■『烈車戦隊トッキュウジャー』感想まとめ4■


“俺の空が 晴れて虹色
やってやるさ 生まれ変わって
雨のちレインボー”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『烈車戦隊トッキュウジャー』 感想の、まとめ4(19〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第19駅「出発!ビルドダイオー」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子)
 転校生(明)に気を遣って空回りするトカッチ、自分が転校生であった事を思い出す……と、 幼なじみパーティに部外者が追加という組み合わせ特性、今作のキーである「記憶」、物語の流れを巧く組み合わせた、巧い展開。
 一方、今日も人知れず線路を点検する(業務報告を毎度こっそり送って、事務の人に嫌がられていそう)明の前に、 レインボーラインからトッキュウ6号専用列車・ビルドレッシャーが送り込まれて来る。
 サポートレッシャーに消防・警察と、「はたらくくるま」シリーズが追加されたので、重機系は来るだろうと思っていましたが、 何が来るかと思ったら、特盛りでまとめて来ました(笑)
 「暴れ馬か。乗りこなし甲斐がある」
 今日も絶賛、プレイ中!
 その頃シャドー城では、皇帝陛下がミラーボールを見つめて、キラキラを手に入れるイメージトレーニングに励んでいた。 そう、陛下はもう少し、妄想力を鍛えた方がいい!
 そんな陛下を物陰から見つめ、「もう、儂が頑張るしかない!」と力の入るネロ男爵と、 「結婚式までの我慢……」と野心を燻らせるノア夫人。別々の窓(カーテン)から覗く形で、 それぞれの思惑がバラバラに動いているのを見せるという、セットを活かした秀逸な演出。そして、 大烈車作戦の為に独自に動いていた事から陛下に謹慎処分を受けたシュバルツに、グリッタ嬢が協力を申し出る……。
 クライナーの強襲とフェンスシャドーの罠により、地中に埋められてしまうレインボーライン。別行動をしていたトカッチは、 負傷を押して、必死に4人を助けようとする。
 「あの街へ――僕たちは5人で帰るんだ。……あの烈車で」
 ここで改めて、5人の目的を強調。また、元々「街へ帰る」のは、あくまで“記憶を取り戻す”為の手段だったのですが、 街への愛情を強調する事で両者を繋げた『鎧武』コラボ編を受けてか、“帰るべき場所”としての街の意味を、やや強くしてきました。
 回想シーンにおける、周囲と馴染めない転校生、の配役はトカッチにぴったり(笑)  ところでトカッチの本名は単純に「十勝」とかかと思っていたのですが、少年ライトが覚えにくいと言っていたので、 もう少しひねって「苫米地」とか「渡嘉敷」とかか。
 トッキュウ2号と6号は、暴れ馬の調教の為に明がカスタム魔改造中のビルドレッシャーで出撃すると、クライナーを蹴散らし、 埋まった烈車の掘り出しに成功。……それにしても、グリッタ嬢は、割とえげつないシャドーを飼っています(笑)
 新戦士を加えて、これから中盤戦スタートという事で、6人揃い踏みに主題歌重ねて久々の乗り替え変身でクローズ戦。 6号はどうするのかと思ったら、棒立ちで無視でした。
 と思ったら案の定、強引に乗り替えを強行するキチガイ。
 「トッキュウ1号、乗り替えてオレンジ。死に場所…………あれ? 出来ない」
 なんかだかんだで、その台詞、言ってみたかったのか(笑)
 ところが6号に乗り替えは不可能な事が判明。チケットくんの台詞によると「乗り替え出来ない」でのはなく、 「乗り替えの必要は無い」という事ですが、とすると、1〜5号までは「乗り替えの必要がある」という事になりますが、 果たしてどういう意味なのか。意識的においた台詞だと思われますが、気になる所。
