■『高速戦隊ターボレンジャー』感想まとめ2■


“愛を知らない悲しい暴魔
正義のパワーで
はるかな眠りの旅を捧げよう”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『高速戦隊ターボレンジャー』 感想の、まとめ2(8話〜13話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第8話「空飛ぶジャーミンの家」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 スポットが当たった途端、クラスのムードメーカーでかなりのおちゃらけキャラとなったブルーターボ・浜洋平は、 名前から想像された通りの水属性で、水泳部に所属と判明(劇中の言動から得意種目は背泳ぎの模様)。
 入部希望の転校生を案内するが、その引っ越してきた家は地元では有名な曰く付きの“呪われた家”であり、早速、 一家団欒の真っ最中に応接間に大量の水が侵入! 夢のマイホームが一転、悪夢のホラーハウスと化し、 とんだ不良物件に当たった一家は、引っ越し即引っ越しを余儀なくされる事に。
 ……これは、だいぶ悪質な業者に、カモにされたの、では。
 実はその家の地下には暴魔獣ヤシキボーマが封印されており、蛇面を披露したジャーミンが封印の要となっていた釘を抜き取って大復活。 13年前、同じくこの“呪われた家”により幼少期の友人との別離を余儀なくされた洋平は、家の中に飛び込んだところ、 転校生と一緒に地下水脈の中へと落ちてしまう……。 
 人間大ではそそくさと逃げ出す屋敷ボーマだったが、早々と巨大化するとジャーミンを乗せて空中を飛び回り、 暴風雨を巻き起こして荒れ狂う水害により家々を押し流し、家こそ人の幸せの象徴! それを破壊するのだ! と、かなりの大被害。
 通常戦闘で倒される事なく、即座に巨大化してから本領発揮、という変則パターンで暴れ回る屋敷ボーマに対し、 ターボレンジャーはマシンを繰り出して空と陸から挟撃するが、神出鬼没のボーマに攻撃を当てる事が出来ない。
 一方、転校生と共に地下水脈に落下していた洋平は、部活で鍛えたバサロの力で脱出に成功し、 ジャーミンに投げつけられた釘を手にして博士の下へ。博士とシーロンにより、それがラキア印の封印パワーを持っている事が判明し、 今のターボレンジャーでは正面から勝てない強敵を相手に、遙か古代のマジックアイテムで逆転するのは、高校生戦隊×2万年の因縁、 を巧く繋げて秀逸。
 勿論、あまり繰り返すと都合が良くなりすぎて興ざめになりますが、ヒーロー成り立ての若者達が古代の戦いの成果に支えられる構図を序盤に一つ用いる事で、 今作の特徴を示すものになりました。
 「は?! いつの間に、こんな釘を!」
 あなたが、投げました(笑)
 ターボジープから放たれた釘ミサイルが屋敷ボーマに直撃し、墜落シーンはかなりの迫力と大爆発。 5台揃ったターボマシンは合体シフトでスタートアップし、突然の屋敷バルカンにダメージを受けるも、高速剣で十文字斬り。
 転校生一家は呪いの解けた家に無事に戻り、力たちと爽やかに合唱するが、洋平は、失われた13年前の友情に、 ちょっとセンチメンタル。
 ナレーション「洋平は、あの時の、幼いリサも、この、空の下のどこかで、幸せに暮らしている事を、祈った」
 長石監督らしい情緒たっぷりの映像で13年前の別離が描かれたのが効いて、 普段はおちゃらけているが友情や他者の幸せの為に真剣になれる洋平のギャップの見せ方が巧くはまって好感に繋がり、 いいキャラ回でした。
 また、カップルに憎悪を燃やすジンバに続き、「私の知らない家庭のぬくもり……許すものか」とジャーミンは家庭に憎悪を燃やし、 暴魔幹部を妄執と怨念で肉付けしてきたのは、さすがの手堅さ。

