■『科学戦隊ダイナマン』感想まとめ4■


“待っていたんだ 僕たちは
無敵の戦士 ダイナマン”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『科学戦隊ダイナマン』 感想の、まとめ4(31〜40話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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まとめ1 ・ まとめ2 ・  まとめ3 ・ まとめ5 ・ 総括


<主な登場人物>
☆ダイナレッド/弾北斗:オートレーサーにして、内燃機関などの研究者。剣道家であり、また、OPを見る限りではボクシングなどの 格闘技にも長ける模様。知勇兼備の二枚目だが、センスが残念。
☆ダイナブラック/星川竜:宇宙人と会うことを夢見る、自称、伊賀忍者の末裔。生身で宙を舞い、手から糸を出し、 分身の術を操るなど、圧倒的な戦闘能力を誇る超人。
☆ダイナブルー/島洋介:海を愛する海洋研究者。水中戦を得意とする。
☆ダイナイエロー/南郷耕作:ラーメンを愛してやまない、植物と農業の研究者。射撃と運転が得意な模様。
☆ダイナピンク/立花レイ:動物と会話する研究を行っている、ダイナマンの紅一点。フェンシングの使い手。
☆夢野久太郎:科学戦隊の総司令。普段は冴えない発明おじさんだが、ジャシンカ帝国の侵攻を予期し、ダイナロボなどを開発していた、 謎多き人物。
−−−
★帝王アトン:ジャシンカ帝国を統べる、9本尻尾の帝王。
★カー将軍:ジャシンカ帝国の参謀にして進化獣の開発者である、7本尻尾の将軍。
★メギド王子:アトンの息子で、5本尻尾改め4本尻尾。地上侵攻作戦の指揮を執る。
★キメラ王女:メギドの従妹で、4本尻尾。ジャシンカ一の幻術の使い手。

◆第31話「スパイ有尾人の罠」◆ (監督:堀長文 脚本:曽田博久)
 堀長文監督、戦隊シリーズ初登場。
 いきなり、ごく普通の民家にあがり込むメギド王子。なんとそこに住む夫婦は、10年前から地上人のフリをして潜伏している、 有尾人一族のスパイだった!
 壁に能面のようなものが掛けられていたり和風が強調された部屋で、机の上にどかっと座る王子や、机に足を乗せる王女など、 文化的ギャップが表現されているのが細かく面白い。
 夫婦の息子・和夫が、自分をすっかり人間だと思い込んでいる事に対して、まなじりをつり上げる王女と、 「まあ潜伏するにはその方が好都合かもな」と鷹揚な王子。王子は北斗と仲が良いという和夫を利用し、 北斗を罠に誘い込むようにと指令を下す。どことなく気乗りしない様子の夫婦だったが王族の命令には逆らえず、 用意された別荘に和夫の誕生パーティとして北斗を招くと、毒入りワインを差し出すが……
 「折角ですが、オートバイなので飲めないのです」
 「なっ……ちっ」
 「くっ」
 品行方正なヒーローに、物陰で舌打ちする王子と王女(笑)
 だが、こぼれたワインがカーペットを溶かし、仕方が無いので、伏兵とともに王子、王女、突撃。 包囲されて苦戦する北斗だったが仲間が駆けつけ、乱戦に。その間に逃げ出したスパイ親子だったが、 王子達に追われて和夫をさらわれてしまう。改めて命令を下された夫婦は、逃亡中に和夫が崖から落ちてしまったと偽り、 のぞき込んだ北斗を後ろから落とそうとするがよけられ、逆に落ちそうになって助けられる (その際、驚いて尻尾が飛び出して有尾人である事もバレる)。
 ダイナマンに囲まれた夫婦は、自分達が10年来のスパイである事。和夫は自分が有尾人一族である事を知らず、 またそれを知らせたくない事。なぜならば、地上で暮らした10年の内にジャシンカ帝国よりむしろ地上での暮らしが気に入り、 「出来ればこのままそっと暮らしたい」と思っている事を告白。
 そこへ飛んでくる、剣文。
 「和夫を助けたくば、弾北斗一人で来い」という文面と丁寧な地図に、歩き出す弾北斗。
 「待て! 今度はどんな罠が仕掛けられているかもわからんぞ!」
 竜に制止される北斗の脳裏に、剣道の稽古をつけている時の和夫少年の笑顔が浮かぶ。
 「弾さんみたいな、強い人になるんだ!」
 「有尾人の子供でも、人間の子供と何一つ変わりはない」
 西部劇チックな音楽で出撃する北斗さん、超格好いい。
 勇躍、指示された場所へ向かったダイナレッドだが、和夫を人質に取られて手も足も出ない。その時、 和夫を捕まえる王子と王女に近づいた二人の有尾人――スパイ夫婦の正体が和夫を助け出す。和夫が救出された所で仲間も姿を見せ、 形勢逆転。ダイナマンは親子を逃がすと、カマキリシンカを撃破。親子は“地上人として”生き続ける新たな生活の為、 引っ越していくのであった。
 プロットも良かったですが、これまでと、がらっと演出の質が変化し、 定期的にスープをかき混ぜる事の大切さを改めて見せてくれる名作回。今までやらなかった演技をさせたり(わかりやすい所では、 王様の手)、戦隊でもこれぐらいやっていいのではないか、という一つの方向性を見せたであろう1本(これが、 堀監督がメインを務めた次作『バイオマン』以降の作品に繋がっていく)。
 自分を人間だと信じる息子の為に葛藤する有尾人一族のスパイ夫婦、 というプロットの面白さに対してシナリオには生煮えな感じもあるのですが、これは脚本家の責任というよりも、 当時の戦隊シリーズにおいて求められていた方向性の問題でしょう。もう数年後だったら、このプロットは傑作になったかもしれません。 演出・脚本両面で高いポテンシャルを見せ、戦隊シリーズの持つ可能性の幅を見せてくれた、そんな1本。

