■『鳥人戦隊ジェットマン』感想まとめ7■


“悪を斬れ 闇を斬れ 時を駆けてジェットマン!
風になれ 星になれ 鳥人よ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『鳥人戦隊ジェットマン』 感想の、まとめ7(37〜42話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・  〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・  〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ9〕


◆第37話「誕生!帝王トランザ」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:井上敏樹)
 今回も、長野県・山田牧場からお届けします。
 「秋だってのに、かわずがうるさいぜ。井の中のかわずってやつだ」
 バカンス先で空気を読まず、1人トレーニングに励む竜を見下ろす謎の男(広瀬匠)が登場。
 「貴様よりも強い奴が居るって事を、教えてやる」
 いきなり襲いかかられた竜は、素手の相手に、躊躇なく木刀で反撃。
 おまわりさん、こっちです。
 だが謎の男は、戦士の過剰防衛を指先で受け止めると、圧倒的な強さで竜を殴り倒し、姿を消す。
 その頃、ゴルフを楽しんでいた4人の前にも、わざわざゴルフウェアに着替えた謎の男が姿を見せると、 ギャルにコーチをしていた凱の前でスーパーショットを打ってギャルを横取り。
 「おまえより女にモテる奴だっているんだぜ、ふっ」
 続けて辛子色のジャンパーに着替えると、大食い対決で雷太を下す(笑)
 「なーんだ、自慢の胃袋もその程度か。失礼」
 精神の方はまだ、肉体の成長に追いついていない模様です(^^;
 どうして地方ロケ編で新幹部登場なのかと思われましたが、この、 旅先で現れた謎の男が次々と妙な対決でメンバーを破っていくというのは、凄く井上敏樹感が溢れています。 井上敏樹も時期によって色々ありますが、こういうネタ、本当に好きだなぁ……(笑)
 バイラムではグレイがギターとか弾きつつ、トラン帰ってこないけど俺達ちょっと言い過ぎた? みたいな空気になっていた。 前回アリを操っていた変な笛が何故か回収されており、形見みたいな扱いになってる……!
 この機会に、今こそ俺復権の時、とレジャー中のジェットマンを急襲するラディゲだったが、 割って入った謎の男がラディゲの攻撃を受け止めると、マリアとグレイまで強制的に長野県に召喚する。
 「サナギを破り、蝶が舞う。トランの殻を破った時、このトランザが――天に輝く!」
 凄いリーゼントと白黒アーマー姿に変身する、謎の男。そう、次々とジェットマンの男衆に嫌がらせを敢行してプライドにダメージを与えた謎の男こそが、 トランが急成長した姿――その名をトランザ!
 「リボンをつけて返そう。貴様達から受けた屈辱をな」
 トランザは強化された超能力でジェットマンを圧倒し、あっという間に粉砕。 更に前回さんざん罵倒してくれた同僚達に物理的に恨みを晴らすと、空席だったバイラム本拠の玉座に腰掛け、 逆らうラディゲらを力尽くでねじ伏せる!
 おミソ扱いから一転、最強の存在として帰って来たトランザ。悪の美形として脂の乗った広瀬匠が『フラッシュマン』 『ライブマン』に続き、実に戦隊で3人目となる悪の幹部役で、実にズルいのですが、問答無用の説得力。
 トランザに完敗を喫した竜はその幻惑の剣を打ち破るべく、雷太を引きずって特訓を開始。滝から丸太を投げ落とさせてそれを切り払う、 という今日の竜は、高原の清々しい空気を吸いすぎていつも以上にネジが飛んでいます。
 (リエと、リエと、取り戻したリエと、いつかこんな高原でイチャイチャイチャイチャイチャイチャしたいなーーーーーーーー!!  その為に、俺は、長官とか面倒くさい女とか友達とかデブとか女子高生とかどうでもいいから、更なる強さを求めて、修行する!!!)
