ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『光戦隊マスクマン』 感想の、まとめ4(19話〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
- ◆第19話「妖魔!アナグマス」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
- 東條監督怒濤の4話持ちで、前線に打って出るアナグマス!
「あまりにもお前達が不甲斐ないゆえ、いよいよアナグマスの出番となったのだ」
連戦連敗を傍観しているわけではない、というチューブ側の変化としては良いタイミングになり、 アナグマの妖魔力を注入されたバラバ・イガム・イガラドグラーがマスクマンといきなりの激突。 バラバ達は漲る筋肉の力でレーザーマグナムもマスキーブレードも跳ね返し、更にダブル忍者まで参戦して、吹き飛ばされるマスクマン。
辛うじて崖にしがみついた青は飛び込んだ洞穴の中でアナグマスを発見するが、ゲートボールの一撃で吹き飛ばされ、 コミカルな見た目に反して、強いぞアナグマス。
川に落ちたアキラは旧知の子供達に助けられるが、落下のショックによって記憶を失っており…………それよりその前の、
「大丈夫? いったいどうしたの? 急にいなくなるんだもん、心配してたのよ。本当に今までどこで何をしてたの?」
が超不穏(笑)
お陰でしばらく、子供達は実はアキラの知り合いではなかったという真相が最後の最後に明かされるサイコサスペンスなのではとドキドキしてしまいました。
バラバの追跡をかわして山へと逃げ込んだアキラはタケル達に助けられるが、 記憶の無いアキラは4人になんだかヤバい雰囲気を感じて一目散に逃走し、旧知を名乗る子供達3人に匿われる。 その内の一人である少女が、1年前、川で溺れそうになったところをアキラに助けられた事を語り、 そんなアキラと子供達を物陰からじっと見つめる裏社会の4人組。
「なに? アキラが? ……そうか。この子達アキラが山に住んでいた頃の友達なんだ」
4人からの報告を受け、オーラカメラをチェックする姿長官。
「私が襲いかかればもし、この子達に任しておけば、アキラは記憶を取り戻すかもしれん。 見守るんだアキラを」
アキラと子供達は筏に乗って川に繰り出し、それを物陰から監視する4人の不審者達。
「あれがアキラの本当の姿なのね。マスクマンとして選ばれなければ、ああして、山の中で楽しく暮らす事が出来たんだわ」
まず、そこに疑問はないのか。
「楽しい山の生活。昔の友達に囲まれて、きっと記憶を取り戻してくれるわ」
取り戻さない方が幸せなのかもしれない……という選択肢がゼロだ!
「その時また、あの子供達と、別れなければならないんだぞ」
「だからこそ、今のこの時間を、守ってやろうじゃないか」
しんみりとした音楽をバックにいい事めかして語っていますが、安らぎの時間は失われる前提だ……。
勿論、地上世界が危急存亡の折、仲間としての結束や、積み重ねてきた鍛錬や戦闘経験は一朝一夕で代わりが効くものでないという事情はあるのですが、 決して限定された超パワーではないにもかかわらず、どいつもこいつも、一度踏み込んだこの世界、 足抜けは不許可という発想の殺伐具合が、大変マスクマンです(特にそこの忍者)。
川に筏を浮かべて遊ぶアキラと子供達にチューブの魔手が迫り、再び川に落ちた少女を救うべくアキラは咄嗟に川へと飛び込むが、 「マスクマンの攻撃を跳ね返す強化幹部達の出現」と「川に落ちた少女の危機」という二つのサスペンスが分断されてしまい、 双方が「それどころではない」状態になってしまう、大失敗。
アキラを守ろうと飛び出した4人がバラバ達に苦戦する中、少女を助けたアキラはそれをきっかけに記憶を取り戻し、 子供達との別れの辛さから黙って姿を消した事を思い出すが、「子供達を振り切る」と「仲間達を助けにいく」 も葛藤としての天秤の釣り合いが取れず、アキラの優しさ・哀しさ・戦士としての更なる脱皮、を描くには、 総じて敵が強すぎるというのが大きなネックに。
その一方で、巨大戦をやらなくてはいけない都合により今回限りの地底獣イガラドグラー(あまりにも雑なネーミング……)が、 バラバ、イガム、と並び立って戦う為、強い事は強いが並びがおかしいので脅威としての盛り上がりが薄い という歪な状況が発生してしまい、詰め込んだ要素の相性が悪く、それぞれのサスペンスを削り合う、という形になってしまった残念回。
「チキチキ獣アナグマス! 地底王ゼーバ様のお側に仕える、チューブの長老!」
300年漬け込んだ妖魔パワーでマスクマンを苦しめるアナグマだったが、ブルーがオーラあやとりで妖術を妨害すると、 ショットボンバーから放たれたオーラパワーが妖魔パワーを打ち破り、地底獣は爆死。
仮初めの筋肉で謎の光線を出していた幹部二人は尻尾を巻いて逃走し、 巨大イガラドグラーの茨のツタ攻撃をジャイロカッターで切り裂いたグレートファイブは、 グレートガンで弱らせてからの光電子ライザーでフィニッシュを決める。
アキラは今度こそ子供達と別れの挨拶をかわすと「必ず戻ってくる」事を約束し……
ナレーション「だが、アキラが懐かしいふるさとの山へ戻ってこられるのは、いつの日になるだろうか」
ナレーションさん、シビア。
その実力の一端を見せたアナグマが、地上征服作戦の陣頭指揮に立つ事を遠吠えタイムで宣言し、マスクマンは征く、 果てしなきチューブとの戦いの道を!
次回――やはり、一子相伝の暗殺秘拳の使い手なの?!
