■『電磁戦隊メガレンジャー』感想まとめ5■


“俺達は負けない!
みんな一緒に、卒業する為に”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『電磁戦隊メガレンジャー』感想の、 まとめ5(41〜最終話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
 執筆中にコメントをいただきましたkanataさん、やり取りが感想に反映されている所もあります。改めて、ありがとうございました。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔総括〕


◆第41話「キレてる! 青の恐怖ネジブルー」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
 ネジピンクを撃破したものの、未だネジレンジャーの脅威は健在。対策を練る中で、ネジレンジャーがそれぞれの標的を絞っている、 と瞬は推測する。結果的に、赤vs赤、黒vs黒、と似たタイプの者同士のマッチアップとなってしまう為、 基本スペックの上回るネジレンジャーが優位になる。ならばそのマッチアップを意図的にずらせば……という作戦を胸に、 出現したネジレンジャーとの戦いに赴く5人。
 作戦は上手く行き、戦闘の主導権を握れるか……と思ったのも束の間、すぐにネジレンジャーの思惑通りの組み合わせに戻されてしまう。 更に救援に現れた余計な人(メガシルバー)、乱入……するもガン無視される。
 瞬はネジブルーに小馬鹿にされた上、重傷を負って月基地へ運び込まれる事となる。
 一方、ネジレジアの方も盤石ではなかった。ヒネラーの調合した痛みのマヒする薬により、小康状態を保っていたジャビウス1世だが、 薬が切れるとともに苦しみだし、その影響でネジレンジャーは撤退。結局メガレンジャーにトドメを刺し損ねる。
 「ジャビウスも殺せた筈では」と、とうとうシボレナさんまで呼び捨てにしてしまいますが、 ヒネラーはジャビウスの絶大な力を知っていた。実はネジレンジャーは、ジャビウスの細胞より作られた存在。 その行動によりジャビウスのエネルギーを消耗させる事は出来るが、ジャビウスにそれを気付かれる危険を常にともなっている。 仮に自分の企みが露見すれば一瞬で皆殺しにされるであろう事を認識しているヒネラーは、ジャビウスの力を奪う為に、 慎重に慎重を期していた。
 ヒネラーがジャビウスの状態を落ち着くのを見計らっている頃、ベッドを抜け出した瞬は、新しいネジレンジャー対策を検討していた。 そこへ顔を見せる早川。
 瞬はどういうわけか、早川への態度は割と柔らかいのですが、同じ天才タイプだからか何なのか。 そしてちょっとしたトラブルから対ネジレンジャーへの新たな一手を思いつく瞬。
 それは……

 5人全員メガブルー作戦

 地上へ現れたネジレンジャーの前に現れる、5人のメガブルー(合成ではなく、中の人は別なので、 少なくともこれはメガピンクだな、ぐらいはわかる)。
 ネジブルーは5人全員を仕留めようと攻撃を開始。そこへ、「その中の一人は俺の獲物だ」と、赤・黒乱入。
 無駄な混戦に、イエロー帰宅
 戦いは一進一退となるが、更に新たな闖入者が現れる。
 その名は、ネジシルバー!
 突如現れたネジシルバーは次々と4人のメガブルーを叩き伏せ、混乱するネジレンジャーの中から赤と黒が突っ込むが、 背後からそれを攻撃する青。さすがにもうやってられない、と赤と黒も退却し、最後に残ったメガブルーを仕留めようとするネジブルー。 だがその時! ネジシルバーの背後から、倒れた筈のメガブルーが飛び出し、ネジレブルーに奇襲を浴びせる。
 ネジシルバーの正体は早川裕作、全ては瞬と早川の、2段構えの罠だったのだ!!
 まあ視聴者にはバレバレなのですが、ここは基地で狼狽える久保田と、この一件で戦闘後にいじける久保田と早川のやり取りを楽しむ所か。
 最後は銀と青の合体攻撃で、ネジブルー撃破。巨大化したネジビザールの操る冷気に苦戦するが、 メガボイジャーの機体温度を上昇させる事で凍結状態を打ち破り、何故か威力の上昇した飛び道具を食らわせ、 トドメはボイジャースパルタン!
 「なぜ私のネジレンジャーがメガレンジャーごときに……!?」と激昂するヒネラー。……多分、

 頭が悪いから

 だと思います(ネジレンジャーの)。

◆第42話「ふりきれ! 邪悪な追跡者」◆ (監督:辻野正人 脚本:武上純希)
 メガレンジャー打破の為、これまでの戦闘データからメガレンジャーの身長・体重・声紋などのパターンを割り出したネジレッド、 ネジブラック、ネジイエローは、今度こそメガレンジャーの正体を暴こうと、人間の姿を取って地上へと出撃する。
 ネジブラック、超イケメン (どことなく村上弘明風)
 その頃デジ研では、耕一郎が説教モードに入っていた。

 厳しさを増すネジレジアとの戦いに備え、結束をはかる対策会議を行おうとした所、健太と瞬はカップ麺を巡って醜い争いを繰り広げ、 女衆は気分転換にクリスマスパーティを開こうと外へ買い物へ、の有様に激怒。
 「みんなたるんでるよ、たるみきってる!」
 背後のホワイトボードには、クレヨン的な感じのネジレンジャーのイラストが貼ってあったりするのですが、誰の落書きだよ……と思ったら、 「耕」ってサインが入っていました。画力はともかく、細かいな、耕一郎。
 東京ドームシティ(『メガレン』のロケ地は、前年の『超光戦士シャンゼリオン』でもよく撮影に使われている、 この当時は広い上に人が居なくて使いたい放題で重宝したらしいお台場と、ここが多い)で道行く人々を解析し、 メガレンジャーの正体を探すネジレンジャー。千里の声紋パターンを発見して公衆電話を襲撃するが、 寸前で彼女は電話ボックスを出ていた為に一足違いの人違いに終わる。
 暴走するネジイエローを一生懸命に止める赤と黒、の図は、なんか不思議。
 ついネジレンジャーへの好感度が上昇してしまうぐらい、いい人に見えます(笑)
 これが、吊り橋効果と並んで有名なあの伝説の、ヤンキーが犬を助ける効果……!
 ネジレンジャーもつい人間ルールを守ろうとしてしまうのは、人間の姿に化けた故か。
 紙一重で襲撃を避けた千里は、怪しい黒服の3人が自分達の正体を探るネジレンジャーに違いないと直感、仲間と久保田に連絡を取る。 買い物から帰らないみくのポケベルに「声を出さないように」と連絡をし、、下手に探しにもいけないまま、無事に帰ってくるのを待つ4人。 公衆電話で事情を聞いたみくが、声を出すのを我慢し、黒服に脅えながら挙動不審で街を歩く所は、なかなかサスペンス。
 会話が出来ない為にみくの居場所もわからず、迎えに行く事も出来ずに焦れる4人だったが、この時、電話の後ろから聞こえてきた音で、 その居場所を判断。早川に救援を依頼する。
 一方、必死に声を出さずに我慢していたみくだが、母親が目を離した隙に乳母車が車道に飛び出しそうになったのを見て声をあげてしまい、 補足されてしまう。対象の行動パターンの分析から、メガピンクの正体と判断するネジレンジャー。最終確認として、 もう一回声を聞こうと、みくを呼び止める。
 「ハンカチを落としましたよ?」
 ……なんだろう、この、ダメさは。
 ヒネラー製だからか、ヒネラー製だからなのか?!
 状況は間抜けだが、みく、絶対絶命のピンチ。
 そこへ、サンタの扮装で現れる早川。
 状況を理解できずに固まるネジレンジャー。
 みく&ネジレンジャーが固まっている横を通り抜けた早川は、物陰で録音したメガピンクの声を再生し、 会話をしているふりをしながらバイクで逃走する事でネジレンジャーを引きつける。その間にみくは4人と合流し、 メガレンジャーが揃い踏み。ここまで、好演出とみくの名演で緊張感をうまく出していただけに、 最後ちょっとがっくり展開で勿体なかったです。早川サンタは、ネタに走りすぎた感。
 激突する、メガレンジャーvsネジレンジャー。6対3の戦力比ではさすがのネジレンジャーも厳しいのか、デジタルコンビネーションが炸裂。 ネジレンジャーは大ダメージを受け、そのダメージに連動して苦しむジャビウス。
 「そろそろ潮時か……」
 ヒネラーの号令一下、本性を現したネジレンジャー3体(ネジファントム/ネジヴァルガー/ネジソフィア)、一気に巨大化。
 そこへメガウィンガーに、復活したデルタメガが加わり、3対3のロボット戦、必殺のボイジャースパルタンが炸裂して勝負あり…… かと思われたがしかし! 爆炎の中からネジヴァルガーが立ち上がる!! 攻撃を封じられたメガボイジャーはネジレ時空へと引きずり込まれ、 更にファントムとソフィアの攻撃を受けてメガウィンガーとデルタメガも地に倒れてしまう。メガボイジャーからの脱出を指示する久保田だが、 拒否するレッド。
 ネジレ獣の卵の回ではうまくアレンジして使っていましたが、健太のロボ可愛がりは、やはりちょっと異常。
 仲間を巻き込んで、ロボットと心中しようとするな(^^;
 やむなくブラックはレッドを気絶させ、無理矢理に脱出させる。脱出に成功した5人の前で、ネジレ時空へ引きずり込まれて姿を消すメガボイジャー。 ネジレンジャー達も姿を消し、ここにメガレンジャーは、最強の剣を失う事となる。まさかのヒネラー大逆転、戦いの行方や如何に!

