■『激走戦隊カーレンジャー』感想まとめ6■


“戦うぜ 戦うぜ もっと戦うぜ
勝利を待ってる誰かのために”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『激走戦隊カーレンジャー』 感想の、まとめ6(31話〜36話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・  〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕

◆第31話「フルモデルチェンジだ!VRVロボ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄)
 冬眠中のダップを見つめる、ヘルメットを外したVRVマスター(顔は映らない)というシーンが描かれ、
 「このまま、二度と目覚めない眠りにつかせてやるぜ。グッドナイト」
 ……という事はなかったので、あまりにも都合の良すぎるパチプロの正体は、ダップの関係者という所でしょうか。 ヘルメットの中が亜空間に繋がっているのは、東映ではよくある事ですし。
 基本人の好い素人の集団なので一度心を許すと割と素直なカーレンジャーから、 打倒リッチリッチハイカーの為の対策を問われたマスターは、5人を公園に連れて行くとバレーボールを使ってボールを落とさないようにラリーを始めさせる。
 「VRVマスター! このバレーボールが、リッチリッチハイカーと戦うのに、どう関係があるの?!」
 真っ先に口を尖らせる、ブルドーザー担当に不満の菜摘(笑)
 「赤いスイッチを押せ」
 謎の言葉とともにマスターは立ち去っていき、その背中を不安そうに見送る5人。
 「やっぱりホントはわけのわかんない人なんじゃないのー」
 「なんだか、不安にさせる方ヨネ」
 とにもかくにも、マスターが口にした「褒美」という言葉に釣られてバレーを続行する5人だが、 当のマスターはパチンコ屋でジャンジャンバリバリしていた。
 「パチンコ。大宇宙の法則の全てが、ここにはある」
 パチンコと戦隊の関係というと、古くは『バトルフィーバーJ』でバトルコサックが仕事さぼってパチンコに興じており、 今作の5年前には『五星戦隊ダイレンジャー』で天幻星と天重星が楽しんでいましたが、やはり総じて、ダメな (というと語弊がありますが)オトナがふける遊興、というイメージ付けになるのでしょうか(笑)
 そして、ガイナモとゾンネットは本当に、パチンコ屋で働いていた。
 今作、第2話時点から、この世界の一般市民にとって悪事を働かないボーゾックはちょっと奇抜な格好の人扱い、 というのを示しているので、ごく普通に景品交換所で働くガイナモも、そんなガイナモとゾンネットに客と店員として声をかけるマスターも自然に成立。
 改めて、ぶっ飛んだ世界にはぶっ飛んだ世界なりの一貫性が必要であり、 その強固さは劇中描写の積み重ねによってこそ生まれるという事を思い知らされます。
 パチンコ屋の景品を抱えたパチプロは、甘味処でところてんを楽しむと、次は床屋(床屋?!)へ。だがそこでは、 新戦力を得たカーレンジャーの背景を調査していた教授が、床屋のオヤジに変装して待ち受けていた。
 「オヤジ……おまえいつものオヤジじゃないな」
 愛想が良すぎて変装がバレてしまい、正体を現す教授……見せ方的には、床屋のオヤジはご本人出演?
 「はじめまして。リッチリッチハイカー教授です」
 「悪いやつほど名刺を渡したがる」
 立て続けに謎の名言を連発するパチプロは格好良く名刺を破るも、教授の不意打ちを受けて拘束されてしまい、 特に出鱈目な戦闘力を有しているわけではない模様。
 宙明サウンドをバックに「VRVブレード!」とか振り回しそうな見た目なのですが、さすがにそこまで都合良くはなく、 ホッと一安心しました(笑) ヘルメットを外せる=これは顔ではない、ようなので、もしかしたら、形から入るコスプレなのかも。
 一方、一般市民5人はラリーを続けていた。
 赤「やめるきっかけが、ないのだー!」
 へとへとになりながらも、持ち前の運動能力の高さで生真面目にボールを落とさずにいた5人、 反射的に放ったアタックが木の幹にぶつかって跳ね返ってきたのを恭介が受け止めた所で、鳴り響くボーゾック警報。
 緑「きっかけなのだー!」
 という流れが地味に面白くて好き(笑)
 鎖で縛られ、鞭でしばかれるマスターの元へ、ドラゴン&ペガサスカーで駆けつけるカーレンジャー、 初挿入歌をバックにワンパー達を蹴散らしながら順番に名乗る、とちょっと変化球。
 「「「「「戦う交通安全! 激走戦隊・カーーーーーレンジャー!!」」」」」
 だがそこに、前回がメカゴジラなら、今回はちょっとガイガンぽくなった改造ブレーキングが出現する。
 カーレンジャーはVRVマシーンを出撃させ…………ああ確かに、よく聞くと、そこはかとなく伊福部調だ……(笑)
 的確な改造により、放水も足下への体当たりも無効の改造ブレーキングは、頭部のマサカリを投げつける「キングスラッガー!」 というヤバめの武器を使用(笑)
 くしくも今作放映の1996年には、9月7日より《ウルトラ》シリーズが『ウルトラマン80』以来16年ぶりのTVシリーズとなる 『ウルトラマンティガ』放映をスタートしており、エールというかなんというか、タイミング的には狙った小ネタとしか思えません。
 「先週と同じとは限りません。これを見なさい」
 パチプロを人質に取られ、胸の巨大砲で攻撃を受け、前回から一転ピンチに陥るVRVマシーンだが、 その時コンソールパネルにある赤いスイッチに気付くレッドレーサー。
 「赤いスイッチがあった……わけのわからない事じゃなかったんだ!」
 5人が赤いスイッチを押すと、五台のVRVマシーンは、人型のVRVファイターへと変形。 ビックリドッキリギミックからの不意打ちでパチプロの奪還に成功し、VRVマシーンのテーマをバックに、仕切り直しの戦闘を開始。 ファイターは殴る蹴るばかりではなく、車でのダッシュから空中で人型になってのキックなど、変形機構を活かしての戦いが良かったです。 特に緑ファイターが怪獣に踏みつけられた状態からダンプに変形する事で敵を転ばせる、というのは秀逸。
 「そうか……あの時のバレーボールは、VRVマシーンがVRVファイターになった時の為の、特訓だったんだ。 五体のロボのチームワーク攻撃」
 「五体のVRVファイターの華麗なる戦いを、ゆっくり見せてもらうぜ」
 ブレーキングキャノンの砲弾を受け止めた赤はバレー特訓の意味に気付き、敵の砲弾を使って炸裂する、VRVハリケーン。
 「よーしカーレンジャー、今度は、青いスイッチを押すんだ」
 「「「「「青いスイッチ?!」」」」」
 「押せばわかる」
 5人が青いスイッチを押すとファイターが更に変形、そして合体し、RVロボと比べるとかなり角張った重量級の、VRVロボが誕生。 ビッグトレーラーから巨大な銃火器が転送され、それを一斉発射するビクトリーツイスターにより改造ブレーキングを撃破するのであった。
 「カーレンジャーって、凄く、強かったんです、ねぇーーーーーーーーー!!」
 改造ブレーキングが粉微塵になり、その爆発に飲み込まれる教授の映像がかぶさり……あれ、教授死んだ?(^^;
 新ロボお披露目の踏み台にしても、一応の幹部待遇としては少々呆気なく死にすぎというか、 死に様としてはストレートすぎてあまり面白みがなく、しばらくちょっと、疑ってかかりたい。
 VRVロボは、動けないのか尺が無かったのか、合体したと思ったら仁王立ちの遠距離必殺攻撃だけで改造ブレーキングを屠ってしまい、 ロボットとしての評価は持ち越し。玩具的には、前作『オーレンジャー』のオーブロッカー(偏愛)が〔記号→人型→合体パーツ〕 だったのに対し、〔はたらく車→人型→合体パーツ〕となってプレイバリューを上げた、純粋発展系になるのでしょうか。
 ガイナモとゾンネットは、清く正しい勤労の後に焼き肉屋でこのニュースを知り、カーレンジャーはVRVロボと勝利という 「ご褒美」に、パチプロへの信頼感を高めていく。
 「この星の夕陽は、眩しすぎるぜ」
 だが次回――立ちはだかる敵はRVロボ?! 「よそ見して歩いてると、怪我するぞ」。

