ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『星獣戦隊ギンガマン』 感想の、まとめ1(1話〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
- ◆第一章「伝説の刃」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
- 「星獣――それは、銀河の平和を守る為に戦う、神秘の動物たちの事である!」
《メタルヒーロー》シリーズの虎の子として育成され、前年『電磁戦隊メガレンジャー』でトロイカ体制の一翼を担った小林靖子の初メインライター作品であり、 『超力戦隊オーレンジャー』(1995)でデビューした田崎監督も、初のパイロット版担当。
3000年前――地球を襲った宇宙海賊バルバンを、不思議な力アースを持った戦士達と5星獣が封印した。 戦士の末裔たるギンガの村の民は結界によって守られたギンガの森にひっそりと暮らしながら、この伝説と星獣剣を守り続けていた。 そして、第133代、星獣剣の戦士の儀式の日……
アースはわかりやすくいうと属性系特殊能力なのですが、炎・風・水・雷は定番として、5人目はどうするのかと思ったら、 花!
……は、は、花の戦士ビーファイターアゲ……ハ……セ、セントパ……ううっ、頭が……。
個人的にはだいぶ忘却の遠い霧の彼方にある『ビーファイターカブト』ですが、時期的には今作の2年前であり、 1−2話のバルバンの描写など見るに、高寺プロデューサーとして《メタルヒーロー》シリーズへの餞という意識が若干あったりもしたのでしょうか。
ちなみに戦隊シリーズでいうと、この属性は(重ねて、定番ですが)後の『魔法戦隊マジレンジャー』に引き継がれているのですが、 つまり一歩間違えると、
「咲き誇る花のエレメント、緑の魔法使い、マジグリーン!」
に兄者がなっていたかもしれないのか!!
(……いやその場合は、兄者と芳香が入れ替わったでしょうけど)
今作では〔風=緑・花=桃〕が、『マジ』では〔風=桃・大地=緑〕、になっているのですが、 〔炎・水・雷〕は〔赤・青・黄〕以外にほぼ割り振れないので、イメージカラーが強すぎるのも案外と遊びがなくて使いづらい面はあるのかと思ってみたり (赤の「炎、太陽」のイメージはしばしば見られますが)。
そう考えると、天火星(赤)・天風星(桃)は定番ながら、天幻星(緑)・天重星(青)・天時星(黄)とした『ダイレンジャー』 はかなり工夫してひねっていたのが窺えます。
『シンケンジャー』になると、火(赤)・水(青)と来て、実質的な風である天(桃)で、木(緑)・土(黄)となるのですが、 イメージ的にはわかりやすく繋がりつつ、「土」に女性メンバーを当てはめたのが一工夫といえ、 色の持つイメージをわかりやすく用いつつもあまりにもパターン化しないように気を配る、というのは戦隊シリーズらしいなと思う所です。
脱線が長くなりましたが話は戻って儀式の日、なんと海底からメルザード一族、じゃなかった、宇宙海賊バルバンが復活。
ヒャッハーガンマン(CV:檜山修之)、えらく露出度の高いダークエルフ(水谷ケイ/顔出し枠)、トゲトゲマッチョ(CV:渡部猛)、 エジプト魔女(CV:高島雅羅)、バイオサムライ(CV:林一夫)、どう見てもグラッチの親戚(CV:茶風林)、 そして船長(CV:柴田秀勝)、というメンバーが豪華勢揃い。
「やっと俺たちにも運が向いてきた。三千年の憂さ晴らし。どいつもこいつも遠慮はいらねぇ。好きなだけ暴れ回ってこい!」
ヒゲに見える模様がチャーミングな戦闘員を引き連れ、海賊幹部は街で暴れてそれぞれの傾向を見せ、 その復活を感じ取ってギンガブレスを受け継ぎに向かう星獣戦士達の前には、船長と樽が三千年前のお礼参りに現れる。
戦闘員相手に5人のアースをそれぞれ見せ、花びら浴びせると爆発するのが怖い。
結界の外で出会った少年と共にこの光景を目にしていた落第戦士リョウマは、 炎の戦士である兄ヒュウガの危機に飛び出すが船長に叩き伏せられ、逆にリョウマをかばったヒュウガが地割れに飲み込まれてしまう。
「おまえの力を、俺は信じてる」
「兄さん……!」
自ら割った地面を鉤爪で戻して落ちた相手をプレスする、という大変むごい攻撃の犠牲になったヒュウガは、 星獣剣をリョウマに託してマグマ蠢く大地の底へと落下していき、これをきっかけに眠っていたアースに目覚めたリョウマ、 火炎放射で戦闘員を一掃。
「許さない。おまえ達は、俺が、俺たちが!」
「「「「「倒す!」」」」」
一致団結した5人の叫びに星獣が応え、転送されたギンガブレスを身につけた5人は、 銀河転生により三千年前にバルバンを封印した伝説の戦士――ギンガマンへと変身する!
