■『烈車戦隊トッキュウジャー』感想まとめ5■


“正義のホーム鳴り響くメロディ 勝利の合図”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『烈車戦隊トッキュウジャー』 感想の、まとめ5(25〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第25駅「おとぎ話が飛び出して」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
 1エピソードで3回も死にかけるさすがのトカッチ、貫禄を見せる。
 明はトカッチに弟子入りした方がいい。
 トッキュウジャーが降り立った駅では、ゼットがキラキラを手に入れるべく、妄想力の特訓中。 ピンスポシャドーに童話の主人公を実体化させるが、闇の力の影響か、実体化した主人公達はどれもこれもやさぐれてダメな人になっていた。
 ……これは、陛下の、ダメな感じが反映されているのでは(笑)
 ゼットは自分の役に立たなかったピンスポシャドーを切り捨て、とばっちりで衝撃を浴びて吹っ飛んでいるネロ男爵は、 芸風のバリエーションが加速度的に広がっていきます。
 早退した陛下に代わり、実体化した童話の主人公達を抹殺する事で大量の闇を生み出そうとするネロ男爵。 トッキュウジャーはそれぞれの主人公達を逃そうとするが、子供をかばったトカッチがピンスポの光線を浴びた事で、 幼いトカッチが想像で生んだ夢のヒーロー・リョーナイトまでが実体化してしまう……。
 以前のミオのシュウマイネタと被り気味になってしまいましたが、被った故に、トカッチとミオを絡める展開になったのか。
 あと、はだかの王様はどう転んでもダメな人ではないのか(笑)
 中盤、女性陣のコスプレ展開に持っていったのは可愛らしくて良かったですが、朝から王様の裸は要らなかったのではないか。
 何が、竹本監督を駆り立てたのか(脚本指定?)。
 憧れていた兄をモデルにしたリョーナイトの励ましで自信を得たトカッチは、 ライトとヒカリと秘密特訓していたコンビネーション技をぶっつけ本番で成功させ、ネロ男爵を退ける事に成功。……て、 冒頭でトカッチを瀕死に追い込んでいたのは、ライトとヒカリだったのか(笑)
 巨大化したピンスポシャドーは、サポートレッシャーは同一規格だからこんな組み替えも出来るよ! とビルドダイオー+タンク、 トッキュウオー+バケット、の踏み台にされてざっくり爆死。割と可哀想な扱いでしたが、なんだか久々に見た気がする二又怪人で、 楽しかったです。
 最後は花火で大団円で、トカッチがミオを意識し始める、と軽くネタ振り。恋愛要素を本格的に組み込んでいくのかはわかりませんが…… えーとあれだ……ライトだけ凄くモテませんね。
 「面白いけど、彼氏にするにはちょっとねー」と弾かれるタイプ。
 これまで社会との接点を失っていた5人が家族の記憶を取り戻した所で、家族がらみの記憶ネタを持ち込み、 “帰属する所”を描いていく展開なのですが、全体的にテンポが今ひとつ。以前のシュウマイと被ってしまったのも、 インパクト不足になってしまいました(^^;
 そんな中、シュバルツ様、思ったより早く復活。ノア夫人は鏡に映るグリッタの姿に気付く……と、 シャドーライン側は一旦落ち着くのかと思いきや、案外と目まぐるしく展開。果たしてあれやこれやはどうなるのか、 ネロ男爵のハイテンションはいつまで保つのか。一周回ってむしろ、男爵の死亡フラグが積み上がってきたぞ!  相変わらず、アクションは格好良くて素晴らしいのですが、男爵。前線に出ても、あまり役に立たなくなってきた(笑)
 次回、夏の終わりに海……ではなく、銭湯で戦闘。

◆第26駅「銭湯で戦闘開始」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁)
 2話続けて、ひたすら男の裸を撮り続ける竹本監督。
 酷いTVシリーズ復帰祝いです。
 注目は、あの男子達が意外と、女子の会話に興味があった、という事(笑)