◆第32話「RVロボ大逆走!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄)
 OP映像がマイナーチェンジし、歌詞が2番に変更。またアイキャッチ演出も強化され、新ロボ登場と共に、ここから後半戦。
 リッチリッチハイカー教授を打ち破り、ひとまずのんびりしたひととき、鼻歌交じりにくつろいでいた恭介が秘密基地に入ると、 そこにはVRVマスターからのビデオメッセージが残されていた。
 「この星の夕陽は、俺には眩しすぎるので、地球を去る。追伸:ビグトレーラーは置いていく。そして、 RVロボを取り返せるかどうかは、レッドレーサーの、カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」
 多分、パチンコで何もかもすった。
 VRVマスター、思わせぶりな事を言いながら強化アイテムをくれる謎の支援者、というズルい造形なのですが、 それをパチンコに始まり残されたビデオメッセージで落とす事で、ろくでもなさを隠しもせずにメタ気味なギャグにしてしまうというのが、 今作らしい扱い。
 裏を返せば、理由付けをギャグにして逃げを打つというのが今作の良し悪しではあり、 一度引っかかってしまうと全部引っかかってしまいそうな部分ではあるのですが、ただ、 それをやり続ける浦沢先生のギャグ体力はさすがの凄さ。
 ギャグにして逃げる代わりに、ギャグからは逃げない、というか。
 「地球の平和を守るものは、俺たちカーレンジャーだけとなり……俺は、リーダーとして大きな責任を感じ……」
  消費者金融から 行方をくらましたマスターの残した言葉と、再び協力者不在となった状況に急に重圧を感じ、 動悸の激しくなった恭介、硬直してその場にひっくり返る(笑)
 一方、リッチリッチハイカー教授が作戦中消息不明となったボーゾックでは、 ゼルモダとグラッチによる醜い跡目争いが起きかけていたが、そこにガイナモが帰還するとあっさり総長に再就任。
 反逆者も含めてあっという間に従えたガイナモはなんだかんだで格の違いを見せつけると、 頭でっかちの教授の作戦ではなく真のボーゾックらしさを見せつけてやると宣言する。が……
 ゾンネットがチーキュの焼き肉屋で出会った「オイキムチを食べないではいられない体」になったとおねだりすると、 ボーゾック1のキムチ好き・ZZギューリーを呼び出し、復帰第一戦はキムチ強奪作戦に。
 …………やはりガイナモ、ゾンネットとさえ出会わなければ、今頃宇宙の3分の1ぐらいは支配できていた男なのではないか。
 ちなみに「オイキムチ」って何? と思ったら、キュウリのキムチとの事。
 怪人は漬け物樽を模した頭の横にダイコンがぶら下がっており、なんとなく『重甲ビーファイター』(1995)の、 漬け物婆さんを思い出してしまいました(笑) そういえばあの回は渡辺監督(脚本:扇澤延男)、そして同じく第32話。
 『重甲ビーファイター』第32話「恋する漬け物!!」は、エピソード自体はそれほど面白くはなかったのですが、
 「ブルービート甲斐拓也は間もなく死ぬ。漬け物地獄で悶え苦しみながらなぁ!」
 が忘れられません。
 地球へ降り立ったギューリーに、おいしいオイキムチを尋ねられた市太郎が焼き肉屋に案内するという平常進行の一方、 乱調のレッドレーサーは妙なテンションで大暴走し、戦闘中にやたらと仲間を守ろうとして空回り。
 一方、カーレンジャーにワンパーをけしかけた隙に焼き肉屋を訪れた漬け物怪人は、店主からキムチの本場、韓国を紹介される。 怪人からその連絡を受けた総長は、RVロボにボーゾック乾電池を搭載し、地球へ向けて発進。
 「地獄で眠るリッチリッチハイカー教授、本当のボーゾックの総長は、RVロボをこう使うんだ」
 すなわち、

