■『特命戦隊ゴーバスターズ』感想まとめ3■
“灼熱をあらわす色 ゴールドとシルバーのDuo!
削除するぜ Boost Up!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特命戦隊ゴーバスターズ』
感想の、まとめ3(13〜18話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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- ◆Mission13「サプライズな休日」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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ヨーコの招集で休日に集まるバスターズとバディロイド達。おめかししたヨーコの服装に、
毎度ながらの女心を介さない発言をするヒロムの口を慌てて塞ぎ、
「ヨーコ、今日はいつもより、お洒落だな〜」
とフォローするバイクのAIは、いったい誰のプログラムによるものなのだろう(笑)
立ち上がり、色々と問題の出ている今作ですが、こういったコミカルなやり取りは面白いし、中澤監督もさすがの間合いの巧さ。
ヨーコ企画のサプライズツアーで一行はまず動物園に向かい、大喜びするゴリサキ。
世間的にバディロイドはどういう扱いなのだろうと思っていたのですが、一般市民からは、なんとなく、遠巻き。
一方その頃、エンターはメサイアから更なるエネトロンの収集を命じられていた。
「足ラヌト言ッテイル。“創造スル者達”ガ、足ラヌト」
「……あの“創造する者達”が、そのような事を」
「黙ッテ動ケ。私ノ望ム通リニ」
ここで、“創造する者達”という、新たな名前が登場。どうやら亜空間で新型メガゾードの制作に関わっているようですが、
さて。
また、毎度この馬鹿上司めんどくさーいという感じだったエンターが、
「黙って動け……ですか」
と、不満げなニュアンスをやや強調。
顔で笑って心で泣いて、それでもせっせと労働に勤しむ、社会人の鑑エンターはパンダの着ぐるみに身を包んでチューバを手に入れると、
メタロイド化。ヨーコ達がサプライズツアー中だった東京ドームシティに、チューバロイドが現れる。
メガゾードはバスターマシン1号で撃破するも、逃げたチューバを追ってサプライズツアーは中止。
赤と青が目立ったダメージの無い謎の音波攻撃を受けつつもチューバロイドを撃破する3人だが、爆炎の向こうから、
もう一体のチューバロイドが姿を見せる――。
「第二楽章、レクイエムの始まりだ」
この戦闘中、司令室に不在で緊急連絡もつかない黒木司令は、何やら怪しげな空間にアクセスしていた、と伏線が進行。
また、オペ娘がツアーに盛り上がっていたヨーコの心情を気遣い、オペ男はサボりの長官を気にし、
とオペレーター2人の視線を別に向けて使ったのは良し。
みんな楽しい後楽園ゆうえんち回……と思ったら、まさかの続きもので、果たしてエンターの目論みや如何に?!
- ◆Mission14「サバ? 救出作戦」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
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チューバロイド2号機の音波攻撃を受けて赤と青のモーフィンブレスが砕けてしまい、
早くもヘルメットのサングラス部分が壊れるというピンチ演出。更に充電切れのヨーコが人質に取られてしまい、チューバ2号は、
これから出現するメガゾードの行動を黙って見ていればヨーコの命は助けると通告してくる。
チューバ1号の音波攻撃を受けた物だけがチューバ2号の音波で破壊される、という二段階攻撃の正体に気付いたヒロムとリュウジが、
ヨーコを見捨ててエネトロンを守る為に出撃すると勘違いしたオペ娘は、2人を止めて、
ヨーコが企画していたサプライズパーティの秘密を明かす。
ヨーコが祝おうとしていたのは、最近になって判明したバディロイドの誕生日だったのだ。
と、ヨーコと距離を詰めた仲村さんが、思わず2人を止めてしまう、と遅まきながら個性が出てきたのは良かった所。
今回初めて気付いたのですが、デスク周りに可愛らしい小物が積まれているというのは、いつからやっていたのだろう。
パーティ用の料理まで自分で準備していたヨーコの成長に、お父さんモードに入るリュウジ。
そして、そもそも最初からヨーコを見捨てる気などは無いと仲村に告げるヒロム……通常のヒロムだと、
「最初から見捨てる気は無いのに勘違いして無駄な時間使わせるなこのぼんくら」ぐらい言いそうですが(悪意に解釈しすぎです)、