 だが特訓の途中、現れたトランザに連れ去られてしまう竜。雷太からの連絡で仲間達は急ぎ竜を探し、 いきなりヘリコプター呼び出して空から探す小田切長官格好いーーー。
 連れ去られた竜は荒野でトランザに電流鉄条網デスマッチを挑まれ、変身する間も無く叩きのめされ、大爆発。
 ある程度吹き替えもあるかとは思いますが、広瀬さん自身がかなり動ける人という事もあってか(この頃、 長石多可男監督が参加していたVシネマ作品では、監督に招かれてアクション監督も兼任)、冒頭に続いて、 今回は生アクション盛り目。激しい戦いの中、鉄条網に触れてしまった竜がドカンと行ったり、かなり力が入っています。
 追い詰められた竜は、迫るトランザの剣を前に目を閉じ、滝での特訓を思い描くと、 丸太を切り払う要領で心眼の見切りを発動……するのかと思ったら、肉を切らせて剣を受け止めたぁっ!(笑)
 ……そうかあれは、丸太をかわすのではなく、丸太の打撃に耐えるのが目的だったのか。
 まあ実際、特訓の途中で連れ去られていますし、いきなり奥義を閃くよりも、凄く竜らしいですが(笑)
 戦いが拮抗したその時、ラディゲが嫌がらせで放った魚雷ピラニアが2人を強襲し、まとめて魚雷で吹っ飛ばすが、 その爆発を長官が空から発見。横槍を入れられて怒りのトランザはバイラム本拠へと戻り、魚雷ピラニアには駆けつけた4人が立ち向かう。
 ボロボロの竜を欠いた状態で、凱の音頭で4人が戦う、というのは32話を経て新たな絆を得たジェットマンならばこそ、 と今作の仕掛けが活きたシーン。
 ピラニアの強烈な魚雷攻撃に苦戦する4人だが、竜のアドバイスで魚雷装填の瞬間を狙ってバードブラスターを浴びせ、 哀れピラニアは、自分の魚雷の火薬で大爆死するのであった。
 一方、バイラムではトランザが幹部達を吹っ飛ばし、力の差を見せつけていた。特にラディゲを念入りに攻撃し、蹴り飛ばすトランザ。
 「貴様達はこれから、俺の手足となって働くのだ。ラディゲ……俺の名を言ってみろ」
 「(ぺっ)」
 ただでさえ顔が青緑なのに、真っ赤に染まった口元という衝撃メイクで、血の混じったツバを吐いて反攻を示すラディゲだが、 更なる攻撃を受け、這いつくばる。
 「俺の名を言ってみろ」
 「う、トランザ……」
 「……なに?」
 「トランザ……トランザ様ぁぁぁぁぁぁ!!」
 ラディゲの人生のアップダウンの激しさは、改めて見ても本当に面白くて素晴らしい(笑) 普段とにかく傲岸な分、 落ちぶれた時の振り切れた感じが素敵です。
 かつてない力を持った新幹部登場で、いよいよ、終盤戦スタート!

◆第38話「いきなりハンマー!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:増田貴彦)
 いきなりバイオ次元獣との戦闘シーンからスタートし、バイオ次元獣(パラボラトカゲ?)を倒したジェットマンは、 巨大化寸前の次元虫を冷凍する事で捕獲に成功、その分析を行おうとする。
 「次元虫の弱点を握られれば我らの最後だ。表次元侵略を諦めねばならん」
 ……けっこー、追い詰められているな、バイラム(笑)
 怒りのトランザはマリアをお仕置きすると次元虫を取り戻しに出撃。その頃ジェットマンは、 捕獲した次元虫を谷口遺伝子研究所に運び込んでいた……と、珍しく、外部の組織が登場。そこには共にラグビーで汗を流した仲であり、 かつてはスカイフォースを目指していた竜の旧友・柳が働いていた。
 「竜。俺はおまえが羨ましいよ。地球を護る英雄として、華々しく活躍している。それに比べ俺は……」
 ……そういう、認識なのか(笑)
 ちなみに柳が無事にスカイフォースに入隊していた場合、第1話であぼーんしていた可能性が高いので、 柳は今生きている幸いを素直に感謝した方が良い気がします。
 (そうだ、この次元虫があれば、俺は……「……名声を、手に出来る」
 だが、劣等感から功名心に逸る柳は次元虫を持ち出して個人的に研究しようと、収めたカプセルをすり替えてしまう。ところがそこへ、 姿を透明にできるハンマーカメレオンが侵入し、ジェットマンはカメレオンを倒すも、 柳が密かに持ち出そうとしたカプセルは池に落ちてしまう。
 友に疑念をぶつける竜だが、戦闘中に吹っ飛んだカメレオンの腕と池の中で冷凍状態から目覚めた次元虫が融合してハンマーカメレオンが復活。 逃げ出した柳は竜に対し、自分がケースをすり替えた事を認める。
 「おまえはいつも栄光に包まれていた。だが俺は……」
 「次元虫を横取りして、それで栄光が掴めるとでも思ったのか!」
 「軽蔑しろよ。おまえはいつもそうだ。何気ない顔して、心の底では他人を見下してるんだ!」
 戦士としての狂気は抜きにしても、他者に対しても常に真っ直ぐである事を求めがちな竜に対して、 能力に裏付けられた正論が腹立たしい時もあるんだよ! と言葉のタックルを浴びせる柳。
 友の裏切りと残酷な言葉を突き付けられながら、それでも竜は襲いかかってきたハンマーカメレオンから柳をかばい、 柳はその姿に歪んでしまった自分の姿を見つめ直す。
 「こんな俺の為に……!」
 柳はラグビーで培った脚力で大量の戦闘員をかきわけると、消火器の泡をカメレオンに浴びせて戦闘をフォロー。
