■『烈車戦隊トッキュウジャー』感想まとめ6■
“加速 連結 大増発だ
虹の烈車が oh! 駈けつける”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『烈車戦隊トッキュウジャー』
感想の、まとめ6(31〜36話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・
〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕
・ 〔劇場版〕


- ◆第31駅「ハイパーレッシャターミナル」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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アクション監督、渾身の大乱戦。
激突する幹部クラス、やってきたトッキュウ1号、面倒くさいので全員を攻撃する皇帝陛下。
シュバルツ様とノア夫人のアクションは相変わらず格好良く、モルク侯爵もあんな着ぐるみで頑張って動き、
攻守と攻撃相手を目まぐるしく入れ替えながら、5人が入り乱れる戦闘は非常に面白かったです。
6号はネロ男爵と交戦し、割とテンション上がりやすい体質の男爵は、宮廷格闘術から関節技を披露。
そして残りの4人は、コタツに潜んでいた。
幹部陣とトッキュウ1号がが迫力のバトルを演じている一方で、トッキュウ2〜5号は、お笑い気味のシャドー怪人と、
お笑い気味のバトルを展開。好みの出る所ではありましょうが、「ちゃぶ台返し」などくだらないネタを割と真剣に入れてくる辺りは、
実に今作らしい間合い。
というわけで蓋を開けるとかなり力の入ったバトル回でしたが、シュバルツ様が皇帝の中のグリッタの気配に気付き、
陛下は腹痛で早退。1号は自分の目的の為に他者を傷つける事を厭わないゼットを初めて本気で敵と認識する、と人間関係はかなり進行。
そしてレインボーラインの総裁(ウサギ)が登場し、車掌は思わぬ話を聞く事に。
しかし一番驚いたのは、机シャドーが次回に引いた事です(笑)
声はボスキャラ級(飯塚運昇)ではあるのですが、ただのお笑い怪人だと思っていましたよ。
シャドーとの戦いでこびりついた闇を、ターミナルで綺麗に洗浄・整備されたトッキュウレッシャーとサポートレッシャー。だが、
その闇はトッキュウジャー達にも影響を与えていた? 果たして、トッキュウジャーの問題とは、レインボーライン上層部の思惑とは。
次回、予告でもあおる急展開!
- ◆第32駅「決意」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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いやーーーーー、良かった!
今回は、素晴らしかった。
傑作回。
「俺たち、本当は、子供って事だろ」
トッキュウジャーの秘密が遂に明かされ、シャドーラインの闇に対抗できるイマジネーションを持った子供達に、
戦闘に都合がいいように大人の体を与えていたという所までは、総裁、外道という話なのですが、
そこから、このままでは元の子供に戻れなくなると持っていく事で、
“現世から切り離された5人の戦隊”であり、“現世へ帰着する事”をその目的としていたトッキュウジャーの根本を揺らしてきました。
「大人になったままじゃきっと、ママ達に気付いてもらえないよ?! 街が元に戻っても、一緒に暮らせないかも……」
そしてそれが、ここまで31話で丹念に積み重ねられてきたからこそ、重く響く。
時折妙に子供っぽいところを見せるメンバー、時の止まったシャドータウン、
過去にも1年物の作品だから出来る長いスパンの積み重ねを劇的に活用する事に成功している小林靖子ですが、
散りばめていた諸々を重ね合わせ、容赦のない一撃を浴びせてくる手腕はさすが。
また、いわゆる伏線だけではなく、物語を重ねていく必然としての「成長」が“大人になっていく事”として盛り込まれており、
積み重ねの意味が生まれているのも、素晴らしい。
偉い人が今まで黙っていた秘密をさらっと明かす、というのは良い手法ではないものの、その瑕疵を吹き飛ばす、
強烈かつよく出来た展開になりました(一応、レインボーライン側としては、
ライト達のイマジネーションを弱めない為にギリギリまで真実を隠していたのだと思われ、総裁はやっぱり外道)。
「俺たち、もう変わってるよ……秘密基地の頃とは。どこがどう、ってわかんないけどさ」
その頃、シャドーライン側では女狐と古狸が探り合い、すっかり陰謀から縁遠くなったネロ男爵は、
ハイパーレッシャターミナルを襲撃する第2陣を送り出す。
「ダイニングセットブラザーズには、まだ弟達が」
こんなシリアスな展開なのに、またそいつらかっ!
