■『電磁戦隊メガレンジャー』感想まとめ2■


“元気を半分 分けることくらい
オレにだって できるさ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『電磁戦隊メガレンジャー』感想の、 まとめ2(11〜20話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
 執筆中にコメントをいただきましたkanataさん、やり取りが感想に反映されている所もあります。改めて、ありがとうございました。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕 ・ 〔総括〕


◆第11話「あぶない! 赤いバラの誘惑」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久)

 とにかくシボレナさんは、悪事をする時は窓の鍵を閉めるべき

 シスターコスプレのシボレナさん、赤いバラを渡した子供達を教会に集め、「バラの聖水」を飲ませる事で、 プチバラネジレへと変えてしまう悪魔セラピーを実施。誕生パーティを祝う筈だった知り合いの少女が、 約束を無視して教会へ行ってしまった事を不審に思った千里が窓からそれを覗き、その間に逃げ出した少女を追うシボレナ。
 シボレナの遺伝子を混ぜて作ったという、バラネジレが凄いデザイン(金子一馬絵のナルキッソスをもっと凄くした感じ)。
 追いかけてきた千里=メガイエローと戦闘になり、幻覚攻撃などでイエローを圧倒するも、結局シボレナは撤退。
 その間、バラネジレと戦っていた残りの4人は、再生復活能力を持ったバラネジレに大苦戦。 ロボット戦になってからもクリーンダメージを受け、地面に倒れたのは……2回目か? 職員が、中の職員の命が大変。最後は、 イエローがシボレナを撃破した事により、弱った所をメガサーベル一閃。
 前回に続いて、小器用にまとまったエピソード。ただし、内容が面白かったかといえば、今ひとつ。 最大のツッコミ所はプチバラネジレ作戦そのものなのですが、精神的にプレッシャーをかけた上で薬を飲ませて、 やっと何の役にも立たないプチバラネジレが生まれるという作戦を、いったいどのぐらいの手間暇かけて全世界規模で実行するつもりだったのかネジレジア。 シボレナさんが、自分の遺伝子から薔薇が生まれるアピールと、シスターコスプレしたかっただけです多分。
 今回の演出なんかを見ると、やっぱり田崎竜太も長石多可男フォロワーだよなぁ、と改めて。まあ、多いのですけど。

◆第12話「こまるぜ! 我らのぐうたら先生」◆ (監督:田崎竜太 脚本:武上純希)
 寝坊した担任教師を、正座で起こしに行く男、遠藤耕一郎

 メガレンジャーの戦隊としての特色は、ブラックがリーダーであると同時に、ブラックが一番イカれている事。
 真面目キャラはネタにすると突き抜けやすい、という事でありますが。
 マークシートのズレから地学のテストで52点を取ったショックで、戦闘中に集中を乱し、 宇宙から降ってきた高エネルギー体の結晶の回収に失敗したメガブラック。
 このままでは、どちらも中途半端になってしまう。
 メガレンジャーか高校生活か
 思いあまった耕一郎は、退学届を提出
 「メガレンジャーを取る」のが、この男の恐ろしい所。
 生徒には妙に人気があるが、耕一郎からすれば不真面目の塊としか思えない担任教師・大岩にそれを渡すが、 大岩は自分の失敗談などを語り「人生は長い」と思いとどまるように諭す。
 受験に失敗した話などを語る大岩に、
 「俺は先生みたいに失敗を繰り返したくないんです」
 とか、容赦なく酷い。

