■『五星戦隊ダイレンジャー』感想まとめ1■


“転身だァァッ! 気力だァァッ!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『五星戦隊ダイレンジャー』 感想の、まとめ1(1〜8話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔総括〕

             

◆第1話「転身だァァッ」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升)
 主題歌、唄いにくそう。
 独特のリズムでなんとなく耳についてしまうのですが。
 パイロット版の監督は、演出の鬼・小林義明で、凝った演出は健在。
 不気味な歌を唄いながら現れる謎のヨーヨー少年、襲いかかる銀輪部隊、連れ込まれた基地の床に置かれたTVになぜか砂嵐 (空きチャンネル映像)、など、小林ワールド全開。
 学ランに変な眼鏡をかけたヨーヨー少年の口ずさむ歌が凄まじく、

好きです好きです心から
愛していますよと
甘い言葉と裏には
一人暮らしの寂しさがあった

 ……ってどこから出てきたんですか。
 (※長渕剛「巡恋歌」との事)
 謎の金色の触手に襲われた中華料理屋店員・亮は赤い巨大な龍に助けられ、怪しげな基地に連れ込まれると、 髭の道士に甦ったゴーマ一族との戦いを強要される。
 「ヤツラは妖力というとてつもない力を持っている。それに対抗するには気力しかない」
 ……いったいどこの日本軍なんだダイレンジャー。
 戦隊メンバーの勧誘方法も色々とありますが、命を救ったと主張して基地にさらい、既に加わっているメンバー(男3人) で囲んだ後に気力で壁に吹き飛ばし、そこへ刃物を投げつける、とここまで露骨に 拉致・脅迫と直球で来るのは凄まじい。
 なし崩し的に地球を守って戦うメンバーに加わる羽目になった亮は3人の仲間とともに、中国から来日した最後の一人、リンを迎えに。
 ここで襲いかかってくるゴーマ雑魚との自転車アクションは、かなり格好いい。
 敢えて車やバイクではなく自転車としながら、スピード感と自転車ならではのトリッキーさで楽しませてくれます。
 OPでも5人が自転車に乗って現れるのですが、どちらかがどちらかを意識したのかな?
 ヨーヨー少年は怪人・紐男爵の正体を現し、追い詰められた5人は気力転身!
 「天に輝く五つ星・五星戦隊ダイレンジャー!」
 という名乗りは超格好いい。
 紐男爵はダイレンジャーに敗れると、巨大化爆弾を投げつけ、自ら自爆して巨大化(笑)
 リュウレンジャーは赤い龍、気伝獣・龍星王を召喚して巨大紐男爵に立ち向かう……という所で次回へ続く。
 尺の短さもあり凄まじくすっ飛ばした展開ですが、凝りまくった演出、格好いいアクションで、なかなかの滑り出し。 ダイレンジャーは何か動く度にいちいち、余計な捻りとか回転を加えるのが格好いい。

◆第2話「気力だァァッ!!」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升)
 気伝獣・龍星王はロボット形態である気伝武人・龍星王に変形して、紐男爵を撃破。
 ゴーマ一族は次なる怪人、ガマグチ法師を派遣。
 とにかく時間が無いので、前回の巨大戦の始末をつけた後、何の間もおかずに速攻で次の怪人が登場し、どうやらプロボクサー(の卵?) らしい青のランニングシーンへ。そしてストリートバスケットマンに扮した怪人に、電光石火でさらわれてしまう、青の弟がわりの少年。
 「君はもう、家へ帰れない……スラムダンクっ!」
 とボールを投げると、人形焼きみたいな仮面(多分、金運のお守りのイメージ)が顔にはりつき、その後、 一生懸命子供を抱えて走るとか、もの凄くカオス。
 変身した青は戦いを挑むが、必殺技を破られてガマグチ法師に負けてしまう。
 どうやらゴーマ一族は、5人の子供を集めて生け贄にする儀式を行うつもりらしい……と普段はそれぞれ仕事をしているらしい ダイレンジャーの面々が集められ、少年の探索に。
 シナリオ的にはどうしても無理が生じやすくて難しいのですが、それぞれ本職がある、というのは設定としては好きなので、 出来れば今後も活かしてほしいところ。……約一名は、釣り堀に居たので、職業:旅人、とかっぽいですが。
 4人が探索へ向かっている間、ガマグチ法師に敗れた青に、自然の摂理を説き、修行をつける道士カク。
 何故か先程の戦闘がビデオで撮影されているのですが、

