■『電撃戦隊チェンジマン』感想まとめ4■


“急げ合体 アースコンバージョン
宇宙の夜明けの扉を開けろ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『電撃戦隊チェンジマン』 感想の、まとめ4(19話〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第19話「さやかに賭けろ!」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 長崎での作戦に失敗したアハメスは星王バズーからいきなりのお仕置きを受け、それをかばうギルーク。だが……
 「二人一緒になってまた儂に刃向かう気か?」
 「は?! と、とんでもない! 滅相もございません」
 ギルークはバズーの恫喝を受けて慌てて弁明に追われ、ここの「は?!」が、頭の片隅にあったからこその狼狽とも、 夢にも思っていなかったからこその驚きとも取れる絶妙の間合いとなっており、またどちらにせよバズーの脅威の表現になっているのが秀逸。
 徹底的に低姿勢で恭順を誓うアハメスが呼んだ新たな宇宙獣士、その名は、宇宙の殺し屋・ジーグ。重力を操り、 自由自在に宙を舞うジーグに手も足も出ないチェンジマンだが、こんな事もあろうかと、 さやかが研究班と開発していた反重力ベルトを装着して、再出撃。
 さやかの頭脳がいつの間にやら「参謀」から「開発」にすり替わっているのは少々残念ではありましたが、 頭脳派ポジションが博士ポジションも兼任(大体は順序が逆ですが)するのはままある事なので、目をつぶる方向で (ところで『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の霞は、邪悪×策士×科学、で割と明確にさやかの後継者であったのか)。
 工場地帯を破壊してチェンジマンを挑発するジーグに対し、金ピカのベルトを起動してバーディ!する5人だが、 宙に浮かんだと思った途端に、ベルト・爆発。
 ヒロイックな飛翔シーンから、次々に腹が爆発、というなんともいえない味わいの面白シーンに(笑)
 「なにが反重力ベルトだよ?! もー!」
 「私たちを殺す気?!」
 「ごめん! ……今度こそ、必ず」
 「え!? まだやる気かよ?! 冗談じゃないぜ。御免だぜ俺は!」
 普段、上で取り澄ましている人間が失敗すると、風当たりが強い(笑)
 「馬鹿言えおまえ! こんなもん付けたんじゃな、こっちが先にお陀仏だ! 俺は俺のやり方であいつを倒す!」
 頭に血が上った黒青桃は飛竜の制止を振り切って基地を飛び出していき、通常任務の命がけ度合いを考えると、 挫折を味わうエリート(白)とそれを励ます熱血隊長(赤)という、構図の都合がやや出る分断になってしまいましたが(特に、 さやかと仲が良い筈の麻衣)、優秀な兵士だからこそ、味方に撃たれるのは我慢ならないのか。
 また、赤白は前夜に一度、ジーグと直接対決して撤退を余儀なくされている、というのが温度差の伏線になっているようですが、 これは少し、わかりくかったかもと(感想書いていて、そういう事か? と気付きました)。
 「元気を出せさやか! このピンチを切り抜けるのは、反重力ベルトしかないなんだ!」
 飛竜と伊吹長官に励まされたさやかを中心に、電撃戦隊の研究チームはベルトの開発に全力を集中。 基地を飛び出した黒青桃が獣士に翻弄される一方で、赤は改良されたベルトを装着して華麗に空へと舞い上がり、 重力操作による上下動も披露。
 「成功だわ……」
 Pi!
 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
 またも腹から火を噴き、悲鳴を上げながら吹っ飛んでいくタイミングが最高で、個人的に『快傑ズバット』第11話、 「見ていろ、俺はたった今、このズバットスーツの改良に成功した。もう5分たってもバラバラになる事はない」 の直後にスーツ大破で早川呆然、のシーンに匹敵した瞬間。
 思わず笑ってしまいましたが、ただ落下するのではなく、画面の奥側に吹き飛んでいくという映像に墜落の距離感が出て良かったですし、 直後にさやかばかりではなく、電撃戦隊のサポート隊員や開発スタッフ一同が口々に「剣さん!」 と叫びながら崖下に倒れる飛竜に駆け寄る、というのも人数を使った良い描写。
 「なんて事をしてしまったの……。私……剣さんを、殺してしまった……剣さん……!」
 ピクリとも動かない飛竜にすがりつくさやか、だが、高所落下のプロフェッショナル・剣飛竜が、 この程度で死ぬわけがなかった!
 「馬鹿だな、この俺が死ぬわけないだろ!」
 たとえアースフォースに選ばれていようが死ぬ時は死ぬ、という生死の感覚を持ち込んだ上で、悲痛に嘆くさやかに向けて、 目を開けた飛竜が笑顔で応えるのが大変格好良く、さやかの頭脳・挫折・再起ばかりでなく、 “リーダーとしての剣飛竜”の掘り下げを進めていくのが、お見事。
 そして実験は再開され……幾ら高所落下のプロフェッショナルだからって、インターバル短いな(笑)
 「ドラゴン!」「ドラゴン!」
 「大丈夫だ!」
 上下だけでなく横移動もこなすドラゴンだが、またも落下して地面に叩きつけられるも鍛え上げた落下ダメージ耐性を見せつけ、 まさか、序盤から繰り返されてきたドラゴンの落下癖が、こんな重要な伏線だったとは(たぶん違う)。
 ナレーション「チェンジドラゴンは、この時ほど、チェンジスーツを有り難く思った事は無い。苦痛に歪んだ顔、傷だらけの体を、 隠してくれているのだ」
 一瞬、防御力の話かと思ってドッキリしたのですが、仮面のヒーローの生き様を端的に示す、 物凄く格好いいナレーションでした!
