■『五星戦隊ダイレンジャー』感想まとめ4■


“気力転身! 迫力満点!
俺たち無敵さ ダイレンジャー”

 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『五星戦隊ダイレンジャー』 感想の、まとめ4(25〜32話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔総括〕

                

◆第25話「ぞろぞろ裏戦隊」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進)
 見所は、餃子職人のビューティマッスル。
 さすがの肉体。
 ホテルのプールで遊んでいた亮、大五、将児、リンの4人は、女性カメラマンに声をかけられ、おだてられて写真を撮られるが、 彼女の正体はゴーマ怪人・コピー女帝であった。外に居た知も同様におだてられて写真を撮られるが、コピー女帝の能力は、 コピー光線を浴びせた者の偽物を作り出す事。知は出現したコピー知に殴られて囚われの身となり、 女帝はコピー知により道士カクを暗殺しようとする。
 「今日は道士カクの誕生日」と適当な嘘で偽って、コピー知はうまく4人を誘導して道士の元へと向かうと、 「勘違いのお詫びに麒麟拳をお見せしましょう」と麒麟剣の演舞の最中に斬りかかるが、道士の腕を傷つけただけに終わり、逃走。
 ……暗殺、と意気込んだ割には軽く切りつけたようにしか見えず、根性足りません。道士に隙が無かっただけかもしれませんが、 いっそ花束に爆弾仕込むぐらいの芸は見せてほしかった所。
 知を追いかけた男衆、適当に言い訳をするコピー知に不審をいだいた亮は、物凄く唐突に、 走り去って行く知にカブトムシ型の発信器を投げつける。そこに追いついてきた道士の「おそらく偽物だ」という言葉に、 リンを加えてコピー知を追う4人だが、その前に立ちはだかるコピー女帝。プールサイドで撮った写真を元に誕生する、4人のコピー。
 女帝が妙に細かく自分の能力と今回の作戦について語り出すのはどうにも変(高久脚本だから仕方ない)なのですが、 資材置き場に水着姿で並ぶ4人、という絵は面白い(笑)
 転身したダイレンジャーに対して、コピー達も気力転身。更に女帝が変身後のダイレンジャーをコピーした事で、
 12人ダイレンジャー大乱戦
 コピーとの2対1の戦いを強いられ、大ピンチに陥る4人。
 一方、カクの暗殺に失敗したコピー知は、「本物の知を始末して、完全にすり替わってやる」と、捕らえた知の命を狙っていた。
 ……そもそも、どうして捕まえた知をさっさと殺していないか一切理由がないのですが、さすが高久進、 悪い意味でこの鉄板の揺るぎなさ。
 牢屋を上手く抜けだした知と、コピー知のバトル。そこへ駆けつけた道士、左手を怪我しているにも関わらず、コピー知を瞬殺。
 …………いやそこ、知さんの見せ場じゃないんですか?(^^;
 4人のピンチに救援に向かおうとする知だったが、なぜか、ダイレンジャーを放置して、 知の様子を見に来たコピー女帝とばったり会ってしまう(高久脚本だから仕方ない)。
 コピーが始末しにいった筈では……と驚く女帝に向けて
 「コピー女帝、偽物は道士カクが片付けた!」
 て知さん、それ、格好良く言う台詞ではないと思います(笑)
 転身したキリンレンジャーと、新たに作り出されたコピーダイレンジャーが激突。倒れるキリンレンジャーだったが、 トドメを刺そうと剣を振り上げる女帝の隙をついて反撃すると、麒麟拳ロッドアローで女帝のコピー機部分を撃破。
 知さんの特技はもはや死んだふりという事で決定なのか。
 これによりコピー達が消滅した事により駆けつけた4人とキリンレンジャーが合流し、ここで5人が揃い踏み。どんなにぐだぐだでも、 名乗り上げは格好いい。揃ったダイレンジャー、キリンレンジャーの爆弾パンチから、気力ボンバーでコピー女帝を撃破。 巨大化した女帝は、なんと、龍星王をコピーする。
 コピー龍星王は、蹴り2発&棍2発で、

 快挙・大連王をよろめかせる!!

 しかし健闘もそこまで、疾風怒濤で女帝とまとめてずんばらりん。
 かくてコピー騒動は決着、ダイレンジャーはもう一度、プールを楽しむのであった。
 物語とは全く関係ないのですが、リンの飛び込みは下手すぎて気になるレベル(笑)
 コピー戦隊というネタで、アクションの見せ場と絵の面白さは良かったのですが、
 極めて唐突に出てくる謎の発信器
 知を生かしておく理由があるのかと思ったら全くなく、Bパートで思い出したように始末しようとする
 と、高久脚本全開。
 発信器はグホンが造ったとかそういう事なのでしょうが、これまで今作でそういったサポートメカ類が出てきた事は一切なく、 百歩譲ってそれを許すにしても、せめてもうちょっと中華テイストにこだわってほしかった所。
 まあ後はもう、90年代の高久脚本だから仕方ない。
 何もかも仕方ない。
 割と最初から諦めている分、ダメージは薄い。
 次回、
 おおぉ、広瀬さん、来たーーーーー!!
 とりあえず、個人的に凄く盛り上がれそう。