 6号は、合体武器による必殺攻撃でも、まさかの棒立ち(笑) 参加したいという、 素振りすら見せませんでした(笑)
 さすがに今後、何らかの形で混ざるとは思いますが。
 6人が乗り込んだビルドレッシャーは、ビルドダイオーへと変形。トッキュウオーよりは真っ当な変形(笑)で、 クレーンが頭部正面に来る辺りがカブトムシモチーフも入っている感じで、割と格好いい。 ビルドダイオーはクライナーロボを撃破してドリルレッシャーを奪い返すと、ビルドダイオードリルへ。若干ボウケンジャー入りつつ、 ショベルとドリルの乱舞で、フェンスシャドーを粉砕するのであった。
 新ロボ登場編という事で、爆発に気合いが入り、なかなかの迫力でした。
 戦いが終わり、レインボーラインでの昼食に引きずられる明。
 「俺が人知れず守る虹に――……おまえ達が街へ帰るレールも入れておく」
 トカッチの心根を知った明の意志が、5人の目的に重なる、と鮮やかなオチ。明はまだしばらく、 完全に志が一つというよりは少しズレた感じの立ち位置になるのかと思われますが、トッキュウ6号が増えました、 仲間になりました〜で済ませるのではなく、互いの目的意識を擦り合わせるという段取りを踏む、またそれを両者の対立関係なしで描く、 と小林靖子のテクニックが存分に振るわれた、新戦士登場、そして仲間へ、とお見事な17−19話でした。
 6号参戦で、OP&EDがマイナーチェンジ。小刻みに6号/明の姿が追加されましたが、 アクションシーンから空を見上げるカット→虹のかかる空の下をレインボーラインが走って行く、という流れは非常に素晴らしかった。 そしてEDで妙にトカッチと絡んでいるのは意識的でしょうが、割と仲良くなれるのかこの2人(笑) まあ、トカッチが一番、 飽きずに明にツッコんでくれそうではあります。

◆第20駅「笑顔は危険」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子)
 笑うと体を吹っ飛ばされる為に人間から笑いを奪う、というジャックインザボックスシャドーと遭遇するトッキュウジャー。 明曰く「大して面白くないから大丈夫だ」との事だったが、 割とナンセンスギャグに弱いトッキュウジャーはこの奇妙な敵の術中にはまってしまう。
 「俺たち笑いのツボ浅すぎじゃない?」という台詞はズルいけど、上手い(笑)
 苦しむ5人を救ったのは、無愛想で笑顔を見せる事のない明。
 「俺が笑うのは死ぬ時だけだ」
 今回も炸裂ロールプレイ防御!!
 自分の世界にひたる明に、他人の世界の笑いが入り込む余地は無いのだ!
 相手の能力に対抗する為、ギャグに慣れて笑わない特訓をしようとするトッキュウジャーだが、ライトはそれでは収まらない。
 「いや……防御なんて面白くない。攻撃だ。あの怪人……ついでに明も笑わせてやる! 特訓だ!」
 かくて5人は車掌の指導で、コケやツッコミなど、肉体からギャグを学ぶ事に。
 どうにもはまらない車掌は、何とか面白く使おうと試行錯誤を重ねられ、ここ数回は物真似路線なのですが、やればやるほど浮くので、 もう、余計な事はしない方がいい気がして仕方ありません(^^; 半分近くまで進んでここまではまらないと、 もはや2クールのラストで吹っ飛ばすしかないような。
 特訓を終え、再びジャックインザボックスシャドーに立ち向かう5人。
 赤「俺たちはもう、笑いを捨てた」
 青「笑うんじゃなくて、笑わせる為にね」
 「なに? まさか俺を、笑わせるっていうのか?」
 緑「そのまさかだよ」
 黄「吹っ飛ぶのはおまえだ!」
 桃「……おまえだ!」
 無駄に格好良く決める5人だが……ギャグは無残に滑るのだった。
 ライトが真っ白になったりしつつ、縦笛吹いてやってきた明を交え、真っ当な戦闘でジャックインザボックスシャドーを撃破。 落ち込むライトは大好きな爺ちゃんを呼び出し、ディーゼルオー、トッキュウオー、ビルドダイオーが揃い踏み。が、 突然ビルドダイオーのコックピットで笑い声をあげる明。時間差で笑いが来た……のではなく、 操縦席に預かっていた猫にくすぐられていたのだった。無愛想な明は実は猫好きだったのである。