◆第9話「憧れは悪魔のフルート」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
 OPクレジットの表記が、やっと「暴魔博士レーダ」になり、体操部と判明したイエローターボ/日野俊介が応援するゲストのフルート少女・ユミは、 後のアコちゃん(内田さゆり)。
 「相変わらず美しい音色だなぁ……元気が出てくるなぁ」
 一瞬、ストーカー気質なのかとヒヤリとしたのは、戦隊男子だから仕方ないですね!
 だが、妖精とか見えてしまう高速戦隊のメンバーにそんな邪念はなく、過剰な練習から指を痛めているユミを心配する5人。
 「フレー、フレー、ユミ……!」
 俊介は落ち込むユミの背に届かぬエールを贈り、長石×藤井が、学園物で振り切れると、こういう路線になるのか……(笑)
 コンクールを間近に控えて落ち込むユミが、誰にともなく指が治れば……と祈っていると、 家に置いてあった不気味な彫像に囁きかけられ……全人類の思いが今、一つに。
 誰だ、この彫像を、買ってきた家族は!!!
 悪魔の誘惑に従ったユミが思い切りよく彫像を破壊すると中に封印されていたトリツキボーマが大復活し、 暴魔百族はすっかり妖怪路線で安定してきましたが、エピソード中の因果関係がわかりやすくなったのは良いところ。 1985〜1988年にはアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第3シリーズが放映されており、時期は重なっていないものの、 この路線が受け入れられやすそうな土壌もあったのかも。
 「ふふふふふふ……願いは確かにかなえてやろう。その代わりおまえはフルートを奏で、元気な子供達を呼び集めて、 その美しい音色をたっぷりと聞かせてやるのだ」
 ユミが暴魔獣の取り憑いたフルートを奏でると、その音色を聞いた子供達が急速に衰弱。それを目撃した俊介は、 ユミが暴魔獣に付け込まれて利用されている事を知る。
 「俺たちはみんな夢を持っている。その夢をかなえてやると言われたら、誰だって迷う筈だよな……」
 「ああ。俺だって、どうなるかわかんないな……」
 力たちは、我が身に置き換えて人間の心の弱さに付け込む暴魔獣に怒りを燃やし、 「夢」をキーワードに学生らしさと善良さを繋げて好感が持ちやすい見せ方。またそれが、 悪魔の囁きを続けるボーマの嫌らしさも強調して、「ヒーロー」と「悪」の効果的な対比にもなりました。
 (さぁ……吹け。吹け。ウィーンに行くんだ)
 コンクールで優勝して留学に行きたい……自分の欲望が子供達を傷付けた罪の意識に苛まれるユミは、 それゆえに引き返せなくなってしまうが、俊介は必死の説得を試みる。
 「悪魔に魂を売り渡した音色なんて、ちっとも美しくないよ」
 心揺れるユミを乗せて逃走するかっとび暴魔に俊介は食らいつき、せめぎ合いの末に遂にユミはフルートを投げ捨て、 取り憑きボーマの支配から脱却。
 「ありがとう……先輩」
 今回の出演と2年後の『ジェットマン』レギュラーにどのぐらいの繋がりがあったのかはわかりませんが、 ゲストヒロインの魅力をしっかり引き立てる長石監督らしい見せ方もはまって、いいキャストでした。
 仲間達が合流し、赤青黄のトリプルアタックから、プラズマシュートで「ビクトリー!」と声を揃えるように。 取り憑きボーマはズルテンの吹くラッパで巨大化し、幹部の誰がリタイアしても残りメンバーで巨大化可能なのは、スリル満点です(笑)
 巨大戦はざっくり終了し、後日――元気を取り戻した子供たちを見つめるユミに、5人は小遣いを集めて買ったフルートをプレゼント。
 (フレー、フレー、ユミ……!)
 恐る恐るもユミは再びフルートを奏で、ゲストキャラの一歩前進も描かれて青春学園路線の作劇が安定してきて、つづく。