◆第26話「嫌な嫌な嫌な奴」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:井上敏樹)
 予告に続き、OPでもぼこぼこにされる亮(笑)
 光流館空手の道場で、館長に襲いかかる掃除のおじさん。その正体は、謎の道場破り、的場陣(広瀬匠)!
 のっけから、体型まで変化する驚異の変装術を披露する陣ですが、ここは単純に、 やたら流麗なアクションとポーズを決める掃除のおじさんが格好いい。
 雇われ道場破りかと思われた陣だが、その目的はあくまで金ではなく、己の拳法の力を試す事。
 続けて、白バイ隊員のコスプレで剣道師範・郷田祐介を襲撃した陣は、素手で車のドアを突き破り、弟子の一人を刺殺。 郷田を血祭りにあげようとするが、そこに通りがかった出前途中の亮が飛び蹴りで割って入る。
 「失礼ですが、お名前は?」
 「それはこっちの台詞でしょうが。なにもんだおまえ。何の真似だ!」
 「高くつきますよ。私の邪魔をすると」
 拳を打ちあわせる二人。
 格好いい、ごりごりの生身アクション。
 「教えてあげましょうか。ヒョウガ流ジャシン拳の一端を」
 更なる技の構えを見せる陣だったが、その時、郷田の乗った車が二人を轢き殺さんばかりの勢いで走り去り、勝負は水入り。 陣は姿を消し、亮はこの恐るべき使い手との遭遇をアジトで報告する。
 確かにかわした筈なのに、肌を切り裂く陣の攻撃……それは、凄まじいスピードで繰り出される拳の生み出す、拳風であった。
 「野郎……! 今度会ったら、必ずぶっ潰してやる!」
 「止めておけ……負けたくなければな」
 「負ける……? 俺が負けるっていうんですか!」
 亮の話を聞いた道士は、陣が闇空手の達人であり、天性の素質と気力の持ち主ではあるが本格的に拳の修行をしたわけではない 今の亮の勝てる相手ではない、と判断する。
 ……まあ道士の事なので、陣の事は運命の戦士スカウト名簿でチェックしていた可能性もありますが。
 そしてここで亮が、勢いと血統だけで戦っていた事が判明(笑) そういえば、2話で将児に特訓をつけた以降、 道士はそれらしい事は一切していませんでした。2話の頃はてっきり、ダイレンジャー負ける→道士が特訓を付ける、 パターンで進むのかと思っていたのですが。
 道士むしろ、負けた後に出てきて「おまえらゴーマ舐めてんの? ダイレンジャー舐めてんの? 地球守れんの?」 と言うだけ言って何もしない、というもっとタチの悪い人だったし。
 こうなるとホント、素で「麒麟拳」使ってしまう知さんの経歴が、ますます謎(笑) 美容師になる前は、 血で血を洗う世界とかに生きていたのでしょうか。大五さんも「獅子拳」と言うけれど変身後にしか使わないので、 実は生身の単純戦闘(気力なし)だと、知さんが一番強かったりするのかもしれないダイレンジャー。
 「亮、一人の拳士として戦ったなら、お前に勝ち目は無い」
 「負ける……俺が……俺が……!」
 道士の言葉に、固く拳を握りしめる亮。
 しかしどうにも亮は、負けず嫌いというより、チンピラ思考にしか見えません(笑)
 将児よりもむしろ、亮の方がチンピラ度高い。
 陣との戦闘、道士の言葉を受け、野原で黄昏れる亮。そんな亮を励ます4人。
 リンがお守りを渡したり、急に亮に優しいのですが、あれか、前回の筋肉か。
 それを「ひゅーひゅーですか?」と囃し立てる将児の姿は、涙なしには見られません。
 ……まあなんだ、たぶん、将児に、モテの番は、来ないと思う。
 気持ちを切り返る亮だったが、そこへゴーマ怪人が襲撃してくる。
 なんか凄いの出てきた(笑)
 言うなれば、ゆるキャラっぽい、たるんだ体型のゴーマ怪人、壺道人。間抜けな見た目とは裏腹に、打撃無効体質の壺道人は、 ダイレンジャーのあらゆる攻撃を跳ね返し、窮地に追い詰める。それをニヤニヤと遠くから見学する3事務員。
 「壺道人の手にかかればダイレンジャーも赤子同然だ。奴の体はあらゆる衝撃を吸収する」
 「なるほど、拳法が通じなければ、ダイレンジャーに勝ち目は無い、というわけね」
 「ふん! そう、うまくいくかな……」
 「何がいいたいザイドスっ」
 怪人が有利な時にしか出てこないので有名な3事務員ですが、ザイドスがシャダムに悪態をつくなど、仲良し左遷3人組の人間関係にも、 微妙な変化? まあ、ザイドスさん前々回、3バカに「野球で勝負しろ」とか指示を出していたそうなので、 ストレスで色々と駄目になってきた可能性も多分にありますが。
 なお事務長は阿古丸リタイア?後の初の登場だったのですが、その辺りへの言及は一切なし。
 その頃、墓参りをしていた陣は、旧知の看護師・亜紀と出会っていた。
 「覚えていてくれたのね……父の命日」
 無言で立ち去ろうとする陣を引き留める亜紀。彼女の手にあったのは、先日の陣による襲撃事件の新聞記事。
 「もう止めて! 父もきっとあなたに拳法を教えた事を後悔しているわ。父の拳法を汚さないで!」
 「先生が後悔するだって……バカな。おまえに何がわかる。俺はヒョウガ流の力を試したいだけだ」
 「あなた……やっぱりまだ恨んでいるのね、父の事を」
 そこから回想シーンで、陣と師匠(亜紀の父)の組み手シーン。なぜ断崖絶壁で……と思ったら、吹っ飛ばされて海に落ちそうになる陣。 師匠、手を伸ばして崖っぷちで陣を捕まえるが
 「陣……放せ! このままでは二人とも落ちてしまう」
 必死に師匠の手を掴む陣だが、やおら短刀を取り出した師匠、陣の左手をぐさり。
 あ、新しい、新しいよ師匠!
 あれは事故では無く師匠の意図的な行為だった……てまあ、組み手中に空手着の懐に短刀を隠している時点で、 計画犯罪の匂いしかしないわけですが! 一度掴んで引っ張り上げると見せかけて、ぐさりする所が、凄いです師匠。
 黒い手袋をはめっぱなしの陣の左手のいわくに加え、演出上は陣が海に落ちたように見えるようにしていますが、 その後の陣の台詞を鑑みるに、そこから反撃に出た陣が師匠を殺害してしまい、それこそがヒョウガ流の奥義の伝授であった…… という可能性もありそう。
 真の拳士は非情にして独りで立つもの……立ち去ろうとする陣の背中に、すがりつく亜紀。
 「俺にかまうな……死ぬぞ」
 と、漂うロマンスの香り。亜紀さんはこの手の番組のゲストキャラにしては可愛くて、ポイント高い。
 一方、なんとか壺道人の襲撃から逃れたダイレンジャーだったが、これまでの拳法が通用しない事を思い知らされていた。 そしてシャダムに反抗的な態度を見せたザイドスは、死にきれぬ魂が集う魔物の森へと足を運んでいた。
 「俺に力を貸せ、魔物達よ! 最強の魔拳士を生みだすためにぃ!」
 黒水晶で魔物のエネルギーを集めるザイドス……果たして、その狙いは?!
 その頃、仕留め損ねた郷田の屋敷に乗り込んだ陣は、郷田の振るう日本刀を叩き折り、郷田をくびり殺す。そこへ飛び蹴りで乱入する亮。
 「必ずまた狙いに来ると思ってたぜぇ!」
 陣の強さ見せシーンなので仕方ない側面はあるのですが、郷田が死ぬ前に間に合わない辺り、本当に主人公補正の薄いレッドです(^^;
 「あなたですか。いや、是非もう一度お会いしたいと思っていました」
 「それほどの技を持ちながら、やっぱり貴様はただの殺し屋か」
 「拳法とは人を殺めるための技。私は正しく拳法を使っているだけです」
 「違う! 人を活かすのが、本当の拳法だ!」
 「それでは教えていただけますか、あなたの言う活人拳を」
 「その慇懃無礼な面の皮、俺がひっぺがしてやる!」
 「よろしく。お願いいたします」
 今ここに、激突する活人拳と殺人拳!
 今回改めて強調されたように、そもそもが亮は“拳士”というわけでなく、思想的な信念というのも特にこれまで描かれず (亮は、“目の前の悪に対する正義感”はあるが、それを支える信念というほどのものは持っていない)、 特に拳法へのこだわりという背景に関しては無いも同然なので、唐突といえば唐突なのですが、ようやくライバル登場で、 レッドらしくなってはきました。
 むしろ物語半分でようやく、亮の立ち位置が見つかる、という展開なのか。
 まあ、物語全体の流れはともかく、正直、このマッチアップだけで盛り上がってしまいます(笑)
 その辺りは、引っ張った分、亮が拳士として立つに足りうる相手を持ってきたキャスティングの勝利か。
 ところで、丁寧な口調が気に入らない、というのは、やっぱりちんぴら。
 亮と陣の戦いが始まった同じ頃、壺道人を打ち破る為に修行中だった4人の前に、その壺道人が姿を見せる。亮vs陣、4人vs壺道人、 と戦闘が交互に展開。
 亮の(誰が……負けるかぁ……!)の後にオーラチェンジャーのアップシーンに繋いだのは、うまいトリック映像(笑)
 一瞬、手段を選ばずに亮が気力転身しちゃうのかと思ったら、vs壺同人の方の4人でした。
 今回、脚本に井上敏樹、敵役に広瀬匠、という、師匠筋である長石多可男に縁のあるメンバーの参加という事でか、 渡辺勝也監督がかなり意識的に繰り返しフレーム手前に花を映し込むなど、師匠オマージュっぽい演出を行っているのですが、 亮の攻撃をかわし、その、そよぐ野の花の上に立つ陣! とここでアクション演出に絡めてみせたのは絶妙。
 陣の俊敏な動きに苦戦する亮、手から風を放つ。
 「気力!」

