘ロボ。
……だがそれは、ブイレックスの事ではなかったのか?!
一方、病院へ駆けつけた竜也は、浅見グループの重役達に、会長代理となるように、と囲まれる。そんな重役達を制する母。
母は父との差別化の為かここまでの登場シーンでは、割と大人しめな感じでしたが、先週の登場シーンからは、少し貫禄を出す感じに。 この辺り、女の人は衣装と化粧で雰囲気がらっと変えられるというのが、演出的に面白いところ。
そして病院を離れた滝沢は、治安維持局の伊吹長官に接触をはかる……。
「浅見……シティガーディアンズは俺がもらってやる」
滝沢がちょっと悪い顔になった!
治安維持局の伊吹長官となにやら密談した滝沢は、出現したGゾードに対し、シティ・ガーディアンズの契約対象が無い地域にも 関わらず、独断でレックスロボを出動させる。と、どさくさ紛れに怪しげな動き。
リュウヤはGゾードのエネルギー炉こそが30世紀消滅の原因だと語る。鉄壁の装甲を誇るGゾードを倒すには、背中の廃熱口から、 内部のエネルギー炉を直接攻撃するしかない! まだ戦闘モードになっていないGゾードの背後にそっと回るシャドウベータだが、見物に 来ていたギエンが横槍。攻撃をうけ、戦闘モードへと切り替わるGゾード。
リュウヤ「ギエン、馬鹿な」
狙われるギエン、何故かそれをかばうリュウヤ。
……愛?(だからやめなさい)
ブイレックスも戦闘に参加するが、Gゾードは圧倒的な力で2体をものともしない。
戦闘中、ユウリがリュウヤについ「タツヤ!」と呼びかけ、微妙な空気になるコックピット。
病室の前でこれまでの戦いに思いを馳せる竜也は、リュウヤの言葉を噛みしめていた。
全ては、“正しい歴史”の通り。
ならば。
…………明日は、変わらない。
- ◆CaseFile.44「時への反逆」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
- ブイレックスが噛みちぎったGゾードの腕が瞬時に再生していくのを見たギエンは、Gゾードの力がミュートエネルギー炉にある事を 悟る。Gゾードは一旦、海へと退却。
出方とか逃げ方が、いちいちゴジラ(笑)
その頃、ドルネロは自律探査型盗聴装置“ほたるくん”を放ち、ギエンの背後に居る何者かを探ろうとする。
待機状態となり事務所に帰った4人に募る、リュウヤへの不審と不満。
まあでも、ここまでの展開から推察される時間保護局レンジャー部隊の隊員募集要項とその扱いを考えると、むしろリュウヤの 態度は凄く納得出来るというか、時間保護局って、隊員の事は駒と考えているっぽいからなぁ(笑)
リラ変装リュウヤの強引な連れ出しが無かったら、4人はその後の教練(何回か書いていますが、彼等のプロ意識の低さを鑑みると、 1話における入隊後に正式な教練期間を控えていたのではないかと考えられる)で、きっとこんな感じに指導されたに違いありません。
※以下、少々、耳障りで口汚い単語が並びます。ご注意下さい。気分を害されたら申し訳ありません。ハートマン軍曹に栄光あれ!
という感じだと思います(おぃ)
「話しかけられたとき以外は口を開くな。口でクソたれる前と後に『サー』と言え! 分かったかウジ虫ども!」
「貴様らウジ虫どもが俺の訓練に生き残れたら―――各人が兵器となる。歴史に祈りを捧げる死の番人だ。その日まではウジ虫だ! 歴史上で最下等の生命体だ」
「貴様らは厳しい俺を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶ。俺は厳しいが公平だ。人種差別は許さん。地球人、異星人、サイボーグを、 俺は見下さん。全て――平等に“価値がない”! 俺の使命は役立たずを刈り取ることだ。愛する時間保護局の害虫を! 分かったか、 ウジ虫!」
「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」
「圧縮冷凍ひとつ満足に出来ないのか? それとも努力してこうなったのか?」
「逃げるヤツは犯罪者だ! 逃げないヤツは訓練された犯罪者だ!」
「死ぬか? 俺のせいで死ぬつもりか? さっさと死ね!」
「タイムレンジャー隊員は許可なく死ぬことを許されない!」
「貴様らウジ虫は時間保護局を愛しているか?」
「「生涯忠誠! 命懸けて! ガンホー! ガンホー! ガンホー!」」
「草を育てるものは?」
「「熱き血だ! 血だ! 血だ!」」
「おれたちの商売は何だ、お嬢様?」
「「逮捕だ! 逮捕だ! 逮捕だ!」」
「本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する。本日から貴様らはタイムレンジャー隊員である。兄弟の絆に結ばれる貴様らのくたばる その日まで、どこにいようと時間保護局は貴様らの兄弟だ。多くは歴史の修正へ向かう。ある者は二度と戻らない。だが肝に銘じておけ。 タイムレンジャーは死ぬ。死ぬために我々は存在する。だがタイムレンジャーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!」
その頃、病院の竜也は役員達の懇願に折れ、役員会に会長代理として出席することを承諾する。
「オヤジの言った通りだ……俺の事、笑いたいだろ。笑えよ、オヤジ」
眠り続ける父の答は、ない。
そしてドルネロは、アジトに放ったほたるくんを通して、ギエンとリュウヤの声を聞く。
「おまえが歴史上果たす役目は別にある」
果たして、ギエンと接触を続けるリュウヤの真意は何なのか?
市内に出現するGゾード、出撃するタイムレンジャーとシティ・ガーディアンズ、ブイレックスの自己修復を待つ滝沢……。
入院時の着替えなどを取りに帰っていた浅見母は、打ちひしがれる息子へと話しかける。
「やめちゃうの? 折角つくった会社」
「オヤジ……笑うだろうけどね」
「笑わないよ、きっと。お父さんもね、昔、浅見の家を出ようとしたんですって」
語られる、父・渡の過去。
「オヤジも……戦ったのか。そして負けたんだ。俺みたいに」
「勝ったか負けたか、お母さんにはわからないわ。でもお父さんはそれを、浅見や他の誰かのせいにはしなかった。今の生き方を決めた のは自分だって確信してるから。タツヤ……お父さん、負けてないわよ、まだ。まだ、負けてない」
シリーズ当初から、船上パーティ回を経て、溜めに溜めてきた親子の会話をここで。
まさか、母がここまで存在感をだすとは。
息子に対して、ただの勝ち負けではない、と諭すというのは非常に良い。
母の言葉を胸にしながらも、背広を着込んで役員会へと向かう竜也。
その頃、Gゾードとタイムロボ、タイムシャドウ、の戦いにギエンが闖入し、謎の装置で3体の動きを止めていた。その機にミュート エネルギー炉の入手を図るギエンだがロボを降りたタイムレンジャーが立ちはだかる。
一方、会社に向かう車が渋滞に巻き込まれた(戦闘が起きている影響?)竜也は徒歩で会社に行こうと、一人車を降り、その足は自然と トゥモロー・リサーチに向けられる。
ギエンを追い詰めるが、あくまで逮捕はしないというリュウヤ。その隙を付き、謎のマシンから出た閃光が5人を襲い、5人の変身が 解除されてしまう。生身の5人に向けられるギエンの銃口……その時、間に割り込んだタックが銃撃を受ける!
「にゅぁ!」
これまで微妙に高見の見物ポジションだったタックさんが、怪しすぎるリュウヤの登場に合わせて、いや自分はタイムレンジャーの 味方だよ、と体を張ってアピール。
激しく損傷したタックは後方に置かれるが、事務所のセキュリティセンサーで侵入者(立ち寄った竜也)の存在を感知し、
「まさか!」
……て、え、もしかして事務所にセキュリティで自爆装置つけてた?!