◆第10話「鬼を呼ぶ五月人形」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 石箱の中に厳重に仕舞われていた古い武者人形に封印されていたオニボーマが、ジンバにより大復活。鬼ボーマは、 人形を伝えてきた家の少年にとって友達に等しい馬を奪って我が物とし、着ぐるみ怪人を乗せて山道を走る馬、が見所。
 最初にジンバの攻撃を受けて川岸に転がっていたところを助けてくれた少年に、愛馬を必ず取り戻してみせる、 と笑顔で約束する洋平は爽やかに格好良く、屋敷ボーマ回に続いて、いいメイン回が当たりました。 制服姿だと俊介と区別がつきにくいのが玉に瑕ですが、この調子でメンバーの個性を描き分けていってほしいところです (この時期の作劇だと、どうしても全員“いい奴”になりがちなのは、悪い事ではないだけに難しいところですが……)。
 配下の赤鬼・青鬼を繰り出した鬼ボーマはその習性に従って金銀財宝の強奪を繰り返し、後手後手に回るターボレンジャーは、 絵巻物の内容から、隠れ家とおぼしき滝の洞窟を探る事に。
 鬼@馬・ジンバ・赤鬼&青鬼vsターボレンジャー、という構図になり、大変賢そうな馬が実質今回のメインゲストなのですが、 周囲の着ぐるみの事は、ちょっと色彩が派手でふとましい人間、ぐらいに思っているのか、気になります(笑)
 ターボレンジャーは馬とジンバたちを分断し、少年の呼びかけにより馬の解放に成功。
 今回もジンバと赤が一騎打ちし、洞窟の中で酒かっくらったりしていましたが、一応、今のところライバルっぽいポジションです!
 「オニボーマ! 伝説の中に消えてしまえ!」
 暴魔獣には青が零距離射撃からJガンで大ダメージを与え、プラズマシュートでビクトリー。 テーマ曲初使用でチャージアップしたターボロボは、ダッシュパンチを鬼ボーマの顔面に叩き込むと高速剣を金棒と打ち合わせ、 最後は高速ストレートの一突きでフィニッシュ。
 藤井先生×メルヘン要素、という事で、あらぬ方向に飛んでいってしまわないかドキドキしていたのですが、 足柄山の金太郎伝説を背景にした「子供の日」テーマが重石になったようで、 者人形の目がぺかーっと光って実は妖精だった金太郎のメッセージを伝えたり、馬が自爆して鬼ボーマと相討ちになるような事はなく、 スタンダードな少年との交流エピソードに収まってホッとしました(笑)
 ラスト、力・洋平・俊介が騎馬を作って少年を背中に乗せて走り回り、更にその頭上には広がる青空に大きな鯉のぼりが翻っている、 という大変気持ちの良い締めの画で、つづく。

◆第11話「爆発!ウーラー街道!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「今の国道44号線が、昔のウーラー街道なんだ」
 今作この辺りの、「二万年前の戦い」「妖精達の実在」という背景が、ファンタジーから段々、伝奇アクションに寄ってきているのは 、割と好きなところです(笑)
 暴魔博士レーダの主導により、ウーラー一族最強の勇者にして族長、ウーラーボーマが大復活。 テーマ曲?をバックに20人あまりのウーラーを一挙投入する大盤振る舞いで、比較的凝った装備・色違い上位種の存在・技を習得、と、 シリーズ従来とは一風変わった存在感を出している戦闘員ポジションにスポットを当ててきたのは、面白いアイデア。
 族長ウーラーにより、地中に封印されていたウーラーが次々と目覚めていく中、 力は病弱な母親が子供の為に作ったお弁当の配達を請け負ういくら何でも強引な展開で、預かった弁当を懐に収めていた(笑)
 ……炎力、学校で女子から「スポーツも出来てイケメンで優しいけど、デリカシーが小学生男子レベル」と思われていそうな男。
 残り4人は太宰邸で博士の情報分析を手伝う描写が差し挟まれ、少年の乗ったバンを追う力だが、バンを襲うウーラー軍団と激突し、 崖を転がり落ちてきたウーラー団子の直撃を受け、割と思い切り吹き飛ぶ事に。
 結構な角度で飛んでいるので人形かと思いきや、受け身取って斜面を転がり落ちているように見えるので、スタントでしょうか。
 「我らは、死をも恐れぬ勇気と、ラゴーン様への忠誠心で、この世を地獄と化すのだ」
 姫暴魔から嘲りを受けたウーラーボーマは、一族の勇気と忠誠心を示すべく、ウーラー人柱の儀を決行。
 人柱となったウーラーが次々と地中に潜行すると、地殻に捨て身の特攻をかけることで大規模な地震を引き起こす人海戦術により、 人々は地割れに呑み込まれ、高層ビルが次々に吹き飛び、劇中トップクラスの規模の破壊活動を成功させる戦闘員!
 ……破壊規模が大きくなりすぎて正直もう、子供達を乗せた車の無事とか、お弁当の行方とかどうでもよくなりつつありますが(笑)
 地震による落石で洞穴に閉じ込められてしまった力と少年は、お弁当パワーで石をどかして洞穴からの脱出に成功し、 ウーラー人柱作戦妨害の為、揃い踏みするターボレンジャー。
 レッドターボは、後にゴーレッド(『救急戦隊ゴーゴーV』)に継承される死んだフリ戦法でウーラーボーマの土手っ腹に長ドスを突き立てると、 二刀流の必殺剣で大ダメージを与え、トドメはプラズマシュート!
 今作ここまで、映像や演出の勢い的には個人攻撃で倒せてしまいそうな流れでも、締めはプラズマシュートにこだわっていますが、 今回から爆発のエフェクトが大幅強化。
 今回もテーマ曲に乗せてチャージアップしたターボロボは、パンチを当てるも空中からの反撃を受けるが、 剣と銃の同時持ちからアクセルを踏み込むと、すれ違いざまに胴体を薙ぎ払い反転直後のターボカノンでトドメを刺し、 巨大戦では逆に特定必殺技にこだわらず、一本調子になる事を避けようという意識と工夫が見て取れます。
 力たちは母子のにこやかな再会を見届け、
 ナレーション「ウーラー街道に、平和が甦った」
 で、つづく……かと思いきや、
 ナレーション「――だが、ウーラー一族は、族長ウーラーボーマに、いつの日か、ターボレンジャーに復讐する事を、誓うのであった」
 東映特撮名物・勝手にお墓! に祈りを捧げるウーラー一族の姿という、 予想外の一ひねりで最後までウーラー一族にスポットが当てられて、つづく。
 横糸に織り込んだ「母子愛」が強引すぎて美しい絵にはなりきりませんでしたが、目の付け所の面白さとアクション面の充実で、 なかなかの秀逸回でした。某有尾人一族の親衛隊のように序盤で雑に退場するかと思いきや、行動隊長も未だ健在ですし、 今後も今までにないアクセントになってくれる事を期待したいです。