 ナレーション「――だが、さやかには、そのゴーグルの下の顔、スーツに刻まれた体の傷が、手に取るようにわかっていた」
 そして同じ戦士であるからこそ、一切の弱音を吐かない飛竜の気持ちがわかる、と今回の曽田脚本はキレキレ。
 プロフェッショナル飛竜の奮闘に応えるべくさやかとスタッフが懸命にベルトの改良を続けている一方、 黒青桃は獣士の攻撃を受けて崖を派手に転がり落ち……温度差が大変な事になっていますが、これはこれで、 獣士の目を引きつける役割を果たしているので、むしろ、「完成するまで俺達が時間を稼ぐぜ!」 と格好良く出て行っても良かったような気も。
 「いつまで逃げるつもり?」
 「あれだけ啖呵切って飛びだしたんだ。今更格好悪くて戻られっかよ」
 「啖呵切ったのはおまえでしょうが!」
 「何すんだこの櫛はもう」
 髪のセットにこだわる疾風、勇馬に愛用の櫛を乱暴に扱われて慌てるのですが、やはり、レンジャー七つ道具な秘密の暗殺武器なのか。
 揉めているところを獣士とアハメスに見つかり追い詰められる3人。上空からの砲火が迫るその時、 両手を広げた荒ぶる魔球のポーズで横からフレームインしてきたのは、宙を舞うチェンジドラゴン!
 「その勝負、チェンジドラゴンが買ったぞ!」
 白も姿を見せて疾風らも再変身し、5人並んでチェンジマン。本日もチェンジソード(射撃)が唸りをあげてヒドラ兵を蹴散らすと、 ドラゴンと獣士の一騎打ちの開始から、背後で流れるOP曲がボーカル入りになる、というのは定番ながら格好いい演出。
 「宇宙獣士ジーグが、反重力ベルトなどに負けるものか」
 4人とアハメスが見つめる中、ドラゴンとジーグは吊りを駆使した空中一騎打ちを開始し、 カット割りの工夫で結構普通に空中戦していて凄い。
 銃を落とすドラゴンだが急上昇からの旋回斬りで獣士を撃墜し、トドメは5人でパワーバズーカ。 巨大化した獣士はチェンジバルカンを宙に舞ってひらりひらりとかわしてみせるが、チェンジロボは、 第1話から飛べるのだ!
 空中への組み付きから急降下逆落としで脳天にダメージを与え、よろめく獣士にお株を奪う空中からのバルカンを浴びせると、 最後は電撃剣スーパーサンダーボルト!
 かくしてチェンジマンは、アハメスの送り込んできた難敵に辛くも打ち勝ち、 薄情な3人の結果的なアシストにより好感度メーターがぐいーんと上がる飛竜とさやか。
 「剣さんの励ましに、どれだけ勇気づけられた事か」
 「いや、さやかと研究開発スタッフの、みんなのお陰さ」
 微笑むさやかの差し出した手に、なんといえばいいのか、下からではなく、上から手を出して握り返した結果、 握手というよりガッツポーズかハイタッチとなり、凄く台無しです飛竜……!
 まあ凄く、飛竜だしな! 感は出ているし、戦隊的にも絶妙の回避方法であったのですが(笑)
 そこへやってきた3人&サポートメンバーに冷やかされた2人は慌てて手を離し、さやかは満更でもなさそうに照れる、 と思ったより踏み込んだ反応(この先、特に何も無いかもですが、それはそれで)。
 オペレーションルームに二人きりである事を足下から映して表現したり、手を差し出すシーンをスカートの前で組んだ手のアップから入ったり、 細やかな情感を付け加えるカット割りも雰囲気が出て良かったのですが、この辺りは長石監督の参戦による山田監督側の化学反応、 というのもあったりしそうでしょうか。
 「いやー、さやかちゃんの頭脳ならね、必ず成功すると思ってましたよ僕は!」
 「じゃあ! ためしてくれる?」
 一通りの賑やかしの後、調子よく持ち上げてくる飛竜に、何やら物騒な銀色に輝くバックパックを手渡すさやか。 ……明らかに最初から用意してあったのですが、疾風の性格を把握して何もかも計画通りの仕込みだったのか、 あのまま邪魔が入らなければ、「そんな剣さんを見込んで頼みがあるの」これを渡すつもりだったのか、 どらに転んでも鬼だ! 鬼だよ渚さやか!
