「俺の正義は金じゃ買えない」
- ◆CaseFile.14「デッドヒート」◆ (監督:諸田敏 脚本:井上敏樹)
アヤセ、一発免停
その頃、金穴でとうとう熱を出してしまったドルネロを後目に、リラが一人の囚人を解凍。その男の名はバロン。抜群の腕を持つ 元レーサーだった。
宝飾店に入って宝石を試しに身につけた後、そのまま店外に逃走。外に待たせていたバロンの車に乗り込み、その超絶ドライビング テクニックで警察の追跡を振り切るという、乱暴かつ直球な強盗を繰り返すリラ。
手配書とか回りそうですが、一瞬で衣装チェンジしたりあのピンク髪で街に違和感なく溶け込んで(?)いる所を見るに、容姿に関して は何らかの未来的なカムフラージュ技術を使っていて、店員などには別の姿で見えているのかもしれない。
新聞報道から事件を知ったタイムレンジャーはロンダーズが絡んでいると見て事件を追い、すっかり癖になっている警察無線の傍受で 逃走ルートに先回り、いきなり射撃。
思う所があったアヤセは、車を停めたバロンとリラの前に、自ら変身を解いて進み出る。彼の疑念通り、バロンは未来でのアヤセの 旧友であった。アヤセに対して「俺の才能に嫉妬して、俺を刑務所送りにした男」と言い残し、バロンは車でタイムレンジャーを蹴散らす と、走り去っていく。
ここで、アヤセの周りをぐるっと車とカメラが回る演出は格好いい。その前の、遠目俯瞰は微妙でしたが。
バロンはスピード違反で人身事故を起こし、逮捕。裁判でのアヤセの証言が決定的になり、受刑。被害者が有力者の関係者だった為に 圧縮冷凍されてしまい、その事でアヤセを逆恨みしているのだった。バロンの真意を問いただす為、単独で彼と接触したアヤセは、 「3勝3敗の勝負の決着をつけよう」と告げられる。
だが、アヤセには、そうもいかない事情があった。
免・停・中
というわけで(やや誇張)、再講習を受ける事になるアヤセ。実技中に事件発生の連絡を受け、教官を横に乗せたまま急発進。
……急ブレーキをかけた際に、教官の頭突きで、フロントガラスにヒビ入っているんですが(笑)
この後、助手席で泡吹いて気絶している描写が入りましたが、本当にそれはただの気絶なのか、頭部に受けた衝撃が原因ではないのか、 教官さんのその後が少しばかり心配です。
逃走中のバロンに接触するアヤセ。
ルールも決めずに「勝負だ」と走り出す二人。
と思ったら、アヤセ、いきなり体当たり。
そういうルールなのか、と思ったらそうでは無かったらしく、車を停めたバロンが「妨害行為でおまえの負けだ」と憤激するのに あっさり「そうだな」と認めるアヤセ。
その二人の前に、転がってくるサッカーボール。
アヤセは前方にボールを追いかけて子供達が飛び出してくるのを察知して車を強引に止めたのだった。
確認したら、体当たりの寸前に、アヤセがちらっと左前方を確認している演技が入っていました。細かい。
アヤセの判断力に真の敗者は自分だと認めたバロンは「どんなゲームにも終わりはあるって事さ」とリラと手を切ろうとするが、 リラの仕掛けていた罠により暴走状態となり、駆けつけたタイムレンジャーに襲いかかる。
リラ、ボンネットの上に仁王立ち。
男の友情を台無しにしたり、今回は悪女ぶりで大活躍です。
最後はリラによって故意にリバウンドを起こされて巨大化したバロンが、タイムロボアルファの攻撃によって正気を取り戻した後、 「本当は俺がおまえに嫉妬していたんだ」と言い残し、圧縮冷凍。いつか刑期が終わった未来で、自分の代わりにチャンピオンになって くれと、アヤセは友に思いを託すのであった。
圧縮冷凍中は微妙に意識があるそうなので、アヤセさんはたまにロッカーの中に話しかけるといいと思います!
どうせ今現在、タツヤ以外に友達も居ませんし、独り言の相手として!
