■『五星戦隊ダイレンジャー』感想まとめ6■


“天に輝く五つ星!
五星戦隊 ダイレンジャー!!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『五星戦隊ダイレンジャー』 感想の、まとめ6(41〜最終話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・ 〔総括〕

                

◆第41話「クジャク大昇天」◆ (監督:坂本太郎 脚本:藤井邦夫)
 オールアップという事でか、白い洋服で登場のクジャクさん。
 現代の汚れた空気に蝕まれたクジャクの生命のタイムリミットは、羽根飾り残り2本。 聖なる孔雀の涙の手がかりを得た大五とクジャクはある湖の近くへと向かうが、そこに生き霊ガラが襲いかかってくる。一方、 道士カクは聖なる孔雀の涙に隠された恐るべき真実に気付いていた。
 (人々を救うはずの聖なる孔雀の涙が……人類を……)
 大五とクジャクの元には本物ガラも現れ、クジャクとガラは一騎打ち。クジャクを追い詰めるガラだったが、自爆忍法を受け、 視力を失う。生き霊ガラに行く手を阻まれる大五のもとへは仲間が駆けつけるが、大五は突如起きた地割れに飲み込まれてしまう。 しかしその地下で、伝説通りに聖なる孔雀の涙を発見。それを手にクジャクを探す大五とダイレンジャーだが、突然、 ワープして道士がやってくる。
 「みんな、私の話を聞いてくれ」
 道士カクの告げる残酷な事実……それは例え聖なる孔雀の涙でクジャクを癒しても、 現代の汚れた空気は再びクジャクの命を蝕むであろう事。
 「じゃあ聖なる孔雀の涙をあげて、大気の汚れを消して綺麗にすればいいんです!」
 「人類を滅ぼしてもか……?」
 聖なる孔雀の涙に隠された恐るべき真実――それは、全てを癒やし浄化するその強すぎる力は、あらゆる細菌の類いも消滅させ、 結果として、人類の免疫抗体まで消し去ってしまう事。それは遠からず、人類滅亡の引き金となってしまうであろう。
 「嘘だ……」
 「いいや……嘘ではない」

 やっぱり禁断のマジックアイテムでした。

 はまあ、予定調和の内として、どうして道士がいきなりしゃしゃり出てくるのか、意味不明。何か、 幻覚?みたいなものを見てましたが、少なくとも「現代の汚れた空気は再びクジャクの命を蝕むだろう」という辺りは 以前からわかっていた筈なのに、ギリギリの局面まで出てこない、安定のタチの悪さ。
 「道士……みんな! クジャクを助けてやってくれ!」
 大五は必死に訴えるが、仲間達も突きつけられた事実を前に、無言。どうしてもクジャクを助けたい大五は聖なる孔雀の涙を手に走り出すが、 背後から気力をぶつける道士。
 「返せぇぇぇッッ!」
 大五vs道士!
 というか、どう見てもわざと追い詰めてニヤニヤしていて、最低、道士、最低。

 聖なる孔雀の涙を手にした大五は大きく吹き飛ばされるが、そこへ現れるクジャク。「一滴だけ、私にください」 と聖なる孔雀の涙を手にしたクジャクはガラの元へと飛び、追いかけた5人の前には生き霊ガラが立ちはだかる。
 「クジャク……最後の戦いだ」
 「わかった」
 交差するクジャクとガラ。大地に倒れたガラに、クジャクはとどめの代わりに聖なる孔雀の涙をたらし、頬の傷と両目は回復。 クジャクの行為に動揺したガラの生き霊は消え去り、駆けつけてきた大五の姿を見て、ガラは狼狽したまま姿を消す。そしてクジャクは、 聖なる孔雀の涙を湖に投擲。大五が駆けつけたその時、最後の羽根飾りが輝きを失って地に落ちる。
 「大五……」
 ガラを救えた事を喜びながら、大五の腕の中で力を失っていくクジャク。
 「私は災いを滅ぼし、命の平和を願う孔雀明王の化身。これでよいのです」
 「しっかりしろクジャク!」
 「大五……甦って良かった。あなたに会えて……良かった……」
 「クジャク、クジャクぅぅぅぅぅ!」
 命尽きたクジャクは、大五に抱えられ、変な衣装で昇天。
 最後、ざっくりナレーションはどうか(^^;
 えー……なんというか、散々引っ張った挙げ句に、やっぱり危ないマジックアイテムでした藤井脚本なので悲恋ものでした、と悪い意味で予定調和の中に。
 や、そんなに藤井脚本を精査しているわけではないですが、知っている範囲の連続エピソード、『フラッシュマン』『メタルダー』 『ジライヤ』と、全て悲恋ネタしか見た事ありません(^^;
 まあそれは穿った見方なので省くにしても、土壇場で出てきた道士で話を転がしてしまう、 のは非常によろしくない。今までろくに関わっていないのに、突然今思い出した悲報を伝えにくるとか、どれだけタチ悪いのか。 仲間4人もほぼモブキャラ化していて、なんの存在理由もありませんし。前回の展開を受け、 ガラに救いをもたらしたのだけは良かったですが、次回登場時にその流れを拾われるまでは、これも油断できません(^^;  場合によっては、もっとこじれて再登場しそう。一応、生き霊は消えたけど。
 後これはプロデューサーサイドだと思いますが、陣話もそうですが、こういうネタは、 ほぼ読めた上でもサブタイトルでネタバレしないで、一応、どう転ぶのか最後まで引いてほしい所です。 サブタイトルで殺されてしまうと、どうしうても物語の中に入り込めません。それが上手く機能する時もありますが、 陣にしろ今回にしろ、機能していたとはいいがたい。逆の言い方をすると、サブタイトルに殺されないだけの内容がなくて、 キャラクターと一緒にエピソードも、サブタイトルに殺されてしまっている。
 ううーん、このカップルの行く末は、9割方諦めていたにしても、ガックリだ。
 後とりあえず、一滴だけ使って対処療法する、という手段もあったと思うのですが……色々総合すると、 道士が言葉巧みにクジャクを追い詰めて昇天に追い込んだように、見えなくもない。
 次回、誰も反省していないので、カミナリおじさんが帰ってくる。