 韓国への移動手段。

 「韓国は行かせねぇぞ。それから、RVロボを返してもらうぜ!」
 行く手に立ちはだかるVRVロボだが、ボーゾック乾電池は強力な爆弾でもある為に下手な攻撃が出来ず、 逆走RVロボの猛攻を受けてしまう。
 ――「RVロボを取り返せるかどうかは、レッドレーサーの、カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」
 リーダーの責任に感じる重圧と、RVロボを取り戻せない現状に対するストレスがピークに達したレッドは、遂に暴発。
 「うぉぉ!! 俺はカーレンジャーのリーダーだぁ!」
 やにわにシートベルトを外して立ち上がると、コックピットを離席。
 「RVロボは俺が取り戻す!」
 「どうやって?!」
 「俺はカーレンジャーのリーダーだ! 俺は俺を信じる。みんなも俺を信じてくれ! のわぁあぁ!!」
 咆哮と共に1人でコックピットを出て行った赤は、ドラゴンカーで疾走すると、RVロボへの単独突入を敢行。 ムーディなフレーズのある格好いい挿入歌で立ち回ると漬け物怪人を一騎打ちで撃破し、乾電池の分離に成功する大活躍……なのですが、 チームワークを蔑ろにした暴走の末、追い詰められて自暴自棄のエネルギーが敵にまぐれ当たりしただけなので、大変困ります(^^;
 「そうか……きっとVRVマスターは、俺の性格を計算に入れて、あんな言葉を言い残してたんだ」
 RVロボを取り返し、綺麗にまとめに入るのですが、たぶんマスター、パチンコと同じ調子で適当に玉を放り込んだら、 たまたまフィーバーしただけのような気がします!
 「俺たちは無敵だぜ! 行くぜぃ! みんなぁ!!」
 主題歌インストをバックに、ここからVRVロボのターンとなり、巨大化した怪人はツイスターで無惨にオーバーキル。
 敵の強化→カーレンジャー完全敗北→新ロボ登場、という激戦が一段落した所で、 なおもボーゾックの手中にあったRVロボを盛大な無駄弾に用いてボーゾックを通常運行に戻すという 捨て身のギャグで、それ自体は凄まじかったのですが(面白いか、といわれると悩ましいのですが、 実に今作らしくはあります)、エピソードとしては上手くまとまらず。ギャグの破壊力で満足してしまって残りは余力で作った結果、 “戦隊”としてはあまりに雑になってしまったような感じ。
 収穫は、VRVロボは動ける、というのがわかった事ぐらい。
 次回――早くも覚醒するダップは脱皮してイケハザード星人になったりしないの?! 「黄色信号になったら、もう渡っちゃ駄目ダップ」。

