■『地球戦隊ファイブマン』感想まとめ3■


“トリプルジョイント
 五つの心で ファイブロボ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『地球戦隊ファイブマン』 感想の、まとめ3(17話〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第17話「文矢の交際宣言」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
 北極の空に銀帝軍敗北のメモリーを映し出した皇帝陛下は、星川兄妹の信頼と団結を崩せ、と命令。
 「奴ら兄妹は互いの弱点をカバーしあっている。付け入る隙は滅多にない」
 「隙がなければ、作り出すまでよ」
 かくして一策を講じたドルドラは地球人に変装すると、蛍光グリーンのジャケット姿になった文矢(今回から5人とも夏服に) と後楽園ゆうえんちで偶然の出会いを演出し……
 「ミドリ……母さんと同じ名前」
 エグいよ!!
 というわけで、女性敵幹部素顔イベント回で、文矢の籠絡をはかるドルドラさんが割とノリノリで遊園地デートできゃっきゃうふふし、 普段の格好が格好だけに、え? これ、ドルドラの変装だよね……? となってしまったのが、良かったのか悪かったのか(笑)
 まあ勿論、この手のイベント回は、折角なので女優さんの綺麗なところを、という狙いがあるでしょうし、 長石監督らしいスタンスでもありますが、それはそれとして、「死に別れた母の面影を感じる」という口説き方はどうなんだ、文矢。
 場合によっては秒で30メートルほど間合いを取られるところだったものの、 思惑通りのドルドラミドリは地球人女性になりきって文矢と遊び回ると、 油断したところにクモルギンをけしかけて子蜘蛛を取り付ける事に成功。
 その夜、マグマベースに戻った文矢は子蜘蛛を通してクモルギンの操り人形と化し……先日、 ファイブマンのアジトを探して大騒ぎしていた事を考えると、これを使って基地の場所を探り出せた気がしないでもないのですが、 社長命令が最優先です!
 子蜘蛛に操られる文矢は表向きは全くいつも通りだったが、20年の歳月を共に過ごしてきた兄妹はその行動の端々に違和感を覚え (Aパートに布石あり)、その夜――ナイフを握りしめた文矢が学に襲いかかり、場面が切り替わると一夜が明け、 うつろな表情の文矢は岩壁に立つミドリに、兄妹を始末した証拠として変身ブレスを手渡す。
 「さあ、今日はどこに行こうか」
 「……そうねぇ……この海の向こうに行きましょうか」
 ミドリの手を離れたハンカチーフが吹き付ける強風に煽られて舞い、ミドリ=ドルドラの悪意が明らかとなり、 文矢の洗脳も十中八九解けているであろう茶番劇でありながら、台詞回しも映像も恋人同士の睦言として成立させているのが、 物凄く長石多可男×藤井邦夫!
 凄いよ!
 「この海の向こう?」
 「行ける?」
 「……行けるさ。行けるに決まっている」
 文矢はぼんやりと崖っぷちへ向けて歩んでいき、背後でほくそ笑むミドリであったが、飛び込んできた健がブレスを回収。 文矢も既に子蜘蛛に操られてはおらず、洗脳文矢が癖までは再現できなかった事から異変に気付けたのだと家族の絆を示す種明かしは、 文矢が末っ子というのも効いて、綺麗に着地。
 ……まあ、兄妹が云々というよりは、ほぼほぼ親目線ですが。
 初の挿入歌バトルで個人武器をアピールしながら戦闘員を蹴散らし、改めて揃い踏みを決める変化球から、 なんだかいつもより顔色の悪い気がするザザを蹴散らすと、残った蜘蛛は変幻自在のコンビ攻撃から一斉射撃でビクトリー。
 ゴルリン15号が召喚され巨大クモルギンが誕生すると、いつの間にか黒がセンターに収まっているダイジェスト作劇から 「兄妹の絆の力を知れ!」で超次元ソードが炸裂して、ドルドラのハニートラップ作戦は失敗に終わるのだった。
 兄妹は5人揃って海を見つめると幼い日の事を思い出し、回想にアーサーが出てくるならアースカノンを使って欲しかった部分はありますが、 兄妹の絆を強調するエピソードだったので、コンビネーションアタック優先になった感じではありましょうか。
 女性幹部の変装回としては、オーソドックスな内容と出来でしたが、ドルドラの、セクシー系ではないが、 どこか妖艶な要素を纏うキャラクターは引き続き面白いところ。
 次は是非、ビリオンも地球人に変装して数美姉さんのナンパを!