 この辺り、男女の意識が盛り込まれだしているのはちょっとした仕込みでもあったりするのか。そこまでは考えすぎか。
 駅に降りた途端に大量のクローズと戦う羽目になったトッキュウジャー。烈車にも異変が起こり、一時停車して様子を見る事に。 街をぶらぶらしている間に道に迷ったカグラは、銭湯に向かう明と出会い、 明が一仕事終わった後に湯船に浸かるのをこよなく愛している事が判明する。だが、街で見つけた銭湯@ハムスターには、 借金の為に取り壊されるという運命が待ち受けていた……。
 人間の法律を活用して効率的に闇溜まり(ダークパワースポット)を入手しようとするシャドー怪人@タイムグリーンに対して、 「相手が怪人なら法律は無効だ!」実力行使に打って出るヒーロー超邪悪。
 伝説の名台詞、
 「俺たちが守るべきは法律じゃない。命と愛だ!」
 (ジャンパーソン/『特捜ロボ ジャンパーソン』)
 を思い出さずにはいられません(笑)
 動物好きエピソードとか要らなかったのでは、というぐらいかつてなくいい笑顔を浮かべまくる明がカグラと絡み、 ギャグ寄りの閑話休題エピソード。久々にテンション高いカグラが、ライトの見せ場を奪いまくってライトが落ち込むのは面白かったです(笑)  そんなカグラと明が大活躍の戦闘シーンは、トッキュウ6号のテーマ曲が初の歌詞入り使用。
 これで明と絡んでいないのは、ミオとヒカリか。ミオはともかく、明×ヒカリのエピソードは作りにくそうですが、果たして、あるのか。
 次回、お待ちかねの新幹部登場。そして強化。強化……強化……なんだ、アレ。

◆第27駅「新たな力を」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子)
 明がシャドータウンへの切り替えポイントを発見。車掌から、新アイテム・ハイパーレッシャーを受け取った5人は、 何だか様子がおかしいライトを心配しつつ、シャドータウンへと潜入する。一方、シャドーラインの本拠には、シャドータウンの管理人、 女侯爵モルクが姿を見せていた。
 陛下、押し倒される。
 シャドーライン1の古株であり、どうやら陛下の乳母的存在であったらしいモルク侯爵に、さしもの陛下も押され気味(身も心も)、 とここまでの幹部とちょっと違うアプローチ。……まあ陛下、基本的に畏怖はされても尊敬はされていませんが。
 そんな陛下に尊敬される大人になってもらうべく、侯爵は陛下をシャドータウンへと連れて行く。陛下を「弱い」と断言し、 そこでトッキュウジャーの姿を見せたモルクの真意は今のところ不明ですが、ヒーローのパワーアップと、陛下周りの布石を、 並行して打ってきました。
 とりあえず、白ラン陛下とハイパートッキュウ1号を戦わせたのは良し。
 ハイパートッキュウ1号は、見た目はどうかと思いましたが、さすがに動くと格好いい。両肩の装甲を活かして、 低い重心移動でアメフト的なタックルというアクションも面白くなりました。
 個人的に、赤だけ強化展開はあまり好きではないので、出来れば他のメンバーもパワーアップしてほしい所ですが。
 そして、
 ハイパー終電クラッシュ
 の、凄まじい何もかも終わり感。
 新武器の正式名称、終電烈車砲・ダイカイテンキャノンの、主にオトナ向けに漂う絶望感とか、 考えたの誰だ。
 エピソードとしては、高熱の時にシャドータウンに突入しないように、という話なのですが、ライトが自分の弱さに気付き、 “ただ敵を倒すだけ”に視野が狭くなっていたイマジネーションを切り替えて精神的成長を遂げる、というのは悪くなくまとまりました。
 誰の為に戦っているのか、を見つめ直すという段取りが組まれているのは、らしい所。
 個人的にはそろそろこの辺りで、もう少し重めの障害をトッキュウジャーにぶつけてほしい所なのですが、さてさて。 新幹部の登場にそこを期待していたのですが、次回はそういえばやっていなかった男の友情方面みたいですし、 浮上したシュバルツ様含めて、どの辺りで波を作ってくれるのか。
 ところで前回からノア夫人は縫い物しているように見えるのですが……あれ、陛下のストール??