穏便に説明する辺り、やはりヒロムは、仲村さんに優しい気がします。
2人はヨーコの囚われた場所へと潜入し、途中で、前回「サプライズパーティなんて遊びは終わりだ」
とヨーコに冷たく言った事を反省するヒロム。
「また言い過ぎました」
「気付いただけでも成長じゃないの」
ヒロムは運動能力、判断力、知性、と総合的に出来がいい実戦派タイプなのですが、明確にコミュニケーション能力の欠陥を描いた上で、
その改善やそれにまつわる気付きなどが、小刻みに人間的成長として描かれています。
この際、今までそれを悪い事だと思っていなかったヒロムが、“チームとして戦う”中で徐々に自分に欠けている物に気付いていく、
という構成は、今作のコンセプトと絡めていて、悪くない作り。
警備の戦闘員を沈黙させた2人は、ヒロムがエンターに変装し、潜入していたリュウジを捕えた、
といってヨーコを捕らえるチューバに近づいていく。サブタイトルの「サバ?」は何かと思ったら、
ここで変装に際してエンターの口癖として象徴的に用いていて、なるほど納得(声だけ特殊な装置でエンターの音声に変換。なお今回、
エンターの出番はこの、偽物の声だけ(笑))。
まんまとチューバを騙せそうになるが、しかし、
「何故おまえから心臓の音が聞こえる」
とバレてしまうも、華麗な連携でヨーコの救出に成功し、反撃スタート。
エンターからは心臓の音がしない、とさらっと重要な情報が盛り込まれているのですが、
ヒロムもリュウジもまるで驚いていない様子で……周知の事実でしたっけ??
まあエンター、興奮すると体から触手が飛び出す体質なので、
ゴーバスターズに人間と認識されていないのかもしれませんが。
「エネトロンも仲間も両方守る。おまえをあと2分で倒して。何かを守るって、そういう事だ!」
3人揃ったゴーバスターズはチューバロイドに啖呵を切り、守らないといけないもの二つの「選択」に対するヒーローの王道ですが、
ここで一度、ヒーローとしてのゴーバスターズ、をまとめました。約1クールという事で構成としてもスタンダートで、問題は、
ここまでの積み上げが少々ガタガタという事ですが(^^;
とはいえ前回今回は、ここまでの『ゴーバス』としては悪くない出来だと思います。
「レッドバスター!」
「ブルーバスター!」
「イエローバスター!」
斜め後ろにそれぞれのバディロイドを置きながら次々と名乗るゴーバスターズ。
「バスターズ、レディ……」
バディ「「「レディ……」」」
「「「「「「ゴー!」」」」」」
と3人と3体で決めて、反撃スタート。
立ち上がり、ロボ戦重視の方向性から、ロボ戦に大きく尺を取ると共に、通常戦闘において戦隊揃い踏みを避けたり、
トドメ技を目立たせない、ロボ戦との同時進行を多用、など、敢えて定番の約束事から変化を付けてきた今作ですが、
基本的な組み立ての変化×やや複雑な設定×戦隊メンバーもバディもバックアップチームも描写する
と欲張りすぎてまとまりが悪かったのに対して、だいぶ組み立てを定番に近づけてきました。
結局“いつもの戦隊”に戻ってしまっている部分はあるのですが、どだい“変えた組み立てに合わせて詰めなければいけない所が詰められていない”
という構造的問題を抱えていたので、そこを突っ切ろうとして奈落の底へ落下して這い上がってこられなくなるよりも、
早い内に「一旦組み立てを慣れた構造に近づける」という判断は、英断だったと思います。
ゴーバスターズはチューバロイドを撃破。転送されてきたメガゾードの音波攻撃を、ゴリラが逆の波形の音波を放つ事で打ち消し、
ゴーバスターズオーで倒すのであった。
かくして難局を乗り越えたゴーバスターズは、改めてバディロイドの誕生日を祝うパーティを開いて絆を深めるが、
司令はいつまで経っても帰ってこないのであった……その頃、職場放棄していた黒木司令は、山奥で二つの影と対峙していた。
「お前達、本当に来たのか」
「ぶー、は・ず・れ。来たんじゃねえ、戻ってきたんだよ」
「俺は来た。初めてだ」
「どけよ! 俺にかぶるんじゃねえ。こいつはただのバディロイド。主役は、この俺。
ビートバスターとでも呼んでくれ」
その人物は、バスターズに酷似した、金色のスーツに身を包んでいた――。
- ◆Mission15「金の戦士と銀のバディ」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
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前回に続き、冒頭にナレーションを使用。13−14話は明確に前後編でしたが、続けて使ってきたのは、
少し物語の筋をわかりやくしようという配慮でしょうか……?
