■『未来戦隊タイムレンジャー』感想まとめ2■


“歩いてゆくここで 向かい風の中を
伸ばした手の先に 未来がある だから”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『未来戦隊タイムレンジャー』 感想の、まとめ其の二(14〜26話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕


◆CaseFile.14「デッドヒート」◆ (監督:諸田敏 脚本:井上敏樹)

 アヤセ、一発免停

 その頃、金穴でとうとう熱を出してしまったドルネロを後目に、リラが一人の囚人を解凍。その男の名はバロン。抜群の腕を持つ 元レーサーだった。
 宝飾店に入って宝石を試しに身につけた後、そのまま店外に逃走。外に待たせていたバロンの車に乗り込み、その超絶ドライビング テクニックで警察の追跡を振り切るという、乱暴かつ直球な強盗を繰り返すリラ。
 手配書とか回りそうですが、一瞬で衣装チェンジしたりあのピンク髪で街に違和感なく溶け込んで(?)いる所を見るに、容姿に関して は何らかの未来的なカムフラージュ技術を使っていて、店員などには別の姿で見えているのかもしれない。
 新聞報道から事件を知ったタイムレンジャーはロンダーズが絡んでいると見て事件を追い、すっかり癖になっている警察無線の傍受で 逃走ルートに先回り、いきなり射撃
 思う所があったアヤセは、車を停めたバロンとリラの前に、自ら変身を解いて進み出る。彼の疑念通り、バロンは未来でのアヤセの 旧友であった。アヤセに対して「俺の才能に嫉妬して、俺を刑務所送りにした男」と言い残し、バロンは車でタイムレンジャーを蹴散らす と、走り去っていく。
 ここで、アヤセの周りをぐるっと車とカメラが回る演出は格好いい。その前の、遠目俯瞰は微妙でしたが。
 バロンはスピード違反で人身事故を起こし、逮捕。裁判でのアヤセの証言が決定的になり、受刑。被害者が有力者の関係者だった為に 圧縮冷凍されてしまい、その事でアヤセを逆恨みしているのだった。バロンの真意を問いただす為、単独で彼と接触したアヤセは、 「3勝3敗の勝負の決着をつけよう」と告げられる。
 だが、アヤセには、そうもいかない事情があった。

 免・停・中

 というわけで(やや誇張)、再講習を受ける事になるアヤセ。実技中に事件発生の連絡を受け、教官を横に乗せたまま急発進。
 ……急ブレーキをかけた際に、教官の頭突きで、フロントガラスにヒビ入っているんですが(笑)
 この後、助手席で泡吹いて気絶している描写が入りましたが、本当にそれはただの気絶なのか、頭部に受けた衝撃が原因ではないのか、 教官さんのその後が少しばかり心配です。
 逃走中のバロンに接触するアヤセ。
 ルールも決めずに「勝負だ」と走り出す二人。
 と思ったら、アヤセ、いきなり体当たり
 そういうルールなのか、と思ったらそうでは無かったらしく、車を停めたバロンが「妨害行為でおまえの負けだ」と憤激するのに あっさり「そうだな」と認めるアヤセ。
 その二人の前に、転がってくるサッカーボール。
 アヤセは前方にボールを追いかけて子供達が飛び出してくるのを察知して車を強引に止めたのだった。
 確認したら、体当たりの寸前に、アヤセがちらっと左前方を確認している演技が入っていました。細かい。
 アヤセの判断力に真の敗者は自分だと認めたバロンは「どんなゲームにも終わりはあるって事さ」とリラと手を切ろうとするが、 リラの仕掛けていた罠により暴走状態となり、駆けつけたタイムレンジャーに襲いかかる。
 リラ、ボンネットの上に仁王立ち
 男の友情を台無しにしたり、今回は悪女ぶりで大活躍です。
 最後はリラによって故意にリバウンドを起こされて巨大化したバロンが、タイムロボアルファの攻撃によって正気を取り戻した後、 「本当は俺がおまえに嫉妬していたんだ」と言い残し、圧縮冷凍。いつか刑期が終わった未来で、自分の代わりにチャンピオンになって くれと、アヤセは友に思いを託すのであった。
 圧縮冷凍中は微妙に意識があるそうなので、アヤセさんはたまにロッカーの中に話しかけるといいと思います!
 どうせ今現在、タツヤ以外に友達も居ませんし、独り言の相手として!
 それはそれで、解凍された時、バロン、発狂しているかもしれませんが。
 或いは、新しい恨みを抱いているか
 途中でバロンの地球人モードが登場し、異星人っぽさを出す為か外国人俳優で見た目は格好いいのですが、アフレコが非常につたなく、 変身後もそのまま声優に声入れて貰えば良かったのに、と正直。
 それからアヤセさんの免許の行方が気になります。
 一発免停による再教習中に講習を抜け出して暴走した人は、再び免許を取れるのでしょーか。
 次回、アヤセの免許更新や如何に?!
 そんな次回は、なぜか、幼児向け番組のような予告(笑)
 頑張れドモン、フラグを立てろ(?)。
 あとドモン、そろそろ金稼げ、ドモン。

◆CaseFile.15「狙撃手を探せ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
 以前にゴウガンの事件で出会った、タイムレンジャーとロンダーズを追うフリーカメラマン森山ホナミが、タイムレンジャーのスクープ 写真を撮ったカメラマン、として雑誌に顔写真付きで紹介される。ホナミとタイムレンジャーが知り合いのような記事の内容に、彼女が ロンダーズに狙われる可能性を危ぶんだユウリは、彼女の再説得へと向かう。
 ……なぜ、説得スキルの無いユウリさんを一人で向かわせますか(笑)
 だが一足違いで、タイムレンジャー抹殺の為に解凍されたスナイパー・レイホウにホナミは攫われてしまっていた。
 荒らされた無人の部屋を捜索する5人。
 途中で何か、難しい顔をするシオン。
 柱の銃撃跡からタックが武器を割り出し、犯人を解析するくだりは面白い。
 世界に一つだけの銃、て殺し屋としては致命的にカスタマイズしすぎな気はしますが(笑)
 ……まあ、そんな目立ちたがり屋だから、捕まったのか。
 詳しいタイムレンジャーの事情など知る筈もないホナミだが、尋問中に(容赦なくひっぱたいてグッド……別にひっぱたかれるシーン が好きなわけではないですが、恐怖を与えるべきシーンで与えるという演出は重要)彼女が落としたパスケースの中を見たレイホウは、 そこに挟んであったタイムイエローとアヤセの写真からその関係を勘違い。ホナミを囮にタイムレンジャーを誘い出す作戦に切り替える。
 翌日、異常な信号を感知したタイムレンジャー。まずはタックが偵察に行き、ホナミが時限爆弾付きの信号首輪を取り付けられている のを発見する。スナイパーの狙撃を防ぐ為に銃を改造して一時的に不可視のバリアを張り、その隙にホナミを救出。更にバリアに対する 銃撃の弾道から相手の狙撃位置を割り出す、という作戦をたてるタイムレンジャー。
 今回この、銃撃跡から犯人を割り出す→タックが偵察→狙撃への対抗策を練る、という流れがしっかりと頭使って作戦を練っている感じ が出ていて良かったです。
 そしていよいよ作戦決行。ホナミの周囲にバリアーを張る所までは順調に行ったが、イエローが彼女を励ますつもりで物陰から顔を 見せた事で、イエローに憧れるホナミが、爆発に巻き込んではいけないとかえって恐慌をきたす。イエローの姿を見て、ホナミがバリアー の範囲から飛び出してしまう可能性を察知したシオンが飛び出し、ユウリとともにホナミを守る事に成功。連続の銃撃でバリアーは破壊 されるが、狙撃位置をタックが割り出し、レイホウは圧縮冷凍して無事に逮捕するのであった。
 ホナミの部屋の捜索シーンでシオンが難しい顔をしていたのが伏線で、現場にぶちまけられていたホナミの撮った写真から、ホナミの タイムイエローへの思いを読みとってその後の行動に繋げるなど、思わぬ洞察力の高さを見せました。……そういえば、シオンは空気は 読まないけど、頭脳は優秀なのだった。
 そして、
 「私はシオンのように気付けなかった。同じ写真を、見てたのに。彼女の気持ちも、行動も。本当に嫌になるぐらい」