 青・春・残・酷

 その説得中、たまたま高エネルギー結晶を拾って持ち歩いていた大岩をモグラネジレが連れ去る。メガブラックに変身して後を追った耕一郎だったが、 大岩と一緒に捕まってしまう。怪物に渡すよりは……と結晶を飲み込んだ大岩の体ごとエネルギーを抽出し、 東京を破壊しようと目論むモグラネジレ。この回に限らないのですが、微妙に、一般市民にメガレンジャーが認識されているっぽいのは、 ちょっと面白い。まあ、あれだけ派手にメカ戦やっていればその方が当たり前といえば当たり前なのですが、 どのぐらいの意図と覚悟を持って仕込んでいるのかは微妙ですが。
 妨害電波の発生装置を破壊したブラックからの通信を受け、久々にタンク出動。しかし、 マンネリしすぎて駄目になりつつあった歴史を背負っているから故意に外しているのだとはいえ、たまには、いざ反撃だ、という時に、 揃い踏みでわざとらしい名乗りとかも見たいなぁ、とちょっと様式美に思いを馳せる今日この頃(中盤以降は、やっぱりやろう、 という話になったのか、名乗りシーンは増加)。5人揃った後も結局メガブラック突貫でモグラネジレを撃破。
 メガレンジャーはスーツ着用者がキレると個人の戦闘能力が異常に上がるのですが、突発的なトラブルがなく、 当初のもくろみ通りに着用者を選定できていたら、いったいどうなっていたのか。
 今週のギャラクシーメガは、ブラックが操縦を担当。なぜかノーガード戦法でモグラネジレのビーム攻撃を二発ほど受けた後、 足払い→乱舞技→メガサーベル突き技で撃破。ギャラクシーメガは、 その日のノリで必殺技が増えていく所も恐ろしい。
 意外と面白かったです。
 小器用にまとまった話が2話続いた為か、適度に突き抜けて破綻しているのが、かえってテンポ的に良かった(笑)

◆第13話「どきどき! 先生は風のように」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 スケボーで登校中の健太がぶつかったローラースケートの美女は、諸星学園にやってきた美人教育実習生だった!
 −今回最大の問題−
 ゲストの教育実習生が
 美人女子大生には見えない
 (※特に言及されていませんが、「教育実習生」という事は、女子大生ですよね? ちょっと老けた感じですが)
 健太はともかく朴念仁のブラックまでときめいて舞い上がる、というのはちょっと無理あり。
 このエピソードは、このゲストの美人度が高ければ、もっと全然面白かった気はしないでもありません。好きとか嫌いとかの問題とは別に、 やはり映像作品というのはある程度、映像そのものに説得力が無くてはいけないのです。
 メガレンジャー達が教育実習生の早乙女先生に舞い上がっている頃、インターネットでの情報収集を怠らないシボレナは、 遺伝子改造による人工生物のプロジェクトについて知る。それは宇宙空間で活動する人類のパートナーの為に、 厳しい環境に適応した強靱な生命体を作り出す、という壮大な計画であった。その遺伝子をネジレ獣に組み込む事で、 人類の作りだした遺伝子により人類を滅ぼして愉快痛快、という作戦を立てる。
 だが人工生物の開発計画は、神ならぬ身で生物を創造するというその計画に畏れを抱いたプロジェクトリーダー・田中教授の自殺、 という形で幕が引かれていた。
 諸星学園にやってきた教育実習生・早乙女先生が田中教授の元婚約者であり、 人工生物の遺伝子情報をICチップの形で保管している事を突き止めたシボレナは、彼女からそのチップを奪い取る。
 生命の禁忌に触れるからと、計画の全てを葬り去る為に、婚約者を残して自殺した、 という博士がエキセントリック。
 もしかしたら『ゴジラ』のオマージュのつもりで、脚本家が一人で喜んでいたかもしれませんが。
 それにしても、ちょっと婚約者(早乙女先生)に酷い。
 そして生まれる生命体が生命体だけに、ますます酷い。
 ネジレ獣に遺伝子を組み込まれて誕生した究極生命体は、 本調子になるのに電気エネルギーを吸収しなくてはいけない。以前の戦いでの負傷が完治しないながらも、 その時間稼ぎの為に出撃したユガンテは、メガレッドと剣を交えながらレッドへのこだわりを語るのですが、 そもそも一騎打ちエピソードの時に、間違えて巨大化するまではレッドを圧倒していたので、今ひとつ因縁に説得力がありません。
 それでもドリルセイバーを折る、などの活躍を見せたユガンテは、残り4人が来た所で撤退。 電力で強化された究極生命体(笑)はメガレンジャーの銃撃を防ぐなどするも、 駆けつけた早乙女先生の助言により弱点の触角に集中攻撃を受け、巨大化。ギャラクシーメガに触手をまきつけるもそれを逆に振り回され、 メガフラッシュアローで爆死。
 ……うんほんと、なぜ、究極生命体(失笑)などという、大仰な名前にしたのかと(^^;  そうでなければまだ、色々と救いがあったかもしれないのに。
 変に重い話にした割に、ちょっと美人とは評価しがたいゲスト、究極生命体?と、 ガジェットが残念だった話。本気でやるなら、前後編にでもすれば良かった気はします。

