■『烈車戦隊トッキュウジャー』感想まとめ1■
“勝利のイマジネーション!!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『烈車戦隊トッキュウジャー』
感想の、まとめ1(1〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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・ 〔劇場版〕
- ◆始発駅「特急烈車で行こう」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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けっこう面白かった。
“空想の遊び”という、現役子供にも、現在大人にも、あーそういうのあるよね、というわかりやすい所から入って、
子供だけさらったつもりがバカが1人紛れていたという入りは秀逸。
女顔に女声の主人公が、意外や無鉄砲暴走系というのも面白い。
「俺が決めた所が、宇宙だ!」
小林脚本だし、おそらく意図的に狂っているのだと思うのですが、ライトの扱い次第でかなり作品が変化しそうで、
そういう点でも、面白いレッド。
残り4人が変身済みだったり、主人公が勢いオンリーだったり、かなり問答無用で進みましたが、
変身後のアクションシーンでそれぞれの個性を見せる事でカバー。ハイペースに進みながらも合間のシーンでメンバーの性格を見せていくところなどは、
もはや熟練の技。
さすがに敵側までは手が回らず、敵幹部はとりあえず顔見せだけになりましたが、これは2話以降に期待。
……にしてもとりあえず鉄道網を広げるのだ、て割と小規模勢力なのか今回の敵。
敵といえば、雑魚戦闘員の造形が非常に凝っていて格好いい。戦闘員デザインのパーツ数としては歴代屈指では無いでしょうか。
戦闘がコメディ要素強めだったので、攻撃その他はあまり格好良くありませんでしたが(笑)
「信号ハンマー」とか「レッド烈車」とか「フミキリケン」とか、ひねらずストレートな名称が多い今作ですが、
結果としてナビゲート音声の
「斬りまーす」
「撃ちまーす」
が、えらく殺伐とした感じに。
レッドの今回の決め台詞、
「俺には見えた。おまえの終着駅」
も実にデスメタル。
小さくした雑魚をぷちぷち潰したり、地蔵の山で怪人を押しつぶして爆殺したり(必殺武器の弾丸が敵に合わせて色々と変化するというネタは、
シリーズ最初期にもあり)、笑いの奥に冷たい殺意の潜んでいるマッド戦隊という感じもそこはかとなく。
戦闘中の乗り替え変身は今の所、わけわからない上に、スーツ費用が5倍かーぐらいの感想しかないのですが、
当然なんらかの仕込みでしょうし、この今ひとつ意味のわからないギミックをどう面白さに繋げてくるのかは素直に楽しみです。
ロボはまあ、あんなものか。というか残り3分でロボ戦まで突っ込んできたのは驚きました(^^;
『ゴーカイジャー』辺りもこんな感じだったけど(笑) そして本編ぎりぎりまで尺を取った分、EDをあんな形で圧縮してくるとは。
とりあえず現状、トッキュウオーは、線路の上しか進めないのか、が気になります。あと、
劇中ではCGダルシム攻撃でいいとして、全く動きそうにない玩具は売れるのか。それともバンダイの超科学力で、割と動くのか。
背後の案内表示で小ネタ入れている所は、好き。
シリアス:ギャグが6:4ぐらいの比率で、軽いノリで進んでいきながら、最後に思わぬ刺激的なボールを投げこんで引いてきましたが、
ここ3年の戦隊第1話としては最も好みで、期待したいスタート。
緑が割と好みの顔ですし!(そこか)
主題歌も演出と合わせて、いいノリ。
現時点での心配は、今ひとつ馴染んでいない関根勤の車掌。馴染んでくれば良いと思いますが、ちょっと固いというか、
関根勤すぎるというか。後やはりどことなく作り手が『仮面ライダー電王』のオーナー(石丸謙二郎)を意識している節が見え隠れして、
もっと全然イメージの重ならない造形が良かったような気は(これは、見ているこちら側の意識の問題かもしれませんが)。……まあ、