◆第33話「おめざめ!激走ダップ」◆ (監督:松井昇 脚本:荒川稔久)
 司令強奪の危機に陥った冬眠から目覚めつつあるダップは、母星が宇宙の花火になった悪夢と、両親との思い出を夢に見……一方、 どうやら本当に脱落してしまったらしいリッチリッチハイカー教授亡き後のボーゾックでは、 ガイナモがチーム名をヘルスボーゾックに改めると発表していた。
 「俺たちゃ健康で、バカが取り柄だ。それを忘れて頭使って勝とうなんざ間違ってた」
 ま、間違ってたの……?(笑)
 「だから初心に返って、元気なだけのバカになりきろう、って意味でつけたのよ」
 てっきり、「ヘルズ(地獄の)ボーゾック」のつもりで間違えたのかと思ったら、本当に「健康」でした!
 と冒頭から、悪の組織の強化ないし交代劇を今作らしいギャグにしてくる飛び道具。
 その方針に基づき、パワーアップの為の激バカドリンクを飲まされる、UUウッス。
 見た目はまんま栄養ドリンクだったり、一連のギャグの流れでさらっと出てくるのですが、 それは思考能力を奪う代わりに戦闘能力を高める的な、普通に外道な薬品なのでは……?
 その頃、温度計を口に突っ込んだ事でダップの目覚めが近い事を知った恭介達は、サプライズパーティーを企画。 以前にダップが喜んだ、ハザード星と似た自然の残る高原へダップを連れて行こうと準備を進めるが、 既にUUウッスの攻撃は始まっていた!
 「もう10月なのに、まるで真夏やでこれ」
 「……まさか……ボーゾック?」
 激バカドリンクの効果により、ボーゾック一暑苦しくなったUUウッスが撒き散らす爆炎で、日本の気温が上昇(笑)  カーレンジャーはVRVマシンを出撃させて山火事を食い止めるが、ドリンク2本で更にドーピングしたウッスは、 自らのダッシュにより更なる地球加熱を開始する。
 「いいぞいいぞ! やっぱバカになりきってやりゃ、こんなもんでウッス!」
 前回、捨て身のギャグで平常進行に戻した流れから、そのままなし崩しでバラエティエピソードに移行してしまうのではなく、 バカがバカだからこそ地球に危機をもたらす事が出来るのを見せてくるというのが、 実にお見事。
 物語をギャグでオとす一方で、そのオチを物語の中に組み込んでいき、ギャグと物語が車輪の両軸として有機的に連動していくというのが、 物語をパロディだけに留めていない、今作の巧さと底力。
 ウッスの暑苦しさはオートブラスターすら反射し、火炎放射でカーレンジャーを追い詰めていく。
 既に冬眠から目覚めるも、サプライズパーティーの準備を耳にした事から5人をがっかりさせないようにと寝たふりをしていたダップは、 このピンチに狼狽。セクシーお姉さんの天気予報から、火炎放射を地中にもぐってかわす作戦を思いつくが、 サプライズパーティー実行を心の支えに火炎放射に耐えている5人に通信を送ると、いきなりの事にショックを受けて焼け死んでしまうのではないかと心配して、 助言する事ができない(^^;
 ……まあ確かに、ノリがいい方が勝つという事は、ノリを失うと死ぬという事でもあります!
 そうこうする内になんとか一時退却するカーレンジャーだが、喉の渇きを癒やそうと飛びついた水道はお湯になっており、 飛び込もうとしたプールは熱湯風呂に。画面にエフェクトをかけつつ、実がシャツの裾を出しているのが、 暑さの表現としては地味ながら秀逸。
 「早くあいつを倒さないと、日本中のプールが、露天風呂になってしまうでございます」
 「そんなこと言うたかてよ、あつうて、奴に近づく事もできへんねんで。どないしたらええねん」
 そこへ一計を案じたダップが通りすがりの一般市民の占い師コスプレで助言を与えようとするが、 もちろん正体に気付かない5人に追い払われてしまう。
 「「「「「……ん?」」」」」
 「どっかで見たな」
 「うん」
 続いてナースに変装するも自分の女装に気持ち悪くなったダップは、次はヘビメタロッカーに変装して歌の形でメッセージを伝える事に成功し、 駆け出す5人。
 「うまくいったダップ〜。全然気付いてなかったダップ」
 「やっぱりダップだったな」
 さすがに気付いていたが、言わない優しさ(笑)
 「どこ行ったカーレンジャー? バカになって脇目も振らず走りゃあ、俺に触れる事はできないウッスー!」
 ダップが伝えてくれた作戦を胸に変身した5人は、カーレンジャーを仕留めようと走り回るウッスを、

 車で轢く(笑)

