■『高速戦隊ターボレンジャー』感想まとめ3■


“Da! Da! Dash! 若さ全開
 5人の中にきみがいる”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『高速戦隊ターボレンジャー』 感想の、まとめ3(14話〜19話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第14話「参上!さすらい転校生」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 ある日、口笛と共に3年A組に現れた学ラン姿の転校生――その名は、流星光(ながれぼし・ひかる)。
 「人呼んで高校流れ者――さすらい転校生、流れ星」
 しょ、職業なの?!
 学帽を斜めに被っているので顔立ちがハッキリしない上に長身で体格が良く、あまり未成年に見えない事にまず困惑するのですが、 なんだか世界観の違う転校生は、背に流れ星の刺繍が入った学ランをクラスのメンバーに見せつける……ちょっとお茶目な奴かもしれなかった。
 「流星光、よろしく」
 「そんなの聞いてません!」
 「だから今入ったのさ! このクラスが気に入ったんだ」
 20年は前のバンカラノリで傍若無人に振る舞う流星は、大地の席を奪おうとして睨み合いになり、 水泳部や体操部に乱入すると高速戦隊メンバーへの喧嘩腰の挑発を繰り返し、 続けて野球部では魔球マンガめいたアクロバットな動きで力と激突。
 「おまえ、ターボレンジャーだろ?」
 「……なんのことだかさっぱりわからんな。仮にもしそのターボなんとかだったらどうだっていうんだ?」
 「お友達になりたくてな」
 流星は校庭でバトントワリングをしていたはるなにも視線を向け、第14話にしてはるなの所属部活が判明。 視線に気を取られたはるなが木の枝に引っかけたバトンを、人間離れした跳躍で回収した流星は、 丁寧にハンカチでぬぐってから渡す紳士ぶりを見せ、ハンカチにも流れ星の刺繍が入っている徹底ぶり。
 音楽室では激しくも華麗にピアノを奏でると、群がるギャラリーの前で背面弾きを見せつけ、 これは鍵盤の上に乗って足で弾く流れ……?! と思ったら鍵盤の上で倒立弾き……!
 恐らく実写版『柔道一直線』(『仮面ライダー』前夜の平山亨プロデュース作品)のパロディというかオマージュと思われるのですが、 この辺りの文脈を90年代以降に井上敏樹が時代に合わせた咀嚼を交えながら継承しているのが窺えるのは、面白いところ。
 シーロンに確認を頼むも流星から暴魔の匂いは感じられず、困惑しているところに、兜山古墳でドグウボーマが大復活。 現場に向かったターボレンジャーが目にしたのは、頭だけ出して土中に埋められた人々の姿で、 更にジャーミンの武器を弾き飛ばす謎のニューカマーが乱入し、まだAパートも終わっていないのに、情報量過多で脳が沸騰しそうです(笑)
 「そいつらは俺の獲物だ」
 「何者だ?!」
 「流れ流れて2万年。流れ暴魔ヤミマル、只今参上!」
 曲刀を構え、顔を仮面で覆い、「さすらいの一匹狼」を自称する謎の暴魔がターボレンジャーに襲いかかり、今作ここまで、 派手なパンチはないものの、わかりやすい戦隊作劇を志向したオーソドックスで安定した作りだったのですが、2クール目早々にスピン!  スピン! ピッチャー返し! が炸裂してターボレンジャーの個人武器が次々と弾き返され、 今このタイミングで六尺玉を打ち上げる必要はあったの?! と狼狽します(笑)
 なお、流星とはるなの接触が紳士的に描かれた事から注目されたピンクターボへの対応ですが、物凄く普通に殴り飛ばしたので、 別人の可能性も捨てきれません……。