- ◆第20話「罠!沈む巨大ロボ」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
- 青空拳法教室を開くモモコは、気合いの叫びとともに、少なくとも10個は積み重なったレンガを、コンクリートブロックを、 次々と粉砕していき……拳法、教室……?
「みんなだって出来るわよ。人間に不可能は無いわ。努力すれば誰だって出来るの」
「ほんとに? ほんとに努力すればできるの?!」
「己を信じ、決してへこたれず、最後までやり抜けばね」
いい事言っている風ですが、光戦隊における「努力」とは、 幼少期からの血で血を洗う修行の日々・オーラボール千本ノック・絨毯爆撃浴、などなどを示すので、みんな逃げて!
教室の少年少女に慕われるモモコの姿が描かれる穏やかでちょっと暴力的な日常から一転、 忍び寄る不穏な気配にハッと振り向いたところにサブタイトルが入るのが格好良く、モモコに近付いてきたのは、 漆黒の道着に身を包んだ妖艶で怪しげな女――骨妃(こつひ)。
「子供だましの、間違った拳法をただす為に、全国を渡り歩いている者です」
「あの女こそがグレートファイブを、倒す!」」
グレートファイブ打倒を宣言するアナグマ340歳が放った刺客、地底帝国最強の美女の先制攻撃を受けたモモコは、 いきなり口の端から血をダラダラと流す死闘へと突入。教室の生徒だった少年2人が、骨妃の力に魅せられて弟子になってしまったと聞き、 その後を追う事に。
「罠だ!」
「突然どうしたんですか長官」
光戦隊本部では瞑想中だった姿長官がカッと目を見開き、本当に突然どうしたんだ(笑)
「いや……不吉な予感がするんだ」
オーラストーキングしていたのかと思ってドキドキしましたが詳細までは掴めなかった様子の中、 骨妃の元に辿り着いたモモコの前では少年達が空中浮揚を修得しており……うん、鍛えれば人間は浮ける筈なので、 『マスクマン』世界においては1ミリも間違っていません(笑)
子供達を諭そうとするモモコだが再び骨妃の攻撃を受け、仲間達が駆け付けるとアングラ兵が出現。 タケル達がオーラマスクして集団戦となり、戦いの中で骨妃の攻撃を受けて負傷するモモコだが……
「モモコ! なぜ変身しないの?!」
「……子供達との約束を守る為よ! 己を信じ……生身で戦い……決してへこたれず……最後までやり抜く。 そう子供達にも教えた…………許さん!!」
正しく自らの道を歩み続けようとするモモコの姿と、インスタントな力に溺れた少年達(なお、 アナグマが妖術で浮揚させていたという真相)が対比に置かれ、それをそそのかした悪に向けて憤怒の形相で立ち上がったモモコは、 裂けた道着の袖を引き裂くとバンダナ代わりに頭に巻き付けて気合いを入れ直し、通常なら“ヒーローとして”の叫びになるところでしょうが、 今作の場合、生身へのこだわりを含め、“ヒーロー以前”から歩んできた道のりが透けて見えるのは、良いところでも悪いところでもあり(笑)
従来の戦隊ヒーローが〔人間 → スーパーパワー → 戦士〕だったのに対して〔戦士 → スーパーパワー → 超戦士〕といった気配で、 下手な軍人戦隊よりくぐり抜けた修羅場の数が多そうで光戦隊の闇は深い。
みんなだって出来るわよ。人間に不可能は無いわ。努力すればサブマシンガンの掃射だってかわせるの!
怒りのアフガンと化したモモコは素手でアングラ兵を蹴散らすと骨妃を追うが、そこに現れたアナグマが人質にした少年達をいたぶり、 小学生を火あぶりプレイ。
骨妃はグロテスクな変身シーンでドクロドグラーの正体を現し、その攻撃に追い詰められるモモコ。
「約束を破っちゃいけない……その為に、この体で戦ってきたんですもの」
だが、「己を信じ、決してへこたれず、最後までやり抜く」という子供達との約束にこだわるモモコ(それが、 魔道に堕ちた子供達を救う方法であり試練であるという構造)は、絶体絶命の窮地においても、自らオーラマスクを封印。
「見せてあげる……約束の教えを!」
なんだかもう、朝加圭一郎っぽい勢いで立ち上がったモモコは、 アングラ兵の包囲から銃火の嵐を浴びて最終回数話前のリタイア回みたいな勢いで撃たれまくり、 「勝利の為の最適解」=「変身」なのですが、それよりも「子供達を正道に戻す事」が優先事項であると描かれ、 その為には「変身」を否定してみせる、というのがかなり大胆な作劇。
巨視的には、チューブの勝利=地上世界壊滅、である以上、 「大きな勝利」を失う危険性を犯して「小さな勝利」にこだわる愚かな行為とはいえるのですが、 「小さな勝利」を捨てないヒーローを描くと同時に、“私人としてのモモコ”にウェイトが置かれており、 タケルと美緒の関係に始まった『マスクマン』の物語において、過渡期ながら「ヒーローにおける公私のバランス」への意識が窺えます。
そう見ると、今作が「戦隊メンバーの過去」に少なからず触れているのは『ダイナマン』『チェンジマン』ではほとんど見られなかった要素である、 というのが浮かび上がり(『バイオマン』は未見につき不明)、前作『フラッシュマン』では「5人揃って一つの過去」 にしてしまった事が作劇の硬直を生んだ問題点を改善しつつ、より“私”の部分を押し出す為の設計になっているのだな、と。