「銀河を貫く伝説の刃! 星獣戦隊!」
「「「「「ギンガマン!」」」」」
「ギンガマン――それは、勇気ある者のみに許された、名誉ある銀河戦士の称号である」
各個の名乗りが「キャッチコピー・戦士名」というのはままありますが、「戦士名・本名!」というのは、 歴代でもかなり珍しいでしょうか。……と思ったらそれこそ『ダイレンジャー』がやっていましたが、 銀河戦士達も1ターン目から気力満タンです。
「銀河炸裂!」
というフレーズが、意味分からないけど力強くて楽しい(笑)
転生したギンガマンは星獣の力を得た戦士という事でか、構えから攻撃まで獣のイメージで戦うのですが、 人の理性を捨てて獣の野生に目覚めている感じがちょっと怖い。
初回にして敵のボスから幹部クラスまで、総勢5人が並んでいる所に剣一本で「アニキの仇じゃーーーーーー!!」と飛び込むレッドは、 さすがに空前絶後ではないか。
本能覚醒しまくりのギンガレッドは炎一閃で船長をぶったぎり、バルバン上層部にまとめて範囲ダメージ。
「いいだろうギンガマン。今日のところは引き上げてやる。これで勝ったと思うんじゃねぇぞ」
船長と一味は捨て台詞を残して引き下がり、前年に引き続き、大変不安な立ち上がりです(笑)
仁義なき一撃によりひとまずバルバンを撃退した5人、塞がってしまった地割れを前に託された星獣剣を見つめたリョウマが 「兄さん……」と呟くと、左右に並んだ4人が剣を合わせて強制的に銀河戦士に引きずり込むのが物凄く容赦ありません。
宿命の戦士に悲しみに浸っている時間など不要なのだ!!
「三千年の時を超え、新たに誕生した、星獣戦隊ギンガマン! 今、伝説は始まった!」
ナレーションを務める若本さんがまだ普通に喋っている頃で、落ち着きます。
『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)以来7年ぶりにして、2019年現在、最後の「○○マン」戦隊の今作ですが、 前作に引き続き新世代の戦隊を企図してスタッフに新風が取り込まれる一方、ナレーションの多用による進行、 イラストアイキャッチなど、古めかしく見える要素が意図的に盛り込まれている節があるのが一つ特徴。
ナレーションに関しては星座伝説、じゃなかった新たな星獣伝説を語る、というコンセプトがあるのかもと思われますが、 この“語り”への意識は後の『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)への繋がりを感じさせる部分。
何かに選ばれる(何かを手に入れる)事で自分の居場所を見つける(そして何者かになる)、というテーゼは古今に様々ありますが、 では選ばれた場所が本来別の誰かのものであったなら? という一ひねりが持ち込まれ、大人しめの立ち上がりの中で、 主人公は本来レッドになる筈だった男の控え、という要素がどう転がっていくのか、楽しみです。
- ◆第二章「星獣の再来」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
- 三千年の封印から復活した宇宙海賊バルバンは、銀河中を飛び回る本拠兼宇宙船兼にして、 星を喰らい星の命を宝石に変える魔獣ダイタニクスがまだ眠ったままである事に気付くと、 それを目覚めさせる為にエネルギーを集める事に。さっそく4大軍団長がそれぞれの部下を呼び出して出番で揉め、 その有様は完全にネロス帝国(笑)
船長の差配によりヒャッハーガンマン軍団のザリガニリーゼントが一番手を務める事になり、街に繰り出すとガソリンを集め始める。
てっきり、人々の悲しみや絶望を集めたりするのかと思ったら、エピソードのバリエーションを展開させやくする為か、 具体的なものを怪人の任意で集める、という形で展開。
一方その頃、ギンガの森ではヒュウガ追悼の儀式が行われていた。
「今ヒュウガの魂は、星獣の星に導かれて、銀河に旅立った」
過去の様々な例に鑑みて、見た目から発言と行動の危ぶまれた長老が、 ヒュウガの遺骨から銀河のシンボル・セイジューウマンを作り出さなくて本当に良かった。
最悪のタイミングで星獣剣の戦士となった5人の若者達はバルバンと戦う決意を固め、兄の死で二軍から急遽昇格したリョウマが 「でも、俺は戦う!」と炎の戦士となる事を受け止め、もともと友達とはいえ残り4人もそれに不満を示す事なくすんなりと受け入れたのは、 面倒くさくなくて良かったです。
街で暴れるリーゼントを止めに向かおうとする5人だが、ダークエルフ(ゾンネット→シボレナ→、 という路線が極まりすぎた感のある衣装ですが、シーンによっては雪も積もっており、撮影時の苦労が偲ばれます(^^;)) が結界を破ってギンガの森を襲撃。出入りじゃ出入りじゃぁ!と武器を手に立ち向かうギンガの民だったが、 森のエネルギーを吸収する種子が設置された事から、長老は住民ごと森を強制封印する事で、これを阻止。
「戦士達よ、重要なのは森を守る事ではない。地球を、全ての人々を救う事だ。ゆけ。星獣たちは必ず来る。バルバンを倒せ!」