◆第32話「消えたパワーガン」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 空飛ぶ自転車を開発中の夢野発明センター。
 「空飛ぶ自転車なんて無理だよなぁ!」
 いや、十分、空飛んでたような。
 そこへ、木田博士が大変なものを作ったので助けて欲しい、と子供達がやってくる。夢野博士(なぜか、「発明おじさん」 と呼ぶ事を子供達に要求)の旧知の木田博士が作り出したのは、パワーガン。その威力は、島一個を消滅させる。
 この世紀の発明を売り込もうとする木田博士だったが、交渉しに来た人間の正体はなんと有尾人。
 ダイナマンが駆けつけ、事なきを得るが、木田博士はこの恐るべき発明を、どうしても捨てられずにいた。
 「ダイナマイトを発明した者が一生悔やんだように、君も悔やむ事になるぞ」
 ダイナロボとか作った人には、微妙に言われたくありません(笑)
 「木田発明クラブに戻ってほしい」という子供達の懇願もむなしく、パワーガンとともに外へ駆け出す木田博士だが、 クモシンカに捕まってしまう。ダイナマンとの混戦中に落下したパワーガンを手に入れた子供達は、それをもって逃走。 一方ダイナマンには、ヘリにバイクに戦闘機、とジャシンカ帝国の大軍団が襲いかかる!

 予 算 が 下 り た !

 たぶん王様の涙ぐましい訴えが、ジャシンカ帝国の財務省を動かした!
 「この、鉄トンボめ!」とヘリにロープで攻撃する忍者の奮闘などもあったものの、次々と吹き飛ばされ絶壁から転がり落ちるダイナマン。
 王子「やったぞ! 遂にダイナマンをやっつけたぞ!!」
 本筋と関係ない所で(笑)
 パワーガンを隠した子供達を捕まえた王子は、隠し場所を白状させて勇んでそこへと向かうが……
 「急げ急げ! うわー?!」

 ジャーン! ジャーン!

 「生きていたのか、ダイナマン!」
 科学戦士があのぐらいの事では死ぬ筈がないのだ!

 前回と打って変わって、大爆発祭(これはこれでいい)

 31話とのバランスを考えた意図的なものなのか、単なる偶然か。
 新規カットかはわかりませんが、王子も、久々に馬に騎乗。
 逃げるのに使っただけですが。
 ダイナマンは王子の拾ったパワーガンを破壊、クモシンカも撃破。子供達の思いに触れた木田博士は恐怖の発明を捨てる事を決め、 また元の、山の村の気のいい発明おじさんに戻るのであった。最後は、木田博士が北斗達に対抗して開発した空飛ぶジェットヘリ自転車で疾走、 木立の陰に入った所で爆発! と最後まで貫かれた、見事な爆発オチ。
 大盤振る舞いの展開でしたが、劇場版をTVサイズに編集した回、との事。

◆第33話「レッドになれない」◆ (監督:堀長文 脚本:曽田博久)
 牢屋に閉じ込められていたマンモスシンカを解放したメギド王子、殴り飛ばされる。
 「おわぁ! 何をする?!」
 マンモスシンカは帝国を脱走、その報告を聞き、
 「ばぁかものめぃ!」
 王様、立つ!!
 マンモスシンカは、最も強くて最も危険、それゆえにジャシンカ帝国の隠し球だった進化獣。 好き放題に暴れ回るマンモスシンカは化学工場を破壊し、現れたダイナマンを上回る圧倒的なパワーを見せる。
 「なんてやつだ。こんな凄い進化獣、見た事ないぞ」
 「ははははは。当たり前だ。マンモスシンカはジャシンカ帝国最後の進化獣!」
 「最後の進化獣?!」
 「マンモスパワーには、誰も勝てぬ。行けい、マンモスシンカ! 東京を破壊しつくせ!」
 ビルの上で変なポーズを取る王子。
 その命令を聞いたマンモスシンカ、尻尾兵を踏みつぶしていく(笑)
 勝手な行為を王様に怒られた王子、カー将軍から特殊な手錠を渡される。それをはめる事で、 マンモスシンカを大人しくさせる事が出来るのだ。
 「メギド王子。王子の責任において、必ず連れ戻して貰いますぞ」
 将軍の視線が冷たい(笑)
 衝動の赴くまま、細菌化学研究所を破壊するマンモスシンカの前に立ちはだかるメギド。
 「マンモスシンカ、貴様を逮捕する!」
 「いくら王子でも、そいつは聞けねぇぜ」
 尊敬されない上司・メギド王子、あっさり逃げられる。
 追いかけようとした王子の前に現れるダイナマン、レッドは落ちていた手錠を拾う。
 「なんだこれは」
 「進化獣を大人しくさせることができる手錠なのだ。ヤツは俺が連れて帰る」
 「なに?!」
 「その手錠を返せ」
 「おまえにあの暴れ進化獣を逮捕する事は無理だ。ちょいと頭を使わねばな。行くぞ!」
 ダイナレッド、手錠を持ち逃げ。
 ついでに遠回しに王子の知力に疑問を呈しておりますが、一切フォローできません、申し訳ない気持ちで一杯です。
 北斗は老人に扮装して逃げるマンモスシンカを油断させると手錠の片方をはめるが、もう片方が北斗の腕にはまってしまう。 ブレスが手錠で隠れてしまって変身も出来ずに、マンモスシンカに引きずられていく北斗。
 そこに現れるキメラ王女。
 「ダイナマン、おまえたちは騙されたのよ! あの手錠で大人しくなるなんて、真っ赤な嘘よ!」
 全ては最初から、自由を封じたダイナマンとマンモスシンカを闘わせようという、カー将軍の策略であった!
 将軍、王子がマンモスシンカを捕まえられない事も、手錠についてペラペラ喋ってしまう事も、全て読み切った上で、 母艦から一歩も動かずにダイナマンを窮地に追い込む!
 「ぐぅぅ……ぐぬぬ、俺様を、馬鹿にしおって! 父上……このような侮辱があっていいのですか!」
 相手がカー将軍とはいえ、いいように利用された事にさすがに怒り心頭の王子だったが、
 「敵を欺くには、まず味方から」
 王様、あっさり却下。
 ところがそこで、急に苦しみ出す尻尾兵。同じ頃、発明センターの子供達も熱病に倒れていた。 なんとマンモスシンカは破壊した細菌化学研究所で新種のビールスを体に浴びており、 尻尾兵と人間の子供達にとってそれは致命的な病原菌だったのである。
 「このままでは、尻尾兵は、全滅です!」
 地上の細菌で、唐突に滅亡の危機に追いやられるジャシンカ帝国。
 割と崖っぷち。
 一方、地上では北斗がマンモスシンカにチェーンデスマッチでたこ殴りにされていた。
 むしろ、まだ生きているのが凄い。
 仲間、なぜか一時退却しているし(笑)
 そこへ現れたのが、帝国へのこれ以上のビールスの拡散を防ぐ為、マンモスシンカの抹殺許可を得てやってきたメギド王子。
 「これ以上病気を広げられると、我々ジャシンカ帝国は滅亡だ」
 また、要らない事をべらべらと喋る(笑)
 尻尾兵の繰り出すジャシンカバズーカをかわし、愛の逃避行を開始する北斗とマンモスシンカ。 追い詰められた北斗はマンモスシンカと呼吸を合わせ、バズーカ砲を手錠の鎖部分に直撃させる事に成功。 ダイジュピターで仲間達も駆けつけ、自由の身になった北斗はダイナレッドに変身。バイクで体当たり→ ドリームギャラクシーで崖から落とす→スーパーダイナマイト、のコンボでマンモスシンカを撃破。
 巨大マンモスシンカのブリザード攻撃で凍りつくダイナロボだったが、エネルギー集中で解凍すると、 ダイナフラッシュからの最強コンボで滅殺。最強の進化獣も、ダイナロボにとっては、さしたる障害とはなりませんでした。
 ビールスの対処法も解明され、子供達も快方に向かい、喜ぶダイナマン。だが、それを見つめる一つの影があった……。
 「おのれダイナマンめ! 最後の進化獣まで敗れ去ってしまったとは。だが、このままでは済まぬぞ。 もっともっと恐ろしい敵を繰り出してやる!」
 カー将軍、遂に起つ。
 妙に格好いい音楽で、兜にマントつけたカー将軍が地上に登場。
 次回、ジャシンカ帝国の新プロジェクト起動!
 ……本編の方は、展開が動いた事よりも、身内から袋叩きに遭う王子が面白かったり(笑)

