■『特命戦隊ゴーバスターズ』感想まとめ2■
“愛する世界に 不正なアクセス許さないぜ”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特命戦隊ゴーバスターズ』
感想の、まとめ2(7〜12話)です。本編8話まではリアルタイムで視聴しており、その後、約3年の間を置いて、
録画していたもので視聴を再開。その為、9話以降はやや作品との向き合い方や感想の筆致が変わっています旨、ご了解下さい。
また1〜8話までは公式サイトなどを参考に、あらすじを補足しました。全体として文体の統一や、誤字脱字の修正など、
若干の改稿をしています。
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- ◆Mission7「エース整備不良?!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:毛利亘宏)
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新人整備員のミスでバスターマシン1号が出動できなくなってしまう。毎度ながらの悪意は無いが無神経な一言で整備班と雰囲気が悪くなるヒロムだが、
自分達の戦いを支える人々が居る事に気付き、戦いへの決意を新たにするのであった。
再び同時侵攻作戦を進言するも、拒否られるエンターさん。
仕方なく、今日もみちみちエネトロンを集める事に。
今回は、整備班に焦点を当てたエピソード。新人整備員のミスからエースが出撃不能に……そんな中、ヒロムは改めて仲間、
そして最前線の自分たちだけではない、バックアップメンバーが居てこそ戦えるのだと認識する…………のですが、あの展開で、
ヒロムが「みんな一緒に戦う仲間なんだ」と反省するのは凄くおかしいというか、いや、それはそれで必要なタームではあるのですが、
ここまでのキャラ付けを考えればヒロムの整備士への台詞はいつもの配慮ない一言ですし、そもそもあの若い整備士に、
弁護の余地が無いし。
致命的なミスはもとより、失敗したらすぐ「クビにして下さい」なんてヤツは、ああいう現場では信用できないのですが。
バックアップメンバーに焦点を当てるエピソード、というのは当然あっていいと思うのですが、
コメディリリーフとしても使える新人整備員のエピソードと、主人公がバックアップメンバーの大切さを認識するエピソード、
を一つの話で同時にやろうとしたのはネタの詰めすぎで、失敗。
整備班がミスをしたわけでもないのに赤の態度が悪くて、なんだかんだの中で赤がそれを反省して、新たなチームワークが生まれる、
というもっとシンプルな構成で良かったと思います。
脚本家は戦隊シリーズは初参加という事ですが、『オーズ』の他、Gロッソ講演などで東映特撮作品とは関わりがあったとの事
(公式サイトより)。まあ、現状『ゴーバス』は、正直メインライター以外には書くのが難しい物語世界になっていると思うので、
こんなものか、といった所。
ただサブライターの人にけっこう期待していた事はあって、今作、ロボット物を志向する上において、
“特撮・スーパー戦隊シリーズで2012年にロボット物をやる事”の独自の魅力が未だに全く見えず、
サブライターがそれを吹き込んでくれる事を期待していたので、そこは残念。
率直な所、もっと露骨にロボットアニメ畑の人を引っ張ってきて参加してもらってもいいと思うのですが、
それこそ『タイムレンジャー』で小林靖子と組んだ経験もあり、ロボットアニメへの参加回数も多い山口亮太とか、
引っ張ってこられないのかなぁ。
全てが新しい必要というのは全く無いのですが、とはいえ設定が特別斬新なわけでもロボットに新味があるわけでも目立った独自の要素があるわけでもなく、
巨大化特撮史的に見てもロボットアニメ史的に見ても、“ロボット物としての『ゴーバスターズ』”の新しさ(或いはインパクト)
というのが感じられない現状、その上で“戦隊ものとしての楽しさ”というのが削られてしまっているので、
そのまま7話まで突入されると、スタッフはどこを目指したいのだろうという不安が出てきます。
どうも『ゴーバス』は、“今の子供達はこれで新しいと思うだろう”みたいな感覚がある気がしていて、気になります。まあそれは、
間違ってはいないのかもしれず、こちらがスれているだけなのかもしれませんが。……とりあえず、
玩具の売り上げは数字としてハッキリ出ますから、作品の妥当性と今後の方向性もそれによりけりでしょうが。
ちなみに、『ウルトラマン』を起点として、70年代特撮とロボットアニメはそもそも密接なリンク関係にあるので、
アニメーション部門も含め東映にはロボット物のノウハウと伝統の蓄積が相当ある筈なのですが、
もしかして廃れている内に継承されずに消えちゃった?