 「柳……見事なトライだったぜ」
 変身したレッドホークは透明化能力を発揮できなくなったカメレオンを蹴散らし、そこにやってきたトランザと激突。 ビークスマッシャーから放たれる謎の反射ビームもかわすトランザ、とスピード感のある格好いい戦闘。
 「なかなかやるな、レッドホーク」
 そしてトランザ、鮮やかなライバル強奪(笑)
 鳩に負けた裏次元伯爵は、今頃一生懸命、玉座を磨いています。
 トランザの指令で巨大化したカメレオンはガルーダで撃破。教授に自分の行為を告白しようとした柳田が竜がそれを止め、 2人の青春ラグビーシーンでエンド。
 90〜92年のメタルヒーロー、いわゆる《レスキューポリス》シリーズ3部作に数話ずつ参加していた増田貴彦の脚本ですが、 旧友の葛藤、劣等感からの心の歪み、明日があるからやり直せばいいのさ的なオチ、と凄く《レスキューポリス》ぽい1本(笑)

◆第39話「廻せ命のルーレット」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:荒川稔久)
 香は凱にハートのネックレスをプレゼントし、乙女趣味のデザインに動揺する凱(笑)
 「いつ来るのかな? バイラムを倒して、本当の、恋人同士になれる日が」
 「すぐに来るさ」
 「本当?」
 「ああ。賭けてもいいぜ」
 「残念だな」
 青少年の健全な教育に悪影響を与えるバカップルタイムはそこまでだ! とばかりに登場するグレイ。
 「その賭は負けだ。賭けてもいい」
 「生憎だな。俺は負ける賭は絶対にしないんだ」
 「私もだ」
 グレイはバイオ次元獣スナイパーキャットを呼び出し、ジェットマンも集合するが、 スナイパーのビームを受けたブラック以外の4人がチェスの駒のようなフィギュアにされてしまう。 怒りのブラックは猛攻でスナイパーを退け、グレイとの一騎打ちの中で、グレイの心臓部といえる戦闘回路を奪い取る事に成功。 痛み分けとなった両者は、駒と回路を賭け、ルーレットで勝負をする事に。
 (――地球の運命を賭けた、大勝負だ)
 貸し切りカジノで対決する、グレイと、びしっとスーツで決めた凱。グレイの側にマリアが参戦しているのが、おいしい。
 「これなら呆気なく、ジェットマンも終わりね」
 パーフェクトマシン頭脳による高速の計算で、ルーレットの出目を読み切るグレイはあっさりと2連勝を収め、 凱にディーラーを任せるという余裕を見せる。好きな目を自由に出せる凱(さらっと言及)だが、 グレイは一瞬でそれをピタリと的中させ、追い詰められる凱。
 「しょせん馬鹿で下等な人間に過ぎぬという事か。あははははっ。残りのチップは一つ。大逆転の自信はあるまい」
 「……あるね。終わりだ。俺はこの勝負に命を賭ける」
 「つまらない意地は張らない方がいいわよ」
 「――闇雲に意地を張るほど、馬鹿じゃないでしょ」
 そこへ腰に手を当てた格好いいポーズで小田切長官が登場し、何故か狼狽するグレイとマリア。
 長官は、そこまでバイラムに脅威だと判断されているのか……!
 「最後に勝つ自信は、あるわよねぇ?」
 「俺は勝てる賭けしか乗らねぇ」
 長官に黙ってグレイとの勝負に臨んだ凱はちょっぴり焦るも、そんな凱を煽りまくる長官(笑)
 そう、狂気の沙汰ほど、面白い……!
 「私の命も、上乗せするわ」
 「長官……!」
 「5人の命は、私の命よ」
 最後の勝負に凱は自分の命をチップとして賭け、長官もそれを倍プッシュ。乗せられたグレイはこの大勝負を受け、 4つの駒を全て赤に賭ける。手持ちのライターでイカサマをしようとする凱だがグレイにバレて失敗し、グレイの完璧な計算通り、 球は赤へと落ちる――
 「決まったな」
 と思った瞬間、球は黒にずれ、復活する4人。
 完璧な筈のグレイの計算を覆したもの――なんと、テトラボーイがグレイに気付かれないようにごくごく微細な角度で、 外で建物ごとカジノを傾けていたのだ! という、驚愕の物理トリックが炸裂。
 「どんな形でも勝ちは勝ちだ。ただし、こいつは返すぜ! 今度は真っ向から勝負だ!」
 凱は戦闘回路の最後の一片をグレイに投げつけ、グレイとマリアは撤退。巨大化したスナイパーキャットはガルーダ召喚からテトラバスターで滅殺し、 ジェットマンは大きな危機を乗り越えるのであった。
 グレイと凱が洒落た対決をして、マリアが話の成り行きとしては特に意味もなくグレイに寄り添い、 とどめに長官が格好良く狂気を上乗せするという、個人的にお得感満載のエピソード(笑)
 構造的には、回路を失って損傷しつつも自分の一部を取り戻す為に“個人”の勝負にこだわるグレイと、それに挑む凱を描く事で、 男の意地&それはそれとして勝つ為のズルさ、を重ね、最終盤に向けて両者の対応関係を確定。 そこにエッセンスとしてのマリアを加える事で、全体のドラマ性が増しています。
 マリアに関しては、2人(&ディーラー)だけだと画面が暗い上に会話の間が保たないから足した可能性もありますけど(笑)
 ロボットを戦闘以外の目的で使う、というテトラボーイの物理トリックも割と好き。
 次回、今度こそ、丸ごとリストラ?!