◆第18話「お金貯めます!!」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 「おまえが一番信じられん」
 銀帝軍は最近ストレスによるお肌の艶が気になってきたメドー様からのご褒美もといお仕置きビームを受け、 一言の元にぶった切られたドンゴロス(最近気付いたのですが尻尾が生えており……ドラゴン族だったりするのか)は、 お腹に金庫を付けた強欲な銀河闘士ブタルギンを出撃させる。
 その頃、数美は街で元生徒のひろし少年と再会。
 ひろしは一回100円で他人の宿題をやるなど様々な手段でお金儲けに執心しており、
 「今の世の中、お金が全てじゃないですか。豊かな老後の為に、僕は今から貯蓄に励んでいるんです」
 満面の笑みで告げる、戯画化された糸目系日本人そのもの、という風貌が、どこから見つけてきたんだ、という会心のキャスティング(笑)
 お金以上に大事なものもある、と諭す数美の言葉に耳を傾けずにひろしが去った後、ど派手なシャツとサングラス姿の文矢が通りがかり………… お金を貯める事そのものに執着するひろしと、バーゲンで雑な散在をする文矢の対比による笑いなのですが、前回が前回だったので、 文矢に関してはそっとしてあげておいて下さい。
 そこに現れたブタルギンは、凄まじいパワーと鼻息でファイブマンを撤収に追い込み、数美が左手を負傷。
 「ファイブマンを倒したかったら、もっと金を、寄越すヅラ」
 体内に金を蓄えれば蓄えるほどパワーを増すブタルギンは、ドンゴロスの大金庫の中身を吸い尽くすと、更に現金輸送車を襲撃。 偶然その光景を目撃したひろしは、眠りこけるブタルギンの腹から風に舞ってばらまかれた一万円札をかき集めると猫ばばするが、 そんなひろしの顔が、まるで醜いブタのようになってしまう!
 特にブタルギンの能力とは描写されない、寓話的戒めなのですが、説明を付けるならば恐らく、 ブタルギンの体内に収納された紙幣に触れた事による、ウィルス性の感染症状ではないかと思われます。
 水面に映った(この辺りも童話的であり)自らの顔に己の所業を悔いた少年は、命がけで自分を守ってくれた数美を救う為、 大切な貯金をかき集めるとブタルギンの前でばらまき、目の前の小銭に目がくらんだブタルギン (正攻法でこれだけ強いブタ型怪人も珍しいかも)がファイブマン壊滅の決定機を逃した隙に、ファイブピンクが戦線復帰。
 渾身の連続攻撃から桃の個人必殺、そしてアースカノンへと続けてブタルギンを撃破すると、 ゴルリン16号が召喚されて巨大ブタが誕生。今回は桃がセンターに入ると、二刀流の仕込みショットガンを浴びせてからの「正義の剣、 受けてみなさい!」で、ずんばらりん。
 ひろし少年がお金より大事なものの存在に気付く一方、文矢はまたもバーゲンで変な服を買い…………まあ、 文矢に関してはしばらく優しくしてあげてもいいと思います(笑)
 数美2回目のメイン回でしたが、健の宝探し回・レミのカメラ少年回に続き、 ゲストを「元生徒」にすれば幾らでも取っかかりが作れる一方で、生徒−教師間の関係性を丁寧に掘り下げないと “誰が「教師」役でも成立してしまう”為に、キャラ回としてのならでは感が薄くなるという、 『ファイブマン』の設定上の落とし穴が見えてきた感。
 そもそも小学校教師なので、レミを除くと専任ではない点は脇に置くとして、お金の話=算数という点では繋がりを持たせているのですが、 もう少し特別な関係性やキャラクターの個性を押し出さないと、キャラ回としては、判で押したような内容でパッとしない、という事に。
 星川兄妹の職業:教師そのものは、子供達の身近な存在がヒーローに・〔教師−生徒〕と〔ヒーロー−大衆〕 の関係性の照応・子供達とのスムーズな距離感・導く者としての未来志向、と揃った良い設定だと思っていたのですが、それがそのまま、 キャラ回における個性の出しづらさに隣接してしまったのは、1年物の作品の難しさを感じます。
 過去作では『超新星フラッシュマン』が顕著でしたが、メンバー同士の関係性が密接すぎる(一蓮托生の度合いが強すぎる) と個々の陰影が出しにくくなる面があり、今作では、それをいっそ「家族」まで高める事により、 「ヒーローとしての行動原理」や「問題解決の手段」に繋げる事で作劇上のプラスに転じさせようとしているのですが、 そこで内部的な行動原理(復讐)と外部的な行動原理(子供達の未来を守る)をスムーズに接続する為の「教師」要素が「家族」と一体化してしまう事で、 個々のキャラクター性をその枠の外側へ放出・接続できなくなってしまった部分が見えてきます。
 そしてこの枠組みを保持――規定――している土台が、“80年代戦隊が形成してきたヒーロー像”であり、 その土台ゆえにひっくり返す事が出来ず、ひっくり返す事が出来ないゆえに生じていた袋小路的状況……の突破の為の打開策の一つとして、 次作『ジェットマン』では、「メンバーの基本ヒーロー度を下げる」という荒技が計算尽くで放たれる事になるのですが、 改めて、シリーズ史としては節目になったのが、この1990〜1991年といえるでしょうか。
 (《スーパー戦隊》でいうと『マスクマン』、《メタルヒーロー》でいうと『ジライヤ』には、 この問題に対する試行錯誤の先駆けの面あり)
 エピソードとしてはどうという事のない内容でしたが、『ジェットマン』前年に井上敏樹が、 道徳の教科書のようなエピソードを書いていた、のは面白い点(笑)
 次回――闖入者、現る。

◆第19話「赤いけんかロボ」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 ナレーション「諸君は、サイラー星のサイラギンを覚えているだろうか」
 まさかすぎる導入で、夏休みを前にワクワクするサイラギンの前に姿を見せたのはファイブロボ……ではなく、 ファイブロボによく似た赤いロボ。
 謎の赤ロボはいきなりサイラギンの顔面にパンチを叩き込むと、サイズはともかく精神的には小学生を一方的に殴り飛ばす、 印象最悪のデビューを飾り、サイラギンの言葉から、まだ見ぬ強者――ファイブロボを求めて、地球へ。
 結構なエキストラを使って地球着陸が描かれ、ゾーンさえ知らない謎のロボの挑発に出撃するファイブロボ。
 「おまえがファイブロボか!」
 「何者だ?!」
 「ファイブロボを、倒しに来た者」
 大変、話の通じないタイプだった。
 青と赤、二台のロボの殴り合いはなかなかの迫力で、アーサーの分析により、 赤ロボの装甲はファイブロボと同じ合金で出来ている事が判明。それどころか、動力やエンジンまでもが酷似しており、 二大のロボは外見ばかりではなく、その性能までがそっくりといっていいものだった!