新型メガゾードを製造するエネトロンが足りないという話が納得いかないエンターは、
“創造する者達”とノートパソコンを通して文字で対話し、亜空間でエネルギー漏れが発生している事を知る。
メサイアが全く話が通じないので、会話の成立する“創造する者達”が、凄くいい人達に見えます(笑)
亜空間での異変を気にしつつも、とりあえずお仕事に励むエンターは、掃除機ロイドを作成。
掃除機ロイドは乗用車などからこまめにエネトロンを吸い取っていき、出撃したゴーバスターズと戦闘員のバトルは、
金田監督という事でか、生アクション盛り目。ヨーコの連続蹴りなど、なかなか格好いい。
エネトロン集め以外にやる気の無い掃除機ロイドに追いすがるゴーバスターズだが、その時、二つの影が戦闘に割って入る。
それは前回ラストで黒木司令が遭遇した金色の戦士ビートバスター、そしてそのバディロイド、ビート・J・スタッグであった。
サブタイトルでは「銀のバディ」となっているのですが、ビート・Jは上半身のアーマー部分が金色な為、銀色感は薄め。
横のビートバスターがまさしく金色なので、もう少し色彩の差別は図っても良かったような。
3人の前で変身を解き、正体を現すビートバスター。それは、リュウジにとっては旧知の人物であった。
「よっ、リュウジ、13年ぶり」
「先輩……」
「俺が天才エンジニア、陣マサトだ」
「俺が、ビート・J・スタッグだ」
「だから、被ってる被ってる」
Jは名乗りなどの度にいちいちマサトの前に立ち、ひたすら天丼ギャグ。掴みのキャラ付けとしては有りかとは思いますが、
面白いか面白くないかで聞かれたら、あまり面白くはない(^^;
かつてエンジニアを目指していたリュウジの憧れの先輩にして、13年前、
転送研究センターと共に亜空間に消えた筈の男――陣マサトはJにお姫様抱っこされての大ジャンプで姿を消す。
果たしてマサトは正真正銘の本物なのか、或いはヴァグラスによる何らかの罠なのか、
本物だとすればどうやって亜空間から戻ってきたのか……マサトの容姿が13年前と全く変わっていなかった事も輪を掛け、
黒木司令を初めとした特命部はその存在に困惑と不信を抱く。
持ち出された雑誌記事によると当時26歳だったマサトの年齢が亜空間効果で変わっていないとすると、
リュウジは憧れの先輩より不条理に年上になってしまうわけで、色々と必死です。
これ以上、おっさん扱いにはなりたくない!
まだ、30まで、1年以上は余裕があるのに!!
(※翌年、キョウリュウブルーが完全におっさん枠になる事を思うと、なかなか趣深い)
メガゾードの転送時間が迫る中、動きをキャッチした掃除機に立ち向かうも、苦戦するゴーバスターズ。そこへ再び、
マサトとJが現れると、フラメンコな前奏の挿入歌をバックに変身する!