 「ナニコレ」
 「前から研究してた、超音波エンジンよ!」
 ひきつる疾風、毎度の事ながら、普段の二枚目ぶりとのギャップが実に効果的。
 「うむ、疾風翔。今度は君が実験台になりたまえ。これは長官命令だぞ」
 渚さやかの恐ろしさに震えていたのも束の間、和やかな一件落着シーンの冗談半分にしても、 部下を平気で実験台呼ばわりできる感性が、さすが過ぎます伊吹長官。
 机をスライディングして逃げようとする疾風は皆に囲まれてジェットパックを背負わされ、安定の疾風オチで、つづく。
 曽田さんが結構気に入っているのか、女性メンバーアイドル枠の力なのか、一日ママ回に続いて出来の良いさやかメイン回でしたが、 今回は特に、これまで正統派すぎて薄味になっていた“リーダーとしての剣飛竜”が立ち上がってきたのが大変良かったです。 個人単位ではなくスタッフと共同開発する姿で電撃戦隊の色を出しつつ、 墜落した飛竜に大勢が駆け寄る姿で慕われているリーダーの印象を付ける、という活用はお見事でした。
 次回――大星団ゴズマの営業ノルマは厳しい。いよいよギルーク司令、立つ。

◆第20話「大逆集!ギルーク」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 謎の怪魚が釣り人や漁師を襲い、それを撃退するチェンジマン。だが全国各地に次々と出現した怪魚は集団となるとタンカーや高層ビルさえ吹き飛ばし、 発生源を叩かなくては対処しきれない、と捜索を開始する事に。
 情報収集中、田舎の小学校で子供達から新任の教師と勘違いされた勇馬は、担任の女性教師が突如失踪した事を知ると、 教師がよく行っていたという岬で怪しげな洞窟を発見するが、そこへまさかの二刀流でギルークが降臨する!
 「惑星ギラスの鋼鉄で鍛えた、ギラス剣の刀の錆にしてくれるわ!」
 自ら前線へ趣いたギルークは予想を超える武闘派で、その斬撃を受けたペガサスは、敢えなく水落ち。
 「チェンジマンとはこの程度のものか……」
 海面を見下ろすギルークの傍らには、女王アハメスが姿を見せる。
 「アハメス、私の勝ちだな」
 「さあ? お手並みを拝見しますわ」
 そいつらは海に落としても死なないという情報を持っているアハメスは悠然と姿を消し、 ギルークはバズーの言葉を思い出す。
 「おまえとアハメス、どちらか地球征服に成功した方を許す事にしよう」
 ギルーク遠征軍による地球侵攻の遅滞にお怒りのバズーは、赦免を条件にかつての盟友二人を競わせる条件を出し、やる事えぐい。
 1年間の特撮ヒーロー物はどうしても、強大な敵組織の側が連戦連敗する事による、 実力者の弱体化と組織としての脅威感の減少が避けられないという構造上の問題があり、 それを回避する為に様々な作劇上の工夫が凝らされますが、かなり速いペースで敵組織のトップが敗北に相応の追い込みをかけくるというのが凶悪。
 この調子だと3クール目に入る頃にはギルークが退場して新たな司令官が登場しそうな勢いですが、 そうするには勿体ないと思わせる所も含めて、ゴズマ側の動きからも目が離せません。
 裏を返すと、ヒーローは基本的にリアクションの存在であり、 物語を動かす軸は悪の組織サイドという構造が非常に明確に打ち出されているのですが、それを序盤から迷わず徹底しているのが、 今作の引きの強さと、ゴズマ側の魅力になっている部分。
 一方で、ヒーロー側に主体性のあるドラマを強めよう、というのが、『フラッシュマン』以降のアプローチになっていくのかもしれません。
 子供達に拾われて目を覚ました勇馬は再び洞窟へと向かい、行方不明となっていた先生と、洞窟の様子を見に向かった少年が捕まっているところに突入。
 「大空勇馬……生きておったのか」
 「タケシくん! 俺は先生になれないけど、君たちの先生を取り戻す事はできる!」
 3枚目ポジションを疾風に侵食され気味だった勇馬は、子供達の為に奮闘する姿で正統派のヒーローポイントをプラスされ、 追い詰められた所に駆けつける仲間達。
 ギルークを中心にブーバとシーマが両サイドを固めて、割と獣士そっちのけで主題歌をバックにした豪華バトルへと雪崩れ込み、 初の直接戦闘となったギルークはもとより、ブーバとシーマも、純粋な戦闘能力はまだまだチェンジマンより格上、 という扱いにホッとします(笑)
 そんな格上相手の戦闘においても、一撃で戦況を一変させる各々のズーカの威力が凄まじいのですが、 今作のネーミングセンスの傾向から考えると、実は伝説の宇宙獣士ズーカの遺骸を元に造られた禁断の兵器とかなのではないか。
 ペガサスズーカの一撃が怪魚工場を破壊した事でギルーク達は撤収。取り残された獣士の攻撃でまとめて海に落ちるチェンジマンだったが、 マーメイドが海の戦士らしいところを見せて反撃し、海中に逃げ込んだ獣士をパワーバズーカでデリート。
 チェンジロボは新アクションのスーパージャンプによる大回避からミサイルを撃ち込むと、風車斬りで獣士の鼻を落とし、 サンダーボルトで勝利を収めるのであった。
 武闘派ヤクザだったギルークが戦闘力を見せつける、というインパクト以外は、ぼちぼちという出来。ギルーク司令は、 自分が勝った暁にはアハメスの助命嘆願を行いそうな雰囲気があるのですが、アハメスがどう考えているのか……という辺りは気を持たせ、 この二人の関係性は先々楽しみです。
 長崎ロケに始まる激動の展開から、次回、箸休め? なんだかネタっぽい感じの獣士ですが、果たして。

◆第21話「ゴズマの大スター」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 冒頭からゴズマの基地に殴り込みをかけるチェンジマンだが、そこに突然現れる、ギターを持った渡り鳥。
 「トーラ星の宇宙獣士ボルタ! 人呼んで、トーラボルター!」
 ……サ、サタデー・ナイト・フィーバー、なの?