…………という事は幸いなく、事務所を竜也が訪れたのではと残りの力を振り絞って事務所に戻り、ユウリ達が危険に陥っている事を 竜也に伝え、機能を停止――タック、次回予告を担当したのがいけなかったのか、
まさかの殉職。
タックの言葉、母の言葉、リュウヤの言葉、自分の思い、歴史という真実……様々な事が竜也の胸に去来し、拳を床に叩きつけた彼は 決断する。
「俺は今……ユウリ達を助けたい。時間や歴史の流れがどうなっても、戦っている仲間を、放っておくことはできない。
俺はやっぱり、明日を変えたいんだ」
一方、Gゾードへ接触するギエンを、「命にかえても止めろ!」発言で完全決裂したリュウヤと4人。ギエンの銃口が5人に向けられる が、間一髪、竜也の跳び蹴りがギエンを阻止。
竜也「みんな悪い、俺はもう、考えるのも、大人しくしているのも、限界だ!」
アヤセ「奇遇だな。こっちもだ」
リュウヤ「無駄なことを」
竜也「無駄かどうかは、歴史が決めてくれるさ」
アヤセさん、超いい笑顔。
竜也はギエンの謎の装置を破壊し、変身の妨害を解除。ギエンは撤退し、ユウリはリュウヤのクロノチェンジャーを竜也へと投げ渡す。
タツヤ、今ここに再び、タイムレッドへ!
Gゾードを止めるべく、戦いを挑む5人は、自己修復が終了して駆けつけたブイレックスを踏み台にし、タイムロボアルファで突撃を 敢行。見事にGゾードを背後から貫き、レックスロボとの思わぬ共闘でGゾードを撃破。かくて30世紀消滅の元凶は断たれる。が、 コックピットの5人に響くリュウヤの声。
「2000年は大消滅するので、4人は未来へ脱出するように」と――。
果たしてその言葉の意味は何なのか。未だドルネロを逮捕していない事もあり、現代へ残る事を選ぶ4人。病院から浅見父が持ち直した という報告も入り、5人+ホナミはクリスマスパーティを楽しむのだった……。
危うく通りすがりの貰い事故的な怪我で三途の川を渡りかけた浅見父ですが、死の淵からなんとか生還。出来れば最終回までに、 母と息子、の会話だけではなく、父と息子、の会話も欲しい。
エンディングは、通常と違い、それぞれのクリスマス風景、という特別編。
順調に進展している様子のドモンとホナミ。
何時の間にやら未来に戻っていて、しれっとワイングラスを傾けているリュウヤ。
通りすがりのペットショップで鳥籠を買う滝沢。
などが描写されます。
寂しいけどおいしいなぁ、滝沢(笑)
そして聖夜に雪が降りそそぎ……次回、トゥモローリサーチ、
倒・産?!
クライマックスの連続エピソードで面白かったのですが、Gゾードのラスボス感の無さが、勿体なかったところ。
ドラマ部分に尺を裂いた分、Gゾードの圧倒的戦力! というものが今ひとつ伝わりきらず。周辺の伏線の関係もあって (ミュートエネルギー炉がどうとか)説明できない部分もあったのでしょうが、それだけにもう少し、映像の迫力でGゾードの脅威を 表現してほしかったところ。
すべからくリュウヤの説明以外に根拠が無いので、30世紀が大ピンチ、という辺りも訴えかけるものが弱かったですし (ただしそれが、ドモンらのリュウヤへの不信感を募らせる一因にもなっているのですが)、もう少し、Gゾードは圧倒的でも 良かったかな、と。デザインもあまり格好良くないだけに(^^;
次回は1本、閑話休題お正月スペシャルの模様。
しかしこう、何もかもすっきりしてないので、切り替えに困るかもしれない(笑)
リュウヤがあくまでギエンを泳がせていた理由は全く謎。
ギエンが横槍を入れてくるのも計算の内だったのかも謎。
Gゾード−Vレックス−タイムファイヤー、に何らかの繋がりがあるのかも謎。
どこまでが正しい歴史で、どこからが変えられた歴史で、そもそもリュウヤの語る“正しい歴史”とは存在するのか?
ユウリさんがパーティ前に何かに気付いた風だったり、滝沢の暗躍だったり、散りばめられた伏線がどう繋がっていくのか。
読めない部分が多くて楽しみです。
滝沢本部長は多分、伊吹長官に30世紀について話して、浅見グループの影響力が大きくなりすぎる事を良しとしない伊吹長官と 結託した、という所かなぁ。
何故か次回予告にギャグ気味に出てきましたが、むしろ一体全体、トゥモローリサーチの危機にどう絡むのかが気になる(笑)
とりあえず表に出ている情報をまとめると、
●リュウヤが緊急システムを作動させなかった場合
〔タイムレンジャー壊滅(ただしタツヤは生き残る)→ロンダーズ大暴れ→やがてギエン暴走→シティ・ガーディアンズ結成→ 大消滅?→2994年、Gゾ−ド行方不明に→3000年消滅の危機→回避不能〕
●リュウヤが緊急システムを作動させた場合
〔タイムレンジャー生存→ロンダーズ苦戦→やがてギエン暴走→シティ・ガーディアンズ結成→ギエン活動停止→2994年、 Vレックス行方不明に→3000年消滅の危機→回避〕
という事になるのかな……?
どちらにせよ、暴走するギエン。
あと重要な所として、“正しい歴史”だと、30世紀は消滅するという事なのか……?
リュウヤの行動を考えると、Gゾードを倒す為にタイムレンジャーが生き延びた事で巡り巡ってギエンが活動を停止し、結果として 「大消滅が起きない」(多分)と困るので、Gゾードを倒しつつギエンを解放する必要があった……?
まあそもそも、「大消滅」というのが“ギエンの起こす事件”なのか、“Gゾ−ドを倒して30世紀を守った歴史修正の影響で 2000年を襲う惨事”なのかがわからないわけですが、後者だったらリュウヤがギエンを解放する必然性が無いので、たぶん前者 だと思われます。とすると、それが起きる事が歴史上の極めて重要な出来事、という事なのでしょうが……後はもう、どう綺麗に まとめてくれるかに期待。
タックの故障とシオンの修理が伏線で、何らかの隠蔽されていたデータとかが出てきそうな気もしますが。
それにしても今回一番凄かったのは、歴史の死亡フラグを跳ね返した浅見父。
まあ、タツヤか滝沢あたりの何らかの行動が、フラグ回避スイッチだったのでしょうが。
- ◆CaseFile.45「終末!TR(トゥモローリサーチ)」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:山口亮太)
- 何故かいきなり、OPが全英語詞。
……まあもともと、半分ぐらい英語だけど。
中澤祥次郎はこれが監督デビューかなーと思って確認したら、そうでした。
20世紀、最後の大晦日。トゥモローリサーチは年末大掃除中。シオンはタックを修理し、ドモンは一人、ホナミとデート。 そこへやってくる、大屋。
……“俺の城”、貸しビルだったのか。
そしてなぜ大屋さんは、ドルネロ地球人体の、無理矢理な女装ですか(笑)
女という役なのか、女装趣味の変なおっさんなのかすらわからない(笑)
2000年も最後の日に、3ヶ月分、45万円の家賃滞納が発覚したトゥモローリサーチ。 口座から引き落とされているものとばかり思っていたが、口座の残金、3円。
大家さんもどうしてこのタイミングで行ってきますか……まあ、大晦日にツケを取り立てるのは、江戸時代的には正しいですが。
今日中に支払ってくれと言われるが、全員が有り金をかき集めても、数千円。45万円には遠く及ばない。
アヤセ「20世紀最後の日に……トゥモローリサーチ、倒産」
そこから、色々あったなぁ……と回想シーンへ突入(笑)
久々に初期を見ると、ユウリさんのアフレコががががが。
あと、ドルネロ様が飛んでいる(笑)
まあドルネロは基本的にほとんど動けないので、ゼニットに輿を担がせるとか、色々と苦労していたわけですが。
「俺にひとつアテがある」と外出するアヤセ。残った3人は、少しでも足しにしようと、事務所の中の売れそうなものを探す。 ここで、かつて鳥羽がスケッチブックに描いたユウリの絵、公開される。
……どう考えても、売れる物を探すという名目で、どさくさに紛れてタツヤがユウリの部屋に侵入しています。
最低
タツヤ
最低
んー、ラストを目前にして、これは、ちょっと、引くなー(笑)
そんなこんなで、デート中のドモンとホナミなども交えつつ、各人がそれぞれ色々と過去を回想。
うーん……なんかなー、ごく普通なのですけど、プレイバックにかぶる各人のモノローグが、綺麗な話ばかりでちょっと鼻につく (笑) いや、ごく普通なんですけど。当たり前なんですけど。
そして、福引きを行うアヤセ。
狙うは特賞、時価50万円のダイヤネックレス!