それはそれで、解凍された時、バロン、発狂しているかもしれませんが。
或いは、新しい恨みを抱いているか。
途中でバロンの地球人モードが登場し、異星人っぽさを出す為か外国人俳優で見た目は格好いいのですが、アフレコが非常につたなく、 変身後もそのまま声優に声入れて貰えば良かったのに、と正直。
それからアヤセさんの免許の行方が気になります。
一発免停による再教習中に講習を抜け出して暴走した人は、再び免許を取れるのでしょーか。
次回、アヤセの免許更新や如何に?!
そんな次回は、なぜか、幼児向け番組のような予告(笑)
頑張れドモン、フラグを立てろ(?)。
あとドモン、そろそろ金稼げ、ドモン。
- ◆CaseFile.15「狙撃手を探せ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
- 以前にゴウガンの事件で出会った、タイムレンジャーとロンダーズを追うフリーカメラマン森山ホナミが、タイムレンジャーのスクープ 写真を撮ったカメラマン、として雑誌に顔写真付きで紹介される。ホナミとタイムレンジャーが知り合いのような記事の内容に、彼女が ロンダーズに狙われる可能性を危ぶんだユウリは、彼女の再説得へと向かう。
……なぜ、説得スキルの無いユウリさんを一人で向かわせますか(笑)
だが一足違いで、タイムレンジャー抹殺の為に解凍されたスナイパー・レイホウにホナミは攫われてしまっていた。
荒らされた無人の部屋を捜索する5人。
途中で何か、難しい顔をするシオン。
柱の銃撃跡からタックが武器を割り出し、犯人を解析するくだりは面白い。
世界に一つだけの銃、て殺し屋としては致命的にカスタマイズしすぎな気はしますが(笑)
……まあ、そんな目立ちたがり屋だから、捕まったのか。
詳しいタイムレンジャーの事情など知る筈もないホナミだが、尋問中に(容赦なくひっぱたいてグッド……別にひっぱたかれるシーン が好きなわけではないですが、恐怖を与えるべきシーンで与えるという演出は重要)彼女が落としたパスケースの中を見たレイホウは、 そこに挟んであったタイムイエローとアヤセの写真からその関係を勘違い。ホナミを囮にタイムレンジャーを誘い出す作戦に切り替える。
翌日、異常な信号を感知したタイムレンジャー。まずはタックが偵察に行き、ホナミが時限爆弾付きの信号首輪を取り付けられている のを発見する。スナイパーの狙撃を防ぐ為に銃を改造して一時的に不可視のバリアを張り、その隙にホナミを救出。更にバリアに対する 銃撃の弾道から相手の狙撃位置を割り出す、という作戦をたてるタイムレンジャー。
今回この、銃撃跡から犯人を割り出す→タックが偵察→狙撃への対抗策を練る、という流れがしっかりと頭使って作戦を練っている感じ が出ていて良かったです。
そしていよいよ作戦決行。ホナミの周囲にバリアーを張る所までは順調に行ったが、イエローが彼女を励ますつもりで物陰から顔を 見せた事で、イエローに憧れるホナミが、爆発に巻き込んではいけないとかえって恐慌をきたす。イエローの姿を見て、ホナミがバリアー の範囲から飛び出してしまう可能性を察知したシオンが飛び出し、ユウリとともにホナミを守る事に成功。連続の銃撃でバリアーは破壊 されるが、狙撃位置をタックが割り出し、レイホウは圧縮冷凍して無事に逮捕するのであった。
ホナミの部屋の捜索シーンでシオンが難しい顔をしていたのが伏線で、現場にぶちまけられていたホナミの撮った写真から、ホナミの タイムイエローへの思いを読みとってその後の行動に繋げるなど、思わぬ洞察力の高さを見せました。……そういえば、シオンは空気は 読まないけど、頭脳は優秀なのだった。
そして、
「私はシオンのように気付けなかった。同じ写真を、見てたのに。彼女の気持ちも、行動も。本当に嫌になるぐらい」
ユウリさん、反省する
まあプロの捜査官としては、当然、落ち込むべき所でしょう。
きちっとこういう所まで盛り込んでくるのが、今作のいい所。
人の心の機微などに疎い所を改めて自覚するユウリでしたが、さすがに落ちていたパスケースの中身を覗くほど、デリカシーが無い わけではなかった。
そんなわけで、勘違い(タイムイエロー=アヤセ)は続く。
しかも、タイムレンジャーサイドを巻き込んでより複雑な感じで(笑)
……まあ、勘違いというか、都合のいい妄想、と言った方が正確ではあるのですが。
今回は前回の予告からドモン回かと思いきや、レイホウの戦闘シーンで途中乱入して攻撃を弾いたりなど戦闘でもグリーンが格好いい 所を見せ、本筋で焦点が集中しているわけでもないのに、随所でいい所を見せてメインを持っていって実はシオン回でした、という面白い 構成。敵味方の罠の張りあいなども筋が通っていて、良い回でした。