……結果として、メンバー個々が妙に殺伐とした過去を持っているように見えるという、妙な副産物が飛び出す事になりましたが(笑)
第6話「夢のゴッドハンド」(監督:長石多可男 脚本:曽田博久)では、タケルの「秘められた力は、生身の体からこそ、 発揮できるのだ!!」がありましたが、メインライター連続6年目となる曽田さんの模索なのか、 戦隊参戦3年目の長石監督の切り口なのか、プロデューサーも含めた全体の姿勢なのか、 必ずしも「変身」を絶対化しない方向性には戦隊ヒーローにおける「変身」とは何かへの、視線があるようにも思えます。
考えてみると翌年の《メタルヒーロー》が限りなく生身に近いジライヤで(今思いついたので書き留めておきますが、 ヒーローとスーツの関係、繰り返し登場する愉快なヴィラン達など、『ジライヤ』はアメコミの文脈からも再考してみる作品なのかも)、 その辺りも今作と『ジライヤ』に繋がるラインを感じるところ。
勿論、いずれも、その魂の本質は、変身前でも後でも変身できなくても変わらない、というテーゼが通底しているのですが、 それをよりビジュアル的に見せていこうとする意図が(作品コンセプトに関わる危うさを孕みつつも)あったのかもしれないな、と。
銃弾の雨あられを浴びながらもモモコは歯を食いしばり、咆哮と共に突撃 → 子供達の表情を挟む → 引いたカメラを横に動かしてスピード感を補強しつつドクロの攻撃を回転ジャンプ回避 → 回り込んでの攻撃から再び接近戦に、 というシーンは、序盤から続く戦闘シーンが一本調子になるのも避け、効果的なアクセント。
ドクロの打撃を受け止めたモモコは、高めたオーラパワーからゴッドハンド!を鳩尾に叩き込み、 渾身の一撃はドクロドグラーの体を貫く、のだが……
ナレーション「モモコが、自らの教えを示そうと、戦えば戦うほど、恐ろしい罠にはまっていくことを、 その時はまだ誰も気がつかなかった」
今回もナレーションさんがシビアな視点を挟み、力尽きそうになるモモコの前に仲間達が駆け付け、子供達も救出。
「モモコ、大丈夫か!」
「……レッドマスク」
「よくやったモモコ! 君は、モモコ先生として十分に戦ったんだ」
なぜモモコは生身で戦い続けたのか、というのを仲間達が理解し、それを認め、その意味を示す、 大変良い台詞でした。
ドクロが再起動してバラバと赤影が現れ、モモコも変身して光戦隊・マスクマン! 改めてアングラ兵も増員されて壮絶な戦闘が続く中、 物陰に潜むアナグマは「作戦通り」とほくそ笑み、オーラリボンからの連続攻撃でドクロに大ダメージを与え、 ショットボンバーを構えるも疲弊の激しいピンクは、辛うじてショットボンバーを打ち終えるも、よろめき倒れ、気を失ってしまう。
「しまった、ピンクマスクが体力の限界を超えて、エネルギーを使い果たしてしまったんだ。体力が回復するまで、変身不能だ」
「変身不能?」
「4人で戦うんだ。――4人で戦うしかない」
「……やるしかない」
「ええ。モモコ、あなたの分まで頑張るわ」
集中攻撃による一時離脱狙い、という作戦そのものには余り面白みは無いのですが(バラバやイガムが個別攻撃による 「メンバーの各個抹殺」を目標にしていたのに対して、ドクロさえ捨て駒にして“その先”でグレートファイブ撃破を目標に据えたのは、 アナグマの狡猾な知謀といえますが)、“ヒーローとして何が大事か”をモモコの戦いを通して示す前段階が巧く行った事と、 不穏さをかき立てるチューブ側のテーマ曲と共に迫り来る巨大ドクロ、 気絶したモモコの手に血に染まったバンダナを巻き付けるイエロー、 と危機的状況を盛り上げる演出が達者でぐいぐいと進行していきます。
「とくと見るがよい、グレートファイブの最期を!」
腹心アナグマスの策略の冴えにゼーバは高らかに声を張り、決死の覚悟でグレートファイブに乗り込んだ4人が、 ピンクの空席を見つめるのも良いカット。
「一人欠けただけで、これほど苦しいなんて!」
これまで欠片もそんな言及が無かったのに、苦戦展開になると「バルブが!」とか「回路が!」 とか急にメカメカしい発言が飛び出すのは悪い意味でお約束という感はありますが(印象ほど実際には無いかもですが)、 操縦に慣れてきてからは圧勝の続いたグレートファイブのピンチは搭乗員の不足から、というのは納得の要因。
……ところで、グレートファイブがあの巨体で、ドクロの攻撃を浮けてぐるりと空中一回転しているのですが、 どうやって回しているんでしょうかアレ(あれ着て回っているのか日下さん……?)。
操縦もエネルギーの調整もうまく行かず、追い詰められるグレートファイブだが、起死回生の空中回転光子斬りが炸裂し、 ドクロは大爆発。勝った……?!
「これからだ」
しかし、勝利の余韻に浸るのも束の間、地面に散らばったドクロの骨が激しく爆発すると地割れを引き起こし、 グレートファイブの巨体はその中に飲み込まれていく……!
目を覚ましたモモコが仲間の元へ駆けていく姿と、地中奥深くに沈みゆくグレートファイブの姿が交互に描かれる事により、 モモコがリアクション要員となって危機感と緊迫感が高まり、モモコの別行動がドラマとして効いています。
「みんなーーーーー!!」
絶体絶命の状況に姿長官はグレートファイブの放棄を決断。緊急脱出装置の作動を命じるが……果たして、4人は無事なのか?!