 ……というオーソドックスなオチなのですが、笑いながら大暴れするビルドダイオーの姿が、 実にマッド。
 また、割とどうでもいいジャンルとはいえ、ライトの敗北をかなり強調して描いているのは、 (前年との対比という要素も含め)それなりに意図的なものでしょうか。ギャグ回……というかバカ回でしたが、 久々にライトの爺ちゃん好き描写など、継続的な小ネタへのこだわりは、小林脚本らしい所。
 闇を生み出すシーンさえ描かれず、かつてなく何をしに来たのかわからなかったジャックインザボックスシャドーですが、 グリッタ嬢から「さっさと出かけて適当に暴れなさい」という非常にぞんざいな扱いを受けていたので、次の展開への布石か。
 「俺が動けば、そこは地獄に変わる――そう、笑いと言う名の地獄」など、やたら芝居がかった台詞や仕草は、 明の対照的存在ないし一周回って似たもの同士として置かれたようですが、キャスティングも良く、面白いシャドーではありました。
 そのシャドーライン側では、シュバルツとグリッタの密会を察知しながらも陛下がそれを泳がせ、 婚礼を急ぐノア夫人をネロ男爵が訝しむと、蠢く陰謀劇。そして次回、急展開?!

◆第21駅「花嫁は逃走中」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子)
 6号こけたーーー。
 ヘッスラ行ったーーーー!!
 これで本当の、仲間入りです(笑)
 「夏祭り」の記憶を気にするミオ、空元気なミオの様子を心配するカグラ、そんな時、レインボーラインに送り届けられる、 シャドー皇帝の結婚式の招待状……それは、シャボンシャドーの特殊能力により、 トッキュウジャーとの精神入れ替えを目論むグリッタ嬢の罠だった。
 いよいよ婚礼が迫り、シュバルツ様に駆け落ちを持ちかけたり、人間との入れ替わりを強行しようとしたり、グリッタ嬢、 凄い勢いで恐ろしい子。
 そしてシャボンにより、ミオ←→グリッタが入れ替わり、ライト→トカッチ、トカッチ→ヒカリ、ヒカリ→ライトとなってしまう。
 ミオの体で逃亡するグリッタ、そこへグリッタを追って姿を見せるノア夫人、 明がやってきた間にカグラはミオグリッタを連れて逃げ……と混乱に混乱の重なる状況。
 恒例の入れ替わりネタは、キャラクターの遊びを見せるのに使う事が多いですが、それを本筋と絡めた上に二重三重に行う事で、 物凄い状況になりました。事の発端が乙女の我が儘という事もあり、すっごいアホ展開なのですけど、 非常に面白い。
 個人的には、精神入れ替えネタの場合、声はそのままで台詞回しや演技で差別化してくれる方が好きなのですが、 精神と一緒に声も入れ替わり方式。多重入れ替えなのでわかりやすさも考慮されたのでしょうが、結果としては、 グリッタの声で動くミオが凄く面白くなったので、正解でした。というか、 この方式にした本命の理由はこれの気もします。
 とにかく『トッキュウジャー』は、日高のり子のヒロイン力を越えたアイドル力を見せつけられます(笑)

 ところで、ライトに入ったヒカリが、すごーーーく嫌そう。

 合流した明から、シャボンシャドーを倒せば元に戻ると聞いた男性陣は、シャボンシャドーの撃破を目指す。一方、 グリッタミオを見つけたミオグリッタは、グリッタの逃亡の理由が「結婚」にある事を知るが、両者の体に異変が起こっていた。 シャボンシャドーの能力で心と体が長時間入れ替わると、拒絶反応によって死亡してしまうのである。
 苦しむ二人の前に姿を現したネロ男爵は、婚礼の阻止の為にグリッタ嬢の抹殺を目論むが、それを防ぐノア夫人。
 「トッキュウジャー、この瞬間だけ協力です。グリッタを連れて逃げるのです」
 傘vsステッキ!
