■『鳥人戦隊ジェットマン』感想まとめ5■


“ガルーダ ガルーダ 闇を切り裂け
鋼のハートに 火をつけろ
ジェットガルーダ 鳥のロボ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『鳥人戦隊ジェットマン』 感想の、まとめ5(25〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第25話「笑う影人間」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:荒木憲一)
 OPにジェットガルーダ〜グレートイカロス追加。
 前回、有頂天のラディゲが天下取ったつもりで大はしゃぎするも無様にグレートイカロスに破れ再び底辺へ落ちたバイラムでは、 マリアが、地球上のあらゆる生物の遺伝子を備えたバイオ次元虫を作り出す。
 「触れるな! セミマルすら満足に使えない者に、バイオ次元虫を手にする資格などない!」
 ゴミ屑男は壁バドミントンでもしていろ! という罵倒に激高したラディゲは背後からマリアに切りかかるが、 割って入ったグレイがそれを受け止める。マリアは傷を負ったグレイの手に白い布を巻き付け、 いい感じに落ちぶれていくラディゲとは対照的に、果てしなく株の上がっていくグレイ。
 マリアはバイオ次元虫を放ち、アルマジロの遺伝子とナイター照明の融合したバイオ次元獣・ライトアルマジロが誕生。 アルマジロが人間に向けてライトを照射すると、照射された人間とそっくりの動きをする影人間が誕生し、街は大混乱に。
 ジェットマンはアルマジロに立ち向かうが、その頃、凱はプールサイドでバニーさんとポーカーに興じていた。 ロイヤルストレートフラッシュを手にニヤリと笑う凱だが、そこにも影人間が出現して平和なプールは一転パニックに。
 「いったいどうなってんだ?」
 それは、視聴者の台詞だ(笑)
 凱の置かれた状況がさっぱりわからないのですが…………代打ち?
 先行して戦っていた4人はアルマジロのライトを浴び、ジェットマンと同じ力を持つ影ジェットマンが誕生してしまう。 同じ動きをする影に苦戦する4人だが、更に悪い事に、影を奪われた者達は生命力を吸い取られていき、 それにつれて影人間はどんどん強力になってしまうのだった!
 演出はちょっとコミカルにしているものの、バイオ次元獣のお披露目回という事もあり、かなりの強敵。
 ファイヤーバズーカも弾き返され、駆けつけた凱も一撃で吹き飛ばされ、あわや壊滅の危機に落ちるジェットマンだったが、 空が曇った事で影人間がかき消え、何とか窮地を逃れる……だが、影を奪われた4人の消耗は激しく、 このままでは街の人ともどもいずれは衰弱死してしまう。
 幸い夜が訪れた事で小康状態になったもの束の間、なんとマリアが謎パワーで昼の空間を作り出すと影人間を暴れさせ、 生命力を消耗して激しく苦しむ4人。
 グレイがこのマリアの謎パワーを見て「命を削る気か……!」と口にしているのですが、いきなりバイオ次元虫を作り出したり、 今回のマリアは色々と謎です(笑)
 幸か不幸か遅刻のお陰で影人間を作られずに済んでいたブラックコンドルがマリアに切りかかるが、それをグレイが阻み、 対峙する黒と黒。マリアに巻いてもらった白い布をつけたままというグレイのワンポイントが素敵。
 グレイ「ここは通さん!」
 マリア「……グレイ」
 グレイの猛攻に追い詰められるコンドルだったが、いきなり新型バイクを召喚すると、必殺の質量攻撃。 グレイを吹き飛ばすとマリアを射撃して世界は再び夜に戻り、影人間は消滅する。 アルマジロは小田切長官の分析により判明した弱点である、腹部のライトにファイヤーバズーカを叩き込んで撃破。巨大化後は、 光線技ガルーダバーストからジャンピングクロー攻撃で一蹴するのであった。
 さすがにセミマルの立場はある程度尊重され、はじめてのバイオ次元獣にはグレートイカロスを使わずガルーダであっさり撃破。 ガルーダは飛行シーンからロボット形態まで、実に格好いい。
 かくしてジェットマンはバイラムの強化された怪人を何とか退け……グレイはマリアを、お姫様だっこで帰還。
 「お前は死力を尽くした。誰にも文句は言わせない」
 ……せちがらい職場、バイラム。
 「なぜ……私を助けた?」
 「……借りたものは返す。それだけだ」
 グレイはマリアが治療に巻き付けた白い布(最後のカットはハンカチっぽいけど、手に巻きつけるには面積足りない気はするけど、 あまり気にしない方向で)を見せ、再び気を失ったマリアを抱えたまま霧の中に消えていくのであった……。
 バイラム怪人を強化しつつ、一応、凱回なのだけど、実質的にグレイ×マリア回で、合わせて凱とグレイの因縁を強化、 となかなか盛りだくさん。
 グレイは戦隊史40年の中でも、トップクラスの男前ぶりで、輝きに目がくらむ勢い。
 この紳士力と騎士力の高さを、特に00年代戦隊のダメンズ達は、 百回見直して原稿用紙10枚以上の反省文を書いて職員室まで提出するように。
 あと、ロボットの傷に慌てて布を当てる所でマリアの持つ本質的な優しさが描かれ、グレイがそれに心打たれる、というのも渋くていい。
 ラストはプールサイドで、ちょっぴり水着回。妙にはしゃぐ凱がプールに投げ落とされる、でオチ。
 EDには、24話ラストに用いられた、夕陽を浴びて佇むジェットイカロスとガルーダ、の名カットが追加。