 カーアタック前に激しい土煙が巻き起こるシーンがあるので地中を走行して不意打ちしたという事のようなのですが、 映像的にはどうしても、より強い力で正面から殴り殺したようにしか見えません。
 挙げ句、ドラゴンカーで空から爆撃。
 これが、工業と魔法と伝説の力だ!
 「おのれ〜、地面の中から近づくとは、頭を使いやがったなウッスー!」
 映像の物理的な虐殺感はともかく、ここで、勝利の鍵が頭脳になるという対比が上手い。
 カーレンジャーは巨大化した怪人に対してVRVマシーンを出動させ、「「「「「必勝合体!」」」」」って今回初めて言ったような。
 「「「「「エンジン絶好調! VRVロボ!」」」」」
 「熱いのは、夏と、おでんだけでいいのだ!」
 VRVロボは、身長差を利用して怪人の細長い頭部をむんずと掴んで殴り飛ばす、という酷い攻撃からVツイスターで大勝利。 5人は車に積んでダップを高原へと連れて行き、知らぬ顔で狸寝入りのダップに声をかける。
 「さーて……そろそろダップくん、起きてくれないかなー(棒)」
 ダップはダップで今起きました、パーティーだーとわざとらしく驚いてみせ、互いが互いの事を気遣いながら、 それ自体がギャグになっている、というのはこの6人の交流らしく、雰囲気も良く収まりました。また、 浦沢テイストが強くなると邪悪になりがちなダップを少々マイルドに引き戻した事、冬眠からの目覚めというインターバルを活用して、 つい忘れそうになるダップの重い背景を改めて示した、というのも良かったと思います。
 洋子が口を滑らせるなどあったもののダップは無事に司令官として復権し、みんな仲良く激走体操、でつづく。

げんげん元気に激走ー 勇気全開 走りだそう
げんげん元気に激走ー 体に 力がわいてくるー

 次回、明かされる血の因縁、まさかの姉妹?!をあっさり予告で見せてきたよ! 「曲がり角では、飛び出したりしちゃ」 「「「「「駄目ー!」」」」」。

◆第34話「恋の世話焼き割り込み娘」◆ (監督:松井昇 脚本:荒川稔久)
 背広姿でメガネをかけた恭介(妄想)が家に帰ると、台所には新妻ゾンネット(妄想)の姿があり、 お帰りのキスを迫る恭介(妄想)であったが……
 「私の旦那様はレッドレーサーよ! そんな猿顔一般市民じゃないわ!」