基本的に東映特撮班における伝統の蓄積と継承は信用しているのですが、今作に関してはどうも、
ロボットものの基礎勉強をしっかり抑えたのだろうか、と。別に見る側が古典を知っている必要はないけれど、
造る側が最低限の古典を押さえていないと、面白いものが出来上がる可能性は低いと思うわけで。
今週の良かった所:
ゴリラは割と巨大戦映えする。
最後に脳内妄想日記に合わせて整備員がポーズ取った所で、「もう1回?」と言いつつ、赤から黄までポーズ取ったところ。
- ◆Mission8「マシン設計図を守れ!」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
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新バスターマシンの開発チームに加わっていたリュウジの旧友が、夢と現実のギャップに荒み、エンターに設計図を横流ししようとしてしまう。
13年前の事件によりエンジニアになる夢を諦めざるを得なかったリュウジの説得により改心する旧友だが、
設計図はエンターに奪われてしまうのであった……。
「憧れのエンジニアになったはいいけど、好きな事は全然出来ないし、思っていたのと全然違う」とか、
世知辛すぎる(笑)
やめてー、日曜朝に、やめてーーー。
という悲鳴が全国のお茶の間から聞こえてきそうな今週の『ゴーバスターズ』。
“夢を諦めざるを得なかった男”と、“掴んだ夢の輝きを見失った男”を対比させつつ、
いまいち本音を掴ませない青の仲間達との関係性と、青の戦いへのモチベーションまで絡めた流れの巧さは、さすが。
こういう脚本書かせると、小林靖子は本当に巧い。
お友達は、実刑判決で、懲役○年ぐらいくらうのかなー。
“ヴァグラスへの協力行動に関する罪”に関して対ヴァグラス法とか、制定されたりしていそうですが。
リュウさんもパソコン叩き壊していたけど、あのデータだけ入っていたわけでも無いだろうから、始末書の上に減給か。
難を言えば、逃走中の友達が反省する所で、回想で青の台詞をほぼ全部、は使いすぎ。
ああいうのは一番印象的な二言ぐらいにしておかないと。脚本というよりは、演出上の都合だったような感じもありますが。
今回は、敵の地中からの攻撃もなかなか面白かったです。
ただ、いつもタンクにしか興味が無い敵巨大メカが、今回に限ってバスターマシンとの戦闘にこだわっていたのは、
少々不可解。今回は設計図の確保が最大の目的なので、その為の足止めぐらいの命令は聞いてくれる、という事なのかもしれませんが。
ここまでの行動原理とまるで違うので、そこは1シーン入れてほしかった所。
あと今回、訓練シーンがようやく入ったのも良かったです。
ヒロムの天才性は、新加入してすぐに、長い間、特命部隊で訓練を繰り返していた青と黄色と一緒に行動できるほどの能力(勿論、
個人的な訓練はしていた、という事なのでしょうが)という事に担保されている部分がある筈なのですが、
作中でここまで青と黄色の訓練シーンというのが一切描かれていなかったので、実はその対比が成立していませんでした。
リュウさんが一生懸命朝練している、というのはマイナスをプラスにする為の行動なのでまた意味は少し変わるのですが、
それでも訓練シーンを挟んだ、というのは一歩前進。
今後そういう展開があるかはわかりませんが、予想しうる一つのネタとしての、長く訓練していた青と黄→それと比肩しうる赤→
では赤は部隊に加わる前に何かしていたのか? という話をやる時に、この前振りが無いと成立しません。
2話で黄色の台詞だけあるのですが、本当は人間関係の前提条件に関わる重要な要素なので、もっと前段階で訓練シーンを置いておかないといけない。
ところで、ヒロムは仲村さんに対してはなんか口調が優しい気がするのですが、シスコンだからですか。
姉の存在を踏まえて、年上(? と仮定しておく)の女性には少し優しい、という演技指導をしていたら、面白いのですけど。まあ、
姉にもずけずけ物を言う、とバイクは言っていましたが。というか姉出てこないですね姉。もう少し、
ちまちま顔を出すNPCポジションかと思っていたのですが、今作が構成的にそういう物語ではないので、
重要エピソードだけの出演になるのか。
演出面では、柴崎監督でしたが、「残り転送時間」表示されず。最初の3回は本当に何だったのか(^^; 本当に余計でした。
あと、本部のシーンなどで背景で小芝居させているのですけど、ああいうのは相当うまくやらないと、
画面のノイズになる上にコント的になってしまうので、現状ちょっとうるさいかなぁ。