◆第28駅「カッコ悪いがカッコ良い」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子)
 今日の教訓:皮肉は言った相手に届いて流されるより、天然に素で返される方がダメージが大きい。
 桃「うん、そうだね」
 赤「うん、グリーングリーン」
 TVの前の良い子も、遠回しにジェラシーを表現する時は、タイミングに気を付けよう!
 見所の多い回でしたが、中でも最大の見所は、ひたすら格好良いノア夫人のアンブレラ格闘術。
 振り回して攻撃するばかりではなく、開いて防御に使ったりするのもお洒落。
 ネロ男爵のステッキ格闘術も格好いいですが、正統派のシュバルツ将軍も含め、 シャドーライン幹部陣のデザインとアクションは本当に素晴らしい。その分、 新幹部のモルク侯爵が少し物足りなくなってしまってはいますが(デザインのインパクトは凄いけど)。
 陛下すら振り回され気味のモルク侯爵に「遊んでないで仕事してこい」と命令を受けたノア夫人は地上へ出ると、 帽子の飾り羽を飛ばして人間を凶暴化させる。
 ……被害者が物凄く派手に暴れていてストレス解消しそうで、いっそ心の中に溜まった闇が消えている気がしてなりません(笑)  周囲の人から闇が生まれるならわかるけど。
 そこへやってきたのは、今日も保線作業と死に場所探しに忙しい明。明は6号に変身すると、 クローズ相手に武器を……投げたーーーッ。そしてタックル、と今日もフリーダム。
 ネロ男爵に「手強い」扱いを受けたり、ノア夫人とサシで戦ったり、若干のブレはありますが、単体での戦闘力は一つ抜けている、 という理解で改めて良さそう。
 6号からの連絡を受けてトッキュウジャーが駆けつけ、女性陣とノア夫人がグリッタの件で絡んだのは良かった所。 暴れる人々から原因になっている羽を抜き取るトッキュウジャーだが、6号が弾いた羽が1号の後頭部に突き刺さり、 1号が暴れだしてしまう。
 緑「よりによって一番面倒なのに」
 うん、女の子(5号)に、平気で腹パンチするしね。
 桃「駄目だよ、ライトと戦うなんて……出来ない」
 暴れ回る1号に攻撃を受けながらも反撃をためらう4人だが、そこへ走り込んでくるオレンジの影は容赦なく打撃。
 青「あ……出来る人が、居た」
 責任を感じた6号は、1号と本気バトル開始(笑) とても羽を抜き取るだけでは済まなそうなその勢いに、 4人は6号を止めて一時撤退。ひとまず作戦を練る事になるが、羽に操られて暴れている一般市民が他にも居る事がわかり、 2号・4号と3号・5号の二手に分かれてそれを止め、6号は1号の場所を見つけて確認する事に。
 「朝の事……怒ってないのかな?」
 ヒカリと2人組になって一方的に気まずいトカッチだが、いつもと変わらないヒカルの様子に首をひねる。……ああ、ヒカルさんは、 深く静かに怒るタイプだから。
 「お・れ・のぉぉぉーーー、死に場所ぉぉぉぉぉ!!!」
 そして6号は走っていた。
 よく考えると、作戦を決める前に6号が1号と接触しても困るので激しく話を聞いていない感じなのですが、明だから仕方ないのと、 走っているだけで面白いので、6号ズルい(笑)
 「あのさぁ……今朝は、ごめん」
 暴れている人を助け、烈車への帰り道、一応謝ってみるトカッチ、そこからそれとなくミオの話題に振ってみるが、 その遠回しな探りの入れ方がかえってヒカリを苛立たせてしまう。
 「あのさ。なんなの? 言いたい事あるなら、言えば?」
 「え、別にないよ。今言った事だけで」
 「やきもち?」
 ヒカリの攻撃! クリティカルヒット! トカッチのアーマーブレイク! トカッチは3602のダメージ!  トカッチの防御力が65さがった! トカッチの素早さが20下がった!