 ヤミマルはレッドターボのスーツを切り裂くと、5人の決め技プラズマシュートを一刀両断! エネルギー弾が空中で真っ二つにされ、 左右に分かれて落下すると大爆発が起こるシーンは大変格好良く、迫力満点。
 「分かったか。流れ暴魔ヤミマルの凄さを。ターボレンジャー覚悟!」
 突然の強敵の出現に5人はやむなく逃走し、振り上げた刃の落としどころを失ったヤミマルは、 謎の力で土偶ボーマを土偶状に戻すとそれを強奪して撤収。
 シーロンさえ知らない流れ暴魔、とは……
 「流れ暴魔とは、暴魔百族にも加えてもらえぬ、半人前の暴魔よ。恐らく二万年前、封印をまぬがれたのであろう」
 「しかし、そのような半人前の暴魔が、なぜプラズマシュートを破るほどの技を持っていたのでしょうか」
 「恐らく二万年の間に腕を上げたものと思う」
 大帝の推測するように、その正体は二万年間レベルを上げ続けた最強のゴブリンなのか?  思わせぶりに姿をちらつかせる流星に疑念を抱く力たちの前に、土偶ボーマを連れたヤミマルが現れ、第二ラウンド開始。
 ヤミマルの肩に姿を見せたクモの吐く糸が槍へと変じ、どうやら、ざんばら髪と衣装の縞模様はクモのイメージのようで、 今作の伝奇テイストを考えるとつまり、流れ暴魔の底本は、まつろわぬ民としての土蜘蛛でありましょうか。
 槍の次は鎖鎌、そして剣、と多彩な武技を見せつけるように振るうヤミマルだが、 戦士の誇りとかは特に持ち合わせていないので相手の土俵には乗らない赤が飛び道具を放ち、 弾き飛んだ剣が背後でぼんやり立っていた土偶ボーマの頭部にクリティカルヒット。 弱った土偶はコンビネーション攻撃からGTクラッシュで始末され、哀れすぎる奴……。
 ヤミマルは口笛で呼び出したクモの呪力で土偶ボーマを巨大化すると姿を消し、何故か暴魔獣を奪い取って手駒にする → 正面から手駒と一緒に襲いかかる → 手駒がやられると帰る、と、 巨大戦ノルマの都合で敵の行動原理が意味不明になる戦隊作劇の一番駄目なパターンに直撃してしまい、 嵐を巻き起こそうとする新入生だけに大変残念な事になってしまいました。
 ターボロボは巨大土偶のボディへの連続パンチから投げ落としを決めるも、土偶フォームからの光線を受けるが、 強烈な飛び蹴りを決め、元の姿に戻ったところを高速剣のカウンターから二段切りでフィニッシュ。
 新たなる強敵が現れて必殺技を破られ、新兵器の開発へ……という展開なのですが、 改めて一般の暴魔獣は個人必殺攻撃でさっくり倒せる事が証明されてしまった為、 一方的に粘着してくる第三勢力(敵は敵ですが……)への対策、という微妙なスケール感になってしまい、巨大戦ノルマ同様に、 手段と目的が混線気味。
 ヤミマルもヤミマルで訳あり風味に描いてしまった為(ただのバトルジャンキーの可能性もありますが)、 強敵撃破へ向けて物語を走らせる為の火種がどうも弱いのですが、次回もう少し諸々噛み合ってくれるのに期待。

◆第15話「ヤミマル!必殺の照準」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 さすらい転校生・流星光から力たちに届く、ワープロ書きの挑戦状!
 「ふっふっふふ、地獄へ落ちるのはおまえたちの方さ。これがお前達への葬送曲だ」
 律儀に呼び出しの場所へ向かった5人に対し、流星がいきなり樹上から躍りかかると、 校舎の壁を使っての三角飛びからスピンキックなど突然のすさまじい格闘戦が展開し、さすがに、 生身のはるなは殴り飛ばしませんでした(笑) 結果として、もつれあう5人の外周で、 ああでもないこうでもないと左右に動き回るはるなの図が微妙に間抜けな事になっているのですが、どうせ殴らないなら、 挑戦状に女子の名前入れるなよ流星!!