◆第14話「びっくり! おとなりはネジレジア」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 放課後にゲームセンターに遊びにいった健太とみくは、一人の小学生が「自分はメガピンクと友達なんだ!」と嘘をついて、 いじめられているところを目撃する。小学生男子達から「健太さん」(兄貴、的な感じで)と呼ばれている主人公が事情を聞くと、 どうやらその子は嘘つき少年らしい。
 今回はいわゆる“オオカミ少年”とメガピンクの交流話に、 受験勉強に勤しむ優等生ズ(黒・青・黄)と受験そっちのけのアホの子達(赤・桃)の学生模様が織り込まれるのですいが、終始、 やたらに上から目線の優等生ズの発言は、今聞くと、ちょっとムッとするレベル(笑)
 久保田博士に微妙なネジレ反応の調査を依頼されて一人で引き受けた健太、
 「一年先の受験より今の焼き肉」
 と言ったところ、同調したみくとまとめて、
 「お前等人生なめてんのか」
 とブラックに凄い説教を喰らう事に。
 ……いや、そこまで言わなくてもいいのではないでしょうか(笑)
 事件は、取り壊しの決まって次々と住人が引っ越していく団地に、ネジレジア一般兵(クネクネ)達が住人を装って入り込み、 地球上に前線基地を作ろうとするも、少年に見つかってしまい……と、いう感じで、『ウルトラセブン』辺りを思わせる内容ですが、 随所に難あり(^^;
 クネクネが合体して、巨大クネクネになる、というのは面白かったですが。
 ラストはみくがメガピンクに変身し、小学生達の前で狼少年の前に姿を現して、めでたしめでたし。
 さすがの久保田も、女子高生には少し甘い。

◆第15話「見やぶれ! 天才高校のカラクリ」◆ (監督:辻野正人 脚本:柳川茂)
 安心と信頼の「洗脳○○」もの。
 何の活動もしていないのに、電気代と電話代(怖いぞダイヤルアップ!)が異常にかかっているのはどういう事だ、 と教頭先生に呼び出され、廃部宣告を受けるデジタル研究会。明日までに何らかの活動レポートを提出すれば廃部は免れると約束を取り付けるが、 頼みの綱の瞬が見つからない……久保田博士を通して、アイネットから圧力かけてもらえば何とかなりそうな気はしますが(笑)
 そのころ瞬は、中学時代の友人からメールを受け取り、旧友の通う超名門高校へと向かっていた。そこで出会う不審な教師、 そして「何でもなかったんだ」と言う友。彼の所属するデジタル研究会を見学した瞬は、 パソコンに向かってひたすら問題を解き続ける部員達に驚くが、その時、画面に奇妙なフクロウの画像を目にする。
 実はこの学校のデジタル研究会には、ネジレジアの魔の手が伸びていたのであった。天才達を洗脳し、 消滅兵器を作らせようと画策するネジレジア。
 相変わらず迂遠な作戦ですが、予算も戦力もないので仕方ない。
 それにしても、同じ天才なら、もっとプロフェッショナルな所を洗脳すればと思いますが、予算も戦力も(以下略)。
 結局、同様に洗脳されたフリをした瞬が、兵器の設計図に手を加え、兵器は爆発。ネジレジアの作戦は失敗し、“天才キャラ”として、 瞬のスペックだけがまた上がったのでありました。
 ラスト、夜中に居残りしてレポートを作成しているデジタル研究会(有りなのか?)。昼間の騒動で疲れた瞬は途中で寝入ってしまい、 その指がデリートキーに……! かかっているのに、画面では何故か、バックスペースで消えているプログラム。
 いっつ・めがれんマジック!
 というわけで恐らく、研究会存続の為に久保田博士が何らかの手を回したと思われます。