 何してるんスか、道士。
 見た目といい言動といい、2話にして既に、導師のうさんくささがアバレマックス。
 物凄く信用できないのですけど、本当にこの人についていって大丈夫なのか、ダイレンジャー(笑)
 そして少年がさらわれる所を救出しようとしたリンもまた、ガマグチ法師に捕まってしまう。
 他みんな小学生みたいなのに、普通に生け贄に加えられてしまうリン。
 2話にして妙なお面をかぶらされてしまうピンク。
 なんだか凄く可哀想な気がしてきた!
 修行を終えた青は敵幹部の乗った車を発見すると、生け贄の儀式へと乗り込む。
 ヴィジュアル系よりデスメタルバンドというか覆面レスラーというかなんというかみたいな格好で割と普通に車乗ったり 港を歩いていたりする敵幹部の皆さん。中佐とか少佐とか軍隊っぽい階級に分かれているのが判明しているだけで、現在の所、 組織の構図は不明。
 そして何故か既にダイレンジャー側に顔を認識されています。
 (変身グッズをいつの間にか持っていたりとか、この辺りは物凄く適当)
 他の3人も駆け付け、ダイレンジャーvsガマグチ法師!
 ダイレンジャーはそれぞれ特殊な気功技を持っており、テロップとナレーションで説明が入るのですが、
 緑、霧隠れで敵を眩惑した所に

 「総武線!!」

 て何、その技(笑)
 幻覚攻撃という事なのでしょうが、総武線のCGが突っ込んで、雑魚を倒しました(笑)
 青の連続回し蹴りを食らったガマグチは自爆して巨大化をはかるが、まさかの阻止攻撃を受け、 5人合体技・気力ボンバーであえなく爆死。
 時間の都合、恐るべし。
 尺の短さを割り切って、敵怪人の奇抜さ(変態ぶり)とアクションの格好良さで見せていく、という構成。色々と穴は多いのですが、 すべからく華麗にすっ飛ばしていくので、そういう作品だと思えばなかなかテンポもよく、気持ちよく楽しめます。 後は序盤の個別エピソードで各キャラクターをどこまで立てられるかでしょうか。とにかくキャラの性格描写とかしている時間が無いので、 現状、男連中は、中華(赤)、ツッパリ(青)、釣り人(緑)、美容師(黄)、としか認識できません(笑) 黄と緑に関しては、 下手すると間違って認識している可能性も。次回、緑回っぽいのではっきりする筈。
 なんかもうすっかり主題歌が耳についてしまったので、うまく転がってくれる事に期待。
 転身だァァッ
 気力だァァッ!!

◆第3話「魂ちょうだい!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升)
 将児がバイクで知の車を煽り、公道で最速バトルを始める二人。
 劇伴と一緒に、知のカーステレオか何かという設定なのか、北島三郎の演歌みたいな曲が流れていて、えらくカオス。 互いに相殺しあって何だかよくわからなくなっていて、正直、どうしたかったのか(^^;
 ヒートアップする二人は、暴走の末にあやうく小学生を轢きかけ、その上あろう事か、どちらが悪いかで、 喧嘩。少年の姉・かおりに、このショックがきっかけで後遺症が出たら責任を取って貰う、 と住所と名前を聞き出される。
 ここはもう二人が明らかに悪いのですが、90年始め頃に、東映の中でヒーローが人を轢く(轢きそうになる) のが流行っていたのでしょうか?(^^;
 その夜、街に出現する黒尽くめに金のベルトの怪人・鍵道化師。どんな扉でも開く鍵で少年の家に潜入した鍵道化師は、 少年の心の鍵を開いて魂を奪っていき、意識不明に陥る少年。勿論これを交通事故未遂が原因だとされ、 少年の姉・かおりから病院に呼び出された二人は、同様の症状で入院する子供達が急増しているという事実を知る。
 「とりあえず本部には秘密」にして状況を探ろうとする、悪戯した小学生のような、駄目な二人。
 ところがその帰路、二人は謎の車に襲われる! 運転席に居たのは、小人の人形?!
 これはゴーマの仕業に違いない、と本部に相談する二人だが、「人形が車を操るなんて、リモコンの悪戯では?」と、 仲間達の反応は鈍く、道士カクも無言。挙げ句、「お二人でどうぞ」と、何故か一冊の雑誌を二人で一緒に読んでいた上に、 お茶に行ってしまう亮とリン。道士も無言で立ち去ってしまうが、「手伝うよ。一人でもおかしいと思ったら、 調べてみるのは当然だろう」と大五だけが調査に協力する事を申し出る。
 怪事件を無視して、ピンクとデートするレッドって、