◆第43話「負けない! 決戦はクリスマスイブ」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 ヒネラー、密談を聞かれる。
 「メガレンジャーを倒した時、ジャビウスと共にネジレンジャーも死ぬ」という話を立ち聞きしてしまったネジレッドは、 メガレンジャーを倒しつつ自分達も生き延びる為に一計を案じる。
 ボイジャーマシンを囮に、誘い出されるメガレンジャー達。メガウィンガーとデルタメガが先行してネジレンジャーの注意を引いている内に、 メガレンジャーがデジタンクでこっそり各ボイジャーマシンに乗り込むという作戦を立てるが、その更に裏をかかれ、 合体後のメガボイジャーのコントロールをネジイエローに奪われてしまう。制御不能のメガボイジャーを操られ、 メガウィンガーとデルタメガも捕らえられたメガレンジャーは戦闘不能に。
 だがネジレッドはそのままトドメを刺す事はせず、ヒネラーの元へと帰還。
 ユガンテとシボレナを叩き伏せた上で、メガレンジャーを倒してほしければ要求を聞け、とクーデター決行
 ここまでは、ジャビウス←ヒネラー←ネジレンジャー、という二重クーデター構造で面白かったのですが、 その要求が永遠の命。
 ……いや、何故、そんな貰ってもわからない物を要求しますか。
 追い詰めて脅かした上で要求するものが永遠の命とか、馬鹿すぎてもうどうしたらいいのか。 ネジレンジャーの敗因は、あっちでもこっちでも終始「知力」だなぁ……。
 結局、再洗脳を受け、クーデターは失敗。「メガレンジャーを倒せれば後はどうでもいい」と半ば暴走状態になったネジレッドは地上に姿を見せると、 メガボイジャーのコックピットからメガレッドを引きずり出して一騎打ち。メガレッドを仕留める寸前までいくが、そこに現れたのが、
 ギャラクシーメガ!
 間一髪、ギャラクシーメガに乗り込んだ健太は久保田の指示を受け、 イオノパルサー(なんかエネルギー)を充填したメガサーベルでメガボイジャーを攻撃、更に暴走するネジファントム(ネジレッド正体) もメガボイジャーを攻撃し、たまらずネジイエローは、メガボイジャーを解放、メガボイジャーは自由を取り戻す。
 メガレンジャー巨大ロボ4体揃い踏み、そしてネジファントムの放った光線を受け、ネジヴァルガー(ネジブラック正体)、 ネジソフィア(ネジイエロー正体)も、「メガレンジャーさえ倒せれば後は野となれ山となれ」の暴走状態と化す。
「命をかけてメガレンジャーを倒す!」
「それがネジレンジャーの使命!」
「それがネジレンジャーの誇り!」
 ……なんか格好良くなったぞ(笑)
 3体の力を結集させ、強力なエネルギー攻撃をしてくるネジレンジャー。対してメガレンジャーは、 久保田の指揮の元にメガボイジャー・メガウィンガー・スーパーギャラクシーメガでフォーメーションを組み、 敵のエネルギーが限界に達した時に乾坤一擲の反撃を見舞うという作戦で覚悟を決める。
 盛り上がり展開の筈なんですが、なんかこう、
 武上さんは下手だなぁ………………
 としか、言いようが無い。
 どこがどう、と言われると困るのですが、盛り上げ方がうまくない。
 ネジレジアでは、
 「やれぃやれぃもっとやれぃ! エネルギーを使い尽くせ!」
 と、ヒネラー大喜び。
 そして激しいエネルギーが放たれ続け――――ジャビウス1世陛下、遂に崩御
 その瞬間、最大限まで高まったエネルギー波に耐えきったメガレンジャー達は、最大最強のボイジャースパルタンを放ち、 ネジレンジャー、大爆散。ここに、対ネジレジア戦で最も壮絶な戦いは終わりを告げたのであった。
 とうとう退場となったジャビウス1世陛下、初期はたまに出てきて怒るだけ→終盤は苦しんでいるだけ、 で結局全体像もよくわからないまま目玉だけが印象に残ってさよならしてしまいましたが、声をあてていた大友龍三郎さんが好きだったので、 ちょっと残念。まあ、漠然とした超存在的なキャラクターは、ラストまで残しても扱い難しいといえば難しく、 ヒネラーによるネジレジア乗っ取り、という展開そのものは好きです。
 戦い終わって、デジ研部室で慎ましいクリスマスパーティを開く5人。 お店が閉まっている時間だった為にケーキも無ければ飲み物もさもしい……と文句を言う健太だったが、そこに久保田博士の差し入れで、 ケーキや飲み物を持った早川が現れる。こうして6人は、クリスマスの夜を楽しく過ごすのであった……というかここは本来、 学校の部室なんですが、部外者招いて夜の学校でパーティ、 て文字にすると凄まじいなメガレンジャー(笑)
 まあ、デジ研の部室は明らかに、以前に教頭先生から電話代その他で注意を受けた回の後、 アイネットから何らかの圧力がかかって治外法権になっています。

◆第44話「お気楽! 健太の年越し騒動」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
 デジタイザーを失くした健太が、必死に探しながら過去の戦闘を振り返るという総集編。
 健太−部室の4人−月の久保田、の3面で展開。
 そういえば、ドリルスナイパーフルカスタム、1回しか使ってないなぁ……。
 あと、視聴者のみならず、健太の中でも
 デジタンク=おっさんなのか(笑)
 健太が街でデジタイザーを探している頃、部室で大掃除中の4人は、何故かオートスライダー(赤)ドリルセイバーを発見。 更にロッカーからは、それらを持ってポーズを取る健太の写真が見つかる。

 耕一郎、シリーズ史上最高のマジギレ

 「みく……健太を呼び出せぇ」

 の迫力は、ヒネラーを越えました(笑)
 左腕にギブスを巻いてデジタイザーを付けていない事を誤魔化そうと戻ってきた健太の前で、 4人がわざとらしくデジタイザーの掃除を始めるシーンは秀逸。結局、健太のデジタイザーは、 写真撮影をしようとした時にメガレッドの人形に巻き付けたまま、パソコンの裏に隠されていました。 写真を年賀状に使おうと思っていたと知り、更にキレる耕一郎(笑)
 一方、微妙な空間の歪みを月基地で捉えた久保田は、一応メガレンジャーに伝えようとするが、通信画面に映った部室での大騒ぎの図を見て、 それを留まる。
 「今年ももう、終わりだから。一年間、よく頑張ってくれた。それだけだ」
 隊員「博士……いいんですか?」
 「ああ、今はあれでいい、あれでいいんだ」
 ――ヒネラーの言葉が、久保田の脳裏をよぎる。
 「しょせん人間などという不完全なものを使っている以上、そう長くはもたんだろうがな」
 (だが、彼等は勝ってきた。あの若さで、仲間との友情で)
 から、各キャラの活躍シーンに繋げた構成も秀逸。
 そして、なんだろうあの、ピンク阿呆の娘伝説
 黒→青→桃と、BGMは主題歌英語歌詞バージョンだったのですが、桃との紹介順番ひっくり返してまで黄の所から文化祭ソングで、 イエロー贔屓されてないかと思ったら、
 「やだ誰、変な声だして」(CV:大塚明夫)
 で、しっかりオトされました。
 クライマックス展開に入った所での総集編でどうかと思ったのですが、基本、どう回想シーンを挟むか、という話とはいえ、 この後東映特撮に欠かせない戦力となる小林靖子は、やはり上手い。また回想シーンのチョイスも良く、予想外に楽しめる回でした。

 ――次回、ジャビウスの暗殺に成功しネジレジアの支配者となったDr.ヒネラーが遂にその真の野望を剥き出しにする…… 野球は9回ツーアウトからだメガレンジャー!!