 なんとか緊急回避を試みるトカッチだったが、コマンド入力に失敗。
 「ミオのこと好きなんだ?」
 ヒカリの追加攻撃! トカッチの急所を貫いた! トカッチは心が壊れた!
 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……あ」
 激しく狼狽したトカッチは派手に土手を転がり落ち、正座。
 「ち、違うよ、全然。ただ、ちょっといいなぁ……ぐらいのさ」
 まあ男子のそれは概ね、好きという事です。
 「やきもちかな? 違うよね」
 「トカッチ」
 「ん?」
 「面倒くさい」
 そろそろ、トカッチの心から闇が生まれそうなので、勘弁したってください、ヒカリさん。
 一方、凄い走り方になっていた6号は、公園でシャドー素振りに励む1号を発見。体力を消耗しすぎて倒れた6号は烈車へと連絡し、 トカッチとヒカリも現場で合流する事に。
 「ごめん。カッコ悪い所見せちゃって。て、別に……元から、カッコ良くないか」
 「俺は……おまえのカッコ悪い所が、カッコ良いと思うけどね」
 「え?」
 ヒカリはよろけながら土手を登るトカッチに手を伸ばし、引き上げる。
 「俺はあんな風にさらけ出せないから。たまに何か言えば、冷たいとか、きついとか」
 ちょっと、気にしていた
 「あ〜、まあ……ね。何考えてるか、わからない時あるし」
 「じゃ。お互い面倒くさいって事で」
 ヒカルは一歩離れたクールキャラながら、口には出さないけど他者の長所を認めている、という立ち位置なのですが、 自分から下へ下へと転がり落ちていくトカッチを「そうじゃない」と引き上げ、同じ場所で友情を確かめ合う2人――と、 土手でのやり取りが綺麗に落着。
 合流した4人はワゴンさんの助言に従い、これまでの思い出に怒りを込めて、1号に本気のツッコミを炸裂させると、 最後は4人同時ドロップキックで動きを止めて羽を抜き取る事に成功する。
 今回はシャドー怪人無しという事もあってか、ここのトッキュウジャー同士の戦闘がかなり派手で見応えがあるのですが、 洗脳同士討ち展開を頑丈さで打ち破ったヒーローというのは、なかなか珍しいかもしれない。
 ワゴンさんは多分、「ライトくんなら死なないでしょ」ぐらいのノリだったのが、後から振り返ると凄く怖いですが。
 相手があまりにバカすぎて催眠術を破られたノア夫人は5人へ攻撃を仕掛けるが、意識を取り戻した1号がハイパー化。 ここは4人が1号を止める為に疲労困憊、という事で、単独のパワーアップをうまく物語に組み込みました。 ハイパーの突き抜けたパワーにひるんだノア夫人はクライナーを呼び出して撤退し、5人がかりの終電砲のお披露目は、 いきなりのクライナーロボ2体を撃破。一応ビルドダイオーが出てきて戦うも空回りに終わる、とやや変則になりました。
 戦い終わって、手作りプリンを皆に振る舞うミオ。
 「俺はいいから。トカッチにあげたら?」
 アシストのつもりか、残虐キラーパスを放つヒカリに、ミオは話を飲み込めない。トカッチは慌ててヒカリを口止めし、 首を挟んできたライトも誤魔化して、最後はヒカリの慨嘆で、ひとまず大団円。
 「はぁ……なんで俺、人の秘密ばっかり」
 最初はミオの焼売の事かと思って、どうしてここで車掌が出てきたのかわからなかったのですが、そうか、 チケットくんか(笑)
 あれは秘密というか…………地雷?
