■『未来戦隊タイムレンジャー』感想まとめ3■


“WAKE UP NOW! STAND UP NOW!
世紀を超えて走れ! ブイレックス!!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『未来戦隊タイムレンジャー』 感想の、まとめ其の三(27〜38話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕


◆CaseFile.27「小さな故郷」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
 トゥモローリサーチの事務所に鳴り響く、やかましい目覚ましの声。その発信源は、小型ロボット・タイムロボターのものだった。 対ロンダーズの情報収集に集中したいタックに頼まれ、シオンが新たに作った、トゥモローリサーチのアシスタント用ロボットである。
 ……ええとつまり、タックさん、連中の細かい面倒を見るのが面倒くさくなってきた、と。
 その頃シオンは、出張修理で赴いた海辺のレストランで、浜辺に勝手に住み込んで砂浜の美化活動などを行っている年かさの男性・ 立花智と知り合っていた。そこへ現れたのが、ゼニットを率いて何故か海に砲弾を撃ち込むロンダーズ怪人、エステティシャン・ドミーロ。 海を守ろうと怪人に突撃した立花は負傷、タイムグリーンに変身したシオンが戦うが、ドミーロは砲弾を撃ち込むだけ撃ち込んで退却する。
 シオンからの連絡を受け、海中を探る5人だが、特に怪しげな様子はない。4人は水質分析の為に海水を持ち帰り、シオンは立花と 仲良くなって、“故郷の海”を守りたいという立花の言葉に、故郷なき自分の身を思う。
 翌朝、立花とシオンは真っ赤に染まった海を見る。
 ドミーロの目的は、一夜にして繁殖するブラッディレイバーという海草の収穫にあった!
 (ここは、ブラッディレイバーが海草そのものなのか、ブラッディレイバーという薬品で汚染された既存の海草を回収しているのか、 いまひとつ不明。後のタックの台詞を考えると、前者?)
 亡き妻との思い出の海を守れなかったとショックを受ける立花。怒りに燃えるシオンは、単身ドミーロへと戦いを挑む。
 シオン、アサルトベクターを召喚
 剣を放り投げると、なぜかアタッチメントが空中で合体する仕様になり、また、タツヤ以外でも使えるようになりました。映像演出と して格好いい。また、戦力の不足(個人での戦い)を、オーバーキル兵器の破壊力で補う形となり、アサルトベクターの使い方としては 良くなりました。アサルトベクターはホント、こういう上手い取り込み方が色々あったと思うだけに、初登場回が勿体なかった。
 4人の仲間がかけつけ、海には水質分析からドミーロのもくろみを見抜いたタックが変な薬を散布。「この薬なら海草は壊滅、海には 影響なしだ」 …………いいのか、それ? と思ったのですが、ドミーロが海に撃ち込んでいたのが海草の種で、まずいのは海草 そのものなら、問題ないので、多分そういう事なのか。ここはもう少し、わかりやすくても良かったような。
 巨大化したドミーロはエステパックでタイムロボとシャドウのモニターを塞ぎ、前が見えない2体に光線攻撃を浴びせるが、 次のカットでは何故かパックが剥がれており、合体攻撃でざっくり撃破される。
 ……この後のシーンなど入れていたら尺が足りなくなって、ロボット戦の真ん中をざくっとカットしたような感じ(^^; 戦隊の ロボット戦は辻褄的には適当な事が多いですが、それにしてもちょっと酷い(笑)
 こうして海に平和が戻り、立花はまた、思い出の海の見える丘に木を植えるのであった…………揺れまくる木、なびきまくる髪、 とにかくロケした日が風が強くて大変そうで、正直、話よりそれが気になって仕方がなかったり。
 戦いを終え、帰路に向かうタイムレンジャーは、数台の車とすれ違う。車両が向かった先は、付近のリゾートホテル。実はそこにリラが 逗留しており(ドミーロはリラの為に海草を収穫しようとしていた)、対処に困ったホテルのオーナーが、対ロンダーズの為に結成された、 ある所へ連絡したのであった。
 ホテルの玄関を出たリラの前で展開する謎の部隊、そして向けられる複数の銃口。
 意にも介さず歩み去ろうとするリラへ向けて、銃声が鳴り響く――という所で、つづく。
 故郷の星を赤ん坊の時に失い、30世紀では研究所暮らし、そして今1000年前の世界で生きているシオンにとっての“故郷”とは 何か、という話だったのですが……正直、新展開前の単なる繋ぎ回になってしまった印象。
 シオンと“故郷”という言葉を繋ぐ、重要な筈のゲストキャラが、思い込みの激しい困ったおじさんに しかならなかったのが残念。せめてもう少し、亡き妻を絡めて故郷に思いこむに至るインパクトある事件があっても良かったと思います。 或いは最低限、“浜辺に勝手に住んでいる”という設定を無くすか。ちゃんと、家借りて住みなさい、と。途中でシオンに 食べさせていた焼き魚とか、サバイバーな感じを装っていますが、魚屋さんで買ったんですよね?
 海と絡めた舞台展開の都合(海がすぐ見える場所に居てくれないと話が展開しにくい)だったのでしょうが、むしろ全体的におじさんの 非常識さの方が気になる形になってしまいました。
 故郷の物語としてもこれなら、30世紀への思い入れが強いドモンとかと絡めて、過去と未来を意識する話とかで組んでも良かった ような。
 新展開への布石優先の為に、全体的に尺を割けない所から来る雑さの目立った回。

◆CaseFile.28「再会の時」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
 鳴り響く銃声を聞き、駆けつけた5人が見たのは、リゾートホテル前に展開する謎の部隊とリラ、そして地面に倒れるゼニットの 姿であった。ゼニットが倒れようと気にする事なく、堂々と正面突破しようとしたリラだったが、タイムレンジャー達の姿を確認して ワープで退避。後には謎の部隊と5人、倒れたゼニットだけが残される。
 任務を果たし、撤収する部隊(ここは出来れば、ゼニットを回収するカットを入れて欲しかった)の中から、一人の青年がタツヤの姿を 目に留めて声をかけてくる。
 彼の名は、滝沢直人。タツヤの大学時代の友人多分、タツヤが一方的に思っているだけで あった(なおドモンの第一印象は、「アヤセに輪を掛けてすかしたヤツ」)。
 ――数日後、TVで驚くべき発表がなされる。
 浅見グループによる、対ロンダーズ犯罪への警備会社、<シティ・ガーディアンズ>の設立。
 かねてより内務省治安維持局と連携関係にあった浅見グループが、大破したRAIMEIの教訓を踏まえ、専守防衛を旨として設立した 新組織である。タツヤは「オヤジはビジネスでやっているだけだ」と不満顔だが、「(未来の)インターシティ警察も大本は企業」 「選択肢が増えるのはいい事」と、ユウリやアヤセからは大人の意見。
 <シティ・ガーディアンズ>の発足式で訓辞を述べたタツヤ父に、式後、タツヤを見た事を報告する直人。
 あれ、思わぬ気を遣って、見た目よりいい人? と思ったらタツヤと父親が完全に切れているかの確認でした
 滝沢直人――タツヤとは大学の同級生であり、空手部に所属。空手によるスポーツ特待で入学しており、かなりの実力者。しかし、 大学の校風や同級生になじまず、2年の夏に中退。以後、タツヤとは音信不通友達じゃないから!
 射撃訓練を行いながら、直人はタツヤとの大学時代を回想し独白する。
「おまえはいつも恵まれてて、なのにそれを恥じて嫌って逃れようと必死だった。
 けど俺みたいに何も持たない人間から見れば、そんなのはお坊ちゃんの我が儘だ。
 ――けど本当に家を捨てるとはな。
 おまえは馬鹿だよ、浅見。そういう力こそ生きる為に必要なのに。
 俺はそれを手に入れる」
 新キャラは、上昇志向の塊。
 終始、
 タツヤ→「直人」(下の名前)
 直人→「浅見」(苗字)
 の呼びかけなのが、ああ、現状より脳天気度と坊ちゃん度が5割増しぐらいの大学時代のタツヤとか本当に鬱陶 しかったんだろうなぁという関係性が見て取れて素敵。
 その頃、トゥモローリサーチではタックが時空パルスの異常発生を確認していた。同時に、ギエンもそれを確認し、悪巧み。営業活動で 忙しく動き回っているらしいドルネロが不在なのをいいことに、再び、ヘルズゲートの扉を開いてしまう。解き放たれたヘルズゲート囚・ ジャグルは、ギエンの指示で時空パルスが異常に蓄積している場所をビーム攻撃し、刺激。それを見て慌てたタック曰く、
 「時空パルスが暴走」「時空の彼方から何を引き出すかわからない」
 ……いったい何なんだ、時空パルス。
 ジャグルの行動を阻止する為に出撃するタイムレンジャー。一方、ジャグルが出現したのが契約していたビルの玄関先であった事から <シティ・ガーディアンズ>も出動。浅見会長もロンダーズを確認する為に、部下の制止を押し切って自ら現場へと赴く。
 今週も、アサルトベクター召喚。
 いちいち組み立てるのはかなり間抜けだったので、これは良い演出だと思います。ある意味では、組み立てている前振りがあったので、 格好いい演出として成立しているわけですが。
 ヘルズゲート囚人の圧倒的な戦闘力に今回も苦戦気味のタイムレンジャー。そこへ到着したシティ・ガーディアンズがジャグルに 攻撃を加えるが、敵う筈もない。なぎはらわれたシティー・ガーディアンズの隊長を、ジャグルの攻撃からかばうタツヤ。
 現場に、直人も父もいるのに、どうして赤ベレーの隊長をかばうという展開になったのか。
 銃弾の直撃を受けて激しくスーツが損傷し、直人と父に、顔をさらすタイムレッド・タツヤ。
 ……うーん…………かなりターニングポイントな所なのですが、次回予告で見せすぎた。戦隊の次回予告は低年齢向けという事も あって結構見せてしまうのはいつもの事ですが、ここの顔バレは、予告時点では伏せておいて欲しかったなぁ(^^; 予告でがっつり 顔バレまで入っていたので、こちらとしては、いつバレるんだろうな……という感じで、緊張感に欠けたのが少々勿体なかったです。 かなり後半だったし。
 ジャグルを引き離して戦いの場を移した仲間達を追おうとするタツヤ。それを引き留めるタツヤ父。説明を求める父に対しタツヤ、 「今は説明はできない。言えるのは、ロンダーズはオヤジがビジネスでどうこうできる相手ではないから、手を引けって事だけだ」 と告げる。
 もはや「浅見グループは自分の意志だけで動くものではない。決められたレールがある」と返す父に、「レールなんてないんだ」と タツヤ。そのやり取りに、直人は「レールから降りたら廃車(敗者)になるだけ」と呟く。
 赤いスーツの変身ヒーローと背広のおじさんの親子喧嘩というシーンは実に面白い。
 一方で、科学技術の差を肌で知っているとか、父親への反発心などの事情はあるものの、<シティ・ガーディアンズ>は運用次第で それなりの効果が期待できるだろうという想像力が働かずに、大上段に「手を引け」というタツヤは、少々ヒーローに 酔っていて凄く嫌な感じ。この部分は、ドラマ的に回収を期待したい所です。
 脚本の本題としては、2話辺りと繋げた、後半のやり取りなのでしょうが。
 個人的には前半部分の、タツヤの嫌な感じになっている部分(Aパートでユウリとアヤセにたしなめられるシーンはあったので、 こちらはこちらで意識している筈)の方が気になってしまいました。
 最後の直人の台詞は意味を掛けていて、面白い。最初、「歯医者」に聞こえたけど(おぃ)
 父を振りきり、仲間の元へと向かうタツヤ。アサルトベクターでジャグルに大ダメージを与え、ヴォルテックバズーカが炸裂する!
 姉さん、やりました
 祝・圧縮冷凍
 遂に成功
 勝利を喜ぶタツヤと仲間達。それを見つめる父、そして何故か直人(護衛名目?)。
 なんだか少し、「「あいつにも友達が……」」的な生暖かい視線を感じなくもないですが、気のせい、たぶん。
 帰還しようとする5人だが、その時、刺激された時空パルスが遂に暴走!
 時空の裂け目から、怪獣が出てきた
 ギエンさん大はしゃぎ。
 という所で、以下、またまた次回へ続く。