7年ほど前の作品と引き比べるのは駄目な大人だけなので、すぱっと無視されるべきであろうとは我ながら思いますが(笑)
どうも追加で着ぐるみが出てくるようなので、絡みで面白くなってくる事に期待。
作品全体としては、「イマジネーション」をキーワードとして、“ごっこ遊び”の延長線上というメタ構造を取り入れているのは面白い所。
やりすぎると、「戦隊ヒーロー」という架空のリアリティを破壊しかねない、かなりギリギリの一線を意識して突いてきていると思うので、
どう料理するのか楽しみです。
例えば変身時に白線による結界が引かれ、敵が変身の邪魔を出来ない、というのはお約束とギミックによる理由付けを結びつけているのですが、
同時にこれは強いイマジネーションは敵対する存在にも影響するという表現になっています(個人武器にも拘束系の付加能力が目立つ)。
一方で、烈車に乗るには架空の自動改札を通らないといけないなど、強いイマジネーションは、自分達をも縛る。
そしてそのイマジネーションの世界、空想のルールに従うという事が、より強い力を得る為のイニシエーションとなっている。
これは劇中の縛りのギミックになっていると同時に、ヒーローを、意図的に“ごっこ遊び”と“なりきり”の延長線上に置いてみせる作劇に思えます。
とすれば、そこに実体化しているトッキュウジャーは、リアルなのか、空想なのか。
下手に扱うとあまり好ましくないメタネタになってしまう危うさを秘めているように思うので、
そのバランス感覚には注目。脚本家が脚本家なので、良くも悪くも何らかの意図がそこにあるのだろうとは、今から身構えていますが(笑)
次回の時点で、その辺りも含めた、設定・背景面には多少触れられるかもしれませんけど。
まずは上々の出発進行、来週が楽しみです。
- ◆第2駅「俺たちはここにいる」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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OPの入り方が少し変更。また、揃って走っているシーンで転ぶのが赤→青になりましたが、幾つかの細かいバージョン違いを回すのか。
黄と緑は転びそうにないけど、どうするんだろう。
敵幹部陣は今回もチラ見せながら、ノア夫人は娘のドレスの採寸に夢中、娘はシュバルツ様に夢中、と前回今回合わせて、
それぞれ作戦行動とはまた別に、生きている感じが良し。基本の部分ですが、行動理念がはっきりしているのも、
戦隊との直接対決にこだわらない理由付けになりますので、安心して見られます。
ネロ男爵にはサソリの意匠が見て取れましたが、今回の怪人にも尻尾ついていたし、敵は今作、動物モチーフが入っているのかしら。
でも前回はどちらかというとガマグチ法師というか『五星戦隊ダイレンジャー』っぽいデザインだったけど、
全体ではなく幹部−部下の関係でモチーフがあるのか。
『ダイレンジャー』ぽいといえば、雑魚戦闘員もそこはかとなく『ダイレンジャー』を思い出すのですが、たぶん配色とマスクのせい。
デザインがどちらも篠原保さんなので、単純に篠原ラインという話もありますが。
人々に決闘を強要する事で闇を集めるデュアルシャドーの支配する駅に辿り着くトッキュウジャー……今回も、
Aパートでは意味も無く乗り替えバトル。賑やかしとしては斬新ですが、別にパワーアップするわけではないので
「乗り換えを何だと思ってるんですかね?」
て、こちらが聞きたい(笑)
「俺たちは今、過去も未来もなくて、ただ列車で漂ってるだけ。言ってみれば、幽霊列車の幽霊だよ」
死んだも同然……おぼろで足りない記憶……社会生活が描かれず、電車をベースにシャドーラインに乗っ取られた駅から駅へ、
というのが基本構造になるなら、『仮面ライダー電王』で微妙に仕込んでいたネタを(作品的な類似という意味ではなく)
露骨に使ってきて怖いなー……と思ったのですが、「幽霊列車」などのキーワードはストレートに早めに出してきました。
「幽霊列車か……いいな、それ! ほら、幽霊ならお盆に家に帰るだろう。街の事覚えてなくても、自動的にそうなるのかもしれない。