◆第40話「命令!戦隊交代せよ」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒木憲一)
 こそこそと悪巧みをしていたらしく、冒頭からトランザに蹴り飛ばされるミントン伯爵。
 「長生きしたけりゃ、んー? その反抗的な目を止めるんだな!」
 完全ヤクザモードでラディゲを見下ろし、去って行くトランザ。
 「どうしたラディゲ、なぜ、奴に逆らう」
 「おまえ達、このまま奴の言いなりになるのか?! 俺は嫌だ! そう、俺の足下に跪かせてやる!」
 同格になる、とかではなく、すぐ、「跪かせてやる」に行く所が、ラディゲは素敵です(笑)
 「俺に力を貸せ。おまえ達の力が、どうしても必要なのだ」
 「「……うむ」」
 次元戦団バイラムは、嫌な上司には手と手を取り合って立ち向かう、一体感の強い職場です。
 バタ臭い美形になった途端に態度デカくてムカつく! とトランザ憎しで結託した3人は、エネルギーを集中し、 ラディゲが発見した隕 石を20万光年の距離を超えて地球へと引き寄せようとするが、その反応を検知したジェットマンが邪魔に入る。
 「グレーイ!」
 「俺に任せろ!」
 熱い(笑)
 グレイの妨害を突破し、ラディゲとマリアに迫る青と白。
 「マリアー!」
 「邪魔はさせん!」
 熱い(笑)
 グレイとマリアがジェットマンを足止めし、隕石到着まであと僅かとなるが、ラディゲ、 踏ん張りすぎて崖から落ちる。

 おまえという奴は(笑)

 ラディゲが安定の芸風で見事なオチをつけてくれましたが、ジェットマンが息の合った連携で幹部クラスと拮抗した戦いを演じ、 真っ向勝負の中で5人の成長が描かれた戦闘にもなっています。
 イエローオウルに岩石を投げつけられ、割と追い詰められる3人だったが、そこへとうとう隕石が落下。
 「見ているがいい、ジェットマン。おまえ達を……あの世に送る、地獄の……使者の、誕生をぉ……!」
 地べたを這いずるようにしながらも、何とかラディゲは隕石にバイオ次元虫を融合させる事に成功し、 宇宙から飛来した隕石を素体とした、隕石ベムが誕生する!
 隕石ベムはジェットマンの連続攻撃が全く通用せず、ビークスマッシャーすら無効。 更にその体から放たれた光線を浴びた5人はエネルギーを失い、自由に身動きできなくなってしまう。ラディゲが発見した隕石は、 理論上、宇宙のどこかに存在するとされていた反バードニウム鉱石の塊であり、隕石ベムはバードニックウェーブを無力化する体質という、 いわばジェットマンの天敵だったのである!
 「もはや翼をもがれた瀕死の鳥」
 「ついに、ジェットマンの最期だ……!」
 「見てるかぁ! トランザぁ! ジェットマンを倒し、地球は俺達が頂戴する!!」
 だがその時、スカイキャンプにはサングラスの軍人が現れ、戦場には黒いスーツに白い鳥形のヘルメットを被った5人の戦士が姿を見せる!
 「何者だ?!」
 「君たちは?」
 「邪魔だ! とっととスカイキャンプに戻ってろ!」
 「昼寝でもしてるんだな」
 5人の戦士は、剣、鎖鎌、ブーメラン、銃、拳、そして爆薬、というコンボ攻撃でベムに互角以上の戦いを見せ、 反バードニック光線を弾き返すとロケットランチャーでベムを水場に押し込み、急激な温度変化によるダメージを受けたベムは撤退する。
 「1分29秒……この程度だろう」
 サングラスの軍人の名は、一条。そして5人は、バイラム襲撃により失われたバードニックウェーブを分析、 再現に成功する事で誕生した、ネオジェットマンであった。
 「我々の体には、バードニック反応路が埋め込まれ、エネルギーが尽きる事はない」
 反バードニック光線の効かない5人は、さらっと人体改造されていた(笑)
 地球を守る為なので、ヤムヲエナイ。
 第1話でアースシップが壊滅後、全く存在感が無いので全滅したのかと思われていたスカイフォースですが、 ここで一条の口から「上層部」という言及があり、存続していた事が判明。どうやら、 組織の体勢を立て直しつつバードニックウェーブを分析してネオジェットマン計画を秘密裏に進めていたようですが…… えー……つまり……これは……旧ジェットマン、バイラムの目を引く囮にされていたのか。
 ……うんあれだ、
 「地球が危ないんだぞ。個人的な感情なんて問題じゃないだろ!」 (第2話)
 良いこと言った、竜!