「ビートバスター!」
「スタッグバスター! おまえはこの俺が、削除する」
追加戦士の2人目は、バディロイドが変身、と意外な展開。変身したJはわかりやすく銀色ベースで、サブタイトル通りの、
金の戦士と銀のバディに。
……これはあれか、5人中2人がおっさん枠というメンバーの、平均年齢を下げているのか(製造○年、みたいな感じで)。
「被ってるって言ったろ! たくおまえ、バディロイドとして、問題ありすぎだろ」
「問題はない」
「……ま、そういう駄目なとこが、面白いんだけどな!」
2人はゴーバスターズにはメガゾードに対処するよう告げると、猛然と掃除機に襲いかかる。2人を信用していいかどうか悩むヒロムだが、
リュウジは、ビートバスターが洩らした呟きに、その中身が本物の陣マサトであるという確信を得る。
駄目な所が面白い――それはかつて、ロボットの設計に関してリュウジがマサトに告げられた言葉だった。
「天才なのに完璧を求めない。陣マサトだ」
3人はゴーバスターオーに乗り込んで転送されてきたメガゾードを撃破し、ビート&スタッグバスターも掃除機ロイドを撃破。
ところが、落ち着いて話を聞こうとした3人の前で、マサトとJは掃除機が集めていたエネトロンの詰まったトラックを奪い、
逃走してしまう。
果たして、マサトはどうやって亜空間から帰還したのか、その目的は何なのか――!?
というわけで、前回ラストで振った追加戦士の本格登場編。
陣マサトの第一印象は、パーマのロン毛という髪型が大きいのですが、涼村暁(『超光戦士シャンゼリオン』)
+ 早川裕作(『電磁戦隊メガレンジャー』)みたいな(笑)
そして、マジ黄色は演技力があまり変わってないなぁ……。
本当に「天才」なのか少し不安になります(おぃ)
あとビートバスター、スーツアクターの体型の問題なのか、デザイン(配色)の問題なのか、下半身デブに見えて、
気になります(笑) 横のスタッグバスターが銀色でスマートなだけに尚更(^^; 天才エンジニア、
見た目は若作りしているけど体型は年齢が隠せないのか?! みたいな。
ビート・J・スタッグは、戦闘始まると物陰に隠れてこそこそしているニックと違い(ゆうえんち回で少し戦いましたが)、
バディロイドにして戦隊メンバーという変化球で来ましたが、悪い事につい先日、ゴセイナイト(『天装戦隊ゴセイジャー』)
を見てしまった為、非人間の追加戦士としてのインパクトはさほどではなく。
これは、今作が悪いのではなく、ゴセイナイトが悪い(笑)
ゴセイナイトは許さない!
とりあえず、声が中村悠一(好き)なので、おいしくいただけそうな気はします。
一応、バスターズが苦戦した掃除機を倒してはいるものの、追加戦士の初登場回としては戦闘力の描写は抑えめの印象。果たして、
この素っ頓狂な2人組はどんな新風を巻き起こすのか。
- ◆Mission16「亜空間から来た男」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
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「先輩としか思えないんだけどね。……年齢以外は」
やはり、リュウさんにはそこが、とても、重要な所です!
エネトロンを奪って逃げた陣マサトについて話し合う特命部だが、そこに何故か、エネルギーを求めてビート・J・スタッグがやってくる。
ヒロム達はエネトロンと引き換えにJから話を聞き、黒木とマサトが同期である事が判明。
「ちなみに“J”は、樹液のJだ」
今回、一番面白かった所(笑)
物語全体にはまだいまいちノれない今作ですが、ギャグシーンは割と一貫して好きです。
そして、「ジャスティスのJ」とかではなくて良かった……!