◆CaseFile.29「炎の新戦士」◆ (監督:佛田洋 脚本:小林靖子)
 暴走した時空パルスの影響により、時空の狭間から現れたのは、時間移動実験に失敗して行方不明になっていた生体メカ・ブイレックス (見た目、メカメカしい肉食恐竜)。制御装置を失っていたブイレックスは現代の街で大暴れし、タイムシャドウやタイムロボを蹴散らす。 蓄積していたダメージの影響で、変身が解けて倒れるタツヤ。咄嗟に抱きとめるアヤセ。
 どうしてそこでアヤセですか。
 今回は、長く特撮監督を務める佛田さんが全編撮影という、年に1,2回の特撮カーニヴァル。というわけで、何かの 鬱憤を晴らすかのような大爆発が連続。佛田さんは経験も長いですし、年に1,2回の監督回というのは以前にもあるので、 全体的に演出は悪くありません。
 戦闘の合間に、(契約したビルだけかもしれませんが)避難誘導するシティ・ガーディアンズの姿が入っているのはいい所。タツヤは、 父親への反発心がいきすぎて、こういう部分が見えてないので、その辺りの間違いはいつかどこかで反省する展開は欲しい。
 その任務中、タックの存在と通信に気付く直人。
 大暴れしたブイレックスは、タイムシャドウから受けたダメージに対する自己修復機能が働き、姿を消すと休眠状態に入る。気を失った タツヤを連れてトゥモローリサーチに帰還したタイムレンジャーは、ブイレックスに関する情報をまとめる。
 もともと大規模な非常時を想定した戦闘用メカとして開発されたブイレックスは、開発されたばかりの時間移動技術の実験失敗で 行方不明となっていた。どうやら正常な時空間に帰還する事が出来ずに時間流を彷徨っていたと思われ、その間に制御装置を失って しまったらしい。休眠状態を終え、再び街で暴れ出す前に、制御装置を探さなくてはならない。タックは早速、その特殊なパルスの 探索を開始する。
 一方、ヘルズゲート囚人を解放するなど悪いイタズラがバレてドルネロを怒らせたギエンは、ブイレックスを手に入れようと進言する。
 「ギエン、てめえの悪い趣味はいいかげんひっこめな」
 「すまんなぁ。こればかりは病気のようなものだ」
 「病気ってやつぁ、下手すると命取りだぜ」
 地道なマフィアの営業活動が軌道に乗り始めているらしいドルネロと、はしゃぎたくて仕方がないギエンの間に入る、微妙な亀裂。
 そして、負傷したシティ・ガーディアンズ隊長の代理を自分に任せてほしいとタツヤ父に申し出るもあっさり拒否された滝川は、 力を求め、タックの通信で耳にしていた制御装置に興味を持つ。
 ……タックさん、誰も聞いてないだろうと思って、大きな声で通信ダダ洩れしすぎです。
 制御装置の特殊パルスをタックがキャッチし、確保へと向かう4人(タツヤはまだ療養中)。滝沢はそんなトゥモローリサーチを 見張っており、動き出した彼等の後を追う。更にギエンが解凍した武器密売人・ハマーが入り乱れ、制御装置を巡って三つ巴の争いが 発生。
 襲い来るゼニットを滝沢が拳銃で撃ちまくるのですが、連射そのものにどうこういう気はあまり無いのですが、それなら見た目オートマ にしておけば良かったのに、とは(^^; 何故リボルバー。
 制御装置を手に入れるが、ゼニットに追い詰められる滝沢。その時、ゼニットの攻撃を防ぐのに使った制御装置が光を放ち、小型の ブレスレットへと変形する。その指示を受け、ブレスレットをはめる滝沢。
 「タイムファイヤーーー!!」(やけに野太い声で)
 滝沢をかばったタイムレッドの前で、新たなスーツに身を包む滝沢。
 その名は、タイムファイヤー。
 タイムレッドの赤・白の逆という事なのでしょうが、6人目の戦士にして、赤・黒という珍しいカラーデザイン。あと今見るとギザギザ がアバレンジャーチック。
 周囲のゼニットを蹴散らしたタイムファイヤーは、やたらに強い武器密売人に苦戦するタイムレンジャーの前に姿を現すと、ゼニット 軍団と怪人を圧倒的な力で撃破。
 タイムファイヤーの必殺武器は、単独で圧縮冷凍可能という、5人揃わないと圧縮冷凍できない、タイムレンジャー (というかヴォルテックバズーカ)の致命的欠点をあっさりカバー。
 まあこれは、そもそも圧縮冷凍システムの小型化が困難という、単純にテクノロジー的な問題はしますが。
 とすると、ファイヤーのスーツ及び兵器はタイムレンジャーより少し先の技術を用いている方が自然かとは思いますが、さて、その辺り の設定と辻褄合わせはどうなりますか。コスト度外視の実験的ワンオフ製品、という可能性もありますが。
 顔見せ回という事で大暴れのタイムファイヤー、ポイントは、制御装置ブイコマンダーのやたら流暢な英語をすらりと理解できる 滝沢さんでしょうか。思わずさん付けになってしまう。