いや、帰れる、って俺が今決めた。ヒカリ、これは根拠のある想像だと思うぞ」
そして、真っ当な理屈はキチガイには通用しなかった(笑)
幽霊部分は肯定でいいのか。
ここでキチガイ成分だけだと困るのですが、怪人に勝っている所を想像しろ、と少年を励まし、
「よーし、そのイメージ、貰ってく」
というのは格好いい所で、ちゃんとヒーローしているのはいい。
「大人になっても変わらないな。結局ライトのペースになる」
「変わらないのは、ヒカリもだよ」
「え?」
「ライトって、どんどん風船みたいに飛んでっちゃうから、私たちもついつられるんだけど。ヒカリがちょっと、
重しになってくれるでしょ」
ここで、緑の背中に黄色が肩を合わせて会話する、という距離感が絶妙。
「……ここだけの話、俺、ホントは高いところ苦手だから。あんまり飛ばれてもねえ。幽霊飛行機じゃなくて良かった」
「私たち幽霊じゃないよ! こんなにクッキリしてるもん」
「うん! 街の記憶は曖昧でも、ここだけはハッキリしてるよ」
「そうだね。――俺たち5人は、確かにここに居る」
幼なじみという便利設定はあるものの、人間関係をさくさくっと入れてくる手並みは鮮やか。
後こう、オーディションのレベルも上がっているのでしょうが、各メンバーしっかりアフレコこなしていて、
きちっと台詞に感情のニュアンス込められているのは、ポイント高い。
結果、一番違和感あるのが、どうしても関根勤になるのですが(^^; どういう成り行きでのキャスティングだったのかわかりませんが
(普通にベテランの役者を配置するのとはちょっと違いますし)、微妙に不安だったので車内に山口勝平と堀江由衣を配したとしか思えない(笑)
クライマックスは、電車上バトル。まあどうしてもCGの上の戦闘は浮いてしまうのですが、色々やって、なんとか盛り上げました。
そしてロボ戦は2話にして合体解除回避から、豆鉄砲みたいな射撃系必殺技・フミキリトッキュウショットで撃破。
これはもう少し何とかならったのか(笑) 特撮班、電車上バトルで、エネルギー使い切ったのか。
そして途中の少年との会話などから、自分達が幼い頃に住んでいた街はシャドーラインによって闇に沈み、
その影響で自分達は現世から切り離された「死んだも同然」の状態に置かれているのではないか……という推測に辿り着く5人だが、
「当たり」「外れ」と車掌とチケットくんの答は正反対。
さすがに毎度こんな感じのオチで引っ張るのは難しいと思うのですが、いつまで行くのかこの構成。
まあ追加戦士を考えた場合、幼なじみ追加するのも無理があるのでは、と思っていたのですが、この設定なら、闇に沈んだ他の街の人、
という事で幼なじみ以外でも加えられますが、さてさて。
後まあ、切り離されているから烈車に乗っているのではなくて、烈車に乗っている間だけ夢の続きに居る、
という因果関係が逆の可能性もありますが。そちら行くと重くなりそうだなぁ。
引き続き、好印象。
我ながらちょっと謎なぐらい、ツボ。
現状の感触が良すぎて、後で落胆するような展開になった場合の反動に、今から身構えているレベル(笑)
ところで、『特捜ロボジャンパーソン』(1993)から数えると、厳密には去年だけど、小林靖子は脚本家デビュー(およそ)
20周年なのですね。脳天気であっけらかんとしているようで、根っこの所で「ヒーロー」を組み立てようとする気配のある今作、
その辺りの想いも篭もっているのかな、など勝手に考えてそういう点でも期待しております。
……こっそりジャンピーネタとか挟んできても、心の準備は出来ているから大丈夫ですよ!(待て)
今回でいえば、「よーし、そのイメージ、貰ってく」というのは、(70年代的無意識な)
正義と背景としての子供の応援を取り込んだという形に見えなくもなく、1話2話とスマートに“子供を助ける”
という構造を入れてきたのを含め、「子供達のイマジネーションから生まれたヒーロー」
というメタ要素はやはり意識的に持ち込んでいる気がするので、どう使ってくるのかも楽しみです
(テーマに関わらないニュアンスとしてだけでも、それはそれで面白い)。
次回、グリッタ嬢、早くもシュバルツ様にアタック……?! シュバルツ様の紳士度が、今、問われる……!