 「ということは、あのロボットも父さんが」
 「そんな筈は無い。博士が作ったのは、ファイブロボだけだ」
 ……まあ、本人も知らない破壊兵器が、アーサーの中に内臓されていたりしましたが。
 もしかしたら、両親が生き延びて新たなロボットを作ったのかもしれない、と希望を抱く5人は、 とにかくパイロットを引きずり出して口を割らせようと激闘を繰り広げた末、ダブルノックダウン。
 地上に投げ出された兄弟の前に姿を見せた赤ロボの操縦者は、宇宙の暴れウルフ・グンサーを名乗り、 どこでロボットを手に入れたかの問いに自作を主張すると、口封じを図って銀河棒術で5人へと襲いかかり、 あらゆる意味でダメな感じの人だった。
 その籠手の星マークはなんなの?! チャームポイントなの?! と、先日の吸血元王子といい、ロボットの出自よりもむしろ、 『ファイブマン』宇宙のファッションの流行が気になりますが、星川兄妹とグンサーが生身で戦っている内に、 不意に現れたゴルリンX号が赤いロボットを担いで逃走し(斬新な利用法……)、慌てて追いかけたグンサーは銀帝軍に捕まると、 バルガイヤーへとご招待。
 おまえ誰に断ってこの星で商売しとるんじゃ、とケジメを取らされるかと思われたグンサーだが、自惚れの強い所が気に入った、 とメドーの姐さんに巨大な槍を与えられて、再出撃。
 「これが本当の鬼に金棒だ!」
 ロボットの動力について「企業秘密」と抗弁するなど、ちょくちょく台詞が面白くて困ります。
 銀帝軍の鉄砲玉になった赤ロボ相手にファイブロボも再出撃するが、剣と槍での打ち合いに苦戦し、 同系統のロボ+メドー様のマジックアイテム装備、でファイブロボの苦戦には納得しやすい状況設定。
 前作のターボロボに続き、可動範囲広めのファイブロボなので同型ロボ同士の激突はなかなか面白く、戦闘中、 敵ロボの胸に出入り口となるハッチがある事に気付いた赤は、同型のロボならハッチを開けて侵入できるかもしれない、 と4人に操縦を任せ、単身、赤ロボへ接触する。
 話の流れとしては、両親が作ったロボならば……という希望を、兄妹の両親への想いと繋げ、 戦況逆転のキーとする狙いだったのでしょうが、CD(解除キー)をセットして、開くかな開くかな? とハッチの前でドキドキする赤、 の図がどうにも間の抜けた映像になってしまい、いまいち劇的にならず。
 首尾良く潜入に成功した赤は直接コックピットに乗り込んでグンサーと取っ組み合っている内に自爆装置 ……こそ作動しなかったものの制御を失った赤ロボが崖から転落するが、谷底に激突する前に間一髪、 飛行形態へと姿を変えると赤とグンサーを乗せたまま飛び去ってしまう!