 いったいぜんたい誰がジョン・トラボルタのファンだったのかわかりませんが、軽いノリの真っ赤なニワトリ、 という見た目とは裏腹に、ボルタは50の星を征服してきた凄腕の宇宙獣士。そしてその戦闘を全宇宙へ実況生中継する事で人気を博す、 今風にいえばYoutuberであった。
 「ふざけるな! 星の侵略を見世物なんかにされてたまるか!」
 「u-hu、だが俺のファンは血を求めているんだ。それぃ!」
 毎度お馴染み、侵略やってみたチャンネルが始まり、シーマすらメロメロの宇宙スター獣士は、 チェンジマンの攻撃を軽々とかわすと火を噴くギターの一撃はチェンジスーツすら破壊。5人は辛くもジープで逃走するが、 この戦果に面白くないのが、ギルーク司令官。アハメスの暗躍により遠征軍の指揮権を無視して勝手に暴れるボルタに苛立つギルークは、 地球守備隊の基地を自ら攻撃するが、そこにもギターの音色が響き渡る……。
 ボルタにときめくシーマといい、アハメスから「目立ちたがり」扱いを受けてやたら器の小さくなるギルークといい、 ややコミカルに振れすぎた感があるのですが、脚本はメインライターの曽田さんなので、長石監督の演出の方が少し行きすぎたか。 ブーバを筆頭に、ゴズマ側にコミカル要素を加えているのが主に長石監督なので、この辺りは探り探りといった部分がありそうですが。
 守備隊を助けに行こうとするも今の状態で出て行っても犬死にするだけだ、と仲間達から一斉に制止される飛竜だが、 その瞳には強い決意の炎がみなぎる。
 「そうはいかん! 今こうしている間にも、ボルタは宇宙中に放送してるんだぞ。大星団ゴズマの支配下に置かれた人々に、 ゴズマの強さを見せつけようとしている。地球にも! 平和を求めて戦う人間が居る事を示さないでどうするんだ!」
 Youtuber獣士の生中継はただのギャグではない、という話の展開は実に今作らしく、 獣士の造形には“侵略をショー化するゴズマの恐ろしさ”を示す意図もあったのでしょうが(そして時に、 我が身に降りかからない闘争は簡単に娯楽として消費されるもので)、やはり少しやり過ぎて、 温度差が効果的の範疇を超えて胸焼けを起こしそうな感じに。
 何かを閃いた飛竜は一人で飛び出していくと、睨み合うギルークとボルタの間にバイクで飛び込み、 上司とスターの板挟みになっていたカメラ担当・ゲーターから全宇宙同時配信カメラを強奪。そしてそれを用いて、 ボルタの残酷侵略ショーではなく、地球の自然や平和な暮らしを全宇宙生配信するという、逆プロパガンダに打って出る!
 というアイデアは非常に面白かったのですが。
 違法配信よくない、とバズー怒りの直接ビームで飛竜のチャンネルジャックは中断されるが、 ギルークの攻撃を受けてボルタのサングラスが外れ、たれ目の素顔にシーマは大ショック。 そしてそのサングラスこそがボルタの回避能力の秘密であった事が判明し、アハメスが割り込んで軌道修正したところに、 勢揃いするチェンジマン。
 「ゴズマに屈しない俺達の姿を、全宇宙に示すんだ!」
 ヒドラ兵を蹴散らすも、相手の動きがスローモーションで見えるようになる、ボルタのサングラスの力に苦戦するチェンジマンだったが、 一騎打ちを挑んだドラゴンが逆光を利用して目をくらませ、眼鏡を破壊するとパワーバズーカで抹殺。巨大化後はさくっとサンダーボルトし、 スター獣士ボルタは、地球に散るのであった。
 ナレーション「チェンジマンは信じた。必ず、心ある宇宙人は立ち上がってくれると。その為にも、チェンジマンは、 先頭に立って、戦わねばならないのだ。地球人の勇気と、平和を守る心を、全宇宙に、示すのだ!」
 ギルーク遠征軍vsチェンジマンの戦いは、圧倒的な支配地域を誇る大星団ゴズマにとっては辺境の局地戦に過ぎない、 という今作の構造は、ゴズマの強大さと脅威を減じない代わりに、チェンジマンの勝利の価値も一局面のものにしかならない、 という問題を抱えていたのですが、チェンジマンの戦う姿がゴズマ支配下の人々の心も揺り動かすかもしれない 事を悪の残酷ショーを逆手に取って示し、巨象に対する蟻の戦いの意味を物語の中に明確に取り込んだのは、 見事な連結でした。
 今作は一貫して、このスケール感の描写、マクロとミクロの繋げ方に手抜かりがなくスマート。
 それだけに、終始なんだか、演出と脚本が噛み合っていない感じがあったのは、残念(児童層に対して、どう描くのが一番伝わるか、 という試行錯誤の産物でもありましょうが、今作全体のテイストからも少し浮いていた感じはあり、 作品全体としての今後のトーンも気になるところ)。

◆第22話「鏡に消えた戦士!」◆ (監督:長石多可男 脚本:鷺山京子)
 さやかと麻衣が新技の開発に向けて特訓に励む中、街には宇宙獣士ミラルカが出現。
 鏡のイメージなのでしょうが、鋭角なデザインが「動く折り鶴」のようでなかなか面白い獣士は一当たりすると姿を消し、 手分けして追跡するチェンジマンだが、さやかが獣士の能力によって姿をコピーされた上、鏡の中に閉じ込められてしまう。 さやかに化けた獣士の目的は、チェンジマンの根城、電撃基地を発見する事!