 「流星くん」「痺れるー」
 なお、これを取り巻くギャラリーからは黄色い声援があがっており、ここだけ凄く昭和中期(笑)
 「いったい、おまえは、何者なんだ?!」
 「いずれわかるさ」
 力たちを痛め付けるだけ痛め付けて流星は去って行き、教員にこっぴどく叱られた5人が廊下に立たされている頃、太宰博士は、 新しい必殺武器の開発に全力をあげていた。
 そこへ5人が助手としてやってきて、「ちょっとしたショックで爆発する」小型エネルギー炉の調整をナチュラルに高校生に任せる太宰博士(笑)
 から壁が吹き飛ぶ映像に繋がって、太宰邸大爆発?! と思ったらそれは新たなる暴魔獣の破壊活動! は定番ながら面白い繋ぎで、 街中を転がり回る謎の円柱を追う赤黒桃がバイクで轢くと、合体した円柱の正体は、巨大なダルマ落とし。
 ……今回はもう、ここだけで1話分の満足感でした(笑)
 更にヤミマルが現れてダルマ落とし攻撃で3人にダメージを与え、巨大ダルマ落としはダルマオトシボーマへと変貌。 ダルマ落としそのままを人間のフォルムにしつつ、頭部がズレて歪んでいる事で怪人としてのグロテスクさが表現されていて、 これは傑作デザイン。
 「ターボレンジャー、これで終わりだな」
 仲間のピンチを知った洋平と俊介は試作品の武器を持ち出して駆け付けるが、それは発射と共に敵味方を巻き込んで暴発し、 バラバラに。一応、ヤミマルにもかつてないダメージを与えて撤退に追い込むが、その代償として小型エネルギー炉の制御装置が壊れてしまう。
 「このままでは、あと1時間で限界に達し、爆発してしまう。もし爆発したら、半径500m以内のものを、消滅させてしまう!」
 だざいーーーーーー!!
 ……博士は早く山口先生とお付き合いを始めて、人の心というものを学んだ方がいいかもしれません。
 「でゅっひゅっひゅっひゅっひゅ、馬鹿な奴らだってんだ! 自分たちの作ったメカで、ピンチに陥るとはなっどぅふっふっふ!」
 責任を感じる洋平と俊介は、不安定なエネルギー炉を命がけで人気の無い海岸まで運んでいく事になり、この状況を知った暴魔百族は、 ヤミマルに高速戦隊を倒させるわけにはいかない、と輸送中を狙って刺客を放つ。洋平と俊介に向けてズルテンバイクが迫ったその時 (この場合、体当たりが成功するとズルテンも死にますね……)、そこに割って入ってウーラーに平然とスピンキックを叩き込んだのは――
 「高校流れ者、さすらい転校生・流星光――」
 流星は、背中のトレードマークをズルテンに見せつけると、そのまま後ろ回し蹴りを叩き込み、不敵に笑う。
 「同級生のよしみで助けてやったぜ」
 「おまえツッパリだけど、本当は、いい奴だったんだな」
 「照れるじゃねぇか。さあ急げ。でもゆっくりとな。ゆっくり急げ」
 「む、難しいこと言うなよ!」
 ジンバ率いるウーラー軍団からも洋平と俊介の運搬コンビを救う流星だが、その手にヤミマルと同じ傷を負っていた事から力はその正体に気付き、 海岸に辿り着いた洋平と俊介を狙う銃口……を構えるのは、流星光。その凶弾がエネルギー炉を貫く寸前、間一髪、 身を挺した赤がカバーリング!
 「流星光、いや、流れ暴魔ヤミマル! 卑怯な真似は許さないぞ!」
 「ふふふふふ、やっと今頃わかったか。そうさ、人間界にあっては高校流れ者、さすらい転校生・流星光。 そしてその実態は――流れ暴魔ヤミマル!」
 さすがに前後編以上は引っ張らず、5人に背中を向けた流星はポーズを取るとヤミマルへと変貌し、 仮面をあげて隈取りメイクの素顔を披露してから、高速戦隊へと襲いかかる。
 タイムリミットまで後わずか、自爆覚悟のダルマ落とし(追走する怪人の頭部がいきなりバネ仕掛けみたいに揺れており、 頭部を飛ばして攻撃するシーンがあったがカットでもされたのでしょうか)に追い詰められた洋平と俊介は、 爆発寸前のエネルギー炉をダルマ落としにぶつけて海に飛び込む事で、大惨事をなんとか回避。