 シャドーライン側の宮廷ロマンス&陰謀劇も本格化してきましたが、明るい所でのシャドー幹部陣の格好良さは本当に素晴らしい。
 男性陣はサポートレッシャーを駆使して、シャボンシャドーを撃破。カーキャリアー、シールド、タンク、 と最近ロボ戦で出番の無かったサポートレッシャー、人間大でも使える事が判明しました。ロボット戦では更に、 ファイアーとポリスも参戦し、サポートレッシャー使い切り。アイテムのこういう使い方は好きです。……にしても、 タンクレッシャーの機能、自爆なのか。
 シャボンシャドーの撃破により、全員の精神と肉体は元に戻るが、なんとか元の姿でシュバルツとの“約束の場所”にひた走るグリッタ。 だがそこに姿を見せたのは、シュバルツではなく闇の皇帝であった……。遂に破れる恋、迫る婚礼、 果たして婚礼に隠された秘密とは何なのか。そしてミオが思い出した、祭りの夜の記憶とは――次回、激動。
 入れ替わりネタを軸にここまで展開したのは「凄い」の一言。全盛期の井上敏樹を思わせるようなスラップスティック風味の錯綜劇に、 最近グリッタ嬢に食われ気味だった女性陣2人の女の友情を盛り込む細やかさを合わせ、素晴らしい出来の1本でした。 普段面倒見られる側の女の子がそれだけではない事を告げる、というのは定番の展開ですが、カグラがミオの頭を小突いたのは良かった。 またそんな女性陣とグリッタを絡めたのは今後に活きそうな気配もあり、気になる要素。
 それにしてもザラムは割と有名人、そして、けっこう事情通だった。

◆第22駅「女帝の誕生」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子)
 見所盛りだくさんでしたが、一番面白かったのは
 「ダメだよ。ほっといたら明くん、ダメになる」
 ダメな子だからと流しているとますますダメになるのを心配する、優しさ。
 TVの前のみんなも、友達が浮き世離れした事を言い出したら、そっと気付かせてあげるのが本当の友情だ!
 というわけでトカッチはこれからも、くじけずにツッコミ続けて下さい。
 明が何か言う度にトカッチがツッコむ、というのが少し面白くなくなりつつあった所で、 ミオがクリティカルヒットを叩き込んでくるというのは、実にお見事でした。
 ミオが思い出した“星に関する祭り”の記憶から、故郷の街を絞り込もうと調べるトッキュウジャー。その頃、 シャドー城ではとうとう陛下とグリッタの婚礼が行われようとしていた。
 (シュバルツ様……この式が終われば、私はもう、今の私ではなくなるかもしれません。……それでも、貴方さえご無事であるなら、 いつまでもグリッタの心は、お側にあります)
 “シュバルツ様に咎めが及ばぬように”と前回ラストで迎えに来た陛下に素直に従って婚礼の日を迎えたグリッタが、ひたすら乙女。
 しかしこの、初期は「憧れの先輩の為に……」程度だった慕情が、乙女心はそのままに、 徐々に狂気を孕んでいく流れは、実にお見事。 宮廷ラブロマンス風味でカモフラージュしていた中にさらっと織り込まれていた狂気――というか、 シャドーラインで一番キラキラしているグリッタが、一番狂っている、というのはどういう事なのか『トッキュウジャー』(笑)