自分にしか興味が無い、と断言するビート・樹液・スタッグは亜空間の事は語らずに立ち去り、
3人はマサトから話を聞き出すためにJの後を尾行する。だが、エンターが亜空間での異変を確かめるべく、
パラボラロイドを作り出してビートとスタッグバスターを探索させ、リュウジとヨーコはその対処に向かう事に。
1人でJを追ったヒロムの前に、待ち受けていたマサトが姿を見せる。
「俺に勝てたら、亜空間の事を教えてやる」
13年前の件で父親を悪し様に言われ、挑発されたヒロムはマサトに躍りかかるが、体術で軽くあしらわれてしまい……
ヒロム、変身(おぃ)
マサトも応じて変身し、やはりあっさりと投げ飛ばされ……ヒロム、ナイフを抜く(おぃ)
時間と距離が離れているからこそ理想化された“大切なもの”を貶められた時に頭に血が昇ってブレーキが効かない、
というヒロムの新たな一面が描かれていますが、キレすぎではないか(笑)
激しい戦いを繰り広げるレッドバスターとビートバスターだが、そこへパラボラロイドとエンターが乱入。
パラボラを追ってリュウジとヨーコもやってくるが、パラボラのミサイルからレッドバスターをかばったビートバスターが、
エンターを巻き込んで大・爆・死。
――が、突然、配電盤の中から姿を現したJがマーカーを起動すると、陣マサトはその場に復活する。
そしてまた、エンターも。
マサトの正体は亜空間からビート・J・スタッグをマーカーにして送り込まれたアバターであり、エンターも同じく、
本体は通常空間に存在しないのであった。亜空間におけるエネトロン漏れは、
Jそして自分のアバターを通常空間に送り込む為にマサトが行っていた窃盗だったのである。
と、通常空間でエンターが行っていた犯罪を、亜空間ではマサトが行っていた、というのは面白い設定。
普通の人間の肉体は転送に耐えられない、という基本ルールは保持したまま、追加戦士を物語の中に収めてきました。
で、「アバターだから若いときの姿のままなのか」と皆納得してしまうのですが、いやそこは「どうしてあんた、
アバターを自分の若い時に設定してるんだ!」とツッコむべき所では(笑)
マサトの正体を知り、ゴーバスターズは5人で揃い踏み。エンターは転送されたメガゾードを手動にして5人を直接攻撃させるが、
金と銀がそれぞれのメカを亜空間から召喚し、バスターマシン1号と協力してメガゾードを撃破。パラボラロイドは青と黄が倒すのであった。
金と銀のメカは、カブトクレーンとクワガタジェットで、共に、敵メガゾードのエネルギーを吸収する機能付き。
前回のエネトロン盗難と合わせて、マサトはエネトロンを個人的に必要としている模様(アバターの保持の為?)。
戦いが終わり、ヒロム達はマサトから亜空間の事を聞くが、13年前、別ブロックで仕事中だったマサトは、
所長達がどうなったのかを知らなかった。13年間、亜空間では誰とも出会っていないと話すマサトだが、
亜空間で拾ったクリスマスデザインのオルゴールを3人へと渡すのだった……。
どうもまだ、全てを話してすっきり仲間入り、という雰囲気ではないですが、
亜空間からわざわざ転送エネルギーを消費してプレゼントを持ち帰る事で、
マサトの視聴者への好感度付け&ヒロムとヨーコとの友好度が上昇。この辺りはそつがありません。
また、追加戦士の設定を物語の中心の要素と絡める事で、否応なく背景設定と物語の繋がりが深まりました。これまで、
設定が色々とあるのはわかるけどそれが全然物語と繋がって見えない為、何をしているのか(表現したいのか)さっぱりわからない、
という状況が多発していたので、これが良い方向に転がってくれる事に期待したい。
- ◆Mission17「その名はゴーバスタービート!」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
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OPに昆虫コンビが追加。どう見ても、120%窃盗犯です。
その窃盗犯2人組がタンクから堂々とエネトロン強奪を目論み、金色のカブトムシマシンは、
以前にヴァグラスに横流しされた設計図から作られた新型のバスターマシン、BC−04であると言及(元になっているのは、
かつてマサトが設計したメガゾードとの事)。マサトが亜空間でそれを完成させた事に感心する司令部ですが、誰か、
ヴァグラスに横流しされた筈の設計図からマサトがマシンを作っている事にツッコまなくてもいいのか。
や、マサトが作ったのはあくまで13年前に自分が設計したマシンという事で横流しされた設計図とは関係ないのかもしれませんが、
だとするとそれがまんまBC−04と認識されるのもおかしいですし、天才だから13年ぐらい時代を先取りしていたのかもしれませんが、
無理に絡めようとしてかえってわかりにくくなった感じです。
マサトの天才ぶりは他で補強すればいい話ですし、新型バスターマシン(メガゾード)と、
マサトの作った昆虫メカは特に繋げなくても良かったよーな(^^;