◆第12話「星になった暴魔獣」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫)
 「ターボレンジャー、偉大なる聖獣ラキア様を葬った罪は、地球より重い」
 かっ飛び暴魔ズルテンは、聖獣ラキアに与し、ラゴーンを裏切った罪により地獄牢に封印されていたアラクレボーマを甦らせると、 ラキアがラゴーン配下のターボレンジャーによって殺された、と偽りを吹き込み、共倒れを計画する。
 かつての戦いでラキアに敗れるも命を救われ、「てめぇの命、俺に預けな!」と勧誘を受けた荒くれボーマはそれ以来ラキアに心酔しており、 いい人×モヒカン×マスク…………何か既視感があると思ったら、ハブラム! 牢忍ハブラム!! (『世界忍者戦ジライヤ』に登場する見た目マッドマックスだけど話のわかる世界忍者)
 「黙れレーダ! たとえ私の命を狙った者でも、ターボレンジャーを倒す為に利用するなら、それで良いのだ。 それよりも今までの失敗を恥じるがよい」
 荒くれボーマを独断で復活させた事についてズルテンを責めるレーダだが逆に大帝様からお仕置きビームを受け、 暴魔百族幹部陣は今のところ、隙あらば厭味を飛ばしたり出し抜こうと画策したりと、一応レーダが格上めいてはいるものの、 協調性は低めの描写が続きます。
 青白い光で下から照らされる大帝様は、造形の出来の良さもあってかなりの迫力があり、 無機質系ではない生物的な要素を押し出したデザインから、ストレートな怖さが巧く引き出されているのは、良いところ。
 「俺は……俺はおまえを信じる。おまえが偉大なラキアの為に流した涙を」
 荒くれボーマの過去をシーロンから聞いたターボレンジャーは、ズルテンの卑劣な妨害を受けながらも荒くれボーマの説得を試み、 体当たりでぶつかってくる力の姿に、かつてのラキアの言葉を思い出す荒くれ。
 「レッドターボ、おまえこそラキア様の生まれ変わり!」
 暴魔城の吐き出す毒ガスからレッドターボにかばわれた荒くれは感激のあまり無茶苦茶を言い出し…………まあ、 尊敬するオヤジの為に鉄砲玉を買って出るも標的をハジくのに失敗、服役を終えて娑婆に戻ったら既にオヤジは死んでいた…… ともなれば代替行為に走るのもわからないでもないですが、もはや「心ある怪人と理解し合う話」というよりも 「時代遅れのヒットマンを看取る話」になっていて、視聴者目線で共感しにくいどころか、 劇中のターボレンジャーさえ置いていかれ気味に見えるのが、困ったところ(笑)
 暴魔城の爆撃で粉々に吹き飛んだ荒くれは、ズルテンのラッパにより理性を失った怪物として巨大化。 やむなくターボロボを繰り出した高速戦隊は、殴り飛ばす事でその身を操っていた邪念を追い払う事に成功。
 「アラクレボーマ、もう地球におまえの居る場所は無い。ラキアの側に行くがいい」
 「レッドターボ……」
 弱り果てた荒くれを抱え上げるターボロボですが、爽やかな処刑宣告にしか聞こえません(笑) ……まあ、 荒くれにとってはこれが救いなので、哀しい暴魔に遙かな眠りを捧げるターボレンジャーのスタイル、といえますが。
 「アラクレボーマ、ラキアと一緒に俺たちを見守っていてくれ」
 荒くれを抱えて宇宙へと飛び出したターボロボは、荒くれを宇宙へ投擲し、正義と優しさに目覚めた暴魔獣は、 今風に言うところの推しと一体化して、永遠の星になるのであった……。
 1クール目の締めに聖獣ラキアに再びスポットを当てて、物語内の存在感を維持した目配りは良かったと思うのですが、 荒くれボーマがラキアへ向ける愛が重すぎて、 ターボーレンジャーサイドの意識をそれと同一化するのは無理が出てしまい(力に「偉大な」と言わせてはいますが、 むしろ同一化されても困るレベル)、狙った的を粉々に砕いて、3軒離れた家の壁に突き刺さったみたいな感じに。
 また、回想シーンに登場するラキアの、四つん這いで人が入っている感があまりあまりすぎて、 対比となるラゴーン様が造形的に出来が良いだけに、映像面での説得力を大きく欠く事になってしまったのも、苦しかったところです。
 徹頭徹尾、「時代に取り残されたヒットマンの話」として見ると、それはそれでなのですが……次回――来るか偽装結婚式シリーズ。