 ダルマ落としボーマは、生身のヒーローに爆弾をぶつけられて死ぬ、という大変もの悲しい最期を遂げ、 『ダイナマン』や『チェンジマン』でも、必殺技(兵器)が破られた後に、 すぐに新たな技(兵器)が登場せずに既存の技の工夫などで撃退する、という展開があったので、 割と曽田さんの好きなシチュエーションだったりするのかもしれません。
 巨大戦では、高速剣を投げつけて頭上から串刺しにする秘剣ジュウオウキングでダルマ落とし攻撃を封じると、 銃の乱射でトドメを刺す凶悪なフィニッシュ。
 ひとまず窮地を乗り越えた5人は、夜の海に向けて口笛を吹く流星の姿を目にする。
 「ヤミマル」
 「おまえ達が都立武蔵野学園高校の生徒だって事は、暴魔には内緒にしといてやるからな」
 「なぜだ」
 「おまえ達を倒すのは、この俺でなければならないからだ」
 高校生戦隊という事でか、正体の秘匿といった要素が加わり、ヤミマルは勝利の為の手段は割と選ばないが、 ところどころで自分勝手な侠気を見せてくる、独自のモラル系のキャラに。
 「ヤミマル、いや、流星光。なぜおまえの血は赤いんだ」
 その侠気を汲んだ力は流星に問いかけて定番の部分をしっかりと突き、 ここで逸れる視線とピクリと動く右手のワンカットを入れるのが巧い。
 「流れ流れて二万年……昔の事は忘れたぜ」
 流星はニヒルに嘯き、果たしてその正体は、そして激化する戦いの行方はどうなる……?!  エネルギー炉輸送の要素はそこまでスリルとして盛り上がりませんでしたが、ダルマ落としボーマは大変良かったです。

◆第16話「射てVターボバズーカ」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 一同の衣装が夏服に替わり、新兵器の動力となるエンジンが完成するが、 そこにヤミマルとコブボーマが現れて試運転をしたばかりのエンジンが木っ葉微塵。 ヤミマル流星剣を受けて再び真っ白になった5人は川に落ちた上に、迫るヤミマルの危機を伝えに来たシーロンの姿が見えなくなってしまう!
 「なんとしても俺たちのパワーを取り戻すんだ」
 「でも、あの力はなんだったの? 妖精が見えたり、声が聞こえたりするあの力は」
 変身も出来ない5人はヤミマルに追い詰められるが、そこに炸裂する妖精ダイナマイト!  シーロン捨て身の一撃に救われ、ひとまず洞穴に身を隠した5人はそこで、幼い頃に妖精の光を浴びた神秘体験を思い出す……。
 第2話の初変身がかなり強引だったので、強敵登場の新展開の中でそこについて補強しようという狙いだったのでしょうが、 そもそも流星剣で白くなったり変身能力を失ったりする理由が特に説明されないので(アンチ妖精エネルギー……?)、 強引だった部分に理屈を付けようとしたら別の部分が強引になってしまう元の木阿弥。
 あと、パワーを失ったらブレスの通信機能も使えなくなってしまったのですが、ブレスまるごと妖精パワーで動いていたのでしょうか……博士は、 家から電話でブレスと連絡取っているのに……(笑)
 自分たちがシーロンとコンタクトできたのは、過去に妖精の光を浴びたからに違いないと考えた5人は、妖精パワーを取り戻す為、 豊かな自然の残るラキアの森へ。しかしその前に弓矢を構えたヤミマルが立ちはだかり、ヤミマルの複数武器路線は、 2万年間修行していた設定とも噛み合いますし、立ち回りにバラエティが出て良い感じ(槍アクションが格好いい)。
 掟破りのヤミマルショットガン! に意志をくじかれそうになる5人だが、懸命に生身で戦いを挑み、死中に活あり白刃取り。
 「この地球を守るのは、俺たちしかいないんだ!」
 まるでその叫びに応えるかのように大地と森が鳴動し、溢れ出した妖精の聖なる光を浴びた5人は、再び力を取り戻しターボレンジャー!