まあ恐らく、天才・陣マサトを失って完成させる事の出来なかったBC−04がようやく設計完了するも敵に奪われてしまうが、
それに対して帰って来た陣マサトがオリジナルのBC−04を繰り出す! というストーリーラインなのかとは思うのですが、
それで受け手に対してわかりやすく、かつ物語として盛り上げようとするならば、設計図の話の段階で陣マサトの存在を印象づけたり、
エンターさん部品集め編の中でBC−04に関して司令部側から少しずつ言及がある、という積み重ねが必要で、
パッケージだけあって中身が揃ってないのにそのまま突っ切ろうとしてしまう、という今作の悪い所がまた出てしまいました。
バスターズの3人を見ていて、保護者役を務めるリュウジの在り方に危惧を抱いたマサトは、
リュウジを呼び出してエンジニアとしての志を失ってしまったのか、と問う。
「今は……見ての通り、戦い専門ですから」
「何の為に?」
戦う力を持っているから、戦わなければ世界が滅茶苦茶になってしまうから……とリュウジの口にする綺麗な使命感を、
撥ねつけるマサト。
「戦いを続けるには、エネルギーが居る。――心のエネルギーがな。それが、何か、だ。おまえは亜空間に、
家族が居るわけじゃないだろ」
「でもあの日、俺達に希望を託した人達。……ヒロムやヨーコちゃんとした約束。俺には絶対に忘れられない。大事な事です」
「ふーん……それで保護者みたいになってんのか」
「……年上ですから俺」
「その年上が、足を引っぱんなきゃいいけどな」
そこへ、マサトの存在を重要視した管理部から、
マサトが自身のアバターやバスターマシンを通常空間に送り込むのに必要とするエネトロンが供給されると連絡が入るが、
エンターがそれを横から強奪。フォークロイドを誕生させると共に、大量のエネトロンによってメガゾードを召喚する。
「間もなくです。今日でゴーバスターズもバスターマシンも、全て、ラ・ファン」
本日はやたらにテンション高いエンターが呼び出したのはただのタイプベータ? と思いきや、
バスターマシン1号の攻撃を受けたメガゾードの内部から、新型メガゾードが誕生する!
「ようやく完成です! 世界を支配するマジェスティ・メサイアの先触れ。破壊のメガゾード。トレビアン……」
フォークロイドは昆虫コンビがさくっと倒し(合体角スラッシュは格好良かった)、角メガゾードに立ち向かうゴーバスターオーだが、
必殺次元斬りを跳ね返されてエネルギーを失い、合体が解除されてしまう。
「さあ! ここからが破壊の本番! デトリア!」
エンターがテンション高く喜ぶ中、角メガゾードはあっという間にバスターマシン1号と3号に大きなダメージを与え、
ブルーバスターは2人の危機を見捨てられずに動ける2号機を盾にするが、状況は改善しない。
ここで赤が「動けるなら逃げて下さい!」「リュウジさん、なんで?!」と、しっかり状況を分析した判断を口にしているのは、
情に流されないヒロムらしい所。
「ったく、リュウジの奴」
それを見ていた金は、Jに俺のマーカーシステムを起動させ、亜空間から金銀メカの発進描写。駆けつけたクレーン車と戦闘機が、
2体の敵メガゾードを吹き飛ばす。
「リュウジ、盾になったって、なんの足しにもならねぇ! 死ぬ順番が変わるだけだ!」
ハード路線の作風は、その場その場のシビアさに気を取られすぎると、全体の見えていないただの無能&外道になりがちなのですが
(司令とか司令とか司令とか)、これはいい台詞。
「優しいだけで乗り切れるほど、戦いは甘くねぇ!」
クレーンでゴリサキをはたき、青を叱咤する金。
「リュウジ、世界や誰かや約束の為だけじゃ駄目だっ。ちゃんと、自分の為にも戦え!」
「……」
「戦う理由を持て!」
「……戦う理由……自分の為に……」
「ヒロムにもヨーコにもそいつがある。自分の家族を取り戻すってな。だから戦いに突っ込める。守ってるだけじゃ、
負けはなくても、勝ちはねぇ。……足ひっぱんなよ! 年上」
「先輩……」
クレーンでメガゾードベータを引っかけ、振り回す金。
「あ〜、こっち戻ってまた、エンジニアやりてぇ! 結構モテたしなぁ」
その野放図な戦い方に笑みのこぼれたリュウジは、“勝つ為に戦う理由”が大事である事を認め、自分の中のそれを、
確固たるものとする。それは、この13年間、ロッカーの中に置き去りになっていた自分の夢――
「俺も……俺も戦いなんか終わらせて、エンジニアになりてぇぇぇ!」
ブルーは即座の判断で1号と3号に残ったエネルギーを吸い取り、2号をチャージ。
「先輩!」
「おっ、やっとその気になったかい!」
バスターマシン2号は、ジャイアントクレーンスイングで飛んできたメガゾードベータをゴリラミサイル一斉射撃で見事に撃破し、
一皮剥けた後輩の姿に満足した金は、クレーン車を角メガゾードへと突撃させる。
「マジで行くぜぇ!」
メタ気味の発言とともにクレーン車は変形して立ち上がり、クレーン部分が胴体に突っ込んで両腕になるという勇者王変形により、
誕生するゴーバスタービート!