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リアルタイムでは一旦ここでテンションが切れてしまい(特にこの8話が決定打だったというわけではなく、
ふっと見なくなってしまうのは個人的にはよくある話)、録画のみ継続。以下、約3年の間を置いて視聴を再開してからの感想になります。
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- ◆Mission9「ウサダ奪還作戦!」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
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見所は、エンターさんがエンターキーを力いっぱい連打するとタイマーが加速する仕様の時限爆弾。
……ヴァグラスは、ストレスの多い職場です。
ヨーコと喧嘩して、単独でエネルギー管理局にエネトロンを輸送したウサダが誘拐され、身代金代わりに大量のエネトロンが要求される。
「てめえんとこの身内の不始末はてめえで片付けろや」と管理局に通達された特命部は、素人丸出しの誘拐犯の確保には成功するが、
そこへお手軽にエネトロンの入手を目論んだエンターが乱入し、ウサダをさらってしまう。
改めてエンターから取引を要求されたゴーバスターズは、二重三重の囮作戦で、ウサダの奪還を目指す……!
3年ぶりの再起動という事で、色々と忘れたりあまり構えずに見た為か、本放送時8話までほどの引っかかりは感じませんでした。
本部でのオペレーションを重視したり、誘拐犯アジトへの突入シーンなど、改めて、『ゴーカイジャー』後に新しい見せ方を目指した、
という志はひしひしと伝わってきます。致命的な問題は長官が無能だったりオペレーターが無能だったり特命部そのものがガタガタの組織
という事なのですが、その辺り、だいぶ忘れたので新しい気持ちで見ようと思います(笑)
今回は丁度、ウサダとヨーコの絆を描きつつ、そんな特命部のチームとしての強さ、を描くというエピソード。
頭の固い上司にどやされて1人で頑張るエンターさんを、オペレーターまで現場に投入する変装作戦で騙くらかし、
ウサダの奪還に無事成功。
「なるほど。街よりバディロイドを選んだんですねぇ」
「エンター。お前は勘違いしている」
「ああ。俺たちは3人じゃない」
は良いのですが、どうしてその直後に、敵の巨大メカを相手に時間稼ぎをするゴリラメカが、
路肩の車を吹っ飛ばすという映像を入れてしまうのか(^^;
他の作品なら特に気にしない箇所なのですが、「社会を守る」事に重点を置いた『ゴーバスターズ』
ではそれは避けないといけない演出だと思うのですが、とにかく今作は、物語のコンセプトと劇中の描写が噛み合っておりません。
一方、8話まで見た時点で、その特命部が守るべき「日常社会」が画面にほとんど映らない事が悪い意味で非常に気になっていたのですが、
それに関しては今回、モブシーンが2回ほど登場し、改善されました。
少しずつ、こういう細かい部分が良くなっていく事に期待したい。
改善してほしい所といえば、本部シーンなどで、やたらに背景で小芝居させるのですが、
改めて見てもやはり画面が煩雑になって鬱陶しいだけなので、この小芝居路線は出来ればやめてほしいなぁ(これは、
好みの問題が大きいですが)。
- ◆Mission10「戦う理由」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子)
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冒頭から、大量のヴァグラス戦闘員と戦うゴーバスターズ。長時間の戦闘に冷却が間に合わずダークリュウジが降臨してしまうが、
まあ戦闘が早く片付いていいのでは……と思ったら、味方ごと思いっきり撃ったので、良くありませんでした。
戦闘員を派手に壊滅させたダーク青は、変身解除して満足げな笑顔で沈没。
……特命部は、ストレスの多い職場です。
一方、エンターはそれを囮に、入手した新型バスターマシンの設計図から新たなメガゾードを作り出す材料として、レアメタルを強奪。
ゴーバスターズに対して人間の壁を配置し、レアメタルを亜空間に転送しようとする。
ゴーバスターズが手出しできないようにと、レアメタルの入ったコンテナの周囲を洗脳した人間で囲ませ、上に子供が張り付いている、
というのはかなりエグい画。
もしレアメタルが転送されたら、周囲の人々まで亜空間に送られてしまう。人々の犠牲を防ぐべく、ゴーバスターズは救出作戦を敢行する!