◆第16話「激ヤバ! オレたち 死ぬのか?」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
 夕暮れの街の上空に現れ、謎の鱗粉をばらまくドクガネジレ。対峙したメガレンジャーにも鱗粉を浴びせると、 ドクガネジレは飛び去っていく。いったい何の為だったのかと思われたがその日の深夜、驚愕の事態が発覚する。鱗粉の正体は、 浴びた人間が24時間後に必ず死に至る猛毒であった! 1万数千人の人々と共に毒に犯されたメガレンジャー。 全く新しい毒物の為に解毒剤も存在せず、タイムリミットは夕方6時。果たしてメガレンジャーは、1万人以上の人々は、 生き残る事が出来るのか。
 ネジレジア、まさかの大規模バイオテロ決行
 先週の省エネはこの為だった模様。
 東映特撮メタルヒーロー班の秘蔵っ子、小林靖子の戦隊デビュー回(そして翌年の『星獣戦隊ギンガマン』で初のメインライターに)。
 久保田博士から、混乱を防ぐ為に一般市民には伏せられている猛毒への感染(体のどこかに赤い蛾の痣が浮かび上がる) を知らされたメガレンジャー達。解毒剤の研究開発を急ぐアイネットを信じ、最後までメガレンジャーとして戦い抜こうとする耕一郎と千里だったが、 瞬・健太・みくの3人は、「やり残した事はないのか?!」と、部室を飛び出していく。

 そう、ハードディスクの処理、大事

 夢だったCGの個展の真似事だけでもしようと自作のCGをプリントアウトする瞬、特上カルビ10人前を頼む健太、 ひたすら買い物に走るみく。
 部室に残った千里が愛用のカメラを手にとってファインダー越しに耕一郎を覗き、 彼がパスケースを手に取っているのに気付いて手元をズームするとそれは家族の写真で、その上に水滴がポタリ、というのはいいシーン。
 勢いあまってウェディングドレスを買ったみく(幾ら持っていたのか)が、公園でゲリラ個展を開こうとしている瞬の所を訪れて、 もじもじしているシーンなども、秀逸。
 その頃、腹いっぱい肉を詰め込んでいた健太は、顔見知りの小学生や、焼き肉屋の店長の手に、蛾の痣が浮かんでいる事に気付く。 このままでは、何も知らぬまま、彼等に明日は無い……メガレンジャーである自分が、いちはやく諦めてしまってもいいのだろうか?  瞬とみくも同様の思いに至り、部室へと戻る3人。
 5人が部室へ揃った時、再びドクガネジレが現れたという報が入る。ネジレ獣の体内にある筈の毒の抗体を得る為、ドクガネジレと戦い、 その体の一部を手に入れる事に成功するメガレンジャー。タイムリミットが迫り、猛毒の影響が肉体に現れた事で変身不能になってしまうが、 これ以上の毒の散布を防ぐ為にも、生身でドクガネジレの足止めをする。
 毒の散布能力を強化しすぎた為か、或いはつい調子に乗っていたぶってしまったのか、生身の高校生5人にとどめをさせないドクガネジレ。 そうこうしている内に、メガブラックが届けた細胞をもとに、解毒剤が完成。デジタンクで久保田と部下が駆けつけ、九死に一生を得たメガレンジャーは、 ドクガネジレを撃破するのであった。
 ラスト、「きっと明日咲くよ」とみくが部室に買ってきた鉢植えの花が、特に言及なく、咲いている映像だけ、 さりげなくフレームに入る、という演出も秀逸。
 『メガレンジャー』は、学生ゆえのメンタル面の弱さ、に踏み込むとなかなか面白くなる、という手本のような話になりました。

◆第17話「すごすぎ! いけてるスーパーみく」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久)