……物凄く格好悪い。
天才エンジニアのデザインセンスに疑問を抱きつつ、しかしゴーバスタービートは、
敵の手の届かない所から攻めるのがこちらの有利となる! とばかりに伸縮クレーンパンチの嵐で角メガゾードを圧倒し、
トドメはクレーン部分を滑走路代わりに相棒を飛行機ごと特攻させるビートカタパルトアタックでシャットダウン。
「もんでゅぅぅぅぅぅー!」
今日は最初から最後までやたらにテンションの高いエンターは、怒りに顔を歪ませながら姿を消すのであった。
かくして新戦力が姿を見せ、エンジニアとしての自分も諦めない事を選んだリュウジをマサトが年齢ネタでいじって、オチ。
「感謝するよ。……私は厳しいばかりでな」
とラストで黒木とマサトが同期の大人の会話をするのですが……司令は“厳しい”のではなく、
“下衆い”のだと思います!
正直なところ、どうしても涼村暁(『超光戦士シャンゼリオン』が大好きなもので)にしか見えなくて困っていたマサトですが、
年長者ポジションだったリュウジを更に導く先輩として接する、同期として黒木司令のこれまでになかった面を引き出す、
と“大人”としての活躍により、だいぶ独自のキャラクターとして見えるようになってきて良かった。
これまでのリュウジの描写の積み重ねを活かして、テンポ良くテーマ部分もまとまり、今回は面白かったです。
“自分の為に戦えない者は、他人の為にも戦い抜けない”――すなわち、正気の「ヒーロー性」は自分自身も愛せる「人間性」
に支えられて存立しえる、というのは、くしくも先日感想を書き終えた『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)
の抱えていたテーマだったりしますが、『ジェットマン』が普遍的なテーマを実に丁寧にやっていた作品だというのが、
20年の時を経て窺えたりする所。
それにしてもリュウさんは、
今までのように気を遣った戦いは出来ないと熱暴走 → イラッと来たら口に出す事にする →
欲望を剥き出しにする(俺もモテたい)
と、スポットが当たる度に、率直なところ駄目人間に近づいていくような(笑)
――次回、一緒に合体するのかと思ったら必殺技の弾頭扱いされたJと飛行機メカの明日は地底だ。
- ◆Mission18「地底3000メートルの共同作戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:毛利亘宏)
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ヒロムとヨーコの2人に加えて、マサトのお守りもするのが辛いとこぼす岩崎リュウジ・28歳、ゴリサキに胃薬を要求。
前回、欲望のままに生きる宣言(語弊あり)をした気がしますが、人間、一朝一夕では変われないものなのです。
ヨーコちゃんは昆虫図鑑を持ち出して、ビートとかスタッグとかって何、と子供向けに説明し、
カブトムシ・樹液・クワガタムシって改めて意味不明な名前だな、とTVの前のみんなと確認(笑) まあこの辺り、
Jが陣のアバターの転送システムである、というのを掛けたりもしているのでしょうが。
そんな中、メガゾードが掟破りの0秒転送で出現すると大穴を掘って地下へ姿を消してしまう。その目標は、
地底3000メートルに眠る、採掘前のエネトロン。
……とここで始めて、エネトロン(の原材料)が地下資源である事が判明。薄々思っていたけど、この世界って、
“石油などは存在しない”のかもしれない。
追跡方法を模索するバスターズは、とりあえず付近に出現したドリルロイド2号機を倒しに行くが逃げられてしまい、そこへ現れる陣。
地下へ突入する作戦があるという陣が強引にヒロムとリュウジを連れ去り、取り残されたヨーコは会話の成立しない樹液と、