しかも、増えてる!
今のトッキュウジャーを解散させた場合、イマジネーションに優れた子供達を見つけ出して新たなトッキュウジャーを結成するしかない……
だがそんな余裕もないままにシャドー怪人がハイパーレッシャターミナルに迫り、緊急警報に、立ち上がる明。
「俺1人で充分だ。あいつらが街へ帰るレールを守る。とっくに決めた事だ」
いい笑顔。
今回、明かされた真実に向き合うトッキュウジャー、という軸も良かったのですが、もう一つ、明の扱いがとても良かったです。
自分の世界に浸るひとりロールプレイ男だった明が、ここで5人を気遣う姿が、非常に格好いい。
「なんだ、寂しい出迎えだな」
「俺には派手な死に場所だ――トッキュウチェンジ」
立ち位置の違う追加戦士が物語の中で蔑ろにされる事なく、違う立ち位置ゆえの格好良さを見せる、と素晴らしい作り。
そして、それぞれが選択を悩む中、走り出すライト。
「俺決めたんだ。シャドーライン倒すって。それを誰かに任せて、戦いが終わるの待ってるなんて、死んでも無理」
「でも……!」
「元に戻れなくなって、母さん達に俺だってわかってもらえなかったら、その時は……多分……泣くかな」
「それでいいの?」
「うん、いい。シャドーを倒すのも、元に戻る街も、俺には見えてるから。自分でやらなきゃ、
勝利のイマジネーションは絶対に見えない! だから俺は――トッキュウジャー続ける」
戦いの場へ急ぐライトは踏切に捕まり、遮断機の向こう側に子供の自分の姿を見つける。――そして戻る、祭りの日の記憶。
大切なものを自分の手で取り戻す為に。
見つめ合った2人は頷き合い、走り出したライトは、笑顔の子供ライトとハイタッチですれ違う。
ここで、作られたヒーローだったトッキュウジャーが、32話にして、真のヒーローになる。
ごっこ遊びの延長線上として、かなりメタな要素を含んだヒーローを描いていた今作において、大切なものを取り戻す為に、
子供の自分を乗り越えるという痛みを得て、少年はヒーローになっていく。
前のシーンで「人任せにしないで自分の力で」という古典的なヒーローテーゼを、
今作のキーワードである勝利のイマジネーションと繋げて語らせた上でそこで終わらせず、そうやってヒーローになるという事を、
“子供の自分を追い越していく”という映像で描く。
そして子供のライトはその時そこに置いていかれるのだけど、しかし、笑顔でライトの背中を押す。
絶句。
今回トッキュウジャーに突き付けられた問題は、突き詰めればやはり古典的な自己犠牲のテーゼなのですが、それを、
こういった形で描くやり方があるとは、脱帽です。
「戦いと別離」「ヒーローになる」「時間の積み重ね」というのは、メインライター小林靖子が過去にも使ってきたテーマでありますが、
脚本家としての生まれも育ちも東映ヒーロー物であり、長くヒーロー物に携わってきた視点と愛を感じる展開。
書いている方にそういった意識はないかもしれませんが、見ている方としては、小林靖子20年の一つの集大成を見る思いです。
ターミナルに残っていた4人も、これまでの旅を振り返り、自分達がやるべき事を選び取る。
「私達が変わっても、きっと街は変わらないね」
「だから、取り戻さなきゃ」
“自分達が街に戻る”事よりも、大事な事がある。
あの街を、そこに住む人々を取り戻す為に――。
走り出す4人、笑顔で見送る子供達。
もう戻れないかもしれない時間、けれど今やるべき事、やりたい事はたった一つ。
ダイニングセットブラザーズに苦戦し、追い詰められたライトと明を助けに飛び込む4人。
「ライト。僕たちも一緒に見るよ、勝利のイマジネーション」
「トカッチ、みんな……」
「俺たち5人は、いつも一緒だ」
「……そう。一緒だ」
子供の友情と、大人の決意がシンクロし、進むべき線路を定める5人。そしてそのレールを守ると誓う明。6人は揃って変身し、
反撃開始。縦並びに走りながらの連続攻撃でブラザーズを痛めつけ、トドメは大回転砲+ドリル。
6号がさすがにそろそろ寂しくなってきたので、合わせ技を考えていた模様です。……まあ、ドリルはシュバルツに奪われているので、
ドリルっぽい気合いですが。
ギャグっぽい割に意外に強いブラザーズに超トッキュウオーとディーゼルオーも苦戦するが、その時、
トッキュウジャーを続けるという5人の意志を尊重した総裁が、ハイパーレッシャターミナルの使用を許可。ターミナルが変形し、
新たな巨大ロボ、ハイパーレッシャテイオーが誕生する!