 修学旅行は那須高原

 りんどう湖ファミリー牧場

 いわゆる一つのスポンサー回です。
 (予算的に)遠征してロケできるわけでもないので、スポンサー回を修学旅行という事にしたのは好判断か。もう少し後年なら、 太秦スペシャルの回を修学旅行に回せてもっとそれらしくなっただろうから、惜しい。
 異常にテンションの高いみくは、バスの中で、作詩・作曲:自分「修学旅行の歌」を披露。
 基本、メガレンジャーの中ではアホの子ポジションですが、通り越して、痛い子になってしまっています。
 そんなみくの見事な観光ガイドなどもありつつ、りんどう湖ファミリー牧場を満喫する5人であったが、久保田博士から、りんどう湖 周辺でネジレ反応があったと緊急連絡が。5人が急行すると、そこにはヒネラーの指令を受けたビビデビの姿があった。
 りんどう湖の湖底で、密かに1万個のガマネジレの卵を育てていたDr.ヒネラー。
 空気読め。
 成長促進光線により、1万個の卵を一気に孵化させようとしていたビビデビだったが、メガレンジャーの攻撃により失敗。 しかしその戦闘のさなか、メガピンクがビビデビの撃った成長促進光線を浴びて、気を失ってしまう。ビビデビの撃退に成功後、 ホテルでみくを休ませていると、目覚めた彼女は、突如、頭脳明晰、判断力抜群になっていた。
 みくの先導で再び湖へ向かったメガレンジャー、1匹だけ孵化に成功していたガマネジレが、 自分の持つ成長促進光線銃で残りの卵を孵化させようとしていたが、その前に卵の破壊に成功する。更に、 スーパーみくの絶好調パワーによりガマネジレを撃退。
 アイネットの分析により、ガマネジレが、成長促進光線銃と、その対となる退化光線銃を持っている事がわかる。 博士号クラスの数学の問題を解き、運動でも凄まじい能力を発揮する、みく。 まさしく“スーパーみく”であったが、 急激に頭脳が活性化した副作用により、突然の頭痛を感じるようになっていた。心配する千里に頭痛を隠すみくだが、その時、 突然の地震がホテルを襲う。ガマネジレが、促進光線を火山に撃ち込み、地熱活動が活発化しているのだった!
 直ちに現場へ向かおうとするメガレンジャーだったが、みくだけがそれを拒否する。ガマネジレの持つ退化光線、 戦闘中に何かの拍子にそれを浴びてしまったら、自分はまた元に戻ってしまう……頭痛に悩まされながらも、友人に頼りにされる自分、 に固執するみく。
 この辺り、コメディ回かと思わせておいて、アホの子の持つ、出来る友人へのコンプレックスから友情話に持ち込んだのは秀逸。 出来れば頭痛の伏線をもうちょっと溜めをもって引いていればなお良かった。
 4人でガマネジレに挑み、苦戦するメガレンジャーの実況を聞きながら(戦闘の苦悶の声が流れてくる通信機の設定は何とかした方がいい)、 その中で友情の思いを新たにしたみくが戦いへと赴くシーンで、EDが挿入歌で使われるという演出も秀逸。
 というわけで、意外とうまくまとまっていました。まあこの、(ロボット関係を除いて)突き抜けてないけどほどほどにまとまっている秀作、 というのがメガレン全体のイメージだったりするのですが。

◆第18話「「守るぞ! 不思議な少年の森」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久)
 修学旅行先で、朝4時に起きて、トレーニングを始める遠藤耕一郎
 那須高原で、朝帰りする大岩先生

 うん、どっちもどっち

 それにしても、フリーダムな修学旅行。さすが私立? とでも言えばいいのかどうなのか。
 ランニング中の耕一郎は、森で空き缶を拾った所、不思議な雰囲気の少年と出会う。その時、森の近くでネジレ反応が! 実はその森は、 強大なエネルギーを秘めた隕石の落下跡に出来た場所であり、地中に貯まったそのエネルギーを手に入れるべく、ネジレジアが動き出したのであった。
 今週も宣伝モードのメガピンク、
 「今日はりんどう湖ファミリー牧場で、乳搾り体験学習やるんだから!」
 キノコネジレ「だから何だ」
 ごもっともです
 森を焼き払おうとしていたキノコネジレを撃退したメガレンジャーであったが、謎の少年の起こした不思議な竜巻によって森から追い払われてしまう。
 少年は森の精霊が人の形を取った存在であり、彼はアイネットが森に地上の前線基地を作ろうとしている事を知っていたのであった。 それを聞き、森を守りたいという気持ちと、メガレンジャーとしての使命感に思い悩む耕一郎。
 一度は少年に拒絶された耕一郎であったが、再び森の襲撃に現れた巨大キノコネジレの襲撃から少年を守る。ギャラクシーメガを呼び、 森を守る為に戦うメガレンジャー。
 キノコネジレの火炎攻撃から森を守って戦う、というシチュエーションの為に、巨大ロボ戦の背景に森を合成しているのですが、 その合成がやたらに雑でちょっと気になってしまい勿体ない。
 火炎噴射をシールドで防ぎ、防戦一方のギャラクシーメガ。久保田の「ジャンプして後ろに回り込むんだ!」という助言を、 「そしたら森が!」と拒否するメガブラック。その言葉に、メガレンジャーの面々や、久保田の心も動く……というか、 久保田博士もギャラクシーメガに乗っているので、一蓮托生です。
 命を担保に説得されていると言えなくもない。
 そうこれが、ギャラクシーメガの恐ろしさ……!
 そんなメガレンジャーの戦いに心を動かされた少年が、森の力を最大限に放ちキノコネジレに隙を作ると、メガサーベルが一閃。 キノコネジレは倒れ、結果的にアイネットによる前線基地の計画も見直されるのでありました。
 なお今回、メガレンジャーとしての使命感と森を守りたいという想いの間で揺れる耕一郎の前に、 浴衣姿(ホテルのですが)の千里が現れてアドバイスをするという、二人きりの屋上みたいなちょっとニヤニヤできる雰囲気のシーンあり。 ……相変わらず、荒川稔久が一人で、ラブネタを盛り込もうと足掻いています。
 個人的には、このカップリングは割と好きですが。
 次回、新幹部登場。