◆第34話「強敵メカシンカ!」◆ (監督:服部和史 脚本:曽田博久)
 最後の進化獣を倒されたカー将軍はプログレッサーを改良。生物のみを進化させる従来のプログレッサーを超える、 メカで強化された進化獣を生み出す、メカプログレッサーを作り出す。
 「メカシンカ、融合・合体・開始!」
 誕生したメカ進化獣・ミサイルザリガニ、物体の運動エネルギーを奪って動きを停止させるザリガニミサイルを放ち、街は活動を停止。 出撃したダイナマンも、なんとスーパーダイナマイトを破られてしまう!
 敵パワーアップ編という事で、圧倒的な力を見せるミサイルザリガニ。特に、ダイナロッドが反射されたのは、 衝撃。スーパーダイナマイトよりもむしろ、意味不明に強かったダイナロッドを弾かれた方が衝撃です(笑)
 ここで、爆発による炎の逆回しとともに登場し、ダイナマンと初顔合わせするカー将軍、溜めに溜めただけに無駄に格好いい。
 そして、虎の威を借るメギドとキメラ(笑)
 子供達と山でキャンプ中にミサイルザリガニとの戦闘に呼び出され、「(どーせ残念王子が出てくるだけだろうから) ご飯を作っておいてくれ(ぷぷっ)」と子供達を置いて街へ向かうも、メカ進化獣に撃退されてしまった北斗さん。 取り残された子供達を迎えに行かねば! と山へ急ぐが、途中でザリガニミサイルを受けて川に吹っ飛ばされ、這々の体で逃げ帰ってくる事に。
 しかし……ミサイルザリガニのセンサーが水中と地中には及ばない事に気付き、ミサイル発射までのタイムラグを計算、 バイクとダッシュの組み合わせで、ギリギリ山へたどり着ける事を発見する。
 「君はそんなにまでして、あの子達を」
 「子供達の夢を壊しちゃいけないといったのは、博士じゃないですか」
 「いや、それはそうだが……」
 口ごもる博士……いや博士、ここで山に小学生を置き去りにしたら、夢野発明センター、 社会的に終了のお知らせだと思うんですが(笑)
 ただでさえ北斗さんも残りのメンバーも、社会的には色々崖っぷちなのに。
 ザリガニミサイルを見事に回避したダイナレッドは、駆けつけた仲間達とミサイルザリガニを挟撃、最後は誘導ミサイルを利用、 ミサイルを撃たせる→ザリガニを捕まえる→激突寸前に回避してミサイルをザリガニに直撃させる、の作戦でメカ進化獣を撃破。 メカ進化獣は、カー将軍が本部で変な歯車を回すと死体が地下に回収され、「ビッグバンビーム!」を浴びせると、超メカ進化で巨大化。
 このプロセスに関しては、以前の方が効率的でした(笑)
 ダイナロボをも苦戦させるメカ進化獣であったが、フルパワーからのダイナファイアードラゴン(エネルギーで熱した鉄球を飛ばす) を浴びせた所に科学剣稲妻重力落としで撃破。相変わらず、底が見えないダイナロボ。
 そして演出を見る限りどうも、一晩、雨の降る冷たい山の河原に放置プレイされた子供達。
 危うく、ダイナマンの息の根が社会的に止まってしまう所でした。恐るべし、メカ進化獣!
 まあ実際には夢野発明センター&ダイナマンは地下に潜って戦い続けるでしょうが。
 より戦闘的になって、むしろ危険かもしれない。