◆第26話「僕は原始人」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:荒川稔久)
 ストレスを解消する為、都内に家庭菜園用の土地を借りていたらしい雷太。野菜作りに励みながら、 初めて香と出会った時の事を思い出してひたっていたが、そこにバイオ次元獣・ジクウマンモスが出現する。
 時空マンモス……て、何と合体させたんだ。
 アレか、某時○博士のタイムなんちゃらか(笑)
 出撃したジェットマンはマンモスの時間移動光線を受けてしまい、原始時代へと飛ばされてしまう。マンモスに体当たりした衝撃で、 4人と離れた所に飛ばされた雷太は、香にそっくり(二役)の原始人の少女リーカと出会う。
 ジェットマンを遙かな過去へ跳ばす事で巨大ロボを封じ、抹殺を図ろうという今回の作戦担当はグレイ(自販機以来2回目)。 相変わらずトランとラディゲからは嫌味が飛んできますが、マリアとちょっと距離が近いのがときめきポイントです。
 原始人の村に受け入れられ、メガネを使って火を起こしたり、クワを工夫して農業技術を発展させてしまい、 かつてなく持ち上げられた雷太は、もう面倒くさい連中と一緒に命を張るのはやめて原始生活もいいかなーと思い出すが、その時、 エネルギーを回復したマンモスが巨大化して出現。
 雷太は自ら囮になるとマンモスを村から引き離そうとするが、変身しようとした所でブレスを失っていた事に気付く。 そこに駆けつけた4人は、先の戦いでマンモスに与えていたダメージ箇所に攻撃を集中し、マンモスは時空の亀裂を生むと現代へと逃亡。
 「追うんだ!」
 亀裂へ向けて勢いで飛んでいく4人……雷太を置き去りにして(笑)
 青以外、誰も気に留めなくて、戦士、怖い(笑)
 もうこのまま現代へ帰る事は出来ないのか、所詮、太っちょ担当の扱いなどこんなものなのか……完全に見捨てられた格好になった雷太だが、 そこへ雷太を拾った時に見つけたブレスを持ってリーカがやってくる。号泣と抱擁を経てリーカからブレスを受け取った雷太は、 現代へ戻る事を決意。
 「リーカ、ありがとう。僕は、戦うよ!」
 イエローオウルは時空の亀裂を飛び越えて現代へ帰還すると、合体スクラムウイング。今回はグレートイカロスに合体すると、 マンモスを投げ飛ばしてからのバードメーザーで焼却するのであった。
 最後は、まるで雷太を描いたような原始時代の壁画が発見された事がニュースになり、皆で雷太の農園でイチゴを食べる、でオチ。
 ……雷太は、4人に凄く苦い野菜とか食べさせても、許されると思います。
 10年ぐらい経つと、「荒川さんがまた1人でラブネタを……」という感想になるのですが、今作では普通(笑) ……というか、 荒川さんに悪い癖を付けたのは、『ジェットマン』なのではないか疑惑が浮上。
 クライマックスで雷太を置き去りにしていく4人が酷すぎるのですが、序盤の勢い以降にあまり無かった、 雷太の“戦う決意”を改めて描き直した、という点では、雷太回をやるにあたって、ポイントを抑えた良い仕事。
前回の荒木さんにしろ今回の荒川さんにしろ、そろそろ戦隊の尺とその中でのノルマの入れ方に慣れてきた感じ。