これに、1話以来の登場となるヒロムの姉・リカが絡み、
生来の機械嫌いに加えて両親を一度に失ったショックでバディロイドやゴーバスターズを嫌悪しヒロムに執着するリカを、
会おうとしないヒロムに代わって嫌われているのを承知でニックが説得。転送されそうになっている人々と、過去の自分達を重ね、
ヒロムは自分達と同じ悲劇を繰り返させない為に戦いを決断したのだ、とリカがヒロムの選択を尊重し、
ヒロムのモチベーションをもう一度描きつつ、ヒロムとリカの関係はニックを含めてひとまず落着。
――「バラバラになる為じゃない。もう、誰もバラバラにしない為に!」
(それが、あなたが戦う理由……)
から、
バスターズ・レディゴー!
全てはあの日きっと 始まっていたディスティニー
僕らは逃げたりしない 止まる事無く 未来を見た
と、主題歌に繋げてのロボバトルは格好良かったです。力を入れている割に、
これまでもう一つ物語と連動しきらずパッとしない巨大戦でしたが、戦隊的カタルシスを与える事で、盛り上がりました。
結局オーソドックスな盛り上げ構成に落着してしまったといえばしてしまったのですが、姉がヒロムを認める所から、
ロボ戦の入りに用いた、というのは今作らしさも出て良かったと思います。まあ、姉を説得した最後の一押しは、
ヒロムではなくニックの台詞なんですが!
演出面ではまた、闇に葬られていた転送時間表示をラスト20秒だけ画面に乗せ、“物語と繋げる”のではなく、
“巨大メカ登場の前振りに使う”事で、供養。
これで、以後2度と使われなくても、そういう意味があった、という事になりました。
ゴーバスターズは洗脳された人々の救出には成功するが、レアメタルは亜空間に転送されてしまう。
果たしてヴァグラスは何を目論むのか、そしてミッションに成功したエンターは特別賞与を手にする事は出来るのか?!
- ◆Mission11「ねらわれたウイークポイント」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
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9−10−11とバディロイド編という事なのでしょうが、今回はリュウジとゴリサキのターン。
13年前――ヒロム(7歳)、ヨーコ(3歳)と出会ったニックとウサダが互いにずけずけ物を言い合う仲なのに対し、
当時15歳だったリュウジとの間に、遠慮と距離を感じ続け、悩めるゴリサキ。
ゴリサキとニックの長めの会話シーンがあったり、徐々にバディロイドのキャラクターを深めつつ、前半コミカルに展開して、
なかなか面白かったです。ただ後半、人気の無い所でひたすら強風を起こすだけのファンロイドと必死に戦っている理由が薄かったのが勿体なかったですが(^^;
いや、放置しておくわけにも勿論行かないのでしょうが、他の2人はメガゾード倒しに行ってしまいましたし、
熱暴走のリスクを冒して必死に踏ん張っていなくても、壁の裏などに隠れてやり過ごしていれば良かったような。
熱暴走の弱点を突いてブルーを仕留めようとするエンターだったが、長官の制止を振り切ったゴリサキが救援に駆けつけ、
扇風機ロイドを撃破。空を飛ぶメガゾードは2号機と1号機のスカイラブハリケーンによりシャットダウンに成功し、
リュウジとゴリサキはお互いの本音をぶつけあえる仲になるのであった。
“亜空間に突入可能な貴重な人材である筈のヒロム達”は囮作戦に使う癖に、“バスターマシンの心臓部だから”
とバディロイドの方を大事に扱う黒木司令はメカフェチなのか。
黒木司令の駄目ぶりを見ていると、それはお姉さん、ヒロムを特命部で戦わせる事に頑なに反対するわけだ、としみじみ頷けます。
- ◆Mission12「変装はお好き?」◆ (監督:加藤弘之 脚本:毛利亘宏)
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コスプレ&そっくりさん回。
横流しの設計図を元に戦力強化を図るヴァグラスは、亜空間では入手不可能な、