◆第45話「しぶとい! ヒネラーの大逆襲」◆ (監督:長石多可男 脚本:柳川茂)
 とうとう、サブタイトルで「しぶとい」扱い。
 初詣に行った神社で、第6話以来の登場となるシンタロウ・ジロウ(若干ストーカー気味に、 みくに惚れている太めの同級生とその腰巾着のコンビ)と出会うメガレンジャー。健太を交えた追試3人組に、 耕一郎は勉強を教える約束する。
 一方、“次元と呼ぶにふさわしいエネルギーフィールド”であったジャビウスの死により、 そのエネルギーの根源であった《ジャビウスハート》を入手したヒネラーは、 ネジレ次元を捨て、遂に直接地球を支配宣言。
 東京上空に現れたネジレジアの円盤の為に、健太も耕一郎も、急遽メガボイジャーで出撃する事になる。
 勉強の約束をすっぽかされる形となったシンタロウとジロウは、 街で『超無限能力開発セミナー』と銘打った怪しすぎるバスと遭遇。 ジロウを置いてそれに乗り込んだシンタロウはどこかへと消えてしまう。
 翌日、教室で必死に追試直前の詰め込みを行っている健太へ向けて耕一郎、
 「健太……一緒に卒業しような」
 しみじみしすぎて、やたらにリアル(笑)
 追試の教室に遅れてやってきたシンタロウは、すらすらと問題を解き、満点を取る。
 校庭で女子に「追試、満点だったんだって?」とか、階段で行き会った男子に「顔色がおかしいぞ?」と声をかけられたり、 シンタロウくん、意外と人気者。
 様子のおかしいシンタロウは、そんな同級生達に向けて、次々と針のようなものを発射。 その針を浴びた同級生達はシンタロウと同じように様子がおかしくなり、『超無限能力開発セミナー』のバスに乗り込んでいく。 シンタロウの不穏な様子に気付いたジロウと共にシンタロウを探す健太はバスに乗り込むが、トゲバリネジラーの洗脳攻撃を受けてしまう。 健太まで居なくなった、とデジ研に駆け込んできたジロウと共に、怪しいバスへと乗り込むメガレンジャー。
 バスへ乗り込むといきなり異空間(というか長石階段)、という演出は秀逸。まあ、長石階段は異空間なので、間違っていません。 そしてそのトンネルを抜けると、空間は謎の都市へと繋がっていた!
 遠くに見えるは、

 ヒネラーの巨大な彫像(笑)

 そう、そこは、ヒネラーシティ!  二手に分かれての調査中に、洗脳された健太とシンタロウに襲われる、耕一郎・みく・ジロウ。 耳のリングが洗脳装置だと耕一郎が気づき、駆けつけたブルーとイエローがそれを破壊。
 耳たぶの辺りについていている、爪ぐらいの大きさのリングを、「撃て!」と言うとは思いませんでしたし、 本当に撃つとはもっと思いませんでした
 洗脳が解けるなら、耳が欠けるぐらい安いものですか、そうですか。
 躊躇しないよブルー(笑)
 ほぼ出オチ気味な感じで、もう出てこないかと思われた「サイコネジラー」が再登場しましたが、メガボイジャーの敵にはならず。
 洗脳の解けたシンタロウとジロウを助ける事には成功したメガレンジャーであったが、彼等の目の前でヒネラーシティは消失。 誘拐した多くの人々をその中に収めたまま、行方をくらましてしまうのであった。
 果たして、Dr.ヒネラーの口にした「全ての人間をデータに変え」とはどういう事なのか?
 「いよいよだ! いよいよ全人類を私の思い通りに管理してやる!」
 最終決戦の、時は近い。
 珍しく、同級生が絡むエピソード。序盤に印象深かったゲストキャラが再登場し、ちょっとした友情話となりました。
 毎度の事ながら、
 シンタロウ・ジロウに追試対策を頼まれて承諾する耕一郎→「自分の受験があるだろ」と気を遣う健太→ 「おまえも人の事言えないだろう」と茶化す瞬→「二人も三人も一緒だ」と健太の面倒も見てやると言う耕一郎→ 「さっすがー」と他人事の千里→結局追試対策が出来ないまま「一緒に卒業しような」と励まして終わる耕一郎
 ……『メガレンジャー』の優等生トリオは、どこまでも上から目線で常にそこはかとなく酷い(笑)

◆第46話「阻むぞ! 地獄への船出」◆ (監督:辻野正人 脚本:武上純希)
 今回登場のマボロシネジラーは、ここまでのネジレ獣のラインとは一風変わって面白いデザイン。最初から巨大化して現れる所も含め、 戦闘の演出などもちょっとウルトラ怪獣風。
 街を襲撃する巨大マボロシネジラーに対して出撃するメガボイジャーであったが、ワープ能力に翻弄される。更に、 長距離ワープによって福岡、ついで札幌に出現したマボロシネジラーは、「もはやこの国のどこも安全ではない」と宣言する。
 東京→福岡→札幌→東京とワープするマボロシネジラーは、たぶん、ドーム好き
 マボロシネジラーの宣言により恐怖と混乱が広がった世間では、日本を脱出しようとする人々が続出。
 健太の友人の小学生・タケシも母に連れられ、日本脱出用に急遽準備されたというチャーター船<さんふらわあさつま>に乗り込む事になる。
 だが、このチャーター船そのものがネジレジアの用意した罠であった。ネジレジアは人々の恐慌をあおる事で日本を脱出しようとするところをチャーター船に集め、 そのままヒネラーシティへ誘拐しようと企んでいたのだ!
 チャーター船の第1便、<えりも丸>が行方不明となり、調査に飛んだメガレンジャーは海上で<えりも丸>を発見するが、 船内は全くの無人と化していた。
 ここで、無人の船内をカメラを揺らしながら撮る、というのはなかなか面白い演出。
 メガレンジャーからの報告を受け、ネジレジアの罠の可能性を考慮したアイネットは、「日本から脱出する全ての船を足止めする」よう、 指示。……月面基地とか作るだけあって、たまに凄い権力があります、アイネット。
 だが、シボレナの策謀により、<さんふらわあさつま>は出航してしまう。駆けつけたメガレンジャーとネジレジアの、 多数のエキストラを背景にしての船上バトルはなかなか秀逸。
 ユガンテさんは久々のまともな戦闘シーンでしたが、メガレッドに一方的に殴り倒されて終わりました。
 ユガンテだから仕方ない。
 救援間に合ったかと思われたメガレンジャーであったが、ヒネラーシティへの扉が海上に開いてしまう。エンジンを止める事も出来ず、 扉へと徐々に吸い込まれていく船を止められない。イエローのサーチにより、 扉を開く為のエネルギーを発しているタワーを発見したメガレンジャーはメガボイジャーによりタワーを破壊しようとするが、 その前にマボロシネジラーが立ちふさがる。
 またも、マボロシネジラーのワープ攻撃に翻弄されるメガレンジャー。
 「どうすればいいんだ?!」
 デルタメガでも呼べばいいのでは、と思ったら
 「こうすればいいのさ!」
 とメガシルバー登場。
 メガウィンガーがマボロシネジラーを引きつけた隙を突き、必殺のボイジャースパルタンでタワーとマボロシネジラーをまとめて撃破。 かくて次元の扉は消失し、<さんふらわあさつま>とそこに乗り込んでいた人々は、救われたのでありました。
 だが、先に消失した<えりも丸>に乗った人々を含め、既に多くの人々がヒネラーシティに攫われていた。誘拐した人々を、 シティの中央に位置するヒネラータワーへと連行していくネジレジア……その目的はいったい何か、ヒネラーの哄笑は止まない。
 久々にタケシ少年が登場。単発のゲストキャラのみで展開するのではなく、こういう形で何回か継続的なゲストキャラを絡める、 というのは嬉しい手法。