 ところで前回今回で強調されていてやっと気付いたのですが、シャドーラインの幹部陣は、闇の中で光る瞳が
 ネロ=赤 ノア=青 シュバルツ=黄 グリッタ=白
 で色分けされていたのか。
 キラキラを求めるゼット、乙女の狂気に酔うグリッタ、陛下を心配するネロ、 ほくそ笑むノア……それぞれの思惑が交錯する婚礼のその瞬間、陛下、食べられる。
 結婚する相手をぱくっと食べる能力、は如何にも唐突でしたが、一応あれか、 ハンマーシャドー回でシュバルツ様のイメージ映像をぱっくり食べてしまったのが、伏線だったのか(笑)
 ノア夫人の真のもくろみ――それは自らの血族に伝わるこの力を使ってグリッタに皇帝陛下を飲み込ませ、 闇の皇帝の力を手に入れた女帝グリッタを誕生させシャドーラインを支配する事にあった。
 夫人の言によると自分の結婚相手もおいしく丸呑みしたようですが、つまり、そうやってより強いオスを取り込む事で力を強めていく、 女王の血統なのか。
 そして皇帝不在の混乱を突き、グリッタの思慕の念を利用していたシュバルツは、烈車軍団による地上征服を目指して出撃する。
 ここ数回、「あれ? もしかしてまともに陛下に忠誠誓っているのこの人だけ?」と思わぬ忠臣ぶりで面白くなっていたネロ男爵は、 まさかの事態に狼狽しつつ、消えた陛下の足下に残されていた首飾りを拾って姿を消す。
 普段、基本としてセットが嘘っぽく見えないように空間的広がりを感じさせるように撮るのですが、このシーンでは
 〔画面奥の玉座に腰掛け瞼を伏せる女帝グリッタ→カーテンが降りて姿が見えなくなる→画面手前、結婚式の後片付けをするクローズと、 周囲を見回すネロ男爵→ネロ男爵、首飾りを拾って上手に姿を消す〕
 と恐らく意図的に狭く切り取った上で舞台的な演出をしており(周囲のクローズがスポットライト外の扱いになっている所とか)、 これが非常に印象深くなって、面白かったです。
 またネロ男爵の、ゼットが飲み込まれた時の「陛下ぁぁぁぁぁ!!」が素晴らしかった。 ここまでのところ地味な役回りだったネロ男爵ですが、さすが福山潤、伊達に幾つも主人公を演じているわけではない、 という力のあるいい芝居でした。
 地上へ繰り出したシュバルツ様は、改札破壊技でまさかのトッキュウレッシャー乗っ取りを敢行。そしてトッキュウジャーの前には、 目覚めた女帝グリッタが姿を見せる。
 シュバルツの操るトッキュウオーに対し、ビルドダイオーとディーゼルオーが激突。久々に5人で乗り込むと、改めて嫌な席割りです、 ディーゼルオー。
 初めて操るトッキュウオーを一人で扱いこなしてみせるシュバルツ様、烈車大軍団による地上征服を目論んで、 長年あーでもないこーでもないと妄想を逞しくしていただけあって、イマジネーション強し。 合体時にしっかり薔薇まで舞うし。
 更に女帝グリッタが高級クライナーを暗闇変形させて参戦し、圧倒的な力でトッキュウジャーを追い詰めていく。 「理由はありません。戦いたくなっただけです」と、無慈悲かつ傲岸に力を振るう女帝グリッタが放ったダークネスフォールが、 トッキュウオーとビルドダイオーを飲み込む――!!