 5人の勝利を信じ続けた太宰博士は超速で作り直したエンジンを組み込んで新兵器・Vターボバズーカを完成させており、 それは試運転しなくていいのでしょうか……まあ「今……私に、出来る事といえば……」 と覚悟を決めた太宰博士がスポーツカーに試作エネルギー炉を積み込んで飛び込んできて太宰ダイナマイトを決めるよりマシか…… と思いは色々ありますが、ここで流れるBGMが大変格好良い。
 ターボレンジャーの元にバズーカが転送され、車戦隊という事でかエンジン部分が強調されハンドル操作でシュート!  発射と共に3Dグリッド表示の地面のイメージが入るのが格好良く、対抗しようとしたヤミマルの流星剣を打ち破り、 コブボーマを完全粉砕。
 「見たか! Vターボバズーカの威力を!」
 現代文明の火力の前に敗れ去ったヤミマルはコブボーマを巨大化して撤収。 ターボロボは突然剣を振りかざしてきたコブボーマを投げ飛ばすと銃撃、そしてパンチ、 から奪った剣を突き刺してトドメの銃弾を叩き込み、引き続き必殺剣にこだわらないスタイルで色々とやってきます。
 シーロンは5人によって精霊の光の元へ運ばれると回復し、そのまま、バイストン・ウェルに旅立たなくて良かったですね……。
 ナレーション「ターボレンジャーは、今始めて、自分たちの力の秘密を知った。この大自然を、一番愛する子供達に、妖精たちは、 未来の戦士となるべく、素晴らしい力を与え、いつまでも美しく、清らかな自然を守るように、願いを託したのだ」
 第2話時点ではぼんやりと、この星の美しいもの――「妖精」がその象徴――を守りたいと思う気持ちが妖精と同調したエネルギーを生んだ、 ぐらいだったターボレンジャーのパワーに説明が付加されたのですが、ナレーションの内容に「比喩表現」と「劇中のバトル」が入り交じった結果、 「未来の戦士」という言葉が、大変殺伐とした響きをともなう事に。
 そして5人がターボレンジャーに選ばれたのが、「見出された素養」というよりも「仕組まれた資格」だった事が判明してみると、
 (あなた達こそ、暴魔百族と戦う戦士なんです)
 −−−−−
 「ずーっとずーっと、君達のような若者を探していたんだ」
 第2話におけるシーロンと博士の言葉がまた違った意味を帯びてくるわけですが、妖精エネルギーをずっとサーチしていたのか……。
 正直、ふわふわした偶発的な正義感でも良かったような気はするのですが、そんなターボレンジャーの力の源と強い意志が、 特に新兵器と関係しないのでヤミマル撃破ともパズルが噛み合わず、とりあえず、明日から学校で気まずい!!

◆第17話「子供になった先生」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 巨大な石棺の中からドロロボーマが大復活し、なんだか、水木しげるの描くミクロネシアの妖怪とかに居そうなデザイン (今作の怪人デザインを担当している篠原保さんといえば、後に『忍者戦隊カクレンジャー』で、妖怪怪人をデザインしていたりも)。
 どろろボーマは赤の勾玉の力で次々と人間の年齢を食べて大人を子供に変えていき、洋平をかばった山口先生もその被害に遭ってしまう。 少女となった山口先生(記憶を失っているのが、冒頭の被害者たちの描写とズレてしまっているのですが……) のマンションを訪れた力たちは、壁に貼られたクラス名簿に、生徒それぞれの長所と、教師としてどう導いていきたいか、 が書かれているを目にし、割と素っ頓狂方面だった山口先生の、生徒想いの面をアピール。
 「俺、なにがなんでもドロロボーマを倒し、助けてくれた先生を絶対に元に戻す」
 固く決意する洋平と少女山口の後楽園ゆうえんちでデート展開となり、少女に振り回されて小遣いを使い果たした洋平は、 パンダのぬいぐるみを背負いながら、空腹を水道水で癒やす羽目に。 少女が拾った青の勾玉を奪い返そうとするどろろボーマは状態異常の回復方法を全てバラし、ターボレンジャー!