 一条はスカイキャンプの総司令の座につき、小田切前長官とオールドジェットマンはその指揮下に入る事になるが、 一条とネオジェットマンの傲岸不遜で頭ごなしな態度と物言いに、竜以外の4人は反発を強め、両者の仲は険悪に。そんな時、 休憩を終えた隕石ベムが巨大化して街で暴れ出し、ネオジェットマンはジェットマシンで出撃する。
 実戦はシミュレーションとは違う、という基地での心配をよそに合体に成功し、ベムに挑むジェットイカロスだが、 バードニックセイバーを折られ、左腕を切り落とされてしまう…………これ、悪いのはネオ5人ではなく、 ジェットイカロスの性能です。
 モニターしていたオールド5人は救援に向かおうとするが一条にそれを阻まれ、一条はネオ5人を罵倒。
 「忘れるな! おまえ達の代わりなど幾らでも作れる! 負け犬に帰る場所などない!」
 「人間の命を何だと思ってるんだ! あんたに指揮官としての資格はない!」
 その発言に遂に堪忍袋の緒が切れた竜は凱を止めると自ら一条を殴り飛ばし、小田切前長官の指示で出撃する5人。
 ここでは、まず凱が殴りかかろうとし、それを止めた竜が自分で殴る、というのが良かった所。 これまで杓子定規な言動・行動が多かった竜にも、これまでの戦いと仲間との交流を通じて、 ただ上官命令に従えばいいというだけではない変化が窺えます。
 同時に、狂気を省きながら、極めて真っ当なヒーロー台詞になっているのも、物語が終盤に入ってきた所で、上手い。
 竜の抱えている狂気が消えて無くなったわけではないけれど、一条と対峙させる事により、竜の中に“狂気の復讐者”とはまた別に、 “命を守る戦士”としての芯が生まれつつある(或いは、再生しようとしている)姿が描かれています。
 左腕を斬り飛ばされたのに続いて炎で焼かれ、久々にロボ戦が長いと思ったら散々な目に遭うジェットイカロス。 そこに駆けつけるガルーダだが、反バードニック光線を浴びてオールド5人の変身が解けてしまい、ジェットマンはまとめて大ピンチに。
 「我らの勝利に」
 それを見つめるバイラムでは、トランザでなければこの際ラディゲでもいいやノリで、負け犬連合の3人が乾杯とかしていた(笑)
 次元戦団バイラムは、気に入らない奴を蹴落とす為なら過去のいざこざを忘れてスクラムを組める暖かい職場です。
 だが、玉座で瞑目していたトランザ――立つ。
 「喜ぶのも今の内だ」
 果たしてトランザはどう動くのか、ジェットマンはこのまま隕石ベムに叩き潰されてしまうのか。死闘は次回へ続く!
 負け犬連合の結成と宇宙からの脅威、ネオジェットマンと嫌な上官登場で、これまで絶対だった小田切長官の権威が揺らぎ、 まとまったと思ったジェットマンに今度は外部からの大波乱、と盛りだくさんの内容がテンポ良く進行し、面白かったです。 ここまで今作、サブライター陣はいわゆる戦隊ノリの一話完結エピソードを担当していましたが、最終クール突入という事でか、 これまでの流れを踏まえジェットマンと竜の変化を中心に据えた続き物で荒木憲一がいい仕事。

◆第41話「変身不能!基地壊滅」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒木憲一)
 「我らの勝利に乾杯! 見ろ! ジェットマンの最期だ!」
 次元戦団バイラムは(以下略)
 トランザむかつくで結託したラディゲ・マリア・グレイは、ジェットイカロスを大破に追い込み、 続けてガルーダを追い詰める隕石ベムの快進撃に祝杯をあげるが、ベムは崖っぷちで放たれたテトラバスターの一撃を受けて砕けてしまう。 その様子を現場で見ていたトランザは、隕石ベムの核である鉱石を、倒れたガルーダの内部へと潜り込ませる……。
 スカイキャンプでは激怒する一条総司令がネオジェットマンに当たり散らし、命令違反でオールドジェットマンに解任を通告。 更にコンピュータの分析結果を握り潰し、オールドに「もはや5人の変身機能は回復しない」と嘘をつくと、 強引に基地から追い出してしまう。
 「あなたは、私に対する個人的な感情で、彼等を追放するのですか?! もしそうなら、この私を、追放してください!」
 「君を追い出す? ははは、はは……とんでもない、ははは……」