だが世の中そう上手く行くわけもなく、当たったのは7等まで。落胆するアヤセに声をかけてきたのは……滝沢本部長。非番の日の 通りがかりらしいが、滝沢が、アヤセには話しかける、というのはちょっと面白い。藁にもすがる思いで、滝沢に借金を申し込む アヤセだが、さすがに断られる。
「僕……夜逃げするの始めてです」
アヤセのアテも空振りに終わり、落胆の広がるトゥモローリサーチ。その時タツヤが、圧縮冷凍した囚人を収めたカプセルが一つ、 壊れているのに気付く。半生状態で脱走し、小さいまま事務所を動き回っている囚人は、恐喝犯・ゲーマルク! 慌てて4人はゲーマルク を捕まえようとするが、小さくてすばしっこくビームまで放つゲーマルクをなかなかとらえる事ができない。半日近い大騒ぎの末に、 ゲーマルクはタイムロボターをロボ質にして逃亡を試みるが、すんでの所で事務所へ戻ってきたドモンに踏みつぶされて、ジ・エンド。
こうして事件は無事に解決…………していない!
もう夜も遅いというのに、借金を返す目処はつかず、このままで21世紀早々、お先真っ暗……その時、事務所に現れる滝沢本部長! そして窓の外にはブイレックス。
「こいつを洗ってやってくれないか」
ピカピカの姿で新世紀を迎えさせてやってほしいと、ブイレックスのクリーニングをトゥモローリサーチに“依頼”した滝沢は、 前払いだったなと現金の入った封筒を渡す。
格好いい、格好いいけど、テンプレのツンデレになっちゃたなぁ(^^;
誰も封筒の中身を確認していないので、微妙に45万に足りない額とか入っているかもですが(笑)
滝沢本部長の扱い方に若干の不満はある一方、以前のアヤセとの微妙な絡みを踏まえて拾ってきたのは嬉しい。
あと、滝沢としてはトゥモロー・リサーチの倒産で、タツヤ及びタイムレンジャーの身柄が不安定になるのはおいしくない、というのは まあ、裏読みとしてギリギリ許せる範囲か。
こうしてトゥモロー・リサーチはなんとか新世紀を迎え、なぜか最終回みたいなスタッフロール(笑)
今見ると、昔のシオンの頭がど派手。
正月スペシャルの総集編としては、可もなく不可もなく、といった出来。
最近見た総集編では、『メガレンジャー』は上手かったなぁ、と改めて。
次回、ま さ か の タ ッ ク 回 ?!
- ◆CaseFile.46「未来との断絶」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
- シオンの修理が上手く行き、再起動したタック。リュウヤの告げた「大消滅」について一緒に検討しようとする5人だが、自分のデータ がリュウヤの手で弄られている事を知ったタックは、自分自身を信用する事が出来なくなり、家出。
「僕にはもうナビゲーターロボの役目は果たせない。迷惑をかける前にここを出る」
というメッセージ付きの、妙に凝ったCGを残して、事務所から姿を消したタックを慌てて探しに行く5人。
一方その頃、ロンダーズのアジトでは、ドルネロとリラが現代社会に放った囚人達を冷凍し直していた。万が一「大消滅」が起こった 際に未来へ脱出する為の備えであったが、コンピューターエンジニア・ゲートはそれを拒否して、アジトを離れる。
ドルネロ様は、どうして「大消滅」を知っているのでしょうか……?
考えられる事といえば、タイムロボの戦闘をモニタリングしていて、リュウヤの言葉を聞いた、ぐらいですが。或いはリュウヤは 特殊な時空パルスを使って通信していて、それをキャッチして傍受していたのか。どちらにせよ、いきなり知っている事になっているのは 少し無茶な気がするので、リュウヤの台詞を聞いたシーンは入れておいた方が良かったような(入れるとしたら、前々回に入れて おかないといけないのですが、まあ回想の挿入でも許される場面)。
とはいえあくまでも万が一の備えであり、「俺がギエンを始末するまでのな」と、いよいよドルネロ様はギエンを消す気満々。 「大消滅」がギエンによって起こる、という推測はまあ、これまでの状況証拠を考えると、許せる範囲でしょうか。
後ここって地味に、現状のビジネス体制を崩しててでも、ドルネロがファミリーの命に保険をかけているシーンで、悪のボスキャラと してのドルネロの特異性が出ていて、面白い所でもあります。
病院で療養中の浅見父は、息子から届いたプレゼントの包みを手に取る(クリスマスプレゼント??)。自分が倒れている間の事を妻に でも聞いたのか、少し態度の柔らかい父は、挟まれていた名刺とメッセージを見て、あくまで独自の道を行こうとする息子の決意の固さを 知る。そして「これは、無料サービス」というメッセージと共に袋の中から出てきたのは、なぜかトゥモロー ・リサーチのジャケット。
……
……わからない! 意味がわからないよタツヤ!
……………………えーとあれですかこれは、
いつかお前を部下としてこき使ってやる、という
宣戦布告?
何だかとても困った空気になる父の病室へ駆け込んでくる秘書。
なんと、シティー・ガーディアンズが浅見グループを離れ、治安維持局の管轄下で独立。
ロンダーズが30世紀から来た時間移動者、という浅見父にも知らされていなかった滝沢からの情報を元に政府は関東地方の非常事態 レベルを3(つまり、戒厳令下みたいなものか?)に上昇させ、その際の特例事項として、シティー・ガーディアンズが独立機能し、 滝沢本部長に全権を委任する事となる。
どさくさ紛れに、浅見グループを踏み台とする滝沢。
まあ、この下準備の一貫だと思えば、45万ぐらいは、はした金、か。
タックの探索中、号外でこの事――ロンダーズの正体の政府からの公表――を知るタツヤとユウリ。
「もしもだけど……この時代がやばくなったらさ、ちゃんと脱出しろよ」
激しい動きを見せる歴史、去来する不安の中でタツヤはユウリに告げる。
「いつかは……いつかは帰るんだし」
「怒るよ」
「え?」
「ひとりで……ひとりで勝手に決めないでよ!」
「……へへっ」
「なによ」
「それ、いつも俺がユウリに言う台詞」
笑い合う二人。
前回、回想シーンの合間でドモン×ホナミをブーストしまくったので、タツヤ×ユウリも、もう一歩、いい感じに。ここはなかなか、 良いシーンとなりました。
その後、ユウリさんが花言葉を捏造して、色々と台無しになりましたが!
やっぱり花言葉なんて知るわけなかったよユウリさん!
バカップルはさておいて、始めて2000年を踏んだ地である、あの始まりの海岸に、タックの姿をみつけるシオン。トゥモロー リサーチに一緒に戻ろうと声をかけるが、
「提供するデータが信用できない僕になんの価値があるのか」
と、存在意義を見失ったタックは、すっかりアイデンテティが崩壊していた。
そんな時、ゼニットを率いたゲートが、宇宙調査研究所を占拠。衛星管理システムをジャックし、1時間のリミットで自爆プログラムを 起動させ、10億円を要求してくる。現場近くに居たシオンは4人に連絡をつけると、自爆プログラムの解除を目指して、いち早く中へと 潜入する。
赤「それにしても自爆プログラムとはな」
黄「なんでそんなものがついてんだよ」
青「セキュリティシステムの一つだろ」
うんそうですね、自爆なんて、ごくごくあたりまえですとも。世紀末TOKYOでは初歩の初歩!