モモコの絶叫、地中に消えるグレートファイブ、荒野を吹き渡る風、風に揺れる真っ赤なバンダナ…… と絶望と喪失感をかきたててところから一転、歓喜の勝ち鬨をあげる地底帝国チューブ。
「ゼーバ!」「ぜーバ!」
「もはや我が行く手を阻む者はない。今こそ総攻撃のチャンス!」
「ははっ!」
「地底帝国」
「チューブに」
「栄光あれ!」
「栄光あれ」
「「「ゼーバー! ゼーバー! ゼーバー!」」」
少々、明日は楽しいハイキングな雰囲気で、某メギド王子の祝勝記念パレードを思い出さずにはいられません(笑)
地上では必死に周囲を探し回るモモコが、なんとか緊急脱出に成功した4人を発見。 涙にくれて謝罪するモモコにかける言葉もない4人だが……
「いや、よくやったよモモコ。君は小さな命を救ったんだ」
たまにはいい事言わないと、と長官がフォローを入れ、少年2人との無事の再会を喜ぶモモコを、暖かく見守る仲間達。
今回は総じて、大事と小事の引っ張り合いという構造なのですが、二つの尊い命を救った事を肯定的に描く (戦隊メンバーはそれを笑顔で受け止める)一方で、それはそれとして……当然チューブとの戦いに重く立ちこめる暗雲は、 表情を暗くする長官とナレーションで触れる、と最後までバランス良く収まり、深刻な空気で、つづく。
前作『フラッシュマン』から持ち込まれる事になった2号ロボ登場編の序章といえるグレートファイブ敗北回でしたが、 一歩間違えると茶番になりかねないアナグマの罠を、作品全体のテーマと繋げていく事と、冴え渡る長石監督の演出力でギリギリ切り抜け、 かなり面白かったです。
タケルはラビリンス回でやっていた(&ロボットに乗らないわけにもいかない)という理由もあったのでしょうが、 「血気に逸って単独行動から罠にはまってチームの大ピンチを招く」役回りを、 如何にも単細胞なタケルやケンタではなくモモコに回した事で、 直情径行パターンの悪印象を和らげつつテーマ部分が引き立って良い差配になりました。
女性メンバー2人の配置としては、ハルカ:武闘派・モモコ:アイドル系、と思われていたところから、 闘志を剥き出しにした“戦士としてのモモコ”像をかなり前面に押し立ててきたのは驚きもありましたが、 若干のセオリー崩しをしつつキャラクターの幅も広がり、良かったと思います。
次回――「心を持つというそのロボットは、殺人ロボットだった!」
滅亡迅雷ネットにセツゾク……じゃなかった、新ロボ登場の流れから姿長官の過去にも触れられそうなのは、ちょっと楽しみ。
- ◆第21話「霧の谷の黒い影」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
- 「もう駄目だ……光戦隊もおしまいだ」
「なに言ってんだ!」
「だって! グレートファイブ無しでどうやって戦えっていうんだよ!」
「……ごめんなさい」
「誰のせいでもない……それだけチューブが上手だったって事だ」
グレートファイブを地底に失った光戦隊は意気消沈。年少のアキラの不用意な発言をタケルが取りなし、ここ数話、 だいぶリーダーらしい顔を見せるように(この点に関しては、徐々に変化を見せていくのを諦めて、従来通りの描き方に戻した、 という感じですが)。
その頃、独り本部を離れた長官は、セーラ服の少女から平手打ちを受けていた。
「あなたは鬼です! ……父さんを殺したロボットを、甦らせようなんて」
走り去った少女は、光戦隊の結成にも関わり、姿にとって無二の親友だった山形博士の娘、山形由美。
「実は……グレートファイブに代わる、巨大ロボがあるかもしれないんだ」
かつて、光戦隊巨大ロボ建造計画における選考会議で、姿設計のグレートファイブと山形設計のギャラクシーロボが最終選考を争った末、 グレートファイブが選ばれた過去が判明。姿長官がただの闇の狩人ではなく、ロボットも設計できる闇の狩人だったのは驚きでしたが、 選考会議の壁に国際連合旗めいたシンボルマークが掲げられている事から、謎多き光戦隊の背後には国際的な組織が存在している模様……まあ、 国際的悪の秘密結社かもしれませんが。
姿と山形は互いの健闘をたたえ合い、組織的にグレートファイブの建造が進められるが、 どうしてもギャラクシーロボを諦めきれなかった山形は、私費でギャラクシーロボを建造(笑)
貴様のグレートファイブを私のギャラクシーロボが倒す! ……じゃなかった、正気は失ったが理性まで失ってはいなかった山形博士は、これから試運転を行う、と姿に告げるが……
「――それが、山形博士の最期だった」
姿と由美は、何かを掴むように手を伸ばして絶命している山形博士の死体を発見する、という割と刺激的なシーン。
「ギャラクシーロボは、山形を殺し、行方不明になってしまったのだ」
果たして博士は、自ら開発した“心を持ったロボット”にフォージャスティスされたのか?