◆第13話「魔女をワナにかけろ!」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫)
 若い女の恋心と生命力を奪うタメイキボーマを暗躍させ、恋する若い女の明るい笑い声は平和の象徴だからこの世から消し去ってやる!  と意気投合する暴魔幹部陣(笑)
 作戦内容からするとジンバ担当でも良かった気はするのですが、アギトボーマ回と重なりすぎるのと、 あまりにも僻み根性で情けなく見えるという判断だったのか、作戦はジャーミンが担当。
 はるな友人や山口先生が次々と暴魔に恋心を奪われてしまい、原宿のババの館が怪しいと探りを入れる高速戦隊は、 恋心を偽装する装置ではるなが暴魔を引っかけ、
 「残念ながら私は恋はしてないわ!」
 と断言するのが、やたら男前(笑)
 「恋する女のシンボル、結婚式場の花嫁を、無差別に襲え!」
 作戦方針を変更したジャーミンの指示により、魔女モチーフの溜息ボーマはホウキにまたがって空を舞うと、次々と結婚式場を襲撃。 クルクルシーロンマジックによって振袖で着飾ったはるな(&タキシードを着た男衆)が式場に潜入してボーマを待ち受けるが、 空飛ぶボーマに翻弄されて取り逃がしてしまう。
 「ホウキよ! あのホウキを奪わなきゃ!」
 今度は神主と巫女に変装して神社で待ち受け、さらりと祝詞を読む洋平(笑)
 そして、御幣に仕込んだ銃を撃った!!
 短時間にトンデモが凝縮されているのですが、ジャーミンとズルテンの介入でまたも逃げられてしまい、最後の作戦は、 はるながウェディングドレスをまとっての偽装結婚式(相手は力)。
 「恋する乙女の明るい心を奪い取り、溜息をつかせて苦しめ、死に追い込むなんて絶対に許さない!」
 見事に誘き寄せた溜息ボーマのホウキを力がへし折ると、はるなが3カット分割で啖呵を切り、 はるなならでは感の薄かった暴魔ゾンビ回に対して、今回は友情を発端に華やかな衣装チェンジ3回を披露する事でしっかりとしたキャラ回になっていたのは良かったところ。
 難を言えば、コスプレ作戦3段階目の偽装結婚式が尺も短く雑な見せ方で、 一つ前の御幣マシンガンの方が面白くなってしまって、ピークの場所がズレた気がするところでしょうか(笑)
 ドレス姿からの変身で主題歌バトルに突入しで、巨大戦は二段斬りでフィニッシュ。
 「うるさいけど、溜息ばかりついているよりはいいよな」
 「それにしても山口先生、本当に恋してんのかな?」
 顔を見合わせる男性陣だが、そこをフランスパン片手に自転車にまたがった近所の不審者もとい妖精おじさんもとい太宰博士が通りがかると、 山口先生がはにかんだ表情を見せ、仰天する5人で、つづく。
 突然の、山口→太宰は、藤井先生の筆が滑ったのかなんなのか(笑) 博士は博士で、やたら親しげに山口先生に挨拶をしていくのですが、 団子回から今回までの間に二人に一体なにがあったのか……まあ博士、妖精関連にさえ目をつぶれば、それなりの二枚目かつ資産家であり、 山口先生が学校に遅刻しかけていたところを、通りすがりの博士がスポーツカーで送ってくれていたりすると、 博士が格好良く見えてしまう事もあるかもしれない……!
 次回――学ラン転校生、投入。

→〔その3へ続く〕

(2022年7月12日)

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