シティ・ガーディアンズも現場に突入し、まずはそれぞれが内部の人質の解放を目標とするが、ゲートがキーを押し間違え、自爆 プログラムの秒読みが省略。残り3分で起爆するという緊急事態に陥ってしまう。
そそくさと場を離れようとしたゲートはタイムファイヤーと、研究所内部へ突入したタイムレンジャーとシティ・ガーディアンズは ゼニット達との戦闘になる。プログラム解除をはかるシオンもアクセスキーの解読で詰まり、あわや爆発寸前、ドモンが隔壁を抑えた事で 自爆システムにエラーが発生、自爆が一時停止される。
コンピューターの「このままでは自爆できません」という台詞がなんか面白かった(笑) ドモンとタツヤが隔壁を抑えていられる時間にも限界がある。タックの演算能力ならアクセスキーを短時間で解読できる筈、と必死に 説得するシオンだが、自分自身を信用できないタックは、どんな操作をしてしまうかわからないと、それを頑として拒否。
「僕……この時代にきて貰うものばっかりでした。仲間とか……故郷とか……。最初はただ嬉しいだけで、でも、今はその大切 なものを守りたいんです。絶対失いたくない。タックも、その大切な仲間の内の一人です!」
「違う! 信用できてこそ仲間だ。僕のデータは信用できない」
制御回路に取り付けられていたリュウヤ隊長の命令で動くチップ……それがある限り、自分は仲間ではない。だがシオンは、それを 否定する。
「僕たちに必要なのはデータじゃない……タックだから」
遂に、目を見開き、決断するタック。
「シオン、僕にコードをつなげ!」
ドモンとタツヤが限界を迎える寸前、タックが自爆プログラムの解除に成功。外ではファイヤーがゲートを一騎打ちで撃破。巨大化した ゲートとレックスロボの戦闘となり、タックは緊急システムの発動を依頼するが、未来のリュウヤに拒否られる。
……まあ、そうですよね(笑)
仕方なく、ヴォルユニットでレックスロボを援護するタイムレンジャー。
リュウヤは更に、「ユウリたちを30世紀へ戻せ」と、4人を時間飛行体まで誘導するように命令。
だが、今度はタックがそれを拒否する。
「隊長、命令回路なら無駄ですよ。
僕は……僕にだって自分の進む道を決めることができる。
僕はあなたの道具じゃない。彼等の、ナビゲーターロボです」
自ら制御回路を焼き切り、命令チップを無効化するタック。
……ここ、いいシーン、いいシーンなんですが、台詞も格好いいのですが、根性(?)で回路を破壊して 自由意思を主張して命令を拒否するロボットとか凄く嫌だなぁ……(笑)
タックが起こすのでは無いだろうな、「大消滅」……(おぃ)
自ら内部の装置を破壊した事で、止まっていた塀の上から地面に落ちるタックは、最後の力でタイムレンジャーにタイムフライヤー (忘れがちだが変形するとタイムロボベータの銃)を使うように指示。
「頑張れ、みんな……これが僕の最後のナビゲートだ」
まぶたを閉じ、機能を停止するタック……本気殉職?!
タックのナビを受けたタイムレンジャーは、タイムフライヤーでゲートを牽制射撃。弱ったところをレックスロボが圧縮冷凍し、 撃破。圧縮されたゲートをカプセルに収めるタイムファイヤー。
ああなるほど、シオンが前回最後に渡していたのは、囚人保存カプセルか!
これって、「時間保護法で逮捕する!」時に突きつける警察手帳(というかバッチというか)的な物でもあったとも思うのですが、 シオンが勝手にプレゼントして良かったのかしら。いや、トゥモローリサーチで話し合ったんでしょうけど。前回エンディングで 台詞無しでさらっと渡していたので、これ何? 程度に思っていたのですが、割と重大な意味があるような。この1回だけ滝沢に囚人を 保存させても仕方ないですし(そもそもどうするんだ滝沢、後でトゥモローリサーチに届けるのか滝沢)、ラストに向けた伏線として 機能するのかなぁ。少なくとも、タイムレンジャーがファイヤーを“6人目のタイムレンジャー”として認めた、という解釈で良いの だとは思うのですけど。
或いは、45万円のお礼?(笑)
戦いは終わり……事務所で目を醒ますタック。
前回の修理中に命令チップを見つけたシオンが、万が一の時を考え、タックのデータをバックアップしておいたのだ! データの移植が 上手く行き、命令チップの破壊された状態で再起動に成功したタックを、タイムレンジャーは暖かく迎える……。
と、この最終盤に全く予想外の、ナビロボ成長回。
いやこれは、予想外でした。
ここまでしっかりと、AIロボの成長話をやるとは、度肝を抜かれるレベル。
しかも、精神的にはある程度完成され、劇中では比較的“大人”ポジションだったタックが、一度アイデンテティ崩壊して自分を 見失い、その後で機械の運命を乗り越える選択をする、という、若干のやりすぎ感さえ感じられる怒濤の展開。あんまり格好良かったので、 最後あのまま機能停止しても良かったとさえ思いますが、なんだかんだでタックが居ないと話が転がらないので、仕方ないか。
いったいぜんたい、シオンがどうやってタックのデータをバックアップ取ったのかは気になりますが(笑)
事務所のパソコンもいっけん市販品だけど、魔改造されてHDの容量が亜空間化とかしているのかなぁ……(おぃ)
シオンの“故郷”ネタもうまく絡めて、非常に良いエピソードとなりました。
そして次回、次回……
次回予告がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(涙)
うわー、一番好きなキャラなんですが(涙)
格好良い花火を打ち上げてくれる事を期待して、来週を待つのみ。
- ◆CaseFile.47「ドンの最期」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
- 42話で大量に入手したラムダ2000を、Z−3に変換しているギエン。
そして囚人達の圧縮冷凍を終えたドルネロは、「大消滅」を食い止めるべく、ギエンを始末する為に銃を取る。
なんとなく三つ巴構造にする事で、ビジネスの為に社会に潜伏していた囚人達を、ドン自らの手で回収させるという構成は極めて秀逸。 これにより、連戦連敗でどうしようもなく衰退していく悪の組織という作劇とは一風変わった、広がりを保ち部分的勝利を収め続ける悪の 組織としてのロンダーズ・ファミリーという特性を貫いたまま、まとめきりました。
ドルネロ「行って来るぜ、リラ」
リラ「さっさと済ませて帰ってきてね。うふふふふ。ドルネロが居ないと、お金儲けできないじゃない」
ドルネロ「おめぇ、本当に正直だな。そこがいいんだけどよぉ」
リラ「でしょぉ」
ドルネロ「だがなぁ、ひとつ言っていっておくぜ。確かに世の中金だ。金が無きゃ、生きていけねぇ。それでも、その金でも買えねぇもの がある」
リラ「はあ? ちょっとだいじょうぶ? うふふ、まさか、愛とか言わないわよね?」
ドルネロ「はっ。俺は、愛想を尽かして俺を捨てた母親さえ、金で連れ戻したんだ。そんなあおくせぇ事いうかよ」
リラ「じゃあ、なによ」
ドルネロ「いいか。(胸の辺りを叩いて)ここに空いちまった穴だけは、いくら金つぎこんでも埋まらねぇ。絶対にな」
リラ「ふぅん? うふふふふふ」
ドルネロ「ギエンの野郎も、埋めそこなった口かもな」
まあ、万が一の準備が良すぎて、戦う前からドルネロが負けている、とも言えるのですが。
おそらく本人にも自覚の無い、敗北の予感がドルネロにあった、と見るところでしょうか。
ドルネロにとってのギエンが、胸に空いた穴を埋める存在であったかもしれない故に――。
また今回、ギエンのマントの裾に、ほたるくんがずっとついていた事が発覚(笑) ドルネロ様はこれで、リュウヤとの会話その他諸々 を全て聞いて、「大消滅」について知った模様。
あとドルネロ様、いいシーンでなんですが、リラさんは、その穴を埋めたふりをするのが、お仕事の方だと 思いますっ!