◆第42話「母ちゃん一直線」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
 公園に残されていた謎の足跡を追った子供達、神社に囚われるコウの母親と、そこに居た阿古丸を発見。
 ……あれ、また捕まっている?
 もうよくわからないというか、どうでもよくなってきたというか(^^;
 阿古丸の使役するメカメカしい怪人?イカヅチが出現し、子供達は逃げ出した所を買い物帰りのリンと出会う。仲間達が駆けつけ、 神社へと走るホウオウレンジャー。阿古丸は時間稼ぎの為にイカヅチを巨大化させ、龍星王と戦闘に。 イカヅチの放つ強烈な妖力が洞穴で眠っていたコウを更にゴーマへと近づけ、そして大神龍までも呼び寄せる!
 遙か宇宙へ飛び去ったかと思われた大神龍さんですが、執行猶予期間という事で、割と近く(月?)で待機していた模様。
 暴走キバレンジャーの操るウォンタイガーの攻撃を受ける龍星王。せっかく虎の子大秘術使ったのに、 前使ったのと同じ「火」でがっかり。大神龍の姿を見てイカヅチは撤退するも、コウ母は人力車で連れ去られてしまう。よく見ると、 その横を普通に走っている阿古丸(笑) コウ母は連れ去られる直前に身につけていた指輪をホウオウレンジャーへと投げ渡す。
 大神龍の攻撃を受け、ウォンタイガーも撤退。
 「僕は、どうなってしまったんだ。怖いよ、母ちゃん……」
 人とゴーマの間で激しく揺れるコウは再び、いずこともしれない洞穴の中で眠りに落ちる……もはやコウより、 もう駄目かもしれない日本の方が心配ですが(笑)
 東京に降り立った大神龍は二足歩行状態で待機。果たして大神龍は、何をしようとしているのか?!
 一方、キバレンジャーのゴーマ化を完全にする為に、コウ母を殺してしまえ、と阿古丸に詰め寄る3事務員。 だが親への歪んだ憎しみに囚われる阿古丸は、「ゴーマになったコウを母親に見せつけてやりたいから断る」と、それを拒否。 阿古丸の思い通りになって立場が危うくなる事を恐れるシャダムは、自らの手でコウ母を抹殺する事を決意。だが阿古丸は、 ゴーマ15世のお気に入り。そのゴーマ15世を納得させる事が出来るのか……?
 「出来る。俺にはまだ、切り札がある」
 編み物中のゴーマ15世の部屋を訪れたシャダム事務長は、いったいなにをどうしたのか、 ゴーマ15世よりコウ母抹殺指令を取り付ける。それに反発し、イカヅチ(地獄の生物らしい)をけしかける阿古丸。 ガラとザイドスがその相手をしている内に、コウ母のもとへと向かうシャダム。そして……
 事務長「おまえは……!」
 コウ母「シャダム……」
 事務長「どういう事だ、おまえがコウの母親だったのか?!」
 阿古丸「父上!」
 コウ母「父上……? じゃあ! この子は……この子は……」
 事務長「そうだ。俺の息子だ」
 阿古丸「何を言っているんだ二人とも。父上は、コウの母親を知っていたのか」
 顔見知りらしい、事務長とコウ母。
 というか別れた夫婦にしか見えませんが、以前の感想で与太で書いたか、お約束すぎて書かなかったか記憶にないのですが、 やっぱりそういう事で、コウと阿古丸は生き別れの兄弟なのでしょうか。
 辻褄が合うかはともかく、糸を繋げるとしたらそこしかないのですが、仮にそうだとしても、シャダムはコウの事を知らず、 阿古丸は母親の事を知らず、と何とも複雑な関係の模様。
 場の空気がドロドロじ始めたところで、指輪に導かれてやってくるダイレンジャー、で集団戦に。イカヅチはまたも巨大化し、 龍星王は武人変化。混戦の中、ダイレンジャーは囚われのコウ母を救い出す事が出来るのか? シャダム−コウ母−阿古丸の関係は?  そして沈黙する大神龍は何をしようとしているのか?!
 正直、コウがらみの話が私の中でどうでもよくなってしまっているので、そこはもうどうでもいいのですが、 通してスーツアクション多めで良かったです。今作の最大の魅力は、やはりアクション。
 次回、明かされるもろもろ(多分)

◆第43話「激白 禁断の過去」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:杉村升)
 コウ母を巡る乱戦の中で、コウ母とホウオウレンジャーをまとめて攻撃するシャダムだが、二人を助けに白虎神剣が飛んでくる。 シャダムは白虎神剣を捕まえて姿を消し、イカヅチ、阿古丸、事務員達も撤退。なんとかダイレンジャーはコウ母の救出に成功するが…… いい加減、名前を(笑)
 一方、地上に降り立った大神龍におののく人々……「何あれ」……っていや、つい一ヶ月ほど前に 東京を大破壊したのですが。
 なんかこの世界、途中で何者かに改変されていそうで怖くなってきました(笑)
 大神龍が放つ謎の光を浴びた人々は、突如、人相が変化し、高い所にずらっと並ぶように。それは大神龍による催眠術であり、 とっとと戦いを止めないとこの人達を端から転落死させるよ? というえらくピンポイントでミニマムな脅迫と警告であった。
 月で一休み中に、随分と人間社会の事を勉強したようです、大神龍。
 もっとこう、問答無用で超越しているから良かったのになぁ(^^;
 大神龍によるこの暴虐を止めなければならない……しかし、ゴーマに停戦協定を守るつもりはない……いったいどうすればいいのか 煩悶するダイレンジャー。
 道士「まずは、コウを探すのが先だ」
 ……いや申し訳ないけど、それもはや、凄く些少な問題になっているような(^^;
 お互いの問題の重要度が潰し合っていて、物凄く食い合わないのですが、どうしてこんな重ね方をしてしまったのか。
 コウ母によるとコウの誕生日は12月24日――それはもはや、明日に迫っていた。そしてコウのゴーマ化を防ぐには、 白虎神剣で洗礼の儀式をしなくてはならない。この窮地に「白虎神剣は私が取り戻す」と道士カクはコウ母を守っての待機を命じ、 前回の休戦協定の際の不可解な動きも合わせ、改めて道士に不信感を抱くダイレンジャー達。ネタ抜きで胡散臭くなってしまった道士は、 再び輿でゴーマ宮へと向かうが、そこではゴーマ15世が阿古丸をゴーマから追放していた。
 前回から急に社長相手に主導権を握ったシャダム事務長ですが、浮気の証拠写真でも突きつけたとしか思えません。
 にしても阿古丸は、前回登場時に“なんでも見通せる千里眼”を手に入れたと発言しているので、出生について疑問があるなら、 駄目父に質問しないでそれを使えば良いと思うのですが、辻褄合わせの為に“千里眼”を装備させたら、新たな矛盾が生じるという、 恐ろしいデフレスパイラル。
 道士の帰りを待つダイレンジャー、コウ母はリンの部屋でコウの写ったアルバムに目を通し、男衆は部屋の二酸化炭素濃度が上がるので、 12月23日の路上で放置プレイを受けていた。
 気力があるから大丈夫!(多分)
 「阿古丸は……あの子は私の息子なんです。コウとは、兄弟だったんです」
 アルバムを目にしながら驚愕の真実を告白するコウ母。そこへ道士カクが帰還し、集まったダイレンジャーに向けて、 なぜか高い所から白虎神剣を投げつけると「行け! 一刻も早くコウを取り戻すんだ」と言い残して姿を消す。 白虎神剣と指輪の力でコウの気力を追うダイレンジャー……コウのゴーマ化を食い止めるには、 正午までにコウの元へ辿り着かなくてはいけない! コウ母と亀夫をともないコウを探すダイレンジャーは遂にコウの潜む洞穴へと辿り着くが、 その前に阿古丸とイカヅチが立ちはだかる。
 阿古丸は「妖力合身!」でイカヅチにパイルダーオン。亀夫がダイムゲンとなってコウ母をガードする中、 ダイレンジャーと阿古イカヅチの戦いが始まる。果たしてダイレンジャーは、コウを救う事が出来るのか?!
 ……て、あれ? 全く、「禁断の過去」が明かされない、という物の見事なサブタイトル詐欺(笑)
 阿古丸がコウの兄弟というのは、「ただの現実」であって、「過去の真実」ではないので(^^; というかどちらかといえば、 何がどーして事務長とコウ母が付き合っていたのか、の方を知りたいわけなんですが!