 女帝グリッタが誕生し、陛下登場による幹部総出撃編を越える、トッキュウジャー最大の危機。そして祭りの記憶に繋がる“不安”とは、 故郷が闇に飲まれた日なのか――?! と、両サイドの物語が激動し、実に盛りだくさんでした。 陛下がこれでリタイアするとは考えにくく、流れとしてはシュバルツ様がちょっと危ないか。 後はネロ男爵がどんな動きをするのかも今後の楽しみです。

◆第23駅「手と手をつないで」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
 女帝グリッタの放ったダークネスフォールの影響で、かつて祭りの日、自分達の街が闇に呑み込まれたのを思い出す5人。 吹き飛ばされた先で地元の夏祭りを見た5人は更に、祭りの詳しい記憶を思い出す……。
 一気に記憶が、だいぶ回復。
 そしてこれまで社会との接点を持っていなかった5人は、家族の記憶を取り戻す事で、現世と切り離された自分達を改めて自覚する、 と、この中盤で改めて、ライト達の立ち位置を確認。
 最初から繋がりが無ければ、“寂しい”という感情すら生まれない……それが一番悲しい事だと置きつつ、
 「大丈夫。一緒なら怖くない」
 真実と向き合い闇と戦う為、5人は手を繋ぐ。
 繋いだ手と烈車の連結を重ね、そして新入りを下駄に履き、今爆発する新たなイマジネーション―― 超超トッキュウダイオー!!
 この、無闇矢鱈に何もかも繋げた感じ(笑)
 ここで5+3+1で9体合体来ましたが、この数になると、やはり下駄を履くしかないのか。まあ基本、 デカくなる度に戦闘力が増していくので、効率的なのですが(笑)
 作り手も(バンダイ含め)当然『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)は意識にあると思うのですが、果たして、 伝説巨神・炎神王G12を越える事が出来るのか。まあ現状でも、超超トッキュウダイオーの両手にポリスとファイヤー付ければ、 11体合体まではいける?
 そしてここまで溜めに溜めてきたグリッタ嬢、まさかのリタイア。
 これはちょっと予想外。そして非常に魅力的なキャラだっただけに、残念。ゼットは復活するにしても、 もう少し女帝グリッタで引っ張るのかと思いましたが、展開としては超超トッキュウダイオーの踏み台となってしまいました。
 その上でゼット復活により、
 女帝グリッタ恐るべし→それを蹂躙だ超超トッキュウダイオー→中からより強くなってゼット復活!
 とこの2話の間に目まぐるしく戦力ヒエラルキーの頂点が入れ替わった挙げ句、結局元の力関係に戻った、 というのはとてもアクロバット(笑)
 最後まで乙女道を貫ききったグリッタ嬢ですが、前回からシュバルツ様が死亡フラグをばらまきまくっていたので、 それを自分に吸収して身代わりになったと考えると、乙女力の極みを見た思いです。 さすがにここまでやると復活は無いと思われますが、前半だけで今作の真ヒロイン確定の勢いで、果たして後半、 グリッタ嬢を越えるヒロイン力を発揮できるキャラクターは登場するのか?!
 「将軍。てめえの目だがな。さっきちょっとだけ光ったぜ」
 ゼットにやられたシュバルツ様は川落ちだったので、9割以上の確率で復活でしょうが(ザラムとの因縁なども解決してしませんし。 ただこの世界、何があるかわからないけど)、ダークナイトの匂いしかしません(笑) ……て、現時点でダークナイトなので、ホワイトナイトか。
 ……トッキュウ7号が髭のダンディーとかだったら、面白すぎるけど。
 最後のお祭りのシーンで、明がレクイエムを吹いているのが、しんみり。
 そして着ぐるみゼット(バツイチ)が、超格好いい。
 デビルヤンキーとでもいった感じのデザインですが、元の役者さんの顔の造作をうまく残しつつ、着ぐるみ化。アクションも格好良く、 今後の活躍が楽しみです。
 シャドーライン側は幹部総取っ替えぐらいの勢いですが、次回果たしてどうなるのか。

◆第24駅「分岐点を越えて」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
 シャドーラインの闇に飲み込まれた街は、地図からも名前を消し、“存在しなかった事”になってしまう。 故郷の街・昴ヶ浜へ向かう手段を失ったかに思われた5人だが、明の協力で、 シャドーラインへ繋がる分岐点を操作する事でシャドーの街へ乗り込む事に。だが、 シャドーの支配下にある街にはレインボーラインの力が届かず、変身がすぐに解除されてしまう!