「大消滅」について検討を続けるタイムレンジャーは、その単語から、2001年の消滅と30世紀の消滅の原因が同じかもしれないと 考え、Gゾードのエネルギー炉について調べる事を決める。一方、バックアップデータによる再起動によって、リュウヤが隠蔽していた データの存在に気付いたタックは、その復旧を行う。
シティ・ガーディアンズが回収したGゾードの破片を調べようと、隊員の制服を奪って、アヤセ、ドモン、シオンの3人が第三研究所 へ潜入。警察よりも上位の組織に収まったシティ・ガーディアンズとそれを率いる滝沢の動向に思いを馳せる待機組の二人、ユウリは ドルネロを追い続ける自分と、力を求め続ける滝沢を重ね合わせる。
と、久々に、ユウリさんの復讐ネタ。しっかりと拾ってきました。
一方潜入組、大消滅について思いを巡らせるドモン。
ドモン「もし……もしあるってわかったら、どうする?」
アヤセ「止められるもんなら止める。……ま、隊長の言う正しい歴史じゃなくなるけどな」
ドモン「そうなんだよ。30世紀がまた、どうかなっちまうかもしれねぇ」
アヤセ「で、この時代が消えるのをほっとくか?」
ドモン「そうできりゃ、とっとと未来に帰ってるよ。……わかんねぇ。しょーじき、わかんなくなっちまった」
シオン「僕はこの時代を守りたいです。駄目でしょうか?」
笑顔で首を横に振るアヤセ。
なんだかんだで、この男三人が腹を割って話すのは珍しく、ここはクライマックス前にいいシーンになりました。
Gゾードの破片から、気になるものを見つけて手に入れた3人だが、滝沢へ見つかってしまう。本気謝りと見せかけて、緊急警報に 気を取られた滝沢にペン目つぶし(久々に登場)を喰らわせ、脱出を図るシオン、黒い、黒すぎる。
警報の原因は、ギエンの作成した破壊ロボット・クライシスの出現。街へ出撃した滝沢は、例のバッジを掲げて名乗る。
……あれ、気に入っちゃった?
まあ滝沢も、毎度帽子を投げながら「タイムファイヤーーーーーー!!」とかやるので、基本的にノリは悪くない。
根はいい人です。
ファイヤーとクライシスの戦いが始まり、遅れて駆けつけたタイムレンジャーも戦闘に参加。一方、ほたるくんの電波を追った ドルネロは、戦闘を見物するギエンの前に現れ銃を向ける。戦場にドルネロとギエンの姿を見て、そちらへ走り出すユウリ。
「私が神にも等しくなれたのは、おまえのおかげだ」
「ギエン、おめえは神なんかじゃねえ。あの、掃き溜めみたいなダウンタウンに居た、ただの宿無しだ!」
交差する二人の銃火。
「死なせるわけには、いかないのよ……逮捕するまで」
両親と妹の仇であるドルネロの逮捕にこだわり、戦闘に割って入ったユウリは、ダメージで変身が解除。更にドルネロの攻撃を受け、 足を負傷する。ドルネロは逃げたギエンを追って飛んでいき、ほたるくんの電波探知機を拾ったユウリは、タツヤと共にその後を追う。
巨大化したクライシスに、今回もタイムフライヤーで戦うタイムレンジャー。シオンの「ただのメカです。圧縮冷凍の必要はありません」 という言葉を受けた滝沢は、本気モードでVレックスと合体攻撃を放ち、巨大メカを撃破。
滝沢本部長、なんだかんだで気を遣って圧縮冷凍してくれていた事が発覚。
やっぱり、いい人です(笑)
その頃、左腕を損傷して倒れるギエンに銃を向けるドルネロ……
マントの下で、こっそりと隠し持っていた銃を握るギエン……
負傷した右足をひきずりながら、必死にドルネロの元に向かうユウリ……
そして――
「俺とした事が……おめぇを撃てなかったか」
結局、ドルネロは、ギエンを撃てなかった。
ギエンは、ドルネロを、撃てた。
血の海に沈むドルネロを見つける、タツヤとユウリ。
ドルネロはタツヤに、樹海のアジトに圧縮冷凍した囚人達を未来へ運ぶように告げる。一方的な物言いに、激昂するユウリ。
「ドルネロ! 死ぬなんて許さない。私が逮捕するわ」
「おめえさっきの。なんだって、そう俺にこだわる……」
「あなたが殺せと命令した捜査官のその家族、覚えてるわね。私は、その生き残りよ!」
「…………覚えてねぇなぁ……そんな事は、飽きるほどやってきた」
「忘れた?! 私は、一日も忘れた事ないわ! メイは、メイはまだ5歳だったのよ!」
瀕死のドルネロに掴みかからんばかりのユウリを押し止めるタツヤ。
ドルネロはもう一度、囚人達の身柄に関して念を押す。
最後の最後まで、ユウリとドルネロが噛み合わないのは、実にいい。
「俺も、おしめぇか……リラ、もう一度、顔を見たかったぜ。おめぇ、俺のおふくろにそっくりだって知ってたか」
落ちる葉巻。
ドン・ドルネロ、その甘さ故に、死す。
ううーん、ドルネロ様、着ぐるみが非常に動かしにくく、普通に撮るの難しいのはわかりますし、何とか色々と工夫しているのもわかる のですが、逆光多用はあまり好きではないで、演出的にはそこが残念でした。
最終的には、ドルネロとギエンの因縁より、ユウリさんの因縁の方に尺が割かれてしまったのも、ドルネロ様ファンとしてはちょっと 残念。いやここは、その方が普通で当たり前なんですけど(笑) ドルネロとギエンの最後の決闘シーンは、しっかり描いてくれても 良かったかなぁ、とか。
ドルネロの死を聞いたリラは、アジトを撤退。
「ドルネロ……お金抜きでも、ちょっとは好きだったわよ」
まあこの方は特級釣師なので、幾らでも現代社会で生き抜いていけそうです。
「父さん達に約束したのに……ドルネロを逮捕するって、それなのに……どうして!」
泣きじゃくるユウリを胸に抱きとめ、なだめるタツヤ。
そこへ駆けつけてしまった3人。
声、かけづら……!!
その頃、シオン達が窃盗してきたGゾードのパーツを解析したタックは、それがラムダ2000である事を知る。
「まさか――これが?!」
2001年の都市上空に立ち込める、時空パルスの暗雲。
果たして、何が起ころうとしているのか――?!
- ◆CaseFile.48「未来への帰還」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
- 「ドルネロが死んだか……私が神になるのを、喜んでくれると思ったが」
ラムダ2000を用いて、更なる破壊兵器を製造するギエン。
悪夢で目を醒ましたタツヤは、同様に目を醒ましていたユウリと、夜の屋上で二人の時間。
「体のどこかに、穴があいちゃったみたい」
「これから埋めていけばいいよ」
ドモンもまた、寝付けぬ夜にホナミの言葉を思い出していた。
「ドモンさん……最近、未来、って言葉使いはじめたの、気付いてる? 前は30世紀とか、俺の時代って、言ってたのに」
いったい、どちらが自分の“今”なのか――。
そんなドモンに、ホナミは「あたしなら大丈夫だから」と告げる。ある日ドモンが急に居なくなる時があっても、今こうしている時間と 思いは本物だから、と……。
まあここであまり弱々しくても困るのですが、ホナミ、やたらに力強いなぁ(笑)
一方、退院した浅見父と邂逅する滝沢。
「満足か? その歳で、ここまでの地位を手に入れたんだからな」
「今のところは。これで終わりとは思っていませんが」
「そうだろう。一度、権力争いに乗ったら、あとは最後まで戦い続けるしかない たった一人で」
「そのつもりです」
「だが、その戦いに勝てるのはほんの一握りだ。そして勝者はあらかじめ決められている。残酷だがな」
ドルネロの遺言を聞き、囚人達を回収して時間飛行体に運び込むタツヤ達の元へ、隠蔽されていたデータの復旧が完了したとタックから 連絡が入る。
それによると、大消滅の原因はラムダ2000!
ラムダ2000には時空を僅かずつ蝕む性質があり、30世紀の消滅事件はその蓄積によるものだった。そして2001年、その現象が 急速に進行する事で、大消滅が起きるのだ!
だが、Gゾードは既に倒され、現代で精製されているラムダ2000もそれほどの数ではない。いったい何が、大消滅の引き金となる のか……?