 果たして謎のロボットの正体は如何に?! 星川父は一体あとどれだけ、宇宙にヤバい兵器をばらまいているのか?!  父さんへの不信感が上昇する中、つづく。

◆第20話「燃えろ兄弟ロボ」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 暴走する飛行形態スターキャリア(とテロップが出た)は岩山と正面衝突し、 揃って投げ出されて派手に崖を転がり落ちた赤とグンサーは、マシンの所有権を巡って醜く争うが、そこに迫る銀河魔人バールギン、 そしてガロア艦長。
 「ガロアはプライドを傷付けられたというわけか。バルガイヤー艦長たるもの、そうでなくてはならぬのだ」
 バールギン(「バー」が何を示すのか判然としないのですが、頭部の他に胴体にも象めいた顔があり、 全体的にぎょろ目強調……何に似ているかといえば、デスピサロに似ている)の超魔力により、縛り付けられてしまう学とグンサーだが、 そこに弟妹が駆け付け、銀帝軍と戦闘開始。
 弟たちを助けようとする学と、辛うじて山上に不時着したスターキャリアに向かおうとするグンサーの呼吸は全く合わないが、 そんな二人をまとめて始末しようと大上段に剣を振りかぶったガロア艦長が、見事に戒めを切断してくれました。
 さすが百戦錬磨古今無双のガロア艦長、期待に応えるスペースダンディ。
 「へっ、そう簡単にやられる俺たちじゃないぞ!」
 グンサーはグンサーで、いつの間にか友情パワーを発生させ、勢いだけで生きている感じだった。
 〔余裕かましていたら子供に顔面を撃たれる → 20年越しの復讐鬼に挑発され手傷を負わされる → 車斬りを披露するも再戦で正面から敗北 → 完全勝利の筈が赤っ恥〕と、最前線に出張ると碌な事が無い艦長は、 ホットなお仕置きを求めて撤収。
 後を任されたバールギンは自らの魔力で巨大化し、銀河「魔人」との事で「闘士」より格上なのでしょうが、 アクションを前面に押し立ててスピード感重視の構成にした煽りであれこれ省略しすぎて、取って付けたような感じになってしまったのは残念。
 学は、巨大バールギンの念動による落石からグンサーをかばい、アーサー操るファイブロボに助けられた弟妹4人は、 そのままファイブロボへ。
 「もしやおまえは父さん達の事を知ってるんじゃないのか?!」
 その間に学はグンサーを詰問し、「なぜ助けた?」の理由が、洗いざらい全て喋ってもらう為だ!で、 身も蓋もありません(笑) ……いやまあ、正統派ヒーローのファイブマンなので、両親の事がなくてもひとまず助けたかとは思われますが、 グンサーはもう少し、視聴者の目線で許しやすいキャラ付けにした方が良かったような感はあります。
 引き続き目を泳がせるグンサーだが、ファイブロボととスターキャリアのシステムが反応し、ファイブロボに乗り込んだ学は、 弟妹たちと共にスターキャリアに仕込まれていた父からのメッセージを受け取る。
 「二台のマシンは合体して、スーパーファイブロボになる。私は、父としてみんなを助けに行きたい。だが…………」
 「父さん、どうしたの?!」
 「どこに居るんだ、父さん!」
 「信じている、君達を」
 録音はそこで途切れて、スターキャリアはファイブロボが危機に陥った時の為に星川博士が用意していたマシンだと明らかになり、 前作のスーパー合体が設計・開発者が仕込んだ記憶のない青春パワーの奇跡という強引極まりないものだったので、 今回は最初から用意していたものとなったのでしょうが、両親の生死、 という新たなミステリーがスーパー合体に紐付けて物語の牽引要素に加わる事に。
 学は再びスターキャリアを目指し、兄妹の様子を覗き見し、バールギンの攻撃から学をかばったグンサーは、 スターキャリアについて何かを伝えようとするも石化して空の彼方に吹き飛んでしまい…………レー・バラキ案件。
 個人的には、星川夫妻は第1話で死んでいた方が物語としては美しいと思うのですが、両親の行方といい、 思わせぶりなゲストキャラの退場といい、新ロボと共に配られたカードがちょっと『フラッシュマン』しているのは、若干の不安材料です。
 火薬の中を走り抜けた学は、最後の力を振り絞ったグンサーが手斧で開放した縄ばしごに掴まるとスターキャリアに乗り込み、緊急発進。
 「頼むぞスターキャリア、父さん、見ていてくれ。合体! スーパーブラザージョイント!」
 合体システムは前作を踏襲する形で、戦闘機形態のある2号ロボがパーツ分割で1号ロボの追加装甲として各部に被さり、 他に処理のしようが無かったのか、胸部から頭部にかけてはスーパーターボロボとほぼ同一ながら、 厚すぎる下駄や段々で強引な肩位置は修正されて、より立ち回りのしやすいスマートなデザインに収まった、スーパーファイブロボが完成。
 SFロボは両の拳を撃ち出すジェットナックルをバールギンに叩きつけると、踵のブースターで大地を滑り、 そのまま加速をつけて殴り殺す、どちらかというと高速戦隊を思わせる必殺拳でバールギンを粉砕。
 ナレーション「果たして、グンサーはどうなったのか。とうとう、父たちの事を聞き出す事は出来なかった」
 率直なところ、グンサーが再登場しても嬉しくなかったりはしますが、実質小学生に暴行を加える時点でアウトすぎて、もう少し、 好感を持ちやすいキャラにしても良かったような……また、情報調節の手段として、会話の途中で強引にぶったぎるのがあまりに悪手で、 いまいち冴えない前後編となりました。
 2号ロボ登場タイミングとしては、
 『フラッシュマン』:17−18話
 『マスクマン』:21−22話
 『ライブマン』:28−30話
 『ターボレンジャー』:28−30話
 と、『フラッシュマン』『マスクマン』と同時期にしつつ、スーパー合体もその時点でねじ込む形になり、 このタイミングでの新ロボ登場と物語を大きく動かす作劇が、まだ確立していなかった感があります。
 同時に、3作目にしてスーパー合体に良くも悪くもお約束感が出てしまうのは、毎年やっている《スーパー戦隊》シリーズの、 長短裏表もひしひしと感じるところ。
 こう並べると、『ライブマン』『ターボレンジャー』では、 新ギミックの登場とチームヒーローとしての成長を重ね合わせる意識があった事が見えますが(人数から増えるライブマンに対して、 半ば強引に無から有を生み出す事になったターボレンジャーでは上手く行きませんでしたが)、それは次作『ジェットマン』において、 “チームの基本ヒーロー度を下げる”手法と噛み合って花開く事になったといえそうです。
 残念ながら今作では、折衷案が盛り上がり不足を生んでしまった感じですが、今後の展開に期待しつつ、 次回――ようやく体育教師のターン!