◆第47話「とびこめ! 恐怖のヒネラーシティ」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
 ヒネラーシティに着々と人間を拉致し続けるDr.ヒネラー。
 耕一郎と千里の本命大学の入試当日、「これまでで最も有能なサイコネジラー」(シボレナさん談 ※個人の感想です)テンソウネジラーが街を襲撃、 その手から出る光線を浴びた人々は次々とどこかに消えてしまう。その場に居合わせた健太達3人も、変身前に光線を浴び、 ヒネラーシティへと転送されてしまう……!
 苦渋の決断で、入試の昼休み中の耕一郎と千里に連絡を取る久保田博士。試験を諦め街に向かった二人は、 変身したままわざと光線を浴びる事で攫われた人々を助け出そうとするが、テンソウネジラーの転送ビームは、 メガスーツに反応しないように作られていた。一方、ヒネラーシティへ転送された3人は脱出を図ろうとするが、 特殊なシールドで防護されたシティ内部ではインストールする事が出来ず、クネクネに捕まってしまう。
 月基地へ向かった耕一郎と千里は、生身のままでもヒネラーシティへ潜入する事を提案するが、久保田に一喝される。
 「馬鹿な事を言うんじゃない!! 生身のままで行くなんて、無茶だ!」
 「でも、やってみなければわかりません!」
 「ダメだ、絶対に許さん!」
 「博士……」
 「おまえたちは! ……おまえたち5人は、もう、いろんなものを犠牲にしてきた。そうだろう。この上、 生身でヒネラーシティに乗り込むなんて、ダメだ、危険すぎる! 我々が有効な手段を見つけるまで、待つんだ」
 「博士、私たち、何も犠牲にしてません。一番大切なものは、守ってきたから」
 「今度もその為に行くんです。大切な仲間を、多くの命を失わない為に、そして勝つ為に」
 「おまえたち……」
 落ち着いて考えると、ツッコミ所はあるかとは思うのですが、それでもやっぱり、メガレンジャーの5人と久保田の関係性は大好きです。
 この作品のキモ。
 まあどうせ生身で潜入するなら、アイネット肝いりの陸戦用工作部隊とか居ないのかとかは思うわけですが、 1話でもネジレジアの基地襲撃に対してほぼ無力でしたし、基地と変身スーツとロボットの開発に注力しすぎて、 陸戦部隊の整備まで予算が回せなかったのか、発想がそもそも無かったのか。
 スーツの着用人員からしてスカウト制であった事を考えると、この辺りがアイネットの脇の甘さでありますが、ヒネラーの敗因の一つは、 己の力を過信するあまり、そういった相手の戦力分析を怠った所にもあるのでしょう。
 ネジレ反応発生の報を聞いて、久保田の制止を振り切って地上へと戻る二人。生身のままテンソウネジラーの光線を浴びようとする二人の前に、 久保田が姿を現し、探知機、パソコン、破壊用爆弾などの装備一式と、緊急に整備したとおぼしきバトルライザーを手渡す。

 「勝つために……だな。間違いないな!」
 ぎゅっと二人を抱きしめる久保田。
 「……わかった。本当なら私も行きたいが」
 黒「「こういうことは、若いものの仕事ですから」
 「こいつ!」

 こういうやり取りは健太相手に偏りがちだったので、他のキャラを交えたのも良かった。
 ヒネラーシティに侵入した二人は、クネクネを振り切り、バリアーの発生装置を破壊。生身バトルライザーで放つ、ライザーバルカン、 強すぎです(笑) あと爆弾が、普通にプラスチック爆薬というのがビックリしました(笑) なんか適当な超爆弾かと思ったら、 粘土状。変にディテールが細かかったのですが、戦隊でそういうのは珍しいので、他の作品で使った小道具でも借りたのか、 監督か小道具さんの趣味か。
 テンソウネジラーに追い詰められた二人だったが、間一髪、バリアーの破壊により変身可能になったレッド、ブルー、ピンクが駆けつける。
 赤「おまえら……頭いいくせに、バカだな」
 メガレッドが、浪人決定コンビの力を見せてやれ、とか言うのですが、いやその二人は楽勝で合格できる滑り止めとか受験しているのでは…… しかし二人とも微妙に浪人する気っぽく、本命以外の大学なら、入る価値なし! とか思っているのかいないのか。この二人ならありそうですが。
 5人揃ったメガレンジャーは、テンソウネジラーを撃破。
 「これまでで最も有能なサイコネジラー」(※当社比)でしたが、メガボイジャーの前では、ゴミ同然でした。
 いつもの仕様です。
 メガレンジャーはそのままヒネラータワーに迫ろうとするが、またもヒネラーシティはその眼前で空間を移動、姿を消してしまう。
 また人々を救う事が出来なかった……落ち込んで月基地へ帰る5人だったが、一つの嬉しい報せが。ネジレジアの襲撃による騒動で、 大学の午後の入試が中止となり、後日、再試験をする事になったのである。耕一郎と千里に、もう一度、チャンスが与えられたのであった。
 …………アイネットが裏で手を回した気配。
 二人だけ再試というのもまずいから、試験ごと無かった事にしてしまえ、というのが久保田なりの公平観か。
 一方、ヒネラーの野望が着々と成就に近づいていく中、怨念となったネジレンジャーが、現世へと彷徨い出ていた。 復讐の為の肉体を手に入れるべく、5つの魂が、不気味に闇に蠢く……。

◆第48話「つぶすぜ! ヒネラーの黒い野望」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希)
 ヒネラーシティにさらわれたままの生徒が、出席簿に「休」マークが並んでいるのを見て、へこんでいる大岩先生。 職員室でそんな先生の様子を見て自分も落ち込んだみくがデジ研に戻ってきた所で、遂にヒネラーシティ発見の報が入る!
 その場所は、相模湾海底300m。
 ヒネラーシティは地下に隠れていたのだ!
 デジタンクで突貫したメガレンジャーは手分けしてヒネラータワーを探索する。
 どうして、
 赤・桃 (アホの子コンビ)
 黒・青・黄 (優等生トリオ)
 に分かれるんだろう……?(笑)
 タワーの一室に潜入したレッドとピンク、そこには、ヒネラーがさらってきた人間を次々とデータ化する、 恐ろしいスキャニング光線が設置されていた。レッドをかばって光線を受けてしまったピンク。そしてそこに姿を現すDr.ヒネラー。
 「(メガピンクは)肉体から解放されてデータカードに変えられている。そして、永遠に私に支配されるのだ」
 遂に明かされるヒネラーの目的と野望!
 「全人類はいずれ、データカードとなる。そのデータカードを思いのままにプログラムし直し、 人間に戻すのだ。頭がいいとか美しいとか、区別して喜んでいるのは個人個人がバラバラのデータで出来ているからだ。 私は全てのデータを均一に作り直してやる。そうすれば、私を頂点とする、私の望む世界を地上に作り上げる事ができる」
 ………………ダメな引きこもりみたいな事を言い出しました。
 狂気の天才科学者というより、ちょっと間違えた方にズレた感(^^;
 「思いのまま」と言った直後に「均一に」とか言ってしまうので、狂った感じが弱くなったのかと思われます。もっとこう、 トンデモプログラムしたいとかいう方が面白かったような。
 データに変換されながらも、「人間には個性があるからいいんだ」と反論するピンク。
 ……ああなるほど、確かにここでの反論は、レッドかピンクが言わないと、共感に欠けます(笑)
 しかし遂にピンクはデータカードに変換されてしまい、更に飛び込んできた残り3人もまとめて、メガレンジャーは全て、 データにされてしまう。
 それを見ていた亡霊ネジレンジャー
 「俺達のメガレンジャーを!」
 「余計な真似を……これでは戦いようがないわ!」
 ダメだ、本当にダメだ、こいつら……。
 なんかもう、バグ通り越して、プログラムが暴走状態です。
 遂にメガレンジャーを虜にしたヒネラー、大喜びで全国のTV放送をどアップで乗っ取り。
 「ははははははははっ! 全人類に告げる……我が名は、Dr.ヒネラー!  おまえたち愚かな人間どもの支配者、Dr.ヒネラー! 私の目的は、全人類をデータカードに変えて、管理する事だ」
 得意の絶頂のヒネラーであったが、その時、スキャン装置に異変が。なんと亡霊ネジレンジャーが装置を操り、実体化に成功したのだ!
 ……まあ、ジャビウスハートの近くなので、亡霊ネジレンジャーの力も活性化……と一応、理屈をつけておきましょう。
 ネジレッド曰く「データと物質を変換させるジャビウスハートのパワーで、魂が肉体になっただけの事だ」
 死亡前に擦り込まれたヒネラーへの忠誠心は3歩歩いて忘れてしまったのか、復活したネジレンジャーはヒネラーを攻撃すると、 メガレンジャーのデータカードを奪い取る。負傷したヒネラーをかばってシボレナは退却し、ネジレンジャーに好きにはさせないと、 その前に立ちふさがるユガンテ。
 ユガンテさん見せ場! ……

 なわけありませんでした(笑)