タック「どこかにあるんだ……それらが問題にならないほどの、ラムダ2000が」
その時、街にギエン自らが操縦する巨大メカ・ネオクライシスが出現。
駆けつけたタイムレンジャーとタックは、ネオクライシスと戦うブイレックスと、ネオクライシスを操るギエンそのものの中に、 Gゾードの数千倍ともいえる、高密度のラムダ2000が存在する事を知る。
このままでは、2体が戦えば戦うほど、時空の崩壊が進んでしまう!
うーん、この辺り、いまいちピンと来なかったのですが、ギエンとブイレックスの体内に高密度のラムダ2000が存在しているのは、 まだ謎ということでいいのかな? ギエンのマシンボディに何故かラムダ2000が使用されていたという事なのか、自分で精製した Z−3を内蔵したという事なのか。ブイレックスは完全に謎ですが、次回辺りにきちっと謎解きされるのかしら。
未だに、Gゾードとブイレックスとタイムファイヤーの関係性は謎ですし。
慌てて戦いを中断させようとするタイムレンジャーだが、滝沢は聞く耳を持たない。
その時タックが告げる、復旧したデータに存在した一つの歴史的事実――
「ブイレックスのパイロットは、2001年の今日、死亡したと」
「俺が?」
「歴史上はそうなっている」
「は、そんな馬鹿な」
戦いを止めない滝沢は、前回で味を占めたのか、レンタルビデオで『宇宙○事ギャバン』でも見てしまったのか、ブイレックス の頭上にジャンプ。
その背中にアヤセさんが「滝沢!」と声をかけるシーンが入るのは、妙においしい(笑)
この最終盤で、タツヤ−ユウリ、ドモン−ホナミ、シオン−タック、と絡むキャラが固定化されてしまった為、さびしんぼのアヤセは、 色々と細かい所に気の付くポジションが回ってきました。
ネオクライシスの攻撃を受けて変身解除してしまった5人。時間飛行体で戦闘に割り込もう、と提案するタツヤ。その勢いに流される ままに5人は飛行体に乗り込むが、タツヤの行動にどこか不審を感じていたアヤセが何かに気付き、「みんな……出ろ」と言うも一瞬遅く、 タツヤは4人を置いて外へ。そして4人の前で飛行体のドアが閉じる。
30世紀の為、4人の為、タツヤは彼等を未来へ送る事を決断したのだ!
シオン「僕は残ります……ここが僕の故郷なんです、守りたいんです!」
「駄目だ!」
仮に4人が残る事で大消滅を食い止める事が出来ても、そうする事で30世紀が変わってしまうかもしれない。本来30世紀の人間で ある4人にそんな事はさせられないと、タツヤはタックに未来への発進を急がせる。
アヤセ「タツヤ……おまえ、死ぬ気か」
「俺は最後まで戦うだけだ。この時代の人間として」
ドモン「俺はまだ帰れねえんだよ!」
「ユウリ……新しいおまえの道が見つかるよ――きっと」
ユウリ「タツヤ……! あたし……」
ドモンはかなり可哀想だなぁ、これ(笑)
それは最後まで叫び続けますよ。
ドモンはタツヤをグーパンしていいと思います。
「すべての破壊だ。何もかも消え、存在するのは私のみ」
ネオクライシスの一斉射撃を受け、大ダメージを受ける滝沢&ブイレックス。
滝沢は何故レックスの頭の上に乗ったまま、相手の銃口に最接近しますか
それをやって無事なのは、規格外のバケモノである某宇宙刑事だけですよ。
レックスが激しく損傷し、滝沢自身も変身が解けるほどのダメージを受けてしまう。そこへやってきたシティ・ガーディアンズの隊員 から、衝撃の事実を聞かされる滝沢。
「命令は聞くわけにはいきません。貴方はさきほど、シティ・ガーディアンズに関わる全ての権限を解かれましたので」
浅見父の手によって過去の不正を追求され、退任に追い込まれる治安維持局の伊吹長官(しかしこの人も、こんなに長々と出てくるとは 思いも寄らなかった)。同時に、その後ろ盾を受けていた滝沢本部長も全権を剥奪。更に、Vコマンダーのボイスキーも解析され、 滝沢以外の人間以外にも使用できるようになっていた!
ビバ・大人の寝業
滝沢さん、研究所の人に「綺麗事を聞くと蕁麻疹が出る」とか言うから、大事な報告、回ってきていませんよ!
会長はやたら余裕たっぷりだと思っていたら、既に手を打った後でしたか。
んー、まあしかし、ここまで状況が急転するとは思っていなかったのでしょうが、間接的に滝沢を窮地に追い詰めたのは浅見父という 事になってしまって、親子仲はまたこじれそうだなぁ……最終話までに何とかまとまるのか?(^^;
Vコマンダーを回収されそうになった滝沢は隊員を殴り飛ばして、逃走。
別に滝沢自体は悪人というわけではないので、そこまでやらなくてもレベルの没落ぶり。
逃亡中、かつて文鳥をあげた少女がゼニットに追われている所に遭遇した滝沢は、少女をかばって、銃弾で蜂の巣。
すんでの所でタツヤに助けられるが……なんか目が虚ろですけど大丈夫ですか。
元本部長、史上空前の大ピンチで次回へ続く!
ううーん、展開がシリアスすぎて、ほぼ単なるあらすじになってしまった(^^;
先日のGゾード編もでしたが、明かされてない伏線なのかこちらの読み間違いなのか微妙にわからない、もやもやした謎が幾つかあって、 コメントし辛い。
- ◆CaseFile.49「千年を超えて」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
- 未来で眼を覚ました4人の前に姿を見せるリュウヤ。
「ようこそ。と言うべきだろうな。今は西暦3001年……おまえたちにとって新しい世紀だ」
4人がリラと共に過去へ出発してからちょうど1年……そしてこの3001年はGゾード破壊による歴史修正の影響により、細かい 歴史が変化していた。
ユウリの家族暗殺は未遂に終わり、オシリス症候群は治療法が発見され、ドモンはグラップを永久追放ではなく1年間の出場停止 処分……と、随分都合良く変わっている未来。
ただしシオン、テメーは駄目だ
リュウヤいわく、「異星人なので、地球の歴史に影響されない」そうですが、歴史って惑星単位なの?! まあその辺りの時空に関するSF要素は作品固有の設定に基づいて何でも有りといえば有りなのですが、あまりに都合のいい変化・軟禁 状態で確認できない、事を考えると、4人を大人しくさせる為にリュウヤがブラフかけたと考える方が妥当か。
どうせ確認できないのならシオンにも嘘ついていいのでは説もありますが、さすがに、ハバード星がまんま健在、というのは隊長も 突っ込まれると思って年長者3人だけ丸め込めればいいと思ったとかかしら。
それにしても、ユウリの家族の命とアヤセ本人の寿命と同列に扱われる、 ドモンのグラップ。
重い、重いなぁ……ドモンにとってのグラップ重いなぁ(笑)
その頃、タックさんはゴミ捨て場に
リュウヤの指示でサポートロボを処分した隊員達は「実は、歴史が変わっちまった、て噂もある」と談笑。
そしてリュウヤは、繋がりのない3000年の記憶を持つ4人への処置として「おまえたちの記憶を書き換える」事にするとし、 「安心しろ。これまでよりもずっといい人生を送れる」とにこやか。
タツヤや滝沢がどうなったかについて食い下がるシオンだが、細かい事は気にするな、とあしらわれる。
「確かなのは大消滅が起きた事だけだ。ちょうど1000年前の明日……2月4日にな」
一方――2001年2月3日。
ギエンは機器の不調から一時撤退し、タツヤは緊急避難所へ直人を運び込む。
避難所のベッドでタツヤから、かつてユウリが「力を追っているだけでその先が見えない」と評していた事を聞き、「力だけでは生きて はいけない」とアヤセに言われたと述懐する滝沢。
「おまえには見えているのか?」
「え?」
「俺が力を追っているなら、おまえは浅見という力から逃げているだけだ。逃げて、逃げてその先に何がある?」
滝沢の言葉に、我が身を振り返るタツヤ。
とここでついに、それぞれに自分の姿を映す、合わせ鏡の二人。