- ◆第3駅「思いこんだら命がけ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子)
-
OP、今回は黄色が転んだので、全員転ぶ模様。
前回ラストで提示した5人の謎については、どうとでも取れる言い回しで、「結局よくわかりません」とお茶が濁されました。
そこから、トッキュウジャーとしての戦いと、5人のパーソナルな目的としての、故郷の街探し、を繋げる形に。
ヒーローか個人か、の2択ではなく、ヒーローもやる、個人の目的も忘れない、と、純粋な道義心から動く古典的ヒロイズムを持ち込んだ上で、
私情と矛盾もさせない、という構造にしてきました。まあまずその、「個人」を見つける所から始めなくてはならない、
という構図もあるのですが。
また、ヒーローサイドに、敵を倒す、以外の目的を与えてストーリーにもう一つの軸を作っているのは注目点。
ヒーローはどうしても、“悪に対するカウンター”として誕生して、そこで目的設定が終わってしまう事が多い為、
集団として別の目標を持っているというのは恐らく割と珍しい(個人単位の「夢」などは別にして、物語の主軸となるもの)。
ちなみに、戦隊で集団として「悪を倒す」以外の主目的を持っていたというと、『超新星フラッシュマン』(1986)の「親探し」
を思い出す所ですが、これは上手く行かなかった悪い例(笑)
しかしそういう観点で見ると、全く活かされなかったけど、『フラッシュマン』の秘めていた構造的面白さを思うところです
(『フラッシュマン』の場合は完全に、主:メスに復讐する/従:家族を探す、でしたが)。
後は「未来に帰る」『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)と、「お宝を手に入れる」『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)
『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)辺りですが、3者とも、目的達成のプロセスで(必然的に)敵対勢力と交戦する、
という前提があるので、また少し違うか。
『ゴーカイ』の場合はそこで、そこはかとなく主従が混ざったり逆転したり言い訳にしたりするのを面白みとして、
戦隊の特色にしていたわけですが。
カグラ・デストロイモード起動というネタから、街探しの伏線に繋げたのは、鮮やか。というか今回は、
そこが無ければ取り立ててどうという事のないエピソード。ただ、謎・謎で引っ張ってきた2話までから、
チームとしての目標と意識が確定し、基本的な方向性が決定するという、土台作りは完成しました。
1−2話ではやらなかった、OPテーマでの戦闘を今回入れてきたのは、その点も含んでか。
次回、青と黄はセットの模様ですが、キャラ話が一周して、ざっと基礎編が終わり、という感じでしょうか。
歌を唄いながら棺桶を引きずって子供をさらっていくというチェーンシャドー(CV:時実先生)は普通に怖く、
ホラー系の怪人から子供を助ける、という構造は意図的に続けたものと思われますが、今後もホラー系怪人には期待したい。
期待といえば、期待されたシュバルツ様の紳士度でしたが……駄目だよシュバルツ様! 貴婦人に恥かかせてるよ!
というわけで、残念ながらマイナス10点。
無骨な武人タイプだから、紳士スキル低いという事なのか。
ところで何故か間にCMが2回入って3パート構成となり、CパートからそのままEDに突入しましたが、
演出として特に効果的だったわけでもなく、どうしてそうなったのか。一時期の、クライマックスだけCM後に切り離されている、
は最低でしたが、あそこまで酷くなければそんなに気にはなりませんが。
次回、いっけん物知り博士ポジションぽいけど現状コメディリリーフ以外の何者でもないトカッチ、己が存在意義を疑い、
じっと手を見る。……だ、大丈夫、むしろコメディリリーフは重要な役割だ!