 女帝グリッタ誕生→消滅の後、やや低いラインで落ち着いていましたが(今作基準)、今回は面白かったです。
 第25話の振りを踏まえて、トカッチのミオへの片思いが明確になりましたが、こうするとカグラ→ヒカリの話も入ってくるのか。 まあ、主に戦闘時に頼っているという描写なので、ミオへの接触とヒカルへの接触がカグラ本人の中で差別化されているという事なのかは、 わかりませんが(ただし、ライトやトカッチとは明らかに差別化されている)。今回もノア夫人の攻撃を受けた後で1号に襲われた時、 4号の後ろにくっついているのですが……見返したら最終的に、4号に投げられていた(笑)
 それにしても、女子2人はもともと仲良しとして、今回トカッチとヒカリの友情を強化した事で、 ライトの“あれはあーいう生き物だから”感がますます強くなって参りました(笑) まあ、 似た種別の生き物である所の明が出てきているので、バランスとしてはライトは明とセットになっていくのかもしれませんが。
 シャドー城では、「トッキュウジャーのキラキラに吸い寄せられるのではなく、キラキラを底無しの闇に吸い寄せなけれればならない」 とモルク侯爵に“弱さ”を指摘された陛下が、静かに考え込んでいた。その姿に重なるグリッタを見て、 陛下の中のグリッタが完全に消化されていない、という確証を得るノア夫人。
 次回、シュバルツ様復活。そして食堂へ。

◆第29駅「対向車との合流点」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:大和屋暁)
 予告から超期待していたら、引きネタオンリーの回でしたの巻。
 ポイントは、シュバルツ様はずっと「力が欲しい」「力が欲しい」と言っているだけで、 「仲間が欲しい」とか「味方が欲しい」とか言っていないので、それほど嘘はついていない所(笑)
 珍しく(?)真っ当にライトが謝っていましたが、その上でグリッタ嬢の仇討ちという動機は本物なので、実はライトも、 100%読み違えたわけではない、という。
 ドリルレッシャー一つ程度の力でどうやって皇帝に勝つつもりなのか謎ですが、ドリルシュバルツ様にでもなるのか。 まあもともとシュバルツ様の烈車大軍団構想の一角を占めるクライナーだったので、何かまだ特殊な力を秘めているのかもしれませんが。
 エピソードとしては今ひとつの出来でしたが、今回、これまで背景でずっとちくちくやっていたノア夫人の縫い物が初めてクローズアップ。 陛下の肩掛けにしか見えないのですが、いったいどんな伏線なのか。
 また、さらっと4号がハイパー化。強化装備も皆で共有できる、というのは実に今作らしいところですが、 さすがにもう少し、盛り上げて欲しかった(^^; 後、小林靖子以外が書くと、ライトがただの「お人好し」扱いになってしまうのは、 今作の困った所。小林回では微妙にそこからずらしているのですが、凄く微妙なずらしかたなので、サブライターがそこまで汲めないのは仕方ないし、 こういった形式でやっている1年物としては、メインライター小林靖子の悪い面であります。細かい設定関係でなく、 まさかレッドにそういった短所が出るというのは、シリーズとして予想外もいい所でしたが(^^;

◆第30駅「誕生日のお祝いは」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:大和屋暁)
 カグラは夢でミオの誕生日を思い出してなりきりでケーキを作ってみるが、試食させた男衆の感想が芳しくない事から、 強引に頼み込んで街のパティシエからケーキ作りを習う事に。残りのメンバーもミオには内緒でサプライズパーティの準備を進めるが、 街にウィッグシャドーが出現。撃退に向かったカグラを除く5人は、ウイッグシャドーの特殊能力により、 金髪縦ロール+何故か頭上にヒヨコ付きのウイッグを強制装着させられてしまう。
 「そのヒヨコちゃんが死ねば、おまえ達も死ぬって事だ」
 THE・不 条 理