 5人のネジレンジャーにあっという間に叩きのめされるユガンテ。
 ネジレンジャーはデータカードからメガレンジャーを元の体に戻すが、その際に変身が一時解除されてしまい、学生の姿で現れるメガレンジャー。 ネジレンジャーが襲いかかるが、背後から必死のユガンテが乱入。そのユガンテがたこ殴りにされている間に、 部屋を逃げ出すメガレンジャー。
 ユガンテ、ネジレンジャーに踏まれる。
 間合いを取り直して、広場で変身するメガレンジャーだったが、その光景を通りすがりのヒネラーに見られてしまう。
 そうとはつゆ知らず、激突するメガレンジャーvs復活ネジレンジャー。エネルギー源であったジャビウスが消滅した為か、 ネジレンジャーは弱体化している模様。1対1でも割と戦えてしまいます。メガレンジャーがネジレンジャーと戦っている間に、 救援に駆けつけたメガシルバーが、人々を解放する為にヒネラータワーへ。
 その前にユガンテが現れるが、「おまえにかまってる暇はないぜ」扱いで、さくっとやられる。
 もう、涙も涸れ果てました。
 シルバーは、スキャニング装置を逆利用して、人々の再構成に成功。更にしぶといネジレンジャーをスキャニングルームにおびき寄せ、 データカードへの変換に成功する。そして仕掛けた時限爆弾により、ジャビウスハートとデータ化されたネジレンジャーごと、 ヒネラータワー&シティ大崩壊。
 Dr.ヒネラー、有頂天からわずか10分足らずで、奈落の底に突き落とされる。
 …………うーん……クライマックス展開なのですが、話の方は、かなり酷い出来。
 ここまで数話をかけて展開したヒネラーシティの崩壊にしては、呆気ないうえに、盛り上がりなさすぎ。
 メガレンジャーのピンチ、ネジレンジャーの復活、人々の救出、と各種要素が大雑把に処理されすぎました。
 特に、ヒネラーシティには相当な数の人々が攫われていた筈で、データカードもかなりの枚数があった筈なのですが、 シルバーひとりで全員を肉体に戻した上に、地下300mにあってメガレンジャーもデジタンクで突貫してきたヒネラーシティから、 時限爆弾の起爆前にそれだけの人々が脱出したというのは、幾らなんでも無理がありすぎ。
 基本、“NPCの脱出には深い整合性を求めない”というのは、甘受されるべき特撮ヒーロー物ルールではありますが、 それにしても杜撰にすぎます。
 ここまで数回に渡って、人々の拉致/悔しい思いをするメガレンジャー、を描いてきたわけで、ここでの“攫われた人々”は、 単なる1エピソードだけの有象無象ではなく、作中における重要なタームとなっている以上、 その救出はもっとしっかり描かれなくてはなりませんでした。
 折角アイネットという組織的バックアップがあるのだから、ギャラクシーメガを利用するなり何なりして、 もう少し説得力を持った構成にしてほしかったところ。
 これだから武上純希は以下略。
 映像的にも本来するべきフォローが全然出来ていなかったのですが、この時期<メタルヒーロー>で『ビーロボカブタック』 にローテ参加していた筈の坂本太郎監督がこの最終盤に来てシリーズ初登板していたり、何か大人の事情でもあったのかと、 穿った見方もしてしまいます(^^;
 それから見ていてなんか致命的な違和感があるなーと引っかかっていたのですが、 スキャニング光線に捕らわれたピンクとレッドの前に姿を現したヒネラーが、スキャニング装置を壊せなかったメガレッドに向けて
 「感情に左右されるとは甘いぞメガレンジャー!」
 と叫ぶのですが、そのヒネラーこそ、感情の権化の筈。
 自分の事をわかった上で、敢えてメガレンジャーを「土壇場で戦士としての覚悟が足りない」と嗤っているのだとしたら、 物凄い自虐ネタですが。
 直後に、高笑いでTV登場で、メガシルバーの介入を招いているしなぁ(笑)

 次回、とうとう正体のばれてしまったメガレンジャーに、ヒネラーの憎悪が迫る! 戦いの行方は果たして――?!

◆第49話「絶望! 俺たちは嫌われ者!?」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子)
 野望の結晶、ヒネラーシティを破壊されたヒネラーの下へ、メガレンジャーの正体が掴めた、という報告がシボレナからもたらされる。
 「不完全な人間どもが、久保田の作ったメガレンジャーが私の全てを……!」
 憎悪に狂い、もはや久保田とメガレンジャーへの報復以外、頭にない(というか戦力が無い)ヒネラーは、サイコネジラーを諸星学園へと差し向ける。
 その頃、久々に全ての生徒が揃った3−Aでは、卒業記念の企画が話し合われていた。そこへ乗り込んできた学ラン姿の男は、 黒沢先生を弾き飛ばすと、ジゴクネジラーの正体を現し、健太に襲いかかる。クラスメイトの前で変身する事をためらう5人だったが、 モップを握って挑んだ大岩先生が吹き飛ばされて頭から血を流すのを見て、変身を決意。クラスメイトの前で「インストール」、 校庭で戦闘になるが、ジゴクネジラーの流れビームが同級生のジロウを傷つけてしまう。
 メガシルバーが駆けつけてきた事により、「おまえたちの事は調べた、もはや安全な場所はない」と捨て台詞を残して逃げ去るジゴクネジラー。 その言葉に家族を心配した5人はそれぞれの家へ向かうが、そこで健太が見たのは、無惨に破壊された八百屋の姿だった。
 今まで、母親しか登場していなかった健太ですが、台詞で父親も居る事が発覚。
 久保田博士の手配により、それぞれの家族は保護され月面基地に向かっていたが、各自の住まいは完全に破壊されていた。 ショックを受けながら教室に戻ると、校長先生から「出ていけ」と言われてしまう。「学校に戦いを持ち込まれも困るんだよ!」と 「おまえ達がいるから○○が襲ってくるんだ!」という、『ザンボット3』か『シルバー仮面』かの急展開。
 やや学校側の反応が急すぎる(というか校長先生が酷すぎる)きらいはありますが、 ここで余りにリアリティにこだわりすぎても話が収まらないので、多少は仕方がない所でしょうか。メガレンの場合、 こういった“当然予想されるリスク”を防ぐ為、徹底的にメンバーの正体を守る、という方針で進めてきたので、 急ではありますが無理ではありません。
 ほぼ「退学」宣言ではなく、せめて「しばらく停学扱い」ぐらいにしておけば良かったかな、とは思いますが。
 いきなりの敵襲で、アイネットが圧力をかける時間も無かった……!
 千里と仲のいいクラスメイト・恵理奈は5人をかばうが、級友達の反応も冷たい。やむを得ず5人は、学園を出ていく事に。拠り所を失い、 落ち込む5人のもとを訪れる早川……一方、月では自責の念にかられる久保田博士が、一つの決意をしていた。
 倉庫のような所で早川が落ち込む5人と話すシーンで、画面の端にちらちらと立ち上る湯気が映っているのですが、何かと思ったら、 レジャーシートの上に、携帯コンロと鍋みたいな物が置いてある? 「まあ、とりあえずこれでも食えよ」 とか早川が自作鍋を薦めるシーンを撮ったが尺の都合でカットされた、とかそんな所でしょうか。よく見ると何人か、 プラスチックの器みたいなものを手にしていました。ラストの展開(月面基地ではなく、地上に臨時アジトを用意してネジレジアと戦う事にする)を考えると、 早川が居れば自炊もサバイバル生活も問題無し、という伏線になるシーンだったか。
 早川が5人と話をしている頃、久保田博士はデジタンクと共に地球に降り立っていた。
 「健太…耕一郎…瞬、千里、みく。今のおまえたちに、私は何も言えん。だが、おまえたちを守る事は出来る筈だ。 ……鮫島、聞こえるか!! おまえは私に、復讐したいんだろう! 私は、ここにいるぞ! これ以上、他の人間を巻き込むな!」
 おっさん格好良すぎ。
 そんな久保田の前にシボレナとユガンテが姿を現す。
 どこかでそれを見ている筈の鮫島に向けて、叫ぶ久保田。
 「鮫島っ おまえにもわかっている筈だ。おまえが今まで、蔑んできた人間の、その人間の本当の強さが! おまえは、絶対に、勝てん!!」
 「私は勝つ! 私の科学は絶対に勝つ! お前に……メガレンジャーに勝つのだ! 殺せ! 殺せ! 殺せぇ!!」
 クライマックス展開すら持っていく、激しい妄執と情念の激突。
 そしてヒネラーの命令の元、シボレナとユガンテが久保田に襲いかかっている同時刻、メガレンジャーの元をジゴクネジラーが襲撃していた。 戦意を喪失してデジタイザーさえ投げ捨て、捨てばちな5人に光線が迫るが、間一髪、メガシルバーが5人をかばい、 ジゴクネジラーと独り戦う。
 「失くしたくないものは、守らなきゃしょうがないだろう。たとえ、放っとけと言われようとな。それに、大切なものは、 そう簡単にはなくならないもんだ。自分から捨てちまわないかぎり」
 戦闘中、月面基地の省吾から通信が入る。
 「メガシルバー、久保田のおっさんが一人で出撃しちまった。戦いに、決着つけるために」
 「どうやら博士も、俺と同じ主義らしいな」
 久保田博士、デジタンクで戦闘中
 「よーく考えてみろ。みんなをそうさせたのは誰かって事をな。そして、本当に大切なものは何か、失くしてはならないものは何かって事を」
 メガシルバーと久保田博士の姿に、本当に大事なものを守る為、捨てない為、なすべき戦いへの決意を取り戻す5人。
 「倒さなきゃならないのは、ネジレジアだ!」
 若干、言いくるめられている気はしないでもありません(笑)
 その頃、遂にデジタンク大破。
 久保田博士、(たぶん劇中初の)火薬ジャンプ。
 風前の灯火と思われた久保田博士だが、間一髪、メガレンジャーが駆けつける!
 「俺達ちょっと見失っちまってんだ。絶対倒さなきゃいけない敵、あいつら……ネジレジアをな!」
 戦意を取り戻した5人+1に、もはや死に体のネジレジア戦力が敵うべくもなく、ジゴクネジラー、ユガンテ、シボレナをさくっと撃破。 なおジゴクネジラーとのロボ戦では、メガボイジャーがメガサーベルを使用。ちょっとした立ち回り風の演出で、無傷惨殺しました。 サイコネジラーとメガボイジャーの戦力比は、如何ともしがたすぎて最後まで泣けます。
 落ち着いて考えると、結局終始、大人の都合に振り回されている気はしないでもないのですが、久保田博士が最高に格好良かったので満足です。
 戦隊史上、最強に格好いい小太りでハゲの中年男だと思います。
 そして、“究極のレスキューメカ”だった筈が、いつの間にかほぼ久保田の愛車と化していたデジタンク、とうとう殉職。 ……まあ、当初の予定ほど活躍せずに自然消滅するサポートメカなどよくある話なので、全編通して割と頑張った方でしょうか。
 かくて5人は、何よりもネジレジアを倒す為、最後まで戦う事を改めて決意するのであった。
 それは大切なものの為、そして今までの戦いの意味をゼロにしない為に――!
 次回、とうとう馬鹿が燃えながらやってくる。