◆第44話「感動!!君も泣け」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:杉村升)
 とりあえず、サブタイトルどうか(^^;
 戦闘に乱入してダイレンジャーに襲いかかるキバレンジャーは、ウォンタイガーを召喚。ダイレンジャーも大連王を呼び、 阿古丸と分離したイカヅチも巨大化。これに堪忍袋の緒が切れた大神龍、次々と催眠をかけた人々を飛び降りさせるが、 それを気力で救う道士カク。
 ……凄く珍しく、道士が人道的な行いを!!
 というか、劇中初?
 最近あまりにも怪しいので、「いや、道士は根っから悪い人では無いんですよ」というフォローぽいですが。
 これにイラッときたのか、飛び立った大神龍は成り行きで、ゴーマ本社ビルを攻撃。 とばっちりで崩壊していくゴーマ本社の中で歯がみするシャダム。
 「阿っ古丸……!」
 いやどうしてそこで、阿古丸に怒るのか事務長(笑)
 ウォンタイガーを本気で攻撃できない大連王は、イカヅチとの2対1という事もあってか、まさかの大苦戦。そんな中、 地上でイカヅチに指令する阿古丸のもとへ辿り着くコウ母。
 「コウは、私とシャダムの間に生まれた、双子の弟なのよ。あなたの、兄弟なの」
 ゴーマ族では双子は不吉なものと忌み嫌われ、生まれた場合には弟を殺すという決まりがあった。 しかしコウ母は幼いコウをどうしても殺す事が出来ず、生まれたばかりのコウを連れて、ゴーマから逃走。 阿古丸を愛していなかったわけではない。だが、コウを殺さない為には、そうするしかなかったのだ。
 「嘘だぁ!」
 母親に捨てられたと考え、両親を憎み続けながら生きてきた阿古丸は動揺して走り去り、 イカヅチの動きが止まった隙にウォンタイガーに乗り移ったリュウレンジャーはコウを気絶させる。そして、 阿古丸の前に現れるシャダム。
 「父上、本当なのか、コウの母親が、私の母親だというのは。本当なのか!」
 「その通りだ。ふんっ、なんとも皮肉な運命だな。だが今更気付いても、もう遅い。貴様のせいでゴーマは崩壊寸前だ。 ……地獄へ行けぃ!」
 容赦なく阿古丸を攻撃するシャダム。
 更にシャダムは、白虎神剣を返す条件として、ダイレンジャーの解散を条件にカクと休戦協定を結んだ事を告げ、 もはやキバレンジャーをゴーマにする事の意味も無くなった、と阿古丸を吹き飛ばす。
 ここに来て、よくわからない立ち回りの挙げ句に、意味ありげな間を置いていた息子を攻撃しまくるシャダムさんはすっかり意味不明。 ……というか、ただの悪い人なのでしょうが。含みを持たせた割には、 何の深みも奥行きもないキャラになってしまって、非常に残念。
 「父上……母上……コウ……」
 瀕死の体を引きずり、その場を去って行く阿古丸。
 一方、リュウレンジャーはコウを母親の元へ届け、コウ母の儀式中に、大連王はイカヅチを食い止めるべく戦う。
 わざわざ洞穴にこもって儀式を行い、落盤を起こす母。
 母の決死の儀式によりコウは正気を取り戻し体内のゴーマの血は消え去るが、母の開けた大穴と地上の戦闘の影響で洞穴は崩壊を始め、 コウ母はコウをかばって岩の下敷きになってしまう。母をなんとか引っ張り出そうとするコウを、コウ母は叱咤。
 「どうして母さんの言う事が聞けないの。おまえはキバレンジャー・コウなのよ! 大勢の人のために戦わないといけないの。 それを忘れないで!」
 「母ちゃん!」
 「生きるの……強く! リンさんやみんなが居るじゃない」
 リン、ナチュラルに小学生男子を押しつけられる。
 母の思いを胸に、振り切って洞窟を飛び出すコウ。それと擦れ違い、崩れゆく洞穴の中へと入っていく阿古丸。
 ここで、コウと阿古丸がお互いを認識しない、というのは良かった。
 「母上……」
 「阿古丸……」
 10年越しの再会を果たした母子は今ようやく手を繋ぎ、そして、岩の下へと埋もれていく……。
 外へ出たコウは、気力転身。
 「気力・転身! キバレンジャー!」
 ダイムゲンも現れ、七星合体・重甲気殿。「重甲気殿・大圧殺!」で、この連続エピソードにおいて最も真っ直ぐで阿古丸に忠実だったイカヅチ、瞬殺。
 母を失ったコウをリンは抱きしめ、亮はその体にジャケットをかけてやりながら、上腕二頭筋を見せつけるのであった。
 「コウ……おまえの母ちゃんはな、おまえの心の中で生きている。いつまでもな」
 ううん、これ、大神龍関係を抜きにして、2クール目ぐらいに5話程度の連続エピソードでやれば良かったのでは。
 そもそも年少向けの作品ですし、禁忌の双子、という鉄板ネタも別に構わないのですが、半年引っ張った末にこれ、 というのはどうなのか。関わったあらゆるキャラクターに、時間かけただけの深みが生まれてないし。仮にこれを 「子供向けだからこれでいいんだ!」と言ったら、それはここまでのシリーズの積み重ねに対して失礼なレベル。
 で、結局、コウ母とは死に別れる、というオチにするなら、中盤の段階で “出生の秘密と母の死を乗り越えてコウ/キバレンジャーがヒーローになる”というエピソードにすれば、 しっくりまとまったと思うのですが。台詞は明らかに、それを意識していますし。
 残念ながらつくづく、半年引っ張ったネタの畳み方としては酷すぎます。
 で、どうも恋愛関係とは言いがたかったようなシャダムとコウ母の関係ですが、えーとつまりこれ、多分、あれですよね。 子供向け番組としては描けない事を邪推しろという感じですが、本当にその気だったら、感心しない。
 阿古丸が母親を知らないのと、シャダムがコウを知らないのは、生まれてすぐに生き別れたから、と一応の説明をつけましたが、 阿古丸はともかく色々なデータからシャダムは類推ぐらい出来そうですけど、事務長ぽんこつだから仕方ない。
 というか前半の扱いを考えると、ここに来て事務長がそれなりの実力者みたいな立ち位置にされても、 全くピンと来ないのは全体として凄く困った所。
 あと、色々勝手な理屈を述べていたけど、「母親が阿古丸を捨てた」という事実には全く弁解の余地も事実誤認もなく、 阿古丸は最初から最後まで本当に悲惨。
 ラスト、母の事を思いながら、雪の降り出した外を見つめる為に曇りガラスを拭くコウ。
 そこへケーキを持ってリンが帰宅し、部屋でクリスマスを祝う、リン、コウ、白虎神剣。
 ケーキを囲む3人、の図からカメラを引いていって、窓ガラスの拭かれた部分から室内を抜く、という演出は、監督が意地を見せました。
 こうしてコウのゴーマ化は防がれた。が、しかし……その裏では恐るべき事態が進行していた。コウと阿古丸の悲劇に憤るカクに、 血を分けた息子がどうなろうと何とも思わないとうそぶくシャダムは、停戦協定の取引を突き付ける。
 「ダイレンジャーを解散して、おまえはゴーマに戻る。そうだったな……ゴーマ族参謀長、カク!」
 次回、道士、コスプレデビュー。
 或いは、昔のジャンルに戻ってみた。