◆CaseFile.30「届け 炎の叫び」◆ (監督:佛田洋 脚本:小林靖子)
 タイムファイヤーに変身した直人に、ブイコマンダーの譲渡を求めるユウリ。
 「おねがい、それを私たちに渡して」
 ……ええだから、少しは説明しましょうね、ユウリさん。
 貴女のやっている事は、ほぼ、カツアゲです。
 勿論、真っ当な社会人の直人には拒否される。
 一方、制御装置の確保に失敗したギエンは、宇宙一の猛獣使い、密猟者・マスターハンターを解凍。その能力でブイレックスを手に 入れようとする。
 タツヤ父に、タイムレンジャーに準ずるテクノロジーを手に入れた事を報告する滝沢。それを聞いた父は、タツヤ以外の4人をシティ・ ガーディアンズにスカウトしようと、トゥモローリサーチを自ら訪れる。一方、そうとは知らないタツヤは、ブイコマンダーを渡して くれるよう説得しようと直人の元へ。渡す気など全くない直人は、タツヤに勝負を申し出、人気の無い倉庫前でタイマンを始める二人。
 「誰だってお坊ちゃんの遊びに付き合ってられるほど暇じゃないんだよ」
 「そのおめでたい性格、昔から気にくわなかった」
 ずばずばと気持ちいい、滝沢(笑)
 かつて高校インターハイ決勝で戦った二人。
 敗れたタツヤは父の敷いたレースに乗り、父の決めた大学へと入った。
 勝った直人は特待生の切符を手に入れて一流大学に入ったが、そこは自分の居場所ではない事を突きつけられた。
 「おまえにいつもレールから弾かれるヤツの気持ちがわかるか、浅見」
 拳を交えた事によりそれぞれの人生に歪みが生まれた(と思っている)二人が、自分のこれからの人生を掴む為に、再び拳を交える。
 と、じっくり書いてきたタツヤと滝沢の関係性と対比の、ひとまずのクライマックス。片一方だけがねじれて逆恨みしているわけでも なく、タツヤもタツヤなりにねじれている所が、面白い。
 最後は変身までしての壮絶な喧嘩は、しかしブイレックスの再起動により水入りに終わる。ブイコマンダーによってブイレックスを制御 しようと現場へと向かう直人。その後を追うタツヤ。そして駆けつける4人の仲間。
 彼等は――直人の横をすり抜け、タツヤの元に駆け寄る。
 4人はロンダーズ事件に集中できるシティ・ガーディアンズに所属する事よりも、あえて、タツヤという仲間を選んだのだった。
 「おめでたいヤツぞろいだな」
 うそぶき、現場へと走り去る直人。
 5人もまた、ブイレックスを止めて街を守る為に、タイムロボを呼び出す。
 ここで、未来からのタイムロボの出撃シーンの合間に、走る5人のカットが順々に入って、主題歌インストとともに変身するシーンは、 非常に格好良くなりました。
 半ば暴走、半ばマスターハンターの洗脳化にあるブイレックスは街を破壊して暴れ回るが、直人の呼びかけとマスターハンターの 仕掛けた装置の破壊により、その制御下に入ると、ブイレックスロボに変形し、巨大化したマスターハンターを撃破。
 こうして、ブイレックス、そしてタックも知らない謎のスーツ・タイムファイヤーは滝沢直人、ひいてはシティ・ガーディアンズの ものとなる。
 功績を認められ、シティ・ガーディアンズの隊長に就任する直人。
 事態の推移を見つめる未来のリュウヤ。
 タックの持つ記録の中に、ブイレックスの実験や、ファイヤーのスーツに関するデータが無いのは何故なのか?
 様々な謎と時間保護局に関する疑念を孕みながら、再び、歴史はうねりだす――。
 ……しかし、レックスさんはどこで飼うんだろう。
 いったい、何を食べるのだろう。
 3話半使っての、タイムファイヤー登場編。
 じっくりと時間を使っての新キャラ登場編という事で、なかなか盛り上がって面白くなりました。特に直人とタツヤのタイマン場面は 良かった。滝沢は、皮肉っぽいところとスポーツマン的なところのバランスが若干悪い気もしますが、今後更に面白くなっていってくれる 事に期待。
 あと、大筋としての注目点は、父とのやり取りなどの中で改めて、タツヤの中の嫌な部分が浮き彫りになってきており、そこは出来れば 話の中で突っ込んで回収してほしい所。滝沢の視点には多分にコンプレックスが含まれておりますが、かといってタツヤが純粋にいい奴 かといえばちょっと違う所あるよね、という所に触れていっている事は、期待したい。
 居場所探し、というテーマは個人的にはあまりそそらないのですが、今作は、親の敷いたレールに乗せられたままでいる事を嫌い、 “家”という居場所を出た男が、“1000年先の未来”という居場所を失った4人と出会って、“仲間”という居場所を得る。そして “タイムレンジャー”という居場所を守る為に戦う、というのが基本構造なので、だいたい構想通りか。
 前回、タツヤに関して「ヒーローに酔っている」と書きましたが、もう少し言えば、タツヤは色々と建前をつけてはいるものの本質的に はまだ私闘をしていて、彼の本義は「タイムレンジャーとして戦う事で自分の存在意義を見出す事」にある。だからタツヤは、他者が そこへ(しかもそれが切り離した筈の父に関わると来れば尚更)踏み込んでくる事で、自分の戦う(存在する)意義を失う事を恐れ、 嫌悪している。
 一方、自分の為の居場所がどこにも無いと感じる直人は、用意された居場所を憎み、自らそこを捨てていったタツヤを理解できず、 “力”を得る事で、自分の居場所を得ようとする。
 この辺りのキャラと筋、筋と材料の絡ませ方は、お見事。
 だから本当は、シオンの“故郷”話はシリーズ全体のテーマ性とかかわる重要なエピソードだったと思うのですが、尺の都合で書き込み きれずに中途半端な内容になってしまったのは、残念。
 残り話数を考えると、少し気を緩めるのか、このまま怒濤の勢いでクライマックスまで行くのか……とりあえず次回、困ったカメラマン またまたまたまたまた、ぐらい。

◆CaseFile.31「迷想ゲーム」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
 OPにファイヤーさん&恐竜ロボ追加。
 ブイレックスは浅見グループの用意した「格納庫」に収納されているらしい。起動しない時は、大人しくしているのだろうか、恐竜。
 「俺ぁじっくり考えたんだがなぁ、ギエン。タイムレンジャーはともかく、それ以外の災難は全部、おまえのせいで起きたん じゃねえか?」
 「ほっ、どういう事だ?」
 「タイムレンジャーのロボットが増えたのも、タイムファイヤーもブイレックスも、全部てめぇが好き勝手に暴れたせいじゃねえか、 て、言ってんだ」

 あ、気付いた(笑)
 「いいか、今度悪さをしたら、俺はこいつを使うぜ」
 おしゃぶりのような道具を取り出すドルネロ。それを見て、やたらに脅えるギエン。詳しくは謎。
 その頃トゥモローリサーチでは、ホナミからタイムイエロー宛の「今度会ってもらえませんか?」という直球なメールを受け取った ドモンが狼狽していた。そこへ「カウンセリングへ行ったまま帰ってこなくなった息子を取り戻してほしい」と依頼人が駆け込んでくる。
 調査の結果、30世紀の心理カウンセラー・ゼクターの事件への関与が判明する。ゼクターは心に入り込む装置で患者を治療するが、 わざと完治させない事で患者をカウンセリング中毒ともいえる状況に追い込み、料金を搾り取るという悪質なカウンセラーであった。 ゼクターを捕まえるだけでなく、患者の救済の為には、そのマインドモジュレーターの波形データを分析しなくてはならない。治療装置に 分析機を取り付ける為に、ドモンが患者として囮になる。
 囮作戦の決行が、ホナミがメールで指定してきた時間と被った為、落ち着かないドモン。運転主役のタツヤは、ホナミにメールを 返さない理由をシオンから聞いた事を告げる。
 タツヤ「気持ちはわかる……かな。確かに、お前達いつかは帰っちゃうんだもんな」
 ドモン「ユウリもな」
 タツヤ「えっ……なんだよ、俺は」
 急に外野からフラグが。
 確かにドモン、ホナミの事があるにしても、最近ユウリさんにちょっかいかけなくなっていますが、意外とその辺りに鋭いという事 なのか? まあ、シオンは恋愛ネタには頓珍漢だし、アヤセさんは人の色恋に一切興味なさそうですし、外堀から埋めていくとしたら、 ドモンしかいない、といえばそれまでですが。
 囮となったドモンは治療装置に分析機を取り付ける事には成功するが、タイムレンジャーである事はバレてしまい、心の世界でゼクター の精神攻撃を受ける。ホナミの幻を切らされるが、むしろ、それで吹っ切れ、ゼクターの支配を脱するドモン。
 「なんで俺が囮になったと思う? プロファイターってのはな、ぎりぎりになってからがつええんだよ!」
 ……なるほど、ドモンは表向きメンタル弱いけど、追い詰められてからが強いという設定だったのですね。
 これ、視聴者も軒並み「どうしてドモン?」と思うだろう、というのを踏まえているメタ的なネタになっているのが面白い、というか、 酷い(笑)
 精神攻撃が破られるやいなや、いきなり自ら巨大化するゼクター。巨大ロンダーズ出現の報に、スーツとブイレックスのデータを取る為、 出撃する滝沢。タイムイエローの記憶からタイムロボの戦闘データを入手していたゼクターはタイムロボの攻撃を軽々とかわすが、 ブイレックスの読めない攻撃を受けて撃破される。
 タイムロボもここまで相当強かったので、苦戦の理由つけるが大変そうです。
 戦闘終了後、ホナミと待ち合わせの場所へ急ぐドモン。
 「私、はっきりわかった。誰がタイムイエローかなんて、どうでもいい。私が好きなのは、あの、タイムイエローなんだから」
 待っている内に自分の本当の気持ちに気付くホナミだが、仕事の時間が迫った為にその場を立ち去ってしまい、ドモンとはすれ違い。 一足遅れで到着したドモンは、ホナミが落としたパスケースを拾う。
 そこ挟まっていたのはタイムイエロー……そしてアヤセの写真。
 「はははははは、そういう事かぁ」
 ドモン、結局は顔という世界の真理に気付く。
 というか、更にひねってまた面倒なすれ違いが誕生しましたが、まだ引っ張るのか、このネタ……!!
 さすがにホナミが一方的に都合のいい勘違い(タイムイエローはイケメン)をしているのはどうかと思ったのか、是正されてきましたが。 すっかり巻き込まれている、アヤセさんの明日はどっちだ?!
 ドモン「おまえ、30世紀に、彼女とか、妻子とか残してねえだろうな」
 認知してない子供とかい(以下検閲削除)