 歴史的快挙ではないでしょうか(笑)
 あと、リンは最初から生身で気力を振るえる上にわざわざゴーマとの戦いの為に来日したっぽい感じだったのに、 予想外にやる気が無くてビックリ。道士の関係者で訳知りなのかと思っていたのですが、そうではなかった模様。
 調査の手始めに、何か変わった事が無かったかと改めてかおりに聞きに向かう3人だったが、かおりの態度は頑な。 なにか責任転嫁しようとしているのではないか、と将児と知に食ってかかるばかりで大した情報は得られず、 将児と知のテンションゲージも下がってしまう。そのあまりに攻撃的な態度に、「あいつら、君の弟に何したんだ?」と、 かおりから事情を聞き出す大五。
 二人の起こした交通事故未遂、そして両親が旅行中の為に弟の面倒をちゃんと見ないといけないと気を張るかおりの話を聞き、 少女の頭を優しく叩く大五さんが、超・いい男。
 1・2話の口数の少なさなどから、無愛想な孤高系かと思われた大五ですが、仲間を想い、子供に優しい、 滅茶苦茶いい男。
 レッド的優等生気質とはまた違う、ちょっと古くさい男気系の入った正統派いい男で、割とツボに入った事を正直に告白しておきます(笑)
 かおりの話を聞いていた大五は、鍵道化師に襲われる少年を発見して後を追うが、人形部隊の足止めを受ける。 人形達が逃走に使った車を追跡した大五とかおりは、車の逃げ込んだ工場の中で、唄う人形達を見る。鍵道化師は、 盗み取った子供達の魂を人形の中に閉じこめる事で、悪事を働かせる事が出来るのであった!(悪人の魂を入れるのでも、子供らしい 悪戯をするのでもなく、単純に邪悪化する模様)
 工場の中で合唱する様々な人形・ぬいぐるみの図、は実によく不気味に出来ています。似たタイプの人形ばかりではなく、割と、 取り留めがないのが無秩序さと不気味さを増させて良い感じ。
 人形に見つかり鍵道化師と戦いになる大五は本部に救援を求めるが、ゴーマ3幹部の登場もあり、多勢に無勢、 かおりの魂が鍵道化師によって奪われてしまう。ようやく4人が救援に来るが時既に遅し、かおりの肉体は救ったものの、 姿を消すゴーマ一族。怒りの大五は、知と将児に鉄拳を食らわせる。
 「貴様ら、こんな大事な時にどこへ?!」
 喫茶店でお茶していました。
 4人ともな!!
 びみょーに目をそらす亮とリン(笑)
 3話から、割り切った前後編。
 ヤンキー系の将児とホスト系の和がセットで動く、というのがなかなか面白い構成。結果として亮が、 レッドなのに駄目人間という、凄く新しい地平に。
 大丈夫なのかダイレンジャー?!