 小田切と一条の会話を耳にする、ネオリーダー。
 「鳥人戦隊の長官には私がなるべきだったんだ! そう簡単に辞めさせはしない。一生私の下で働き、私と同じ苦痛を味わわせてやる。 ははははは、ははははは、はははははは」
 一条が必要以上にオールドジェットマンを目の敵にするのは、組織内部での出世争いで小田切に敗れた逆恨みの為だった。と、 性格が悪い上に器の小さい男になった一条。
 そしてバイラムでは、トランザがいい声で高笑いしていた。
 「ははははははははっ! 見世物としては最高の出来だったぞ。違うか、ラディゲ」
 笑いながら去って行く一条から場面転換してのこの重ねが、妙に面白い演出。
 「無能な指揮のもとでは、どんな宝石も輝きを失う。しょせんお前達はな、見世物小屋の道化師だ。ははははははは、 あっははははははは!!」
 スカイキャンプでは修理中のロボの中から基地内部へ侵入に成功した隕石ベムが暴れ出す。
 「有能な指揮を得て、ふっ、やっと宝石も輝きだしたのだ」
 実はトランザは、テトラバスターの直撃前に隕石ベムの心臓部を取り出し、自分の支配下へヘッドハントしていたのだった。
 「貴様ぁ、卑怯だぞ!!」
 「全力とはっ、こういうものだ!」
 食ってかかるラディゲに対し、変なポーズで応えるトランザが、妙に熱い(笑) この人達はたまに、謎の暑苦しさを発揮します。
 「ヤツの狙いは、この司令室です。ここをやられれば、我々は終わりです」
 小田切前長官は引き出しにしまってあるビークスマッシャーを一条に突き出すが、一条はそれを手にして戦う事を拒否。
 「私は指揮官だ。……そうだ、竜達を呼び戻せ」
 「どこまで見下げ果てた人間なの!!」
 怒りの前長官はベムに苦戦するネオ5人の応援に走り、相変わらずごく普通にビークスマッシャーで射撃。 だが隕石ベムにはそれも通用せず、やむなく基地の放棄を決断する。
 「基地はいつでも作る事ができる。でも、貴方達の命は、一つしかないのよ!」
 基地は自発的に復讐しないからな……!
 ところが、基地を守る為に命を賭けろと、一条が隔壁を操作して退路を塞いでしまう。そこへ、 アコが失敬したブレスからの音声で基地の危機を知って駆けつけた竜達が、生身のままでベムへと立ち向かう。
 「基地は私のものだ……誰にも渡さん。私が指揮官だぁ!」
 ベムは合計11人を軽く蹴散らすと、一条の声に反応し、隔壁を突き破って司令室へと向かう。 生身で恐るべき敵へ挑みかかるオールド5人の姿に心打たれたネオジェットマンは、一条がコンピューターの分析を握り潰していた事、 オールド5人の変身能力が復活可能である事を告白。その為には大量のバードニックエネルギーが必要だが、 ネオ5人は自分達のバードニック反応炉のエネルギーを使って、5人の変身能力を回復させるのだった。
 「俺達は力だけにこだわり、人を愛し、平和を愛する心を忘れていた。俺達は戦士としての力を失うが……君たちこそ、 真のジェットマンだ」
 パワーエリートが出てくるも、心を失っていた事に気付く、という王道展開ですが、バードニック反応炉を伏線として活かし、 綺麗に繋がりました。終盤に1本、荒木さんが“地球と命を護る戦士としての綺麗なジェットマン”をまとめた、という感じ。 意識的にこういったバランスを取りに行っているのは、今作のいい所です。
 「基地は誰にも渡さん! 出てけ、出てけぇ!」
 椅子を投げつけ、割と奮戦する一条だったがベムに投げ飛ばされ、そこへ駆けつけたオールド――にして真のジェットマン、復活。 バードニック反応炉から譲り受けた高出力のエネルギーで反バードニック光線を無効化すると、一斉射撃でベムを撃破し、 ベムは巨大化するが、小田切前長官が超高速で修理したイカロスが発進する!
 ……この方はやはり、本当は1人で改修とか出来るのでは。
 初めて見る気がするイカロスアックスでの攻撃から、なんだか久々な気がするグレートスクラムし、バードメーザーでベムは瞬殺。
 「お前達の作ったバイオ次元獣など、しょせんはただの石ころだ!」
 「……ヤツさえ邪魔をしなければ! 俺は勝っていたのだ……おのれぇぇぇ、トランザぁ!」
 次元戦団バイラムは、お互いが切磋琢磨しあう競争意欲に溢れた職場です!