 麻衣に接触した偽さやかは、麻衣のバイクに先導されて首尾良く車で基地への帰路につくが、 通信用に身につけていたマイクロカメラの電波がゲートのチェックに引っかかり、 どこからともなく現れた迷彩服の一団に銃を突きつけ包囲されるのが、凄く電撃戦隊です!
 我々は戦争をやっているのだ、と中核メンバーにさえ身体検査を敢行し、麻衣さんが物凄く必死にフォローを入れている姿に見る、 裏切り者は例えチェンジマンといえど、特別拘禁室送りの末に軍事法廷にかけられる――それが地球を守るジャスティス。
 「カメラが無いか……どうしたものか」
 ミラルクはマイクロカメラを密かに処分する事で窮地をくぐり抜けるが、映像が途絶したアジトではブーバが歯がみ。 苛立たしげに動かす刀身にリズミカルに光が照り返すのが映像的に格好いいのですが、そ れを見たさやかが閉じ込められた鏡世界は光を通す事に気付き、ブレスレーザーをブーバの剣に反射する事により鏡を砕いて脱出する、 という流れに繋がるのがまた鮮やか。
 捕らえた敵にわざわざ基地の危機を見せつけようとするから足下をすくわれる、というのも悪の敗因として綺麗で、 チェンジマーメイドしたさやかは自ら崖下にダイブする事で、ゴズマのアジトから脱出し、早かった!(まだAパート)
 一方、電撃基地へと繋がる地下エレベーターに乗り込む所まで成功する偽さやかだが、 司令部へと繋がる入り口で指紋承認システムを無視してくぐりぬけようとしてショック光線を浴び、 裏切り者は例えチェンジマンといえど(以下略)ですが、セキュリティが発動して基地が自爆しなくて、 本当に良かった。
 偽さやかが、指紋承認システムを使う前に、いつものようにハンカチで手を拭かなかった事で(序盤の展開が伏線に)、 うっすらと抱いていた不審を確信に変えた麻衣は、「侵入者あり」を符牒で司令部へと伝え、基地内部に入り込んだ偽さやかを待っていたのは、 取り囲む電撃戦隊の銃口!
 …………改めて、基地内部にスパイ排出システムが取り付けてあった太陽戦隊(というか嵐山長官)のキチガイぶりに戦慄。
 負けるな僕らの伊吹長官!(いいのか)
 正体を現した鏡獣士は、電撃基地の場所を遠征軍本部へ伝えるべく脱出をはかり、それを追う戦士団、 という通常とは逆の構図のサスペンスが、一つアクセント。外を探し回っていた麻衣はさやかの姿を発見するが、 それは果たして本物のさやかなのか……? 戸惑うところにもう一人のさやかが現れ、 二人のさやかが面と向き合って互いに本物を主張する定番の展開から、さやかを追ってきたブーバも加わって困惑二乗(笑)
 目を白黒させるブーバと、仕方がないので偽さやかもブーバに向けて戦意を見せるの図が面白い事に。
 果たして、本物のさやかはどちらなのか……かつて、地球を守ってきた先達は言いました。
 撃って死んだら地球人だ! 撃って溶けたら異星人だ!