◆第4話「俺たち甘いぜ!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升)
 本部に集ったダイレンジャーを、
 「おまえたちの驕りがそうさせたのだ」
 と一喝する道士カク。
 前回、道士が黙っていたのは、何も言わなくても5人が自発的に動くかを見る為であった、らしい。
 うわァァァァァッ
 一番嫌なタイプだァァァッ!!
 そもそも拉致って脅迫した事は棚に上げ、「油断だ」「ゴーマの幹部から見ればひよっ子同然」 「このままでは人類は滅びるぞ」と罵倒の嵐に、「俺達に戦う力なんてあるの?」「もっと修行してからの方が……」 「気力も使いこなせないし……」と、弱気になっていじける4人。
 ひとり大五だけが
 「気にくわねえ! おまえたちみんな、気にくわねえ!」
 と4人の情けなさへの怒りと戦う意志を見せるが、4人は本部を去り、ダイレンジャーは早くも空中分解してしまう。
 なぜか前回に引き続き、二人でお茶をしながら「もうダイレンジャーいいやー」と戦いを辞めようとする青と黄だが、 街中で暴れる人形達を目撃。鍵道化師の放った人形が、銃を撃ち、放火をし、爆弾を投げ、と街中で傍若無人に暴れ回っているのだった。 その光景に立ち上がり、人形達から自らの意思で人々を守った4人は、再び本部へと集う。そこでは道士と大五が瞑想を行っており、 4人もそれに加わると、気力によって浮かび上がった6人の意識は肉体を離れ、中国の奥地へとたどり着く!
 そこは数千年前に栄えた、ダオス文明の遺跡。ゴーマ一族とはもともと、その地で反乱を起こし妖力を振るって恐怖政治を敷いた者達であった。 しかし虐げられた民衆も反乱を起こし、血なまぐさい闘争の中でダオス文明は衰退していった。5人はそこで龍星王以外の4体の気伝獣の姿、 そしてもし自分たちが戦わなければ世界はゴーマ一族の恐怖によって支配されるだろう、という絶望の未来を見て、戦う意義と勇気を取り戻す。
 −−−−−
 拉致(命を助けたと主張)
 ↓
 刃物による脅迫
 ↓
 神秘体験
 −−−−−
 ……て、見事に丸め込まれた気がするなぁ(笑)
 結局、「どうして彼等が選ばれたのか?」という肝心の部分には一切言及しないし、道士は本当に胡散臭いというか 若人を転がすのが巧いというか、そもそも『三国志』の軍師キャラの中から、あえてカクを選ぶ辺りが、怪しすぎて仕方がない。
 街へ繰り出した5人は鍵道化師の居場所を突き止める為に人形を追い、大五が謎ワープで辿り着いた海岸で鍵道化師と一騎打ち。 雑魚と交戦する残り4人は、リュウレンジャーが空から龍星王で大五を捜し出し、「天に輝く五つ星、五星戦隊ダイレンジャー!」。 それぞれ個人武器を振るい、最後は気力ボンバーで鍵道化師を撃破。捕らわれた子供達の魂は元に戻るのであった。
 ダイレンジャーの特徴の一つとなっていますが、棒術アクションは格好いい。
 また今回、鍵道化師を演じて「むひょひょひょひょひょひょ」という奇怪な笑い声で怪演を見せたのは、 2年前にはグレイの中の人(声も担当)だったスーツアクター、日下秀昭。変な衣装なのにやたらにキレのあるアクション、 と面白い映像を見せてくれました。
 基本説明であるパイロット版の2話の後に、改めて5人が「ヒーローになる」所を描くという、 面白い構成の3・4話。
 ヒーローらしからぬ暴走を見せる青と黄、ヒーローなのに怪事件へのテンションが低い赤と桃、その人達は大丈夫なのか?  というのが伏線であり、実はまだ彼等は「ヒーローでは無かった」。
 人形に襲われる街の人達を助けた時、絶望の未来を見た時、彼等は覚悟と決意を持って、「真のヒーローとなる」。
 そもそも最初がえらく強引だったしなぁとか、油断するほど戦っているわけでもないとか、道士の説明が根本に不足しているのではとか、 ダイレンジャーに責任を負わせるのには厳しいという部分はあるのですが、
 「変身する」だけで「ヒーローになる」のではなく、
 ヒーローになるとはどういう事なのか
 というのをもう一段階かけて描く、というのは、まだまだ雑ではありますが、後の00年代ヒーロー物への芽吹きを感じさせる所であります。
 またそれを、如何にもリーダーキャラの正論として持ち込むのではなく、サイドから展開するというのも面白い。
 まあお陰で今のところ、亮が赤いけどリーダーどころか主人公ぽさの欠片もない状態ですが(^^;
 早く亮にもスポットを当ててあげてください。
 そして前後編でスポットが当たったにも関わらず、結局何者かさっぱりわからないままの大五さん(笑)
 恐らくは80年代的ヒーローの無自覚な延長線を拒否したい白倉プロデューサーの志向が影響しているのかとは思いますが、 わかりやすいアクションと勢い重視の作風と思いきや、けっこう仕掛けてくるなぁ『ダイレンジャー』。

◆第5話「あっタマきたッ」◆ (監督:小笠原猛 脚本:荒川稔久)