そこへ付近にゼニットが出現したと聞き、迎撃へ向かうタツヤ。
「生き方は変えられる筈だ。決めるのは自分自身なんだから。俺、変えるよ。生き残ったらね」
走り去るタツヤを見送りながら、吐血する滝沢。
(ああ、おまえは生き残って、きっとそうするんだろう。
その根拠がないくせに、確かな自信。
相変わらすおめでたくて馬鹿馬鹿しくて、
俺は昔からずっと……
力を追い続けた先か、もし生き残れるなら……)
そのまま気を失った滝沢が目を醒ますと、ベッド横に死を呼ぶ文鳥少女。
カゴから逃げて戻ってこない文鳥を、窓の外に見つけた滝沢は、少女に代わり、文鳥を捕まえる為に負傷した体を引きずり外へ…… 文鳥をカゴに入れたその時、通りすがりのゼニットの射撃が一閃――血を吐きながら落下する。
戦いを終えたタツヤは避難所のベッドに直人が居ない事に気付き、外を探して倒れ伏す彼を発見する。
「浅見……おまえは変えてみせろ」
タツヤにVコマンダーを託し、息絶える滝沢。
2001年2月3日、滝沢直人、死亡。
うーんまあ、あの状態で滝沢が外に出たのは、内臓やられて長くねーなー的な自己診断があったのかとは思いますが、最初から最後まで、 文鳥の使い方はあまり好みではない。
なんかもう一歩、滝沢にとっての文鳥に意味を持たせて欲しかったなぁ。
最初の時に、意味も前振りもなく、少女にあっさりとあげすぎなんですよね、文鳥。
滝沢のキャラ付けとしての文鳥飼っている、は有りかとは思うのですが、だったらその回の内に子供にあげてしまうのはどうなのか、 と。滝沢がシティ・ガーディアンズの中枢に食い込んでいこうとする転機の回で、文鳥を置いていく、という意味も多分込められている のですが、それだったら逆に、もう少し前から文鳥を出さないといけないし、その後の滝沢をもっと苛烈に描かなければいけないと思う のですが、滝沢自身にはそこまでの劇的な変化は無い。
終盤の滝沢周りがちょっと微妙な感じになったのは、おそらく物語上で意識した“権力の階段を昇る為に脇目も振らない滝沢像” よりも、演出上から窺える“なんだかんだでいい人な滝沢像”の方が強く出過ぎてしまった為かと思います。
人間的な(タイムレンジャーに対する)軟化と、社会生活における苛烈化、というのが巧く擦り合わなかった。
結果的に滝沢は、“悪人”ではない、しかし“愚か”であった、という所に、劇作上の因果応報としては落ち着きましたが、その辺りの 補強としても、もう2シーンぐらい、シティ・ガーディアンズで嫌な感じな滝沢、を入れておいても良かったかとは思います。あと タツヤが浅見コンプレックスを抱えるに至った流れに対して、滝沢が今の生き方(強烈な上昇志向)にこだわるようになった背景、 はありそうで結局描かれず、そこは性格とか性質ばかりでなく、何か背景(家庭環境など)がある形で描かれても良かったかな、とは。
※滝沢の死に関しては、演じた役者さんの要望が強くあったとの事。当初の予定から少しずつシナリオを軌道修正した分、上記してきた ような若干の詰め足り無さを感じる部分があったのかもしれません。しかし、という事は、前回の元部下に追われて逃げまどうシーンなど は、役者さん、案外ノリノリだったのか(笑)
とにもかくにも、後半戦を盛り上げてくれたキャラクターでした。
滝沢本部長に、合掌。
明けて運命の2月4日。
右手にクロノチェンジャー、左手にVコマンダーを装着したタツヤは、ギエン麾下のゼニットの大軍団に立ち向かう。
「俺は最後まで戦う。来い、Vレックス!」
一方、3001年――
記憶処理の為にまずシオンが連れ出されそうになるが……そのロボットをアヤセが打ち倒す。
「俺は、どんなにいい時代だろうと、このまま受け入れられない」
命のかかるアヤセを気にするドモンだが、
「俺の事は気にするな。おまえも、選びたい道を選べばいい」
と言われ、再起動したロボットにひと蹴り。
そしてユウリも、ロボットを打ち倒す。
「タツヤや、タツヤ達の時代を犠牲になんて……違う、本当は理由なんてない。ただ、行かなきゃいられないの!」
珍しいノリの挿入歌(一瞬、YouTubeが狂ったのかと思った(笑))と共に駆け出す4人。
2001年で戦うタツヤ。
果たして5人の未来の、行く末や如何に――?!
- ◆CaseFile.50「無限の明日へ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
- 「歴史に定められた破壊だ。今日、私は、神になる」
ネオクライシスで破壊の限りを尽くすギエン、それに立ち向かうブイレックス。
滝沢の殉職と、Vコマンダーを入手したタツヤが一人で戦っているという連絡を受ける浅見父。
「いや、止まるようなやつじゃない……あいつは……私の息子だからな」
3001年では、脱出をはかる4人が警備員に追われていた。タックと合流した4人は、タイムジェットとクロノチェンジャーを奪い、 2001年に向かおうとする。タイムジェットの時間移動機能は限定的な為、ちょうど1000年前までにしか戻れない。また、4人の脳 に擦り込まれた20世紀のデータもそろそろ消えてしまう為、2001年に居られる時間はごくわずかだ。だが4人は行く。自分たちが 確かに生きた、20世紀という過去を救う為に!
タックと共に時間移動装置のコンソールを操作していたアヤセは、リュウヤと接触。「この時代に居れば、おまえは生き延びられる んだぞ?」と囁かれるが、それを拒否。
「おまえは生きていたいんじゃないのか!」
「ああ。ただし、自分が選んだ道でな」
「馬鹿な!」
もみ合いの末、鳴り響く銃声。
3人が駆けつけた時、血を吐いて倒れていたのは、リュウヤ隊長であった。そして大消滅に関わるデータをメインコンピュータから 直接入手したタックは、真のブイレックスのパイロット=タイムファイヤーが、リュウヤであった事を知る!
死すべき運命だったのは、直人ではなくリュウヤだったのだ。
「6年前……Gゾードの時間移動実験失敗で、私は時空に呑み込まれ、二つの歴史を見てしまった」
一つは、ブイレックスとギエンによって大消滅が発生し、20世紀が消滅する“正しい歴史”。
もう一つは、Gゾードによってギエンが破壊され、結果として30世紀が消滅する“間違った歴史”。
「だが……そのどちらの歴史においても変わらない事があった。私がブイレックスのパイロットとして派遣され……死ぬ事だ。 歴史を正しく修正して、30世紀を守る。だが、私の運命だけは変えなければならない」
そう、全ては、歴史を修正しつつ、自らの死を回避しようとするリュウヤの策謀だったのだ!!
リュウヤ「自分の死を知ったら……それを変えられる手段があったら、誰だってそうする。そうだろう?」
アヤセ「あんたも……明日を変えたくて」
リュウヤ「6年かかった……だが、結局は……同じ結末だった」
犯人はアヤセ
はまあさておき、ここで遂に、延々と怪しげ街道一直線だったリュウヤの真意が判明。
主人公と(結果的な)黒幕が、“同じ言葉を行動原理としていた”という、強烈に刺激的な展開。
避けられない自分の死を知ってしまった男が、“明日を変えるため”に、他者の人生を踏みにじる事は許されるのか?
歴史はそれを“NO”と言った。
だが人は……人の身でそれを断罪できるのだろうか。
ここで、本質的に作劇における狡いネタである“不治の病”という、アヤセの病気の話が、作品全体を通す背骨の一つを成していた事が 浮き上がるのは、お見事。
主人公サイドにアヤセのような境遇のキャラを置いて、繰り返しその話を持ち出す事で、最終盤のリュウヤの問いと行動、存在が重く なる。
キャラ付けと伏線とテーマが密接に組み合わさった、素晴らしい使い方でした。
そして、アヤセ、ヒロインレースで怒濤の差しきり。
滝沢本部長の猛追を振り切った!