 ユウリさん、反省する

 まあプロの捜査官としては、当然、落ち込むべき所でしょう。
 きちっとこういう所まで盛り込んでくるのが、今作のいい所。
 人の心の機微などに疎い所を改めて自覚するユウリでしたが、さすがに落ちていたパスケースの中身を覗くほど、デリカシーが無い わけではなかった。
 そんなわけで、勘違い(タイムイエロー=アヤセ)は続く。
 しかも、タイムレンジャーサイドを巻き込んでより複雑な感じで(笑)
 ……まあ、勘違いというか、都合のいい妄想、と言った方が正確ではあるのですが。
 今回は前回の予告からドモン回かと思いきや、レイホウの戦闘シーンで途中乱入して攻撃を弾いたりなど戦闘でもグリーンが格好いい 所を見せ、本筋で焦点が集中しているわけでもないのに、随所でいい所を見せてメインを持っていって実はシオン回でした、という面白い 構成。敵味方の罠の張りあいなども筋が通っていて、良い回でした。

◆CaseFile.16「そばにある夢」◆ (監督:坂本太郎 脚本:山口亮太)
 ある日のトゥモローリサーチ、他の4人が忙しく働いている事務所に寝ぼけて入ってきたパジャマ姿のドモンが、客に倒れ込むなどの 大騒ぎで、沢山来ていた客が全て帰ってしまう。罰として、仕事を取ってくるまで帰ってくるな、と叩き出されるドモン。
 「あの、頑張ってください」と笑顔で言いつつ、しっかり突き飛ばすシオンも、こっそりキレてる模様(笑)
 ……まあ、そもそもトゥモローリサーチは生活空間と事務所と応接室が一体化しすぎですが。
 片隅のロッカーには、圧縮冷凍された怪人が山盛りだったりしますし。
 色々と危険。
 ビラ配りで歩き回って疲れて入った不味い蕎麦屋で、仲間に裏切られて心を傷つけられた者として、店主・菅原と意気投合したドモンは、 菅原の蕎麦屋を美味しくしたいとトゥモローリサーチに戻って仲間に菅原の蕎麦を食べさせるが、 なぜかアヤセに「蕎麦に必要な4タテがない。それをわからないものに蕎麦を打つ資格はない」と、 滅多切りにされる。
 落ち込む菅原を励まし、共に究極の蕎麦を作る為に頑張ろう、と脱線したまま暴走するドモン。
 こうして二人の、究極の蕎麦を目指す戦いが始まった……!
 というわけで、閑話休題のギャグ回。
 シリアス成分の多い今作の雰囲気で、どこまでギャグ回を出来るか、を試したような1本。
 蕎麦について熱く語り出すアヤセとか、最初から最後まで、説明なし(笑)
 敢えて解釈をするなら、実家が蕎麦屋、とか有りそうですが。
 ドモンがトゥモローリサーチを離れて菅原と共に各地の蕎麦屋を巡っている頃、ギエンは殺戮というディナーを運ぶ料理人、 美食放火魔・ビンセントを解凍。ビンセントは飲食店に入っては出てきた食べ物に文句をつけ、火を噴いたり店主に暴行を加えるという、 極めて迷惑な男であった(ただし、舌は確かな模様)。
 見た目も行動も間抜けだが、その懲役、180年。おそらく常習犯なので、どんどん刑が重くなったの でしょう。しかし、データベースの罪状が「食い逃げ」となっていたのですが、放火や障害の方ではないのか……。
 一度はビンセントを追い詰めたタイムレンジャーだったが、ドモン不在の為に合体攻撃が出来ず、取り逃がしてしまう。蕎麦屋を訪れた アヤセは、ドモンに「こんな事をしている間に、街が大変な事になっている。おまえはタイムレンジャー失格だ」と言い放つが、ドモンが 蕎麦作りを“こんな事”と言われたり前段の感情的なもつれがあった上で、それと知らずにアヤセのタブーワードである「夢」を口にして しまったりと話はこじれ、物別れに終わる。
 この後、「ドモンさん、タイムレンジャーを辞めてしまうんでしょうか」と4人の方は少し深刻な感じが出て、“仲間の絆”という テーマ的な要素も入るのですが、そもそもの発端が、全面的にドモンが悪い(朝寝坊した上に寝ぼけて仕事を台無し)為、ドモン 側のこじれに全く共感できない、というのは残念だった所。ここでドモンの言い分にもある程度の理があれば、ギャグ回なりに物語の 腰がしっかりと入りましたし、脚本としてはそこを目指していたようなのですが、巧くいきませんでした。
 最後、燃やされた菅原さんの店の仇討ちに、アヤセがタックに用意させた蕎麦粉を受け取ったドモンが、ビンセントに屋台で勝負を挑む くだりはまあギャグ回という事で良いとして、調理中はブレスレット外せドモン、とだけは言いたい。
 あと、ギャグ回でアヤセがちょっと丸くなるのは、あまりやってほしくなかったかなぁ。
 「夢」というワード絡みで……という感じに書きたかったのは何となくわかるのですが、その辺りの細かい仕掛けは、概ね失敗。素直に ギャグだけにしておいた方が、かえって良かったとは思います。
 次回、予告ではぐっと真面目な感じにタツヤ回。
 ここまで意外と、ユウリさん回が無いなぁ……前回は珍しくユウリさんが反省したので、人間的変化が描かれたという意味では、半分 ユウリさん回と捉えるのもアリかとは思いますが。

◆CaseFile.17「ねじれた正拳」◆ (監督:小中肇 脚本:山口亮太)
 ドルネロ様、出納帳をつけていた事、発覚。
 「今の俺達には安定した収入源が必要なんだ」
 懐が寂しくなって、器が小さくなってきました(笑)
 そんなドルネロに、丁度よいのが居る、とリラが一人の犯罪者を解凍。
 その名は、恐喝番長・フラン
 ……カ、カツアゲですか?
 恐喝犯として圧縮冷凍されていたフランは人間(怪人時の声が男なのに、何故か女教師)に化け、群竜会というグループに不良達を 組織化。各地の中学校を中心に気弱な生徒達は脅迫してお金を巻き上げ、ロンダーズファミリーに上納金を納めさせる、というシステムを 作り上げる……
 「カツアゲがこんなに儲かるなんて」

 カツアゲでした

 ……まあ、未来時代のファミリーもきっと、みかじめ料とかで定期収入は得ていたかとは思いますが。
 そういう些末な業務は恐らく経理担当がやっていたので、ドルネロ様的には新鮮だったのでしょう。
 その頃、空手のレッスンに熱心に通い、個人的に朝練を付けていた誠少年が、この群竜会に目を付けられて苛められている事を知った タツヤ。なぜ大人に相談しないのかと問うが、「大人は何もしれくれない」と誠少年は頑な。まあ実際、ここでタツヤが出ていけば 解決するのかというそうでもない所が、リアルに難しい話だったりはしますが。タツヤの場合は、この辺りの根っこの所のボンボン気質が 抜けていないのがキャラクター性として成立しているのは良い所。
 復讐の道具に使うならこれ以上は空手を教えられない、とタツヤに告げられた誠だったが、大切に世話していた学校の花壇を不良 グループに踏み荒らされた怒りから思わず反撃。その一撃が群竜会のリーダーであった渋谷を瞬殺し、群竜会の新たなリーダーに スカウトされる。
 女教師(フラン)の誘導もあり、力と欲望に溺れていく誠。
 一方、タツヤからの情報で群竜会を調べたタイムレンジャーは、地区全体で2億近い荒稼ぎをしている事を知り、念のためにその 背後関係を調べる事にする。エスカレートする群竜会は学生のみならず、サラリーマンなど学校の外まで恐喝の範囲を広げていき、 それを主導する誠の前に立ちはだかるタツヤ。「力が正義だ」と叫ぶ誠に「ならばその正義で俺を倒してみろ」と対峙したタツヤは、 敢えて反撃をせずに一方的に誠の攻撃を受けながらも立ち上がり続け、誠に間違いを認めさせる。
 ここで、殴り飛ばされたタツヤに思わず駆け寄ろうとしたユウリを、ドモンが止める辺りの小芝居が入っているのが巧い。
 もう群竜会は辞めるという誠の前に、正体を現したフランを、叩きのめすタイムレッド。
 「俺の正義は金じゃ買えない」
 金持ちだから、ボンボンだからさ。
 「勇気という名の法律だ」
 私的制裁発言
 正義って、怖い
 ……あれ?
 ラスト、誠少年のみならず、不良少年達もタツヤの空手教室に通っていて、更正の道を歩みだしている演出が入ったのは、秀逸。
 (多分、保護観察処分とか食らってますが)
 ドルネロ様の懐も、少しばかり暖かくなりました。
 バトルカジノ回に続いて役者の特技(空手経験者)を活かしつつ、ストレートなヒーロー回。王道展開の主人公アピールとしては、 過不足ない出来。なんというかタツヤは、いい年のレッドになったなぁという気は、凄くする(笑)
 そして次回、ヒロイン(アヤセ)、最大のピンチ?!(おぃ)