 亮、女子大に潜入。
 押しの強い同級生・恵に友達になりたいと言われ、勝手に髪飾りをつけられたりするものの、 (「ダイレンジャーで忙しいから友達作れない……」)と無言になってしまうリン。
 それはそれで、なんか違うような気もしますが。
 そこへゴーマ怪人・口紅歌姫が現れ、恵は悪魔のルージュを塗られてゴーマ怪人に洗脳されてしまう。焦ったリンは戦闘で一人突出、 顔を傷つけられた口紅歌姫が逆上して巨大化したところに割と暇そうなゴーマ3幹部も攻勢に加わり、龍星王は口紅歌姫と相打ち、 傷ついた体でいづこかへと飛び去ってしまう……。
 5話にして、変身モーション中断で変身失敗
 怒った敵がAパートで自ら自爆して巨大化
 スーツ損傷表現
 と、色々と仕掛けてきます。
 そして龍星王は5人だけでなく、道士カクも気力を送り込む事でその力を支えていた事が判明。龍星王に頼れなくなったダイレンジャー だが、まずは口紅歌姫に洗脳された女性達を解放しようと、それぞれ動き出す。しかし、冷静さを欠いている、と出撃を止められるリン。
 「おまえは冷静じゃない」と、将児に言われるショック。
 そんな酷い扱いを受けたせいで、
 ストレス解消に森を破壊しまくるリン
 ――を止める、大五さん。
 「やめろ! 鳥たちが怯えている……」
 今回も、超格好いい。
 そしていきなり、
 「笑ってくれよリン、俺、おまえにいつも、笑っていてほしいんだ」
 早い、早いよ大五さーーーん!!
 作品によってはそれは、最終回直前の告白台詞ですよ大五さーーーん!!

 これはまさかの、ピンク、逆ハーレム?!
 やり抜いたらやり抜いたで、それも面白いとは思いますが(笑)
 なにぶん脚本が荒川稔久なので、「公式に拾われるかどうかは別にして、脳内カップルのフラグっぽいネタを散りばめずにはいられない」 という、いつものご病気かとは思いますが、大五さんを基本的なレッドポジションだと見れば、天然台詞って事で誤魔化しは効きますし。
 大五が去った後、不思議な映像を見るリン。道士によるとそれは、かつての戦いで破壊されたと思っていた残り4体の気伝獣と、 それを操る気力を得る秘宝・天宝来来の珠の暗示に違いなかった。どうして自分がそんな夢を……と困惑するリンは、 再び現れた口紅歌姫との戦いの最中、不思議な光に包まれて姿を消す! 彼女が移動した先――そこは、中国の砂漠であった……。
 リンに顔を傷つけられて以降、ひたすら私怨にこだわってリンを狙う口紅歌姫は、雑魚準拠なのですが、口出し着ぐるみという、 面白いデザイン。
 にしても、前回の鍵道化師といい、3幹部は全く尊敬されていないなぁ(笑) まあ物語としては、 敵の上層部と実働部隊の連携が取れていない描写を入れた方が、色々と言い訳が効いて便利だったりはするのですが。