◆第50話「壮絶! 灼熱の超戦士ユガンデ」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 あっれーーー

 ユガンテ

 ってずっと書いていました。
 第50話(しかも2回目)にして、「ユガン」だった事が発覚。
 ……もう直しません、直しませんとも。直すの凄く大変だから(おぃ)
 今回と次回だけ、正しくユガンデで。
 卒業式を二日後に控えながら、健太達5人は地上の隠れ家に潜んだままだった。 アイネットではメガウィンガーがネジレジアの本拠を捜索するべく軌道上から偵察を繰り返していたが、なかなか見つける事が出来ない。
 食料の買い出しに出た瞬とみくは、「メガレンジャーが戦ってくれるのはいいけど、巻き込まないでほしい」という心ない声を聞く。 落ち込むみくをなぐさめる瞬。
 一方ネジレジアでは、起死回生の作戦として作戦目標をアイネット本拠地の奇襲に定め(振り出しに戻る)、メガウィンガーを追跡しようとしていたが、 ステルス機能に阻まれ、尻尾を掴めない。ヒネラーが研究室に籠もりきりになる中、なんとか状況を打開しようと調査の手を伸ばすシボレナは、 デジ研に侵入して、月面基地の情報を得る事に成功する。
 珍しく、いい所に目をつけました。
 これはアイネット、迂闊。
 「敵は月だ!」
 「月面? ……そうか。シボレナ……おまえにもう一つだけ頼みがある。この俺を、最強の戦士に改造してくれ!  このネジレアクターをセットして」
 「それはダメだ! 私にはできない」
 「なぜだ?! おまえなら出来るはずだ」
 「危険すぎる! 確かに一時的にはパワーアップするかもしれないが、その分、体内のエネルギーが一気に使い尽くされ……命を落とす事も」
 「かまわん! これが最後の戦いになろうと……」
 「ユガンテ……」
 「頼むシボレナ……頼む!!」
 なんか君たち、むしろ正義の味方みたいだぞ(笑)
 (故意だとは思いますが)
 強化改造を受け、真っ赤になったユガンデは、デジタル回線を通じて月面基地を強襲。メガシルバーと月面での戦闘となり、巨大化。 メガウィンガーをはねのけて月面基地を破壊し、博士達はメガシップに退避して難を逃れるが、ボイジャーマシンが瓦礫の下に埋まってしまう。
 地上では、メガレンジャーを誘き出す為にシボレナが街を襲撃。かなり派手にビルが吹っ飛んだりしているので、 おそらくネジレジアの残存戦力のかなりを注ぎ込んでいると思われます。襲われる人々の中で、 買い物先でメガレンジャーを悪く言っていた女性が「メガレンジャーはなんで早く助けに来ないの」と勝手な事を言っているのを聞くが、 みくは結局は変身して助ける事を選ぶ。
 この辺りのテーマは、主題に据えて突き詰めている作品が過去に有るので弱い所もありますが、 正体厳守を貫いてきた『メガレン』なりには処理されていると思います。
 シボレナから連絡を受け、地球へ向かおうとするユガンテを止めようと、メガウィンガーが足にとりつくが、切り伏せられる。 そこへ現れたのは、ギャラクシーメガ! 
 「こいつは我々が倒す!」
 久保田博士&アイネット職員達の操るギャラクシーメガが攻撃。博士の指示でデルタメガも戦うが、 しかし赤ユガンデの圧倒的な攻撃力の前に八つ裂きにされてしまう。3体の巨大メカの善戦虚しく、メガウィンガーも屠り、 地球へと現れる巨大ユガンデ。
 今までがあんまりだったので、デルタメガを一撃で粉砕する赤ユガンデの強く見えること見えること(笑)
 ボイジャーマシンは発進不能、デルタメガは既にリタイア、追い詰められるメガレンジャーに巨大ユガンテの剣が振り下ろされる。 しかし間一髪、メガサーベルがその一撃を受け止め、選手交代。
 だが、赤ユガンデの戦闘力は、メガレンジャーが乗り込んだギャラクシーメガをも上回っていた! メガサーベルを折られ、 倒れるギャラクシーメガ。動力回路を破壊されて絶体絶命に陥るが、とどめの一撃を放つ寸前、ユガンデの肉体が強化改造の限界に対し、 巨大化状態を維持できなくなる。
 デザインもかなり好きなのですが、やはり、ギャラクシーメガは(職員が乗っているのも含めて)格好いい。
 負けるとはいえ、最後に見せ場がたっぷりあって大満足です。
 人間大に戻ったユガンデと、最後の決戦に挑むメガレンジャー。
 5人の攻撃が次々と炸裂し、メガレッドのドリルセイバーがユガンデを両断……する寸前、割って入ったシボレナの背中を切り裂く!
 ユガンデの手の中で倒れるシボレナ。怒りに燃えるユガンデは最後の力を振り絞って突撃するが、メガレッドのバトルライザー3段攻撃を受け、 遂に力尽きる。
 キング・オブ・ヘタレ幹部、ここに爆死。
 遂にネジレジア最強の戦士を倒したメガレンジャーだったが、アイネット側の被害も大きかった。月面基地は破壊され、デルタメガ殉職、 メガウィンガーも戦闘に耐えられる状態ではなく、ギャラクシーメガも動けない、そしてボイジャーマシンは発進不能。 切り札となる巨大戦力を失い、果たしてネジレジアに打ち勝つ事が出来るのか……?
 その頃、自身の体がネジれるような異変を感じながらも究極の研究を完成させつつあるヒネラーの元へ、シボレナが帰り着いていた。
 「ドクターヒネラー、ユガンデが、メガレンジャーの本拠地を破壊しました」
 「なに、やつらの本拠地を! そうか、よくやった。で、ユガンデは?」
 「メガレッドに……倒されました」
 「ユガンデが?! ええいっ!」
 「うっ……」
 「どうしたシボレナ?!」
 「来ないで!」
 既にメガレッドの攻撃で致命傷を受けており、近づこうとするヒネラーを押しとどめるシボレナ。
 「ドクターヒネラー……私に命を与えていただき、ありがとうございました」
 「何を言っている」
 「いつまでも…………あなたの、忠実な部下で居たかった」
 「シボレナ……」
 「さよなら……父上」
 「シボレナ!」
 シボレナは爆死し、ヒネラーはバラバラに吹き飛んだシボレナの部品の中に、二人で並んで映った写真(残されたメモリーの映像化?) を見つける。
 「シボレナ…………おのれメガレンジャー……許さん! どんな事があろうとも、おまえたちを倒す」
 絶妙なところでかかる、モーツアルト『レクイエム』より「ラクリモーサ」、シボレナ演ずる城麻美さんの熱演もあり、 素晴らしくいいシーンになりました。モーツアルトのレクイエムは、クラシック引用の中でも屈指の卑怯BGMですが、ここはもう、 素直に負けておく。
 実際の構成では、この後に、ギャラクシーメガが倒れボイジャーマシンも発進不能、俺達は勝てるのか、 というメガレンジャー側のシーンが入るのですが、ネジレジア側が悲惨すぎて、、 メガレンジャー側の悲壮感が全く感じられないという(笑)
 単騎での戦闘能力はもともと高かったユガンデですが、クライマックスで3体の巨大ロボを戦闘不能に追い込み、見事なリタイア。 今まで、散々へたれ街道を驀進して声の無駄遣いをしてきましたが、ここぞの所での鈴置洋考の声も格好良すぎた。
 脚本段階ではどの程度だったのかはわかりませんが、ユガンデとシボレナの絡みは、長石監督のちょっと助平な所と城麻美さんの色気がうまくマッチ、 着ぐるみ相手に情感たっぷりに演じていただき、もう完全にラブシーン。
 次回、いよいよ最終回。メガレンジャーは、無事に卒業式を迎える事が出来るのか?! そして妄執のヒネラー、最後の戦いへ!