 言っていいんだ、それ。

 戦隊レッドにはどういうわけか、(二枚目は二枚目として)猿顔の系譜というのが存在するのですが、 劇中でそこにハッキリ触れてしまうとは(笑)
 ゾンネットの割と華麗な連続攻撃で猿顔の一般市民はノックダウンされ……
 「猿顔で悪かったな!」
 基地の床に倒れて目を覚ます恭介(現実)。
 「夢か……」
 「大丈夫でございますか?」
 「RVロボの修理サボった挙げ句にひっくりかえって、あーあ、またゾンネットの夢かいな」
 既にみんなにバレてた。
 ……事から察すると、居眠り中に「ゾンネットーーー!」とか叫びながら跳ね起きたりした事例があったと思われ、 出社拒否レベルで恥ずかしい。
 「そんなにしょっちゅう見るんだったら、堂々と、アタックすればいいじゃん!」
 「なんだよいきなりー」
 「でもさー、ラブレターもらって一度はフったくせに! 後からうじうじ考えてぇー、まあ友達ならいっかなーーとか思い直して?  そのくせ、本人と会うと意地張って喧嘩みたいになっちゃうなんて〜、ヒーローのする事じゃないよね〜」
 これまでを振り返る体裁でグサグサと刺しに行く洋子からはそこはかとなく、物語としての正ヒロイン争いから脱落した私怨を感じます(笑)
 「少なくとも、カーレンジャーのリーダーがする事じゃないでございます」
 「うるせぇなおまえらみんなして! 俺だって色々考えてんだよ! そうだよ……今度会ったらなぁ……!」
 「お? 今度会ったらー?」
 「堂々と……握手してやるよ」
 「「「「だー!」」」」
 その頃、健康ボーゾック。
 「初心に返って元気なだけのバカになりきるだけじゃあ、駄目だった。こうなったからには、俺たちも今までのままじゃいけねぇ。 だから、今日から俺たちは……かーーーーーーー!」
 気合い一閃、新たにお披露目される、チーム名。
 「デビルボーゾックとなる」
 合わせてグラッチが強化芋羊羹を完成させるが、その実験台を探している所に、飛んでくるロケット速達。バニティミラー様宛、 土星のおでん屋で待つ、というメッセージに土星へと向かったゾンネットを待っていたのは、 カーレンジャー6番目の妹ホワイトレーサーこと、ちょっと下ぶくれになったラジエッタであった(女優さん交代との事)。
 バニティミラーとはゾンネットの本名であり、同じ首飾りを持っていたラジエッタは、ゾンネットの妹だったのだ!
 「いやー、想像はしていたけど、けばくなっちゃたねー」
 今回、暴言多いぞ(笑)
 ゾンネットに実家に戻る事を勧めるラジエッタだが、ゾンネットはそれを拒否。 ゾンネットが落としたパスケースに挟まれたレッドレーサーの写真を目にしたラジエッタは姉の恋心に気付くが、 ボーゾックの写真怪人FFムンチョリに追われ、地球へ逃げる事に。
 「ラジエッタ……? なんか、ちょっと見ん間に雰囲気変わったんちゃうか?」
 女の子には秘密がいっぱいなんですよ!!
 ムンチョリを撃退してラジエッタを介抱するも、素顔で会うのが始めてなのでカーレンジャーの友達だと誤魔化した5人は、 ラジエッタとゾンネットが姉妹である事、ゾンネットは両親と喧嘩した家出娘であった、という事実を知る。
 「典型的な、転落のパターンでございますね」
 丁寧語キャラにありがちですが、土門は、たまに酷い(笑)
 再び出現したムンチョリのフィルム忍法に苦戦するカーレンジャーを、ラジエッカーのチェンジ・ロボモード、 「完全無欠・ラジエッカーロボ!」で助けるも1分間でガス欠、というくだりはあまり面白く感じず(^^;
 巨大化した怪人に対してはVRVロボが必勝合体し、今回もさくっとVツイスター。
 地上に様子を見に来ていたゾンネットはその勝利に思わず喜んでしまって戸惑うが、そこに現れたラジエッタは、 少女マンガ雑誌の付録で入手した交換日記をゾンネットへ渡そうとする(多分、 以前にゾンネットがラブレター作戦を思いついたのと同じチーキュの少女マンガだと思われ、変な小ネタが連結されています(笑))。
 そこにカーレンジャー5人も姿を見せ、もはや、敵味方という関係をすっかり忘れて流れる気まずい空気の中、 勇気を持って一歩を踏み出すレッドレーサー。
 「ゾンネット……やってみようぜ、交換日記」
 公約通りに握手も求めるが
 「……ばっかじゃない」
 ざっくりフられて右手を差し出したまま石化し、気まずい上に鉛のように重くなる空気。
 「……ああ! あたし、洗濯もんあるから!」
 「俺は編み物せなあかんから、さいなら〜」
 「あたし、買い物あるか……ら。それじゃあ」
 「ちょ、わたくしは! 何もないでございます。あまり落ち込まないで下さいね」
 「あ〜ぁ、レッドレーサーさんだったら、跡取りの星の王子様にもばっちりだし、うまくいったら、あたしのお兄ちゃんになるのに〜」
 めげないラジエッタはとにかく交換日記をゾンネットに押しつけるが、果たして2人の恋の行く末や如何に……というか、その女、 チーキュを花火にしようとする元凶なのですが、ラブコメしてていいのか(笑)
 荒川さん好みのラブコメに重点を置きつつ、前回のラジエッタ登場回の伏線を拾い、ゾンネットがどこぞの星のお姫様であったと判明。 生まれついてのサークルクラッシャー属性だった模様です。
 同じく先のラジエッタ登場回(ゾクレンジャー)と対応させる意味もあってか盛り込まれたロボネタはあまり面白くなりませんでしたが、 視聴層を考えると、ラブコメ全振りというわけにいかなかったか(^^; 個人的にはラブコメ全振りの方が面白かったのではと思う所で、 エピソードとしてのピークは、デビルボーゾック含めて、サブタイトル前という事になってしまいました。
 次回――再調整を受け、あの男が帰ってくる! 交通ルールを守らないゴミは、完全焼却だぁぁぁ!!
 「赤信号でも、ダッシュすればOKだ!」「こらこら、駄目駄目!」
 て、どうなる宇宙の交通安全?!