◆第6話「風よブッちぎれ」◆ (監督:小笠原猛 脚本:荒川稔久)
 中国の砂漠を彷徨うリン。
 「亮、大五、知、将児、道士ー!」
 という叫びは、戦隊メンバー順かと思いきや、将児と和が入れ替わっているところに、根深い恨みを感じます。
 その頃、4人の仲間もリンを探して、中国の砂漠をジープで走っていた。
 砂漠でもジャケット姿の知ですが、マンガ『MASTERキートン』(原作:勝鹿北星/作画:浦沢直樹)に、 「背広に長袖、それに長ズボンは実際には直射日光をさけ、通気性もいい。知ってやっているとすれば、あの男、ただ者ではない……」 という台詞があるので、多分むしろ、ただ者でない、かもしれない。
 あと、釣り堀とWINSを行き来する生活を送っていそうな大五さんがパスポートを持っている事が判明して、一安心。
 ゴーマ3幹部もまた、ダイレンジャーが天宝来来の玉を手に入れるのを阻止するべく、砂漠へ。口紅歌姫の襲撃などを受けたものの、 何とか逃げ延びたリンは、精神体で目にした事があるダオス文明の遺跡にたどり着き、そこで傷ついた龍星王と遺跡の壁に埋まった 天宝来来の珠を目にする。だが、巨大化して遺跡を強襲する口紅歌姫。崩壊した遺跡を脱出したリンは4人と合流するが、 玉は遺跡の奥に埋まってしまい、リュウレンジャーが龍星王と口紅歌姫を食い止めている間に、リンは何とかそれを入手しようとする。
 巨大口紅歌姫に苦戦するリュウレンジャーの、
 「気力が足りねぇ……早く珠を!」
 という台詞はなんだか、「クスリが足りねぇ……早くヤクを!」みたい(おぃ)
 と思ったら、珠を手に入れての台詞が、
 「くぅぅ、気力が骨の髄まで染みるぜ!」
 だったので、大きく間違ってはいない模様。
 そして4体の気伝獣が復活。
 それぞれの能力を見せ(おおむね、ダイレンジャーの個人技のパワーアップ版)、最後は合体して龍星王の乗る空中ベース(ドダイYS) となり、口紅歌姫に突撃。「超必殺・天空大風車」により口紅歌姫を撃破し、洗脳された女性達も正気を取り戻すのであった。
 気がついたら、中国の砂漠
 しかも、不法入国
 とかいう凄い状態ですが。
 こうして新たな力を得たダイレンジャー、道士カクはリンに、「おまえはダイ族の血を引いている」という隠していた事実を 打ち明けるのであった。
 …………あ、あれ、め、恵との友情は……?
 途中の戦闘で恵に貰った髪飾りを強調するような演出があるのですが、結局、リンと恵の交流は、恵が正気を取り戻すくだりとは 一切関係ないまま(^^; まあ実際、一人でしゃべっている恵×ずっと無言のリン、と友情は発生前に打ち砕かれている のですが、最後にフォロー入れていい話になるのかと思ったら、なりませんでした(笑)
 つまりリンは、恵の態度に、「あっタマきたッ」
 納得です(おぃ)
 今回も2話完結形式。
 尺に余裕が出る事で展開が急すぎないのは良いのですが、必然的に一通りキャラクターにスポットを当てるのに時間がかかってしまい、 6話終了時点で未だ、赤と黄が駄目人間のままという恐ろしい状態に。
 圧倒的にレッドすぎる大五さんは、13話ぐらいで死にそうな勢いで疾走していて心配です(笑)
 次回、ようやくメインになりそうなので、盛り返せるか、天火星?!

◆第7話「裏切り者ォッ!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:杉村升)
 ゴーマ3幹部の前に姿を現した大僧正リジュ(大月ウルフ!)と、その弟子という鎧武者・鉄面臂張遼。
 「作戦を任されているのは我々3人」と3幹部は反発し、特にザイドスはいきなり張遼に襲いかかるが逆に技を返され、 更にリジュに叩きのめされる。「ゴーマはお怒りだ」と告げるリジュは作戦の主導権を握ると、 まずは道士カクを倒す事を張遼に命じるのであった。
 3幹部の上司?登場で、ようやく、ゴーマ側も組織活動めいてきました。
 幹部の一人を叩きのめす事で、リジュと張遼の強さも印象づけます。……ただ3幹部、あまりまともに戦った事が無いので、 どの程度強いのかよくわからなかったりはしますが(笑)
 街で買い物をしていたリンと将児は、子供が宙を舞う事件に遭遇。後を追って子供を助けると、その前に姿を見せたのは、鉄面臂張遼。
 緑と黄色も助けに駆けつけるが、張遼は圧倒的な力で4人をたたき伏せる。
 「気力中和・逆一文字竜巻」により、気力を操ってリンの必殺技を反射、そして気力と妖力を組み合わせて放つ「気力妖力合体・爆裂大地震!」 により、青以外の3人は、捕らわれの身となってしまう。鎌倉で両親の墓参りに行っていた為に合流の遅れた亮と将児は 「3人を助けたければカク自ら地獄谷へ来い」という張遼からの伝言を道士に伝える。
 張遼の正体……それは、現代のダイレンジャーと同じく、6000年前にゴーマ一族と熾烈な戦いを繰り広げた5人の戦士の一人であった。 だが張遼は戦いの中でゴーマ側へと裏切り、その結果としてダイ族は5体の気伝獣を失っていたのだった。
 遅刻を気にして、「俺が奴を倒す!」と意気上がる亮を部屋に閉じ込めた道士は、「これは私の仕事だ」と、 将児を亮の見張りにつけ、一人で戦いの場へと赴くが、亮、将児をひっかけて殴り飛ばして脱出。そして亮は、 道士と張遼の激しい戦いをその目にする。
 6000年前、張遼がゴーマへ裏切った理由……それは、気力のみならず妖力を手にする事で、「真の力を得る事」にあった。 そんな張遼に、「気力と妖力は光と影、光が無ければ影は生まれず、気力こそが真の力」と挑みかかる道士。
 冒頭にザイドスを一蹴→ダイレンジャー4人も子供扱い、という流れで、その張遼と互角に戦う道士の強さが上手く出る展開。 どうやら張遼と旧知のようで、道士の胡散臭さもヒートアップ。
 二人が戦っている間に、囚われの3人を助けようとした亮だが、雑魚に見つかってしまう。そちらへ気が逸れた隙に、 滅多切りにされる道士。そして道士を助けようとした亮も張遼の力の前に為す術も無く倒れてしまう。 張遼の剣が亮に振り下ろされようとしたその時、響き渡る道士の叫び。
 「その子は、亮は、おまえの息子だぁッ!!」
 亮と妹のわざとらしい墓参り(回想シーンで父の顔を出さない)で読めた展開ではあったものの、 道士がただひたすらに胡散臭い。