◆第35話「新必殺技を求めて」◆ (監督:服部和史 脚本:曽田博久)
 新必殺技を編み出そうとする弾北斗、古式にのっとり山にこもり真剣を二刀で振り回しているところを 父娘連れに目撃されてしまう。
 これは……

 通報→逮捕→社会的抹殺

 の危機!
 しかし、父親は5年前に行方不明になっていた赤石博士であり、逆に北斗の追求をかわすように人違いを強調して そそくさと立ち去ってしまう。5年前……赤石博士は隕石の中からデンライトという金属を取り出し世界的に著名になるが、 その後、世間から姿を消していた。夢野総司令もメカシンカに対抗できる可能性としてデンライトへ辿り着いており、 5人は博士の住む山奥へと向かう。
 一方、ジャシンカ帝国ではカー将軍が、ダイナマン抹殺の為にメカ進化獣・ギロチントカゲを作り出していた。
 「デンライトなど、なにするものぞ」
 なぜかダイナマンがデンライトを探しているという情報を得ているカー将軍。

 ス パ イ は 誰 だ ?!

 ◎ 遊びに来ている子供達の誰か
 ○ あの変なロボットに何か取り付けられている
 ▲ やっぱり忍者
 思うに、常にカラス天狗が山地家に張り付いているという『世界忍者戦ジライヤ』の設定は凄かった。……普通にやると、 正義の組織の警戒がザルすぎて興醒めになるのですが、それを許す緩さがあったところ含めて(笑)
 山小屋を訪れた5人だったが、「デンライトは捨てた」と赤石博士の態度は取り付く島もない。
 「そんな馬鹿な、科学者があれほどの発見を捨てるなんて、考えられません!」
 先日、パワーガン捨てさせたじゃないですか(笑)
 そこはかとなく、正義と科学信仰の危うさに警鐘を鳴らしているのでしょうか。
 食い下がるダイナマン達だったが、父娘をガードしている風情の巨漢・ゴン(演:ストロング金剛)に、 南郷と島が次々と吹っ飛ばされる。吹き飛ばされた島が、様子を窺っていた尻尾兵とぶつかり、そこに現れるメギドとギロチントカゲ。 逃げ出した赤石親子の前にはキメラ王女が立ちはだかるが、凄まじいパワーで尻尾兵を蹴散らすゴン、 キメラ王女を怯ませる。
 「スーパーダイナマイトを、もう一度ためしてみよう!」
 またも開幕必殺技を発動してみるダイナマンだったが、勿論、無理でした。
 スーパーダイナマイトは、特殊効果:目標のHPが○○以下だった場合、必殺タイプのスキルなので、 いきなり使っても効果は発揮されません。
 麓のペンションに逃げ込んだ赤石親子とゴンに「手当をしなきゃ」と親身になって恩を売ろうとする5人だったが、 「そもそも、あなたたちが訪ねてきたせいだ」と失敗に終わる(笑) 博士は自分が5年前に姿を消した理由は、 デンライトを求めてひっきりなしにやってくる世界各国の武器商人などから逃げる為だったのだ、と話す。今また、 デンライトを巡る争いに巻き込まれる事を嫌悪する博士はダイナマンに非協力的な態度を崩さないが、 しかしこのままでは地上はジャシンカに征服されてしまう……と土下座を敢行するダイナマン。そんな声を聞きながら、 裏口からそっと抜け出すゴンと、博士の娘・マリコ……。
 その頃ジャシンカ帝国では、先ほどの戦闘データから、ゴンがロボットであるという事にキメラ王女が感づいていた。
 「さすがは王女、キメラ様。いい所に気付きましたな!」
 誉められました。
 恐らくゴンにデンライトが使われている筈……キメラはゴンとマリコを襲い、奮闘するゴンはギロチントカゲと水中に落下。 しかしマリコはキメラにさらわれてしまう。
 メギドにやらせるとあまりにあれだからでしょうが、王女はよく、子供をさらいます(笑)
 「ダイナマン! マリコを助けたくば火打岳に来い」
 ペンションの張り紙に、罠と知っても向かう決意を固める5人。博士の口からロボットである事が明かされたゴンは、マリコの為、 そんな5人を引き留める。
 「持って行け、デンライト」
 先ほどの戦闘の結果、一時的に機能不全状態のゴンは、胸のハッチを開く。デンライトは、ゴンにとって心臓といえる、 エネルギー炉として使用されていたのだ!
 「これを取れば、君は死んだも同じ。二度と動く事は出来ない!」
 「俺はロボット、人間じゃない」
 愛する赤石父娘を守る為なら、ロボットとしての己の死をいとわない……そんなゴンの決意を前に、 デンライトを手にする事なくハッチを閉じる北斗。
 ここで流れる、有尾人スパイ親子の回でも使われた、格好いいウェスタン調BGM。
 「好きなものが居なくなるのは、悲しいことだ」
 例えロボットといえども、愛する者を想う気持ちがある存在を、むざむざ犠牲には出来ない。
 「俺たちを支えてきたのは、いつも5人のチームワークだ。武器に頼ったのが間違っていたのだ」
 まあ実際、ダイナキックは効きましたし、その判断は間違っていないと思います(笑)
 勇躍、デンライト抜きでマリコの救出に向かうダイナマン。
 場面切り替わるといきなり爆発名乗りシーンというのは、なかなか格好いい。
 しかし、ただでさえ強敵のメカ進化獣に加え、マリコを人質に取られ、絶体絶命の危機に。
 「とどめをさせ!」
 高らかに告げるメギド……の背後から飛んでくる落石(笑)
 これぞ王子の安定感。
 背後からメギド達を急襲したゴンは、マリコを救出。久々の邪神剣でダメージを受けるがダイナマンがガードに入り、 ギロチントカゲに組み付いたゴンはデンライトのエネルギーをスパークさせ、ギロチントカゲを撃破。
 倒れたゴンに、「ゴン、ゴン、しっかりして!」とマリコちゃんが駆け寄るシーンは、ロングになったんで、ゴ ンの爆発にマリコちゃんが巻き込まれるのではないかと、ハラハラしました(笑)
 幸いゴンは爆発せず、史上初、ダイナマン以外にやられてしまった進化獣・ギロチントカゲは、超ギロチントカゲに巨大化。
 王子と王女が、地上から巨大化したメカシンカを煽る、という面白いシーンが挿入されるも、 メカシンカですら防げないダイナフラッシュから、無敵コンボで哀れ斬殺。
 ゴンは無事に再起動し、ダイナマンはあくまで、デンライトとゴンは赤石父娘を守り続けるべきだ、とデンライトの提供を拒絶。 3人は山へと帰っていくのであった……。
 「もしかしたら倒せるのでは?」から「よくわからないが倒せる」事が判明した上でなお、デンライトをゴンの元に残す、 というダイナマンらしい決断が貫かれた、素晴らしいエピソード。ゴンが爆死しなかったのも良し。
 ベースは、定型的なロボットと子供の交流話なのですが、後にまた戦隊シリーズ(『バイオマン』) でサイボーグ役を演じる事になるストロング金剛が役にはまり、好演。雰囲気のいいエピソードになりました。