◆CaseFile.32「犯罪者を救え」◆ (監督:松井昇 脚本:山口亮太)
 圧縮冷凍から解凍された爆弾製造犯・DDラデスは、「金輪際、人の道を外れるような真似はしない」と誓っており真っ当に刑期を 勤め上げるつもりだった事から、ロンダーズファミリーへの協力を拒否した為にドルネロに始末されそうになる。そこへ現れたギエン、 どうせ始末するならと、開発中の脳波操作装置ヒュプノピアスを突き刺してラデスを操ろうとする……が、失敗
 大暴れして逃げ出したラデスは街に飛び出し、本人は正気に戻ったものの、怪人の出現に街は大パニック。シティ・ガーディアンズへと 通報が入る。
 ガーディアンズの出撃シーンで、タイムファイヤーに憧れて入隊したという隊員に声をかけられる滝沢隊長。
 「これが、力ってやつか」
 ……なんか違う(笑)
 滝沢は滝沢で友達少なそうなんですけど、「俺は一人でやれる」とか言いつつ、割とさびしんぼなタイプか。
 その頃、出張修理中だったシオンはラデスがギエン等に追われている所に行き合い、タイムグリーンに変身して彼を助けるが、シティ・ ガーディアンズが現場に現れた事で話がややこしくなる。「俺を圧縮冷凍してくれ!」と言うラデスに、トゥモローリサーチへ連絡を取る シオン。シオンがラデスを連れて行った所を見た滝沢はタツヤ達に因縁をつけにくるが、タツヤ達の方も状況が飲み込めない。
 ……まあ別に、ファイヤーに圧縮冷凍してもらってもいいよう気はするんですが。
 喜んでやってくれそうですよ、滝沢。
 倉庫街へ向かうタイムレンジャー、その後をこっそり追う滝沢、逃げるシオンとラデスが交錯し、結果的に、滝沢の攻撃から怪人を かばう事になるタイムレンジャー。
 「なぜ邪魔をする」「俺達は圧縮冷凍をして逮捕しているだけだ」「俺は俺のやり方でやるぜ」
 と、そもそもの前提条件が共有されていないので、ちぐはぐな会話。
 ……というか滝沢、初回戦闘時に必殺技で圧縮冷凍した事に、気付いていない?
 この辺りのやり取りは、ギャップで笑いを生みたいのならば台詞回しがそこまで面白くはないし、真面目にやっているのだとしたら 説明しろよタイムレンジャーですし、なんともちぐはぐ。
 その頃、ラデスと共に倉庫の中に逃げ込んだシオンは、埋め込まれたヒュプノピアスを取り外そうとしていたが、手持ちの工具では 上手くいかない。このヒュプノピアスを抜いてから圧縮冷凍を行わないと、脳細胞が破壊されてしまい、解凍時に問題が発生してしまう のである。
 という説明が入るのですが、これも真っ先に入れないと、さっさと圧縮冷凍しない(ファイヤーに圧縮冷凍させない)理由がわからない ので、引っ張ってしまったのは明らかに失敗。
 〔圧縮冷凍してほしい→しかしヒュプノピアスを抜かないといけない→事情を知らない滝沢に待つ気はない〕
 という所でドラマが生まれるのに、その肝心のキーが後回しという、どうしてこんな構成になってしまったのか不思議。
 タイムレンジャーより先に、シオン達を見つけた滝沢はラデスに銃口を向ける。その前に立つシオン。
 「見かけが地球人と違うからって、撃つんですか」

 ???

 ↑滝沢の気持ちを代弁してみました
 追いついたタイムレンジャーとシオンに、よくわからない説得を受ける滝沢。

 もう誰か、滝沢に事情を説明してやって

 「馬鹿じゃないか」と言われる可能性もあるけど、滝沢、頭悪くないから、多分わかるから。
 時空が不安定な状況でリスクを犯したくないという事かもしれませんが、2話でタツヤに説明したように、個人に多少の事情を説明する ぐらいなら、歴史の修正力の方が勝るという設定の筈なので、ここで滝沢に事情を説明しない確固たる理由がありません。どうしても説明 したくないなら、少なくともその理由付けは、適当でもいいから先に書いておくべき(滝沢に教える→浅見グループに伝わる→影響が 大きくなる可能性があるので危険とタックに言わせる、ぐらいでOKなわけで)。
 ぐだぐだのタイムレンジャー、シオンは「どうしても撃つなら自分ごと」とラデスの前で両手を広げ、滝沢はトリガーに指をかけるが、 放たれた銃弾は全て外れる。
 「直人さん……」
 「まだ調整が巧くいってないようだな」
 みんな、「いいとこあるじゃん」みたいに感心しているけど、いやだって、滝沢だっていきなり人間(シオン) 撃てませんよ。みんな、滝沢の事を何だと思っているのか。
 滝沢にしても、誰か見ているわけでなし、バルカン撃つパフォーマンスやる理由も、実は無いのですが(^^;
 今回はそういう、“各々の行動の理由付け”が全体的におざなりすぎ。
 「いや、思わずもらい泣きしてしまうな。それでは私も、ささやかながら、花を添えさせてもらおう」
 一部始終を陰から見ていたギエン、ヒュプノピアスのパワーを増幅。凶悪化して暴れ出したラデスはタイムレンジャーを蹴散らし、 巨大化。暴走パワーでタイムロボアルファをものともしないが、滝沢が出撃させたブイレックスが抑え込んでいる間に、体ごと大きく なったヒュプノピアスをシオンが外からアサルトベクターで狙撃して破壊。タイムロボアルファによって、無事に圧縮冷凍される。
 今回せっかく面白い状況設定(=刑期を真っ当に勤めるつもりでロンダーズに非協力的な怪人)なのに、滝沢サイドとの絡みが終始 ぐだぐだで、非常に勿体ないエピソードでした。
 そもそもタイムレンジャー側に真っ当な説明をする気がないのに、どうしてわかってくれないんだ滝沢、みたいに話を運ばれても、 わからない滝沢の方が普通です(笑) むしろ滝沢、最終的に気を遣いすぎ。
 伏線としては、ギエンがヒュプノピアスを、ヘルズゲート囚人の完全操作の為に開発している、という辺りが割と重要か。
 次回、アヤセに隠し子発覚?!