◆第8話「おやじぃぃッ!!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:杉村升)
 カクの言葉に振り下ろした剣を止め、その場を去る張遼。場面変わって本部のシーンなのですが……あれ、雑魚が居た筈なのに、 捕まっていたメンバーはどうやって助けたのでしょう?(^^; 張遼が居なくなったので、傷をものともせず道士が瞬殺?  さすがにここは適当すぎたような。というか前回、亮が仲間を助けようとして雑魚に見つかるという状況そのものが不必要で、 普通に道士vs張遼戦に乱入させてしまえば良かった気はします。まあ、それが道士敗北のきっかけになると亮の立場がなさ過ぎますが、 基本的には“未熟者”というのがメンバーの立ち位置ですし、現状、何もしなくても亮の立場は非常にないので、 構わなかった気はします。
 5歳の時に死んだ筈の父が生きていて、しかも6000年生きるゴーマへの裏切り者だったという驚愕の事実に、激しく狼狽する亮。
 「私は陰ながらおまえが成長するのを見守り、ダイレンジャーにする事にした」
 と、道士の口から明かされる、亮スカウトの理由。
 ほぼ説明もないままダイレンジャーとなっていた5人ですが、これで一応、亮とリンにはそれなりの必然性があってスカウトされた事が 判明しました。こうなると残り3人も何かないと不自然になりますが、さて、今後語られるのかどうなのか。
 それにしても道士は、陰ながら見守っていたと宣う割に最悪の状況を迎えるまで肝心な事を説明しないという、 安定のタチの悪さ。

 どうしてこの人、嫌な先輩・上司・教師道を邁進するのでせう(笑)

 そして、5歳の時に死んだ筈の父が約6000歳の上に「気力妖力合体!」とか言ってしまう 俺より強い奴に会いに行きたい感じの鎧兜の怪人だったという、とても受け入れがたい事実に海岸で黄昏れる亮。 その前に、ゴーマによる支配は確実だからダイレンジャーを抜けろ、と張遼が姿を見せるが、亮は勿論それを拒否する。
 「なぜお袋と結婚なんかしたんだ! 仲間を裏切り、ゴーマになった貴様に、人を愛する気持ちがある筈がない!  何故なんだぁぁッ!」
 亮の慟哭の問いかけには答えず、張遼は無言で去って行くのであった。
 一方、亮が息子だと知って剣を納めた為に、張遼がダイレンジャーもカクも仕留め損ねた事でメンツを潰された大僧正リジュは、 ノコギリ大僧正の正体を現すと、自ら出撃。ダイレンジャーを誘い出すと異空間に転移し、張遼に見せつける形で、 ダイレンジャーを叩きのめす。
 見た目が微妙な割に、気力ボンバーをあっさり破るなど、圧倒的な力を見せる大僧正。ダイレンジャーは変身も解け、 張遼への見せしめの為に集中攻撃を受けた亮は、血を流して倒れる。無残な戦闘の様子を正視できず、背中を向ける張遼……その背に、 追い詰められた亮の叫びが響く。
 「おやじ……助けてくれ、おやじ……おやじぃぃッ!!」
 大僧正のとどめの一撃が亮に迫るその時、息子の叫びに心を動かした張遼、リジュを攻撃。
 ……何この困った人。
 壮絶な戦いの末、張遼の剣は大僧正を貫くが、張遼もまた致命傷を負って倒れてしまう。父の元に駆けつけ、抱き起こす亮。
 「私は……裏切り者だ。だが、心の片隅から、どうしても、愛を捨てる事が出来なかった。だから、おまえの母親と……許してくれ……」