◆第21話「跳び箱3人組」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「きょうだいせんせい」が、都市伝説みたいになってる……!
 3人組の小学生(通称:コニシキ・ノッポ・メガネ)から「跳び箱を教えて下さい」と悩み相談を受け、 流しの体育教師・健が連続回転でズバッと参上していた頃、バルガイヤー上空には、ちょっと威圧感控え目なメドー様が浮かんでいた。
 「ファイブマンは二台目のロボットを手に入れ、更にパワーアップしてしまった。ガロア艦長、今後一体どう戦うのだ」
 今回に関しては半分ぐらい陛下の責任なのでお仕置き光線は無く、物足りなさを押し隠しながらも、 ガロア艦長はメンバーの個別攻略を狙い策は既に動いていると宣言。
 「跳び箱ってのは、思い切りなんだよ。勇気なんだ」
 一方、校庭では健の跳び箱指導が続いていたが成果はかんばしくなく、3人組が跳び箱を前に気弱すぎると感じる健。
 (この子たちは精神から鍛え直さないといけないなぁ……)
 星川兄妹が言うと、凄く、不穏です(笑)
 ……よし! フ○ッシュ星の過酷な環境で三日ぐらいサバイバル訓練をしてみよう! と健が笑顔で言い出す数秒前、 地を這うワカメが健に絡みつき、姿を現す銀河闘士アメーバルギン。
 これを跳び箱超スピンキックを炸裂させて倒した健は、3人組を連れて湖畔で夏休み跳び箱合宿を開始するが、 そこに再びワカメが出現し、アメーバルギンが復活する。
 「俺は銀河の原始生命体。どんなに切られても生き返る」
 凄いのか凄くないのか微妙な自己紹介に続いて襲い来る不死身のアメーバに対し、 普通の人間でも「やれば出来る」事を子供たちに伝えたい健は変身を躊躇い、それはまあいいのですが、 兄妹4人はモニター越しにのんびり心境を解説していていいのか(笑)
 そして、普通の人間に出来る事として、アメーバルギンを軽トラで轢こうとする健。
 そう、跳び箱に必要なのは、躊躇無くアクセルを踏む思い切りと勇気!
 だが、軽トラの一撃は銀河忍法アメーバ空蝉の術で回避されてしまい、運転席に乗り込んできたアメーバとの取っ組み合いの末、 トラックは勢いをつけて崖から転落。健は辛うじて運転席からの脱出に成功し、アメーバルギンは地面に激突したトラックと共に炎の藻屑と消える……。
 「すげぇなぁ……健先生って」
 「先生の言う通りだ。人間やればできるというのは」
 ……うん、普通の人間は、この状況では生き残れないので感心しちゃダメだけどな!
 健は駆け付けた学たち4人に助け起こされるが、キャンプに戻ろうと5人が立ち去った後で復活したアメーバは、またも健を襲撃。 学たちの助けを断った健は生身の戦いにこだわり続け、ここでピンと来たのですが、どうやら今回、 『光戦隊マスクマン』第20話「罠!沈む巨大ロボ」(監督:長石多可男 脚本:曽田博久)のプロット―― ピンクマスク/モモコが開く拳法教室の教え子が邪道な力に溺れ、その目を覚まさせる為に生身で戦い続ける―― を再利用したのかと思われます。


 青空拳法教室を開くモモコは、気合いの叫びとともに、少なくとも10個は積み重なったレンガを、コンクリートブロックを、 次々と粉砕していき……拳法、教室……?
 「みんなだって出来るわよ。人間に不可能は無いわ。努力すれば誰だって出来るの」
 「ほんとに? ほんとに努力すればできるの?!」
 「己を信じ、決してへこたれず、最後までやり抜けばね」
 いい事言っている風ですが、光戦隊における「努力」とは、幼少期からの血で血を洗う修行の日々・オーラボール千本ノック・ 絨毯爆撃浴、などなどを示すので、みんな逃げて!