◆第19話「打ちこめ!不屈の必殺パンチ」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 東京上空に巨大UFO襲来、ビル群を破壊光線で薙ぎ払うと共に、クネクネの降下部隊が街を襲撃。人々を殺戮し、子供を攫っていく……
 という、

 チャンネル間違えた?

 か

 ネジレジアの妄想?

 というオープニングでしたが、どうやら夢でも電波でもぼくのかんがえたさいきょうのさくせん、でも無かった様子。
 クネクネに蹴り飛ばされた一般人が鼻から血噴いて倒れていたり、なかなか大胆な演出。
 混戦の中、メガレッドは、ゲーセン友達の小学生・タケシをクネクネと取り違えて殴り、重傷を負わせてしまう。
 全ては、ネジレジア本国から皇帝ジャビウスにより派遣された新幹部・ギレールの手筈であった。
 出張先でのんびり侵略ライフに勤しんでいた、ヒネラー一味に、衝撃走る……!
 新キャラ・ギレールは、アグレッシブなデザインの割には策士声(CV:仁内建之)で、頭脳派。早速、 さらってきた子供を利用する作戦を立案。更にその衝撃的な初動作戦はアイネットに、 これまでに較べると頭脳的な上に卑劣と評される。
 タケシに重傷を負わせて落ち込む健太は「メガレンジャーを辞める!」とまで言うが、耕一郎の説得を受ける。
 いきなり、パンチの練習をし始め、もっと動体視力が優れていれば拳を止められた筈だ!  とプロボクサー並の動体視力を要求する耕一郎。やっぱりちょっとキ○ガイ。
 少しやる気を取り戻したかに見えた健太だったが、やはり心の傷は深く、途中で駆け去ってしまう。そんな健太の元を訪れる久保田博士。 かつてボクシングをやっていたという久保田博士は、健太をあるボクシングジムに連れていき、一人のボクサーを紹介する。 リング上で対戦相手を再起不能にしてしまい一時はボクシングを辞めていたものの、対戦相手の「俺の分まで……」という言葉を受け、 復帰を決意したというボクサー。
 「第二、第三のタケシくんを出さない為には、お前が立ち上がらなければならないんだ!」
 という説得を受け、再びメガレンジャーとして戦う事を決意する健太。
 立ち直るのが少々早すぎるきらいはありますが、この、おっさんと健太のやりとりは、メガレンのキモ的な部分であり、 博士が無駄に熱い、いいシーン。久保田のおっさんは、メガレンの影の主役。
 再び立ち上がった健太を加えたメガレンジャーは、ネジレジアに襲撃された通信ケーブル施設の救援に向かうが、 洗脳された子供達に行く手を阻まれる。前面に子供を立たされ、派手な攻撃を封じられたメガレンジャーは苦境に陥るが、 なんとか包囲を抜けたメガレッドがサソリネジレを追う。しかしその前に、子供づれで立ちふさがるギレール。 しゃがみこんで少年の体の影に完全に隠れた状態で登場し、 そこから顔を出すギレールが非常にいやらしくていい感じ。トラウマが甦り、戦う意欲を失いかけるメガレッド……だがその時、 アイネット経由で、意識を取り戻したタケシ少年からのメッセージが届く!
 今朝までICUで意識不明だった筈なのに、 やたら元気なメッセージが届く!
 大丈夫かアイネット
 CG合成とかしてないか
 勇気を取り戻したメガレッドは、久保田に託された新兵器バトルライザーを用い、見事にギレールを撃退。更にサソリネジレ (デザインも声も格好いいのに、やった事は子供の洗脳だけ、見せ場もゼロ)も撃破。タケシ少年も無事に退院し、 メガレンジャーはまた一つ、激しい戦いを乗り越えるのであった。
 新幹部登場編という事で、オープニングから気合いの入った展開、演出も冴え、なかなか見所がありました。