◆第27話「魔界大脱出」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒木憲一)
 軽いノリの夏の怪談回だろうと思って油断していたら、思わぬ見所多数。
 見所1は、
 「アコが……アコが死んだ!」
 魂を抜かれたアコの胸元に頭をつけてセクハラする竜(おぃ)
 見所2は、
 「あらゆる次元を乗り越え、俺は遂に、死の世界をも制覇したのだ!」
 仰向けに浮かびながら奇声をあげまくるラディゲ。
 度重なる敗北と、職場でのゴミ以下の扱いから来るストレスです。
 見所3は、
 「霊界において肉体の力は一切無力! 強靱な精神の戦いじゃ! これに負ければおまえの魂は破壊される!」
 ゲストキャラに石橋雅史!
 アコ、凱、雷太が、謎の霊柩車に魂を抜かれて次々と死亡。それは、怨念の力を用いたラディゲの呪術によるものだった!  竜も暗黒世界に引きずり込まれかけるが、事件の裏に人知を超える存在を感じた小田切長官が助力を求めた、謎の密教僧・泰元上人 (石橋雅史!)に助けられる。地獄で責め苦を受ける3人の魂を救うべく、泰元上人の力を借りた竜の魂は霊界へと飛ぶ!
 1989年の『機動刑事ジバン』第24話に「ようこそ!!大霊界へ」というかなり意味不明のエピソードがあって 、映画『丹波哲郎の大霊界』が同年の公開なのですが、まだ、その手のブーム?的なものがあった時期なのか。
 霊界のシーンは画面にエフェクトかけて誤魔化しつつ、全身タイツに被り物のカッパが出てきたり、 あまりお金がかかっている感じはしません(^^;
 メンタルに問題のある竜は、案の定、誘惑に負けそうに(笑) が、何とかそれを乗り越えるもラディゲに追い詰められる。
 「恐怖を克服し、己の心を信じる時、おまえの想念は奇跡をも呼び起こす!」
 泰元上人の助言を受け、霊界で奇跡の変身を果たした竜は3人を救い出し、3人も変身。 巨大化した怨念次元獣に対して想念の力でイカロスとガルーダを呼び出すが、次元獣の怨念で操られてしまうイカロス。ピンチのその時、 水垢離していた香の叫びが竜を目覚めさせ、更に上人が霊界へ援護攻撃。亡霊を打ち払ったイカロスとガルーダはグレートスクラムし、 怨念次元獣を撃破するのであった。
 ホワイトスワン変身なし、と変則。
 そして魂にダメージを受けたラディゲは、くるくる回ってばったり(笑) やられ芸も板についてきました。
 「いい若者達を育てられた……」
 地獄から解放されて喜び合う5人の姿をにこやかに見つめる泰元上人の発言は、 そもそも小田切長官はあまり育てていない気がする所に始まってだいぶ???ですが、石橋雅史に言わせる事で、いい台詞に(笑)
 謎のコネクションで泰元上人と接触した長官は、魂を抜かれた3人に背景で手を合わせていたり、 竜の霊界突入時に一生懸命マントラを唱えていたり、妙に面白い事に(笑) 夏の一息エピソードなのですけど、 妙に見所の多い回でした。

◆第28話「元祖次元獣」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒川稔久)
 ジェットマンに挑戦状を叩きつける、自称・元祖次元獣ドライヤージゲン。バイラム戦闘員と連携してジェットマンを苦しめるが、 ここぞという時に通りすがりの老人を助けたり、犬に懐かれたりと、締まらない。
 「おまえ何か、無理してねえか?」
 女学生を人質に取るも悪に徹する事が出来ず、とうとう凱にツッコまれ、
 「ドライヤージゲン、俺たちは、ただ相手を倒すために戦っているわけじゃない。だから、おまえみたいな奴には、立ち直ってほしいんだ」
 竜からは粋がる不良のような扱いを受ける(笑)
 そこにトランが現れて裏切り者として始末されようとしたドライヤーは、自分を守って戦うジェットマンの姿に心を打たれ、完全に離反。
 「今わかったぞ。バイラムの為に生きる事だけが、全てだと思って来たが! それは間違いだったんだ!」
 悪に生まれた次元獣の、新たな自我の芽生えであった。
 ホワイトスワンをかばって負傷するもドライヤーは無事にトランの手を逃れ、トランはファイヤーバズーカを受けて撤退。 ドライヤーはとある理容店に住み込みで働くという新しい人生を見つけ、ジェットマンの元に残暑見舞いが届くのであった。
 ちょっといい話というよりは、脱力系ギャグ回。ギャグ回はギャグ回でいいとして、次元獣の扱いがそれでいいのか、というのは少々。 ゴミジゲンの回が台無しというべきか、ゴミジゲンの回があったからこれもありとするか、微妙な所。
 ストーリーがギャグに割り切っている分、アクションに凝っており、戦闘員祭の野球回。 そしてロボ戦はドライヤーの妄想だけで処理されました(笑)