「たとえ、どんなに危険な奴でも、君たちなら操縦できる。私は、そう信じてる」
だが姿は、地上防衛の為、亡き親友の遺した巨大ロボと、自らが鍛え上げた若者達に一縷の望みを託し、どう見ても、 博士の死体が発見された湖畔に立ててしまったとおぼしき、東映名物・勝手にお墓に手を合わせる。
「山形……助けてくれ。おまえのギャラクシーロボが必要なんだ。俺はおまえの作ったロボットを信じてる。 どこへ行ってしまったんだ……おまえのギャラクシーロボは」
姿は山形の墓前で心情を吐露し、突然の新戦力を姿の旧友への想いと繋げる事により、 姿の人間味を引き出しつつ物語の中に落とし込みを図るのは、巧いアプローチ。
「帰って下さい。お父さんを殺したロボットの事なんか、二度と聞きたくありません」
「……由美さん、君のお父さんは、心を持ったロボットを作ったと、私に言ったんだ」
そこに更に、傷ついた少女の心を溶かす要素を盛り込む事で、2号ロボにドラマ性を乗せ、 グレートファイブに並ぶキャラクター性を与えようというのは、前作『フラッシュマン』に続く2号ロボ登場第二弾という事で、 工夫が見えます(前作はやはり、そこで出てきたのが甦ったヴァイキング爺さんだった事に問題があったのでは感)。
「信じよう、君のお父さんの作ったロボットを。……このままでは、山形が浮かばれん。……君と私、二人だけでも、 お父さんが作ったロボットを信じたいんだ」
父への愛情とその喪失を、「ロボットへの憎悪」で埋めている由美に対し、「ロボットへの信頼」に移行を促す姿の説得に由美は頷き、 墓参りに訪れるといつも父の声が聞こえてくるような気がする……と湖の対岸に口を開ける峡谷に視線を向けるが、 フーミンの盗み聞きによりギャラクシーロボの存在を知ったイガムが、キメンドグラーを連れて登場。
「おまえが光戦隊長官、姿か」
そういえば初顔合わせを経て、長官のゴッドハンド! で一撃解決しそうでドキドキしましたが、姿は由美を守る為に守勢に徹し、 駆け付けるマスクマン。鬼面ドグラーの怪光線から身を挺して姿と由美を守るマスクマンがオーラパワーを集中するとそれが何かを呼び覚まし、 谷の奥から謎の巨大ロボが姿を見せる……!
「ギャラクシーロボだ!」
赤・黒・銀がパーソナルカラーだったグレートファイブに比べると、 赤・青・黄の玩具カラー三原色が目立つギャラクシーロボが地響き立てて現れるとイガム一派は軍勢を引くが、 ぎこちない動きを繰り返すギャラクシーロボは体勢を崩してその場に倒れ、 巨大ロボの下敷きになって全滅しかけるマスクマン。
何かと苦戦傾向のあるマスクマンですが、姿&由美ともども、普通に下から這い出てくるとは思いませんでした(笑)
開幕のギャラクシーボディプレスに感じた殺意から第一印象最悪になりかけるマスクマンだが、ロボのコックピットから、 レコーダーに遺された山形の声が響き、ギャラクシーロボは試運転の際に落雷の直撃を受け、動作不良を起こしていたという真相が判明。
「姿……光戦隊を頼む! そして……由美を……娘の由美を頼む!」
(……この時、ギャラクシーロボから放り出されてしまったのか)
……前半、だいぶしんみりと描かれた山形の死(および姿や由美の関係性)ですが、だいぶ、酷い死因でした。
チューブがギャラクシーロボの存在を知らない為、実はチューブのスパイに殺されていました、とするわけにもいかず、 純然たる事故死なのですが、これ、由美のいう「父さんを殺したロボット」が、レトリックとしては何も間違っていないのでは……。
「山形を失ったギャラクシーロボは、怒り狂う狼となってしまったんだ。……山形」
ギャラクシーロボが姿を消していたのは、飼い主を失って野生化していたからなんだ! と長官が理屈をつけ、なまじロボットに心を持たせたばかりにグラヴィトン。
「よし。このギャラクシーロボで戦うんだ!」
地面に倒れ込んだGロボに、今が好機とチューブ戦闘機部隊が襲いかかり、タケル達は、Gロボが殺人ロボでない事を由美に証明する為 (これが今回の、ヒーローとして誰かを救う事になっているのは、曽田さんらしいツボの抑え方)にも、その操縦を決意。
「山形博士、由美さん、長官! 見ていて下さい!」
ちなみにここで、コックピットへの搭乗時及び、姿&由美の退出時に、オーラあやとりからの縄ばしごを繰り出しているのは、 巨大ロボット物という観点で見てなかなか便利で格好いいアイデア。
緊迫感と迫力を出す狙いからか、コックピットから降りた長官と由美が思い切り戦闘機の標的にされるシーンが入るのは若干どうかと思いましたが、 姿長官のオーラシールドなら、20mm機関砲(地上のF−15戦闘機の搭載火器相当)の掃射ぐらいへっちゃらです!
マスクマンとなにがしかの意思疎通を図るのかと思いきや、至極あっさり再起動したGロボは、 ランドバルカンで次々とチューブ戦闘機を撃墜。胸部から突き出したダブルバルカンが容赦なく未来のお義兄様へと撃ち込まれ、 鬼面ドグラーは敢えなく爆死。
「さあ、グレートファイブを助けに行こう!」
新戦力の入手にまずは喜ぶのかと思いきや、あくまでもグレートファイブの回収が重要事項、と驚くべき切り替えの早さ(笑)
脚部の車輪を駆動させ、一目散にダッシュするGロボだが、ゼーバ様はオケラを地上に送り込み、 巨大化した鬼面ドグラーがその前に立ちはだかる。Gロボは、車輪付きの鎖・ギャラクシーアンカーによる攻撃から、 華麗な空中回転キックを浴びせるとマウントを取って連続パンチ。最後は合体武器のギャラクシーバズーカを至近距離から叩き込むが、 鬼面ドグラーの突撃を受けて相討ち?! 果たして、Gロボの運命は……で、つづく。
前半じっくりとGロボ誕生の背景を描き、その存在に厚みを持たせてくれたのは良かったのですが、 その反動もあってか後半はだいぶ駆け足になってしまい、心を持ったロボット、という要素も拾われないまま再起動してしまったのは、 バランスが悪くなって残念。再起動シーンの盛り上がりが不足した為に、 その後も新ロボットのギミックを順々に消化していくだけになってしまいましたが、次回――まさかのロボ座禅!!