−Lacrimosa−
罪ある人が、さばかれるために、ちりからよみがえるその日こそ、涙の日である
願わくば神よ、かれをあわれみ給え、主よやさしきイエズスよ
かれらすべてにやすみを与え給え、アーメン


◆最終話「つかむぜ! 俺たちの卒業証書」◆ (監督:長石多可男 脚本:荒川稔久)
 今回は、大好きなヒネラー(鮫島)の台詞を中心にお届けします。
 遂に卒業式当日、恵理奈は校長に卒業式の延期を直談判するが、聞く耳を持たれない。
 一方、ユガンデ決死の攻撃に甚大なダメージを受け、東京ドーム前にうつぶせに倒れたまま動けないギャラクシーメガの周辺に付近住民が集まってきて、 「迷惑だ」「早く出ていけ」「巻き込まれたくない」の大合唱。思わず飛び出したメガレンジャーは人々に囲まれるが、 「責めるなら私を」と久保田博士が割ってはいる。
 そこへ、ネジレジアと、謎の怪人が襲撃。
 そのまま戦闘へ突入した為、メガレンジャー最後の揃い踏みポーズの後ろに、久保田が居るというのが実にいい。
 メガレンジャーは謎の怪人へ戦いを挑もうとするが、怪人はギャラクシーメガ内部へ戻ろうとする久保田を執拗に狙う。 なんと怪人の正体は、遂に自らの肉体をも改造したDr.ヒネラーだった!
 ネジレ次元に長く居すぎた為か、肉体改造の何らかの副作用か、肉体の一部が突如ネジれるという症状に冒されるヒネラーは、 己の生命力全てを使い、久保田、そしてメガレンジャーへと挑む。
 「鮫島……」
 「久保田……貴様だけはこの手で」
 「鮫島……やはりお前の体」
 「言うな! 戦いはこれからだ……私の科学の頂点を今こそ見るがいい!」
 Dr.ヒネラーは悪魔科学の最後の切り札として、根拠地であり要塞である、デスネジロそのものを改造。自らそれと融合する事で、 己の頭脳を活かし、不死の生命力を持つ巨大変形ロボット・グランネジロスを造り出していた!
 残りのクネクネも全て材料として吸収されたとか、そんな感じでしょうか。
 月では裕作がメガウィンガーを用いて瓦礫の下からボイジャーマシンを何とか引きずり出していた。 その作業によりメガウィンガーは完全に行動不能になってしまうが、出力70%ながらもメガボイジャー発進。いよいよ、 最後の戦いが始まる。
 「来たなぁ……久保田のつまらぬ科学が産んだ産物が!」
 ……それは、早川裕作という人が作りました(ごにょごにょ)
 まあ、メガレンジャーに対応したロボット、という意味において広義では久保田の産物かもしれませんが。 鮫島と久保田の対比を出す意図があったかと思うのですが、基本的に久保田は戦隊シリーズの博士ポジションにありながら、 独力で超兵器を作成したという描写が、実はありません。メガボイジャーにしても、早川の存在がクローズアップされてはいるものの、 登場回で早川の部下達の姿が描かれています。勘違いネタの為とはいえ、 バトルライザーのパワーアップに久保田でも早川でもない隊員が関わっていたりと、アイネットの兵器類は“組織制作”がアピールされているのは、 実は伏線(どこまで意識していたかはともかく、少なくとも伏線として機能した)。
 一方、天才・鮫島(ヒネラー)は、自ら独りを選んだ。
 そして狂気に溺れた天才は、遂に神を名乗る。
 「見るがいい、この神の手が生み出した最高の生命体だ」

-Dies irae-
ダヴィドとシビッラの予言のとおり
この世が灰と帰すべきその日こそ
怒りの日である
すべてをおごそかにただすために審判者が来給うとき
人々のおそれはいかばかりであろうか