- ◆第4駅「忘れ物にご注意を」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子)
-
OP、緑は転びそうになるも、踏みとどまる。
次回で一巡しますが、6話以降はどうするのかなー。別のアクションになったら凄いけど、そこまでOPの小ネタに凝ると思えないので、
素直に2周目に入るのか。
あと、トッキュウ1号のマスクが機関車モチーフのデザインで、煙突ついている事にやっと気付きました。
見所は、
「戦いは当然、ライトやミオには敵わないし」
さらっと筋肉カテゴリに分類されるミオ。
レインボーパスで買い物出来るのと、無尽蔵にお金を使えるのとは話が違うよな……と思ったら、早々にその誤解は訂正。
調子に乗って大量の買い物をしたトカッチは慌てて返品に戻ってから帰ってきた所、パスを落としてレインボーラインに乗り込めなくなってしまう。
そんなタイミングで、次の駅がシャドーラインに乗っ取られるという事態が発生。
「緊急発車しましょう。トカッチくんは、徒歩で移動してください」
それでいいのか(笑)
赤・緑・桃が先に3人で戦っている所に、タクシーで駆けつけたミオ(委員長属性でお世話係)とトカッチが変身して合流、
折角だから改めて名乗り、と今回はかなりコミカル分強め。スーツアクションは初期からかなり遊びを入れていますが、
雑魚戦で緑が桃を肩車して戦っていたり(笑)
早々に逃げ出したストーブシャドーを追って、場所移動。ミオ&トカッチはバスで追跡、と、
レインボーラインの停車駅/停車中しか現世とコネクトできないのかと思っていたのですが、そうでもない事が判明しました。基本、
5人の行動制限は、記憶喪失だけな模様。
まあ、記憶を失っている為に現世の「居場所」を持たない……本質的にコネクトできない、という事ではあるのですが。
だからこそ、「俺たちはここにいる」というのが、普遍的でありつつ今作ならではのキーとして機能している、
というのが、上手い所。
今回も部分的に記憶が戻りましたが、毎度毎度やると面倒くさくなるので多分やらないだろうけど、
今後もアクセントで使っていく形になるのか。
「僕……本当は気にしてたんだ。一番役立たずなんじゃないか、って」
「ライトに引っ張ってもらわないと、きっと何も想像できないと思う、あたし。だから、なんでトッキュウジャーに選ばれたのかなぁ……って」
根本的存在意義の軽さと、イマジネーション不足、戦場へ向かって山越えしながらそれぞれの抱えるコンプレックスを打ち明けるミオとトカッチ。
2話でヒカリが風船野郎の重しになってくれる意味を語っていたミオが、皆と一緒についていく為には、
その風船に引っ張られるしかないと思っている、というのは面白い構造。前回はパーティとしてのモチベーション確認と物語の軸の明示だったわけですが、
今回はトッキュウジャーの中での「居場所」の確認、という、キーエピソード(2話)できちっと布石を置いた上での、
段階を踏んでしっかりとした構成は、小林靖子が“見えている”ところで、さすが。
ストーブシャドーに挑むも苦戦する3人を車掌とチケットくんが応援しているシーンでは、椅子に座りながら戦闘をモニターしている、
という構図にする事で、関根勤が動きを表現しやすいようにして、少し見せ方に工夫を入れてきました。こういう工夫は今後も期待したい。
トカッチのなくしたパスは車内でワゴンによって発見され、戦闘に合流する2人。
電車が通り過ぎるとミオとトカッチが立っている、という王道演出から変身。
「まーた特急じゃない奴等なのだ」
「確かに鈍行だったけど、ここからは違う」
「トッキュウで行くよ、トカッチ」
そして主題歌が流れだしての戦闘――と、ドタバタ展開から、ばしっと決めてくるのは、渡辺監督のツボを押さえた演出。
2号と3号が乗り替え、1・4・5号も合わせて乗り替え。
今回も5号(ピンク)になるライトは要するに、
女装好き
という、気付かなくていい事に気付いてしまいました。
カグラの「スーーパーーガール!」も毎度やるとちょっと面倒くさいなと思っていたのですが、今回は無し。
斧に振り回されるだけで活躍なし、というのは前回(及びトカッチ)とのバランスとして良かったと思います。
2号と3号の連係攻撃を浴びたストーブは巨大化。トッキュウオーで立ち向かうトッキュウジャーだが、
シュバルツ様が繰り出したクライナーが、なんと人型へと変形する!
パッと見て脳内でつけた仮称「クライナーロボ」……が公式名称でした(笑)
3対1で苦戦するトッキュウオーは、新装備、シールドレッシャーを接続・召喚。
「来た! けど……」
「けど……」
「突っ込んでくるー!!」
トッキュウオーに突っ込んできたシールドレッシャー、正面衝突のついでにクライナーロボを薙ぎ倒す。
「嘘? 本当に味方の烈車?!」
「らしいな。凄いチャンスになってる」
今週面白かったけど、ここが白眉(笑)
形勢逆転したトッキュウオーは同士討ちも含めてクライナーロボを蹴散らし、ストーブシャドーを一刀両断。
その光景を観戦していたシュバルツ様が姿を見せて初顔合わせが実現し、シュバルツ様は蒐集鉄
である事が判明しました。
ネロ男爵はたぶん撮り鉄なので、恐らく途中で、乗り鉄の新幹部が登場するに違いない。
初期からコミカル要素は多めに入れている今作ですが、今回はかなり積極的にコメディの間合いで話を進めており、
シナリオ・演出ともに、笑いの要素がどれぐらいのバランスまでOKかを、測りにきた感じ。その上でテンポよく展開し、
面白かったです。なおパート分けはA・B二分割に戻り、前回はなんだったのか。
ところでミオの通称を「姐さん」にするか「委員長」にするかで悩んでいたのですが、あまり筋肉推しだと可哀想だと思われたのか、
最後に押し倒しイベントで可愛げアピールがあったので、とりあえず「委員長」で行こうと思います。
で、薄々思っていたけど、委員長は全くその気がないのに男引っかけまくる危険な女なキガスル。
そして結局のところ、トカッチはうひょーキャラ、百歩譲っても、やる時はやるうひょーキャラ、で別に存在意義が増したわけではない、
という辺りの限りなくドライな現実。
頑張れトカッチ、勝利のイマジネーションだ!