メガゾードのカメラアイに用いるクリスタルを手に入れる為に動きだす。クリスタルは日本国内では採れない珍しい鉱石だが、
それを所有する女優が映画の宣伝で来日する事になり、特命部はそのガードをする事に。
メガゾード開発工場から、次はクリスタルが危ないんじゃね? と警告が来て特命部が動き出すという流れなのですが、
開発工場があるという事はメガゾードは「工業製品」と思われ、必要な原材料が国内に無いなら当然、
国外から輸入などしていると思われるのですが、そこでなぜ個人所有の宝石が狙われるのかさっぱりわかりません(^^;
輸入品は警備が厳重という事かもしれませんが、これまでの活動を見る限り、ヴァグラスもエンターもその点をさして気にするとは思えず、
個人の所有品を狙うに至るくだりが、ゴーバスターズ側もエンター側もどうにも説明不足。
説明不足といえば、1クール経過しても未だに、メガゾードとは何か、がよく分からないので、
亜空間から襲ってくる巨大ロボの総称だと思っていたら国内に開発工場がある、とか言われると反応に困ります。
今作は背後に色々と設定があるのでしょうが、どうにも劇中でそれらが上手く描写されておらず、色々と噛み合いません。
例えば、この世界においてメガゾードが極めて重要な役割を果たしている、という言及や描写の蓄積があれば、
材料に希少な鉱石を使用する事に納得が生じます。或いは、カメラアイという聞くからに他に代替えが効きそうなパーツ名ではなく、
動力回路の心臓部にどうしても必要、などその重要性を煽れば、またそこに希少な鉱石を使用する納得感が増します。
そういう段取りを組む事で、「珍しい」のレベルが上がり、個人所有の小さい宝石を是が非でも狙う、という必要性が生じる。
ところがそのどちらも欠けたままなので、そもそも希少な鉱石を使う必要があるのか?→というか、「珍しい」のレベルは結局
「日本で採れない」ぐらいではないのか→個人所有のものをどうしても狙う必要が生じない、という負のループ。
始めに「個人所有の鉱石を狙う」ありきすぎて、そこに至る段取りが上手く組めていません。
そしてそれが今回のエピソード単独というよりも、作品全体としての世界観の描き方の失敗と繋がっているのが、今作の大きな問題点。
そんなこんなで、クリスタルを母親の形見のイヤリングとして身につける、ヨーコと瓜二つ(二役)の女優を警護するゴーバスターズだが、
人間をコピーしてヴァグラス反応を消す事が出来る怪人に逃げられてしまう。
どうしても記者会見を中止したくないという女優とマネージャーの言葉を聞いたリュウジは、
そっくりのヨーコを替え玉に使って怪人を迎え撃つ、囮作戦を思いつく。
ここでただのそっくりさん(二役)入れ替わりだけでなく、3歳の頃から純粋戦士として育成されて個人的な夢を持たないヨーコと、
亡き母の為にも世界的女優になるという強い夢を持った女優を対比させ、ヴァグラスを倒すのは夢ではなくやらなければいけない事であり、
その上で皆の夢を守る為に戦う、そしてその後にヨーコ自身の夢を見つけたい、という流れは良かったです。
そこは良かっただけに、前半の段取りがいい加減なのが勿体ない。
替え玉となったヨーコはコピーロイドの襲撃を防ぐが、イヤリングの片方を奪われてしまう。エンターはそれを手に亜空間へと去り、
じわじわ進む、ヴァグラスの戦力増強プロジェクト。果たしていかなる敵がゴーバスターズの前に現れるのか?!
転送時間表示は今回も、メガゾード出現の前振りとしてのみ使用。監督変わっても継続されたので、演出陣の方で、
この用法で統一していく事になったのか。
敵側の強化プロジェクトをじんわり進行、かつ悪の幹部に部分的勝利を収めさせる事でへたれ化を防いでいる、のは面白い流れです。
それにしても、今回のヨーコのこれまでの育ちの話を聞いても、改めて黒木司令は間違いなくクズよりの人
だと思うのですが、EDの力の入ったダンスが面白すぎて全て許しそうになるのでズルい。
→〔その3へ続く〕
(2015年4月13日)
(2019年10月26日 改訂)
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