◆第35話「裏切りの信号野郎」◆ (監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄)
 じゃんけんで勝って一抜けしたかと思いきや、「君の負けだよ4対1」という実の謀略で買い出し係を押しつけられた恭介は、 放棄されて蜘蛛の巣の張った交番ベースを見つめる市太郎を目撃しながら、弁当屋へ。ところがそこで、 ヘルス改めデビル改めもうネタが無くなったので元に戻ったボーゾック一のお使い野郎GGボーンと遭遇。
 「失敬だなおまえ! 人が注文してる時に割り込むなんて。常識がなさ過ぎんだよ、こら」
 初期はもっとざっくりボーゾック=悪という認識だった気がしますが(実際、少なくともハザード星を花火にしている悪なわけですが)、 ボーゾックだから即座に攻撃するのではなく、マナー違反に対して抗議するという対応は、 ゾンネット粒子の持つ抗クルマジックパワーの影響を感じます(笑)
 どちらに汚染された状態が幸せなのかは、非常に悩ましい所ですが。
 怪人も怪人で弁当屋には代金をきちんと支払っており、悪事もルール違反もマナー違反もするボーゾックですが、 以前バリバリ伝説の際にゼルモダが実から怪しい薬品を正規に購入したり、宇宙通販を利用したり、結婚資金を貯めていたり、全体的に、 経済活動に対して真面目(笑)
 ヒートアップした恭介はGGボーンと殴り合いになるも空腹が響いて不利になると、タイムを取って物陰で変身し、 チンピラ同士の揉め事をより強い力で解決しようとし始めたぞ!!
 ところがレッドレーサーになっても、珍妙な見た目とは裏腹に喧嘩に強いボーンに大苦戦。だがその時、ポリス星から休暇を終えてあの男が帰ってきた!  颯爽とバイクで登場したシグナルマンは、無言のままレッドレーサーにバイクアタック。
 「なぜだ……なぜ俺を攻撃するんだ!」
 「黙れ!」
 胸のランプが真っ黒になったシグナルマンはシグナイザーを抜いて赤へと銃口を向けるが、その前に立ちはだかる……弁当屋の店長(笑)
 「やめろ! やめてくれ! 店の前で迷惑だから、他でやってくれないか!」
 ヒーローと怪人が遭遇したり、ヒーローとヒーローが対立しているところに、力強く「常識」が差し込まれてギャグになる、 というのが実に浦沢さんらしい切れ味。
 「黙れ、一般市民!」
 だがシグルマンは躊躇わずに引き金を引き、店主をかばって撃たれるレッド。
 「レッドレーサー、自分から撃たれに来るとは良い心がけだ」
 「一般市民に迷惑をかけないのが、正義のヒーローだろうが!」
 場所を移した二人は、しばらく格闘戦を展開。
 「おまえたちカーレンジャーのお陰で、息子は……シグタロウは……!」
 「息子が、どうかしたのか?!」
 「しらを切るのもいい加減にしろぉ!」
 一方的な攻撃を受けるレッドは、久々のカーナビショット(シグナルマンが帰還して戻ってきた?)で本官の動きを封じた隙に一時撤退。 だがカーレンジャーを見失った本官は公園へ向かうと、再会を喜んで駆け寄ってくる市太郎を躊躇なく轢こうとするマッドポリスと化し、 更に子供達をバイクで追い回す。
 「逃げ回れ逃げ回れ! そしてお前達の愛するカーレンジャーに、助けを求めるのだ!」
 我を失って暴走気味を通り越して普通に邪悪になっているシグナルマンですが、 如何にも人の好い中年男性からどぎつい悪役まで幅の広い大塚芳忠というキャスティングがはまっています。
 「揃ったなカーレンジャー! シグタロウの恨み、晴らしてやる!」
 ペガサスへ駆け込んだ市太郎の話を聞いて追われる子供達を助けるカーレンジャーだが、怒りに燃えるシグナルマンの攻撃を受ける事に。
 休暇を取ってポリス星へ戻ったシグナルマンが目にしたもの……それは、カーレンジャーの車から発生し、 ポリス星の空を覆う五色の排気ガスであった。その排気ガスによりポリス星では深刻な公害病が発生、子供達はカーレン喘息に苦しみ、 運動会は中止になってしまっていたのである。
 光は陰り、大地は砕かれ、そして海は死んだ……クルマジックパワーの副作用がこんな所に!
 ポリス星で排気ガスを吸い込んだ本官は復讐に囚われたシグナルマン−A1と化し、2月2日、 シグタロウを喘息にした犯人を部品一つ残さず完全破壊するべく、地球へ再臨。
 強力な範囲攻撃を受けたカーレンジャーは、こうなってはやむを得ない、とひとまず本官の戦闘力を奪おうとするが、 そこへGGボーンが乱入して本官への協力を申し出る。
 見た目に反して喧嘩は強いボーンだったが、敵がボーゾックに変わった事で、カーレンジャーは即効でギガブースター・イグニッション(笑)
 巨大化した怪人の「誤魔化した釣り銭攻撃!」をものともしないVRVロボは、本日も頭をむんずと掴んでの打撃から、 Vツイスターであっさりと爆殺。冒頭の戦闘でいい所を見せ、カーレンジャーとシグナルマンの対立という重要情報を連絡するも、 以降は実に雑な扱いで倒されてしまったのは、少々残念でした(^^;
 本官はどこかへ姿を消してしまい、帰路の5人は、交番ベースの壁に「シグナルマン大大大キライ」と書き記して走り去る市太郎の姿を目にする……。
 「シグナルマン……どこ行ったんだよ」
 そのシグナルマンは、ゼルモダの招きでバリバリアンを訪れると、カーレンジャー退治の為にボーゾックと手を組んでいた!  そしてそれを見つめる、黄金の巨大な影……
 「ふふふふふはは……うまく行った。シグナルマンとボーゾックが、まんまと手を組んだ。ふははははははははは……」
 ポリス星に撒き散らした公害の濡れ衣をカーレンジャーに着せてシグナルマンを復讐の道に引きずり込みボーゾックと手を組ませる、 という謀略は割と遠回しかつせこくて、肥大化したリッチリッチハイカー教授の怨念では疑惑も浮かぶ金色頭はOPでは 「謎の支配者」とクレジットされており、とりあえず、声が小林清志でなくて良かった(笑)
 ダップも目覚めたし、という良いタイミングでシグナルマン帰還と繋げて何やら不穏な存在が登場し、ダップ冬眠以降、 緩みの無い展開が続きますが、そんなエピソードでゾンネットの為にお弁当を買いに行かせていただけのガイナモの、 ボスキャラとしての立場が物凄く危うい!! 大丈夫かガイナモ、最後まで生き残れるのかダイナモ、総長はまたもリストラされてしまうのか?!
 次回――サイダーは宇宙を救えるか。「駐車場で遊ぶのは、とても危険でございますよ」。