◆CaseFile.33「リトルレディ」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
 テディベアと共に謎の男達から逃亡をはかる少女。
 黒服の男の一人、大友龍三郎さんのよーな……?
 少女――桜井エミリは、道で自動車の割り込み運転から始まった揉め事を仲裁したアヤセを見て、ボディガードを頼むので朝霧山まで 連れていってほしい、と強引に車に乗り込んでしまう。彼女のスカートの端が破れている事に気付いたアヤセは、シオンに連絡して迷子の 情報を調べてもらうと共に、仕方なく彼女を乗せて車を走らせる……。
 名前と年格好だけで迷子情報を探せるとか、どこまでハッキングの手を伸ばしているのか、シオン。
 アヤセさんが、乱暴な運転手にクラクションを鳴らしてからまれているドライバーを助けるのは若干、不自然な気がしないでもない ですが、事が車に関わると正義の人になるのか、単純に進行方向が塞がって邪魔だったのか、仲間が 見ていない所ではいい人一直線なのか。
 アヤセが朝霧山に向けて車を走らせている中、シオンの調査で、エミリの素性が判明。一月前に死亡した母親の治療費の為に父親が 借金をし、酷い取り立てにあっていたという。父親が金を借りていたという鬼金ローンにタイムロボターを潜入させたところ、父親が 捕まっている事、そのバックにはロンダーズが居る事がわかり、ローン会社へ突入するタイムレンジャー。
 一方アヤセ達の前には、鬼金ローンを取り仕切る悪徳金融業者・ドゴールが姿を現す。ドゴールの目的は、エミリを人質にする事で、 その父親に死ぬ気で金を作らせる事にあった。ドゴールに車で体当たり、振り落とすアヤセ。エミリと共にその場を離れようとするが、 エミリは朝霧山に辿り着いた事に気付くと、アヤセの手を振り払って走り出す。彼女の目的は、かつて両親が健在だった時、川遊びで 拾った綺麗な石の数々。母親が宝石だと言ってくれた思い出の宝物、川辺に埋めていたそれを掘り出す事にあった。
 価値のある宝石だと信じている石を差しだし、父親とアヤセを助けてくれと言うエミリだが、それらは勿論、ただの石。ドゴールは 取り合わない。エミリが振り払われるのを見て、アヤセ、ロリコンに覚醒。怒りのパワーで ドゴールを撃破する。
 鬼金ローンでエミリの父親を助け出した仲間達が合流し、圧縮冷凍しようとするが、巨大化。ロボ戦になるが、ドゴールのパワーに 苦戦。しかしそこへタイムファイヤーがおいしいとこ取りに現れ、レックスロボによってドゴールは撃破される。
 ううーん、どの作品でも難しくなる所ではあるのですが、追加ロボの組み込み方が、今回はあまりにも適当(^^;
 戦隊の巨大ロボはどうしても、短い尺の中で派手に活躍させなくてはならない→結果的に苦戦を描く時間が無く、概ね適当に強い→ しかし新ロボが出たらそのアピールの為に旧ロボは弱体化させなくてはならない、という事情があるので、劇中全体におけるパワー バランスの組み込み方が難しいのですが、タイムロボも中盤まで苦戦らしい苦戦が無かった(本体の強さはともかく、必殺技を発動すると 無敵)ので、どうしても急な苦戦に違和感が強くなってしまいます。
 この後、戦隊ロボの組み替え玩具化による多彩なパーツの使い分けという方向性が出てくる事によって、ロボ戦に関しては一定の緩和が されるわけではありますが。
 今回は特に、話の都合でアヤセが怪人態を一人粉砕していたので、余計に苦しい感じになってしまいました。
 ところでドゴール、何かに似ているなぁと思ったら、カネゴン?
 ラスト、父親と再会するエミリ。
 しかし宝石だと思っていたものがただの石だと知り、「便利屋さんにお金、払えない」と落ち込む彼女。アヤセはそんな彼女の掌から 報酬として石を一つ貰い、去っていくのであった。
 全体的に構成が荒いというか、一つ一つのシーンの台詞回しとか演技があまり面白くないのですが、シンプルないい話としては密度が 足りなかったのでコメディ部分を足したら滑ったのか。脚本と演出の間で意志疎通が上手く行かなくて、その辺りがちぐはぐな感じに 出てしまったのか。
 恐らく終盤へ向けて、やさぐれ前のアヤセの人格が少しずつ戻ってきている的なニュアンスもあった感じもしますが、その辺りの バランスもあまり良くなかったかな、と。

◆CaseFile.34「暗・殺・者」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
 未来の犯罪者達を社会のあちこちに潜ませる事に成功し、すっかりファミリーの事業が軌道に乗りだしているドルネロ。一方、ギエンは 破壊衝動のストレスが溜まりに溜まりまくっていた。
 そんな頃、会社社長が暗殺者の襲撃を受け、重傷を負って入院するという事件が発生。どうやら背後には、大がかりな暗殺グループが 存在するらしい。シオンの馴染みの電気屋のおじさんによると、「とあるバーにバラのつぼみをもっていくと、暗殺グループが接触して くる」という噂がまことしやかに流れているらしい。未来で同様のやり口の暗殺グループを率いていた犯罪者に心当たりのあるユウリは、 暗殺グループへの接触を試みる。
 シオンのなじみの電気屋のおじさんに“街の噂に詳しい”とか、変な追加設定が(^^;
 グループのリーダーに直接の接触を図る為、タツヤを的に、狙撃事件をでっちあげ、狙撃手として自らをグループに売り込む ユウリ。接触に成功したユウリの前に姿を見せたのは彼女の予想通り、未来で同様の暗殺グループを率いていた男であり、インターシティ 警察の元同僚、アベル(CV:緑川光)。
 二人にはある因縁が……
 ユウリ「貴方が私が家までついてくるのを止めさせるか、部署を変えてほしいと言っただけ」

 ストーカーでした

 この上層部への進言により警察を解雇されたアベルは、道を踏み外して犯罪者に。
 アベル「僕が君を追いかけるのを止めるかわりに、君に僕を追いかけさせる」

 変態でした

 しばらく前に、「作戦終了後に誰も居ない真っ暗な部屋に帰る事が一番不安だった」と弱い部分を少し告白していたユウリさんですが、 家族はともかく彼氏が居ないのは本人の性格にも問題があるのでは、と思っていたらどうやらかなりの原因は、 このストーカーだった模様
 というかユウリさん、ダメンズホイホイ?

 男運の悪い孤高の女

 とか、なんかもう、どうフォローすればいいのか。
 なお今回のシナリオは若干以上に、緑川光に変態台詞を格好良く言ってもらうのが楽しい状態で、やや暴走気味。
 アベルを逮捕しようとするユウリだが、精神コントロールガスを浴びせられて逆に捕まってしまう。
 「君も僕と同じ犯罪者になるんだ。そうすれば一生僕と生きる道しかなくなる」
 精神制御で行動を縛り、入院先から転院する標的の社長を射撃させようとするアベル。ガラスの破片で自らを傷つけ、正気を取り戻した 短時間にタイムレンジャーに連絡をつけるユウリ。更なるガスの噴射により自由を奪われ狙撃を行ってしまうが、間一髪、かけつけた タイムレッドが社長をガードする(なおこの転院は、護衛にあたっていた滝沢による、暗殺者誘き出しの為の嘘情報)。怒りのタツヤ、 アベルからユウリを回収する事に成功。
 集まったタイムレンジャーを見て、激昂するアベル。
 「なぜ君の周りにこんなに男が居るぅ?!」

 みんな、ダメンズだけどな

 更に滝沢/タイムファイヤーも姿を見せ、ゼニットを蹴散らしていく5人+1。ユウリは、愛の力で<対ユウリ属性 ☆☆☆☆☆>の アベルに苦戦を強いられるが、「いつまでも昔の私と一緒と思わないで」と射撃と斬撃の合わせ技で見事にストーカーを打倒。巨大化した アベルだが、タイムロボベータシャドウとブイレックスロボの連係攻撃を受け、圧縮冷凍される。
 こうして暗殺グループは解体、事件は無事に解決されたが、事務所でユウリは、ガスを浴びて狙撃を行う寸前の事を思い返していた……
 (私、あの時初めて、助けを求めてた……タツヤに)
 自分の中に芽生えていた想いを、意識し始めるユウリ。
 ここに来て、外堀から埋めに行っていたタツヤ×ユウリが、ある種の吊り橋効果でビートアップ? どこまでやるつもりかはわかり ませんが、残り15話程度で他にも、ドモン×ホナミ、タツヤ×アヤセ、タツヤと父親、タツヤと滝沢、ドルネロと ギエンの微妙な関係(ロンダーズサイド)、未来(リュウヤ)の謎、と要素てんこ盛りで、ラスト1クールは、濃くなりそうだなぁ。
 次回、滝沢回。ここに来て普通の滝沢回というのは、嬉しい所で注目。

◆CaseFile.35「明日が来ない」◆ (監督:諸田敏 脚本:山口亮太)
 タイムファイヤー、CTスキャン中。スーツの解析の為に、VコマンダーにDセンサーなる装置を取り付ける。
 昔出てきた、第三研究所の博士が再登場するなど、こういう所で脇役を繋げるのは好き(低予算の1年物では、諸事情でやりたくても 出来なかったりもするわけですが)。
 「平和の為に研究を進めたい」という博士に、「蕁麻疹出るんですよ、そういう綺麗事聞くと」と毒づく滝沢。
 外に出ると、受付の所に花束を持ったタツヤの姿。