 (※多分言ってない)
 ウル○ラ警備隊魂に目覚めた麻衣は、敵に捕まったのがうぬの不覚よ、 二人まとめて「チェンジソード!」じゃなかった、さやかに“新技”の合図を送り、 空中に飛び上がった麻衣と本物のさやかは、飛び蹴りで友情を確認(笑)
 「遅い!」
 「麻衣こそ!」
 「はぇ……?」
 「ミラルカ! 姿形は同じでも、私たちとはハートが違う!」
 「基地の秘密は渡さないわ!ここから先は、一歩も通さない!」
 死の訓練を乗り越えて得たアースフォース魂は物理で通じ合い、そこへ今回概ね役に立ってない男3人が駆けつけ、 5人並ぶチェンジマン。
 桃白は鏡獣士に土壇場でコンビネーション攻撃――ダブルソード・オーロラシューティング――を炸裂させ、 空中で互いの足の裏に飛び蹴りをぶつける事で、急反転して射撃するというのが普通に格好良く、 「新しい技が完成したな!」と讃えるレッドは魔球持ちだからいいとして、そこの青黒も「ダブル残念・へっぽこシューティング!」 みたいなコンビ技を開発した方がいいのではないか。
 トドメのパワーバズーカで爆散したミラルカは巨大化し、ミラー攻撃を力技で打ち破ったチェンジロボは、 空中攻撃からサンダーボルトでずんばらりん。
 オチではブティックに繰り出しお洒落する女性二人を野郎衆がホラーマスクで驚かせ、疾風は荷物持ちとなるのでありました、でつづく。
 最後になんか勢いでジャンプしてまとめるのは、そういえば最近、めっきり見なくなったな……と思いましたが、 いつ頃からいつ頃までの文化なのだろうこれ(や、キッズアニメとかだと現在でも残っているかもしれませんが、ジャンプオチ)。
 割とオーソドックスな女性メンバーコンビ回といった作りと出来で、さやかメインに寄るのは配役上の都合もあるのでしょうが、 一つの不審をきっかけに麻衣がしっかりと偽物の正体に気付き、命がけの戦場でぶつかり合う中で育まれてきた友情、 が印象づけられたのは良かったです。
 次回――すいへーいせーんの終わりにはあああー。

◆第23話「イルカに乗る少年」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
 「海……大地の2倍半以上もあり、あらゆる地球生物の生命の源。そしてエネルギーの宝庫。その海を侵略し、支配するのだ」
 バズー肝煎りの作戦により地球に送り込まれた宇宙獣士ゼーラは、あらゆる海を魔の霧に包み込み、魚が全く獲れなくなるという大打撃!  以前もギルークのピラニア作戦で港町が被害を受けていましたが、『チェンジマン』は水産業に厳しい。
 この異常事態の影にはゴズマが暗躍しているに違いない、とチェンジマンは手分けして調査を始め、疾風はサブタイトル全くそのままに、 イルカにまたがりイルカと語らう少年を目撃。
 イルカ……イルカだけが友達……みなみ様……うっ……頭が……(大脱線)
 はさておいて、藤井脚本×疾風回なのにゲストが少年、という驚愕の展開!
 (※イメージです)
 「むぅ……? 何者だ?! 儂の邪魔をする奴は! 海と魚を操る事ができるのは! 全宇宙に! ポセドニア星生き残りの、 儂しか居ない筈!」
 貝殻の笛で魚を操る少年に反応した獣士の、故郷が既に壊滅している事がさらっと語られるのが実に『チェンジマン』で、 少年を襲撃する獣士と、それを守る疾風。
 「貴様何者?!」
 「ははははは! 地球守備隊・疾風翔! 宇宙獣士ゼーラ! 海を返してもらうぞ!」
 櫛で髪を整えながら外連味たっぷりに啖呵を切る疾風は、夏の日差しの影響か、テンションやや高め。 ヒドラ兵を殴り倒すもシーマに少年を人質に取られてしまうが、少年の目が金色に輝くと海水が噴出してシーマを吹き飛ばし、 過去最大のダメージを受けてひっくり返るシーマ。そこへ本日も水上バイク(3回目)で仲間達が駆けつけ、どうやら、 地球守備隊の標準兵装のようです。
 少年は、太古の昔に消滅した水の惑星・ポセドニア人の子孫の可能性が高い――一時撤退したシーマと獣士の報告を受けたギルークは、 少年が自分の能力を理解する前に抹殺せよと指令を下す。一方、少年が特殊な能力を持っているのではないかと考えた電撃戦隊も改めてコンタクトを図り、 魚を取り戻そうとする少年と共に、疾風が沖へボートで繰り出し……あ、これまた、疾風さんが囮なやつじゃないですか。
 ついでに少年の能力をハッキリ確認しようとしていて、電撃戦隊、エグい。
 少年の吹き鳴らす笛の音により、無事にイルカや魚たちは姿を見せるが、そこにゼーラが強襲。 シーマも格好良く飛んでくるがチェンジマンも迎撃に揃い踏みし、レンズに効果をつけて、ちょっと不思議な戦闘シーン。
 ヒドラ兵を蹴散らしたチェンジマンは、ゼーラの吐き出す霧によって幻惑され、飛び回るヒレの攻撃に苦戦するが、 チェンジソード一斉射撃で撃墜。グリフォンの新必殺技グリフォンマグマギャラクシーが炸裂すると、パワーバズーカでファイヤー。
 今回、ヒドラ兵の出現シーンに変化をつける(海から飛び出したり地面から湧いて出たり)他、海岸線に巨大ゼーラを合成したり、 セットではなく海岸に立ったチェンジロボとゼーラが殴り合ったり、夏休み期間だから?ここまでと趣向を変えた映像がふんだんに盛り込まれているのですが、 海へ逃げ込んだ獣士を追い、チェンジロボ、初の水中戦。