 ボイジャースパルタンの直撃を受けて吹き飛ぶグランネジロスの右腕。
 しかしそれは、瞬間的に再生する!
 「バカめ。グランネジロスは、私という最高の頭脳を不死身の肉体に埋め込んだ究極の生命体」
 「鮫島……自らを犠牲にしてまで……何故だ!」
 「見ているか久保田、これは復讐だ。人間どもが私を排除する原因となった、おまえへのな」
 鮫島……!」
 青「どういう意味だ、なんの復讐だ!」
 「私にもかつて不完全だった時代があった! 人間を信じ、人間のために科学を使おうとした、 青い時代が。宇宙開発の為、どんな環境にも耐えうるよう、人間の体を強化しようとした私は、誰からも期待の目で見られた。だが、 進んで実験台となった娘が命を落とすと……人間どもは途端に私を責め立てた。殺人科学者だ、悪魔だとな。それは久保田、 おまえが掲げたメガスーツ理論が、私の理論に代わって脚光を浴びたたからだ! 人間の弱さ・脆さになんの手も加えず、 ただスーツで人間を守ろうとした浅はかな理論が!!  人間を神に近づけようとした私のどこが悪い! 科学者として当然ではないか。どこが悪い、 どこが悪いと云うんだ!!」
 黄「悪いとか、いいとかじゃない。それであなたは幸せなの? 娘さんまで犠牲にして、幸せなの?」
 「ならば聞こう。おまえたちは幸せかっ。 久保田の科学でメガレンジャーとなり、あげくのはてに人間どもに裏切られ、それでも幸せか?!」
 やや急な印象のあったメガレンジャーの学校追放・世間の風は冷たいぜ展開ですが、ここで
 人間を捨てたヒネラー と 人間を信じる事を止めなかったメガレンジャー
 として、オーバーラップする形で、きちっと収束しました。
 各脚本家の連携が取れていたのだと思いますが、メガレンはドラマ的な伏線や提示要素はほぼ回収されているのは素晴らしい。
 なお、実験台となって命を落とした鮫島の娘・静香は、回想シーンで城麻美さんが演じており、ここに来て、 シボレナはヒネラーの娘の姿を模した存在だった、という事も発覚します(バラネジレの回でシボレナさんには遺伝子が存在する事になっているので、 保存しておいた娘の遺伝子を組み込んで作ったサイボーグとか、そういう事かもしれない)。
 心ない人々の言葉が甦り、一瞬、言葉を失うメガレンジャー。
 「だからって……だからってこんな事してもいいのかよ!」
 絶叫する健太の反撃がグランネジロスを打つが、グランネジロスは槍状の剣を取り出し、メガボイジャーを押し返す。
 「人間は裏切る。感情に左右され、すぐに平気で裏切る。だが科学は裏切らない。ジャビウスは私に、 私の科学を完成させてやると言った。それを確かめる為に、私はネジレ次元に飛び込んだのだ」
 黒「科学は人間の為にあるんだ。おまえの為にあるんじゃない!」
 「そんな人間レベルの科学のくだらなさ、証明してやる!」
 強烈な斬撃を受け、左腕を失うメガボイジャー。
 その光景に、久保田はギャラクシーメガの修理を急がせる。
 個人的には久保田からもう一言ぐらい鮫島にあっても良かったかなとは思っているのですが、これ以降、久保田と鮫島の直接の会話はなく (意図的というよりは尺の都合かとは思いますが)、結果的に、ここが久保田博士が、鮫島への思い(恐らくは、 人間に戻って罪を償って欲しいという)を振り切るシーンとなりました。
 その狂気と妄執で、戦い続けるヒネラーのグランネジロスに圧倒されるメガボイジャーは、諸星学園の校舎近くまで押し込まれる。 学校を巻き込むわけにはいかない、と必死にその攻撃をしのぐメガボイジャー。逃げ出す生徒達。戦う健太達を応援しようと、 一人クラスに残る事を選ぶ恵理奈。
 「私を認めないものは……死あるのみだ!」
 その時、首から下全てをネジれさせるような症状が、ヒネラーを襲う。苦悶するヒネラーは、しかし前進を止めない。
 「たとえ命尽きるとて……悔いはない。メガレンジャー、おまえたちを倒す事で、 私の科学の素晴らしさは証明されるのだ!」
 赤「負けるかよ……そんなおまえなんかに!」
 青「そうだ、おれたちの青春、潰されてたまるか!」
 黒「俺達は、人間を信じたいんだ!」
 黄「そうよ、ひとりひとりは弱いけど、仲間がいれば強くなれる!」
 桃「私たち、それが心からわかったんだから!」
 「ほざくなっ!」
 追い詰められるメガボイジャーだがその時、学校からの声がコックピットへと届く。
 恵理奈が、退院したジロウが、大岩先生が、そしてクラスメイト達が、教室からメガレンジャーを応援する。
 しかし、
 「おまえ達の無力さを教えてやる。はははっ、友情とやらの儚さもな」
 この時のヒネラーの表情が、物凄くいい。
 学校へ向けられる攻撃。それをなんとか防いだメガボイジャーだが、コックピットへも伝わるダメージの大きさに、 とうとう5人の変身が解けてしまう。
 その時、ジロウが戦闘に巻き込まれて怪我をした事から、特にメガレンジャーを許せずにいたケンタロウも、教室へと駆け戻って声を振り絞る。
 「死ぬな、死ぬなーーー! みんな、頑張れ!!」
 ジロウが怪我をした時に健太に自ら怒りをぶつけるシーンに始まって、この終盤3連作において“自分は喋らず腰巾着キャラが代弁する” という当初のギャグネタ・コメディ要員を、ドラマ部分にうまく取り込んだのは秀逸。
 「ドクターヒネラー、俺達はおまえを、絶対に、倒す!」
 満身創痍のメガボイジャーとメガレンジャーは、最後の力を振るいグランネジロスの剣を奪うと、それを深々と突き刺す。
 「おのれぇ……グランネジロスは不死身だというのに、ぐっ、くっ……体が……」
 積み重なったダメージもあったのか、いよいよ肉体が限界に達するヒネラー。
 「だが私は神だ……私は勝つ! おまえ達を道連れに、人間界に別れを告げてやる」
 グランネジロスはメガボイジャーの胴体を掴み、自爆の気配を察したメガレンジャーは、街を巻き込まない為に、 メガボイジャーで最大限のジャンプを決意。高速で上空へ飛び上がっていく、メガボイジャーとグランネジロス。
 火花に包まれゆくグランネジロスの中で、Dr.ヒネラーは嗤う。
 「久保田ぁ……俺はおまえに勝つ! 今それが、わかる!! ふははははははは、おお、見よユガンデ、 シボレナ、メガレンジャーの最期だ!! ははははははははははははは……」
 そして両者は上空で大爆発を起こし、2体のメカは破片も残さず、爆炎の中へ消えた。
 久保田の絶叫に――答える者は無い。
 …………第42回、諸星学園、卒業式会場。
 大岩「最後に、今日は来られなかったが、この学園を守って戦ってくれた5人の勇気ある生徒達の名前を呼んでやりたいと思います。 ……伊達健太!」
 ・
 ・
 ・
 「おっまたせしましたー」
 響き渡る陽気な声とともに、5台のオートスライダーと共にメガレンジャーが次々と飛び込んでくる。間一髪、 インストールの間に合った5人は、オートスライダーで脱出していたのだった!
 こうして5人は無事に卒業式に出席、卒業証書を手にすると共に、長い青春の戦いも終わりを告げるのであった。
 ラストは、エンディングテーマ1番で卒業証書を受け取る5人をバックにスタッフロール。クラスメイト達に久保田・早川を加えたメンバーで、 卒業写真を撮影したカットで、終幕。
 いやー、最終回、面白かったです。
 ヒネラーが凄すぎた。
 私自身が、久保田とヒネラーが好きというのもありますが、結局ラストのラストまで、この二人の因縁が持っていくという超展開。 『メガレンジャー』は全体的には、うまくまとまった秀作であって、戦隊シリーズ全体の中では地味なグループに入るかとは思うのですが、 この点においては、奇作。
 実はヒーロー物としては、最後、ヒネラーの情念に対し、メガレンジャー(正義の味方)の論理が勝てていない、という欠点はあって、 彼等がもはや、「倒すんだ!」しか言えなくなってしまっています。
 特にイエローの「幸せなの?」などは完全に価値観の押しつけになってしまっているのですが、これはむしろ、この後にヒネラーが返す
 「ならば聞こう。おまえたちは幸せか」
 の前振りになっていて、そこで、実は、明確な解答の出ないテーマが最後に一つ顔を出すという、割と凶悪な構成。
 しかしまあ、ここまで引っ張ってきた中年男の情念に、高校生の綺麗事が勝ってしまうというよりも、この展開の方が良かったのかもしれません。
 『メガレンジャー』はその点に置いては、最後の最後で、ヒーロー物の定番から一歩踏みだして、ドラマを描く事を優先させたという点で、 野心的な部分を持っていたと言えるでしょう。
 最終的には、同じ年輪を背負っている筈の久保田ですらかける言葉の無い所にいってしまったヒネラー、その情念は、ある意味では勝ったのでしょう。
 「見よユガンデ、シボレナ、メガレンジャーの最期だ!!」
 ヒネラーの目に最後に映ったのは、爆発する己とメガボイジャー(メガレンジャー)、そして“家族”の姿だったのですから。
 ……まあ、脚本陣が、ヒネラー(鮫島)を書いている内にノリすぎた感はあり(笑)
 色々な都合はあったかと思うのですが、ラスト3話、小林→武上→荒川、と分担してこれだけ盛り上げたのはお見事。 武上純希は基本的に評価していないですし、今作も随所で何だかなぁな話をやらかしていますが、メインを務めつつ、 小林靖子と荒川稔久の二人の腕利きと上手く連携をとって、この物語を作り上げた事には感謝。
 諸要素によって、中だるみや路線変更などでぐだぐだになりやすい1年物のヒーロー作品としては、 改めてかなり綺麗にまとまった秀作だったと思います。上述しましたが、ドラマ的な伏線やネタはほとんど消化されていますし。
 難を言えば、卒業関連の伏線はもう少し早めから回数ひいておけば、卒業式=クライマックスというのが盛り上がったかと思いますが、 この辺りは、学校生活の場面が(おそらく予算上の都合もあり)微妙に少ないのもあって、限界だったか。一応、 千里の卒業アルバム作りとか挟んでますが、耕一郎あたりが卒業式の答辞を考えている、とか、瞬とみくが卒業後の進路の話をするとか、 もうちょっと細かいシーンを各キャラに1つか2つずつ、作っておければなお良かったとは思います。
 最終的な総括と構成分析は、また別項で。
 ちなみに最終回に出番が無く生死不明なビビデビですが、後にVシネマの『星獣戦隊ギンガマンVS電磁戦隊メガレンジャー』でグランネジロスの爆発時に死亡した事が明かされたそうです。

 ※文中、『レクイエム』の訳文は、手元のCD『レクイエム』(ヴェルディ)付属ブックレットより、 〔ドン・ボスコ社版:フェデリコ・バルバロ師訳「毎日のミサ典書」並びに光明社版:「典礼聖歌集」、 中央出版社版:H・マッケヴォイ師著「ミサ解説」〕に基づいて書かれたものを引用させていただきました。

→〔総括&構成分析へ続く〕

(2012年1月30日)
(2017年8月27日 改訂)
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