- ◆第22話「風雲オーラの嵐!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
- 鬼面ドグラーと共に爆炎の中に消えたかと思われたGロボだったが、トレーラー形態ランドギャラクシーとなって無事な姿を見せ、 巨大トレーラーがひたすら荒野を駆け抜けるトレーラー推し回。
1号ロボに比べると小回りの利くスピード型、車モードへの変形機構、 と前作の2号ロボにあたるタイタンボーイの正統継承者となっていますが、二作続けてやたらトレーラー推しなのは、 流行っていたのか……? と思い、トレーラーといえばあれだろうかと調べてみたら、 《トランスフォーマー》の日本での玩具発売および東映動画も制作に加わっているアニメ放映が1985年に始まり、 この当時も放映中であり、バンダイ的に、タカラへの対抗アイテムであったのでしょうか。
「グレートファイブを渡してはならん!」
だが、こちらも無事だった巨大鬼面ドグラーに張り付いていた寄生獣が分離するとGトレーラーを追撃し、 地底に沈んでいたグレートファイブをキャプチャーすると、なんと合体。頭部に寄生獣の貼り付いた、グレートドグラーが誕生してしまう!
「今わかったかマスクマン。地底獣キメンドグラーの恐ろしさ」
「グレートファイブを使って敵を倒そうなどとは、さすがはアナグマス」
敵の手に落ちた巨大ロボと戦う事に、というのは定番のアイデアですが、チューブ怪人の特性を活かし、 ビジュアル的にもわかりやくグロテスクで、面白い絵。
グレートと鬼面に前後から挟み撃ちを受け、フルパワーでなんとかその場から逃走しようとするGトレーラーだがコントロール不能に陥り、 崖下へとダイブ……と見せて、なんと崖の斜面を疾走すると急停車で5人をコックピットから叩き出す!
「山形は、心を持ったロボットを作ったといったんだ。信じるんだ、山形の言葉を」
つまり、敵に背を向けるとは士道不覚悟だから死。
てっきり、俺に「にげる」コマンドはねぇ!! だとばかり思ったのですが、5人は、Gロボの心とは山形の願いではないか、と考える。
「それは、平和を願う事。科学と、正義の心で平和を願う事」
それを聞き、光戦隊本部の壁に描かれたマシン観音の画に目を止める由美。
「これだわ……これだったんだわ」
由美は、父の墓参りの際、湖に映し出されたその図像を幻視していた事を語り、今作を象徴する〔肉体×神秘×機械〕三位一体の、 不可思議な図像がまさかの回収。
「そうか……! ギャラクシーロボには、オーラパワーが秘められているのかもしれない!」
タケルの言葉に、前回の湖畔で、Gロボがオーラパワーに反応して目覚めた事を思い出すハルカ。
「引き出すんだ! オーラパワーを!」
今作序盤、「心身を鍛えて人体の秘めた未知のパワーを引き出す」という光戦隊のコンセプトが「それはそれとして巨大なマシンで戦う」 番組の事情と目立った齟齬を生んでいたのですが、「心があるならロボットだってオーラパワーを引き出せる筈!」と、 神秘×機械を融合させる事により、2号ロボを用いてその難点を克服してきたのは、見事なアクロバット。
……まあ、穴を埋める為に別の大きな穴を掘った感はありますが(笑)
Gロボを破壊しようとわいわい繰り出してきたバラバ一派を蹴散らしたマスクマンは、 再びGロボに乗り込むと人型へと変形させ――岩陰で座禅を組み瞑想に入る!
前回こだわっていたのに後半で消えてしまった「ロボットの心」要素は、この後半への布石だった事が明らかになり、 〔心身を鍛える → 人体に秘められた力(オーラパワー)を引き出す〕と〔機械なので肉体は鍛えられないが心がある → ならば未知の力を引き出せる筈!〕の間には広くて深い谷が存在しているとは思うのですが、 大真面目に繰り出されるこの画のパワーには、脱帽です(笑)
それにしても山形博士は、「私費で巨大ロボを建造」に続き、「心を持たせる事でロボットにオーラパワーを組み込む」 と姿長官よりもむしろ先鋭的な設計思想の持ち主(これが選考会議で負けた理由か……?)で、愛される父親アピールとは裏腹に、 正真正銘のマッドサイエンティストですが……まあ、よく考えてみると、姿長官の「親友」なので、類は友を呼ぶ人なのか。
かくして、亡き山形博士の意志を継ぎ、今ここに、科学とオーラが融合する! かと思われたが、いきなりの落雷を受け、 コックピットで血まみれになる5人。
「……頑張ろう! これは、ギャラクシーロボに天が与えた試練なんだ!」
山形博士の死因、なにやら禁忌の領域に触れた為、みたいな扱いに。
「俺達がオーラパワーを引き出した時の事を、思い出すんだ!」
タケルの音頭で5人は第2話の爆熱炎上座禅スクラムを振り返り、むしろ死を前にした時こそ人の命は燃え上がり、 最高に“生きてる”って感じがするだろぉぉぉ? とまたもや死中に活を見出そうするのが、まあ、作風が貫かれているといえば、 貫かれています(笑)
「この試練に耐えた時、俺達と同じように、ギャラクシーロボ自身が、秘められた未知の力を発揮してくれる筈だ」
叩きつける雷雨の中で5人は瞑想に入りGロボも座禅を組み直すが、そこに迫る鬼面ドグラーが無防備なGロボとマスクマンに砲火を浴びせる。
「落ち着け! もう少しだ! 信じろ――オーラパワーを!」
その光景に真っ当に悲鳴をあげる由美だが……
「オーラパワーの戦士は負けぬ。マスクマンのオーラが、必ずギャラクシーロボのオーラを引き出す。その時こそ、 科学と正義の心で、平和を願うロボットが完成するんだ」