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 「モモコ! なぜ変身しないの?!」
 「……子供達との約束を守る為よ! 己を信じ……生身で戦い……決してへこたれず……最後までやり抜く。 そう子供達にも教えた…………許さん!!」

 このエピソードは、新ロボ登場編の前振りとしての充実したアクションに、 『マスクマン』特有の闇の深さと激しい死闘が噛み合ってなかなか面白く、

 「勝利の為の最適解」=「変身」なのですが、それよりも「子供達を正道に戻す事」が優先事項であると描かれ、 その為には「変身」を否定してみせる、というのがかなり大胆な作劇。

 という「変身しない為の理由付け」にも相応の説得力を持たせて組み立てが良かったのですが、 今回は「教師(的存在)として子供達と真っ直ぐに向き合う」コアを維持したまま「跳び箱という身近な問題の解決」 にダウンサイジングした変換は上手かった一方、どうしても説得力が弱くなってしまったのは感じます。
 アメーバルギンの再生現場を目撃していた3人組は、怪物の弱点を健に伝えようとするがドルドラ一向に阻まれ、 その悲鳴を聞きつけた赤桃黒黄が救援に。
 3人組が勇気を持って戦闘員の包囲を突破する姿で跳び箱要素を回収し、子供達から不死身の秘密が胸部の核にあると知った健は、 なんだかドルゲ怪人みたいな笑い声をあげるアメーバの胸に渾身のパンチを叩き込み……本当に、 生身&素手で倒した(笑)
 のもどこか『マスクマン』ぽいですが、作戦失敗を悟ったドルドラによりゴルリン17号が召喚され (誰でも巨大化ギミックが召喚できる一方、今回のようにやや強引にでも誰かを現場に送り込まないといけないのが、 システム上の問題点といえましょうか)、第18話のブタ回が16号だったので、 第19話でスターファイブを運んでいったものはカウントされていないか同一個体である模様。
 対してファイブマンはスターキャリアを召喚し、スペースシャトルの打ち上げをイメージしたと思われる、 マグマベースからの発進シーンは、かなりの迫力。
 キャリアは「変形! スターラウンド!」の掛け声でロボ形態となり、完成・スターファイブ!
 胸の模様がカセットテープに見えるスターファイブ、こんなトランスフォーマーが居たような……と思って調べたら、 そちら(サウンドウェーブ)はテープレコーダー要素がもっと明確かつ巨大でしたが、 さして『トランスフォーマー』見ていたわけではないのに記憶に残っている程度には、 子供心に衝撃的なデザインでした(胸部からカセットテープが飛び出したと思ったら動物メカに変形するとか、今考えても熱い)。
 今のところカセット要素は特にないスターファイブ、今回が実質的なデビュー戦となりましたが、 アクションがファイブロボとあまり変わり映えせず、うーん……取り出した二丁拳銃もターボロボなどと被り気味ですし、 右手の銃で拘束してから左手の銃を撃ち込むと拍子抜けするほどあっさりアメーバが吹っ飛び、 ビックリする程パッとしない初陣。
 『フラッシュマン』以降、それなりに1号ロボと差別化されていた2号ロボですが、兄弟ロボの設定上、 見かけが似たり寄ったりなのも手伝って個性が見えず、早急な改善が欲しいところです。
 「本当に人間て、やれば出来るんですね」
 「これからはなんでも勇気を出して、やるぞぉ!」
 3人組はそれぞれ跳び箱を攻略して、人間として新たなステージへ入り……うん、まあ、死線をくぐり抜けた上で、 ゴッドハンドを目の当たりにしてしまったので、これはもう、“目覚め”ても、仕方ないですね……せめて彼らが将来、 人の道を踏み外さない事を祈りたいと思います。
 ナレーション「やれば出来る。子供達は、人生の跳び箱を。ファイブマンは、戦いの跳び箱を、飛び越えていくだろう」
 最後は伝家の宝刀ナレーションさんが綺麗にまとめ、プロットは過去作の焼き直し、題材はオーソドックスながら、 出来上がりから随所に狂気が滲み出るのが、曽田脚本らしいエピソードでした(笑)
 次回――そ、ソーラパワー?!

◆第22話「光る美青年」◆ (監督:長石多可男 脚本:渡辺麻実)
 「花の蜜はあたしのエネルギー、木々の緑はあたしのパワー」
 植物からエネルギーを吸い取る為、星を不毛の世界に変えていくゾーンとは縄張り争いをしている、 ちょっと気持ち悪い顔のハチ型女性怪人クイーンキラーがファイブマンを襲撃し、桃とサーベル対決。
 だが桃は敗北して川落ちし、焦る残り4人もレイピアにまとめて切り裂かれ、次々と川落ち。
 バルガイヤーに乗り込んだ放浪剣士クイーンキラーが、ファイブマンに勝ったからにはこの星は貰うと宣言していた頃、 Vチェンジャー(首飾りタイプの変身アイテム兼通信機)を失った数美は結城光合成研究所に拾われ、 ソーラパワーの研究により(意識的に「ソーラー」ではなく「ソーラ」と言っているように聞き取れるのですが、私の聞き取りなので、 もしかしたらそんな事はないかも)、地球を緑で一杯にしたいと夢見る青年科学者・結城光司(演:海津亮介)と出会っていた。
 自らの夢を滔々と語った結城は、そういえば君怪我してたでしょ、 とタイトミニの数美姉さんを問答無用のお姫様抱っこでベッドに運ぼうとし、それは、悪意も下心も無くても、 平手打ちされて仕方ありません(笑)