 いきなり土 下 座

 直人はタツヤに半ば強引に、ある病院に連れて行かれる。病院でたまたま(掃除のアルバイト中に)知り合った、タイジという少年に、 タイムファイヤーの姿で会って欲しいというのだ。心臓の手術を控える少年は、タツヤ達がタイムレンジャーの姿で励ましに行っても 「タイムファイヤーじゃなきゃやだ」というぐらいの、タイムファイヤーの大ファン。そんな少年を励ましてほしいと頼まれるが、 直人は渋い顔で頷かない。
 約束したにも関わらず、なかなかタイムファイヤーが現れない事に、「明日なんか来なければいい」と叫ぶタイジ少年。
 その時、病院に警報のベルが鳴り響く。病院のコンピュータが外部からハッキングされて停止してしまったのだ! ロンダーズ怪人で ある犯人はハッキングを解除してほしければ、と金銭を要求する。そして同じ頃、都内全域の救急病院で同様の事件が発生していた。
 タイジ少年を励ましにタイムレンジャーが病室を訪れたシーンで、他の子供達に囲まれた時のユウリのぞんざいな子供の扱い方と か、相変わらず着ぐるみ芸が細かい。
 簡単にハッキング元を割りだしたシオンの助けにより、ロンダーズ怪人の元へと向かうタツヤと直人。
 なんだかんだで会社に連絡せずに、迅速な共闘を選ぶ滝沢。
 突入した小屋で二人の前に姿を現したのは謎の老人……その正体は、ハッカー・ユーゲント。
 頭脳派かと思いきや、電子頭脳で相手の能力を一瞬で解析するユーゲントに思わぬ苦戦を強いられる二人。駆けつけた仲間達も次々と 撃破され、ユーゲントの放った光線がファイヤーを直撃、Dセンサーが奇妙な火花をあげ、そして……
 パンツ一丁でベッドの上で目を開く滝沢。
 周りには、第三研究所の面々。
 その日の朝に、滝沢は戻っていた
 はっきりとそれに気付かないが、奇妙なデジャヴを感じる滝沢。
 そして繰り返される一日。
 タツヤと病院を訪れた直人は徐々に繰り返す一日の記憶を取り戻していき、非常ベルが鳴るやいなや、記憶にあるユーゲントのアジト 前へと向かう。2週目は、適度に省略しながらほぼ同じ流れで動くのですが、ユーゲントのアジト前に辿り着いた時、地面に落ちていた QP人形を、1回目は滝沢が川に蹴り飛ばしたのが、2回目はタツヤが拾って川に投げ捨てる、というのが秀逸。
 また、何故わざわざ怪人に人間体を使ったのかと思ったら、一見して「ただの老人」と「正体はロンダーズ」と知っているタツヤと直人 のギャップを出す為だったと非常に納得。
 そして再び戦闘。二人もタイムレンジャーもユーゲントに蹴散らされ、再びユーゲントの光線が滝沢を襲う。
 またも、パンツ一丁でベッドの上で目を開く滝沢。
 ハッキリした繰り返しの記憶を持った滝沢は、恐慌に陥る。
 「俺はいつから同じ一日を繰り返している?」
 劇中で見せている分は3回目ですが、もしかしたらタイトルの始まる前から既に滝沢は何回も同じ1日を繰り返していたのかも しれない、と視聴者に思わせるこの台詞が非常に秀逸。
 公園のベンチで考え込む直人の前に、花束を手に現れるタツヤ。直人は振り払おうとするが、タツヤと口論しながら移動している内に、 気が付けば病院の前へ来ている。駆け出す直人。いつの間にか、ユーゲントのアジト前。またもQP人形。
 追いついてきたタツヤに「俺は同じ一日を繰り返している」と告げる直人だが、「そんな馬鹿なぁ」とあっさり否定される(笑)
 30世紀の未来人と付き合いある割に、凄くざっくりですよタツヤ!
 そんなに言うなら確かめてみよう的に、直人の制止を無視してユーゲントのアジトへ入っていくタツヤ。「運命からは逃れられないって いうのか?」呟く直人の前で、小屋の中から吹き飛ばされてくるタイムレッド。「あいつには勝てない」と戦意を喪失し、ファイヤーに 変身もしない直人は、ユーゲントの攻撃を受けた時に、Dセンサーの異常に気付く。再びタイムレンジャー達が蹴散らされ、迫る ユーゲント。Dセンサーを必死に外そうとするが、それより早く、生身の直人にユーゲントの放つ光線が……炸裂する寸前、直人をかばう タイムレッド。吹き飛ばされ、黒く煤けながらも、レッドは立ち上がる。
 「運命なんて、自分次第で変わるるもんだろう。脅えていたら、流されるだけだぜ」
 タツヤの言葉に、直人も恐怖を振り切り、立ち上がる。
 「相変わらず脳天気なやつだぜ。そんなやつが俺の運命に口出すな!」
 ファイヤーに変身する直人。レッドとファイヤーの共闘で、ユーゲントを撃破。ちゃんとDVフレイザーしてくれる直人だが、やはり 怪人は巨大化する……まあこのパターンだと、武器で圧縮冷凍できるとか凄くどうでもいいと、滝沢で無くても思うわけで(笑)
 タイムシャドウがハッキングされてタイムロボは危機に陥るが、滝沢がレックスロボで容赦なくシャドウを打撃。 シャドウは正常に戻り、ユーゲントの撃破に成功するのであった。
 ラスト、せめてもう一度タイジを励まそうと、病院を訪れるトゥモローリサーチの面々。
 「来なかったな直人」
 「来るわけないだろ」
 その時、角を曲がって見えてくる病院のベッド。
 そこへ連れ添っているタイムファイヤー。
 最後はファイヤー、病院の子供達に囲まれて、あわあわした所でジ・エンド。
 滝沢がタイジ少年を励ます理由は特に無いのですが、彼なりにタツヤに借りを返した、という所なのか。
 SF的なプロット(繰り返す一日)と作品の大きなテーマ(運命は変えられる)をうまく融合した、面白い回でした。
 繰り返しネタは映像的に、最初は面白いけどあまりやると飽きる所を、「俺はいつから同じ一日を繰り返している?」という台詞に よって、時間軸の広がりを見せ、滝沢の恐慌を納得できるレベルにしたのが、非常に秀逸。
 タツヤと直人が近づきすぎず離れすぎずのうまい距離感で収まったのも良かった。
 それから、この終盤に来て、今回からアイキャッチが変更。
 ユウリさんがやたらどアップ。
 そしてシオンがやたら小さい。
 誰だか確認できないレベルで。
 ………………黒いから?