◆CaseFile.18「影の予感」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
 怪しい笑いを浮かべるギエンが、テロリスト・サンドーラを解凍。金儲けなど出来ないぞ、というサンドーラに、ギエンはある研究所 からラムダ2000という高純度エネルギーの結晶を入手するように依頼する。
 その頃、トゥモローリサーチは仕事を一日休んで、息抜きのバーベキューパーティーに行く準備をしていた。
 事務所でドモンとシオンが遊んでいる(ようにしか見えない)中、文句も言わずに一人で車にバーベキューセットを積み込むなど、 まめなアヤセ。やはり、やさぐれる前はいい人だったぽい。
 そんなアヤセに、至急の運転代行の仕事が飛び込む。距離が近いからと依頼者を送り届けたのは、第三総合研究所。車を駐車場に回す アヤセだが、その間に、サンドーラが研究所を襲撃・占拠。巻き込まれたアヤセは、内部に閉じこめられてしまう。所員にラムダ2000 を1キロ作成するよう要求するサンドーラ。アヤセから情報を得たタイムレンジャーは研究所に向かい、アヤセが内側からシャッターを 開けて突入する事になる。
 第三研究所のセキュリティについて、浅見グループの関係機関でタツヤが一度見学に来た事がある、とスムーズに話を繋ぎつつ、久々に グループの名前が登場。
 研究所の外で突撃を待つ内に、セキュリティ解除に時間がかかっているのはアヤセの体調に異変が生じたのでは……と不安になるタツヤ。 無事にシャッターが開いて所内に突入すると、人質解放後は逃げ出したサンドーラも追わずに、アヤセを探し求める。
 なにこの……(おぃ)
 心配されたアヤセだが、警備システムの所でゼニットと戦っていただけで、体は大丈夫だった。
 アヤセが病気でピンチ?! という辺りは、予告から色々と思わせぶりだった割に、タツヤの妄想オンリー
 仲間想い……という事にしておこう。
 サンドーラは戦闘のプロらしく、タイムレンジャー、タイムロボと苦戦させるも、最後はフレスブリザード一閃。
 フレスブリザードは発動すると、敵の攻撃を強引に無効化して無敵時間でゲージ全て持っていく、毎度恐ろしい必殺技だなぁ。
 しかし正面から攻撃を受け続けた為か、タイムロボも無事では済まなかった……と勝利ポーズで、ダメージ描写。
 そして外では、サンドーラがタイムレンジャーとの交戦中に取り落としたラムダ200を、ギエンが回収していた……。
 戦い終わって、トゥモローリサーチ社はバーベキューパーティ。
 ユウリさんには野菜を切らせない
 のは共通認識になっている模様。
 シオンも段々、遠慮なく突っ込むようになってきました。
 そんな中、少し離れた場所で、病気の事を皆に話すべきだとアヤセに相談するタツヤだが、アヤセは首を縦に振らない。
 「俺は、今のままがいい。今のままなら、信じていられるんだ。変わるかもしれない、明日ってやつをな」
 遠くから仲間達を見て呟くアヤセの心情としてはよく書けているのですが、これ、作戦中のアクシデントが場合によっては他の メンバーを危険にさらす可能性もあるので、本当はあまり良くない。タツヤはあくまでアヤセの病気の心配ですが、実際に、特殊 チームとしては、(人員の交替が効かない以上)共通認識として対応策を本当は練るべき。
 そういう意味では、タイムレンジャーは、プロフェッショナルになりきれない集団なわけですが、これはユウリさんを除いては、現場 経験が少なすぎるので仕方がない。
 そして自分でニンジンを切るというアヤセさんは、やっぱり根はいい人。料理人設定がつきそうになっているのは、蕎麦回を受けてか。
 一方、ラムダ2000に関する追跡調査をしていたタックは、それが、30世紀の高性能燃料、Z−3の原型である事に気付く。
 アジトでゼニットに何かの作業をさせながら嗤うギエン、第三総合研究所で進行中の秘密プロジェクト、そして未来で目覚める何か―― 今、幾つかの影が、大きな時空のうねりになろうとしていた……。

◆CaseFile.19「月下の騎士」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
 前回、趣味の実験を進めていたギエンは、リゾートでバカンスを勧めてドルネロとリラをアジトから追い出す。「勝手な事をするなよ」 としつこく注意するドルネロだが、ギエンは勿論、する気満々
 その頃、未来ではタイムレンジャー部隊長、リュウヤが何事か思案していた。
 1話のリュウヤはリラの変装だったでの、リュウヤがリュウヤとして顔を出して登場するのは、今回が初か。
 仕事募集のビラ配りに向かうトゥモローリサーチの面々、用意された弁当が少ないと文句を言うドモンに、自分のをやると言い出す アヤセ。すかさず止めるタツヤ。
 「駄目、アヤセはしっかり食う、ドモンはそれで我慢。おまえ最近太ったぞ」
 すっかりオカン。
 というかタツヤは2話の辺りの張り切り方など、割と他人の世話を焼くと充実するタイプっぽく、総攻めだけど嫁属性。
 思わず腹を見るドモンに、シオンがにこやかに「太りましたよ」と追い打ち。
 なんだかシオンがどんどん、えげつない子になっていきます。
 楯になる前衛を用意した上で、相手の射程範囲外の安全圏から、ピンポイントに狙撃してくるタイプですよ、この子。
 ドルネロ達を送り出したギエンは、ラムダ2000からZ−3を精製、それを自作の破壊兵器・ノヴァに差し込み、起動する。
 その瞬間ビラ配り中のタツヤを襲う頭痛、そして、世界の異変。
 止まった時間の中で、タツヤは、自分自身と出会う――!
 時を同じくして他の4人のメンバーも、それぞれ、自分自身と出会っていた。
 だがその異変はすぐに終わり、街に巨大化したノヴァが姿を見せ、破壊活動を始める。混乱するタイムレンジャーだったが、まずは とにかく、ノヴァを止めなくてはいけない。タイムロボの発進を要請するが、タイムロボ、出動せず。大破壊の光景に、ギエンさんは 大はしゃぎ。
 それにしても、ノヴァに巨大化抑制シールがついていたという事は、ギエンさんは作ったロボットをわざわざ一度圧縮冷凍して、 それからまた解凍したのか。
 ……あ、でも、最初から大きく作るより、その方が安上がりか。
 恐るべし、リバウンド。
 そしてなんとエコロジーな作戦!
 地球に優しい、ロンダーズファミリー。
 なんか色々と応用できそうで、夢の広がるテクノロジーだなぁ、圧縮冷凍。
 未来的にはむしろ、そういう他分野のテクノロジーを応用した結果が、圧縮冷凍刑なのかもしれませんが。
 タイムロボが現れない為、やむなくヴォルユニットでノヴァに立ち向かうタイムレンジャーだったが、攻撃力の差は圧倒的で、効果的な ダメージを与えられない。
 その時、地を揺らす轟音と共に、巨大なドリル戦車が姿を見せる!
 その名はRAIMEI、第三総合研究所で開発されていた、対ロンダーズ用兵器であった。激しく砲火を交える、ノヴァと RAIMEI。
 いきなり、東宝特撮の世界に。
 そして

 1分でやられた(笑)