駅そのものが単体でロボット化し、超トッキュウオー並の大きさのテイオーは、ずんぐり体型もあり、どことなく、相撲アクション。
指から放つビームなどでブラザーズを弾き飛ばし、トドメは
「ハイパーレッシャテイオージャイアントフラッシュ!」
……長い。
ドラマ部分に力を注いだ為、テイオーは凄くついで感が漂いましたが、大きな転機にふさわしい新ロボ登場ともなりました。
今のところ、ビームが強い、以外の特色が感じられませんが、今後に期待。クリスマス前には、全合体してくれる事も期待(笑)
自分達の置かれた立場を知り、同時にそれぞれの本名を思い出す5人。大切な物を取り戻した時、
そこに自分達の居場所は無いかもしれない。けれど、一つだけ、わかっている事がある。
5人は、いつも一緒。
――俺たちはここにいる。
32話目にして帰るべき現世での名前を取り戻すも、ヒーローである事を選び、
子供から大人へと変わっていくトッキュウジャー5人は果たしてどうなるのか。この先どんな結末が待ち受けているかはわかりませんが、
とにかく、今回は傑作でした。ここに辿り着いただけでも、もう、シリーズとして傑作認定したいぐらい。
一つ一つの要素が目新しいわけではないけれど、様々な要素を重ね合わせ、子供から大人への脱皮を、痛みを越えて何かを選ぶ事で描く。
ここに至る物語の積み重ねを最大限に活かし、素晴らしいエピソードでした。
そして今回、陛下がイメトレの時に度々口ずさんでいた「きーらきーらひかる♪」の元が、どうやらライト達の歌であった事が判明。
以前にも「闇の中で最初に見たキラキラはライトだったかもしれない」という発言がありましたが、裏打ちされる形になりました。
ライト達が、子供の心に大人の体を与えた存在という事が判明したので、もしかしたらゼットも、
闇の皇帝の依り代になっているだけで本来は子供、忘れられた6人目の幼なじみが居た、という可能性も、
あるかもしれないなどとは考えてみたり。
次回、『トッキュウジャー2』始まるよ(嘘)。
- ◆第33駅「カラテ大決戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
-
OPにハイパーレッシャテイオー追加。なんかもう、相撲取りにしか見えない。
レインボーライン総裁の外法が判明し、名前と記憶を取り戻したライト達は、シャドーラインとの戦いに決意を新たにする。
トレーニングに励む5人+明だが、隣の駅がシャドーに乗っ取られたという連絡に急ぎ向かうと、そこで謎の空手集団の襲撃を受ける。
冒頭で、ライトの祖父から空手を学んでいた事を思いだしたライトとヒカルが空手の型を行い、皆は筋トレ、
駅に着いた途端の生身バトル、そして階段を転がるトカッチ、と生アクション盛りだくさん回。
最大の見所は、空手老人の手を優しく取るヒカルを見て
「え?!」
という顔をする、全員。
容赦ない。
実は空手集団の目的は、ライト達の腕試しをする事にあった。
注射器シャドーによって占拠された街の人々は、時間とともに毒を注入するブレスレットをはめられてしまい、
その死のタイムリミットが日没に迫っていた。ブレスレットを破壊する手段はただ一つ。
多数のクローズを従えて高層ビルに陣取る注射器シャドーの腕の注射器を壊す事。
街の腕自慢達がビルに乗り込んだが全て撃退されてしまい、街の人々は助っ人になる戦力を求めていたのである。
「武道が盛ん」という理由で、通りすがりの一般人を襲撃してくる街が凄く嫌ですが、これは『七人の侍』パロディか(^^;
集団のリーダーだった老人の説明を受け、ビルに乗り込もうとするトッキュウジャーだが、
そのまま乗り込んできたらタイムリミット前でも一気に毒を注入してしまうぞ、
と脅され変身解除した所で毒のブレスレットをはめられてしまう。一度烈車に戻った6人は作戦を練り直し、ヒカルの発案で、
ライトとヒカルの2人が、陰湿な注射器シャドーのゲームに乗っかって、ルール通りに生身で正面から突入する事に。
突撃を前にヒカリは、かつてライト祖父に頼んでライトと空手の試合をさせてもらった事、
負けた後で陰で泣いていた所をライト祖父に励まされていた事を告白。
「悔しいな。あんな、ろくに練習もしないサボり坊主に負けるなんて。あいつの強さはもう、
持って生まれたもんとしかいいようがない。余計に腹が立つな?」
ライト、回想シーンで身内からマッドヒーローぶりを補強される。
「でもな、こんなに、一生懸命練習した手が、弱いわけないぞ。ほら、触ればどれだけ頑張ったか、すぐわかる」
記憶が戻った所で、ライト達の過去に“子供を導くいい大人”(すなわちそれは、トッキュウジャーの指標である)が出てきたのは、
非常に良かった所。祖父役も、好キャスティング。どこかで見た顔と覚えのある台詞回しだと思ったら、「五代雄介、
こういうのを知ってるか?」の神崎先生か!