 スカイキャンプでは、心を通わせた新旧ジェットマンと、小田切長官が合流。
 「総司令は?」
 「命に別状はないけど、恐らく二度と、立ち直れないでしょう」
 現場では、軽く床に投げつけられただけの感じでしたが、ジェットマンが戦場を移した後、 いったい司令室で何があったのでしょうか……命には別状がないけど両手両足が粉砕骨折しているけどまあなんて恐ろしいバイオ次元獣の仕業なのかしらおほほほほ、 このファイルの閲覧は許可されていません。
 「この地球を護れるのは、君たちをおいて他には居ない」
 「貴方達を、再びジェットマンに――任命します」
 「長官」「長官!」
 今更ながら、なんか暑苦しいノリで嫌だなーと距離を取る凱だが、長官に手を差し出され「仕方ねぇ」と手を取る、 と最後にちょっと今作らしいひと味も加え、終盤の長官フィーチャーエピソード。合わせて改めて全員が、 戦士として前向きになっている姿が描かれているのが秀逸。
 小田切長官の格好いい所は、戦隊の総指揮官らしい非道さと狂気が、地球を守るという目的の為に有効に機能しているバランスの良さ。 今回もいっけん「命を大事に」しているようですが、基本、機体よりもパイロットが大事理論ですし。その上で、 自ら銃を手に前線に出る事も厭わない弾けぶり。素敵。

◆第42話「おれの胸で眠れ!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:井上敏樹)
 トランザ、新型ロボット・G2を造る……が、ポンコツだった。
 やだトランザくん、あんなポンコツメカ造ってはずかしーみたいに笑われた腹いせに、 トランザは物陰で盗み見していたラディゲ達を攻撃。
 「役立たずのネズミどもが! せめてジェットマンに傷の一つでも負わせてこい!」
 「言われるまでもない」
 グレイは出撃し、ぽんこつG2は戦闘員の訓練用に払い下げられる事に。
 (いずれ無敵の巨大ロボを造ってやる……)
 と、幾分唐突なトランザのロボット製作は、対ジェットマンの計画の為だった、と伏線。
 その頃、凱は香からテーブルマナーのレッスンを受けていたが、途中で嫌になって席を立ち上がる。
 「香! 確かに俺はおまえに惚れている! だがな……俺を飼い慣らそうとするのはやめてくれ!」
 香が自分を「香の男」という鋳型にはめようとしていると感じて凱は苛立ち、香と凱、 2人の愛し方の違いが微妙な亀裂を浮かび上がらせる中、グレイが2人を強襲。マリアも参戦して凱と香を追撃する最中、 グレイは戦闘員の玩具にされてバイラム本拠から逃亡してきたG2に助けを求められ、自分の回路の一部を渡して修復をする。
 マリアに追い詰められる凱と香だが、そこへ竜達が駆けつけ、戦いはグレイ&マリアvsジェットマンへ。激しい戦いの中、 流れ弾を浴びたマリアが崖から落ち、グレイはそれを助けて貫禄のお姫様抱っこ。雨が降り出す中、 グレイを慕うようになったG2がその前に姿を見せる。
 「連れていって。一緒に、連れていって」
 「失せろ! お前に用は無い」
 片言喋りのG2を冷たく突き放したグレイは、雨を避ける為、付近の洞窟にマリアを運び込む。……バイラム本拠に帰らないのは、 嫌な上司と性格の悪い同僚が居るからです!
 「また……借りが出来たな、グレイ……。私に出来る事があったら言ってくれ」
 「もう一度、おまえの音楽が聞きたい」
 野草の葉を手に取ったマリアは草笛を吹き、耳を澄ますグレイ、洞穴の外からそれを見つめるG2だが、 負傷から発熱したマリアは朦朧とした意識でうなされる。
 「寒い……」
 「……マリア」
 「……冷たい……!」
 弱ったマリアを思わず抱きしめてしまうグレイだが、冷たい機械のボディはマリアの体温を奪うばかりで振り払われてしまい、 そこへマリアを探し求めてやってくる竜。
 「リエを殺す気か?! リエは人間なんだ。お前達とは違うんだ!」
 「……マリアはお前に預ける。だがマリアの体が治り次第、必ず奪い返す」
 意識を失い、寒さに震えるマリアが無意識に竜に手を伸ばすのを見てショックを受け、その場を引き下がるグレイ。雨の中、 外を歩くグレイに付きまとうG2は覗き見して覚えた草笛を吹いてみせるが、それはかえってグレイの怒りを買う。
 「同じロボットとして一度だけおまえを助けた。ただそれだけの事。おまえに用は無い」
 「グレイ……グレイ!」
 「マリア……俺の体では、おまえを暖めてやる事はできない。…………マリア……!」
 「ま……りあ……マリア」
 …………えー……先程からどうにも感想というより状況の羅列になってしまっていますが、今回、この、 キャラクターの出入りが核なので、後々の資料的な要素も含めますと、そのまま書いておくしかないというか(^^;
 幾つかの場面で、登場人物が入れ替わり立ち替わりするという、演劇的な構成になっていて、 普通にTVドラマのストーリーラインとして見るとちょくちょくツッコミ所があるのですが、今エピソードに関しては、 舞台の一幕だと思って見るのが良いのかと思います。実際、グレイとマリアが潜む洞穴を竜が見つける辺りのシーンは、 恐らく意図的に舞台演劇っぽい演出になっていますし(敢えて左右の広がりを造らずに空間を限定して見せている)。
 闇の中で雨に打たれる2体のロボットから場面は転じて、洞穴の中、マリアの為に薪を燃やして暖を取る竜。
 (目が覚めたら、きっと、昔のリエに戻ってる……そうだろう?)