石化した森は湖底へと沈んでいき、リョウマが「振り向くなぁ!」と檄を飛ばしながら、 後ろ髪引かれる思いで馬に乗って故郷を後にする5人、というのはどこか時代劇テイスト。 OP・ED映像で共に馬の存在が強調されていますが、特撮ヒーロー物の源流としての西部劇や時代劇要素を散りばめているようなのは、 意識的なものを感じます。
前回出会った少年とその父を助けたリョウマ達は、リーゼント達を前に銀河転生。 「銀河炸裂!」は戦闘開始の合図として今回も使われ、 意味不明感と勢いのブレンド具合が妙に気に入ってしまいました(笑)
怪人の銃撃を、それを上回る威力の火炎放射で吹っ飛ばしたレッドは、炎一閃により今回も独りで怪人を撃破し、 近い時期の作品でいうと、「あちゃあ! ほあちゃあ! 超力ライザー!」の人ばりの戦闘能力を披露。 他メンバーも戦闘員相手に能力披露などはあるのですが、個人武器なども未登場ですし、ドラマ的にもアクション的にも、 パイロット版はかなりレッド偏重な作り。
……にしても、覚醒後とはいえリョウマでこれだと、弟より優秀な兄であったヒュウガはもしかして、 「星獣剣・フォー・ジャスティス!」みたいな人だったのでしょうか。
あそこでリョウマが飛び出さなかったら、第2話で壊滅していたのかもしれない、バルバン。
炎一閃で重傷を負ったリーゼントは、命を縮めるリスクを持つバルバンエキスを飲む事で自ら巨大化。 エキスの外見がどう見ても酒瓶な上に怪人がヤンキー寄りな事もあり、つい2年前の芋羊羹を思い出してしまいました(笑)
「馬鹿め! この俺に勝てると思ってるのか!」
巨大リーゼントに踏み潰されそうになるギンガマンだがその時、リーゼントの背に複数の閃光が突き刺さり、 粉塵の向こうに姿を現したのは、5体の巨大な星獣!
…………生ものっぽい見た目がちょっと気持ち悪い(笑)
レッドを頭上に乗せた星獣ライオンは、アースの力を増幅して放つギンガファイアーボールでリーゼントを消し炭にし、 5人は星獣と心を通い合わせ、共に戦う事になるのであった。
「パパ、これが伝説だよ。ホントの」
で、綺麗につづく……かと思ったらもうワンシーン入って、自分たちが宿無しになった事実を噛みしめる星獣の戦士達。 そこに飛んできた生き残りのドングリが、長老から託された首飾りをリョウマに渡す……で続く。
次回――戦士達は法の目をかいくぐり屋根のある住まいを手に入れる事が出来るのか?! この首飾りを、 質屋に持ち込めばいいのですね長老!!
作り手側が最大の焦点を当てたと思われる五大星獣登場! に特別ときめきを覚えなかった事もあり、 正直パイロット版としてはグッと引き込まれるというような内容ではありませんでしたが、 考えてみると『カー』も『メガ』もスロースタートな部分はあったので、高寺さんの理屈っぽさ(段取りの踏み方) と個人的に好む戦隊のテンポとにズレがあるのかもしれません。 その『カー』も『メガ』も中盤以降は噛み合ってきて両方とも好きな戦隊なので、今作も良い形で加速していってほしい。
- ◆第三章「大地の知恵」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
- 見所は、花の戦士よりも花を愛するゴウキ。
リョウマ中心で展開した1−2話においてさえ、画面に居るだけで存在感がありすぎたギンガブルー・ゴウキの個人回を最初にやってくれたのは、 心が落ち着いて良かったです(笑)
海賊船ではサムライとガンマンが戦闘中に割って入った魔女を後ろから蹴り飛ばすマッチョという大騒ぎの真っ最中。
「貴様等! 3000年前に封印された原因が、その足の引っ張り合いだった事を忘れたのか!」
その取っ組み合いをダークエルフが一喝し、おお、悪が悪である由縁が敗因となるという要素が、 過去の戦いの教訓から早くも指摘された!
3000年前の二の舞を避ける為、船長は復活作戦の行動隊長としてガンマンを指名し、他の幹部に一切の介入禁止を命令。 そしてガンマンは、樽の入れ知恵により「熱」を集めさせようと部下を地上へ送り出す。
一方、逞しくサバイバルしていた5人の銀河戦士は、かつてのギンガの森が沈んだ湖畔を離れようとしていた。
「俺たちは必ず地球を守る。そして平和になった地上に、ギンガの森を戻すよ」
生粋の伝説戦士でありバルバン滅殺を宿業とする5人に、平和の先で故郷を取り戻すという、 宿命とは別の視聴者に共感しやすい目的を与えたのは上手いモチベーションの構築で、 安住の地と精神的よりどころを失わせて5人を戦いに縛り付けつつ、それそのものを戦いの動機に繋げるというのは、 立ち上がりに鮮やかな設定です。
夢に見た本物の「伝説」と出会ってテンションの高い青山父は、友人がオーナーを務めるシルバースター乗馬倶楽部を住居として紹介し、 銀河戦士達は、街をふらついていて職質→「地球を救う使命があるんです!」→「君ちょっとそこまでいい? えーと、この剣なに? 作り物にしてはよく出来てるねー。身分証明書ある? どこ住んでるの?」の危機を未然に回避!