◆第45話「本気(まじ)で解散!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升)
 封鎖されたアジト、姿を消した道士カク。
 (私はもう、おまえたちの所には戻れない)
 なんとなく、5人の活躍シーンを回想する道士。なぜか知さんが、本編で見た事のない服で笑顔を浮かべており、 道士が適当に記憶を捏造した可能性大。
 「あれ、もう一人居たよなぁ……えーと、そうだ、黄色いヤツ。……あいつ、どんな服着てたっけ?」
 酷すぎるよ道士!
 ゴーマに参謀長として復帰したカクは、新キャラ・子龍中尉によると、王家の血を引いているとの事。もともとゴーマは、 ダイ族の王朝に反攻した勢力と言っていた記憶があるのですが、この「王家」がダイ族のそれを指すのか、 ゴーマにも「王家」に該当するものがあるのか、現時点では不明。ゴーマ内部にはもともと、カクを旗頭とし、 シャダムと対立する一派も存在していたとの事で、参謀長の復帰により、カク派が活発化。……どうしてわざわざ、 シャダムが対立派閥のリーダーを復帰させたのかはよくわかりませんが。
 そして参謀長カクは、忠実な部下達に指示を下し、ゴーマ内部で独自の動きを始める……。
 順番としてはこちらが先なのですが、個人的に「参謀長」と言われると、『超力戦隊オーレンジャー』 の三浦参謀長を思い出して、苦笑いを浮かべずには居られません。三浦参謀長も、とにかく胡乱な人物だったのですが、 ルーツはこれだったのか。まあ更に言えば、正木まで遡るので、
 正木(本部長)→(道士/参謀長)カク→三浦(参謀長)
 という、杉村升・胡散臭い司令官シリーズが繋がっているのか。
 カクの命を受けた子龍は、怪人体になると街に繰り出し、ビルの屋上に妖力を集める金色の槍を突き刺す。 気力ボンバーを放つダイレンジャーだったが、それを跳ね返す、赤い鎧の変なヤツ。
 仮面を取ったその正体は……道士カク!
 「ダイレンジャーは、解散する!」
 休戦協定の再度の締結により、ゴーマはもう二度と地球を攻撃しない。そして、自分はもう二度と5人の元へは戻らない、 と告げるカク。謎の槍については手を出さず、元の生活に戻れ、と5人を諭す。
 亮は世界一の餃子職人を目指し、将児はボクシングの世界チャンプを目指し、和は世界一の美容師を目指し、 大五は動物を愛し、リンは大学へ行け。
 や、約2名、落差が。
 あと知さんは職業が美容師であるものの、特に職業上の志を口にした事がないのですが……
 (あれ、黄色いヤツ、なんか目標あったっけ……赤いのが世界一の餃子職人とか言っているから、あいつも世界一でいいか。えーと……)
 この知さんへのとってつけた感!
 本当に酷すぎるよ道士!
 「これから私のする事に、一切手出しは不要だ」というカクだが、ダイレンジャーもはいそうですかと納得するわけがない。 独自に真相を探ろうと、珍しくリーダーシップを取りだす亮だが、将児が反発。
 「急にいばりだしやがってよ」
 「なにぃ……だったら将児、てめえがやれ!」
 安定の、チンピラ属性です。
 「こういう時こそ、5人が力を合わせないと」
 結局まとめる大五さん。
 ただし、ナチュラルにコウと亀夫の事はスルー。
 ここは道士不在で和の乱れるダイレンジャーを表現したかったのでしょうが、道士がうまくまとめていたというよりも、 教師不在で元からタチの悪かったチンピラ2名が険悪になっているだけ感が強い(^^; 道士の統率って、 ほぼ間違いなく恐怖政治だったろうし。
 ゴーマ本社では、カクが子龍に「邪魔をするなら、ダイレンジャーも叩きのめせ」と非情な命令を下す一方、 シャダムにダイレンジャー解散の証拠を見せるように迫られていた。「証拠を見せなければ再び地球を攻撃する!」 ってゴーマはいつの間にか台詞が惑星規模というか視点が宇宙レベルになっているのですが、 地球が駄目なら火星を攻撃するような人達だったのか。
 封鎖されたアジトを探っていた大五達は、隠し扉を開く事に成功するが、中はもぬけの殻……しかし何故か、 5台のバイクだけが残されていた。再び子龍が街に出現、手を出さずに様子を見るダイレンジャーだったが、 立ちふさがった機動隊が容赦なく蹴散らされた事に怒りを燃やし、気力転身。「なぜ参謀長の言葉を信じない。 貴様らそれでもあの方の部下か?」と、カクに忠誠心の篤い子龍と激突する事になる。
 一方、道士は待機命令を破って飛び出したコウと亀夫の前に現れ、天宝来来の珠を奪い取る……!
 前回の今回で、自宅待機を命じられ、天宝来来の珠とキバチェンジャーを奪われるコウの物語上の存在意義は、限りなく透明なブルー。
 展開としては面白いといえない事もないのですが、致命的な欠点は、
 そもそも道士と5人に、そんなに心の繋がりあったっけ?
 という点。
 いや、私の視点が歪んでいるのかもしれませんが。
 なにかこう、道士と5人の信頼関係が描かれた記憶がさっぱりありません。
 あとクジャクさんはどうもやっぱり、言葉巧みに道士に消されたっぽいので、大五さんは道士を後ろから刺しても許されると思います。