「今度はな、少し、遊ぶぐらいのつもりでやってみろ。ライトなんかぶっ飛ばせる!」
ヒカルの回想に、思わぬダメージを受けるライト。
「何それ……じいちゃん……俺の味方じゃなかったのかよ……」
ライトのディーゼルレッシャー(爺ちゃん)への愛情が、実の祖父由来だったと繋がったのは、細かく巧い。
「――ライト、勝負しない? どっちが多く、クローズ倒せるか。先生の言う通り、少し遊ぶぐらいでやらないと、駄目かも」
「わかった。絶対勝つ」
そこへ空手爺が乱入し、3人はビルの中へ。ここからは、クローズ軍団vsライト&ヒカリ+おまけによる、大カラテ祭。
ライトは前半から結構生で動かされていましたが、最近それとなく飛び蹴りなど放つヒカリは、役者さんが極真空手の初段との事。
道理で、蹴りが綺麗。
数多のクローズを蹴散らし、遂に最上階へ辿り着く3人だが、注射器はタイムリミットを守らず即座に毒を注入しようとする。だが、
そこへ飛び込んでくるキャリアカー。注射器が人質を使ってくる事を見越したヒカリの策により、
飛び込んできた4人が不意打ちで注射器を取り押さえるが……注射器もまた、実はダミー、という罠を張っていた。
果たして本当の注射器はどこに居るのか、このまま毒を注入されて街の人々もトッキュウジャーも全滅してしまうのか。
作戦失敗とうなだれるヒカリと揉め始めるライト。一触即発の2人が拳を振り上げ、その向かった先は……後ろで様子を見ていた空手爺。
ずっと背後で2人の戦いを見ていた爺こそが、本物になりかわった注射器シャドーだったのである。
ビルの前で横から飛んできたブレスレット、その方向から走ってきた空手爺、そして手。
「空手なんか全然やってない手だった。先生とは全然違う手だ」
ヒカリが優しく手を取って仲間を仰天させたのは、師匠みたいなタイプには優しいという事ではなく、
あくまで推理の裏付けの為だった、と鮮やかに伏線が繋がり、アクション回ながら筋肉のみに頼らない事で、
ヒカルの特徴も良く出ました。如何にもライト祖父と重ね合わせた人の好い空手爺、が真犯人という流れもお見事。
改めて見直すと、爺が乱入してきた時の、喜ぶでもなければ止めるわけでもない微妙な表情と態度は、(しめしめ、
引っかかった)という顔だったのか。
2人のの喧嘩も作戦通り。ヒカリは鮮やかな蹴りで注射器を砕き、ブレスレットから解放されたトッキュウジャーは変身すると、
1号が早速ハイパー化。4号がビルの外に吹き飛ばした所を急降下しながらの終電烈車砲でシャドー怪人を撃破する。
巨大化した注射器にエネルギーを吸われて超超トッキュウダイオーが苦戦に陥るが、関取召喚。
ハイパー関取スマッシュで瞬殺するのであった。
新ロボ登場の次の回とはいえ、超超トッキュウダイオーが実にざっくりとテイオーの踏み台になってしまったのは、
ややいただけない所。テイオーの力を印象づけるにしても、相手の特殊能力があったとはいえ、
超超トッキュウダイオーを苦戦させるのは早かった気がします(^^; 超トッキュウオーなら納得いくけど、
それだとビルドダイオーが余るとか、色々都合はあったのでしょうが。
関取自体が、何となくデカくてキラキラしているから強いだけで、あまりイマジネーションとか関係ないのも、勿体ない。
要塞ギミックのロボットは、どうしても火力のある箱扱いが多いですが、ここから一ひねり、欲しい所です。
大傑作だった後の単発話でしたが、甦った過去の記憶を盛り込んで、良くも悪くもパターンになりがちなクールポジションのヒカルが、
男の子の負けず嫌いを発揮してライトと絡む、というのは良かった所。前半少しばたついたきらいはありましたが、
細かい伏線の積み重ねが効いたテクニカルな好編。忘れられていたカーキャリアレッシャーを活用したのも良し。
また、前回を受けた変化として、車掌が5人に対して「慌てて大人にならなくてもいいんです」という、