◆CaseFile.36「素顔のままで」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
 拾ったパスケースを、まだホナミに返していなかったドモン(笑)
 ホナミにアヤセを紹介するかどうか、ひたすら悩み中。
 一方そのホナミは、巷で話題の武器商人の事件を追おうとしていた。
 ロンダーズファミリーである武器商人・バンジャンは30世紀の爆弾を売りつけていたが、取引現場に闖入した謎のチンピラに、 現金と爆弾、二つのトランクを奪われてしまう。取引相手と協力して、ゼニットにチンピラを追わせるバンジャン。
トゥモローリサーチ社では、ドモンが外で悩み中、シオンとアヤセが買い物に出かけている間に、タツヤとユウリが昼色にホットケーキを 用意していた。
 タツヤ「おいしそうにできたね。ユウリなかなかじゃん」
 ユウリ「タツヤのおかげよ」
 タツヤ「そんなことないよ」
 なんかソファで、距離が近い。というか既に、バカップルの空気。
 そうかタツヤは、「料理を教える」という名目で、地道に好感度を積み重ねていたのか!
 「ただいまー」
 タツヤ・ユウリ「「あ」」
 三人が帰ってきて慌てて離れるふたり。
 シオン「これユウリさんが作ったんですか」
 タツヤ「俺の特訓のおかげ」
 シオン「食べられます?」
 ユウリ「シオン!」
 なんかシオンの言動が、黒い所を隠さなくなりつつある
 このままラスボスになるのか、シオン。
 そして、二人の姿を見てどうも何かピンと来たっぽいアヤセさんの視線が生暖かい。
 まあ、ドモンにも突っ込まれるぐらいだしなぁ……。
 タツヤ「おいしいだろ?」
 シオン「意外においしいです」
 ユウリ「意外にじゃないわよ」
 シオン「意外にです」
 ユウリ「謝んなさいよ!」
 背景でダークシオンと乙女ユウリが交戦を始める中、「食事が終わったらちょっといいか」とアヤセに声をかけるドモン。そこへ 飛び込んでくる、一人の男(冒頭のチンピラ)。男からの「トランクを晴美埠頭まで運んでくれ」という飛び込みの以来に、これ幸いと ドモンは仕事を受け、アヤセに同行を頼む。
 「で、俺になんの話があるんだ?」とアヤセに水を向けられたドモンは「ホナミちゃんと一度会ってやってくれ」と頼み、「つまり その、こういう事だったんだよ」と例のパスケースを見せる。
 あちゃーーーーーという顔のアヤセは一言、「断る」。
 揉める二人だが、そこへトランクを追ってきたギャング&ゼニットの化けた人間が現れ、襲われる。とりあえず逃げ出す二人。 追っ手を何とか撒いた二人の元に、晴美埠頭で待っているチンピラ(どこかへ高飛び?するつもりらしい)から電話がかかってくる。 焦れるチンピラは、「10分以内に持ってこなければ中の爆弾を爆破する」と本末転倒な脅迫。中身を確認した二人はそれが30世紀の 爆弾だと知ると、トゥモローリサーチに連絡を入れ、タツヤとユウリがリモコンの回収に向かい、シオンが爆弾の解析を進める事に。 再び追っ手に見つかり、走るアヤセとドモン。
 この辺りは演出的にも、スラップスティック的な展開を意識している感じが見受けられるのですが、小林靖子はこの手の、ドタバタ 展開を面白おかしくする、みたいなのはそれほど巧くない。この20年で特撮業界でスラップスティックを見事に書ける人となると、 井上敏樹が、やはり一歩ぬきんでている。
 この逃亡中のあれこれで、アヤセはホナミに会う事を承諾。アヤセは「おまえの気持ちはそんなものなのか?」とドモンを煽るが、 ドモンは、惚れた女に幸せになってほしいというのが男気、と、アヤセがホナミと付き合うならそれも良し、と唇を噛む。ここ、イエロー の正体勘違いネタが挟まった事で、20世紀と30世紀の時間差の問題がドモンの脳内から消えているっぽいのが、巧いというか ズルいというか(笑) アヤセとホナミが付き合ったらそれはそれで別の大きな問題が発生する事を、完全に失念している模様。
 その頃、リモコンの電波を追ってきたバンジャンに見つかり、海に落とされるチンピラ。遅れて埠頭に辿り着いたタイムレッドと ピンクはバンジャンと交戦するが、一方でアヤセとドモンはトランク(現金入りの方)を追っ手に奪われてしまう。その片割れの正体が ゼニットだと知った二人は変身して取り返そうとするが、ギャング側の追っ手が「待て。これでいいんだ。ようやく作戦が元通りだ」と 奇妙な台詞を口にする。……なんとその正体は、滝沢の変装。シティ・ガーディアンズと警察は、囮捜査によってバンジャンのアジトを 突き止めようと、現金と発信機入りのトランクで、バンジャンと取引していたのである。
 見事にアジトを突き止め、突入する滝沢とアヤセら。ゼニットを撃破し、警察の捜査が入る中、武器商人事件を追っていたホナミは アジトに突撃取材。そこで、現場を離れて戻ろうとしていたアヤセ、ドモンと対面する。
 アヤセを促すドモン。ホナミの方に踏み出すアヤセ。
 えーとアヤセさん……
 貴方なぜいきなり抱きしめようとしていますか
 その時、アジトを警察に強襲された事を知ったバンジャンは手元のリモコンでアジトを吹き飛ばすと宣言。慌ててレッドからアヤセらに 通信が飛ぶ。
 なお今回は、バンジャンvs赤・桃の戦闘シーンがしばらく続いて、ここでも二人の距離感が近かったり、芸が細かい。
 ホナミの前を離れ、滝沢達にそれを伝えに部屋へ戻るアヤセ。逡巡の末、飛びついてホナミを守るドモン。
 しかしアヤセさん、「伏せろーーー」と言って伏せたぐらいでは、たぶん、駄目すぎる気が。
 あわや大惨事かと思われたが、駆けつけたシオンの作成していた妨害電波でリモコンの電波を遮断。爆弾の起動は防がれ、アヤセと ドモンも駆けつけ、五人揃ったタイムレンジャーはバンジャンを撃破。
 なぜか、主題歌バックのタイムロボ出撃シーン〜戦闘で、妙に盛り上げ。
 戦い終わり、あの時、自分の隠せない気持ちを知ったドモンは、玉砕覚悟で、取材を終えて帰路につこうとするホナミの前に立つ。
 「ホナミさん」
 ドモンに助けられた時、一つの核心を得ていたホナミ。
 「貴方だったんですね。タイムイエロー……会えて良かった!」
 いきなり、抱きつく。
 そんな二人の様子を、なぜか出歯亀しているシオン。
 アヤセ「シオン。そういうの……趣味悪いぞ」
 シオン「あは、すいません。でも……良かったです」
 アヤセ「別に当然の結果だろ。彼女が好きだったのは、最初からタイムイエローだったんだからな」
 どうやら抱きしめ未遂も、最初からドモンを煽るつもりだったらしい、アヤセ
 そしてシオンが急速に、恋愛面についても成長しているというか、地球人を観察して何か悪い事をしようとしている ようにしか見えません。
 同時刻、トゥモローリサーチ社。圧縮冷凍したバンジャンをロッカーに収め(ロッカーの貼り紙が英語のものに変わっている!)、 昼食途中で爆弾事件に巻き込まれた為に残っていたホットケーキを食べるタツヤ、そしてユウリ。
 アヤセはドモンが気になったというより、こちらに気を遣った疑惑(なんだか立ち位置が、凄く大変)。
 タツヤ「そっかぁドモンとホナミちゃん、決まりかぁ」
 なんか微妙な雰囲気になる二人。
 ちょっと手が触れただけで「あ」とか「う」とか、中学生全開なのですが、ユウリさんに関しては全てストーカーが悪いのか。 まあ、幼少時に家族皆殺し→就職したら職場でストーキング被害、と、落ち着いて考えるとかなりハードな境遇だったので、仕方がない。
 タツヤは、それなりのルックスに凄まじい財力、と間違いなくモテてはいたと思うのですが。天然は天然だけど、別に女性に興味が無い わけではなさそうですし。まあ、家が“お見合い前提”っぽいので、父が厳しく目を光らせていたのか。執事部隊が24時間体制で警戒 して、下駄箱のラブレターを焼却したり、下校時の待ち伏せを処理したり、バレンタインのチョコを回収していたり、していそう。
 そんなこんなで、恋人は空手、のおぼっちゃまが出来上がってしまいましたとさ。
 しかし、彼等の間に横たわる最大の問題は、1000年の時間。
 あちこち、前途多難。
 そして滝沢は、海に落ちてあっぷあっぷしているチンピラを見ながら、「おまえのせいで手間取ったんだ。もうちょっと反省しろ」と、 ひとり埠頭でハードボイルドに浸っていた。
 次回、そんな滝沢が大ピンチ?!