- ◆CaseFile.16「そばにある夢」◆ (監督:坂本太郎 脚本:山口亮太)
- ある日のトゥモローリサーチ、他の4人が忙しく働いている事務所に寝ぼけて入ってきたパジャマ姿のドモンが、客に倒れ込むなどの 大騒ぎで、沢山来ていた客が全て帰ってしまう。罰として、仕事を取ってくるまで帰ってくるな、と叩き出されるドモン。
「あの、頑張ってください」と笑顔で言いつつ、しっかり突き飛ばすシオンも、こっそりキレてる模様(笑)
……まあ、そもそもトゥモローリサーチは生活空間と事務所と応接室が一体化しすぎですが。
片隅のロッカーには、圧縮冷凍された怪人が山盛りだったりしますし。
色々と危険。
ビラ配りで歩き回って疲れて入った不味い蕎麦屋で、仲間に裏切られて心を傷つけられた者として、店主・菅原と意気投合したドモンは、 菅原の蕎麦屋を美味しくしたいとトゥモローリサーチに戻って仲間に菅原の蕎麦を食べさせるが、 なぜかアヤセに「蕎麦に必要な4タテがない。それをわからないものに蕎麦を打つ資格はない」と、 滅多切りにされる。
落ち込む菅原を励まし、共に究極の蕎麦を作る為に頑張ろう、と脱線したまま暴走するドモン。
こうして二人の、究極の蕎麦を目指す戦いが始まった……!
というわけで、閑話休題のギャグ回。
シリアス成分の多い今作の雰囲気で、どこまでギャグ回を出来るか、を試したような1本。
蕎麦について熱く語り出すアヤセとか、最初から最後まで、説明なし(笑)
敢えて解釈をするなら、実家が蕎麦屋、とか有りそうですが。
ドモンがトゥモローリサーチを離れて菅原と共に各地の蕎麦屋を巡っている頃、ギエンは殺戮というディナーを運ぶ料理人、 美食放火魔・ビンセントを解凍。ビンセントは飲食店に入っては出てきた食べ物に文句をつけ、火を噴いたり店主に暴行を加えるという、 極めて迷惑な男であった(ただし、舌は確かな模様)。
見た目も行動も間抜けだが、その懲役、180年。おそらく常習犯なので、どんどん刑が重くなったの でしょう。しかし、データベースの罪状が「食い逃げ」となっていたのですが、放火や障害の方ではないのか……。
一度はビンセントを追い詰めたタイムレンジャーだったが、ドモン不在の為に合体攻撃が出来ず、取り逃がしてしまう。蕎麦屋を訪れた アヤセは、ドモンに「こんな事をしている間に、街が大変な事になっている。おまえはタイムレンジャー失格だ」と言い放つが、ドモンが 蕎麦作りを“こんな事”と言われたり前段の感情的なもつれがあった上で、それと知らずにアヤセのタブーワードである「夢」を口にして しまったりと話はこじれ、物別れに終わる。
この後、「ドモンさん、タイムレンジャーを辞めてしまうんでしょうか」と4人の方は少し深刻な感じが出て、“仲間の絆”という テーマ的な要素も入るのですが、そもそもの発端が、全面的にドモンが悪い(朝寝坊した上に寝ぼけて仕事を台無し)為、ドモン 側のこじれに全く共感できない、というのは残念だった所。ここでドモンの言い分にもある程度の理があれば、ギャグ回なりに物語の 腰がしっかりと入りましたし、脚本としてはそこを目指していたようなのですが、巧くいきませんでした。
最後、燃やされた菅原さんの店の仇討ちに、アヤセがタックに用意させた蕎麦粉を受け取ったドモンが、ビンセントに屋台で勝負を挑む くだりはまあギャグ回という事で良いとして、調理中はブレスレット外せドモン、とだけは言いたい。
あと、ギャグ回でアヤセがちょっと丸くなるのは、あまりやってほしくなかったかなぁ。
「夢」というワード絡みで……という感じに書きたかったのは何となくわかるのですが、その辺りの細かい仕掛けは、概ね失敗。素直に ギャグだけにしておいた方が、かえって良かったとは思います。
次回、予告ではぐっと真面目な感じにタツヤ回。
ここまで意外と、ユウリさん回が無いなぁ……前回は珍しくユウリさんが反省したので、人間的変化が描かれたという意味では、半分 ユウリさん回と捉えるのもアリかとは思いますが。
- ◆CaseFile.17「ねじれた正拳」◆ (監督:小中肇 脚本:山口亮太)
- ドルネロ様、出納帳をつけていた事、発覚。
「今の俺達には安定した収入源が必要なんだ」
懐が寂しくなって、器が小さくなってきました(笑)
そんなドルネロに、丁度よいのが居る、とリラが一人の犯罪者を解凍。
その名は、恐喝番長・フラン
……カ、カツアゲですか?