◆第46話「英雄(ヒーロー)まるはだか」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升)
 巨大化した子龍、気力アンテナによる攻撃で大連王を苦しめるも、容赦なく疾風怒濤されて戦死。
 「手を出すなと言ったのを忘れたのか!」
 と、子龍の死を怒るカクだが、とりあえず、決して巨大化してはいけないと教えておくべきだったと思います。
 後まあ、解散指令を出すなら真っ先にオーラーチェンジャーを回収するべきだったのですが、己の不手際は心の棚に次々と収納し、 逆ギレしまくる参謀長カク。
 「いったい、あんたは何者なんだ」
 「私は、ゴーマだ」
 6千年前の戦いに反対し、ゴーマ族からダイ族に鞍替えしたもの、それこそがカクだった! 気力アンテナをビルに突き刺したカクは、 一日時間をやるから、明日オーラチェンジャーと天宝来来の珠を返しに来い、と姿を消す。
 すっかりアジト代わりとなってしまった女子大生の部屋で、思い悩む5人+2。
 オーラチェンジャーを返して地球は平和になるのか? ゴーマは停戦の約束を守るのか?
 将児「それに……みんな道士の事、ほんっっとうに信用できんのかよッ」
 亮「俺は信用する。たとえゴーマでも……俺たちにとっちゃ、道士カクだ。道士カクの言う事だったら、俺は、なんでも聞く」

 いつの間にか、洗脳されている亮。

 将児「てめえはいつもお利口さんだったからな」
 ……え? いつ?
 ここに来て、過去が改変されて記憶が捏造されているような会話が延々と続きます(笑)
 それとも道士カク、TVに映らない所で5人に焼き肉おごったりして、物凄く慕われていたのでしょうか。
 どうしても事態を飲み込めない将児は道士は裏切り者だと吐き捨て、駄目オヤジの事を思い出す亮。そして翌日…… カクと対峙した5人は、それぞれ説明と和解を求める。
 大五「俺たちはみんなあんたと一緒にいたいんだ。それが出来るんなら、なんでもいう事をきく」

 道士激LOVEを通り越して、 なんだか全員精神的奴隷状態に成り下がっているのですが、いったい、 私の知らない所で何が起きているのでしょうか。
 もしかして:…………………………初期の神秘体験の時に、何か薬を飲まされていた。
 そういえば、第6話で天宝来来の珠を手に入れた時の台詞、
 亮「気力が足りねぇ……早く玉を!」「くぅぅ、気力が骨の髄まで染みるぜ!」
 が、なんか危ないドラッグみたいだと言及したのですが、もしかしたらダイレンジャーって、 定期的に一定以上の気力を供給されないと廃人になってしまうのか。
 ○「うへへへへぇ、道士ぃ、気力、気力を下さいよぉ。沢山戦ってゴーマをやっつけたじゃないですかぁ……うぼぉっ!」
 みたいな(おーぃ)
 というか、ダイレンジャー、というよりも、一定以上の気力或いは妖力を持ったダイ族/ゴーマ族は皆同様の依存体質で、 その為に敵も味方もあーぱー揃いなのかもしれない。
 謎は全て解けた!
 5人の言葉を無視し、「問答無用」で襲いかかるカク。やむなく転身する5人だったが、次々と返し技で倒されていく。 そこへ助けに飛んできた白虎真剣! 今回一番格好良かった!(笑)
 白虎神剣は撃墜されるも、その隙をついてスーパー気力バズーカを召喚するダイレンジャー。
 ……てあれ、既に天宝来来の珠を二つ失っているのに、どうやって撃つのかスーパー気力バズーカ。 以前にも不完全な状態で気力バズーカを撃った事はありましたが(^^;
 スーパーさすがに釈然としないバズーカをくらい、吹き飛ぶ道士カク。
 「許してくれ」
 「こんな事したくなかった」
 「勘弁してくれ」
 と、洗脳が解けてきたのか、殺意を否定しないダイレンジャー。
 だが、立ち上がったカクは、用意していた切り札を使う。
 「気力の塔よ、妖力の塔よ、私に力を与えよ」
 妖力アンテナと気力アンテナに集まった力がカクに注がれ、「気力妖力大合体」により、ど派手に吹き飛ぶ5人。 残りHP1で立ち上がった亮にとどめの一撃を叩き込むと、カクは気絶した5人からオーラチェンジャーと天宝来来の珠を奪い、 姿を消す……。
 一応、ダイレンジャーがカクを倒す事を期待していたらしく、観戦していた3事務員も撤退。ガラについてはもう、何も言うまい。
 遂に、変身手段を失った5人。カクの真意は? 地球を巡る戦いの行方は?!
 5人と道士のやり取りが、一方的な説明不足に始まり、突然の熱狂的な信仰の告白となり、 信頼感の表現を遙か後方に置き去りにして、

 どん引き

 するレベル。
 そこがもうちょっとましだったら、まだ何とか話に入れたかもしれませんが、将児と知は比較的まともな反応としても、 さすがに気持ち悪いぞ、皆。特にいい歳して何でも言う事を聞くとか言い出す亮と大五は、脳改造を疑うレベル。