ドリルロイドを追う事に。
ヒロムの連れ去りの為に、久しぶりに鶏フリーズが発動。ギャグとしての使い方は面白かったですが、
基本的にギャグにしか使えない設定だな、と改めて。また、ビートバスターが単独で変身し、Jからパーツの一部が飛んでくるのが、
わかりやすく描かれました。
バスターマシン1号をカブトクレーンで吊り下げて穴の中へ降ろし、1号は地下でメガゾードと遭遇。一方、
Jと黄はドリルロイドを見つけて交戦するが、黄が途中で充電切れを起こしてしまう。
ピンチに陥った黄を助けたスタッグバスターは、物凄くシリアスに、木の枝を差し出す。
常識に欠ける銀の騎士は、真顔で告げるのだった。
「こいつの樹液は甘いぞ。こいつで、カロリーを摂れ」
やたら感動的な音楽が流れる中、、命を取るか、ヒロイン的立場を取るか
究極の選択を突き付けられたヨーコ――どうする、ヨーコ?!
……舐 め た!
……えー、戦士力が強すぎて、一応ヒロイン枠としては超えてはいけないハードルを棒高跳びで越えてしまい、
もはや後戻りできない感じなのですが、これで良かったのか。18話にして、ヒロインレース脱落なのか。
てっきり、真面目にズレているJ、というギャグシーンで流すのかと思ったのですが、思った以上に作品が容赦ありませんでした。
僕らの世界を守る為には、カロリーの選り好みなど出来ないのだ!
充電完了したイエローは、スタッグバスターとのコンビネーションでドリルロイド2号を撃破。
「俺は俺の命令でのみ動く」
「その割には息ぴったりだったけど?」
「陣に言われたから、俺は俺にそう命令した。おまえと息を合わせろと」
と、少し陣と樹液の事も見直すのであった。
地下のレッドは、ドリルメガゾードをクレーン車に吊り上げさせると、自機は量産型と交戦。
地上の量産型がゴリラのディフェンスを突破するが、そこにウサギとクワガタが駆けつけ、窮地を脱出。
地上と地下の量産型はバスターマシン1〜3号がそれぞれ撃破し、ドリルメガゾードはクワガタがダメージを与えた所を、
カブトムシロボがシャットダウンするのであった。
今作、強大なヴァグラスに対する特命チーム一丸の戦いを表現する手法として、戦隊では基本的に、
狙いほど盛り上がらない分割戦闘を、敢えてこだわって繰り返しているのが特徴としてあり、
やはり今ひとつ盛り上がらない事が多いのですが、
今回は二つの局面に分けた上でクライマックスに一度集約を経由してからまた3分割という構成に、格好いい挿入歌の力もあって、
比較的盛り上がりました。
人間大でも戦えるし、ロボットに乗っても戦える――というのは戦隊シリーズの大きな特徴で、そこに着目して、
ただ漫然とノルマとしての戦闘をこなすのではなく、2種類の戦闘を並行して物語の流れに組み込む。
その事によって“戦隊ならでは”の面白さ・格好良さを新たな形で出せないか、というのは意欲的かつ挑戦的だと思うのですが、
同時に結局、戦隊のカタルシスは「揃い踏み」にあって、戦隊フォーマットでそれを超えるカタルシスを生むのが難しい、
というのが見えてしまう中、演出陣の慣れも含め、流れの組み方に、一工夫が出来てきた感じ。
金色カブトムシロボは、心の準備が出来ていた事もあってか、前回ほど酷くは感じませんでした(笑)
どこからともなく取り出した銃を両手に持っての、腰だめの射撃シーンは格好良かったです。
フォルムとしては下半身どっしりロボって割と好きなので、重量感を活かした見せ方をしてくれれば、そこまで悪くないかも。
……上半身は、色々、どうかと思いますが!
→〔その4へ続く〕
(2015年8月2日)
(2019年10月26日 改訂)
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