むしろ叱るように諭す亡き父の親友は、だいぶイかれた人だった。
鬼面ドグラーの攻撃をものともせず激しい嵐の中で瞑想を続ける内(仏典的なイメージか)、 いつしかコックピットに座る5人はオーラマスクし、そのオーラがギャラクシーロボと同調…… 遂に自らもオーラを発して空中浮揚したギャラクシーロボの背後に巨大なマシン観音が浮かび上がり、 話としてはあちこち飛躍が色々と荒っぽいのですが、とにかく、ここでしかない絵を見せつけてくる勢いが強烈無比(笑) 謎の満足感が発生しています。
「立て! ギャラクシーロボ!」
オーラの境地に達し、覚醒したGロボは鬼面ドグラーに挑みかかり、 しっかりガンもカッターも使うグレートドグラーとの二対一の戦いで苦戦を強いられるが、 挟み撃ちを崩してからの銃撃で寄生獣を引きはがす事に成功。鬼面ドグラーと一対一の戦いになると、 回転パンチからギャラクシーバズーカ、トレーラー状態でのオーラロードスパーク(移動技)を挟んで、 オーラを纏った手刀で標的を真っ二つにする鉄拳オーラギャラクシーにより鬼面ドグラーを撃破。
ここに、座禅を組んでオーラを発し、敵を両断して合掌する、脅威のオーラロボットが誕生。 Gロボは奪還なったグレートファイブと握手をかわし、光戦隊は、亡き山形博士の為にも、地球に平和を取り戻す事を改めて誓うのだった――。
なにやら目の前で巨大な穴が掘り進められている気はするものの、あまりにも穴のスケールが大きい事と、 それを彩る画の強烈さに認知が狂ってくる、大変困ったエピソードでした(笑)
前作では、スピード型だったタイタンボーイはともかく、 タイタンボーイの強化形態であるグレートタイタンが最強すぎて1号ロボと2号ロボを巧く使い分けられず、 新要素の物語的消化に手間取った部分がありましたが、それを踏まえた今作で、2号ロボをどう使ってくるのかは、 そこまで大きな期待はしないなりに一つ興味のあるところです。
次回、最近名前の出てこなかった美緒が良いタイミングで再登場。果たして、タケルはまたも敵前逃亡してしまうのか?!
電撃戦隊なら、今度こそ銃殺刑だ!!
- ◆第23話「悪魔になった美緒」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
- グレートファイブを奪還されてお怒りのゼーバ様をなだめるアナグマスは、地底地獄から掘り出してきた封印地底獣・マジンドグラー (人語を喋る知性あり)を地上へと送り込む。かなり凝った造形の魔神ドグラーは、通りすがりの女性を美緒そっくりに変身させると洗脳し、 その標的になっているとは知らぬタケルは、美緒の夢を見てうなされていた。
「これまであんな夢を見た事は無かったのに……何故、何故あんな夢を」
ベッドサイドのランプが、明るすぎるのではないか。
(グランプリも、美緒も、夢なのか? みんな遠い夢なのか?)
タケルと共に美緒のイメージカラーである真っ赤なスポーツカーでサーキット?を走るタケルはいちゃいちゃ妄想を膨らませるが、 なんとそこに、懐かしい服装でタケルの名を呼びながら姿を見せる美緒。二人は熱烈な再会の抱擁をかわし、 心配そうにタケルの走りを見つめていた仲間達も駆け寄ると口々に再会を祝し、君たちは、 本当にいい奴だなぁ……!
だがその喜びも束の間、美緒を追って地上に現れるイガム一派。
「地底帝国チューブから、逃れられると思っているのか!」
「タケル、ここは俺達に任せろ!」
ケンタ達4人は即座に足止めを買って出て、君たちは、本当にいい奴だなぁ……!!
「夢みたいだ……まるで、夢を見ているようだ」
タケルと美緒は車に乗り込んで逃走し、助手席に座る美緒の存在に早くも緩みきった笑顔を浮かべるタケル、いや今、 君の仲間達が必死に敵を食い止めているからな!
「私もどんなに会いたかった事か」
美緒の手がそっとタケルの手に重ねられると相好ますます崩れ、いや今、君の仲間達が必死に敵を食い止めているからな!
だが二人のラブラブ逃走劇は戦闘機部隊の強襲を受け、トンネルに入るとそこには謎の棺桶が。
「この棺桶は、お前達を葬るためのもの」
不思議な空間に引きずり込まれたタケルは、オーラマスクすると何とかその空間を突破するが、 魔神ドグラーと戦闘員に更なる追撃を受ける。
「地底の魔術師から、逃げられるか!」
美緒を連れて逃げるタケルは秘密の通路を開き、第2話以来?となる移動用シューターを使用。 だがチューブの狙いは偽美緒の身につけた発信器により、光戦隊の本拠地を突き止める事にこそあった!
「これで光戦隊の秘密基地を暴く事が出来る。一挙に総攻撃をかけるのだっ!!」
大変気合いの入った号令を掛けるゼーバ様、首領ポジションの割には幹部ポジションと目線が近いというか、どうも、 地上侵攻が上手く行っていない事に自覚があるらしいのが、ちょっとした特徴になっています(笑)
意気上がるチューブだがしかし、一枚上手の姿長官は、秘密通路を探るドグラーらの姿をモニターで確認すると、その目的を看破。
「タケル、敵の狙いはシューターだ! ……5秒後に、シューター305を爆破する。 オーラパワーを信じるんだ!」
……じゃなかった、
「タケル、敵の狙いはシューターだ! ……5秒後に、シューター305を爆破する。早く脱出するんだ!」
基地の所在を突き止められるわけにはいかんので私は私の選んだ若者達を信じている、と長官は自爆スイッチをぽちっとな。
そう、皆さん声を揃えてご一緒に……
自爆は宇宙最強のセキュリティ!