◆第47話「すっげェ〜真実」◆ (監督:小笠原猛 脚本:荒川稔久)
 前回は、あらすじダイジェストだと面白そうだゾ(笑)
 カクにオーラチェンジャーを奪われ、半強制的に解散の運びとなったダイレンジャー。将児はボクシングのトレーニングに励み、 知は久々にハサミを手にし、リンは不味い餃子をコウに食べさせていた。
 なんか、知さんと亀夫は、どう見ても付き合っている。
 空疎な思いを抱えながらも、それぞれの日常に戻ろうとする3人だったが、突然、コウ母の形見の指輪が光り出し、亀夫が亀に戻り、 将児は3バカの幻を見る……と、それぞれ異変が起こる。
 そして、亮は山奥で上半身裸で奇声をあげていた。
 「なんなんだ! なんなんだよ道士カク! 俺は……俺はあんたを親父みてぇに信じて従ってきたのに!」
 そうだったのか。
 今明かされる、衝撃の「すっげェ〜真実」。
 まあ、実の父はどうしようもない駄目人間でしたし。
 しかしまあ、そんな心理背景があるなら、

 ちゃんと描いて。

 あと、「親父みたいに信じて」「従う」という動詞が=で繋がっている辺りに、 それとなく道士とダイレンジャーの関係性が窺えるのは、もはや脚本家の嫌がらせを考えたくなるレベル。
 思い惑い、苛立ちをまぎらす為に拳を振るう亮の元へ飛んでくる陣のコイン。突如、亮に襲いかかってきた陣は、 拳士たるもの私情を捨て、平常心で真実に辿り着け、と諭す。
 「カクが居たからお前が居たのではない。カクが居て、そしておまえも居た」
 それは神の気まぐれが見せた幻だったのか――かき消える陣、だがその言葉に、迷いを振り切る亮。
 「そうか……わかった、わかったぞ陣! カクが居ようと居まいと、俺の、いや!  俺たちダイレンジャーのやるべきことはたった一つ! ゴーマを倒すことだ!! うぁぁぁぁぁ、あぁぁぁッッ!」
 一方、妖力アンテナの前で瞑想する大五の元には、昇天したクジャクが姿を見せていた。
 「クジャク……」
 「大五」
 「心配はいらないよ。ダイレンジャーが解散しても、俺はうろたえたりはしない。この二本の塔で必ず、必ず何かが起こる。 それを待っているんだ」
 どこまでも、ひたすら格好いい大五さん。
 そこへやってくる将児、知、リン。何かが起きている……その異変を察知した3人はこのアンテナの元に集い、そして亮も姿を見せる。
 「たとえ道士が居なくても、俺たち5人は居るんだ。ダイレンジャーは、解散なんかしねえんだ!」
 だがそこへ、シャダムの指示で、妖力アンテナを破壊しに現れるザイドス。
 ゴーマでは、次の皇帝の座を賭け、カクとシャダムの決闘の時が迫っていた。カクはゴーマに戻り、その全権を得る事で、 戦いを終結に導こうとしていたのだ。
 「冥土の土産」にぺらぺら事の次第を喋ってくれるザイドスの話を聞いて5人が次々と「そんな事を考えていたなんて」 「水くさいぜ」「僕たちはなんてことを」とか言って、必死に勢いで誤魔化そうとしているのですが、 そもそも6千年前の裏切り者がしれっと本国に戻って権力握れるという展開は相当無茶で、カクがそんな計算をしていたとも夢にも思えず、 5人もザイドスも、いい感じに騙されています(笑)
 まー、道士がゴーマ内部の自分の派閥から情報を得ていたのは確かでしょうが、 それにしても成り行き考えると変に整合性つけて道士をフォローしようとした結果、余計にわけのわからない事に。 そして前回の今回でさくっと反省された結果、圧倒的に被害者なのは子龍少尉。しかもこの場合、 ダイレンジャーだけではなく、上司(カク)の言動/行動もタチ悪いので、二重に不幸。
 「今のまま試合に臨めば、シャダムの方が圧倒的に強い!」
 とか熱病にうかされて意味不明の譫言を言い始めるザイドス事務員ですが、カクがゴーマの全権を握る決闘に確実に勝つ為に用意したのが、 妖力と気力を自分の体に集める、二本のアンテナであった。
 えー……この前のシーンで、再登場した田豊将軍が「正々堂々と決闘に望め」とカクとシャダムに訓示するのですが 先にカクの方が卑怯な手段を講じているよ!! シャダムがザイドスにアンテナを壊すように指示を出して、 シャダム卑怯っぽく見せようとしているのですが、何もかもが一から十までおかしい(笑)
 道士カクの為に、このアンテナは何としても守らねば、と立ちはだかる5人。
 「黙れダイレンジャー! いや、もうおまえらはただの人間だったなぁ。揃いも揃って、死ににきたかぁ」
 確かに転身は出来ない。
 だがそれでも、ダイレンジャーは解散などしない!
 「行くぜみんなぁ!」
 次々と、名乗りポーズを決める5人。

「リュウレンジャー、天火星・亮!」
「シシレンジャー、天幻星・大五!」
「テンマレンジャー、天重星・将児!」
「キリンレンジャー、天時星・知!」
「ホウオウレンジャー、天風星・リン!」

「天に輝く、五つ星」

「「「「「五星戦隊・ダイレンジャー!」」」」」

 生身での名乗り、という格好いいシーン。惜しむらくは、予告からOPから、ガンガン使ってしまった所。このシーンは、 本編まで取っておいた方が効果的だったと思います。
 「バカめ! 転身も出来ずに揃い踏みかぁ。はっ、笑わせるな!」
 ザイドスは雑魚戦闘員を呼び出し、生身の5人と戦闘開始。
 そして――ゴーマ宮では決闘を間近に控えたカクが、唐突に5人との回想思い出タイム。
 本編にそんなシーンが存在しない為なんとなく記憶を捏造する道士。 どれもこれも、散歩中にすれ違った思い出というのが凄い。
 「もし不幸にして私が敗れても、私はいつもおまえたちの中に生きている。頼んだぞ」

 挙げ句、勝手に心の中に生存された!!