(本感想は、主にヒカリを応援しています)
- ◆第5駅「消えた線路の向こうがわ」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
-
途切れた線路の先にシャドーラインの乗り込みが確認され、カーキャリアレッシャーに搭載された車で、大ジャンプを敢行するトッキュウジャー。
だが、動力であるイマジネーションが強すぎるライトがひとり飛びすぎてしまい、はぐれてしまう。ライトを探す4人が目にしたのは、
バケツシャドーに食料を奪われ、空腹で苦しむ人々の姿だった……。
注目は、OPに注意書き。
「みんなは線路内で遊ばないでね!」
そしてピンクはこけた……回った!
キャラ話1巡のレッド回……で、改めてやっぱり、頭オカシイな、と(笑)
マイペースとポジティブシンキングを突き詰めると、狂気に達する、という。
で、キャンプを追い出されたけどむしろサバイバル能力無駄に高そうだよなー、と思ったら案の定、どこでも生きていけそうな気配。
そんな感じでスキルは増強されましたが、人格面はキチガイから特に一歩も動いていないので、この路線で突き進みそう。
車の飛びすぎでライト一時離脱のメンバーの主導権は、委員長があっさり握りました。
まあ、ヒカリはやる気なさそうだし、カグラはそういう発想が無さそうだし、トカッチはうひょーだし、ごく自然。
みんな、指示を受けるのも自然。
ミオと言えば、初回から意識的にやっていますが、剣道経験者という設定なのでしょうか? 専門知識ないので断言は出来ないけど、
剣の打ち込み方が剣道っぽい。
空腹で怒りのライトと4人は合流し、腹ぺこで闇を生むバケツシャドーと激突。
今回もライトが乗り替えたかったから意味なく乗り替えましたが(一応、4号はパワー系というつもりかもしれないけど)、
ライトが全く色にこだわっていないのに対し、他のメンバーは割とこだわっているのは面白い所。
カーキャリアは……あのえらいぞんざいな車が気になります(笑) 突入兵器として使用されそうですが、前回と合わせて、
基本はレインボートレインによる移動だけど、その時その時の手段には、あまりこだわって縛りをつけないで進む様子。
設定が設定なので、全体的にもう少し縛るのかと思っていましたが、展開のしやすさも考えてか、思いの外、自由。
トッキュウオーは連結武装でトッキュウオーカーキャリアとなり、
「凄いけど、何が凄いのかわからない」
「自分達で、凄くするんだよ」
という台詞は、この作品らしくて好き。
やる事は、長くなった腕で殴るなんですが(笑) 攻撃にしろ必殺技にしろ、ノリの赴くままで、特にパワーアップ感が無いのが、
凄いといえば凄い。最初にこうしておくと、後は幾らでも好きな時にテコ入れノルマ達成可能という免罪符を構えられた感じでもあります(笑)
それにしてもまさか、前回ラストのあの恥ずかしい花びら、伏線だったとは……! ネタと見せかけて策を潜ませる、恐るべし、
シュバルツ様……!
途中で盗聴していたのはどう考えても、ワゴンさんの自分撮り独り言ですが。
ネロ男爵も貴婦人に向けてステッキ突き付けるし、シャドーラインには紳士が足りない!