 1000年の技術力の差は如何とも埋めがたく、木っ端微塵に瞬殺されるRAIMEI。
 モスグリーンの巨大メカなんて先々は使えないよなぁ……とは思っていたものの、先週から引いておいて、ここまでの出オチとは、 さすがに想像を超えていました(笑) 造形はけっこう凝っていたのになぁ。なんか他の作品で使っていたものの、流用だったのかしら (※『ギンガマン』登場メカの流用との事)。
 RAIMEIの搭乗員を救出するも、追い詰められるタイムレンジャー。巨大な銃口が間近に迫ったその時、太陽が突如として翳り、 空をタイムゲートにして、巨大な戦闘機が転移してくる!
 それこそは、時間保護局が3000年で開発していた、自律型戦闘システム・タイムシャドウ
 ……声が変(笑)
 「しゅぅ!」とか「しょわぁ」とか、妙に籠もった気合いの声だけ発します。
 あと、サブタイトルでは「騎士」になっていますが、見た目や動きのコンセプトは「忍者」っぽい。
 タイムシャドウとノヴァが交戦に入り、崩れたビルから落下するギエンは、それを見つけたタイムレンジャーとの戦闘になる。 「たまには面白いだろう。私の趣味でなぁ」と、改めての接触で、危ないヤツである事をアピール。タイムシャドウは圧倒的な攻撃力で ノヴァを撃破し、街を破壊しまくって大満足したギエンは帰還。
 タックは、もう一人の自分との遭遇は、今回のギエンの破壊活動の影響がさすがに大きく、時空を乱した為ではないかと、推測する……。 変わる筈のない歴史の流れ、だが何かが少しずつ、ズレはじめようとしていた……。
 そしてタツヤが「オヤジが金儲けにならない事をやる筈がない」と言うのとは裏腹に、RAIMEIの開発には、浅見グループが 関わっていた。内務省治安維持局と協力して対ロンダーズのプロジェクトを進める浅見グループ、タツヤの父、浅見渡はRAIMEIの 敗戦を受け、プロジェクトの新たな展開を指示。
 とりあえずタツヤ父は、戦車の頭に意味もなくドリル付けたのは誰かについて、徹底した内部調査を行った方が いいと思います。
 一方、アジトに戻ってご満悦のギエンは、刑務所内の封印された扉を開く。
 「やはり、破壊こそ極上の酒。この興奮、このまま醒めるには惜しい。もう少し、味合わせてもらおう。ふふふふふ」
 ギエンの顔ぱかっギミックは、格好良くて好き。
 そこに哄笑が被さって、次回に続く。

◆CaseFile.20「新たなる絆」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
 タイムレンジャーの危地を救った、自律型戦闘ロボット・タイムシャドウ。それは、より凶悪な犯罪者に対抗する為に、新型の高純度 エネルギー・Z−3を動力源として、時間保護局とインターシティ警察が共同で開発していた新兵器であった。
 「インターシティ警察と?! はっ 聞いた事ないけど」
 自分の知らない秘密プロジェクトの存在が不愉快だったのか、やたら不機嫌そうなユウリさん(笑)
 だが、タックには疑念があった。
 本来なら、タイムシャドウの完成は3010年頃の予定、ユウリ達がやってきた未来から考えても、10年先の筈だったのだ。
 「もしかすると……わずかに変化しているのかも」
 「なにが」
 「歴史」

 タックの一言に、無言になる5人。
 しばらく間を置いて、ドモンが笑い出す、という演出の流れはうまく雰囲気が出ていて秀逸。
 「歴史を変えない為に、2000年に残ってタイムレンジャーをやらされているのに、歴史が変わるなんて冗談じゃない」と激昂する ドモン。ドモンほど感情を露わにしないまでも、タツヤを含め、タイムレンジャー全体に少なからぬ動揺が走る。
 翌日、街では連続爆破事件が発生。犯人は、ロンダー刑務所の中でも最も凶悪な犯罪者達が収容される半永久房ヘルズゲートに圧縮冷凍 されていた、ブラスター・マドウ。殺人1300件で刑を執行された、筋金入りの殺人狂であった。
 それぞれが心に迷いを抱えながらも、マドウを止めるべく出撃するタイムレンジャーが、マドウの圧倒的な戦闘力に手も足も出ない。
 戦隊シリーズでは5人揃っていないとやたらに苦戦するというのはデフォルトですが、タイムレンジャーはなんだかんだで結構強い ので、5人揃った状態でここまで苦戦するのは、20話にして初か。
 タイムレンジャーを退けたマドウは、手榴弾をばらまきながら、大暴れ。
 運転手が乗った車の中に爆弾を投げ入れるという直接的な描写や、ビルを吹っ飛ばしたりなど、兵器抜きで単体でこれだけ大虐殺した 敵は、全シリーズ通しても、なかなか珍しいかもしれません。
 一時撤退したタイムレンジャーに漂う、絶望と徒労感……自分たちがここで必死に戦っても、結局歴史が与り知らぬ所で変化してしまう というのなら、命を賭けて戦う意味はあるのか?!
 ドモンを筆頭に思い悩む5人だが、遠くから響いてきた爆発音に、それぞれがそれぞれの想いで、人々を守る為、駆けだしていく……!
 一人ずつが台詞とともに、再び戦いへ向かうというシーンで、順番は、アヤセ→ユウリ→シオン→タツヤ→ドモン
 一番最初にユウリさんを行かせると、孤高の女度がまた上がってしまう上に、男4人が残っているという絵的に 最低な感じになってしまうので、アヤセが先陣は妥当な所か。シオン最初に行かせるのも何だかですし。タツヤはドモンとの 絡みがあるので、4番目なのは、仕方ない。
 シーン的には格好いいのですが、前回から今回冒頭にかけてのタイムパラドックスネタが頭の片隅で消化しきれなかった為、微妙に ドラマに入りきれず……もう少し、プロットがシンプルな方が、素直に盛り上がれたかなぁ。
 ところでこのシーンのタック、漬け物石のような扱いです。
 何故かアヤセさんが走り出す前に、どさっと、手に持って移動させている(多分あれ、タックだと思うんですが)。
 思いを新たに、再びマドウに挑んだ5人は、連係攻撃で5人を撃破(この時、エネルギー波を捉えて回避する能力を持つマドウに どうやって光線を当てたのかは、いまいち謎)。巨大化したマドウ相手に、今日はタイムロボが出撃。更にタイムシャドウも現れるが、 マドウの前にシャドウは倒れ、タイムロボアルファの時空剣も折られてしまう。だがその時、二つのロボットが合体。新たな力…… その名は、デルタフォーメーション・ベータシャドウ。新必殺技でマドウを撃破、圧縮冷凍に成功する。
 残念な子だったベータさんはここでこう使いますか。
 それにしても、シャドウ出る度に、夜戦になるのかしら。出来れば明るい方がいいのですが……YouTubeの画面だと、夜戦は微妙に 見づらくて(笑)
 今回は、ユウリさん除くと、割とドロップアウト組だった面々が、真のタイムレンジャーになる回、と置けばいいのかなー。
 アヤセ病気回と絡みますが、一応、時間保護局のテストを受けて?タイムレンジャー部隊に選抜されて?いる筈なのに、プロ意識の薄い 未来人の男3人(アヤセはレーサー断念、ドモンはグラップ追放、シオンはおそらく研究所から出るための方便)が、改めて自分の中の タイムレンジャーとしての意識と向き合う、と。
 ……それにしても、研修前?だったから仕方ないとはいえ、改めて考えると男3人は本当に、プロ意識がありません。アヤセさんの事を 考えると時間保護局はどうもメディカルチェックもしていないようなので、相当、来る者拒まず使い潰す系のブラックな職場なのか。 業務中の殉職率が高いので選り好みしている場合ではないのか。
 という辺りに脚本家が気付いての回、でもあるのかなぁ。
 それが見ていて気にならないぐらい、ここまで巧く転がしていた、という事でありますが。
 一方、ロンダーズのアジトでは、リゾートから帰宅したドルネロ様が、好き放題におおはしゃぎだったギエンに、顔面パンチで説教。 ヘルズゲートの鍵を取り上げるが、ギエンは勿論、合い鍵を作っていた反省なし
 ロンダーズ側にも微妙なズレが広がりつつ、新たな決意とともに戦いは続く……。
 と、新ロボ登場エピソードに、戦隊メンバーの精神的なレベルアップと立場の確認を絡め、リュウヤの謎の行動など先への布石を置いた、 秀逸な前後編でした。リュウヤに関しては、とりあえず置いてみただけで、まだ具体的に考えていない気もしますけど(1年ものでは、 よくある話)。
 タイムレンジャーは、職業戦隊と成り行き戦隊のハイブリッドな上に、行きがかり上やむを得ない>使命感、という珍しい構造を取って いたのですが、モチベーションを揺らす事で、「タイムレンジャーとしての使命」とか「歴史を守る為」とかいう以外に、戦う理由がある のではないか、という所へ持っていった構成はお見事。
 次回……………………酔っぱらい?