 「人間の歳を喰らい、子供に変えてしまうドロロボーマめ! 今こそ地獄に送ってやる! 覚悟しろ!」
 あ、ヒーロー側から地獄送り宣言が……(笑)
 パンダを背負ったまま戦う青は空中Jガンを炸裂させ、Vターボバズーカ。さすがにここはバンク映像で、 背負っていたぬいぐるみはどこかへ消えました(笑)
 ターボロボは初使用の分厚い盾でボーマの飛び道具を防ぐと、高速剣で貫通フィニッシュ。
 洋平たちは事件現場となった河川敷に少女山口を横たえてから勾玉を破壊して先生を元に戻し、何事もなかったかのように偽装工作。
 「土手の掃除が終わるまで、許しませんからね!」
 いつもの調子に戻った山口先生を見送り、先生の真心を知る5人だが、戦闘中に背負ったパンダがオチで活用されたりもせず、 ちょっと粗さの目立つ一本でした。山口先生スポット回×藤井脚本なのに、太宰博士との絡みも、 少女山口から「不審なおじさん」発言が飛び出すぐらいな上に今回はさすがに濡れ衣(シーロンの家を持ち物だと誤解された)なので、 あまり気持ちの良いギャグになりませんでしたし……太宰邸まで連れて行くならば、少女山口にシーロンが見えるぐらいまでやっても良かったような。
 流星は今回は登場せず……校外清掃活動、サボったな。

◆第18話「5分間の変身」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 前回、課外活動をサボっていた流星は、ベルトのバックルから出す謎ビームでカセキボーマを復活させ、 地道に舎弟を増やしていた手段が判明。甦った化石ボーマは、二万と一千年前、 大帝への供物である黄金のリンゴをかっさらった事で得た力により巨大な分身を生み出して街を攻撃し、この一件を回想する際の博士が、 凄く悲しそうでちょっと面白い事に(多分、大帝様にめっちゃ説教された)。
 「やるじゃねぇか、おまえの分身。ますます黄金のリンゴが食いたくなったぜ」
 巨大化石ボーマは、高速剣を回避すると触手をロボに突き刺し、溶解液で機関室を直接攻撃する荒技を繰り出し、 様子を確認しにいった黒は溶解液を浴びて変身が解除された上、触手でロボから引きずり出されてしまう事に。
 ヤミマルは化石ボーマの案内で黄金のリンゴを求め、地中を行くその震動で目を覚ました大地はヤミマルの目論見を知り、 ターボロボが巨大戦の真っ最中に、戦線離脱した大地が地上の本体を目にするなかなか面白い構成。
 大地は負傷しながらもヤミマルの後を追うが、ダメージが大きく変身可能時間は5分と博士から告げられ、 ロボと大地の双方を心配する博士の出番が今回多めなのですが、 執拗に机の上に飾ってあるカーネーションと一緒にカメラに入ってくるので、 その花よこしたの誰よ?! が気になって集中力をそがれてなりません(笑)
 ターボ男子勢に花を愛でる心とかは無さそうなので、はるなの気遣いなのか、博士(今回からベスト姿がお洒落)の趣味なのか、 まさかの大穴で山口先生からのプレゼントだったりするの博士?!
 スキャンダルの匂いに大地の事を忘れそうになる中、化石ボーマとヤミマルは、遂に千年に一度だけ実る黄金のリンゴの元に辿り着く。
 「光が目に染みるぜぇ……。今こそ俺はラゴーンを、神をさえ超えるパワーを身につけるのだ、あはははは!」
 だが寸前、邪魔に入ったのはジャーミンとズルテン。暴魔幹部とヤミマルの直接対決は相討ちとなり、 地上に洩れたリンゴの輝きを目にした大地は、地下へ突入・変身。
 「遂に変身したか……頼むぞ、5分間で!」
 サブタイトル通りのタイムリミットサスペンスなのですが、劇中時間とリアル時間の流れは勿論違うとはいえ、 戦隊で「5分」と聞くと、なんでもできそうな気がするのが困ります。
 これはちょっと、長らくシリーズに関わっている曽田×長石のコンビにしては、迂闊な状況設定になったかな、と。
 ロボ操縦中の4人は、とうとうコックピットを放棄して機関室の触手に立ち向かい、 怪人バトルに相当するのがロボ内部での巨大触手との戦い、という変化球。 地下の黒がハンマーで本体にダメージを与えると巨大化石ボーマはかき消え、4人はタイムリミットの迫るブラックの元へ。