屈託無く青山父の厚意を受け取る面々の中、ちゃんとお礼を言うハヤテ、いい人。顔立ちや雰囲気からは、 ハヤテは5人の中ではやや年長(ヒュウガと同世代?)に見えるのですが、メンバーのフォロー役だったりするのでしょうか。
既に5人と馴染んでいる青山少年はTVや電話の説明をしようとするが、戦士達は現代文明の利器について最低限の理解はしていると胸を張り、 ネタにはしやすいけどバランスが難しくなる文化的ギャップネタは潔く排除(知識はあるけど実物に触れるのは初めて、 という事なので多少はやるかもですが)。
「戦士の常識。いつ森の外に出てもいいようにね!」
いつバルバンが復活しても、殺る気満々だぜぇ!!
衣装や宿命の血統に受け継がれた伝説と特殊能力、と設定はファンタジー寄りなのですが、 戦隊としての立ち位置はつまるところ超力戦隊に近い(笑)
……逆に言うと公権力戦隊というのは「宿命の戦士の職務化」ともいえますが、この双方の立場を取り込んでバディ化したのが後の 『仮面ライダークウガ』の一要素といえるでしょうか。勿論、公と私の対立と融和を相棒関係の衝突と共闘関係で描くというのは一つ定番なのですが、 そこで私とヒロイズムの折衝、組織との関係を丁寧かつ巧い具合に寓意を織り交ぜて描いていったのが『クウガ』の面白さであったな、 と改めて。
(最近、『ビルド』が『ビルド』なので、リアリティと寓意的表現の境界、というのが気になっている模様)
パイロット版に続いて雪景色を利用し、人間の体熱を奪うどころか気象の寒冷化まで引き起こす怪人(さらっとやっているけど、 物凄いスペックなのでは)と一当たりしたギンガマンだが、ゴウキが森へ帰ると宣言して乗馬倶楽部を出て行ってしまう。
「今森へ戻ってなんになるんだ。ただ後ろを振り返るだけじゃないか」
ゴウキさんよぉ、うちのシマ荒らされてオヤジがあんな事になって、一度戦争が始まったからにゃあ、 ケジメつけるまで終わらんのじゃぁ!!
仲間達が不満を洩らす中、ゴウキ戦線離脱の理由に気付いたリョウマは、ギンガの湖へと向かう。そこではゴウキが、 ギンガの森で12年に一度だけ咲く星の花を見ようとじっと座っており、リョウマとゴウキは22歳と判明。
「ずっと忘れていた……森をなくして思い出したんだ」
あって当たり前のものが消えた時にその意味が染みてくる、というのは、 ごつい外見ながら気は優しくて力持ちを地で行く花を愛する男というだけではなく、ゴウキに奥行きが出来て良かったです。 そして、肉親を失ってすぐながら、憎しみのみに囚われる事なく仲間を気遣う意識を持つという、リョウマのレッド像の示し方もスムーズ (今回むしろこちらがメインだった感もあり)。
森の命で光る星の花の輝きを一瞬でも見る事が出来たら、森が生きている事を信じて戦いに集中できるのでは……と考えていたゴウキだが、 リョウマが自分の心情を理解してくれた事で立ち上がる。そこに残り3人もやってきて星の花の開花を待とうとする5人だが、 ブレスから響く謎の声がバルバンの襲撃を告げ、街へ向かうと炎一閃(赤)と激流一刀(青)の連続攻撃で怪人を撃破。
巨大化した怪人に対して5人の呼びかけで星獣が次々と登場し、攻撃を受けて倒れた猫を守るゴリラと鳥、紳士度が高い。
標準的戦隊男子より遙かに紳士度が高いのですが、これが、銀河を守る星獣の力……!
前回に引き続いてギンガマンが星獣を応援しているだけだったらどうしようかと思いましたが、 星獣はメカではなく意志を持った存在である事をまず示してから、青を皮切りに次々と星獣とシンクロしていくという長めの巨大戦。 アース増幅した星獣は次々と飛び道具を放ち、花の星獣は花火を撃った! そして最後は星獣ファイアーボールでフィニッシュ。
「やあ、見事な戦いだったね」
ブレスから5人に呼びかけてきた声の正体……それは長老に託されたペンダントの中に入っていた種から成長した大樹、 の中に生じた銀河空間、の中のやはり木だった。
「私は知恵の木のモーク」
いざという時の為に長老が用意していたサポートシステムたる木の拳魔、じゃなかった知恵の木は、5人に星の花のイメージ映像を見せ、 ギンガの森は生きていると信じ込ませるのだった。
「俺たちはもう振り向かない。平和を取り戻し、ギンガの森を元に戻すまでは」
……10年後の『激獣戦隊ゲキレンジャー』で、同じく納谷六朗さんが声を務めた空の拳魔カタによる、 臨獣拳幻影スパルタ修行と内容がまるっきり同じ気がするのですが、大丈夫か木! 信じていいのか木! その内、 「おまえの絶望を見せてみろ」とリョウマの心に入り込んでヒュウガの落下シーンをリフレインするのではないか木!