 審議ランプ

 どうかなー、それはどうかなー、拳士としてのフェアな勝負にアリかなー。
 亮の起こした気力の風に吹き飛ばされ、木に叩きつけられた陣は、本気モード発動。
 「貴様ぁ! 俺の拳を、貴様の血で洗ってやる! ヒョウガ流奥義、ジャシン・疾風拳」
 陣の繰り出す凄まじい拳の連打・乱打・猛打を浴びる亮。
 同刻、4人の仲間達も壺道人に手も足も出ず、「壺拳・闇封じ」により、リンが壺道人の中に吸い込まれてしまう。
 そして、陣のとどめの一撃を受け、亮、凄い勢いで血を吹いて倒れてピクピク痙攣。
 白い花にかかる亮の鮮血、という演出も効きました。動かなくなった亮を置いて陣は立ち去っていき、倒れた亮の右手アップでエンド、 という強烈な敗北編。
 基本的には敗北→パワーアップ展開なのでしょうが、少なくとも約一名、悪の組織と全く関係ない所で完敗する というのは、相当珍しいよーな。ダイレンジャーとしても、ゴーマ怪人に完敗はしているのですが。 戦隊を破るのがゆるキャラというのもまあ、珍しい気はする(笑)
 次回どうやら地獄の特訓編で、亮は蘇る事が出来るのかッ!
 果たして主役に返り咲く事は出来るのかッ?!
 陣容的に力も籠もったと思われますが、渡辺勝也が、非常に気合いの入った好演出。
 広瀬匠の登場も嬉しいですが、どうやらようやく亮の腰が据わってきそうなので、展開の転がり方も楽しみ。
 それにしても、メインにならない時のコウ(キバレンジャー)の存在感の消失ぶりが凄すぎるのですが、 こういう使い方なら、どうして同居などさせたのでしょうか(^^; あれだけ無理矢理に同居させたので、 てっきりレギュラーで使うのかと思ったのですが、これだけ居ない扱いなら、同居する必要性が全く無かったし、 同居しているのに全く話に絡んでこないのが無駄に不自然。
 ……まあ正直、コウが絡むと何かと無理が出るので、存在が消失していた方がシナリオはスッキリするのですが。
◆第27話「最終拳だだだッ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:井上敏樹)
 壺道人に完膚なきまでに敗れ、リンを囚われてしまったダイレンジャー。道人を倒すために必要なのは、 「ヤツには見えない拳」……すなわち、超スピードの拳。
 「そのために亮、おまえの体に試練を与える」
 道士カクは壺道人を破る拳法を伝授すべく、亮を指名する。
 一方、殺人拳を極めんとする的場陣は、大林寺拳法最後の牙城、陳老師を襲撃、抹殺。
 車椅子から飛び上がり、きりもみ回転する老人の図は非常に面白かったのですが、病み上がりの老人に奇襲を仕掛けて 「敗れたり」とか言われても、それはどうなのか、的場陣(笑) まあ前回から一貫してターゲットには奇襲を仕掛けているので、 「勝てば手段は問わない」主義のようですが、陣。
 その光景を目撃した亜紀は陣に、これ以上罪を重ねずに昔のあなたに戻ってほしい、と懇願する。
 “昔のあなた”は…………彼女の名前を叫びながら海岸を走ってしまうような人でした。
 というか陣、師匠に殺されそうになったの、
 お父さんの前で娘とイチャイチャしていたからじゃ……。
 超スピードの拳を得るために修行する亮達だったが、再び壺道人の襲撃を受け、今度はテンマレンジャーが吸い込まれてしまう。 からくも逃げ出す3人だが、それを楽しそうに見ているシャダムとガラ。
 反抗的な態度を見せたザイドスは……ひとり一生懸命、森でお祈りをしていた。
 「どこかに居る筈だ、妖魔のエネルギーに耐えられる男が。魔拳士になるにふさわしい男がぁ!」
 失った左腕、鋼鉄の義手を目にしながら物思いにふける陣……拳法家養成ギブスを装着しながら修行に励む亮。 くじけかける亮だったが、仲間の為に必死に耐える。
 「耐えるのだ亮……その苦しみに耐え抜いた時、おまえは新しく生まれ変わる」
 物陰から見守る道士は、星明子ポジション。
 ギブスは道士カク(タチ悪い)が作ったのか、老道士グホン(タチ悪い)が作ったのか、少々気になります。
 そして――みたび、陣と対峙する亮。
 陣を破らずして超スピードの拳の完成はない……陣もまた、しつこく食い下がる亮を始末するべく、その拳に殺気を篭める。
 「ヒョウガ流奥義・ジャシン疾風拳!」
 再び迫る必殺の拳。だが、亮はそれを受け止めてみせる。弾ける筋肉、吹き飛ぶギブス、 解放されるビューティマッスル。