 これが藤井脚本だったら、結城は宇宙人で悲恋物の香りが出会った瞬間から濃厚に漂ってくるところですが、研究バカの結城と、 そんな結城を微笑ましく思う数美の姿を示してほのぼの風味で進み、数美が研究所を離れようとしたタイミングで、ソーラ結晶が完成。
 (お父さんと、同じだわ)
 東映特撮名物:忘れた頃の環境破壊ネタが盛り込まれますが、星川兄妹の目指すところでもあるのでテーマ的にはスムーズに接続され、 植物に向ける結城の横顔に、数美は父を思い出す。
 だが、植物を活性化させる力を持ったソーラ結晶に目を付けたクイーンキラーが、律儀に扉を開けて研究所へ侵入。
 「自然を食いつぶすような奴に、渡してたまるか!」
 数美は結城を逃がす為にハチ女へと生身で突撃し、
 「どうしても死にたいらしいな」
 「たとえ死んでも、地球の自然は守ってみせるわ!」
 ロマンスの芽生えから一転、徒手空拳で生身突撃になるのが大変ファイブマンですが、数美を探し、 戦闘の音を聞きつけた学たちの前には、弱体化した相手の前で自信満々になる事には定評のある銀河剣士ビリオンが立ちはだかる。
 戦闘員を蹴散らしながら学はレミを先行させようとし、 吹き替え無しでさらっとジャンプ二段蹴りからの着地すかさず飛び回し蹴りとか決めてるんですがドレミの戦士。
 ザザに食い止められてしまうレミだが、3代前の主人公には負けていられないと、学兄貴がお姫様キャッチを決めて4人は変身。 クイーンの猛攻に追い詰めらていた数美と合流すると5人揃うファイブマンだが、強敵クイーンの剣技の前に変身解除まで追い詰められ、 更に、生身弾着。
 血まみれで地面に倒れ、ファイブマンが壊滅寸前に陥ったその時、 飛び出した結城の手にあったソーラ結晶が眩い太陽光を浴びると5人の傷を癒やし、ファイブマン復活。HP・MPが全快した5人は、 主題歌から久々のブラザーコンビネーションを決め、桃のサーベルがクイーンの胸を貫く!
 「フフフ、戦いの好きなおまえに、せめてもの手向けだ! ゴルリン18号!」
 弱った相手には強気に出る事で定評のあるビリオンが、 台詞に合わせて手にした野花を投げ捨てる非の打ち所のない残念アクションからゴルリンを召喚し、 強制融合により、巨大クイーンが誕生。
 今回はファイブロボのターンとなり、桃がセンターで鉄拳を浴びせると早々に超次元ソードから連続の斬撃を浴びせ、 「正義の剣を、受けてみなさい!」で成敗。
 結城は、砂漠化の進む土地へ行ってソーラ結晶の生成に再挑戦する、と研究所を引き払って姿を消し、 ロマンス要素の切断の為にゲストキャラが島流しにあう恒例のパターンですが、残された鉢植えを抱える数美の肩を叩き、
 「また会えるさ、必ず」
 と、1ミリも茶化さない学兄貴の姿に感涙。
 格好いいぜ兄貴……!
 予告のノリと海津亮介さんのゲスト出演で、パロディめいたエピソードになるのかと警戒していたらそんな事はなく、 数美姉さんのロマンスエピソードなのも要素として良かったですが(これがオマージュとはいえますが)、 幾ら3代前のレッド役がゲスト出演とはいえ、サブタイトルは盛りすぎだったと思います!

◆第23話「5くん人形」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 文矢が子供たちと手作りした人形で、企画・脚本・主演:オレ の夏休みこども劇場「ファイブくん」ぬいぐるみ人形劇を始め、いい大人が子供たちを差し置いて自分の見せ場最優先ってどうなの?  と兄姉から一斉に駄目出し(笑)
 「文矢め……人形劇でまでこの俺を馬鹿にしおって!」
 「銀帝軍ゾーンを侮辱するにも程がある。叩っ切ってやる!!」
 そしてどういうわけかこれをモニタリングしていた銀帝軍では、いい大人たちが揃って激怒していた(笑)
 猫の額より器の小さい残念艦長と残念剣士は勢いで出撃しようとするが妙案があると強欲商人に止められ、 ドンゴロスの送り込んだノッペリ星人が、人形の姿を写し取って銀河怪物カイジュルギンに姿を変えるちょっとした変化球。
 混乱の中でファイブくん人形を奪い取ったドンゴロスはゾーン劇場を始め、 人形劇の要領で人形が攻撃されると現実のファイブマンもダメージを受ける突然の銀河呪術が発動し、 怪人の特殊能力でもなんでもありません!
 遠隔の呪術攻撃に手も足も出ないファイブマンはかつてない深刻な危機に陥り、メドー様からも大好評。
 だが、積年の恨みを晴らそうとゾーン劇場で人形をいたぶるのに時間をかけすぎたのが付け入る隙となってファイブマンは変身解除によって呪術を回避し、 vs呪術のやり取りは、『科学戦隊ダイナマン』屈指の男達がさいてーなエピソードである第29話「キメラの呪いの服」 (監督:山田稔 脚本:曽田博久)をちょっと思い出しました(笑)
 「今度は俺たちの人形劇を見せてやるぜ!」
 人形を奪い返した兄弟は怪獣人形を袋だたきにすると、ガロアくん人形もとばっちりで袋だたきを受け、 バルガイヤーで悶絶する艦長はすっかり、不憫属性。
 「兄弟戦士の力を見せてやるぜ!!」
 危うく、死因:呪術になるところだった艦長ですが、ファイブマンは怪獣退治に集中し、 揃い踏みで主題歌バトルから久方ぶりのアースカノンでファイヤー!