◆CaseFile.37「狙われた力」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
 買い物中のリラに迫るシティ・ガーディアンズ。そんなシティ・ガーディアンズの出動情報をチェックしているタック。
 「あいつらの情報に頼るのはしゃくだなぁ」「向こうの方が設備が整っているから仕方ない」
 ……いや、シティ・ガーディアンズは正式な電話依頼を受けて出動しているのであって、一方的にその尻馬に乗っているだけで、 文句など一切言える立場でないと思うのですが。むしろシティ・ガーディアンズから、正式に抗議文が来てもおかしくない。
 ゼニットをシティ・ガーディアンズに倒され、更にタイムレンジャーの姿を見た事でリラは素早く撤退。タイムレンジャーが「仕事だ」 と言うドモンに、「仕事ねぇ……今度、そのへんをじっくり聞きたいもんだな」とスーツなどの解析が一向に進まないことへの疑念を軽く 投げかける滝沢。
 この時、シティ・ガーディアンズの出動風景を目に留める男の姿があった。  その男は、シティ・ガーディアンズ初代隊長・土方。二回目の出動時に重傷を負って療養していた彼は現場復帰し、新たに本部長という ポストで、現場管理&経営に携わる事になる。
 ……このあまり使われない感じの役職名がここで出てくるのは、もしかしたら小林靖子さんによる『ウィンスペクター』オマージュか? (『特警ウインスペクター』25話が、脚本家を目指すきっかけだったらしい) というのは考えすぎか。
 営業的には成功しているが現場の指揮はどうか、と早速注文をつける土方。目の上のたんこぶが出来そうな気配に「今更口出すな」 感満載の滝沢。さっそく火花散る両者。
 というか土方さん、経験がどうのとか言っていますが、シティ・ガーディアンズとしては、出動2回目にして重傷を負って リタイアしているので、どう考えても対ロンダーズの場数は滝沢の方が踏んでいます。あれか、外人傭兵部隊に所属していたり 世界各地の戦場を渡り歩いたりしてきた、ジェド・豪士なみの歴戦の猛者なのか。
 気軽に対戦車ロケットランチャーとか撃ってしまう世界から来たのか。
 まあ、浅見父が信頼を置いているようなので、それなりの実績の持ち主ではあるのでしょうが。
 滝沢が、タイムファイヤー一発で前代未聞の昇進なのも確かでしょうし。
 その頃、何時の間にやらアジトと別のビルの一室に根城を造っているドルネロのもとへ、リラがタイムファイヤーを何とかしてと 泣きついてくる。
 理由:「態度がむかつく」
 ドルネロはタイムファイヤー抹殺をギエンに相談し、破壊不足でストレスの溜まってきたギエンは、「ドルネロに気付かれず遊べるかも しれん」と、一人の犯罪者を解凍するのあった……。
 トゥモローリサーチでは、滝沢しいてはシティ・ガーディアンズにいい加減ロンダーズと自分たちの真実を説明するか相談中。ユウリと アヤセはそれも手だと考えるが、自分が居る限り協力関係にはならないだろう、とタツヤは否定的。「俺も親父のビジネスに利用されるの は嫌だしね」と、相変わらず、嫌悪感むきだし。
 非番の午後、意外とつつましいアパートで文鳥飼ってるよ滝沢!!  公園で鳥籠を洗っていた滝沢は、「文鳥かわいい」とやってきた近所の少女をそれとなく人質に取られ、三人組の怪しい男達に拉致 される。その正体は、ゼニットを率いた破壊工作員メイデン。山奥まで滝沢を連れていったメイデンは、Vレックスを呼ぶように滝沢に 迫る。車中でシティ・ガーディアンズに緊急コールを送っていた滝沢は時間稼ぎを図るが、そのコールは、滝沢を敵視する土方(滝沢の 態度も悪いのでどっちもどっち)により無視され、回線を切断されてしまっていた!
 シティ・ガーディアンズの通信をチェックしているタックがその異常に気付き、出動するタイムレンジャー。Vコマンダーを奪った メイデンは滝沢が呼んだVレックスを変声機によって操り、「30世紀のものを使いこなすなんて無理なんだよ」と真実の一端をぽろっと 口にする。
 その頃社長室で、Vレックスが勝手に動き出したけど滝沢と連絡が取れない、という報告を受けた浅見父に、「単独行動とは困った ものです」と土方が言っているのですが、いや、メカが動き出した上に当人と連絡が取れないなら、普通に緊急事態を疑いましょうよ(笑)  勿論、土方はわざとなわけですが、浅見父は、割とそういう事には気付かない人なのか。
 まあ、経営畑の人とはいえ。
 あと土方さんは一時的な感情のもつれが要因とはいえ、何らかの事件に巻き込まれたとおぼしい滝沢にこのまま「死人に口なし」を 期待している感じであり、さらっと黒い。
 滝沢危機一髪のその時、タイムレンジャーが参上。川に落下した滝沢はピンクに助けられ、自分の緊急コールが無視されていた事実を 伝えられる。そして、「30世紀って……30世紀ってどういうことだ」とメイデンが口にした言葉を問いかけ、遂に全ての事情を説明 される。
 滝沢「残念だが協力はしない。特に浅見とは遠慮したいね。今オヤジさんの所に戻られちゃ迷惑だからな」
 ユウリ「自分の出世の為? そんなに力が欲しいの!?」
 滝沢「ああ。 軽蔑したか?」
 ユウリ「力は裏切るわ。今回のように」
 滝沢「二度と裏切らせない」
 「力が欲しいの?」に、即答でしれっと「ああ」と答えるのは、滝沢の格好いいところ。
 あと滝沢は、なんだかんだで息子が父の元に戻ったら父の情が勝るであろう、という事を終始確信的に(関係が切れているのを直接 確認した後でも)口にしていて、なんとなく滝沢の親子観(しいては未だ語られない彼の過去)を窺わせます。
 しかしユウリさんは、どうして説得スキルが無いのに、他人への説明を担当しようとしますか。
 4人がレックスロボに襲われている間に二人して川辺で話し込んでいないで、後で5人揃ってからでも良かったと思いますよ?
 基本的に5人揃わないと、ボロボロにされるわけで……レックスロボとタイムシャドウを戦わせている間に、メイデンからVコマンダー を奪おうとする4人は、メイデンの光線銃で体から火花を散らしまくっていた。駆けつけたピンクも倒されるが、その落としたヴォル ユニットを生身の滝沢が拾う。レックスロボに踏みつぶされる寸前、「Vレックス、やめろぉぉぉ」という叫びがメイデンのVコマンダー に拾われ、危地を切り抜けた滝沢は、不意を付いた狙撃でメイデンからVコマンダーを奪い返すとタイムファイヤーに変身。狼狽する メイデンを、タイムレンジャーとの必殺技の連撃で、撃破する。
 非常に珍しい、協力必殺攻撃(結果的に)。追加戦士が出てきたら一度はやりたいネタですが、特に仲間というわけでは無い為に 出来なかったのですが、何となくここでやってきました。
 しかも、さらっと圧縮冷凍にも成功していた!!
 快挙
 加えて今回は、搭乗員が地上の為にタイムジェット状態のみで、タイムロボが登場しないという非常に珍しい形になりました。
 しかし滝沢はなんか、身内の裏切りで依怙地になってしまった感じ。
 もう少し、こういう男のつつき方ってあると思うんですよユウリさん!
 ユウリさんには最初からそういうの、何も期待してないけど!!
 ブイレックスロボを奪って暴れさせる予定が狂ったギエンは、ストレスで大暴れ。
 一方、シティ・ガーディアンズでは、滝沢の緊急コールを故意に無視した事が発覚した土方が失脚。滝沢はそれにかこつけて、 「本部長」のポストを手に入れて、なし崩し的に階段をまた一つ昇る。
 ラスト、アパートから引っ越す事になった滝沢(本部詰め?)は、少女に文鳥をあげて去っていく。
 んーー、少々唐突な文鳥とこの少女は伏線になるのかな? 文鳥も「滝沢にもこんな一面が!」みたいなネタだけだとしたらちょっと つまらないですし、それなら別に少女にあげる必要も無いわけで、わざわざ最後に少女にあげたという事には、何か意味があるといいなぁ。 あって欲しいというか。ラストで文鳥2羽の名前を強調したのも意識的だと思うのですが、さてどうなるか。
 ところで滝沢は、こういう性格(激しい上昇志向)になるに至った過去とか家庭の事情とかありそうで微妙に匂わせているけど、 なかなか出てきませんが、ありそうなだけで特に無かったらどうしよう(笑)

◆CaseFile.38「ぐっどないと」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
 1年に1度の睡眠期に入ったシオン。楽しみにしていた映画『TOKYO忍者ストーリー』のTV放映を見ながら、うつらうつら。 一度眠りに入ると一週間は寝てしまうという事で、妙にシオンに甲斐甲斐しいタツヤとドモン。なんか珍獣扱い。そこへ、日映株式会社 プロデュサーの町田、という男が訪れる。現在撮影中の映画において、監督の制作費横領疑惑を内部から探って欲しいというのだ。映画の タイトルが『TOKYO忍者ストーリー2』だと聞いたシオンは跳ね起き、エキストラとして撮影に参加する事になる5人。しかしそれは、 ロンダーズの巧妙な罠であった!
 「俺達殺す気か?!」
 「うん、そう。だって、この映画のタイトル、これだから。『タイムレンジャーの最期』!」
 横領疑惑の巨匠、黒金監督の正体は、ロンダーズ囚人、魂の活動屋・グロカン。
 睡眠期に入っている為か、何故か変身できないシオンを抱えたタイムレンジャーは、カチンコを鳴らすたびに強制的にシーンが代わる というグロカンの能力に翻弄される。
 〔忍者バトル→カーチェイス→拳法映画→自転車部隊でE.T.→再生怪人と雨の夜間戦闘〕
 と、次々に場面と状況が変更され、100%魔空空間
 というと、黒金監督は黒澤もじりのようで、正体は、小林義明かっ!(笑) ※『宇宙刑事ギャバン』などのメイン監督。撮影に 時間がかかる事でも東映では有名。
 後どうして、拳法映画のシーンで、タツヤだけ上半身裸ですか。
 脱ぎたい年頃なんですか。
 ユウリに筋肉でアピールしたいんですか。
 眠くて仕方がないシオンを抱えながら生身バトルする所はジャッキー映画を意識した感じでしたが、役者さんが頑張っていました。
 助っ人ロボとして現れたタイムロボターが光線を放つなど混乱する一方の状況の中、変身できないシオンを守りながら、再生怪人軍団と 戦うタイムレンジャー。そしてグロカンが遂に巨大化。シャドウベータvs監督に、滝沢&ブイレックス、更には新たな助っ人ロボとして、 まさかのプロバイダス(タイムロボをゲートへ殴り飛ばす未来の巨大メカ)。
 台本に書いてある事を全て現実化させるグロカンの能力に好き勝手にやられるタイムレンジャーだが、いよいよ最期が迫る時…… 台本のラスト1ページが、無い。なんとシオンが、大好きな役者にサインを貰う為に紙を探して、眠くて朦朧としている時に台本と 気付かず1ページを切り取っていたのだった。
 台本の縛りから解放され、反撃に移るシャドウベータ。
 シオン「でも良かったぁ……最後に役に立てましたね」
 ユウリ「シオンが役に立てなかった事なんて、無いわよ」
 ……それはあれですか、遠回しに名前にドとかモの付く人を非難してますかユウリさん?!
 ラストはロボット軍団大暴れで、グロカン撃破。そして夕陽をバックに立つタイムシャドウ……の片隅に浮かぶ、「完」のマーク……?!
 全ては、『TOKYO忍者ストーリー』を見ながら眠ってしまったシオンの夢だった、というオチ。
 というか今回は、次回予告の時点でほぼ夢オチだとわかっていたので(かなり意図してわかるように作った予告だったと思う)、 むしろ夢だと思って楽しむ話。
 で、自分がピンチになって皆に命がけで守ってもらって最後は自分の存在意義を認めてもらう夢とか、

 凄いぞシオン

 ……真面目な話としては、幼少期から研究所時代のあれやこれやがあって、シオンにとってはストレートな願望充足であり、この1年の 良かった事、という事なのでしょうが。
 滝沢すら出てくるのにタックは出てこないのは意味深(笑)
 まあシオン、改心ロンダーズの回以来、意外と滝沢に懐いているというか、親しみの感じられる「直人さん」呼びだったりするのですが。 夢の中でも凄い格好良く出てきたり。
 全体として、何が出て何が出ていないとか、各人の言動と立ち位置とか、精査すると面白い事になるかもしれません(笑)
 物語の大きな流れとしては、タイムファイヤー登場→各個人エピソード、と来て一気にクライマックス展開に入るのかと思っていた のですが、その前に1本、楽しい閑話休題回、となりました。その中で、ハバード星人の睡眠期ネタを拾ったのは秀逸。またユウリさんに 「1年分の夢」と最後に言わせる事で、上記でツッコんだような“夢の内容の台無し感”を和らげる効果が出ている所など、細かく 巧い。
 次回、正ヒロイン最大の危機?!

→〔まとめ4、へ続く〕

(2012年8月12日)

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