 上腕二頭筋に、ストレッチパワーが、溜まってきただろう!

 「俺のスピードについてくるとは」
 「ふんっ、見切ったぞ、貴様の拳法」
 互角の戦いを見せる亮と陣。その時、陣を追っていた亜紀の声が二人の間に飛び込んでくる。
 「やめて! 陣! お願いやめて!」
 「亜紀……っ」
 「隙あり!」
 亮は陣が亜紀に気を取られた一瞬の隙を見逃さずに容赦なく飛び蹴りを仕掛け、体制を崩した所に渾身の正拳を炸裂させる。 盛大に血を吹きながら海へと落ちる陣。
 勝負としては間違っていない……気はするのですが、人間としてはどうなのだろう(笑)
 凄い勢いで修行が端折られてしまいましたが、尺を考えるとここは仕方ないところか。せめて、修行の仕上げに陣を超えようと呼び出す、 みたいな所は欲しかったところです。それがあれば流れも自然になったのですが、Bパート入ったら突然、海岸で待ち受けて決闘開始 、になってしまったのは残念。
 陣を撃破した亮は、壺道人の襲撃を受ける大五と知の元に駆けつけるが、その目の前で二人は壺の中に吸い込まれてしまう。
 「許せん…俺の拳、受けてみろぉッッッ!」
 「おまえのへなちょこ拳法など、儂には通じん!」
 亮に炸裂する壺ビーム。
 その爆炎が晴れた時、そこに立つのはリュウレンジャー!
 ここで入る主題歌(歌詞入り)。
 亮、かつてない格好良さ。
 そしていきなり目潰しなのか、俺の拳。
 修行と陣との対決を経た結果、殺人拳に寄ってませんか、亮?!
 間髪入れず、目を潰されて苦しむ壺道人に叩き込まれる、天火星秘技・流星閃光 !!
 一呼吸の間に数百発の突きをただ一点に打ち込む必殺技の衝撃を吸収しきれず、遂に倒れる壺道人。仲間達は解放され、 壺道人は巨大化。
 その頃……なんとか砂浜に泳ぎ着いた陣は、そこでザイドスと出会っていた。
 「馬鹿な……この俺が、この俺が負けるなんて」
 「おまえの拳が敗れたのではない。おまえの心の甘さが一瞬の隙を生んだのだ。おまえは非情になりきれてない! 心を捨てろ!  そして魔拳士となるのだ」
 そこへ、陣を探してやってくる亜紀。ザイドスはにやりと笑って姿を隠し、亜紀は陣へと駆け寄り抱きしめる。
 「もう戦わないで陣……お願い……帰ってきて……私の所に」
 亜紀を抱きしめ返す陣……だが。
 抱擁は一瞬。
 陣の拳が、亜紀の腹に突き刺さる。
 この間、駆け寄ってくる所からずっと、陣が亜紀を見ていない、というのは良い演出(演技)。
 「それでいい……その非情さが、魔拳士の資格。受け取れいぃ、妖魔のエネルギーを! 今こそ最強の魔拳士の誕生だぁッ!」
 テンション高いザイドスさんに対して、無表情な陣。その陣に、ザイドスの持つ黒水晶から放出された怨念のエネルギーが注ぎ込まれ、 咆吼する陣の服装が変貌していく!
 「立ち上がれ、最強の魔拳士よぉ!」
 陣、世紀末救世主伝説な感じに、魔界転生。
 魔拳士モードは全身着ぐるみではなく、義手の凶悪化を中心に、奇抜な上着、の範疇。顔も特に派手なメイク無し。
 「さあ来い! 俺とともに! 俺の手足となって戦うのだ!」
 都合のよい戦力を手に入れたと大喜びするザイドスだが、蹴り飛ばされる(笑)
 「失せろ! 何者も俺に命令することはできん」
 陣の迫力にザイドスはすごすごと引き下がっていき、陣もまた、その場から姿を消す。
 果たして魔界転生したその力は、一体いかなるものなのか……ッ?!
 ……えーなお、巨大壺道人は、陣の魔界転生の合間にあっさり斬殺されました。
 大連王だから仕方が無い。
 壺道人を撃破後、「そういえば思いっきり血を吹きながら海に落っことしちゃったけど、もしかしたらぷかぷか浮いてねぇかな、 やべぇ」とでも思ったのか、仲間とともに海岸に戻ってきた亮は、そこで陣の手にしていたメダルを拾う。
 ラストは、夕陽をバックに高笑いする陣のイメージ映像で幕。
 亜紀の死体?を抱えて去って行くシーンでも入れるかと思いましたが、そこまではやりませんでした。故に、亜紀をどう処理したかは謎。 描写としては流血表現を避けたので、殺したとも殺してないとも、という形で誤魔化し、仮死状態パターンとかの可能性も残した感じに。
 亜紀に関しては、前回の振りと井上脚本という事で、どういう流れでどこまでやるか、という感じでしたが、 亮に直接の原因は無いけれど全く関係が無いというわけでもない、という絶妙に嫌な所に落としてきました。この辺りは、さすが。
 ところで穿ちすぎかもしれませんが、回想シーンや最後の台詞を見るに、亜紀は、“男を駄目にする女”っぽい(^^;
 前回からちょっと気になっていたのですが、陣に対して「罪を償って」ではなく「罪を重ねないで」と言う所とか、恐らく意図的。
 惚れた男が犯罪者でも匿っちゃて、自分が居れば立ち直れると思い込んでいるタイプ。
 ……まあ実際、自首を勧めるわけでも警察に通報するわけでもなく。
 自分が「帰ってくる所」認定だし。
 だから何かと言うと、脚本家は性格悪いよなぁ、という話なんですが(笑)
 ようやく亮が一本立ちし、ライバルも登場したので、広瀬さん好きというのも含め、今後が楽しみです。 全くゴーマの戦力強化に繋がっていないのが恐ろしいですが!