 思い出まで領空侵犯するトカ、恐るべし気力洗脳!!
 対するシャダムも、気合いと共に変な鎧姿にバージョンアップ。
 ゴーマの偉い人達は、本気出すと格好悪くなる仕様なのか(笑)
 えー、筋の骨子だけ取り出すと、盛り上がっても良さそうな展開なのに、物語的な積み重ねが致命的に足りない為、 どうにも歯車が噛み合いません。1年物のシリーズで伏線が完全に機能して収まるのはどだい難しいと考えておりますし、 設定の変更や微修正などあるものだとは思っていますが、変更された事柄を描写しないまま、突然イベントが発生して 「こういう事だから!」というのが多すぎます。
 特にシャダムは、初期は明らかに小物っぽく描いていたのに、途中で何のフォローも入れないまま終盤で急に実力者扱いしてしまった為、 ひたすら意味不明な人物に。
 もういっそ、
 事務長「ふふぅ、ふふはははははは、今までの俺は、敵であるダイレンジャーを欺く為の仮の姿よ。敵の力を知り、己の力を知る、 それが拳法の奥義だ。ガラ、ザイドスよ、ゴーマ一族・シャダム中佐の力、 まだまだ衰えてはおらん、見よ。はいやっ!」(@鬼忍・毒斎様)
 とかの方がまだ説得力ががが(笑)

◆第48話「壮絶!!道士死す」◆ (監督:小笠原猛 脚本:荒川稔久)
 またサブタイトルで殺されてしまった……(^^; いやここはお約束でいいのですけど、このお約束を活かす為には、 ここまでで使ってはいけないと思うわけですが。
 再登場も束の間、ゴーマ15世に関する見てはいけないものを見てしまい、シャダムに斬られて田豊将軍、退場。
 そして遂に、ゴーマ16世の座を賭けた、カクとシャダムの決闘が始まる。
 前回、
 「今のまま試合に臨めば、シャダムの方が圧倒的に強い!」
 とエールを送られた事務長ですが、蓋を開けたら大方の予想通り、道士に微塵切りに。ザイドスの頭の中はいったいどうなっているのか。 何も詰まっていない説もありますが。
 カクは鮮やかにシャダムの剣を奪うと敢えてそれを捨て、素手ごろでめっためったにしてやろうとした所を、飛び道具で反撃を受ける。 これにイラッと来たのか、カクは切り札「気力妖力大合体」を発動し、ど派手に吹っ飛ぶシャダム。
 だが、生身のダイレンジャーの奮闘も空しく、ザイドスの攻撃が遂に妖力アンテナを破壊してしまう。妖力の発動に失敗した隙を突かれ、 シャダムの反撃を受けるカク。そして5人もまた、ザイドスに追い詰められていた。その時――陣のメダル、クジャクの羽、 3バカの寄せ書き、ミドリガメ、コウ母の指輪――各自の大切なアイテムが光り輝き、空に浮かび上がる関係各位の映像。
 「みんなぁ、立てぇ! あいつらが言ってるぜ……なにやってんだって、頑張りやがれって、俺たちは、負けちゃいけねぇんだぁ!」
 各自の思い出アイテムと気力がバーストし、ゴーマ本社ビルに飛んでいくと、 それに導かれてオーラチェンジャーと天宝来来の珠が5人の元へと飛んでくる!
 …………盛り上がっていい筈のところなのですが、とにかく各自の声援キャラの落差が激しすぎ(^^;
 大五さんは文句なくテンション上がっていいと思うのです。
 将児も男の友情でまあ良し。
 亮もこの際、ヒロインなので仕方ない。
 しかし……亀。
 亀はどうなのか。
 二人は本当に付き合っているのか。
 他にもう、考えられない(おぃ)
 そしてコウ母。
 コウがコウ母ならわかります。
 しかしリンが、コウ母。
 そもそも劇中で、何秒会話をしたのか。
 リンは最終的に“とてもお人好し”と言うしかない性格になったのでコウ母に対して勝手に責任を感じていそうではありますが、 それにしても酷い。
 知さんはどれだけ扱い悪いのか。
 リンはどれだけ不幸なのか。
 結局ここでも、物語の積み重ね不足が露骨に出て、なんとも歯車の噛み合わない形に。 長期でじっくりロマンスやってしまった大五さんと、他のメンバーの落差、という問題でもあるのですが。
 「みんなぁ、転身だァッッ!!」
 「そんなバカなぁ!」
 ついでにキバチェンジャーが帰ってきたらしいコウも駆けつけてキバレンジャーに転身し、追い詰められたザイドスは自ら巨大化。 大連王、ウォンタイガーとぶつかり合う。
 クライマックスに来て、生身vs巨大ロボ、という絵は面白い。
 ザイドスを止めようとするダイレンジャーであったが、決闘の場をこっそりと離れていたガラが、気力アンテナを破壊してしまう。 気力のブーストも断たれ、シャダムの猛攻の前に倒れるカク。
 最後の力を振り絞って立ち上がったカクを、無慈悲に貫くシャダムの刃――!
 道士、完全に策に溺れる。
 どう考えても「気力妖力大合体」とか余計な手段を弄さないで、正面からぎたぎたにすれば良かったと思うのですが、 それともアンテナが立っているだけで、基本能力値を引き上げていたのでしょうか? 作り手も完全に、 劇中パワーバランスがよくわからなくなっている感じ。
 巨大ザイドスは、秘術を披露し、変な頭に変身(帽子脱いだ?)。
 「頭に火山が!」
 「ザイドス怒りの大噴火だぁ!」
 どうやら、脳みその代わりにマグマが詰まっていた模様です……。
 というか、「頭山」?(※落語の演目)
 大噴火でダイレンジャーを驚かせるザイドスであったが、亀夫がダイムゲンに変身、七星合体でさくっと潰される。 今回もしぶとく生き延びるザイドスであったが、突如、その手足が土くれとなって崩れ始めると、まるで土人形のような姿になって、 崩れ去ってしまうのであった。物陰からその光景を見ていたガラは、恐怖の表情で逃走。ダイレンジャーはアジトに残されていたバイクを、 ゴーマコロシアムへと走らせる!
 放棄されたアジトにわざとらしく残されていたバイク、再変身に関係でもするのかと思ったら全くそんな事は無かったのですが、 ここで使われるだけ……?(^^;
 だが、コロシアムに駆けつけた5人が目にしたのは、うち捨てられた瀕死の道士カクの姿であった。道士は5人に後事を託すと、
 「おまえたちの手か…………」
 5人の手の温もりを感じながら、息絶える。
 次回、『社長 シャダム耕作』最終話「てっぺん」。
 出世の階段を登り詰めた男が、ダイレンジャーとの最終決戦に挑む!