銀河戦士は絶望を喰らって強くなる!
そしてドングリが存在意義の半分ぐらいを失った気がするのですが……やはり暗黒メンターの系譜ではないのか長老?!
というわけで本拠を失った銀河戦士達が住居と秘密基地を手に入れ、長官ポジション?も誕生。 本格的な抗争の為の足場は固まってきましたが、果たして銀河戦士達は文明世界に順応する事が出来るのか……とりあえず、 黄色が早く長ズボン履いてくれる事を希望。
- ◆第四章「アースの心」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子)
- 「シルバースター乗馬倶楽部! ここが、バルバンと戦う為に森を出た、ギンガマン達の仮の住まいである。彼らは、 現代社会での生活を、ここで、始めようとしていた」
かつてここまで雄々しく紹介された乗馬倶楽部があっただろうか!
ちなみにヒーローと乗馬倶楽部というと、宇宙刑事ギャバン=一条寺烈が地球で現地通貨を稼ぐ為にアルバイトしていたのがアバロン乗馬クラブでしたが、 “馬”という小道具を物語に取り込みつつ、高寺さんらしいオマージュ要素でもあるのでしょうか。
知恵の木モークはこれまでのバルバンの活動傾向から、その目的が魔獣ダイタニクス復活にあるとズバリ見破り、さっそく有能。 三白眼が少々怖いですが、よく見るとモチーフに、梟(知恵のシンボルでもあり)が入っているのか……?
ダミー企業で働きながらバルバンの動きを警戒しつつ、より戦闘力を高める為に訓練を継続する、 とひとまずの方針を定めるギンガ組員達だが、今年の猿顔枠ことギンガイエローのヒカルは、 森を出てもなお訓練を続けようというストイックすぎる仲間達の姿勢がやや不満。そんな折、 馬に悪戯をしようとしていた高校生をアース雷撃で追い払った事で、カタギさん相手の軽々しいアースの使用をハヤテに叱られる。
「人相手にアースを使っていいのか!」
「でもリョウマは今朝、星獣剣で薪割ってたぜ! それはいいわけ?!」
……割っていました、すみません。
高い戦闘力と他者の気遣いを見せていたリョウマを流れ弾で軽く落とし、説教の矛先がリョウマに向いている内に、ヒカルは逃亡。 勇太と街へ繰り出すと、客の集まっていない大道芸人に肩入れして、アース雷撃を大道芸代わりに使い始めてしまう。
一方バルバンでは、3000年の間に地球がどうなったかについて学習を進める樽が電気エネルギーを提案し、ムカデヤンキー出陣。 ボーゾックの一員に見えてならない樽ですが、バルバンでは貴重な知力70台らしく、船長から「先生」呼びなのが妙に面白い。
ムカデは次々と民家に入り込んで電気を奪うと、それを構成員が風船に集めていき、せせこましさとご町内単位の迷惑のかけ方が、 やたらと『カーレンジャー』ノリ(笑) そもそもガンマン軍団が宇宙暴走族ノリなのは、 2年前の作品にどうしてここまで寄せてしまったのか首を捻る部分だったのですが、 演出まで寄せてしまったのは少々やり過ぎだったかなと(辻野監督は『カーレン』には参加していないので、 怪人の方向性からなんとなく重なってしまったのか、高寺Pから要望があったのかはわかりませんが)。
ちなみに小林靖子の戦隊デビュー作となった前年の『電磁戦隊メガレンジャー』第16話を担当したのが辻野監督で、 この回は脚本・演出ともに良かった『メガレン』前半の秀逸回。
モークはバルバンの活動を察知し……
「知恵の木モークは、地中に根を張る樹木から情報を得る事ができる」
なんだこの有能な木!
そしてヒカルの居場所も把握しつつ、調子に乗ってアース乱れ打ちの真っ最中なので、 今呼ぶと激怒したハヤテが小指詰めさせかねないからそういうのはR15指定の劇場版だけにしてほしいな……と気を遣い、 コマンダーにしてアナリストにしてレーダー兼オペレーターにして人間の心理さえ考慮し、早くも風格が漂います。
……ドングリ、ドングリも、その辺りの地面に埋めたら、8頭身で声が子安武人のマスタードングリになったりしないのか。
やむなく4人で出撃したギンガマンだか、一当たりするとムカデは奪った電気を手に手に逃走。 満を持してヒカルの元へ向かったハヤテは大激怒。
「アースは見世物じゃない!」
便利な力を人助けに使って何が悪い、とその場の感情だけを正当化する子供っぽい理屈で口を尖らせるヒカルに対し、 ハヤテはその無軌道を戒め、アースを使う事の意味を諭そうとする。
「あるものなんだから使えばいいじゃないか」
「絶対使うなと言ってるんじゃない。いい気になって、振り回すなと言っているんだ。いいか、アースというのは、個人の力じゃない」
「星から借り受けた力である、だろ? もう聞き飽きたよ」
ギンガマンを特徴付ける能力である<アース>の基本設定が、性格によるキャラクターの衝突を通す事で非常に自然に説明され、 同時にヒカルのみならず物語としての濫用にも制限をかける流れが鮮やか。
ほとぼりが冷めた頃にお土産のドーナッツを持ち帰って懐柔をはかろうとするヒカルだったが、ハヤテばかりかモークにも、 戦士としての心構えを批判され、家出。ところが街では、樽電池を内蔵する事で蓄電能力を高めたムカデによる大規模停電が発生し、 ハヤテを見返す為にヒカルは一人で戦いを挑んでしまう……。
バルバン感知したモークは現場へ高速移動する為の蔦を用意し、 コマンダーにしてアナリストにしてレーダー兼オペレーターにしてトランスポーターとか、なんだこの有能な木!