◆第28話「総登場だぎゃ!!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
 ゴーマ15世、久々に出てきたと思ったら、ちんちろりん。
 遅々として進まない日本侵略の援軍として、3事務員の下に、ゴーマ四天王を派遣する。
 なお、ちんちろりんの出目は3・3・6で、親の総取り。
 てっきり、ヒフミとか出すと思ったのですけど(笑)
 まあ、演出なのか、完全にたまたまなのかは、ちょっとわからないですが。
 その頃、知は5年前に家出同然に田舎から出てきた時、右も左もわからない東京で親身になってくれたおばあちゃんのラーメン屋台を手伝っていた。 手伝う……というか完全に一人で屋台を引いてラーメン作っているのですが、マダムキラーの美容師であり、金を取れるラーメンを作れ、 豆腐愛好家にして、素で麒麟拳を使い、興奮すると一人称が「ミー」になるとか、設定が増えれば増えるほど謎の人に。
 そこに現れたのは、おばあちゃんのラーメンを愛好している亀夫。
 「あんた知さんだがね」
 「ち、違います! 他人のそら似です」
 イメージを守りたいので、知り合い(特に4人の仲間)にはラーメン戦士である事を知られたくないらしい知、黙っているように亀夫を脅迫。
 ……はいいとして、そもそも、亀夫は生身知、見た事ありましたっけ?  生身を見た上で名前を聞いている可能性は限りなく低い気がするのですが(^^; この後のシーンで、 知が亀夫に名前を聞くレベルですし。
 知の過去を聞いた亀夫はすっかり盛り上がり、一緒に屋台を手伝うと言い出す。 公園の噴水で丼を洗っている時に奇妙な石を拾う亀夫だが、突如、3事務員の襲撃を受ける。
 「今日こそおまえの命はもらった!」
 何故か突然、ダイレクトアタックを仕掛けてくる3事務員。前回、魔拳士を部下にし損ねたザイドスさんが加わっているのがどうにも、 もの悲しい。
 「こら、一人で逃げるつもりですか」
 と亀夫を止める知。おばあちゃんの大事な屋台を守るように指示し、亀夫は拾った石を咄嗟に屋台に隠すと、 屋台を引っ張って逃げる事に。
 一般人だし逃がした方がいいのでは……と思ったのですが、知さんの優先順位が、
 おばあちゃんの屋台 > 亀夫の命
 なのは、とても納得です。
 3事務員達を引き受け、仲間を呼ぼうとする知だったが、通信機が通じない。同じ頃、4人+コウもまた、 托鉢僧姿のゴーマ四天王の攻撃を受けていた。
 阿古丸の姿を目にし、走り出すコウと、追いかけるリン。
 ナレーションで入るコウと阿古丸の因縁の説明。
 「既に阿古丸は死に、母は行方不明のままであった」
 阿古丸、ナレーションで死亡確定を宣告される(笑)
 予告から予想されましたが、ここでひとまず、キャラクター総ざらえの模様。
 二人を追った残りの面々も、次々に因縁のある人物達の幻影と遭遇し、それぞれナレーションで解説。
 大五はクジャク、将児は3バカと出会い、亮は陣に襲われる。
 「俺の新しい力を見せてやるぜ」
 陣の魔拳士モードは初めて見る筈なのに、割と普通に受け入れる亮。
 まあ、顔は変わってないですし、服装が少々はっちゃけたなぁ、ぐらいに捉えたのかもしれませんが。
 それにしても各人、こう並べると改めて扱いの落差が激しい(^^;
 やがて奇妙な空間に迷い込んだ4人&コウの前に姿を見せる、ゴーマ四天王。転身する4人と、 物陰に隠れるだけで非常にお荷物感の強いコウ。これが“面白くなっていれば”いいのですが、ちっとも“面白くない”のが、 コウの実に困ったところ。強敵ゴーマ四天王に苦戦する4人だったが、変な石を破壊して、ゴーマ異界を脱出する。
 一方、亀夫を捕まえようとしたザイドスは、亀夫が拾った石から突然放たれた光によって吹き飛ばされる。 その間に亀夫と合流した知だが、亀夫が常に連れている亀が逃亡中に行方不明になってしまい、慌てた亀夫が亀を探しに戻った所で、 再び、3事務員の攻撃を受ける。
 そこへ飛び出してくる4人+コウと、ゴーマ四天王。
 ゴーマ四天王は円陣を組んで手を重ねると、「四天合体!」でやおら奇っ怪な怪人に合体変身、いきなり巨大化。
 ……どう考えても、自ら負けに行ったとしか思えません(笑)
 ところで、四天王が円陣組んで合体、というと劇場版『ジャッカー電撃隊vsゴレンジャー』の 四天王ロボを思い出すのですが、こっそりオマージュだったりしたのかなぁ。少し、古いですが。
 コウも隠れて転身し、ウォンタイガー登場で、巨大四天王は瞬殺。
 人間大時は互角だったのに、本当にどうして、巨大化してしまったのか……。
 そしてイメージを守りたい知は、屋台を引いて慌てて逃げ出すのであった。
 ナレーション「だが、これで事件が終わったわけではない」
 倒れたと思われた四天王、再生。どうやら巨大化は、ダイレンジャーの戦力確認の為だった模様。
 「そして亀夫にも、異変が起きようとしていた」
 部屋に持ち帰った石が突然光りだし、消滅する亀夫。
 「果たして亀夫に何が起きたのか。ダイレンジャーに、新たなる事態が起きようとしていた」
 ……うんまあ、亀夫、凄く、どうでもいいけど…………(おぃ)
 コウにしろ亀夫にしろ、杉村さんは、短期間で感情移入できるようにキャラクターを描くのが苦手なのでしょうか(^^;  じっくり描けるメイン5人ならともかく、サブキャラはある程度テンプレに乗せてでも、まず視聴者に感情移入する土台を作らないと、 劇中で何が起きてもそもそも気にならない、という事になってしまいます。
 極端な話、亀夫よりも、いっそ神風大将とかの方が気になるよなぁ、というレベル。
 お祭り回という点も含めて、面白くなかったわけではないのですが、井上×渡辺の後に、杉村×小笠原は、密度が違いすぎて厳しい。 まあこの辺り、テンポと情報量に関しては好みも出る所ではありますが。
 あと、お馬鹿キャラというのは紙一重な所があって、一歩間違えるとギャグの範疇に収まらなくなってしまうわけですが、 亀夫はちょっと境界線を越えてしまっていると思います。亀夫の職業を絵描き(の卵)にしている所で、 言外に匂わせている感もあるのですが、加えて亀をポケットに入れて持ち歩いているというのは、生き物だけに、どうかと思うところ。
 ここまで来ると脚本家だけの責任ではないとも思われますが、コウの時も“小学生だから” で済まされる一線を越えている感がありましたし、その辺りのバランスに関しては、引き続き心配になる所です。
 で次回、ようやく、コウの正体ばれ?
 とりあえずお母さん周りがスッキリしそうなので、何とかさっさとスッキリしてほしい。