細かい所では、メンバーがそこはかとなく着替えているのは、今後も続けてほしい所。あと今回は、背後での小芝居多め。
キャンプ場での変身シーンで、白線が怪人達だけではなく、ぐるっと回って背後の一般市民の皆さんも後ろに下げている辺りなどは、
無駄に凝っていて好きです。
次回、うひょーは男を上げられるのか!
- ◆第6駅「探し物はなんですか」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
-
前回、食料を求めて山を散策中に、行方不明のサポートレッシャーの一つを見かけた気がするというライト。
タンクレッシャーを探して山を歩く5人だが、その背後に鉄将軍シュバルツの影が忍び寄る……。
今回の一番酷かった台詞は、
「そっか……あの話、続いてたんだ」
そういうの、気にする子も居るんですよライトくん!!
まあ他3人も、どうせ好きにやるから別にトカッチでもいいんじゃね、的な反応ですが(笑)
で、トカッチ回のように振っておいて、一番活躍するのはヒカリ、というちょっとした変化球。
挙げ句の果てに、
「もういいよ、そういうの。影のリーダーが居るなら、サポートが得意なリーダーも居て、そん時そん時で必要なやつが、
リーダーになればいいんじゃないの?」
「必要なやつが?」
「俺たち全員がリーダーってこと」
遂にリーダーそのものが否定された(笑)
二人でコンビネーション攻撃決めるかと思いきや全く合わないという小技など挟みつつ、トカッチから乗り替えをしようと言い出すなど、
そもそもはギミック先行だったと思われる乗り替え変身の要素も、上手く物語の中に繋げてきました。
誰もがヒーロー、誰もがリーダー、誰だって1号。
大切なのは、諦めないイマジネーション。
リーダーという「看板」ではなく、それぞれが自分に出来る事をするのが大事なのだと、
トカッチを一切持ち上げる事なく、綺麗にまとめ(笑)
トカッチのポジションを更にはっきりさせつつ、ライトの発言へのミオ・ヒカリとカグラの反応の違いや、
ちょっとした知恵を使うヒカリなど、細かい仕込みでキャラの差異を出していく手管は見事。ヒカリが目印に用いたのが、
キャラと絡んだアイテム(剣玉の替え紐)というのも良し。
また、真面目なツッコミ側として立ち位置の近いミオとヒカリを、ヒカリの方が頭脳派、という形で色分けを強くしてきました。
で、乗り替え含め、そんな諸々が今作のテーマとしての、「居場所」に繋がっている、と。サブタイトルは、らしいダブルミーニング。
怪人抜きでメインを張ったシュバルツ様は、盗聴→尾行→人質、と一気に下衆い感じに。
「だが我々の尾行に気付いて、同じ場所を歩き回っていたことは誉めてやろう」
……て、そっち行くのかシュバルツ様ーーー!
抜く手も見えない居合い切りでトッキュウジャーを圧倒した所は格好良かったです。
個人では圧倒したけど、ロボットが敗退、というのは序盤の幹部出てきて退却としては、新しいパターンでしょうか。
「そのモビルスーツの性能のお陰だという事を忘れるな!」
という意味では古典的ですが。能力面では上手く落とさずに、トッキュウジャーの逆転勝利に落とし込んだな、と。
新武装トッキュウオータンクは、定期的に登場のボクシングスタイル。
基本、腕になんかつけて殴る以外やってないゾ(笑)
トッキュウオーはメカとしてはなかなか変化をつけづらいコンセプトデザインだと思うので、バンダイがどんな要素を突っ込んでくるのか、
この次のネタがちょっと楽しみになってきました。
今回また、3パート分割。前回よりは3分割の意味のある分け方でしたが、あまりこだわらずに併用するのか、何か事情があるのか、謎。
まあ《平成ライダー》シリーズなんかは、ものによってはアバンタイトル長すぎて実質3パート分割、みたいになっていたり色々と変則だったりしますが。
次回、映画の宣伝兼ねてでしょうが、『仮面ライダー鎧武』との、コラボスペシャル。結局『鎧武』見ていないし、
例の映画はスルー予定なのでテンションちょっと低くなりますが、酷いイマジネーションだった……みたいな事にならないのを期待したい。
にしても、「空から降ってきたオレンジと合体」とか、絶対ライトに見せてはいけない映像な気がするのですが。
→〔その2へ続く〕
(2014年7月31日)
(2019年10月20日 改訂)
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