長官ポジション好きとしては最初、胡散臭い長老よりはマシだけど木はどうなんだろう木は……と思っていたのですが、 ここまで有能だと好きになれそうです木(笑) 特殊能力の数々を木である事と繋げ、都合の良いジョーカーになりかねないけど、 とりあえず動けそうにない(いざとなったらわかりませんが)という大きなハンデを与えたというのもバランスとして良し。
街へ繰り出したリョウマ達は、大規模停電によるパニックを防ごうとアース光で街に日中のような明るさをもたらすと、 暴れ回る海賊兵士と戦闘。生身ゴウキがインディ・ジョーンズばりに鞭を振るったと思えば、 ハヤテはまさかの吹き矢を放ち、サヤはパチンコ、リョウマはブーメラン、とそれぞれ生身での個人武器を使用。
ムカデと戦うイエローは木の無い場所に移動してしまった為にサーチできない、とモークレーダーの限界も設定され、 そのイエローはあらゆる雷撃を吸収されて苦戦中。だがそこはバルバン滅殺を宿命づけられた3000年の血統、ギンガの民。 トドメを刺そうと近づいてきたムカデの土手っ腹に、おんどりゃいてもうたるでぇオヤジの仇やぁ! とドスもとい星獣剣を突き立てるイエローだったが、ムカデの腹に内臓された樽電池によって防がれてしまう。
変身解除に追い込まれたその時、モークレーダーが探知不能な木の無い場所、という要素を逆に手がかりとして、 鳥に乗ってビルの屋上を探し回っていた緑が駆けつけるも、単身では苦戦。喧嘩しながらも助けに来てくれた緑の為、 電撃を放とうとするヒカルだが、消耗しきったその掌からは、終わりかけの線香花火のような火花しか散らない。
「俺の力って、こんなもんだったのか……」
「ヒカル、それは違う」
だがその時、うなだれるヒカルのブレスからモークの声が響く。
「アースは君だけの力ではない。道具のように使い捨てるものでもない。星から借り受けし力、それは無限だ。 そのアースを生かすも殺すも、後は君の心次第だ。立て! 自分の心でアースを掴め!」
「生かすも殺すも、俺の心次第……」
選ばれた人間だけが使える便利な道具、と思っている内は自分一人の器に収まる力しか振るえないが、 星から借り受けた力である事を謙虚に受け止めた時、その器は何倍にも膨れあがる――《アース》の根源を示しつつ、 仲間の危機を救いたいと心から願う時、星の力を自分のものだと捉える慢心を改めたヒカルが真のアースに触れるというのは、 非常に盛り上がりました。ヒカルと<アース>の関係を通して、今作独自の設定説明と「力を何の為に使うのか 」という普遍的なテーゼを重ね、ヒーローとしてのステップアップへ繋げた展開は実に鮮やか。
どうしてもその後の小林作品と比べてしまう事もあり、ややもたついた印象のあった1−2話ですが、この第4話までできっちりと、 ギンガマンというヒーロー像を確立してきたのは、お見事。
「ハヤテ……ハヤテぇ!!」
星の力と繋がる事で、黄金の輝きを纏い、立ち上がるヒカル。
(感じる……これが本当のアースの力か)
「行くぞ! 銀河転生!!」
再変身したイエローは巨大な雷撃でムカデに大ダメージを与え、緑と並んで疾風一陣と雷一掃のW必殺で撃破。 そのまま勢いで緑と黄の星獣シンクロで倒してしまい、残り3人蚊帳の外なのはやり過ぎ感がありましたが、『ギンガマン』の現状、 この流れで個々の星獣を繰り出すとテンポが悪くなるというのは問題点で、合体ロボ登場までゆえの作劇でしょうか。
高寺Pは当初、今作を合体ロボ抜きで進めようと構想していたそうですが、怪人を個人技で倒してしまう所も含め、 個人レベルの物語と<戦隊>をどう擦り合わせていくか、という実験的方向性を孕んでいたようで、 これは後の『ゲキレンジャー』を想起させるところ。
戦闘終了して5人は合流し、アースの使いすぎで気絶したヒカルは、ハヤテによるお姫様だっこからおんぶで帰宅のコンボを受け、 ヒロイン度、爆上げ。
……待って?! 私が何も嬉しくないよ?!