◆第29話「母子涙のマルヒ(○の中に秘)裏話」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
 自分を呼ぶ母の声と幻像を見るコウ。そんなコウを追いかけたリンと将児は、釣り竿で子供を釣り上げる渡世人と遭遇。 その正体はゴーマ怪人・早口旅ガラス。リンと将児は転身し、遅れてキバレンジャーも登場。残りの3人も駆けつけるが、 早口旅ガラスの早口爆弾(投げつけられた後に指定の早口言葉を口にしないと爆発する爆弾)で、次々と吹き飛ばされていく。
 早口旅ガラス(渡世人)は、声優でもある郷田ほづみが演じていますが、早口言葉、大変そう。
 戦闘中、再び聞こえてくる幻想の母の声に「かあちゃん!」と思わず走り出すキバレンジャーだったが、「東京特許許可局」 の爆弾が爆発。白虎神剣とオーラチェンジャーが外れてしまい、ダイレンジャーの面々に遂に正体が曝される。そして子供であった事から、 旅ガラスに釣られて、連れ去られてしまう……。
 身も蓋もない、正体バレ(^^;
 道士カクを取り囲む5人は白虎神剣に謝られ、更にそこに、気力を用いてコウの母親が姿を見せる。
 実はコウは、ゴーマ族の父とダイ族の母の間に生まれたハーフであり、幼い日に母がコウに押した焼き印は、 ゴーマの力を封じるためのものだった。だが封印の力は徐々に弱まっており、10歳の誕生日までに母親に会えないと、 コウはゴーマになってしまうのだ!
 その事もあり、キバレンジャーの正体を秘密にしておくように白虎神剣に頼んでいたというコウ母。 ダイレンジャーに事情を説明したのはいいが、肝心な自分の居場所を伝える前に 10円 気力が切れて、 接触が途切れてしまう。
 ……ダイ族ってのはあれですか、一定の年齢になると駄目人間因子が目覚める という哀しい宿命でも背負っているのでしょうか。
 まことしやかに語っていたけど、ダイレンジャーにキバレンジャーの正体を隠す理由には 全くなっていないしなー(笑)
 や、それで物語が面白くなっていたならば、何となくのそれらしい理由付けでも良いのです。問題は、それが全く、 物語を面白くしていなかった事で。
 後これまでの流れとして、“ゴーマになる”事の衝撃度が今ひとつなのですが……んーあれか、 ゴーマ怪人・痴漢小僧とかになってしまうのか。
 それは、嫌かもしれない。
 その頃、四天王と三事務員は、早口旅ガラスにさらわせた子供達に、奇妙な儀式をバックに穴を掘らせていた。
 コウ「僕達に、穴を掘らせて、どうするつもりだ?」
 やっぱり、掘った穴に、自分で寝転ぶんじゃないですかね……。
 目的は「素晴らしい力を手に入れるため」と語る三事務員。果たして彼等の狙いは何なのか?
 一方、駄目老人、再来日。
 今後の戦いに備えたダイレンジャーの強化の為、新しい武器、気力バズーカを持ってきた老道士グホン。だが、 気力バズーカの起動には、7つの天宝来来の珠が必要だという。
 「まだもう一人ダイレンジャーが居るっていうのか?」
 「いやー、そうじゃないがの」
 その形状を聞いた知は、前回見た珠が気になり、亀夫のもとへ向かう。真っ黒くこけた顔で部屋の中で怯えていた亀夫によると、 奇妙な出来事に恐怖して、石は捨ててしまったという。二人で石を捨てたという河原を探すが、 次々と子供をさらっていく早口旅ガラスの出現に、連絡を受けた知はそちらへと向かう。そしてその間に石を見つけた亀夫が石に触れると…… なんと亀夫は小さなミドリガメになってしまう!
 早口旅ガラスと対峙するダイレンジャーだったが、次々と武器を釣られて奪われてしまう。 切り札の気力ボンバーまで釣られて跳ね返されて大ピンチに。
 そしてその頃、事務員達が子供達に掘らせていた穴の底から、奇妙なガスが噴き出していた……。