 −−−しばらく、いちゃいちゃ回想をお楽しみ下さい−−−
 だが、竜が追加の薪を探して外へ出た隙に忍び込んできたG2が、グレイの為にマリアを背負って連れ出してしまう。
 「マリア、マリア……グレイが、待ってる」
 夜が明け、よろよろとマリアを運ぶG2。
 「グレイが……待ってる……グレイが……待ってる……」
 だがその時、突然の落石! (ここだけは何とかならなかったのか、と思う所でありますが、オペラにおける、 「突然の銃の暴発!」みたいな感じなのかこれは)
 G2はマリアを守るも、自身は岩に弾かれて崖下に落下。目を覚ましたマリアはリエを探していた竜と遭遇し、 そこにグレイがやってくるが、ジェットマンも集合し、戦闘再開。
 男の勝負に負けた昨夜の出来事による精神的ショックを引きずっているのか、動きの鈍いグレイはジェットマンの猛攻に苦しみ、 遂にファイヤーバズーカの照準がその身を捉える。
 「グレイーー!」
 が、グレイを求めて崖を這い上っていたG2が咄嗟に放ったビームがファイヤーバズーカの銃口を逸らし、 派手に吹っ飛ぶも致命傷を避けたグレイは、何とかマリアと撤退。だが、G2は射撃の反動で転落、 爆発の衝撃で再び発生した落石の下敷きになってしまうのだった……。
 「俺は戦士……自分の足で歩く」
 損傷し足を引きずりながらもマリアの助力を拒むグレイの姿には、建前としての戦士のプライドに、 ロボットの冷たい体に対する悲しみが交わり、渋く切ない。
 そして――誰からも無用な存在と扱われたロボット・G2は、最後の力で手を伸ばし、草笛のメロディを響かせる。
 そのメロディをBGMに、よろよろと撤退するグレイとマリア……場面変わると、結局マリアがグレイに肩を貸しているのが、 グレイの抱いている揺らぎとして味わい深く、そしてグレイは微かに聞こえてきた気がする音に足を止める。
 「……ん?」
 「どうした、グレイ」
 「…………風か……」
 結局、G2の思いはグレイに全く届かないまま、風に流れて消え去っていく、というこれが、実にいい。
 「ぐ……れ……い……」
 そしてG2は限界に達し、機能停止――大爆発。
 エピソードの最初と最後をG2の起動と停止の主観映像で繋げつつ、爆発の炎一面のカットに「つづく」を乗せるという、今作、 蓑輪監督けっこう攻めてきます。
 単純な美しさでいえば、G2が機能停止して葉っぱを落とす所までにしておいた方が叙情的とも思えるのですが、 そこできっちり爆発をさせてG2に再生の余地のないけじめをつけ、その上でそのままぶった切って終わる、というのは凶悪で凄い。
 今回の怪人にあたるG2はヒーローと一切接触しない、戦闘はいずれも敵の主観で終了、と基本的な文法を幾つか破りつつ、 濃縮された物語の詰まった逸品。
 竜のリエへの想い
 グレイのマリアへの想い
 G2のグレイへの想い
 全てがすれ違って相手に伝わる事なく錯綜したまま、一つのエピソードを成立させてしまうという、 井上敏樹の真骨頂ともいえる一本。 蓑輪監督も脚本を良く汲み、グレイはG2に一片の情けはかけたけどそれ以上の感情は無い、 G2の最後の攻撃で自分が助かった事をグレイは知らないまま、と、ちょっとでもずらすと簡単に“いい話”になってしまう所を、 徹底的に“いい話”にしない事を貫いた、スタッフの判断もお見事。
 加えて、トランザの隠れた目的、凱と香の関係、竜とリエ、グレイとマリア、と細かな伏線も進めて全体としては物語が統一されており、 定番の文法から外れつつもテクニカルにまとまっています。
 安定したヒロイン度に緩みのないマリアですが、今回マリア主観だと、 いきなり流れ弾で吹っ飛ばされる→洞穴で気絶→気が付いたら道端に転がっていてレッドホークに追いかけられる、 と被害者ぶりも見事(笑)
 マリアは改めて、ある程度ヒロインとして納得のいく美人度+どことなく幸薄そうな雰囲気+それでいてSっぽい高笑いもはまると、 当たりのキャスティング。今作の大きな加点となっています。
 マリア(リエ)が当たりなだけに、一方の香の説得力がどうも薄いですが(^^;

→〔その8へ続く〕

(2016年6月16日/6月18日)
(2019年12月16日 改訂)
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