◆第36話「出たぞ!必殺技!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 夢野総司令は学生時代の親友であった山下博士に呼ばれ、10年ぶりに再会する。
 どうして中年男二人で遊園地……?!
 とあらぬ方向に妄想が飛びそうになってしまいましたが、相手には子供が居ました。
 10年ぶりに再会した親友に幸せな家庭を見せつけられるとか、これはいったいどういう攻撃なのか……!
 ただ、息子と一緒にアトラクションに乗っている女性が何故か地上の博士に「先生」と呼びかけており、 奥さんでは無いような感じなのですが、この女性も子供も冒頭しか登場しなかった為、詳しくは不明。
 「君は、有尾人一族というのを知っているか?」
 山下博士の爆弾発言に動揺しつつも誤魔化す夢野総司令。
 山下博士は有尾人一族の恐ろしい動きを掴んだのだが、その為に、マシンガンジャガーにさらわれてしまう。 司令からの連絡を受けそれを阻止しようとするが、次々と武器を破壊されてしまうダイナマン。ダイナキックも敗れ、 有利な状況を確認した所で、回りながら現れるメギド王子。  「これまで二度もスーパーダイナマイトが通じなかったから、もう試してみる気にもなれんようだな、ふははははは!」
 王子に高い所から罵倒され、悔しがるダイナマン。
 「科学戦隊の司令官、山下博士はいただいた!」

 ……え?

 「私は違う」
 即座に否定するが、連れ去られてしまう山下博士。
 王女「山下博士が科学戦隊の司令官ですって?!」
 将軍「むぅ……それが本当なら、メギド王子にしては大変なお手柄」
 にしては……って、将軍、将軍、いよいよ本音が漏れてます!!!
 最近、王様だけでなく、将軍も王子に厳しい……(笑)
 やっぱり本当は、自分が前線に出るまでの状況になった事について、深く静かに怒っているのですね……。
 そして実際には間違っている、という酷い仕込み(笑)
 山下博士を救出するべく、メカシンカを倒す為の特訓に励むダイナマン。背景でジャンプしていただけなのに 最初にリタイアする南郷の前に、ワイシャツ姿で姿を見せる、鬼の形相の夢野総司令。
 「迷いよ去れ。迷ったら駄目だ。己を信じ、今来た道をやりぬくんだ」
 前回、前々回の2勝は、幸運だったに過ぎない、とぶったぎる博士。
 「ダイナマンが負けたら、いったい誰がこの世を守るんだね。勝つんだ……勝たねばならんのだ」
 総司令もポジションを考えると、新兵器とか考えないといけない立場の気はするのですが、 これまでのダイナマンの圧倒的強さを見るに、どうも既に全てを出し尽くしてしまっている模様。
 そんな総司令に、(もしや夢野くんが科学戦隊の司令官では……)と、隠し持っていた小型通信機で「千年洞窟で異変が……」 と伝えてくる山下博士だが、通信機を破壊されてしまう。
 千年洞窟、それは有尾人一族に伝わる恐ろしい牢獄。果たしてそこで、何が起きようとしているのか?
 総司令の言葉に奮起し、再びひたすら限界まで肉体と精神を痛めつける、スポ根特訓に励むダイナマン。

 そこへ現れる、天狗仮面。

 以前にも一度、回想シーンでダイナマンの初期訓練シーンが描かれ、胴着姿の総司令が登場しましたが、天狗面の下の正体は夢野総司令。 猛然と総司令は日本刀を振るい、逃げ惑う5人。ギリギリの特訓の中で、北斗の空中きりもみ突きが炸裂し、 総司令、散る(散りません)。
 演技はもう、死ぬ時の演技でしたが(笑)
 「弾、今の剣を忘れるな。今の剣こそ、竜巻剣だ。最大のエネルギーを発揮するのは、渦だ。竜巻しかり、その極意を、 スーパーダイナマイトに代わる技に仕上げるんだ」
 生死の瀬戸際での閃き……今ここに、竜巻の動きを取り入れ爆発のエネルギーを高めた新必殺技、 ニュースーパーダイナマイトが完成する!
 勧誘方法は真っ黒ではあったっものの、比較的おとなしめだった夢野総司令でしたが、ここに来て、 戦隊の長官らしい狂気が奔出。
 事前に、新技のヒントを与えるシーンでもあればより良かったとは思いますが(この前の特訓シーンで、 みんな何故か回転ジャンプアクションをしてはいる)、この時代の特訓だと、こんなものではありましょうか。
 拷問による情報入手が面倒くさくなったメギド王子により山下博士が処刑される寸前、駆けつけるダイナマン。 現れたマシンガンジャガーに対し、新必殺技、いきなりお披露目。
 「大・爆発!!」
 隕石のごとき爆発力を持つニュースーパーダイナマイトは見事にマシンガンジャガーの腹をぶち破り、ジャガーは巨大化。早速、 竜巻の動きを取り入れた「ダイナロボ竜巻パンチ」からダイナミックジャンプで科学剣ずんばらりん。どこまでも恐るべし、ダイナロボ。
 引っ張った末の新必殺技という事で、いきなりど派手に炸裂。
 正直、新必殺技はさくっと生み出されるかと思っていたのですが、ここに来て時間をかけた事で、うまく物語に流れが生まれて、 面白い展開になりました。遂に動いたカー将軍、の力を見せつける形にもなりましたし。
 にしても結局、山下博士は千年洞窟を調べていたら、ぽんこつ王子に勘違いされてしまったという、純粋に不幸な事故だったのか……(笑)
 そして、有尾人一族の禁断の牢獄、千年洞窟で何かが起きる!
 次回、女将軍ゼノビア登場。
 予告のカットの繋ぎが、昔の彼女が出てきて将軍狼狽、みたいになっていましたが、果たして(笑)