◆第30話「必殺早口仕事人」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
 苦境に陥るダイレンジャーだったが、とどめと投げられた早口爆弾を手にしたリュウレンジャーが、 そのまま旅ガラスに組み付く自爆特攻で、旅ガラスを撃退。しかし傷だらけでリンの部屋に戻った5人に告げられたのは、 気力バズーカを使うには、奪われたダイバスターが不可欠、という事実であった。
 一方、温泉が出たぞーーッ!!的に喜ぶ3事務員。
 彼等が探していたのは、地獄の入り口。
 生命力に溢れる10歳以下の子供達に、儀式の下で穴を掘らせる事により、この世と地獄を繋げる事が出来るのであった。 地獄から溢れる霊力をその身に浴び、パワーアップする3事務員。ダイレンジャーは子供達を救い出すべく、 気伝獣にまたがってその霊力を辿る。
 道すがら、気伝獣の頭の上で早口言葉を練習する5人(笑)
 気伝獣の接近に気がついた3事務員は、
 「今こそ無敵のパワー、霊力をみせてやる」
 とハイパー化。
 5人を軽く吹き飛ばすと、巨大シャダムvs龍星王、ガラ&ザイドスvs残り4人でマッチアップ。霊力の前に大苦戦する5人だったが、 龍星王が地獄の穴を岩で塞ぐと、事務員達はパワー減退、撤退する。
 ……て、え? あれ? パワーアップ、これで終わりですか?! 一話も保たない?!
 戦闘中に適当に捨てられた武器を見つけた5人はそれを取り返そうとするが、その前に立ちはだかる早口旅ガラス。しかし、 移動中に早口言葉を克服した5人は早口爆弾を打ち破り、武器を取り返すと、グホンの力で気力バズーカが飛来。 天宝来来の珠が一つ足りないものの、とりあえず撃ってみる事に。
 というわけで、ここで合体武器、気力バズーカ登場。
 珠をセットしたり、なんか引っ張っり出したり、全員に仕事があるのはいいところ(笑)
 不完全ながらも気力バズーカの威力は凄まじく、早口旅ガラスを滅殺。穴掘り人足をさせられていた子供達も、 無事に助け出す事に成功する。だが肝心のコウは、「誕生日は、わかんねぇ」と、それを深刻に気にする5人をいぶかしむのであった……。
 一方、亀夫は人間の姿に戻って河原を逃げ出すが、その後を謎の石が追っていく。
 また、本社ビルから地上へと姿を見せたゴーマ15世は地獄の穴の付近に降り立つと、穴の中に釣り竿を垂らすのであった。そしてその先を、 地獄の底から伸びた何者かの手が、掴む……!
 この辺りは、映像で十分通じたと思うので、ナレーションいらなかったような。
 前々回のお祭り回は仕方なかったと思うのですが、やたらに似た感じでくどいぐらいナレーションで状況説明が入りましたが、 上から何か言われたのか……?
 地獄から伸びた手は、さすがにあのままリタイアだと酷すぎる阿古丸でしょうか……? だとすると、温泉見つけて喜んだ3事務員は、 完全に阿古丸復活の前振りだった事になり、ちょっと可哀想ですが(笑)
 レッドのライバルは部外者で、バックの組織も見えてきて、いよいよ存在感が薄くなってきた3事務員の明日はどっちかッ!  本格的に3バカとかぶり気味だぞ特にザイドス! 頑張れ事務長、明日はきっと、栄転だ!
 次回、更なる巨大兵器の恐怖が、ゴーマを襲う……!

◆第31話「また出た新戦士」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
 天宝来来の珠とおぼしき謎の石から逃げ惑う亀夫は知と遭遇するが、その目の前で亀になってしまう。
 「亀が亀夫に亀夫が亀に」
 再び人間に戻って逃げ出した所で何故かゴーマ四天王に狙われる亀夫。助けに入ったキリンレンジャーは、 現れたシャダムに禍々しい謎の仮面をかぶせられてしまう。それは、ゴーマ最高の呪いの術バードゥの仮面。 身につけた者は死ぬまでそれを外す事が出来ず、ただ暴れ回るのだ!
 駆けつけた仲間達に襲いかかる知は暴れないように基地に縛り付けられる。呪いを解く術はない……だが、 或いは天宝来来の珠ならその力を秘めているかもしれない。グホンとリンは最後の天宝来来の珠を手に入れる為に亀夫と接触。 そしてグホンの口から衝撃の真実が語られる。
 なんと、亀夫の正体は、亀。
 それも、超気伝獣・ダイムゲン!
 6000年前の戦いでダイ族とともに戦ったダイムゲンだったが、もともと争いを好まぬ性格であった事から戦いを離脱。 6000年の長い間、眠りと覚醒を繰り返し、時に亀、時に人間として長い時間を過ごしていたのだった。ゴーマの出現、 天宝来来の珠との出会い、それらが今、亀夫を本来の超気伝獣・ダイムゲンの姿に少しずつ戻そうとしていたのである。
 自分を人間だと思っている亀夫……しかしこのままでは知の命が危ない。人間の生を取るか、知を救うか……覚悟を決めた亀夫は、 飛び回る天宝来来の珠へと手を伸ばす。
 「やったるがや!」
 ここはなかなか面白い展開。
 ただ、亀夫が亀に変身した、という情報を唯一持っている筈の知が錯乱状態になっているので、 亀夫と亀と天宝来来の珠の関係をどうやって知ったのか、という謎はありますが。筋を通そうと思うと、 前前回のやや意味ありげな台詞
 「まだもう一人ダイレンジャーが居るっていうのか?」
 「いやー、そうじゃないがの」
 も含め、グホンは全て知っていたという事に(^^;
 デビル知が逃げだし、後を追った亮達の前に立ちはだかるゴーマ四天王。乱戦の中に亀夫らが駆けつけ、気力バズーカを召喚。 亀夫の珠とコウの珠の力により、気力バズーカはスーパー気力バズーカへとバージョンアップする。
 「ひょっとしたらそれで知の呪いの面が割れるかもしれん」