ある種の保護者ポジションに移行。作品としては(構成的な必然性もあり)「ヒーローになる事」と「憧れた大人になる事」
を掛けて肯定的に描いているのですが、その為に“子供の時間”を犠牲にする事を全肯定するのも問題があり、
車掌がそこにくさびを打ち込む存在になりました。これでようやく、車掌が物語の中で意味のあるポジションに収まってくれればいいのですが。
次回、トカッチ、恋の大爆死。
- ◆第34駅「恋は大騒ぎ」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁)
-
見所は、しれっと烈車の外に出ているワゴンさん。
いいのか。あれはいいのか。
駅から駅の移動中、女子の始めた恋愛ネタに、トカッチどっきどき。なおライトは食事中、ヒカリは読書中で興味無し。
行き先の駅にビリヤードシャドーが出現し、撃退するトッキュウジャーだったが、ミオがそこで助けた男・表参道に一目惚れされ、
付きまとわれる事に。
ビリヤードシャドーは、トッキュウジャーが番号である事と絡めた「次は3番を木っ端微塵だ」や、
撤退時の台詞「素人のマッセはげんき〜ん」など、小ネタが秀逸。
話を聞かない粘着質な表参道に言い寄られて困ったミオは、通りすがりの明を彼氏に偽装。ヒカリ以外、激しく動揺する3人(笑)
余計な事を言おうとして、人体急所に肘打ちを2回ぶち込まれる明。それでもしつこい表参道を諦めさせる為、ワゴンさんの入れ知恵で、
ミオと明は偽装デート見せつける事に……と冒頭から激しく引っかき回すワゴンさんが大活躍。
明はスーツに身を包み、ミオは私服スカート姿を披露。ヒールを履き慣れない仕草が入ったりとか、細かく可愛い演出。
ヒカリ以外のメンバーも黒服コスプレに身を包むが、ひたすら面倒くさそうなヒカリは、一応トカッチに気を遣ってか、
ライトの参加を食い止める。
「ライトも留守番。ここはトカッチに任せよう」
「なんで?! せっかく着替えたのに」
「いいから。ライトが行くと、余計にややこしくなる」
そこは間違ってないが、これはこれで残酷なパスになりそうな予感しかしません(笑)
しばらく、偽装カップルの2人−それを尾行する表参道−更にその後ろから指示を出すトカッチ・カグラ・ワゴン、でコミカルに展開。
カグラが集音アンテナを構えているのが無駄に細かい。
色恋沙汰が苦手なミオと、社会常識に疎い明、というぎこちないカップルがネタとして思わぬ相性の良さを見せ、
リアルな固さがかなり面白い事に。ミオの恥じらいを気にせず、手を繋いだりベンチで隣に座ろうとしたり、
ひたすらワゴンの指示通りに動く明だが、さすがに表参道に怪しまれてしまい、ワゴンさんが最後の手段を指示。
「私の言う通りに、お芝居してね」
烈車から出かける間際にワゴンに渡された箱を開いた明は、中から指輪を取り出す。
「トツゼンダガミオ、オレトケッコンシテクレ。キュウリョウノ、サンカゲツブンダ」
思わず飛び出す表参道……とトカッチ。
なんだかんだ拒否する、ミオも乙女。
いよいよ2人の仲をでっちあげだと言いつのる表参道は、キスを要求。
ところでもう、7時51分なんですが。
「いいだろう。――安心しろ。キスぐらい知ってる」
自信満々の明はがしっっっと表参道の肩を掴み、トカッチのコケ芸の後押しもあり、
表参道と濃厚な口づけを交わす。
……変にリアルだから、唇ぬぐうな(笑)
天使の羽が舞い落ちる中、そこへビリヤードシャドーと戦っていた1号と4号が吹っ飛んでくる。
「あ、あれ? ユー達、何やってんだ」
「何って言われても、「「ねー」」
やたら息のあったコンビを見せるカグラとワゴンさんですが、ワゴンさんの中の人は、5号の中の人と兼任だとか。
「まあいい。ユー達とも、突き合ってやるぞー」
「悪いけど、付き合う付き合わないとか、もううんざり」
「同感だ」
揃い踏みしたトッキュウジャーは変身し、名乗りをキャンセルして突撃した3号と6号が華麗なコンビネーションでビリヤードの球を弾き返し、