「俺、始めて感じたよ。アースの大きな力」
「……ああ」
から、さすがにこの状況が割と本気で嫌だったのか、あえて説教癖を批難したヒカルが背中から振り落とされる、でオチ。
高寺Pの段取りへのこだわりと、田崎監督と小林靖子が共に初のパイロット版担当という事で探り探りという部分もあったのか、 1−2話は大河にそろそろと漕ぎだした感がありましたが、この3−4話はキャラクターの掘り下げと設定説明のバランスが非常に良く、 ギンガマンとは何か?が個々のキャラクターの心情と一緒にぐっと伝わってきて、鮮やかな出来でした。
次回――花の戦士、を差し置いて新たなドス。「機刃(キバ)」という当て字が大変格好いいですが、ギンガ抗争の行方や如何に?! (私の中で現在『ギンガマン』が仁義なき戦いになっているのは、何もかも第1話のリョウマが悪い(おぃ))
- ◆第五章「必殺の機刃」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子)
- 「戦士は自分に満足したら、その瞬間に命は無い」
3000年間最前線のギンガ組員達の地球を守る戦士としての意識が高すぎて、 3000年の封印を解いて甦ったと思ったら、殺意の塊がガチで待ち受けていた、という状況にまがりなりにも対応しているバルバンは割と凄いのでは、 という気がしてきた今日この頃。
まあ実戦経験がない分、3000年の間に徐々に総合的な戦力ダウンはしていたのでしょうが、その分、 実戦を経験する事でめきめきと成長しているのが窺え、それは個人技で怪人を倒してしまうわけです。
毎度丁寧に前回の作戦の文句を言いに来るガンマンは、樽先生の持ち出した大暗黒剣の修復を部下の武器マニアに命じ、 街に繰り出して刃物を集める武器マニア。
怪人の手持ち武器が機関銃な為、ギンガマンとの戦闘が完全に、広域暴力団vsアメリカンマフィアの縄張り争い。
その戦闘の最中、ギンガマンは星獣剣を奪われてしまい、更に兄の形見ともいえる剣を守ろうとしたリョウマも囚われの身になってしまう。 なんとか戒めを破壊したリョウマは星獣剣を奪って逃走。「常に次の一手を考えるんだ」 という兄の教えを胸に仲間達と連携してダミー作戦を仕掛け、3000年前に武器マニアに奪われていたもう一つの伝説の武器、 自在剣・機刃を取り戻す事にも成功する!
当て字の格好いい機刃(キバ)はその名の通りに牙をモチーフにしており更に、 カッター(短剣)・ショット・クロー・ナイフ・アロー、の5種類の武器に変形するという、なんというプレイバリュー!
そして五つ合わせる事で機刃の逆鱗となり、星形に組み合わせるのでペンタフォースみたいに投げるのかと思ったら、 謎の魔法陣ビームでおしまい、だったのはちょっと残念。
巨大化した怪人は時間の都合により星獣ライオンファイヤーで瞬殺し、合体するわけではないから全部出す必要もない、 という大胆な作劇が続きますが、OPではずっとロボットが待機しており、さてどこで流れが変わるのか。
機刃には武器として以外にも大きな力が秘められていると伝わるが、それはモークにもわからないのであった……で、つづく。
新アイテムを出しつつ、第1話で殺したきりにせず、リョウマの人格形成に大きな影響を与えている人物として、 ヒュウガが回想で登場したのは良かったです。第3話でギンガの村への思い入れを描いた上で振り切らせたように、 ヒュウガの存在も忘れない事で、前2作と比べると地に足の付いていない純粋戦士であるギンガ組員達の置かれた立場とその心情を視聴者に伝える工夫がされているのは巧い。
序盤という事でかリョウマとヒュウガの関係性の掘り下げがそこまでされず、1エピソードとしては物足りない出来でしたが、 今後の積み重ねと爆発に期待したいです。
- ◆第六章「星獣の危機」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子)
- 勇太が星獣とキャンプに行きたいと言い出し、戦隊としては異彩を放つ巨大生もの感溢れる星獣達は、強くて、デカくて、 格好いいんだ! と劇中少年視点から補強。キバに秘められた力については口をつぐむ星獣だが、 キラキラした眼差しを向ける勇太とはぐっと距離感が縮まり、星獣−ギンガマン−勇太少年の関係性も強化。
ハヤテが横笛を吹いてイケメンアピールする中、リョウマ達は勇太に、星獣が来た星について教える。
「どうして来たの? わざわざ地球まで」
「使命なんだ……銀河の星を守る事が」
「こんなに遠くに来て、寂しくないのかな? 星獣だって、寂しいよ、きっと」
星獣の行動原理としての強い使命感と、故郷を離れて戦いに身を投じている気高い姿をギンガマンと重ね合わせつつ、 相似であるが故に自明の事としてそれを受け入れているギンガマンに対して、星獣の気持ちを慮る勇太少年。
少年の純粋で優しい視点が、星獣を神格的存在ではなく感情を持った生物として扱うというのが、後半の展開に効いてくる事に。