◆CaseFile.21「シオンの流儀」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
 巷で流行りの元気になるドリンク、パワースプリッティー。
 その正体は、30世紀で流行のネオアルコール飲料であった。
 修理業の委託まで任される馴染みの電気屋が出来ているシオンが、仕事帰りに興味を引かれて買ってきたそれを飲んでユウリとアヤセが その事に気づき、製造している工場へ向かうタイムレンジャー。だがそこには既に、ドルネロが先手を打って待ち受けていた。
 自ら人間に変身し、現代人の工場を資金源の製造に活用しているドルネロ様。
 まさに、インテリヤクザ!
 ドルネロ様の人間形態が出てきた最大の理由は、あの着ぐるみだと動けないからでしょうが(笑)
 ドルネロの放った用心棒・ハイドリッドは、凄まじいスピードから繰り出す剣技で、ドモンを瞬殺。続けて残りの4人も切り伏せ、 5人は次々と変身が解ける程のダメージを受けてしまう。
 更にドルネロにパワースプリッティーの原液をかけられ、シオンを除く4人は、酩酊状態に陥ってしまう。なんとか事務所まで撤退する 事には成功したが、地球人にことのほか作用するらしいパワースプリッティーの成分により、完全に酔いの回った4人は、単 なるダメな酔っぱらいの集団と化す
 タックを「昔飼っていた犬と似ている」となで回しまくるタツヤ、事務所のテーブルで何故か「川の流れのように」を熱唱するドモン、 そんなドモンにティッシュで花吹雪を振りかけるアヤセ、ひたすら笑いながらタックを叩き続けるユウリ……

 もう地球は駄目かもしれない

 生体構造の違うハバード星人である為にパワースプリッティーの効果が出なかったシオンだが、一人では勝ち目がないと、4人が正気を 取り戻すまで行動しないようにタックに制止される。だがその間にロンダーズを放っておくのかと、反発するシオン。更に、自分では無く 他の4人の誰かだったら同じ事を言うのか、と問われて口ごもるタック。
 タック、意外とシオンを軽く見ていた事が発覚
 一人で役に立たない度だったら、圧倒的に、ドモンだけが残った時絶望的 だと思うんですけど。
 僕一人でも、出来る事をやってみせると、意志を強く見せるシオン。
 このシーンでは、事務所の片隅で机をバリケードに対策を検討するシオンとタックの後ろで、延々と乱痴気騒ぎの音が入ってきている のが、秀逸。
 今回、どうせやるならとことんまで、といった感じで、シオン以外の4人は、ずっと酔っぱらっています。
 そして、こういうネタの時は、半端をしないで、やりきった方が、断然、面白い。
 故にベストチョイス。
 自作の兵器を持って工場へ突撃するシオンだが、ハイドリッドに返り討ちにあう。それでもめげずに更なる改造作業を行うシオンの姿に、 作戦への協力を約束する、落書きだらけのタック。
 ただ結局、圧縮冷凍には5人必要なので、限られた戦力の保持という点から考えても、本当はタックの、「5人揃うまで待機」 という姿勢の方が正しく、一歩間違えたらという事を考えると、タックによるシオンの説得失敗は非常に失策。いかに優秀なサポートメカ といえども、シオンの“男の子の心理”を読み損ねたのが、機械の限界というところでしょうか。
 タックの協力を取り付け再び工場へ向かったシオンは、玩具のトラップでハイドリッドを出し抜きパワースプリッティーの原液を駄目に する事に成功。そして一騎打ちにおいて、クロノチェンジャーにつけた新機能《アクセルストップ》を発動、ハイドリッドのスピードを 上回り、見事に敵を撃破する。
 実は先日の無謀に見える突撃は、《アクセルストップ》を調整する為にハイドリッドのスピードなどの細かいデータを得るのが目的 だった!
 スーツの耐久力を犠牲にする代わりに数秒だけスピードを引き上げる《アクセルストップ》――便利使い出来そうな新能力では ありますが、それを唐突に出してしまう事なく、開発調整の段階を踏んだ上で物語にも絡めた所は巧い。
 シオンは一歩間違えると(間違えなくても)超便利な博士キャラになってしまう部分を持っているので、そのシオンの新兵器開発に それなりの苦労とリスクを伴わせたのも、世界観全体が締まる事になって、秀逸でした。
 巨大化したハイドリッドは、「しょわぁ!」の声とともにタイムシャドウが半殺し。前回、ブラスターマドウには叩きのめされた シャドウですが、ヘルズゲート囚人ランクでなければ、格上の模様。最後は、タイムロボアルファとタイムシャドウが合体し、 シャドウアルファ登場。酔っぱらい達がうずくまる中、シオンが新必殺技を見事に発動させて圧縮冷凍。
 ……うーん、ロンダーズファミリー側から見ると、ギエンの悪戯のせいで、必要以上にタイムレンジャーの巨大戦力が上がって しまったという、真相知ったら実に笑えない展開だなぁ(笑)
 タイムレンジャー相手にかなり優位に立ち回ったハイドリッドが、シャドウにあそこまでざっくりやられてしまうとは(^^;
 まあ、ファミリー的に、巨大化した後はどうなっても知らない、的な感じもありますが。
 戦い終わって、宴の始末に勤しむ駄目なオトナ4人。
 シオンについてアヤセ
 「実は俺達の中で一番頼りになるかもな」
 やっと気付きましたか。
 はっきり言って、その事実から目を逸らしていただけですよ、あなた方。
 「かもじゃない。事実その通りだ」
 と、タックもシオンの軍門に下りました。
 そしてにこやかに、宴会を振り返るシオン。
 「みなさん楽しそうでしたよ。記念に写真撮っときました」
 ひきつり、写真を廃棄させようと群がるオトナ4人、という、素晴らしいオチ。
 コメディとシリアスのバランスが取れ、ちょっぴりパワーアップのおまけもついた、秀逸なエピソードとなりました。
 そしてタイムレンジャーの面々では、
 やっぱり、シオンが一番黒い。
 或いは

 シオンだけが黒い。

◆CaseFile.22「桃色の誘惑」◆ (監督:諸田敏 脚本:井上敏樹)
 監督:諸田敏、脚本:井上敏樹、ゲストキャラに東風平千香、と『超光戦士シャンゼリオン』組による閑話休題コメディ回。
 トゥモローリサーチに冴えない子持ちの中年男・山田吾郎が訪れ、姿を消した婚約者を捜してほしいと依頼する。
 女性の名は、広末恭子。
 山田とはお世辞にもお似合いとはいえない美女の写真に、いきなり結婚詐欺を疑うアヤセ
 「彼女の病気の母親の治療費として200万貸しました」という山田の答に、事務所に漂うやるせない空気。「お金の事はいいから、 とにかくもう一度会いたい」という山田の依頼を一応は受けたものの、オトナ達の心に吹きすさぶ風は冷たい。
 出会いはお見合いセンターという山田の言葉から、都内のお見合いセンターを調べたシオンが、恭子の登録を発見。ひとまず彼女が どんな人間かを掴むべく、タツヤがお見合いをしてみる事になる。
 と、そのまま会わせてしまえば依頼解決だったのに、あまりに酷い結末を見たくなかった為か、大口の仕事でも入った後で懐に余裕でも あったのか、妙に依頼者に気を遣ったトゥモローリサーチは、恭子にそれとなく接触しつつ、その間はユウリが山田の子供の面倒を見る 手伝いまで買って出る事に。
 山田が仕事に行っている間、料理に挑戦してみるユウリ。
 ……食べられないレベルでした
 山田には恭子の料理を露骨に懐かしがられ、姿の見えぬ相手に、女力の差を見せつけられるユウリ。
 一方、問題の女とお見合いしたタツヤは、あっさりと骨抜きにされる。
 お見合いを終えたタツヤが恭子の事を誉めるのを聞いて、その前に集まるトゥモローリサーチの面々。