ますますジェラシーの炎に包まれる2号。ビリヤードの変化球攻撃に3号と6号がダメージを受けると2号は1号が取り出したハイパーレッシャーを奪い、
猛然と突撃。
「やっぱり……かなりのストレスだったか」
…………えーと、ヒカルさん、面倒くさくなって、わざと、やっていたんですかやっぱり。
「そもそもおまえのせいで、こんな事になったんじゃないか!」
嫉妬と憎しみの力でハイパー化した2号は、マウント攻撃から怒濤の大回転キャノンでビリヤードシャドーを粉砕。
「まだ僕の気持ちは収まらない。来い、ハイパーレッシャー!!」
巨大化したビリヤードに対し、そのまま勢いで関取を召喚すると、ジャイアント関取スマッシュでビリヤードを滅殺し、
嫉妬の力を見せつけるのであった。巨大化後、ビルの屋上を台の代わりにしてブレイクショットを放つなど、
色々面白かったビリヤードシャドーですが、愛の前に敗れ去りました。
3「トカッチ、なんかあったの?」
5「さあ? わかんない」
6「まさか……俺があいつにキスしたせいか……?」
4「キス?」
地上では、何か変な疑惑が生まれていた(笑)
そして熱いベーゼで繋がれた表参道は明に心を奪われ、次の駅に向かう明は妙な視線と悪寒を感じるのであった……でオチ。
最近、物理的に死にそうにならなくなっていたトカッチが、精神的に死にそうになるという新たな芸を披露。大和屋さんの持ち味が生き、
楽しいエピソードでした。メイン以外のキャラクターも活き活きと動き、面白かったです。
ところであまり深く考えない方が良いのでしょうが、トッキュウジャーの正体が判明した事により、
メンバーの恋愛ネタには若干のアブノーマルな要素が含まれる事になったのですが、むしろそこで正面から突っ込んできたというのも、
凄いといえば凄い(笑)
次回、ターミナルジャック。
そして遂に、夢の炎神王G12超えなるか?!
- ◆第35駅「奪われたターミナル」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子)
-
自分の中の、シュバルツへの想いを自覚するゼット。
「シュバルツ様……」
……ん? なんか違う?
先日物凄く格好良く撃退したばかりなのに、いきなりクライナー軍団の襲撃により占拠されてしまうハイパーレッシャターミナルですが、
その理由が「陛下が機嫌悪かったから」って、それでいいのか(笑)
ターミナルをシャドーラインに奪われては、レインボーラインは敗北し、全ての駅が闇に沈んでしまう。それを阻止する為には、
全13両のトッキュウ烈車によってターミナルの特殊機能を発動し、闇を吹き飛ばすしかない。
ライト達は総裁が脱出してきた闇の隙間からターミナルへカチコミをかけ、明はドリルを取り戻す為にシュバルツの元へと向かう。
前半ここまで、各キャラに台詞を順々に言わせているという感じで脚本も演出もテンポが悪かったのですが、
立ちはだかるシャドーライン幹部との戦いは、大迫力。
緑の人がなんか凄い動きして、ネロ男爵もつられてそれに対抗し、ノア婦人は相変わらずあんな格好で走ったり回ったり大暴れ。
モルク侯爵もあんな頭で1号と立ち回り、大変な事に。
一方、シュバルツから問答無用でドリルレッシャーを奪おうとする6号は、武器を投げ捨てた……
と見せかけて跳弾ならぬ跳剣で攻撃するなど、新たな変則アクションを披露。しかし闇の皇帝の登場によりライト達が危機に陥った事から、
6号は変身を解除してシュバルツに頭を下げる。
どんな条件でも呑む、という明の言葉にシュバルツは取引を受け入れ、ドリルレッシャーを手に入れてライト達の元へ急ぐ6号。
闇の皇帝に吸収されそうになるライトだが、すんでの所をゼットの中のグリッタに救われ、陛下は撤退。そこに烈車がやってきて、
全てのトッキュウ烈車により、ターミナルの秘密システムが発動する。
それこそ、夢の14体合体・トッキュウレインボー!