本当にどうしてアヤセはこんなにヒロイン度が高いのかといえば、メインテーマと最も関わっていた事が発覚したわけですが。
ところで前回を見た限りでは、リュウヤ隊長の語るやたらに都合のいい改変未来はふかし?と思っていたのですが、今回の隊長の様子を 見る限り、本当だったのかもしれない。
あとこのシーンでは、リュウヤの手に握られた銃口がアヤセの腹に向いているのに、なぜかリュウヤ隊長が血を吹いて倒れるという不思議 映像なのですが、一般的には、「銃の暴発」という“運命の偶然”であったという解釈が主との事。一方で、それを見るからにわかり やすく演出していないのは、「アヤセが覚悟を決めて撃った可能性」というのを、視聴者の中に残す意図があったのかも、とは思って みます。
「みんな……行くんだ。僕が手動で発射ボタンを押す」
リュウヤの死に様に、やるせない思いを抱える4人を促すタック。
「君たちの選択は間違っているかもしれない。でも僕は信じる。君たちが自分で選んだ明日を。 そこでまた会おう」
タックは本当に格好良くなったなぁ。
サポートロボが終盤にこんなに格好良くなるとは。
台詞の“そこ”というのが実にいい。
一方、タイムロボターが結局あまり意味を持てなかったのは残念。玩具とか出ていたのかしら。
2001年、ゼニットの大軍団に囲まれて危機に陥るタツヤ。
その時――時空の裂け目から、現れるタイムジェット!
まさかのタイムジェット・ガンマ大活躍。
ネオクライシスを吹き飛ばしてしましました。
合流した5人は、大消滅の回避の為に、Vレックスに搭載されたラムダ2000をZ−3へと変換しようとする。DVディフェンダーに よりラムダ2000を高温状態とし、Z−3へと変換。その力を用いたマックスバーニングで、ギエンとネオクライシスのラムダ2000 を粒子レベルに分解するのだ!
避難中のホナミと出会い、抱きしめるドモン。
ホナミさんも、お騒がせキャラ→妄想キャラと来て、終盤しっかりヒロインしました。
「なんなんだ?! おまえたち誰だ?! 僕の邪魔をするなぁ!」
狂気の果てか? ネオクライシスとの接続による人工知能の限界か? 半ば記憶も知識も失いながら、立ち直ったネオクライシスと共に 暴れ回るギエン。4人がタイムロボでネオクライシスを抑え込み、その間にタツヤがVレックスのラムダ2000をZ−3に変換。最後は タイムロボが分離・再合体からキックを決めたところを、タツヤ&Vレックスのマックスバーニングが炸裂。
ネオクライシスは木っ端微塵となり、半壊状態のギエンは瓦礫の間で倒れながら譫言のように呟く。
「ドルネロ……どこ行っちゃったのぉ。ぼく、お金数えられるようになったよ……1,2,かっ」
ギエンのボディは崩れ去り、消滅。
ギエンの最期はいいなぁ。
ドルネロ様の最期と合わせ技になって、ロンダーズ・ファミリーのファンとしては大満足。
悪役陣も最後まで、スタッフがちゃんと愛してくれました。
ラストバトルでは、まさかのガンマ大活躍に続き、最後の一蹴りをベータ、と非常に予想外な事になりました(笑) とどめを、滝沢の 遺志を継ぐ形でタツヤ&Vレックスが付ける、というのもいい。
こうして21世紀は救われた……そしてそれは仲間達の帰還を意味していた。
時空の流れの中で、未来へ強制送還?されていく4人と最後の言葉をかわすタツヤ。
にこっと笑うだけとか、アヤセさんのヒロイン度はどこまでも高い。
そして最後の最後で、タツヤ、ユウリに告白。
抱擁する二人。
「私たち、バラバラになるんじゃないわ。繋がった時間を生きている。タツヤが創る、明日の中に生きてるの。だから……」
時空の渦の中へ消えていくユウリ。
澄み渡る青空をタツヤは見上げる。
「ああ、わかってる。これは別れなんかじゃない」
ここは、いくらでもご都合に出来たと思いますが、ちゃんと別離させた、というのは素晴らしい所。
“生と死”、そしてその繋がりとしての“喪失と創造”という形で、物語が綺麗に まとまりました。今作は、色々な都合でつい適当になってしまう事がある“生と死”という部分を真っ正面からテーマとしたのは非常に 面白かったと思います。
――そして1年後。
ドモン、子供しこんでたぁぁぁぁぁ
……や、これはまあ、“海賊版”で知ってはいましたが。
改めて見ると凄いなぁ。
この点に関しては、タツヤの中にドモンに対する根深い殺意が宿るような気がしてならない詳しくは聞かないで。
「オヤジ……いつか真っ正面から浅見を受け止められるようになるよ。オヤジとやり方は違うかもしれないけど、今は自分の力で直人の 分まで生きる」
エンディングは、ランニングするタツヤが次々とユウリ達のそっくりさんと出会うシーンにモノローグ&スタッフロール。
ユウリ(OL風)、アヤセ(引っ越し屋)、ドモン(保父)、シオン(学生)、何故か滝沢(ペットショップ店員)。どうせなら、通り すがりのリラさん(釣師)とか居たらより嬉しかったのですが。そして最後までおいしい本部長。
父は、ランニング中のタツヤを車で追い抜くシーンで車中で登場。結局、個人的に期待していた浅見父子の直接対話は無かったですが、 主にタツヤが直人に言われて自分を見つめ直し、父も息子の生き様をある程度認め、なんとなくお互いに歩み寄った模様。逆方向にすれ違う のではなく、追い越していくというのが、今のところの距離感がしっかりと演出されていて、素晴らしい。
「ユウリ、アヤセ、ドモン、シオン、おまえたちは千年先に居る。俺はそこへ向かっているんだ。辿り着くわけない けど、でも……! おまえたちと確実に繋がっている。俺がこれから創る、明日っていう時間の中で」
人の動きから見るに時間帯は午後っぽいのですが、午後〜夕方より前の時間に街中をジャージで走りながら飛び回し蹴りとかする 男は、警察に通報されて未来が繋がらなくなるかもしれないから、気を付けろ、タツヤ。
そして明日は、無限の未来へと繋がっていく……
for the unlimited future...
よく出来たシリーズでした。
面白かった。
特に敵も味方もキャラクターの立て方が秀逸で、かなり早い段階で一定のキャラクター性を成立させ、現代人−未来人の関係を軸に、 終始タツヤ中心に物語を進めていった手法はお見事。
また、敵サイドの目的を“金儲け”とする事で、終盤まで敵味方のパワーバランスを取り、そこで敵サイドの内紛以上に、リュウヤの 暗躍が物語を動かす、という構成もはまりました。
意欲的に取り込んだ様々な要素が巧く噛み合って、見応えのある作品でした。
不満としては、Gゾードにしろネオクライシスにしろ、終盤のラスボス的な敵キャラが、ちっとも格好良くなかった事。最終盤に 至っても、バトルよりもドラマのウェイトが重い作品ではありましたが、やはりクライマックスの敵キャラにはそれにふさわしい インパクトが欲しかった所で、その点、双方ともに格好いいともインパクトがあるとも言い難かったのは、残念でした。
好きなキャラは、ドルネロ様にギエンに、アヤセさんに滝沢本部長。他の面々も嫌いではないというか、思い入れは強くなくても 語る所があるのが、今作の良い所であります。敢えて一番苦手なキャラを挙げるとすれば、主役、という気はしますが(笑)
物語的に難があるとすれば、何度か指摘してきた“タツヤの嫌な部分”、そこにもうちょっと、物語として正面から突っ込んでほしかった というのは個人的にはあります。最終的には、直人は死を前にしてしか変われず、タツヤは友の死を受けてやっと変われる、という所に 着地するのですが。
物語としてつい、劇的に変えてしまう事が多い中で、“人間そう簡単に変われるものでもない”というのは、ほぼ全てのキャラクターが 序盤に提示された因縁を終盤まで引きずる所も重ねて、今作の隠れテーマだったのかもしれない、などという事も思います。
(2012年8月13日)
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