「おまえ……まさか、金とか貸してないよな」
「まさか」
「良かったぁ……」
「あげたさ」
「「「なんだって?!」」」
「お母さんの手術代としてカンパしたんだ。全財産の、1万353円


 これは駄目だと次いでドモンが向かうが、やはりあっさりと骨抜きにされ、全財産の9879円を恭子に カンパして帰ってくる。
 続けて籠絡されたタツヤとアヤセの惨状に、不適な笑みを浮かべるアヤセ。
 「おまえたちは女というものがわかってない。
 女は車と同じさ。操られるのではなく、操るものだ。
 ……俺が行く」

 ホスト、出撃
 その間、ユウリは山田家でアイロンをかけてはワイシャツを焦がし、掃除機をかけては棚をひっくり返していた。
 恭子に骨抜きにされて以来、なぜか着物姿で書道・華道・茶道に没入しているタツヤ、鏡の前で筋トレに励むドモン、そしてユウリは 慣れない家事に疲れたのか、珍しく寝坊して姿を見せる。心配して、薬を買いに外へ出るシオン。
 ぼんやりと呟くユウリ。


桃「ねえ私、女として何か足りない所があるのかなぁ」
赤「そんな事はないよ。ユウリは充分、魅力的だよ」
桃「えへっ。そう!」
黄「恭子様に比べれば、だいぶ落ちるけどな」
桃「え?」
赤「ドモン、それはユウリに悪いよ。恭子さんとくらべちゃ」
桃「え?!」
黄「相手が悪いか」
赤「相手が恭子さんじゃなぁ」
赤&黄「「へっへっへ」」


 ユウリさんはまあ、容姿にはそれなりに自信あったのだろうとして、家事なども、やった事ないけどその気になればいつでも簡単に 出来る、ぐらいに思っていた感じが見受けられるので、今回は色々とダメージが大きい模様です。
 というか20話以上進めて、初めて見せた弱みが家事疲れって。
 一方、恭子と会ったアヤセだが、恭子はアヤセには特に言葉をかける事なく冷たくあしらっただけで、すぐに出ていってしまう。  男共は役に立たないと遂に直接対決を仕掛けるユウリだが、先週からのジーンズ姿が徒になったか、恭子の浴びせかける言葉に何の 反論も出来ないまま女力勝負に惨敗
 己のプライドをずたずたにされたユウリだが、そこで黙って引き下がるほどヤワではない。

 金の力で女力の促成栽培にかかる。

 ユウリがブティックやエステに邁進している頃、タイムレンジャーの影に気付いたリラの「金がないなら、命を奪えばいい」という 入れ知恵により、恭子はタツヤとドモンを呼び出す。更にそこに現れるアヤセ。
 「俺をフった女はおまえが初めてだ。必ず俺に惚れさせてみせるぜ」
 …………ああ、アヤセはやっぱり、そっちの系統でしたか。
 恭子の言葉に操られ、更に謎の毒ヘビを体に埋め込まれ、3人で殴り合うダメンズたち。
 駆けつけたシオンも巻き込まれるが、そこに、ボディコンスーツに身を包み、ばっちりフルメイクした、ユウリ・ ラストレッドショルダーカスタムが姿を見せる!
 輝くユウリの投げキッスを浴びて、 普段とのあまりのギャップのショックから 正気に戻る男達。
 男の純情怒りに変え……る筈があしらわれてシオンに冷たい言葉を浴びせられたりもしつつ、正体を現した広末恭子=結婚詐欺師 バーベラを無事に撃破。ユウリさん、初「タイムアップ」?
 最後に、犯人がロンダーズであった為に突き出すわけにもいかなくなった山田吾郎の元には、恭子の変装をしたユウリが、優しい嘘の 置き手紙を投函。その嘘に気付きながらも、山田はユウリに礼を述べるのであった……(バーベラが倒れた事によって、タツヤ達同様、 なんらかの催眠効果が解けていた可能性あり)。
 恭子の扮装で立ち去るユウリが、慣れない靴で転ぶところで幕。
 コメディ回ではありますが、一応、微妙にユウリさんが自省と成長をしているというか、なるほど、孤高の女は一度、別方向から プライドを砕かれた方が良かったのか、と(笑) 家事スキルは結局成長していませんが、山田さんに気を遣えるぐらいにはなりました。
 いやー、久々に、全盛期の井上敏樹節を堪能できて面白かったです。
 台詞回しだけでここまで笑いを作れるテクニックは、やはり、当時随一。
 また、恭子に骨抜きにされて以降の、心安らかなる世界に旅立ってしまったタツヤの演技が秀逸。
 「あげたさ」は抜群に良かった。
 前回“男の子”を見せたシオンが、今回はオトナ達の汚れた世界についていけず、終始脇に回っている所も、脚本陣の連携がうまく 取れて、いい流れになりました。
 CGによるギャグ演出はむしろ本の面白さを削いでしまって、いらなかった気がしますが、逆にああいうのを入れることで、「今回は ギャグ回なのでこの脚本でも許してください」みたいな言い訳にしたりしているのだろうか、などと邪推してみる。
 なお今回の一番怖いセリフは、ロンダーズのアジトにおいて、解凍した怪人について
 ギエン「働いている? 何をしているんだ」
 リラ「そうねぇ〜……釣りみたいなものかしら」
 どう考えても、ほぼ同業のリラさんが言っているのが、何より怖い。

◆CaseFile.23「ビートアップ」◆ (監督:小中肇 脚本:山口亮太)
 予算200万円(?)の夏祭り納涼大会の運営を任されて、張り切るタツヤ。4人に仕事を割り振って順調に進めていたが、突然の 停電が発生。調査に向かったタツヤは、電気を食べるロンダーズの怪人と接触、戦闘にもつれ込む。
 怪人は、エネルギー窃盗犯ウーゴ。電気が大好きで圧縮冷凍3年という軽犯罪者に思われたが、実は恐ろしい秘密を持っていた。
 電気を求めて暴れ回るウーゴが準備中の夏祭り会場を滅茶苦茶にしてしまい、タツヤが剣の一撃を決めた瞬間、大爆発が起こり、タツヤ は重傷を負って病院に運び込まれる。
 ウーゴの正体は、マーシャル星人。電気を食い、衝撃を受ける事でそのエネルギーを周囲に発散、しかも一度衝撃を受けると暴走状態に なり、ひたすら電気を食い続けた上に、最後は大爆発を起こしてしまうのだ。
 ……マーシャル星人の世界は、大変そうです。
 なんか、稀少生物みたいな扱いなのか?
 病院で眠るタツヤ、アヤセとドモンは祭の準備の再開に、シオンは情報収集と壊れたタツヤのクロノチェンジャーの修理に、ユウリは タツヤの様子を見守る為に待機と、それぞれ動き出す。そこを訪れた納涼大会の主催者、山下社長は、自分が浅見社長の元秘書であった 事をユウリに語る。病室の外の会話に気が付いたタツヤは、大きな仕事が舞い込んだ裏が父絡みだと知って、ショックを受ける…… その頃、ロンダーズはウーゴが電気を食う事で停電した街で、こそ泥に励んでいた
 相変わらず、時々ロンダーズがお金をちゃんと稼いでいるのは、いいバランス。
 敵の目的を“金儲け”に設定した事で、敵サイドが負けっぱなしにならずに適当に部分的成功を得るのは、今作の設定の大きな長所。
 翌日、浮かれすぎた自分を反省したタツヤは病院を抜け出し、滅茶苦茶になった納涼祭の会場で山下社長と出会う。
 「大事なのは出会い方じゃない。その人とどんな信頼関係を築けるか、という事だ」
 オヤジのコネを必要以上に嫌がるタツヤに、山下社長から大人の意見。
 まあタツヤは若さ故といえばそれまでですが、必要以上に依怙地になっているので、そういうものを受け入れていく、人間的な ステップアップは適度に織り交ぜていく必要があり、巧いタイミングだったと思います。
 それだけ言って帰っていく社長。
 何しに来たんだ社長
 その頃、暴走を続けるウーゴは、発電所へと向かっていた。制止に入る桃・青・黄が蹴散らされた所で、スクーターにまたがって現れる タツヤ。スクーターに乗せた発電器という目の前の餌でウーゴを誘う事に成功し、発電所から引き離す。思わず、「おまえの目的は違う だろ!」と横からはたきに出てくるギエンさん。
 ギエンさん、ついさっき、「今のウーゴはひたすら電気を求めるだけの生ける屍も同然!」とご満悦だったので、作戦の裏を見事に かかれてしまいました。
 ダメージを与えると衝撃波を放つウーゴに手を出しかねるタイムレンジャーだが、その時シオンが、修理したタツヤのクロノチェンジャー に強化武装アサルトベクターをセッティングして駆けつける。
 アサルトベクター、その威力は、ベクターハーレーの、30倍
 ……シオンくんが、サバを読み過ぎて、よくわかりません。
 よくわかりませんが、エネルギーの消散能力を持つアサルトハーレーの一撃で、ウーゴの溜めた電気エネルギーを吹き飛ばす事に成功。 真っ白になったウーゴはギエンが巨大化させるが、タイムロボベータによって無事に圧縮冷凍される。
 ううーん……パワーアップイベントと絡めたわけですが、折角のこの怪人の設定なら、パワーアップイベントは別の回にして、 むしろロボ戦を一回抜いて、合体武器で圧縮冷凍するという展開でも良かったのではないか。衝撃ダメージを与えられないからこそ、 圧縮冷凍という特殊性を活かす、という展開にして、ついでに一度ぐらい、合体武器による圧縮冷凍を成功させても良かったかとは思う のですが、ロボ戦抜きは、スポンサーが許してくれなかったか?
 先日、《アクセルストップ》のパワーアップの仕方を誉めたところで、今回のアサルトベクターはかなりぞんざいなパワーアップに なってしまい、展開としては残念でした。
 戦い終わって、無事に開かれる夏祭り納涼大会を楽しむ5人。タツヤの元を、山下社長が訪れる。
 「その目、常に前向きで、若い頃の社長にそっくりだ」
 「あんまりオヤジに似てるって言われたくないですけど、一つだけ似てるとすれば……それは……」
 「それは?」
 「俺もオヤジも、いい仲間を持ったって事ですかね」