侯爵「立った……」
男爵「……だけ?」
炎神王G12を超えた14体合体〔レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク、ディーゼル、タンク、カーキャリア、
ファイアー、ポリス、シールド、ドリル、ビルド、ハイパーレッシャターミナル〕のトッキュウレインボーですが、
ターミナル内部に各烈車の先頭車両が収納されて立ち上がり、頭が付くだけ、と正直ズルい(笑)
今後もう少しギミックが増えるのかもしれませんが、どこにどう烈車が収納されても構わない感じなのはどうなのか(^^;
意外や手足はちゃんと動いて、大火力箱物ではなく、格闘戦したりはするのですが。
それほどロボット推しの作品ではないですが、これまで、繋げて繋げて盛ってきた変形合体パターンと全く方向性が違ってしまったのも、
ちょっと残念。
仲の悪いシャドー幹部がしれっと「超クライナー合体」を発動するのは面白かったですが、
トッキュウレインボーはその圧倒的な巨大力により、トッキュウレインボーファイナルスラッシュでクライナートライを撃破。ひとまず、
シャドーラインの強襲を退ける事に成功するのであった。
戦闘終了後、明を除く5人がひどく疲れていたのは、先の伏線か?
シャドーラインでは、ゼットの中にグリッタの存在が残っているのが幹部全員の知る所となり、モルクの詰問に対し、
陛下はただ無言で鏡を見つめるのであった……何だかすっかり、三角関係みたいに(笑)
そして独りブルースハープを吹く明に、シュバルツが提示した“条件”とは何なのか……敵味方に波乱の種が蒔かれ、以下次回。
アクションは見所多かったのですが、新ロボ見せと伏線を張る事に終始した感じで、展開はちょっと雑なエピソードでした。
- ◆第36駅「夢は100点」◆ (監督:加藤弘之 脚本:會川昇)
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今作の視聴者層は、『若大将のゆうゆう散歩』と被っているのか問題。
烈車が立ち寄った駅が、かつて自分達を受け持った教育実習生・さくら先生の通う大学の名前だと思い出したヒカルは、途中下車。
かつて昴ヶ浜に居た事がある人ならば、闇に呑み込まれず街の事を覚えているかもしれない……とさくらを捜す5人だが、
そこへ人々に「0点」をつけて闇を生み出すマンネンヒツシャドーが現れる。そしてヒカルが再会したさくら先生は、
昴ヶ浜が闇に沈んだ事により、そこでの記憶ばかりか、そこで手に入れた夢をも失っていた……。
かつて自分達に夢見る事の大切さを教えてくれた先生が夢を失っている姿に幻滅する事なく、夢を取り戻して下さいと励ますヒカルが、
相変わらずの圧倒的な紳士力。
夢を見失った大人が、純粋な存在と出会って夢を取り戻す、というのは定番の構図ですが、それを本作の設定と上手く絡め、
逆の視点から描きました。予告からもう少し甘酸っぱい方面に行くのかと思っていたのですが、漂わせていない事はないものの、
もう少しストレートないい話で、綺麗にまとまった1本。
ひとつ重要なポイントとしては、教育実習に来たさくら先生がまだ大学生=昴ヶ浜がシャドータウンと化してからそれほど時間は経っていない、
という事が明確になりました。
次回、久々のシャドータウン突入に、ネロ男爵vsシュバルツ将軍。そろそろ、終盤戦に向けて加速開始か?
→〔その7へ続く〕
(2015年12月13日)
(2019年10月20日 改訂)
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