 リンゴを食べたいばかりにわざわざ城を動かした大帝様が争奪戦の勝者になったかと思われたその時、赤によってリンゴは破壊され、 黒と合流したターボレンジャーは、即座のVターボバズーカで化石ボーマを撃破してビクトリー。
 直後に限界を迎えた黒が倒れてしまうが、改めて巨大化した化石ボーマに対して「5人揃わねば、高速剣が使えないんだ!」と明かされ、 大地の脳裏に浮かび上がる、太宰博士の姿。
 「ブラックターボ、おまえの勇気は死んだのか。肉体よりも早く、おまえの精神は、死に果てたのか。ブラックターボよ、立て!  立って戦え! おまえの勇気を、正義の矢として、悪を倒すのだ!」
 ……じゃなかった(すみません、つい最近見た『ウルトラマン80』が元ネタです)、
 「大地、あと30秒だけ変身できる。30秒間だけ、なんとしても頑張ってくれ。頑張るんだ」
 青春を熱く短く燃やす気合と根性に接続され……まあ、ターボレンジャー基本、ドのつく体育会系ですからね……。
 残り10秒、漆黒の闇を切り裂いてフルパワーの高速剣がタイムリミット寸前に巨大化石ボーマを切り裂き、 「5分」の方は今ひとつ盛り上がりませんでしたが、実は「30秒」が本命だった、という二段構えの仕掛けは映像の良さで劇的になり、 ターボロボの黄色い瞳と高速剣の青白い輝きが映えた夜戦は、非常に効果的になって格好良かったです (このクライマックスにスムーズに持ち込む為に、「時間」を意識させる物語構造にして時間経過を描いていたと考えると、 「5分」の意味も腑に落ちて、成る程……まあやはり、途中の盛り上がりをやや削いだとは思いますが)。
 ターボレンジャーは、気を失った大地の顔をぺしぺしとはたいて叩き起こし、コックピットで勝利のガッツポーズ。 ロボのコックピットを真上からというあまり見ない気がするカットで、構成面でも映像面でも、色々とチャレンジの見える回でした。
 「……見たか。闇に光る流れ星。この世に災いをもたらす不吉な星。楽しみにしてな。――勝負はこれからだぜ」
 青春ダッシュで帰路につこうとする5人の前に、夜空に走った流れ星を背中から吸収して右手に宿す?  ような意味深な描写のされた流星が姿を見せ、マンガとかに影響されて名乗ってるわけじゃなくて深い意味があるんだよ!  とアピールして去って行き、つづく。

◆第19話「激突!魔兄弟」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 前作『ライブマン』第40話以来、かれこれ半年ぶりの井上敏樹参戦。
 「我が怒り思い知れ! おまえたちの数々の失敗、自らの血で償うのだ!」
 早い! ちょっと早いです大帝様!
 冒頭からお怒りの大帝様は背後のプレートから腕をぐいっと伸ばすとジャーミンらの首をねじり上げ、 人体から完全に隔絶したパーツを動かしつつ、中央の獣身が身振りを交えて幹部たちを恫喝するのが迫力たっぷりで、 大帝様の造形は実に良い出来。
 特に、伸びた手が首を絞める様子を手前に置きながら、その奥の大帝本体にズームインしていくカメラワークは、 “ラゴーンならではのアクション”を印象的に見せて格好良かったです。
 減俸処分を言い渡されたジャーミンは、寺の仁王像に封印されていたイチロー兄さん……ではなく、 氷魔・炎魔の極悪魔兄弟を復活させるが、好戦的な弟・炎魔に対して、戦い続ける事に倦んだ兄・氷魔は、 「私は一滴の血も流したくないのだ」とまさかの入団拒否。
 「意外な! あれほど仲の良かった極悪暴魔兄弟が、反目しあうとは!」
 「兄弟なら当然連携して、闇エナジーを集めて邪面獣を召喚してくれると思ったのにぃぃぃ!!」
 ……じゃなかった、
 「ふん、反吐がでる! しょせん兄弟愛など、砂の城のような儚きもの」
 「にへ、なにかあったな?」
 「黙れズルテン! 我ら戦士は孤独なもの。星のようにな!」
 「むふ、おけつがかゆいってんだ〜」