 元父の秘書である山下社長をそれとなくヨイショ。

 なんか急に、凄く厭らしい感じの処世術を身につけたゾ

 一段ずつステップアップどころか、エレベーターで三つぐらい上の階まで行ってしまいました。
 これが、浅見の血のなせる技なのか……?!

◆CaseFile.24「黄色、時々青」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子)
 傷害で圧縮冷凍10年の、“いきがったただのチンピラ”ボーグを解凍したドルネロは、「俺が金になる破壊ってやつを教えてやる」 と嘯く。
 その頃、皆、超バラバラの場所で昼食中のタイムレンジャーは、ユウリの請け負った仕事で、ビルの掃除に行く事に。
 「また力仕事かよぉ」
 ……どうやらドモン、ユウリさんの委託のお情けで食ってる模様(笑)
 ところが掃除に行ったビルで、たまたま取材に来ていた森山ホナミと出くわしてしまい、相談の末さっくり撤退する5人。バラバラに 帰宅する途中、レンタカーを返す為に車を回したアヤセは、慌てて彼等を追いかけようとして足をくじいたホナミを、行きがかり上、 家まで乗せて送っていく事になってしまう。
 ホナミ(いきなりタイムイエローと助手席ドライブ!)
 未だ、タイムイエローの正体がアヤセと勘違い(というか都合良く妄想)しているホナミは一人で盛り上がり、それとなくイエロー (アヤセのつもり)のファンである事をアピールしてみるが、勿論、アヤセの反応は鈍い。
 アヤセ(けっこう重症だな……。たくっ、なんで俺がドモンのファンのお守りを)
 そもそもアヤセさんは、こういう、やかましそうなのはタイプで無さそうですが。
 まあ、タイプだったらタイプで、別の問題が発生しそう。
 そんな二人の珍道中だったが、途中で絶賛破壊活動中のボーグに行き会い、レンタカーが破壊されてしまう。
 レンタカーが!
 ……そろそろなんか、〔ロンダーズ保険〕とか、新しい商材が登場していそうな気もしますが。
 浅見グループが対ロンダーズに一枚噛んでいるのは、その辺りの商売を既に展開しているのではなかろうか、という気がしている。
 ホナミの前で変身できない為、先に帰っていた4人に連絡し、自分は一緒に逃げ回るアヤセ。しかし追い詰められてしまい、やむなく 変身しようとするが、ホナミを気にしてポケットに突っ込んでいたクロノチェンジャーを途中で落としていた! ホナミを逃がす為に囮に なろうとボーグに突撃するが、蹴散らされるアヤセ。そこへ駆けつけるタイムイエロー(ドモン)。ホナミの位置からではアヤセが イエローに変身したように見えた為に、誤解は続行。
 ボーグにやられるイエロー、クロノチェンジャーを探している内に結局、一周回って戻ってくるアヤセ、とこの後、青と黄色がひたすら 錯綜。
 勘違いネタを引っ張りつつ、バトルを面白くしようとしたのでしょうが、ここの錯綜は、少々やりすぎ。
 幾ら何でも無理がある感じになってしまいましたが、最終的にホナミも「よくわからないけど」と言って気絶するなど、誤魔化した 感じになってしまいました。
 それにしても、「こんな簡単な仕事を」と、適当にイライラ任せに放った一撃でビルが吹き飛んだり、未来のチンピラは結構強かった。
 まあタイムレンジャーの怪人はテクノロジーを単純な暴力に回しているタイプが少ないので、回せばこのぐらい、という事なのかも しれませんが。
 最終的にはボーグは自ら巨大化、タイムロボアルファによって圧縮冷凍される……が、その頃ドルネロ(人間態:金城銅山再び)は、 ボーグの大暴れを利用して、土地を転がしていた
 さすがはドン!
 一方、戦闘中のあれやこれやで、ホナミに対するときめきゲージが、ぎゅんぎゅん上がっているドモンは、事務所で物思いにふけって いた。ホナミに対するメールの返事も出さずに、ぼんやりしながら「ビラ配りに行って来る……」と出ていくドモンの後ろ姿に、「これは ひょっとしたらマジかも」とはしゃぐタツヤ(意外とこういうのに気付くらしい)。
 そしてアヤセは、微妙な糸のもつれを、懸念していた。「まさかな……」
 外を出たドモンの後を追いかけたシオンは、
 「タツヤさんと別れるより、会えた事を大事にしたいです!」
 と、1000年の時を越えても人との出会いを大事にしていいのではないか、とドモンに問う。
 真っ直ぐなのですが、ここに関しては、シオンくんもちょっとずれているのがポイント。
 まだ、恋だの愛だのには早い年頃らしい。
 かくて、すれ違いと勘違いは続く。
 ……ただなー、ホナミの方が、圧倒的に都合の良い思い込みなのがなー(笑) ギャグとしては面白いですが、あまり真剣な ドラマにしてしまうと、若干、引っかかる。