 初登場時から平気で空中戦をこなしていたインパクトが強いチェンジロボも海中を自由に動き回る獣士にはかつてなく苦戦するが……
 チェンジシールド!(投擲)
 でクリティカルダメージを与え、剣くんは後で職員室まで来るように。
 手段を選ばぬ地球人の殺意にひるんだ獣士は、得意の海中に背を向けてまで地上へ逃げ出すが、チェンジロボの追撃を受け、 サンダーボルトでずんばらりん。
 海に平和を取り戻したチェンジマンは、異星人の子孫である可能性や秘めた強大な力を知らず、 無邪気にイルカに乗ってはしゃぐ少年をそっとしておきたいと、その血筋について告げない事を決める。
 「新平くんは地球の子供として元気いっぱい生きていく。俺達はそれを見守り、いつでも力になってやるんだ」
 そしてヒーローは去って行くが、いつも子供達を見守り、いつでも力になりにやってくる、というのは、メタ的な意味も含め、 『チェンジマン』を貫く基本テーゼとなっています。
 イルカにまたがる少年は朗らかに5人に手を振り、広がる海の彼方からぁぁぁー何が呼ぶというのだろーーーで、つづく。
 藤井先生にしては凄くさっぱりした構成でしたが……これ、 初稿時点では浜辺でオカリナを吹く白いワンピースの少女とか出てくる予定だったのでは?!(笑)  それが諸般の事情で駄目になり(イルカに乗った少女は画の難易度がちょっと高いです、とかあって)、ゲストが少年になった結果、 藤井先生が煩悩を盛り込む余地が無くなり、まとまりの良い夏の小品になったと言われると物凄く納得度が高いのですが!(や、 藤井先生も、女性ゲスト登場か悲恋物以外を書く事もあるだろうとは思うのですが……)。
 次回――予告はギャグっぽいですが、両陣営激震案件。

◆第24話「ギョダーイの家出」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 「大変や大変や! ギョダーイが家出したんやで!」
 「なに?」
 「ギョダーイが!」
 「家出?!」
 ある夜の事、静まりかえるゴズマ遠征軍指令船から突然ギョダーイが小型宇宙船に乗って脱走し……これは、家出という概念でいいのか?(笑)
 地球の商店街に出現したギョダーイは人々を追い散らし、あの着ぐるみで結構動いていて凄い。 自動車やガードレールなどを貪り食うギョダーイだが、そこに駆けつけるチェンジマン。
 「来たかチェンジマン!」
 「ギョダーイが喋ったわ!」
 一瞬、どういう設定だったか考えてしまいましたが、驚いて良い所でホッとしました(笑) まあ、声は明らかに西尾徳さんなのですが!
 喋るギョダーイは思わぬ怪力でチェンジマンを次々と張り飛ばすも4人一斉の蹴り技を受けて遂に地面に転がるが、 なんとその体内から、ダンゴムシのような宇宙獣士が飛び出してくる!
 「宇宙獣士キーガ!」
 これは予想外の展開で、素直に面白く驚きました。
 そこへ雷光とともにマジカルアハメスが降臨すると、再びギョダーイの体内に獣士を寄生させる。 キーガは寄生した相手の食べた物をエネルギーとして吸収する性質を持っており、 全てはギョダーイを利用して強力獣士をチェンジマンにぶつけようという、アハメスの目論見であったのだ!
 「おまえはいつも変わった宇宙獣士を見つけてくるな。面白い作戦だ。好きなようにやってみせろ」
 ギルークとアハメスの変則二頭体制は、両者の作戦をどう特徴づけるのか、という問題があったのですが、 「ギルーク陣営の困惑」を描き、バズー様から「アハメスの宇宙獣士は変化球」のお墨付きを与える事で、 実際にどうかという以上に“そういう事”にして、差別化を固定。
 もちろん、映像などの説得力で見せられればそれに越した事はないのでしょうが、 どだい毎週のTVシリーズでは限界もあるというのを踏まえた上で、子供向けのわかりやすさという部分も含め、語りすぎず、 言葉足らずにもならず、どこまでを台詞で補強してしまうか(どんな台詞を置いておけば効果的か) のバランス感覚が優れているのは、今作の一貫した長所。
 地球守備隊の基地を襲撃したギョダーイは、打ち込まれたミサイルさえたいらげてしまい、救援にかけつけたチェンジマンの前には、 順調に強化されて人相の悪くなったキーガが再出現。強化キーガのゴムボール爆弾を受けて怯むチェンジマンだが…… 寄生獣士の背後で消耗状態のギョダーイの存在に気付く。
 「今の内にギョダーイをやっつけろ!」
 ですよねー(笑)
 「なにー?!」
 機を見て敏な戦術判断力が売りのチェンジマンは、狼狽した獣士に赤がドラゴンキックを浴びせて引き離し、 残り4人が一斉にギョダーイに襲いかかるが、ギョダーイは体から煙を吹き出すと逃走し、 その体内に飲み込まれたミサイルが爆発しかけている事が発覚する。
 街中でギョダーイを倒すとライジングマイティしてしまうかもしれない、と伊吹長官の制止を受けたチェンジマンは、 どんなショックで体内の爆弾が爆発してしまうかわからない、とギョダーイを遠巻きに追跡するしか出来ない状況を強いられ…… 地球守備隊の標準兵装への不信感が募ります(ギョダーイの体内で特殊な化学反応を起こして威力が増強されているのかもですが)。