 ゴルリン19号が召喚されると、テーマ曲と共にスターキャリアが発進し、 手早くスーパー合体から尻尾を掴んでのジャイアントスイング、ジェットナックル、そして高速ジェットからの加速パンチでビクトリー。
 SFロボは立ち回り重視の造形にした事で、デカくて強くて問答無用感は無いものの、 強化モードとして普通にアクションできるのは良いところ(スーパー合体そのものは既にパターンに組み込まれてしまった一方、 その位置づけ自体は変化させようという意識が見えます)。
 企画・脚本・主演:オレに末っ子の不満をぶつけるも、兄姉の暖かさに家族の絆を改めて感じた文矢は反省し、コミカルタッチの中で、 子供たちとの交流 → 兄妹戦士の在り方 → 揃い踏み → スーパー合体、と要素を一揃えして、ファイブマンのヒーロー像を再確認。
 予告を5くん人形(黄)がジャックし、次回――この地球を抱き止める そんなでっかい心が欲しい!

◆第24話「のろ亀忍者」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「忍者アクションは無敵だぜぃ!」
 戸隠流の秘密施設がある事で知られる茨城県ゆうもあ村では今、銀河忍者バツラギンの指導の下、銀帝軍の戦闘員・バツラー兵を、 ニンジャにジョブチェンジさせようとしていた! ニンジャとはサムライと双璧を為す地球最強の戦闘種族であり、 ニンジャさえ居れば地球征服も目前なのだ!!
 冒頭からしばらく修行風景のアスレチックアクションと、落第戦闘員339号の姿がコミカルに描かれた後 (やたら番号が大きいのは多分、既に300名以上の戦死者が出ているからですね……)、 銀帝軍はゆうもあ村の調査に来た星川兄妹とばったり遭遇。
 「バツラギンとやら、運動会でも始める気か!」
 ……かつて、運動会、した、悪の組織がありましたね(笑)
 バツラギン(修行を積んだバツラー兵の上位種という扱いですが、 なんとなく僧形のタコ怪人めいたデザインであり……後のサーガインにちょっと似ているといえば似ている) は銀河忍法・無重力アタックや流れ星シャワーをファイブマンに浴びせると一時撤収し、 地下基地で進められていたバツラーニンジャ軍団の真の目的は、動物変化の術のマスターにより、スパイ活動や潜入工作に役立てる事!
 ゆうもあ村を探っていた星川兄妹は、戸隠流の罠、じゃなかった、粛正されようとしていた339号と出会い、 レミがその命を助けた事から動物変化作戦について報されると、アジトになっている忍者屋敷へと突入 (健は今回も「信じていいのか?」と問う役回り)。
 屋敷のカラクリ仕掛けによって分断されてしまう6人だが、トラップの槍に刺された339号は、最後の力でレミに変身。 その決死の陽動によりゾーンの変身ニンジャ量産作戦は水泡に帰し、良い怪人(戦闘員)との交流エピソードに着地するのですが…… 常日頃、十把一絡げに惨殺している戦闘員に個々の人格を与えてしまうのが個人的には苦手な上、 「バツラーの命も人間の命も同じ」までレミに言わせてしまうのは、どうもノりにくいエピソードでした。
 「339号の死、無駄にしないわ!」
 ファイブマンは銀河忍者と改めて激突し、どういうわけか前回に続いて登場した喋る人形の応援シーンが挟まれて (この人形自体が企画要素だったのでしょうか)、反撃からアースカノンを決め、ゴルリン20号召喚。
 対する5人は初手からファイブロボとスターキャリアを同時出撃させると容赦なくスーパーブラザーズジョイント!  黄がセンターに入ってのカンフーアタックでスターヌンチャクを振り回すと、 ジェットナックルからの高速パンチで銀河忍者を葬り去るのであった(Gに耐えるシーンで、 ちゃんと座席位置が入れ替わっていて良かった)。
 前回今回と、夏休みの小休止的なコミカル要素を多めにしつつファイブマンのヒーロー像を再確認するエピソードが続き、 一休みを入れてもいいのでは、というところまで曽田先生が自ら書くのが良くも悪くも曽田作品なのですが、これといった切れ味はなく、 手癖で書いてしまったような内容。
 曽田さんが積極的に書きたがったのか、他の脚本家を引っ張ってくるよりも曽田さんの生産力(と勘所の抑え方) に任せた方が現場が回りやすかったのかは窺い知れないところでありますが、次作『ジェットマン』では脚本陣も大幅な若返りが行われ、 この点もまたシリーズ史の一つの節目となる事に。
 星川兄妹はゆうもあ村に339号の勝手にお墓を作り、次回――桜島大噴火作戦、どっかーーーん?!

(2024年7月26日)

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