 名乗りポーズの所で変身解除という壮絶な羞恥プレイを受けた5人は生身でシャドー怪人・ルークに立ち向かう羽目になり、 かつてなく吹っ飛ぶカグラ。
 一番後ろに居たばっかりに……よよよ。
 カグラ/5号に関しては、しばしばヒカリ/4号が攻撃からかばうシーンが見られたのですが、 はからずもヒカリのカバーリング能力の限界が見えてしまいました。さすがに今回は無理でした。
 ただその後の描写を見るに、“心の一方”で自己暗示さえかければ、生身で最強なのはカグラっぽいですが。
 極めて短時間しか変身できないという事で、今作にしては珍しく、今回は生身のアクロバット多め。 およそ30秒の変身可能時間を最大限に活かす為、5人の烈車を受け取ったライトが、怪人の元へと走る――。
 30秒×5で、150秒の戦闘が可能、と乗り換えというギミックを使いつつ、1人だけど5人で戦う、 というシチュエーション自体は熱いのですが、前回、シュバルツの陽動の為にライトが1人で乗り換えて攪乱したのと全く同じになってしまったのが、 非常に残念。前回も必然性があって面白い使い方だったし、今回も必然性があるだけに、勿体ない(^^;
 いっそ今回はライト以外の誰かが辿り着く、というのも意外性もあって面白かったかとは思うのですが、前半、 設定説明の消化で時間を使ってしまった為、そこまでのドラマも盛り込めず。
 戦力的には、運動能力からしても、1人で合体武器を使用可能な妄想力にしても、ライトが当然、妥当ではあるのですが。 少しスポットも当たりましたし、デストロイモードのカグラに持っていっても、流れとしては何とかなったような。
 というかまあ、そういう捻りで綺麗に繋ぐのを、技巧としては見たかったかなと。
 観戦していた陛下が「やっぱり乗り換えか」と、再び「乗り換え」について言及しており、このギミックも、 レインボー側の仕掛けとして物語の中に収まってきそうです。
 シャドーライン側では、ノア夫人による陛下暗殺未遂などあったものの、特にノア夫人が処刑されるような事もなく、 ネロ男爵が溜飲を下げただけになりました(笑) それでいいのか、男爵。
 そんな男爵は、切り替えポイントで待機していた明と交戦し、クロスカウンター。やはりそれとなく強い、トッキュウ6号。
 また、完全に消化されたかと思われたグリッタがそうではない事を匂わせる描写が入りましたが、これは、 展開次第でどうにでも使える布石の類いでしょうか。
 前半、設定の消化要素が多くてテンポが悪かったのですが、後半、クライマックスバトルから一気に街の開放まで雪崩れ込む手並みはさすが。 シャドーの支配下に置かれた街の解放、という新たな目的が置かれ、物語として後半戦のスタートとなりました。分岐点探し、 と明に独自の役割を与えているのは巧い。
 一つ気になるのは、解放された街が、闇に呑まれて止まっていた時間の直後から動きだした(ように見える)事。
 仮に昴ヶ浜を解放しても、街の時間はあの祭りの晩から動きだすのか? その時、ライト達はどうなるのか? そもそもライト達の姿はなぜ成長しているのか――と物語の根幹に関わりそうな要素です。
 これでトッキュウ側のイベントは、好きな時にいつでも盛り込める体制が出来上がったので、物語の流れとしては、 ちょっとアクセントが欲しい所。個人的には、宮廷ロマンス陰謀劇が一段落したシャドーライン側に、 引っかき回す系の新幹部でも出てくると嬉しいですが、さてさて。

→〔その5へ続く〕

(2014年9月17日)
(2019年10月20日 改訂)
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