◆CaseFile.25「途切れた信頼」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
 ロンダーズによって次々と発生するビル襲撃事件への対応の為、突入作戦のシュミレーションを行うタイムレンジャー。だが、訓練中、 ショック弾を放つ役目となったタツヤは、それが心臓に刺激を与えるという事を聞き、アヤセの事を想うあまりに使用をためらい、結果、 シミュレーションに失敗。
 ……しかしショック弾よりも、シミュレーションの銃撃の方が、心臓にショックが大きかったような。
 勝手な作戦行動の変更をユウリに怒られ、アヤセの事を口にできないタツヤが、ふざけて誤魔化そうとした事で、ユウリ さんマジギレ。
 「信用できない人間と一緒に作戦は出来ない」から、「本番では外れてもらう」とまで言われ、タツヤも「信用できないのはこちらも 同じ」「ユウリの本音なんて聞いた事がない」→「私の何がわかるっていうのよ!」
 売り言葉に買い言葉で、こじれまくる二人。
 加えてタツヤ、アヤセにも「足手まとい扱いは御免だ」と怒られる。
 まあ、一方的にタツヤが悪い。
 妙齢の女性に「本音を聞いた事がない」とか、「ユウリはいつも完璧で、へーへーこちららが悪うござんした」的な態度とか、いっそ グーパンされても仕方がないと思います。
 原因遡ると、アヤセの個人的我が儘が起因だったりするので、これもこれで困ったものですが。
 ある意味、命を楯にされているので、タツヤからアヤセにこれ以上強くは言えないし、つまり、一番悪いのはアヤセか。
 雰囲気最悪ながらも、ロンダーズによる次なるビル襲撃に備えて待機するタイムレンジャー、そんな時、トゥモローリサーチに引っ越し 手伝いの仕事の依頼が入ってくる。タツヤは空手の準備をしてくるように、という依頼に不思議に思いながらも5人が向かったのは、鷹宮、 という大きな屋敷。そこは何と、タツヤの祖父の家(母親の実家と思われる)であった。
 空手の師匠であった祖父に引きずられ、模擬戦をするタツヤ(祖父は竹箒装備)。引っ越しの手伝いというのは完全に、直接呼んでも 来そうにないタツヤをトゥモローリサーチへの依頼にかこつけてを呼ぶ為の方便だったようで、残りの4人は大雑把に屋敷の掃除をする 事になる。
 以前のエピソードで、タツヤ母がトゥモローリサーチの名刺を受け取っていた伏線は、もっと終盤の大事な所で使ってくるかと思い ましたが、思ったより早く使ってきました(まあ、父の方でまだ使えるけど)。
 タツヤ母は、特にトゥモローリサーチに対して、含む所は無さそう。むしろ、“あの子にも友達が”的なオーラを感じます(笑)  ……友達、あまり居なさそうだしな、タツヤ。
 荷物の移動中、庭で祖父と戦うタツヤの姿を見たユウリ。そんなユウリにタツヤ母は、かつてタツヤが苛められていた事、それを 救ったのが祖父に教わった空手である事、何か大事な事を隠そうとする時に極端にふざけて誤魔化す癖がある事、などを語る。
 癖ですませていいのかという感じはありますが、何となくほだされてしまうユウリさん。
 その時、タックからロンダーズによるビル襲撃発生の報が入り、ユウリはタツヤの同行を認め、5人は現場へ向かう。

 仕事を放り出して

 ……4人はともかく、タツヤも「身内だから後で誤魔化せるだろう」ぐらいに思っていそうでどうかという感じですが、この辺りが、 坊ちゃんの坊ちゃんたる所以というか。
 現場へたどり着いた5人はシミュレーション通りにビルへの突入を図る。だがそれは、タイムレンジャー抹殺をドルネロから依頼 された、狂気の科学者・ゲンブの罠だった! ゲンブの発生させたゲンブゾーンという 魔空空間 奇妙な亜空間に吸い込まれる5人。更にそこにコピータイムレンジャーが 現れ、その強さに圧倒される。
 果たしてタイムレンジャーの運命や如何に?! という事で、今回は前後編。
 ゲストのタツヤ祖父が、なかなかいい味を出しておりました。

◆CaseFile.26「信頼の秒読み(カウントダウン)」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子)
 前後編で繋げた格好いいサブタイトル。戦隊シリーズは制作進行上の都合(脚本段階の仮題がそのまま採用されたり、プロデューサーが 土壇場でつけたりなど)もあってサブタイトルにはそれほど凝ってない場合が多いですが、今作は割とサブタイトルに凝っているし、 格好いいものが多いのはいい所。

 ゲンブゾーンではコピータイムレンジャーの戦闘能力は通常空間の3倍になるのだ!
 というわけで、コピータイムレンジャーに押し負ける5人。
 ヴォルユニットによる撃ち合いの結果、時空に亀裂が走り一時撤退を図るが、逃げ切れたのはタツヤとユウリだけで、残りの3人は ゲンブゾーンに囚われてしまう。
 科学者ゲンブは、空間に別の空間を作り出す研究に没頭する内に、亜空間に自分の王国を作り出すという妄想に取り憑かれ、実験で 次々と助手を犠牲にしてきた危険人物であった。
 タックの計算の結果、二人が脱出に使った亀裂を、外からアサルトベクター、内からヴォルユニットで同時攻撃する事で、亜空間を 発生させているエネルギーを消滅させられる事がわかる。だがそのタイミングは全く同時でなくてはならない。空間に閉じこめられた アヤセ達とは連絡が取れない為、時間を合わせてユウリが再び亜空間に突入、外のタツヤと同時に射撃するしか、道はない。
 タックの最終計算を待ちながら、突入準備を行う二人。
 変身してしまうと顔が隠れてしまうのでドラマ演出がやりにくい都合だったのでしょうが、私服姿でアサルトベクターを組み立てて いるのは、割と間抜け(笑)
 緊張を隠せないタツヤに「どうして自分を作戦に同行させる気になったのか?」と問われ、ユウリはタツヤの母から話を聞いた事を 告げるといきなり……「タツヤ、馬とびしよっか?」
 その場の勢いでユウリと馬飛びするタツヤ。
 何このバカップル展開。
 ユウリはかつて妹によく馬飛びをせがまれていた事、妹を失ったあとで妹ともっと遊んであげなかった事を後悔している事、捜査官と して様々な作戦には慣れているが、作戦開始時よりもむしろ、作戦終了後に誰も居ない真っ暗な部屋に帰る事が一番不安だったのだと、 「そっちの弱みだけ知ってるなんてフェアじゃないから話しただけよ」と理由をつけて自分の本音の一部を告白する。
 ユウリさんの家族を亡くしている設定は、久々だったので(あんまり繰り返すものでもないですが)、正直ちょっと忘れて いました(^^; 前回、タツヤ母の話を聞いて割とあっさりほだされたのは、家族ネタにけっこう弱いという事かユウリさん。
 それはそれとして、他の隊員達が「家族や恋人のところへ帰っていく……」と言うユウリさん、家族はともかく、恋人は 自助努力の問題では。そういう台詞が出てくる以上、「恋人」という概念に全く興味が無いというわけでは無さそうなんですが、 どうなのか。努力の問題ではない、といえばそうですけど、人恋しいオーラなんて、一度たりとも出した事ないじゃないですか(笑)
 座り込むユウリの肩にタツヤが手を伸ばし……触れようとした所で一瞬躊躇ったのはいい演出。そして意を決した時、鳴り響く通信音。
 タックがフラグをへしおった!!!
 どうせ話をモニターしていただろうに、どうしてあと3秒ぐらい、待てないか。
 いよいよ作戦決行、ユウリは亜空間へ突入し、コピーピンクに妨害されるも、内と外での同時射撃を成功させる。どうせなら、土壇場で アクセルストップ使ってほしかったかなぁ、ここは。
 ゲンブゾーンは破壊され、アヤセ達3人も無事に通常空間へ復帰。巨大化したゲンブはタイムロボアルファをコピーして攻撃して くるが、ベータ&シャドウの連携攻撃により撃破に成功。戦闘終わって一足先に事務所に帰ったタツヤは、エプロン姿で食事の準備を しており、更に帰ってきた4人に次々と「おかえり」といいながら、ハグ。

 ユウリさんの平手打ちを食らう

 (この結果、アヤセは難を逃れる)
 部屋へ戻りながら、ちょっとにやけてしまうユウリさん。タツヤはめげずに「みんな、馬飛びやらないか」。
 ちゃんとこういうオチまで入れてくるのが、シリーズ通して今作のいい所。
 そして2クール経過して遂に、孤高の女の氷にわずかな亀裂。
 果たしてこの後、どうなるのか?!
 あと今回は、浮き気味だったアサルトベクターの使い方が良かった。
 ヴォルユニットだとちょっと説得力が弱くなる所にうまく絡めました。
 今回のシナリオ展開では無理ですが、やっぱりアサルトベクターはこういう、それでなければ駄目な話、というのを1話使って 出してほしかったなぁ……そこまでして1話、追加玩具回に使えなかった、という所なのでしょうが。

→〔まとめ3、へ続く〕

(2012年8月12日)

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