◆第37話「女将軍ゼノビア」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 ぜーのびあー。
 万年山の千年洞窟の奥から現れる、本多忠勝みたいな兜を被った黒い鎧の女将軍ゼノビア!
 そもそもジャシンカ帝国の刑場が、どうして地上にあるのかとか、よいこのみんなは考えちゃ駄目だぞ!
 「おや、カー将軍、お出迎えご苦労様」
 「黙れ黙れ! 誰の許しを得て出てきた」
 王子、王女、メカシンカの攻撃をあっさりとバリアで防いだゼノビア、女親衛隊から武器を受け取ると、将軍と軽く一当たり。

 変なビームを出すカー将軍、初の戦闘参加が……まさかの身内。

 ストレスの多い職場環境です。
 かつて、ジャシンカ帝国の女王になろうとして失敗した犯罪者である、七本尻尾の女将軍ゼノビアは、 ダイナマンを倒す事で反乱の罪を償いたいと申し出、王様からメカシンカ・エレキウナギを与えられる。
 完全にメギドに対するキメラポジションですが、急に慌てるカー将軍とは、過去に痴情のもつれとかあったとしか思えません。
 あとカー将軍がダイナマンに敗北続きなのは、カー将軍が無能なのではなくて、 国家予算の都合と現場指揮官の顔を立てている為ですよ!
 エレキウナギの電磁波攻撃により街を大混乱に陥れるゼノビアだが、その真の目的はダイナマンの秘密基地を探り出す事にあった。 電磁波攻撃による機器の故障で隠し通路がカモフラージュしきれなくなった夢野発明センターへやってきてしまう少女、 そしてその後を追っていた目玉。その映像を受け、ゼノビア、夢野発明センターに乗り込む!
 「夢野久太郎とやら、只者ではなさそうね」
 「なんの事で、私は発明好きのおじさんなんだ」
 あくまで発明おじさんにこだわる、夢野司令。何がそんなに彼をこだわらせるのか、発明おじさん。
 ダイナマンが駆けつけるが一歩遅く、隠し通路に飛び込むゼノビア達。しかし間一髪、司令が非常ボタンを押し、 ダイナステーションに侵入する寸前でゼノビア達は外へと放り出される(サンバルカン基地にもありましたねこれ)。
 地味に渦の動きを取り込んだ技を決めまくり、エレキウナギを撃破するダイナマン。恐るべき女将軍ゼノビアは撤退するが、 それはまだ、ほんの小手調べに過ぎなかった……。
 そして、ダイナステーションへの侵入を防いだものの、出入り口である事がバレてしまい、 ジャシンカに目をつけられた夢野発明センターはまさかの休業。
 ダイナマン達は、
 ――子供達には、発明の旅へ出ると、別れを告げた。
 何ですか、その旅(笑)
 日本各地の発明家に、発明所破りでも挑むのでしょうか。
 「行かないで……」
 「「行っちゃやだよ」」
 すがりつく子供達に、別れを告げる面々。
 北斗「泣くんじゃないよ。俺たちは必ず戻ってくるからさ。もっともっと、立派な発明家になってね」
 司令「そうとも、発明センターは必ず甦る。もっとみんなで、楽しく遊べる場所にするからね」
 この台詞が、改めて世界に平和をもたらす決意表明とかかっているのは秀逸。
 かくてダイナマンは安息の地を失い、更なる戦いの旅路を行く事になるのであった。新たなる強敵に、負けるな、ダイナマン!

爆発!

住所不定無職・ダイナマン!!

 てっきり、入り口バレても誤魔化して流すのかと思ったのですが、実に意外な展開。基地こそ健在ではあるものの、 最終クールを前に日常パートとの接点を失ってしまいました。もともと5人の素性は割れていた筈だけど……などはあるものの、 大胆な展開で面白い(もしかしたら今回の電磁波攻撃を受けるまでは、発明センター周囲には、 広域で強力なステルス防御などの隠蔽が成されていたという可能性はあります)。
 ここで新幹部出すからには、これぐらいしないと、的な。
 果たして、カー将軍は復権できるのか。そして、物凄く存在意義の薄くなったキメラ王女の明日はどっちだ?!

◆第38話「若返れ!天才頭脳」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 家はないけどパトロール。
 凄いぞ南郷、レイがメギドの攻撃を受けている間にトラックを奪取、そしてメギドを轢きそうになる。
 「馬鹿者! 年寄り一人さらってくることもできないのか」
 ゼノビア、王様の前で、メギド王子を容赦なく罵倒。
 ジャシンカ帝国が拉致しようとしていたのは、50年前、極めて強力な毒ガスであるケタゾンガスを作った天才科学者、中村太郎。 しかし老いた中村はガスについて全く覚えておらず、あんなのさらっても役に立たないでしょーと反論を試みる王子。
 「そういえば、それもそうね」
 ゼノビアの登場で自分の存在価値が揺らいでいる事を痛切に感じているのか、もしかして劇中初めて王子に賛同するキメラだが、
 「だからおまえたちは駄目なんです」