 今のところ掘り下げの浅い悪役サイドでは脚本の内容がそのまま反映されやすいのか、 ジャーミンとズルテンのやり取りは如何にも井上敏樹といった台詞回しですが、 家ボーマ回における“家族”に対するジャーミンの負の感情を拾い、パスを繋げていたりもされています。
 「暴魔獣に兄弟愛ね」
 「俺は弟を死なせたくない」
 腰抜けの兄貴になど用は無い、と単独で市民を襲っていた炎ボーマだが、弟を死地から遠ざけようと平和を求める氷ボーマはそれを止め、 3年前、事故で弟を喪った過去を持つ俊介は、その想いに共感。
 だが兄の裏切りに憤る炎ボーマはジャーミンにそそのかされて血の兄弟杯をかわしあい…… 原点回帰といえばこれもまた原点回帰でありますが、荒くれボーマ回に続いて、今回もヒーロー・ヤクザ・ファンタジーが展開していきます(笑)
 ジャーミン会の後援を受けた炎ボーマは。チャカじゃ、チャカ持ってこい! と街で暴れ回り、 氷との対比として炎ボーマの暴れぶりは見せたいが、かといって一般市民を焼き尽くす描写を避けた結果、 炎ボーマの攻撃を受けた人間が丸太と化すのはどうにも苦しく、緊迫感を削いで勿体なかったところ。
 氷魔と俊介は次々と炎魔の説得を試みるが、そこにジャーミンが介入。炎魔を手助けすると見せかけて背後から攻撃し、 炎魔を人質に合体を強要するが、力たちが駆け付けてウーラー軍団との戦いとなり、怒りの氷魔はジャーミンへと襲いかかる。
 「氷魔は戦うことが怖くなったわけじゃない。ただお前のことを思っているんだ」
 俊介は炎魔に氷魔の気持ちを伝え、氷魔はジャーミンと互角の勝負。
 「この私を地に這わせるとは!」
 なんだか一気に井上テイストになったジャーミンですが、幹部を〔作戦指揮〕と〔行動隊長〕に分類せず、 ズルテンでさえ作戦を最初から最後まで主導させる構造にした為に明らかに頭数を持て余していた(ジンバ……)ところに、 濃厚味噌バターな第三勢力まで加えてしまったので、多少極端でも、キャラの個性が強まるのは期待したいところです。
 兄の真意を知った炎ボーマは身を挺して兄をかばい、兄弟の絆は取り戻されるが、 「炎魔の命を救う為には合体する他はない」レベルの重傷を負い、事はジャーミンの思惑通りに。
 「兄貴……合体するな……俺は死んだっていいんだ」
 「……炎魔」
 「氷魔、弟を見殺しにするつもりか」
 「――死なせはせん。たとえ再びこの身が魔界に落ちても」
 合体に対する意思が逆転する仕掛けは面白く、弟を死なせたい為に戦場を離れようとした兄は、 弟を死なせない為に闘争に身をやつす事を選び、チェンジ・暴魔じゅー・01!
 光り輝く太陽電池の極悪ボディ、理性を失った凶悪無比のゴクアクボーマ(毎度ながらのひねらないネーミング路線)が誕生し、 そのタックルがターボレンジャーを吹き飛ばすどころか、遠景に切り替わってそのまま高層ビル群を吹き飛ばすのが、 合体暴魔獣の桁外れの能力の見せ方として鮮やか。
 「もっと暴れろゴクアクボーマ! この世の全てを焼き尽くせ!」
 説得にこだわる俊介だが、凄い縦回転で吹き飛ばされ、もはや奴は完全な暴魔獣、と逃げ遅れた人々を救う為、ターボレンジャー!
 「目を覚ませ! ……仕方ない!」
 の切り替えの早さが凄く80年代で、「おのれ死神バッファロー、もはや貴様は人間ではない! 来い、 ドグマ怪人!」(『仮面ライダースーパー1』)の某エピソードを思い出しました。
 悪いのはドグマの心だ!
 ボウガン3連射を受けた極悪ボーマはVターボバズーカで木っ葉微塵に吹き飛び、ターボロボ発進。 貫通剣からの逆手X斬りでトドメを刺すと丸太にされた人々は元に戻り、ターボレンジャーは瀕死の氷炎ボーマを発見。
 兄弟は、我らの魂は永遠に一つ、と手を握り合って消滅し、後には、一つの茎から赤と青、 色違いの二輪の花を咲かす野草が残るのであった……と、美しい花に集約されて終わるのは、長石監督らしい映像。
 次回――猛毒! 記憶喪失! 裏切り! の幕の内弁当でお届けします。

(2022年11月29日)

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