 ギョダーイを追跡するチェンジマンの姿が少々コミカルに描かれ、それを見下ろすアハメスは、 爆発でチェンジマンが消し飛ぶならギョダーイの犠牲など安いもの、と様子見に方針をシフト。
 アハメスの冷徹さを強調しつつ、寄生獣士の変則攻撃から爆発を防げというサスペンスに話の軸がスライドするのですが、 アハメスの見立て自体、チェンジマンの生命力を甘く見すぎか爆発の威力を過大に見積もりすぎか、 としか思えない為に劇中におけるリアリティが弱く、肝心のミサイルが一般隊員が普通に打ち込んだミサイル、 というのが盛り上がりを弱くしてしまって残念。
 ミサイルそのものに特殊性(実験的な新兵器、など)を持たせるには尺が足りなかったのかもですが、 物語を成立させる為の要素が抑えきれずに、プロットが散らかってしまった印象。
 「宇宙動物だって命ある生き物。仲間を懐かしく思う気持ちがあるなら、俺達とだって気持ちは通じるかもしれない」
 「どうやって?」
 「動物と意志を通じるには、 餌付け その動物になりきる事さ」
 ギョダーイを追っていたチェンジマンは、ギョダーイが鏡や水面に映る像に興味を示す事から、 仲間を求めているかもしれないと飛竜が推測し、まさかのギョダーイコスプレでコンタクトを試みる事に。 赤いフードをすっぽりかぶった飛竜の賭けが成功し、物陰で見守っていた4人もギョダーイコスプレを身に纏うと、 本物のギョダーイを取り囲んで奇妙な踊りに興じ、面白いとか面白くないとかを通り越して、なんだか凄い絵になってきました(笑)
 そのままギョダーイを市街地から引き離して抹殺しようと考えるチェンジマンだが (「気持ちが通じる」とかメルヘンな事を言っていますが、5人の目的はあくまで、爆発被害が出ない場所までの誘導です)、 そうはさせじと襲撃してくる獣士とアハメス。疾風達がレッツチェンジして足止めしている間に、 飛竜と共に郊外まで逃走したギョダーイからミサイルが排出され、追いついたアハメスと獣士に向けて、手に取ったミサイルを構える飛竜。
 「アハメス! お返しだ!」
 チェンジミサイル!(遠投)
 剣飛竜は手掴みにしたミサイルをそのまま投げつけ、野球か、野球の魂なのか?!
 とにかく、剣くんは後でまた職員室まで来なさい。
 「キーガ! おまえはこれまでの中で一番卑劣な宇宙獣士だ! 正々堂々と戦ってみろ!」
 アハメスが魔法のステッキからヒドラ兵を召喚して主題歌バトルに突入し、 チェンジマンが次々とヒドラ兵に連続回し蹴りを決めていく映像が格好いい。 アハメスは火薬の量がちょっと笑っちゃう威力のサンダー攻撃から鞭による連続攻撃を放ち、 その隙に再びギョダーイの中に入り込むキーガ、半魚人のような顔に強化されたキーガ究極体は強烈な爆弾攻撃を連射してくるが、 チェンジマンは新技・パワーシュートにより5人それぞれのシンボルマークをエネルギーとして叩き込むと、 そこからのパワーバズーカでフィニッシュ。
 突然の新技で逆転、というのは如何にもこの時代といった感ですが、『チェンジマン』基本、 〔戦闘→風呂→訓練→パトロール→戦闘→風呂〕のヘビーローテぽいので、それはめきめきレベルも上がりましょう。
 どうするかと思われたギョダーイはあっさり寄生獣士を巨大化させると、 こっそりと事態の推移を見守っていたゲーターによって連れ帰られ、「所詮は宇宙動物だったか……!」 と吐き捨てるチェンジマンですが、仲間(?)より飼い主であった模様。
 まあ、あまりギョダーイに情を移すと、倒しにくくなるという事情もあるのでしょうが(倒さない、 という選択肢もありえるとした上で)、或いは、ギルーク達はちょっと毛色の変わった「仲間」だと認識されているのでは(笑)
 巨大戦は、バルカンからさくっとサンダーボルトで片付け、帰路につく5人。
 「一時的とはいえ、ギョダーイと気持ちが通じたのよ。他の宇宙の動物とも、気持ちが通じるかもね!」
 ギョダーイを手なずけるのには失敗したが(そもそも、殺る気満々だぜぇ!だったわけですが……)、 地球の生命以外ともわかり合える可能性はある筈だ、という視野の広げ方が実に『チェンジマン』らしい視点の置き方と接続で、今作は、 こうすると『チェンジマン』的、という“型”が確立しているのも強みといえます。
 「ああ。大空くんなんか、あのー……ほら、ゲーターの仲間になれるんじゃないかい?」
 「うん……ゲーターね……ゲーター?! ちょっと、どういう意味だよ?!」
 で、ドタバタ追いかけっこが始まり、つづく。
 ギョダーイの突然の行動の理由は寄生獣士だった! という意外性のある発端は面白かったものの、 ミサイル周りはどうもまとまりが悪かったのが残念でしたが、これまで扱いがいまいち不明だったギョダーイが宇宙「動物」 とされたのはスッキリで、そこから搦め手のアプローチを試みる、という流れは面白かったです。
 単独のエピソードとしてはやや出来の落ちる内容でも、物語の世界観やテーゼがきちっと貫かれているので、 毎回何かしらのストーリー的見所が存在していて楽しめる、というのは今作の見ていてだれない部分。
 次回――次の銀河のスターは、君だ!

→〔まとめ5へ続く〕

(2020年7月21日)

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