 まとめてぶった切られる。

 カー将軍と差別化を図る為もあるのでしょうが、ここに来てジャシンカ帝国を内から切り刻む毒舌の嵐!
 ゼノビアはカー将軍にメカシンカ・ヨロイローズの作成を依頼し、ヨロイローズとメギド王子は剣を合わせて放つローズゼリービームを 中村博士に浴びせる。それは設定した年齢に生物を若返らせるという光線だったが、ダイナマンの妨害により、 25歳にする筈が10歳の子供になってしまう博士。メギドはダイナマンにもビームを浴びせようとするが次々に外れ、 被害を受けたのは犬と公園の木のみ。
 にしても、ゼノビアの依頼通りにメカシンカを作るカー将軍、サラリーマンの鑑であります。
 「馬鹿者! また失敗しおってからに!」
 全部で5回しか使えないローズゼリービームを無駄遣いし、ゼノビアから折檻を受けるメギド。

 見たかゼノビア

 これがメギド王子の力だ!!

 ……というか、ローズゼリービーム発射にメギド王子の協力が必要なのは、カー将軍による

 壮絶な嫌がらせ

 なのでしょうか。
 子供と化した博士を追うジャシンカとダイナマン、「今度こそうまくやるぞ」と言いながら、 相手を拘束もせずに適当にローズゼリービームを放つ王子とヨロイローズ。これまたレイの乱入により、25歳から目盛りが一つずれ、 中村博士は24歳の青年になってしまう。
 「なんたることを、1歳足りないではないか」
 その頃、ダイナステーションでは分析の為に運び込んだ公園の木が元の大きさに戻って、ダイナステーション壊滅の危機に(笑)  総司令の命は危なかったが、ビームの効果が5時間である事が判明する。
 逃げ隠れする内に記憶を取り戻し、レイと総司令の通信を漏れ聞いた中村、この姿で居られるのもあと2時間…… と知るとスーツで着飾り、街でナンパ(笑)
 「お嬢さん、お汁粉でも食べませんか」
 声をかけたレイに捕まり、中村は自分が戦時中に軍の命令でケタゾンガスを作らされていた事、それを拒否して逃げ出した事で、 真っ暗な青春を送っていた事を語る。せめてあと1時間少し、失った青春をわずかでも取り戻したい……。
 「お願いです。残りの時間を私と一緒に遊んでください」
 レイはそんな中村を受け入れ、二人はドライブデート。そこへ襲い来るメギドとヨロイローズだが、ダイナマン4人が駆けつけ、 最後のビーム照射も失敗。そして中村に与えられた青春の時間は終わり、彼はまた、孤独な老人へと戻る。
 「楽しかったよレイさん……」
 体力を消耗し、座り込む中村を安静にさせ、レイはダイナピンクへと変身。
 「ダイナ・ピンク!」
 ここに来てなかなか、曽田さんが渋いエピソードを繰り出してきました。
 戦闘シーンは、ダムでの大立ち回り。ニュースーパーダイナマイトの圧倒的な爆発力の前に、メカシンカ、もはや敵にならず。
 ところでビッグバンビームは、巨大化して地割れから出てくる時の超メカシンカのミニチュアモデルの造形が毎度適当すぎて、 演出ほど盛り上がらない気がします(笑)
 超メカシンカは、ダイナフラッシュ同様の無敵カウンター技、ファイヤードラゴンからのコンボでずんばらりん。
 かくてゼノビアの毒ガス作戦は失敗に終わり、ヨロイローズを失ったメギドは、どういうわけか尻尾兵に拘束されて玉座の間へと引っ立てられる。
 王子「ええぃ、無礼者! 放せ! 放せぃ! 私は四本尻尾の王子、帝王アトンの息子だぞぉ! 放せぇぃ! 放せぃ!」
 ゼノビア「この失敗は許さぬといったのは、アトン様のお言葉であった」
 王子「?!」
 王様「今回だけではないぞメギド、おまえはあまりにも多く負け続けた。潔く、刑を受けぃ」
 王子「父上ぇ!!」
 ゼノビアの槍の一閃が、メギドの尻尾を断ち切る!
 「おぉ、尻尾が! 俺の尻尾がぁ!!」
 全ての尻尾を失い、千年洞窟に落とされるメギド。
 ぽんこつ王子、遂に、更迭!(涙)
 ………………まあちょっと、だいぶ、とっても、遅すぎた気はしますが。
 ラストはレイさん、ドレス姿で中村博士とダンス。そして男衆、まさかのカルテット。
 中村博士は劇中で一切なんの役にも立っていないのに、えらく役得ゲストだなぁ(笑)
 そしてナレーションは青春を語り、メギドに一切触れず(笑)

 ――遂に、我らがメギド王子がリタイア!!
 今回は頭から王様の態度が冷たいなぁとは思っていたのですが、こういう事でした。
 さすがに何らかのリカバーがあるとは思いますが、予想外に終盤に向けて、色々盛り込み、盛り上がってきました『ダイナマン』。

◆第39話「抱け!有尾人の卵」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 「出せー、出してくれぇ! やだぁ、こんな所に一生閉じ込められるなんてやだぁ!」
 千年洞窟に閉じ込められた王子、壁を滴り落ちる水滴をすする。
 素晴らしい、素晴らしすぎます王子。
 この墜ちっぷりまでしっかり描かれているのが素晴らしい。
 これは再起への期待で胸が熱くなります。
 再起しなくてもそれはそれで面白い(笑)

 さて本編の見所は、北斗さん、人妻に迫る(おぃ)