かくして、尊い犠牲により光戦隊基地の秘密は守られ(まさかチューブも、 都心の高層ビルに堂々と居を構えているとは夢にも思ってはいない罠)、善玉サイドの自爆攻撃で思い切り宙を舞う着ぐるみ怪人と戦闘員、 というのは割合と珍しいような。
タケルと美緒はからくも自爆の巻き添えを逃れ、主に味方の攻撃で血まみれのタケルは、吊り橋でがっくりと座り込む。
「やはり君は美緒ではない……」
タケルは、幾つかの言動から、偽美緒を看破。魔神ドグラーの魔術に操られた偽美緒の隠し持っていた拳銃が火を噴くが、 タケルの携帯していたペンダントに、その銃弾は食い止められる。
「そいつは美緒じゃない。……俺の美緒は……ここに居る」
銃弾を受けたペンダントは表面の装飾が砕け剥がれてしまうも、その下に隠れていた美しい水晶のような面を露出し、 キーアイテムがモデルチェンジ。魔術が解けた偽美緒は元の姿に戻り、 純然たる被害者ながら事情のわからないマスクマンから完全に敵視されていて、勢いでマスキーローターされなくて本当に良かったです。
作戦失敗した魔神ドグラーは海中より棺桶を浮上させ、マスクマンと不思議空間で激突。 魔神の操るデス棺桶攻撃を受けそうになる赤だったが、咄嗟に体勢を入れ替えると逆に魔神ドグラーを棺桶に詰め込み、 5人でレーザーマグナムを一斉発射。このダメージで不思議空間が消滅した際の爆発にまとめて吹き飛ばされるマスクマンだが、 棺桶から抜け出そうともがく魔神ドグラーをオーラあやとりで封印するとショットボンバー! を叩き込み、美緒を利用してタケルの逆鱗に触れた魔神ドグラーは、マスクマン史上空前のえげつない手段で爆殺されるのであった。
巨大戦では、ターボランジャーに格納されたランドギャラクシーの発進シーンが描かれ、変形・武装・回転、 とたっぷりGロボらしさを見せた上で、謎のオーラロード開放からの鉄拳オーラギャラクシーで、合掌。
「美緒は、生きている……。美緒は、重い秘密を一人で背負っていながら、決してそれを表には出そうとせず……いつも、笑顔で居た」
チューブの卑劣な作戦に、戦いの日々の中で秘めた恋情を揺さぶり起こされたタケルは、 水晶のペンダントを手に海を見つめながらいちゃいちゃ回想にふけり、夢のようなあの日々を思い起こす……。
「……必ず、どこかで、生きている」
氷柱の中で眠る美緒/イアルの姿が挿入され、持て余した激情の赴くままに海に向かって「美緒ーーー!!」 と絶叫しながら走るタケルの青春爆発ファイヤーを仲間達が生暖かく見つめ、君たちは、本当にいい奴だなぁ……!!!
二号ロボ登場編が一段落し物語もそろそろ折り返し地点といった所で、タケル×美緒の関係に再びスポットが当たり、 美緒が絡むとタケルのブレーキが利かなくなり、それを暖かくサポートする仲間達の好感度が自動的に上がっていくという、 良くも悪くも序盤の内容をなぞるような一本。
一応、偽物を見破ったところにタケルの愛の力と戦士としての成長(物語としての前進)が描かれている意図なのかもしれませんが、 長官の無慈悲なぽちっとなが無ければ致命的な失策寸前だったので、説得力は弱め(笑)
棺桶にこだわった演出は見所がありましたし、タケルがただの浮かれたぼんくらではない (マンホールから顔を出した美緒が何か秘密を抱えている事にさすがに気付いてはいた)事も示唆され、 何より首飾りのモデルチェンジは今後に繋がってきそうなので、どう転がしてくるか楽しみです。
- ◆第24話「鍾乳洞の少年怪獣」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
- 見所は、目撃者を確保しようと鍾乳洞の中で光線技を放った結果、落盤事故を引き起こして逆に閉じ込められるイガム一派。 残念! これが、残念の呪いなのか!
静岡県引佐町を舞台に、麦わら帽子に短パンランニングでちょっと太ましい田舎の腕白少年と、 夏休みに都会から遊びに来た少女の交流が描かれる、ザ・夏休み、というエピソード。題材に興味が無いので淡泊な感想になりますが、 少年と少女の絆の象徴をペンダントにする事で、思い入れの爆発したタケルが積極性を発揮する、 というのは今作ならではの話運びとなりました。
リュウドグラーの特殊な消化液により原生生物にされてしまった少年(容赦なくグロテスクなデザインは秀逸)が、 地元の山狩りに合うなど難儀するも、オーラパワーとペンダントに填め込まれた石の共鳴による不思議な作用で元の姿に戻り、 マスクマンはダム湖に消化液を流し込んで人類総アメーバ計画を実行しようとするイガム一派と激突。
「子供達の夏休みを、恐怖に陥れたリュウドグラー! 許さん!」
強敵リュウドグラーに苦戦するマスクマンだが、二刀流を振るった赤が怒濤の連続攻撃を決め、トドメのショットボンバー。 今回はグレートファイブが出撃し、後輩(ただし年上)に負けてはいられないとドグラーを豪快に投げまくると、 ファイナルオーラバーストで合掌。
あと、ハルカが久々に手裏剣を投げました。
次回――高原竜登場。
(2025年7月25日)
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