恐喝犯として圧縮冷凍されていたフランは人間(怪人時の声が男なのに、何故か女教師)に化け、群竜会というグループに不良達を 組織化。各地の中学校を中心に気弱な生徒達は脅迫してお金を巻き上げ、ロンダーズファミリーに上納金を納めさせる、というシステムを 作り上げる……
「カツアゲがこんなに儲かるなんて」
カツアゲでした
……まあ、未来時代のファミリーもきっと、みかじめ料とかで定期収入は得ていたかとは思いますが。
そういう些末な業務は恐らく経理担当がやっていたので、ドルネロ様的には新鮮だったのでしょう。
その頃、空手のレッスンに熱心に通い、個人的に朝練を付けていた誠少年が、この群竜会に目を付けられて苛められている事を知った タツヤ。なぜ大人に相談しないのかと問うが、「大人は何もしれくれない」と誠少年は頑な。まあ実際、ここでタツヤが出ていけば 解決するのかというそうでもない所が、リアルに難しい話だったりはしますが。タツヤの場合は、この辺りの根っこの所のボンボン気質が 抜けていないのがキャラクター性として成立しているのは良い所。
復讐の道具に使うならこれ以上は空手を教えられない、とタツヤに告げられた誠だったが、大切に世話していた学校の花壇を不良 グループに踏み荒らされた怒りから思わず反撃。その一撃が群竜会のリーダーであった渋谷を瞬殺し、群竜会の新たなリーダーに スカウトされる。
女教師(フラン)の誘導もあり、力と欲望に溺れていく誠。
一方、タツヤからの情報で群竜会を調べたタイムレンジャーは、地区全体で2億近い荒稼ぎをしている事を知り、念のためにその 背後関係を調べる事にする。エスカレートする群竜会は学生のみならず、サラリーマンなど学校の外まで恐喝の範囲を広げていき、 それを主導する誠の前に立ちはだかるタツヤ。「力が正義だ」と叫ぶ誠に「ならばその正義で俺を倒してみろ」と対峙したタツヤは、 敢えて反撃をせずに一方的に誠の攻撃を受けながらも立ち上がり続け、誠に間違いを認めさせる。
ここで、殴り飛ばされたタツヤに思わず駆け寄ろうとしたユウリを、ドモンが止める辺りの小芝居が入っているのが巧い。
もう群竜会は辞めるという誠の前に、正体を現したフランを、叩きのめすタイムレッド。
これは駄目だと次いでドモンが向かうが、やはりあっさりと骨抜きにされ、全財産の9879円を恭子に カンパして帰ってくる。
「おまえ……まさか、金とか貸してないよな」
「まさか」
「良かったぁ……」
「あげたさ」
「「「なんだって?!」」」
「お母さんの手術代としてカンパしたんだ。全財産の、1万353円」
ユウリさんはまあ、容姿にはそれなりに自信あったのだろうとして、家事なども、やった事ないけどその気になればいつでも簡単に 出来る、ぐらいに思っていた感じが見受けられるので、今回は色々とダメージが大きい模様です。
桃「ねえ私、女として何か足りない所があるのかなぁ」
赤「そんな事はないよ。ユウリは充分、魅力的だよ」
桃「えへっ。そう!」
黄「恭子様に比べれば、だいぶ落ちるけどな」
桃「え?」
赤「ドモン、それはユウリに悪いよ。恭子さんとくらべちゃ」
桃「え?!」
黄「相手が悪いか」
赤「相手が恭子さんじゃなぁ」
赤&黄「「へっへっへ」」
(2012年8月12日)
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