◆第20話「たのむぜ! 新ロボ デルタメガ」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
 久保田博士にメガシップに呼び出されたメガレンジャー達は、そこで新ロボット・デルタメガと、 ギャラクシーメガのチーフエンジニア・省吾と出会う。ロボット工学の権威・川崎博士の息子である省吾は、 博士がデルタメガの制御プログラムをアイネットに提供する条件として、メガシップから降りて地球へ戻る事になっていた。
 研究者として自分の跡を継ぐ事を強制しようとする分からず屋の父親(と思っている)に反発する省吾であったが、まあ、職場が、

 宇宙そして巨大ロボットの胴体

 だったらそれは、お父さん、心配すると思います。
 この親子のドラマは、男親子の反発と心配を陳腐かつ月並みに描いており、ベタもベタなネタなのだから、 もう少し丁寧に描いてほしかったところ。……しかし省吾は、父の台詞で「普通の高校に入り直して」とか、 健太がタメ口(これはキャラもある)だったり、耕一郎が「省吾くん」と呼んだりしているのですが、何歳という設定なのか。 作中の描写を全て素直に受け止めると、高校中退してアイネット就職して、若干17か18にして地球を守る最前線でチーフエンジニアとかいう、 結構スーパーなキャラなんですが。……まあ、アイネット自体は、非常事態に対応している事もあり、けっこう実力主義というか、 緩い部分はありそうですけど。
 (※川崎省吾を演じる田中優樹は94年に『ブルースワット』で天才青年科学者役でレギュラー出演しており、若干メタネタだったのかも)
 一方、ネジレジアでは、ギレールがシボレナをナンパしつつ、ワニネジレを魔改造。 地球に現れたワニネジレは凄まじいパワーでメガレンジャーを苦しめ巨大化すると、メガサーベルの一撃で爆発したかと思いきや、 2体に分裂。省吾と共に川崎博士の説得に向かった健太(メインパイロット)を欠き、2体の同時攻撃を受け、 ピンチに陥るギャラクシーメガ。
 紆余曲折あって、川崎博士から制御プログラムを受け取ったメガレッドは、宇宙空間のデルタメガの元へと向かう。デルタメガの中は、 通信で地球の省吾から案内を受けるのですが、あれ、基地に職員居ないの? と思ったら……そうだ、職員は今みんな、 地球のロボットの中で大変な目にあっている最中でした。ここで制御プログラムを入れるスロットが二つあり、一つはダミー、 間違った方に入れると自爆システムが作動するという、 設定的にもストーリー的にも極めて無駄なアトラクションがありつつ(しかも、 ノーヒントで勢いで入れた方が正解という、山も谷もへったくれもない展開)、無事にデルタメガは起動。
 両腕がガトリング砲という、ネジレジアの殲滅のみを目的にしたとおぼしき破壊力で、 ギャラクシーメガと共にワニネジレを撃破するのでありました。
 あからさまに新ロボ登場の消化回、といった感じで、凝った所がまるでなく非常に残念な出来。
 あまりに残念だと思ったのか、オチで久保田博士が、趣味のトランペットを披露。おっさんがまた一つ、いい味を出すのでありました。
 当時も、何故いきなりトランペット? と思ったし、脚本的なフリも全く無いのですが、改めて見ると、あまりに脚本が残念なので、 急遽ひとネタ仕込んでもらったように、見えなくもない(笑)

→〔まとめ3へ続く〕

(2012年1月16日)
(2017年8月27日 改訂)
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