 王子更迭により、「もう失敗は他人のせいにはできぬぞ」と釘を刺される女将軍ゼノビア。そこへ横から作戦を進言するカー将軍。 それは、細胞融合により大量生産に成功した有尾人の卵を、洗脳した人間の母親に温めさせる事であった。通常、 孵化まで2年かかる有尾人の卵だが、人間の母親の発する女性ホルモンの影響によって21日で孵化する事が可能になるのだ!
 最近の展開から根本的な戦力不足が囁かれていたジャシンカ帝国ですが、今回カー将軍の口より
 「有尾人はあまりにも人数が少ない」
 と明言され、やはり兵力に劣る事が判明しました。
 しかもこれまでの戦いで、ダイナマンに2割殺されているらしい。
 …………もうそれ、全滅判定寸前ではないですか(^^;
 やはりジャシンカ帝国はドイツで、電撃戦でフランス(日本)併合しようと思ったら、ベネルクス三国の国境線に突如、 超マジノ線(ダイナロボ)が出現して、助けてマンシュタイン、みたいな。
 「鵜の目鷹の目」による催眠術で、次々と人間の母親を洗脳して有尾人の卵守へと変えていくメカシンカ・レーザーホーク。
 囮作戦で折角のレイ和服コスプレが瞬間で終わってしまうのはどうか。
 空飛ぶレーザーホーク(たぶん中身あり)と、それにロープを引っかけて引きずられる北斗が一つのフレームに収まっている映像は、 けっこう凄い気がします。レーザーホークにしがみつく北斗だったが、ブレスを破壊され、高空から民家に落下し、行方不明に。 ところがそこには卵守とされた母親が隠れており、北斗落下の衝撃で催眠術が解けるのであった。
 「わからん……弾がなぜあんな無茶を(拙者ならあれぐらいの高さから落下しても無事でござるが)」
 「彼は、母の愛というものを知らんのだよ」
 生まれた直後に母が死亡し、母を知らずに育った……と総司令の口から語られる弾の背景。それゆえに弾は、 赤ん坊から母親を奪うジャシンカの作戦に、常以上の怒りを燃やしているのだった。
 正気を取り戻した母親Aを連れて脱出を図る弾だが、周囲は尻尾兵に取り囲まれていた。慎重に逃亡しようという弾に対し、 とにかく今すぐ赤ん坊の元へ戻りたいと散々無茶を言った挙げ句に、意を決して尻尾兵を引きつける為に飛び出した弾に
 「あたしのために、囮になってくれてすみません……」
 と言いながら走り去る母親A、酷いよこの人(笑)
 変身不能で尻尾兵に追い詰められた弾はマシンガンを食らって落下した崖下で、卵の製造工場を発見。生存闘争だから仕方ないとはいえ、 絵的にはかなり酷い、卵投げを敢行。キメラ王女に見つかるも工場を破壊し、仲間と合流。
 駆けつけた仲間達が逆光で並び、新しいブレスレットを受け取って北斗変身。
 「赤ん坊に必要なのは母親のぬくもり! そのぬくもりを奪うやつは、このダイナマンが許さん!」
 からいつもの、という揃い踏みは決まりました。この辺りは山田監督、ベテランの味。
 巨大戦では、ダイナミックジャンプから、ダイナロボ初の空中戦。一瞬、前振りも無しに必殺剣とか惨すぎる、 と思ったのですが、飛行型メカシンカと空中戦もこなすとか、それはそれで底知れなさすぎる、ダイナロボ。そして全く苦戦する事なく、 竜巻パンチで撃墜して、科学剣稲妻重力落としでずんばらりん。
 全体的に見せ方も面白く、ここに来て秀逸回が連発。

◆第40話「爆発!無言の怒り」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 星川竜格好いい祭。
 ワープロアルマジロの能力と言葉反応装置により、特定の音を発すると衝撃波が発生してしまうようになり、 人々は自由に喋れなくなってしまう。兵力増強に失敗し、再び社会を底辺から混乱させる計画に作戦変更と、 女将軍ゼノビアも一歩も二歩も後退。やはり、戦いは数だよ王様!
 そんな中、ワープロアルマジロがある工場へ入っていくのを目撃した少女。 生来口のきけない少女は竜に手話でそれを伝えようとするのだが……。
 相変わらず、キメラとからむダイナブラック。
 これがいわゆる
 「もうおまえらくっついちゃえよ」
 というやつか(笑)
 アルマジロにさらわれた少女の様子を不可解に感じた竜の仕草を見て、少女が手話を使っている事に気付くレイ。
 「それは、助けて、って意味の手話よ」
 そして少女の伝えたかった事、それは海に落ちたボールを取ってほしいのではなく……
 「そうこの なかに あやしい ひとが はいって いった」
 アクション満載で倉庫へ突入する竜ですが、しかし王女は、さらった女の子を倉庫に放置しておいて何がしたかったのか(笑)  「だ」の音を封じられ、変身不能でピンチに陥る竜だったが、NINJAはそのぐらいではくじけない!  竜の手裏剣がワープロアルマジロのワープロ機能を破壊、言葉を取り戻したダイナマンは見事に変身……と解決はあっさりめ。
 「変身できない」「名乗れない」と、ある意味で史上最大のピンチだったので、 それをひっくり返す奇策を見たかったところで、少々残念。
 このエピソード、当時見ていて凄く印象に残っていたのですが、恐らく、喋る事が出来なくて手話を使う少女、 というのは幼時の自分の知らない世界で、印象深かったのだろうなぁ。トゲアリの時は全然記憶と違う話でしたが、今回はだいたい、 おぼろな記憶と合致していましいた。
 立花レイは動物と意思疎通しよう(できる)という人なので、手話その他、一通りの世界中のボディランゲージをマスターしているに違いありません。
 キメラ王女はすっかりゼノビアの小間使い扱いで、「失敗すればメギド王子のようになるのよ」と脅されましたが、 今回の失敗はとりあえず許された模様。まあ実際問題、キメラも更迭してしまうと、 前線の雑用担当係が居なくなってかえって面倒くさいですから。
 そして幽囚の王子は、すっかり無精髭まみれになりながら、怨念の牙を研いでいた。
 「このまま死んでたまるものか……ゼノビアめ覚えていろ……父上もだ……恨んでやる……みんな恨んでやる」
 サン・ドルバ(『宇宙刑事ギャバン』)よりは根性があるようで、何よりです。

→〔まとめ5へ続く〕

(2013年5月27日/7月6日)
(2019年6月29日 改訂)
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