◆第36話「怪しい排ガス一掃作戦」◆ (監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄)
 ポリス星方面からクレームの電話が鳴り止まないけど、クルマジックパワーは完全無公害のクリーンエネルギーダップ!  と五色の排気ガス問題を調査するダップは、その正体が洗脳ガスである事を突き止め、珍しく宇宙的活躍。
 「ボーゾックの作戦にしては、偏差値が高すぎるダップ」
 カーレンジャーとシグナルマンの共闘関係を引き裂こうとするのは、新たなコンサルタントの介入なのか?
 「問題は、どうやってシグナルマンの体内から、五色の排気ガスを出すかダップー」
 ……なんか、予告と合わせるとオチが見えた気がしますよ?!
 その頃バリバリアンでは、
 「むふふふふふ……んー……ゾンネットちゃ〜ん」
 「なぁに、シグナルマン先生?」
 「女房と別れるから、付き合ってくれないかなぁ?」
 アルコールの入ったブラック本官が凄く駄目な感じになっていた。
 ボーゾック総長からチーキュの猿顔の一般市民、果ては宇宙警官までたぶらかし、凄すぎるぞゾンネット(笑)  やはりゾンネット粒子を全宇宙に散布する事で、恒久的平和が実現できるのでは! ただし全宇宙の平均知力が1になるので、 文明は維持できないかもしれません。
 ペガサスでは五色の排気ガスの研究を進めていたダップが解決法を閃き、今回サポート面で大活躍。 冬眠中にカーレンジャーが弱気になっていた事をダップが活躍する事で後付けフォローしている感じがありますが、 冬眠がハザード星人の成長期、という意味合いも多少はあるのかもしれません。
 「このサイダーを飲ませて、げっぷをさせて、五色の排気ガスを吐かせるダップ!」
 「「「「「だーーー!」」」」」
 「え、どうしたダップ?」
 「あまりにもくだらない方法だからさー」
 シグナルマンを家庭崩壊の危機から救うにはくだるもくだらないもない、と身内からのツッコミを一蹴した所でボーゾック警報が発令し、 ボーゾック一の植木職人・BBコイヤと戦うカーレンジャー。そこへブラック本官も参戦し、 正面からサイダーを飲ませようとするも失敗したカーレンジャーは、サイレンダーを5体のVRVファイターで囲んで、 パイロットを疲労させてサイダーを飲ませよう作戦を発動する。
 サイダーのみならず、花を咲かせて宇宙ハチをけしかけると刺された車が腫れてしまう! とか、今回のような、 ほーらくだらないギャグだよね〜というのを見せつけてくるような方向性は苦手なのですが、前回今回と、ナビガン、エンジンブレード、 ギガブースター、伝説カー、VRVファイター、とカーレンジャーの各種ギミックを一通り使っており、 演出的には新展開前にこれまでのまとめ(或いはクリスマス商戦前キャンペーン?)の意図があったように窺えます。
 そして、コミカルなBGMで誤魔化しながら、取り囲んだサイレンダーに順繰りに殴りかかる、という凄く酷い絵面(笑)
 目を回して休憩した本官に、一般市民の姿に戻った恭介はサイダーを渡す事に成功し……正体隠していたのが役に立った!!!
 今回ギャグの方向性が苦手、と書きましたが、ここは奇跡の連動で面白かったです(笑)
 サイダーを一気飲みした本官は洗脳ガスを吐き出して正気に戻り、巨大化した植木職人と宇宙ハチに対して、VRVロボと共闘。
 「ハチといえども、本官の許可無く巨大化するのは、正義の交通ルール違反だ!」
 宇宙ハチはサイレンダガーの錆となり、植木職人はVツイスターで蜂の巣になって死亡。 ポリス星は地球から送られたクルマジックサイダーで公害から回復し、シグナルマンと市太郎も和解するのであった、で大団円。
 だが……
 「シグナルマンめ、正義に戻りおったか。まあよい。今度こそ余の真の力で、 チーキュを征服してみせようぞ。ふふふふふふふ」
 バリバリアンを文字通りに手の上で転がす、巨大な悪の影が地球に迫ろうとしていた――でつづく!
 RVロボはキムチで、シグナルマンはサイダーで、と同士討ち展開はいずれもギャグでさくっと解決してきましたが (恐らく浦沢先生の中で、あまりこだわりが無いというか面白いネタと思っていないぽい)、 公権力と一般市民として微妙に距離感のあったカーレンジャーとシグナルマンが、運動会問題を通して「仲間」になった、 というのが騒動を通して改めて描かれたのは良かったです。
 そして再びボーゾックにテコ入れの嵐が巻き起こりそうですが、ゾンネット粒子に一瞬で汚染されないか大変心配です。
 次回――真面目に就職活動を考え始めたボーゾックに暴走皇帝からのプレゼント?!「青信号でも車は来るから、気をつけろってさ」。

→〔その7へ続く〕

(2018年5月25日)

戻る