 人間を ひょっとしたらで 撃つのはどうか

 だが、遠慮なく放たれるスーパー気力バズーカ。直撃を受けたデビル知は倒れ、幸い、呪いの面が割れて正気を取り戻す。 これに対して四天王は再び合体するが、和を加えて放たれたスーパー気力バズーカを浴び、巨大化。牙大王の飛翔剣・ 木っ端微塵を跳ね返す合体四天王の力を見た亀夫は、天宝来来の珠に力を込め、真の姿、超気伝獣・ダイムゲンへと転身する。
 ダイムゲン、亀の割には、星麒麟や星天馬より格好いいです(笑) まあ、あちらは合体の都合が大きいのですが。
 また、亀モードから超武人変化により、超気伝武人・ダイムゲンにも変形可能。
 とにかくなんでも、超。
 そして7つの気伝獣が、七星合体。
 究極フォートレス形態、その名を、重甲気殿。
 とどめは、その状態で浮かび上がり、相手を文字通りに押しつぶす「重甲気殿・大圧殺」で合体四天王を撃破。
 ダイレンジャーにまた一つ、頼もしい力が加わるのであった!
 ………………といっても未だに、大連王は苦戦一つした事がないわけですが。今回でさえ、 牙大王は必殺技を跳ね返されたものの、大連王は無傷(そもそも登場していない為ですが)。そしてここが肝心な所ですが、 劇中で一度たりとも牙大王>大連王という表現がされた事は無いのです。牙大王はあくまで合体パターンの一つに過ぎず、 決して大連王の上位機種というわけではない。
 大連王・無敵伝説はまだまだ続く……!
 だが一方で、ゴーマ15世に釣り上げられ、地獄の底から蘇った者が居た。その名を、阿古丸! 戦いは、ますます激しくなっていく!
 ひどすぎる退場だった阿古丸でしたが、復活。ここで復活するならあの酷いリタイアも飲み込めますし、 投げっぱなしだったシャダム絡みのネタも再展開できますし、これは良かった。

◆第32話「黄金キックの鬼」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升)
 将児、亮にモーニングコール。
 いい人だ、将児。
 「仕事で疲れて朝起こしてくれっていったのてめえだろうが!」
 幾ら電話をしても起きない亮に業を煮やした将児は、オーラチェンジャーを用いて「ゴーマが出たぞ!」と嘘の緊急通信を送り、 さすがの亮もこれには跳ね起きる。……が、大激怒。
 むしろ将児はなにか亮に弱みでも握られているのでしょうか。
 任務完了した将児はそこで、巨大な鳥に襲われる少女を発見。救出して電話ボックスの中に逃げ込むが、 なんと怪鳥は電話ボックスごと二人を持ち上げ、採石場まで運んでしまう。
 「俺は恐怖の小鳥売り。アミーゴ、小鳥は好きかい?」
 そこに現れたのは、ゴーマ怪人・鳥カゴ風来坊。
 転身してからくも電話ボックスを脱出する将児だったが、逃がそうとした少女が鳥カゴの中に吸い込まれてしまう。
 「ゴーマだ、亮! ゴーマが現れた!」
 「ほーう、ゴーマが現れましたか」
 「ホントなんだよ!」
 道士「何してるんだ亮、将児がゴーマに襲われている。急げ!」
 「マジかよ」

 安定の、最低加減

 亮が駆けつけるが一歩遅く、鳥カゴの中に吸い込まれてしまう将児。鳥カゴ風来坊は「仲間を帰してほしかったら、俺の足を呼べ」 と言い残して姿を消し、亮は本部で道士の説教を受ける事に。
 鳥カゴ風来坊の足……それはかつての戦いで数多のダイ族の勇者を葬り去ってきた“黄金の足”の事であった。だが、 鳥カゴ風来坊は己の強さに溺れ、酒に酔った不覚で黄金の足を失ってしまう。 それが原因でゴーマからも未熟者と笑いものにされて放逐された鳥カゴ風来坊は、長い時間、失意の内に彷徨っていたのだった。
 「道士なら黄金の足を呼べるって、どういう事?」
 「いずれわかる」
 一方、風来坊の捕らえた将児の引き渡しを要求するザイドスだったが、あっさり蹴散らされる(笑)  風来坊はまずは人質を使って足を取り戻し、しかる後にダイレンジャーをゴーマに引き渡す事で、陣営への帰参を考えているのであった。
 「将児よぉ……オーラチェンジャーで起こしてくれなんて、俺は頼まなかったぜ。悪いジョークとついていい嘘があることぐらい、 おめぇわかんねえのかよ」
 間抜けポジション×駄目人間最低の組み合わせ(笑)
 ここの言い回し自体は、友情と後悔を感じさせるものにはなっているのですが。
 風来坊の襲撃を受けた亮は逆に反撃で追い詰めるが、風来坊を殺せば中の将児と少女も死ぬ、と脅かされ、反撃を受ける。やむなく、 黄金の足の封印された壺を引き上げた道士はそれを取引材料に人質の解放を要求するが、そこをザイドスが奇襲。
 「足は取り戻したぞ、受け取れ鳥カゴ風来坊!」
 先ほどの事を忘れたかのようにザイドスが急に協力的になるのは唐突なのですが(多分、単なるカクへの嫌がらせ)、 黄金の足を取り戻す風来坊。もちろん人質を返す事はなく、その放つ黄金キックに、次々とやられる4人。だがその時、 鳥カゴ風来坊の中と外を行き来できる、使い魔の怪鳥に捕まって、将児が少女と大脱出。 友情パワーをアンロックしたリュウレンジャーとダイレンジャーは、合体技を発動。
 「天重星・最大重力波」と「天火星・稲妻火炎波」により、鳥カゴ風来坊を打ち破り、風来坊は巨大化。
 「こうなったら、容赦しねえぞ」

 大 連 王 が ね……。
 黄金キックをあっさり受け止めた大連王、大放電から疾風怒濤で瞬殺(笑)
 酷いわ、本当に血も涙もないわ……。
 こうして友情は元通り、私用でオーラチェンジャーを使った件を黙っていてくれた亮を、将児は店までバイクで送っていくのであった。
 「「合体必殺技! てか?!」」
 どこまでも、駄目な二人であった。
 というか、「呼び出されたらすぐ出動」とか「オーラチェンジャーを私用で使うの禁止」とか、 ダイレンジャーにそんな規律があった事に驚きなんですが(笑)


→〔その5へ続く〕

(2013年5月18日/7月14日)
(2019年11月24日 改訂)
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