勇太という「伝説」や「使命」の外側に居る存在の視点を投げ込む事で、純粋な憧れ→子供の応援→ヒーローのメタ的担保、 を物語に付加しつつ、3000年間最前線思考のギンガ組員達の軸をブレさせずに、 星獣達に対する捉え方の変化を視聴者に提供しているのは鮮やかで、セミレギュラー少年キャラの存在が非常に巧く機能しています。
「あーあ、僕も星獣の言葉が分かれば、友達になれるのに」
「友達だよ、もう」
そして、勇太少年との交流を通して、出来る兄(ヒュウガ)に対して憧憬と劣等感を持っているリョウマが、 自然と“いいお兄さん”のポジションに収まっているのも巧み。表面上はリョウマの好青年ぶりとして示しつつ、もしかするとそれは、 “ヒュウガの代役”を務めようとするリョウマの無意識の発露であるのかも知れない、という若干の痛々しさをともないかねない所に、 キャラクターとしての奥行きが生まれています(というのは、後の小林作品を見ているので、 こちらがついついい期待感を上増ししてしまう為にそう見える、というのもあるでしょうが)。
前回のヒュウガ回想登場が、リョウマ−勇太の関係性を、ヒュウガ−リョウマの関係性に重ねて見させる前振りとして効いており、 一話完結形式を取りつつギンガマン達の内面に迫る要素が細かく連動している構成は、よく出来ています。
勇太は銀河ライオンからギンガレオンの星の石を貰い、地球の少年にウインクを飛ばす銀河ライオンがチャーミングで、 少年と星獣の交流の描き方が、もういっそあざとい(笑)
ところが翌日、食べたものをなんでも毒に変えて吐き出す毒ガスクワガタ魔人が街に出現し、勇太がその毒を浴びてしまう。 魔人は毒噴射口の調子が悪くて一時撤退するが、その解毒剤は地球に存在しない、とモークは悲痛な事実を告げる……。
魔人の毒噴射口の調子が悪かったのは、本拠地で浴びせられた中和剤のカスが詰まっていた為、と撤退理由を出撃前の騒ぎと繋げ、 お約束パターンの中に後の展開の仕込みを入れておく、というのは細かく凝った部分。
「ちょっとは俺の事も考えろぉー! この作戦が失敗すりゃぁ俺の立場もあぶねぇんだからよぉ!」
そしてヒャッハーガンマンが度重なる作戦失敗で焦りを見せて部下の尻を叩きに来る、というのも前回に続いて良いスパイスになり、 序盤かなり丁寧に段取りを組んで設計されている感じ。
掃除を終えて絶好調のクワガタは今度こそ街に毒ガスを撒き散らし、 取り囲んで袋だたきにして拷問を繰り返して勇太の解毒方法を聞き出そうとしたギンガマンも毒を浴び、 変身解除の大ピンチに陥ってしまう。
……ここまでの銀河戦士のノリからてっきり、
「な、何故だ、何故あのガスが効かなかった……?!」の毒ガス無効体質(アース防御?)かと思っていたので、毒ガスが効いてホッとしたような残念なような(笑)
「そんな事、俺が知るか!」
ギンガマンも倒れ、東京を覆い尽くしていく宇宙毒ガスバイオテロ。その危機に立ち上がった星獣たちは、 自分たちの力を全て解放する事で毒を打ち消す事を告げるが、その代償となるのは星獣の命……。
「みんな、待ってくれ!」
「彼らは使命を果たす。誰がなんと言おうと」
モークの言葉を耳にした勇太は、ライオン石を手に弱った体を引きずって街へと向かい、今回、毒に苦しむ勇太少年迫真の熱演が、 全体の緊迫感を高めてくれています。
(ギンガレオン……死なないで。ギンガレオン……みんな!)
だが星獣達は銀河戦士達の制止を聞かず、その命を賭けて毒を中和。駆けつけた勇太の呼びかけも虚しく、 広がった毒を中和するも石化してしまう。
「バルバン! お前を! お前を、許すわけにはいかない!」
様子がおかしい事に気付いたクワガタは怒りのギンガマンと遭遇し、被りすぎでは、 と思っていた星獣剣とキバカッターの二刀流が意外と格好いい。
パワー系のクワガタ魔人に苦戦するも逆鱗で勝利するギンガマンだが、カブトは逃走。バルバンの大規模毒物テロを阻止するも、 星獣を失ったギンガマンは、この抗争を生き延びる事が出来るのか?!
「僕、わかったよギンガレオンの言葉。……最後に、勇太って、呼んでくれた」
「うん」
泣きじゃくる勇太を抱きしめるリョウマ、
「地球を守る為に、自らを犠牲にした星獣たち。彼らは、このまま本当に死んでしまうのか。リョウマ達の行く手に、 暗雲が立ちこめていた」
で、つづく。
星獣の犠牲というこれ以上ない形で、大きな力には相応の対価が必要になる、 という事を物語内のルールとして示して“奇跡”に対する作品のスタンスを現した上で、生もの感溢れる星獣とロボの繋げ方は、成る程、 という展開。
また実は、“力と対価”の関係はバルバンエキスにおいてもルールとして示されており、 とすれば星獣たちがギンガマンを心配して明かさないキバの力にはなんだか不穏な気配が漂いますが……さてどうなるのか。 次回――ギンガイオー誕生!
(2019年9月28日)
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