 スーツの上にウィッグ、変身解除してもウィッグ。こんな姿で死にたくない、と珍しくミオがシリアスに弱気になる辺り、やはり女子。
 5人は懸命にヒヨコを飼育し、相変わらず紳士度の高いヒカリに促されたカグラはケーキ修行を続ける事に……て、Bパート、 ヒヨコの飼育とケーキ作りしかしていない!(笑)
 遂にカグラはケーキを完成させるが、帰り道で偶然出会ったウィッグシャドーの攻撃を受け、箱の中のケーキがぼろぼろに崩れてしまう。 怒りのカグラの元に5人も駆けつけるが、頭上のヒヨコの命を気にして、大苦戦。唯一、ヒヨコを気にせずに戦えるカグラが懸命に挑む、 と珍しく、なりきり抜きで5号の本格戦闘。健闘する5号だったが最強ガール攻撃を破られ、窮地に陥るトッキュウジャー。
 しかしその時――5人の頭部が光り輝くと、ヒヨコがニワトリに成長し、巣立ち。
 戦闘可能な5号のハイパー化に繋げるのかと思ったら、まさかのニワトリ(笑) これによりウィッグの呪縛が消滅し、反撃開始だ、 と1号が手にしたハイパーレッシャーを5号は横取り。しかし、ハイパーレッシャー呼び出しのタイミングでたまたま横に並んだ3号と、 肩が連結された状態でハイパー化してしまう。
 この一発ネタ?の為に連結アーマー用意したのでしょうか(笑) スーツアクターさんも勿論動きを制限されるし、大胆なネタです。
 「大切なのは見た目じゃない。大切なのは、気持ちだよ!」
 ケーキ作りの最中、パティシエに問われた“一番大切な事”に辿り着くカグラ――お約束の台詞を、 変なハイパー化と結びつける事で作品の個性が活かされ、前後の展開と合わせて、『トッキュウジャー』らしくなりました。 “お約束”というのはそれ自体が悪いのではなく、それが作品と連動しているかが大事、という点でお約束中のお約束を用いながら、 綺麗に収めた良い使い方。
 ダブルハイパー3号&5号は鮮やかなコンビネーションでウィッグを叩きのめすと、6号置いてけぼり(そろそろ、 若干寂しくなっている様子)の終電砲でウィッグを撃破し、巨大化後は超超トッキュウダイオーで圧殺。
 ナチュラルに最初から超超トッキュウダイオーを繰り出す辺り、皆様なんだかんだで相当フラストレーションが溜まっていた模様(笑)
 かくして割と絶体絶命の危機を乗り越えたトッキュウジャーはミオのサプライズパーティーを行い、 レインボーラインと並走してどこかへ走り去って行くニワトリ達を見送る。 そこへ車掌達からのお祝いという事でワゴンさんが用意した特製ローストチキンを持ってきて、タイミングの悪さに皆どん引き、でオチ。
 前回は消化不良でしたが、ナンセンスギャグ回で、大和屋さんが持ち味を発揮。
 不条理(ヒヨコが死ぬと死ぬ)に不条理(ヒヨコがニワトリに成長)を重ねてオチ(ローストチキン) にまで繋げる辺りの単発エピソードの構成力はさすが。演出の配分もあるでしょうが、 今作の変則3分割放送を活かしてBパートがメタなギャグ要素になっているというのも効きました。
 また今作は、メインライターの傾向もあってか、女性メンバー回で可愛い推しがあまり無かったのですが、 先頃発売されたキャラクターソングを盛り込みつつ、ヒロイン回なら任せておけ的に、渡辺監督が王道の可愛い演出。 『トッキュウ』ヒロインズはグリッタ嬢に食われ気味だったので、この辺りでこれぐらいしたのは良かったと思います。
 そして結局、トカッチの最大の敵はカグラ(笑)
 ガンバレトカッチ! あと2,3回死にかければ、相手が情にほだされるかもしれない!!
 次回、上層部登場にシャドー幹部陣激突?! で、盛りだくさんの予感。 前回の例があるので予告であまり盛り上がらないようにしようと思いつつ、大筋もまた動きそうで、期待。

→〔その6へ続く〕

(2014年9月17日/2015年12月13日)
(2019年10月20日 改訂)
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