◆第29話「最後の戦い」◆ (監督:東條昭平 脚本:渡辺麻実/八渡直樹)
 かつてバイラムが滅ぼした裏次元世界の一つ、ベルセルクの生き残りがバイラムの探知網に引っかかる。
 「でも、ラディゲが全滅させたんじゃなかったのかい?」
 「ふふふふふ、お目こぼしか?」
 「ぬぅぅぅ!」
 次元戦団バイラムは、明るくて笑顔が絶えない職場です。
 ラディゲは生き残りの2人、デュランとルーに襲いかかり、あらゆる物を武器化する能力を持ったベルセルク人ルーと激しく戦闘。 公園でバドミントンする若者達を見つめながら、過去のいちゃいちゃを思い出してニヤニヤしていた竜は、 この戦いで次元の裂け目から転がり落ちてきたデュランを拾う。
 復讐に逸るルー(これは、『フラッシュマン』ネタなのか?)はラディゲに翻弄されてハンマーでビルを大破壊し、 止めに入ったジェットマンにも襲いかかる。事情を説明して仲裁したデュランはラディゲによりバイオ次元獣ヨロイスネークに取り込まれてしまい、 その攻撃からルーをかばった竜が重傷を負ってしまう。
 「落ち着きなさい。騒いで助かるものなら、私もそうするわ」
 重体の竜を基地で治療する小田切長官、格好良すぎます(笑)
 復讐よりも愛するデュランの方が大切だと改めて気付いたルーは、ベルセルク人の特殊能力を用い、 武器化能力を捨てる代わりに竜に命を分け与え、竜、復活。ジェットマンはルーを助けてヨロイスネークによるデュランの洗脳解除に成功し、 2人は手を取り合って別の世界へと旅立っていくのであった……。
 いつラディゲが飛んできて2人を始末するのだろうとドキドキしながら見ていたのですが、今作にしてはマイルドに終わりました(笑)  デュランとルーの関係を通して、竜が離れてしまったエリの手を思い出し、2人の為に命を張る、という構成で、悪くはないエピソード。
 旅立つ2人に向けて、「うちの兵隊にしたかったのに」と宣うなど、小田切長官の容赦のなさが光ります(笑)

◆第30話「三魔神起つ」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:井上敏樹)
 スカイキャンプでは、バイオ次元獣を繰り出してくるバイラムに対応するべく、3号ロボを建造中。
 そんな中、バイラムとは別の勢力である謎の魔神ムーが目覚め、上司である2人の魔神を復活させるべく、 強い戦士の血を集めようとする。香と凱のデートに、嘲笑の絶えない職場で立場の悪いラディゲが乱入し、 戦いの波動を感じたムーもそこへ。5人のジェットマンと変身したラディゲをまとめて薙ぎ払った魔神ムーは、 ジェットマンの戦士力に満足し、香をさらっていく。
 「そんなに血が欲しいなら、俺の、俺の血を採れぇ!」
 香を追って洞穴へと向かった凱は自らナイフを握りしめ、その血を二体の魔神に捧げる。復活直前、 他の3人が駆けつけて凱と香を救出し、魔神ムーを撃破。だが、外で戦闘している内にラディゲが不足分の血を補充した事により、 かつて地球を支配していたと自称する謎の魔神、ラモンとゴーグが甦ってしまうのであった……。
 そして――凱の命がけの愛に心を打たれ、これまでも度々命を助けられた事を素直に認めた香は、はるばる来たぜ30話、 とうとう凱といい感じに……だがその影では、二体の魔神が動きだそうとしていた、という色々と前振り編。
 一番気になるのは、ナレーションさんが、長官の事を「綾」呼びな事!
 色々、問いただしたい(待て)

→〔その6へ続く〕

(2015年7月21日/2016年6月16日)
(2019年12月16日 改訂)
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