◆第49話「最終決戦だァッ」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
 ゴーマ宮へと突撃するダイレンジャー。そこでは遂にゴーマの頂点に立ったシャダムが、 「私シャダムが王位継承者として選ばれたからには、必ず地球を侵略してみせます」と所信表明演説を行っていた。
 ううーん、やる気のない偉い人(ゴーマ15世)の下で、日本侵略作戦という閑職に飛ばされた事務長が、策謀を重ねて本社に返り咲き、 遂にてっぺんに登り詰める! という展開だったらそれはそれで面白かった気はするのですが。
 後付けで都合のいい設定が転がり込みすぎで、事務長サクセスストーリーとしても、盛り上がれない。
 リュウ、テンマ、キリンはシャダムの召喚した近衛兵と戦い、ガラを追うシシとホウオウ。
 なし崩しでスルーされるかと思われたガラの件は、拾われてよかった。まあ実際、急に改心するのもあれですしね。
 苦戦する二人だったが、気力で反撃。とどめを刺そうとした時に、クジャクが姿を見せる。そしてその横に共に現れたのはなんと、 「輝けるガラ!」。ガラは6000年前の戦いで死亡し、その魂は既に天界に昇天していた。そう、 ダイレンジャーを苦しめ続けてきたガラもまた、ザイドスと同じく、シャダムによって作られた泥人形に過ぎなかったのである。 天界のガラによって泥のガラは崩れ去り、クジャクは「大五をずっと見守っている」と言い残し、ガラと共に天界へと帰る。
 そして、社長室に逃げ込んだシャダムは、ゴーマ皇帝の権威の証・大地動転の珠を手に入れようとしていた。
 「ゴーマ15世、もとの土に還れ!」
 土塊となっていく、ゴーマ15世。
 6000年前――ダイ族とゴーマ族がともに滅んだ戦いの際にゴーマ15世は死亡していた。 その戦いを生き残ったシャダムは元老院の目を誤魔化す為に、ゴーマ15世を泥人形として再生させ、影からゴーマを操っていたのだ!
 操っていたのだ!
 操っていたのだってば!
 操っていたのだったらいたのだい!(駄々)
 もう、そういう事にしておきましょう。
 社長室へ飛び込んだリュウ、テンマ、キリンの前で、大地動転の珠を手に入れたシャダムはゴーマ16世(白塗り)にクラスチェンジ。 スーパーレアなマジックアイテムでブーストされ、高笑いするシャダムは3人を蹴散らす。だが――
 大神龍、降・臨
 気力と妖力のぶつかり合いに反応した大神龍がまたも地球へ飛来。ゴーマ宮を攻撃し、全てをその崩壊に飲み込んでいく……。

◆第50話「行くぞォォッ」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
 大神龍の攻撃により、崩れゆくゴーマ宮。大五、リン、コウもゴーマ宮へと突撃し、遂にシャダムとダイレンジャーは最終決戦の時を迎える。 大地動転の珠の威力に苦戦するダイレンジャーだったが、天宝来来の珠で対抗。大自然の気力がシャダムを打ち、 大きなダメージを与える事に成功する。そこへ突然浮かび上がった道士カクのイメージ映像が、ダイレンジャーに退却を命令。
 妖力は闇にして悪、気力は光にして善、しかし光あるとこに闇あり、善あるところに悪あり。
 「気力と妖力もまた表裏一体。元は一つなのだ。一つの力を二つに分け、お互いが争いながら永遠に生きていく。これすなわち、 人間の宿命なのだ」
 「待ってくれ道士、言ってることがわからねぇっ!」

 仕様です

 「勝負は永遠につかない。去れ、去るんだ!」
 全ては繰り返される虚しき戦いなのだと告げ、消える道士。
 最後の最後まで、上から目線で色々引っかき回す、安定のタチの悪さです。
 (まあ、死んだ事で自然の摂理と一体化し、戦いの裏の真理に気付いたとか、そういう解釈でもいいですが)
 遂にゴーマ宮は地上に墜落し、崩壊する建物の中、どこかへ飛んで言ってしまう全ての珠。亮はひとり、逃げ出したシャダムを追い、 二人はゴーマ宮の奥で生身で取っ組み合う。事務長がナイフを持ちだし、完全にちんぴらの喧嘩に。 もみ合いの末にナイフがシャダムの腹に突き刺さり、崩れ落ちるシャダム。その体もまた、土塊となって崩れ落ちる。
 操り人形を作り出し、影からゴーマに君臨していたと思い込んでいたシャダムすら、泥人形だったのだ!
 ゴーマ宮を更地にした大神龍は、満足して帰宅。録画した朝の連続TV小説、見ないと! シャダムを倒した亮も生還し、 戦いは幕を閉じる。シャダムすら泥人形だった、という一つの謎を残して……。
 その事もあり、しばらくは警戒していたダイレンジャーだが、遂に自主的に解散する事に。やたらしんみり別れるのですが、 いやあなた方、普通に同年代の東京都民(?)ですし、友達、続けるといいと思います(笑)
 それぞれの道へ歩き出した仲間を見送った亮はふと、道士の姿を見る――が、それは、幻であった……。
 そして、50年後。
 今日はダイレンジャーの同窓会。
 コウはどうやらビジネスの世界で成功したようですが、同窓会には呼ばれない。
 かつてのアジトに揃う老けメイクのメンバーだが、そこへ老人亮が駆け込んでくる。
 「ゴーマが……ゴーマが現れおった!」
 街で暴れる巨大ゴーマ怪人(紐2代目?)。
 だが、そこへ駆けてくる、5人の若者達。
 「待っていたぜ……ゴーマ」
 それは、密かに修行を積んでいた、亮達の孫5人。
 彼等は気力転身し、ここに新生ダイレンジャー誕生。
 その姿を見ながら亮は、50年前の道士の言葉を思い出す。
 ――全ては繰り返される永遠の戦いなのだ――。
 で、各員見せ場をバックにスタッフロールを流し、今生も圧倒的だった大連王がゴーマ怪人をずんばらりんした所で、幕。
 ……うんまあなんか、面倒くさいので突っ込んだ解釈とかはしたくないかなぁ(笑)
 後半は、はっきり言って残念な出来でしたし。
 意欲やチャレンジ精神があれば良いのか、というとそんなわけはない、という見本のような。
 軸がしっかりしていれば遊びも活きるけど、軸が崩壊していると悪い遊びにしかなりません。
 時代背景として何とかマンネリ打破をしたかったとか、色々な事情もあったのでしょうし、アンチ・ヒーロー物として、 一つの考察対象にはなるでしょうが。作品の完成度がここまで低いと、何を言っても言い訳です。
 ラスト2話で面白かったのは、本編の実質リーダーだった大五さんが、妙にフォローされた事。クジャクも再登場したし、 最後の新生ダイレンジャーでも、孫がセンターだったし。東條監督の中で、大五が一番、ヒーロー属性が高かったのか。
 大五さんは、最後まで好きでした。
 戦隊史上屈指の格好良さと思われる名乗りから始まり、アクション面では充実。
 音楽も良かったです。
 全ての長所をかき消す勢いで、ストーリーが大崩壊しましたが。
 50年後の世界が終始コミカルで、戦いは永遠に続く虚しいものかもしれないが、地球の平和を守る為に、 と陽性で明るく締めるのがせめてもの救いか。

→〔総括へ続く〕

(2013年7月20日)
(2019年11月24日 改訂)
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