 何この凄い駄目な人。

 死に瀕した張遼の前に、かつて共に戦った4人の戦士の精神体?が姿を見せる。張遼と4人の戦士は、 かつて5人が揃っていなかった為に発揮できなかった、天宝来来の玉に秘められた力を解放し、消えていく…… 残されたダイレンジャーの前に姿を見せる、父の仇、巨大ノコギリ大僧正!
 「みんなぁ、転身だァッ!!」
 亮の叫びともにダイレンジャーは気力転身、そして気伝招来!
 今、5体の気伝獣が五星合体!!
 その名を、大連王!
 テロップが漢字だったので、正式にこれで良い模様。
 中華テイストだった筈なのに、なぜか日本刀装備。
 日本刀、好きだからいいですが。
 デザインは非常に格好良く、すれ違いざまの一閃でノコギリ大僧正を撃破。
 せっかく8話まで溜めた割には、玉の力が解放された途端にごく当たり前のように合体してしまったのは、少々勿体なかったですが。 合体プロセスは、もう少し盛り上げてほしかった。
 かくてダイレンジャーは、哀しい戦いを経て、新たな力を手に入れた。世界の支配を企むゴーマの野望を、打ち砕け、ダイレンジャー!
 えー……それにしても鉄面臂張遼。
6000年前の戦いで、もの凄く身勝手な理由でゴーマ側に裏切る

結果として4人の仲間は倒れ、気伝獣も行方不明に

詳細はわからないが、6000年、ふらふら

20数年前、若い娘といちゃいちゃしたくなって、結婚。二人の子をもうける

長男が5歳の時、妻子(子供?)を捨て、死亡扱いで失踪
(※順序は語られないので不明ですが、恐らく、奥さんが亡くなった後に逃げたパターン

約20年ぶりにカク道士を倒しに現れる

生き別れの息子と出会ったけど、言われるまで気づかない

半日前に再会した息子可愛さに、もう一回裏切る

なんとなく許された気になって死亡

 こんなハイレベルな駄目人間は久しぶりに見ました。

 「愛」がどうとか「裏切り者」だからとか一切関係なく、純然たる人間のクズ。
 結局、亮母との馴れ初めは語られなかったので、戦いで怪我した所を助けられてその優しさに〜とか、 いい方にステレオタイプなネタを妄想して補完する事は可能ですが、とてもいい方向に補完する気になれません(笑)
 そして判明したのは、亮は駄目人間の血統という事。
 せっかくの亮回だったのに、むしろなにか、裏付けられた!(おぃ)
 気をつけて、リン!
 あと、最終的に張遼にざっくりやられてしまう大僧正よりも、「そんな奴は信用できない」という3幹部の方が、 人を見る目があった。
 大僧正リジュ役、いつも素敵な大月ウルフは演技がほとんどハスラー教授になっていましたが、これはむしろ、 そういうオーダーをされたのでは、という感じ。2回で死亡してしまったのは、残念。
 鉄面臂張遼役の伊吹剛も割とビッグゲストだったのではという気がするのですが、劇中でほぼ面頬つけっぱなしで顔が見えず、 しかも駄目人間という、ちょっと扱い酷い(^^;
 一応、亮の背景が明かされる回だったのですが、わかりやすい熱血キャラにはなっているものの、思ったほど個性が出なかったのは、 ある意味ではレッドの宿命か。
 また、直前のシーンでも父と決別している亮が、命の危険が迫った途端に、父に助けを求める、というのはあまりに唐突。 「あくまで父親を信じている」とかならまだしも、あの流れで、認めていない筈の父親に助けを求めてしまうのは、 感情の動きとして無理があります。
 “情けなく父親に助けを求めてしまうヒーロー”を描く、という作り手のメタな満足感が優先されてしまった感じで、 よろしくありませんでした。
 次回、ようやく知さんのターン………………

 あ、あれ?!

→〔その2へ続く〕

(2013年3月9日)
(2019年11月24日 改訂)
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