■『特命戦隊ゴーバスターズ』感想まとめ1■


“バスターズ、レディ……ゴー!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特命戦隊ゴーバスターズ』 感想の、まとめ1(1〜6話)です。本編8話まではリアルタイムで視聴しており、その後、約3年の間を置いて、 録画していたもので視聴を再開。その為、9話以降はやや作品との向き合い方や感想の筆致が変わっています旨、ご了解下さい。 また1〜8話までは公式サイトなどを参考に、あらすじを補足しました。全体として文体の統一や、誤字脱字の修正など、 若干の改稿をしています。

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◆Mission1「特命戦隊、集結せよ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
 時は新西暦2012年――人々の生活は新エネルギーエネトロンによって支えられていたが、 それをちょろまかそうとする謎の敵の存在があった。その名を、ヴァグラス。 亜空間に封印されている上司メサイアの命令でエネトロン窃盗に励む中間管理職エンターさんは、 今日もコスプレしながらメタウィルスを物体にインストールする事で怪人・メタロイドを生みだし、 それをマーカーに亜空間から巨大メカ・メガゾードを召喚する事で、エネトロンを大量強奪しようとしていた。
 だが、そんなヴァグラスの侵攻に敢然と立ち向かう戦士達の姿があった――その名を、 特命戦隊ゴーバスターズ!
 メタロイドとの初の戦闘にブルーバスターとレッドバスターが苦戦する中、 唯一の肉親である姉の反対により、それまで特命部の活動に参加していなかった最後の1人、 桜田ヒロムはレッドバスターとなるとバスターマシンを操り、メガゾードに立ち向かう!

 初回の出来としては、35点ぐらい。
 脚本家がシリーズ通した仕掛けを入れるのを好む人なので、あれこれ動き出してからが勝負かとは思いますが。
 主要キャラを3(+3)に絞ったという事もあり、キャラクターの描写と色分けは、相変わらず達者。黄色と青とエンターの、 「サヴァ」のくだりは面白かったですし、年長者ポジションという点も含めて、青い人は好きになれるかもしれない。
 戦隊シリーズは、1話は勢い・説明は2話から、という王道フォーマットがあるのですが、 戦闘シーンの最中に本部からナレーション的に説明をかぶせる、という大胆な手法。試みは面白かったかとは思いますが、 正直ちょっと気が散りました(笑)
 気が散ったといえば、画面右下の〔転送完了時間〕の表示は無駄だったかなぁ……よくある、 「あと何分」の割には時間の流れが速いとか遅いとかそういったものに対してリアルタイム表示でカウンターしてみるというチャレンジなのかもしれませんが、 そうなると、主人公が病室出て3秒で着替え完了しているのはどうなのか、と。もしかしたら変身スーツと同じで、 あの上下も瞬間的に着替えられるのかもしれませんが。
 演出主導だとしたら失敗だったし、脚本主導だったとしたら、もう少しその辺りを詰めて欲しかった。
 まあ、ネタとしては、主要視聴者層に受ければ、それはそれでいいかとは思いますが。
 脚本主導だったとすれば今後のシナリオで1回は絡めて使うでしょうし。
 アバンタイトル含め、ロボット戦が、絵作りに金がかかっていて面白かったです。
 (公式サイト覗いたら、かなり久々の野外ロケだったとの事。やはり絵の雰囲気が変わる)
 ただ、崩れたビルは、元の位置に戻しただけでは直らないぞ?(笑)
 フィクションにおけるリアリティの表現というものは、ディテールを細かくすればするほど看過できない矛盾が生じる可能性が増えるのが難しいのですが、 そのバランス取りが全体的にやや失敗していた感じ。
 “リアルタイム時間”が出ていなければ瞬間的に着替えていても構わないし
 “崩れたビルの中に人が居る描写”が無ければ、ミサイルで街が吹き飛んでも物語に影響を与えるような人命被害は無いものとする
 というのが“フィクションの力”なのですが、崩れたビルの中に人が居て、主人公ロボがそれを支える、 というシーンを入れてしまうと、その後始末をしなければならない(例えば、ロボットがビルを支えている間に中の人達を救助するなど、 “物語”に組み込まなくてはならない)。同時に、周辺にもまだ逃げ遅れた人々が居るという可能性が“発生”してしまう。
 故にあのシーンはそもそもやらないか、或いは少なくとも、ビルを崩す以外の形で演出されるべきでありました。
 ロボットが超接着ビームを出すとか、そういう方向の解決手段もありますが。
 更にまた、そのシーンを入れたが故に、その後の主人公の回避方法が明らかに周辺の被害を広げているのも、問題になる。
 もっとも今後、作品自体が「周辺被害」に踏み込む可能性も現時点では消し切れませんが。
 後これは好みの問題かつ昔からの事なのですけど、ロボ戦と通常戦のシンクロ演出、というのは、 作り手が思っているほど効果的でないというか、実はあまり盛り上がらないと思っています。
 出来れば初回は、揃い踏みしての名乗りあげを見たかったなぁ、というのも含めて。
 青と黄の変身シーンとか、敢えて揃い踏みをしなかった所とか、従来パターンの“決め”を意識的に外していったのだとは思うのですが、 でもそこはお約束の“決め”をしてくれた方がスッキリするのだけどなぁ、とは思う。マンネリズムというよりは、 伝統芸能としての様式美に近いわけで。
 そんなこんなで、盛り上がりよりも気になる部分の方が多かったという点であまり手応えの良くなかった1話ですが、 上記の部分を2話でどう扱ってくるのか、画面が落ち着いてくるであろう3話以降、敵の目的が「エネルギーの入手」 という事で単発エピソードの方向性をどう捻ってくるか、など、むしろ3話以降にどう転がしていくのかに期待。
 あと脚本家の傾向的に、主人公のお姉さんはロマンス要員だと思うのですが、今のところ
 ◎青の人 ○今後の新キャラ ▲バイク
 という所か。
 姉×バイクは有りだと思う。
 で、色々ううーんと唸りながら見ていたのですが、EDのノリノリの踊りで一気に長官を好きになったら、 割と細かい引っかかりが吹き飛んだ(笑)
 長官、恐ろしい人……。

◆Mission2「13年前の約束」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
 これまで特命部に関わっていなかったのに急に戦いに加わったヒロムの偉そうな態度と無神経な発言に、 ヒロムが姉の陰に隠れて戦いから逃げていたと考えていたヨーコは怒り心頭で、険悪な雰囲気になるチーム。
 ヒロムを問いただしたヨーコは、ヒロムが13年前の約束を果たす為に戻ってきた事を知る。
 「きっと……きっと元に戻すよ」
 全ては13年前のクリスマス――最新鋭の転送研究センターのメインシステムが、正体不明のウィルスに感染して自我をもった事から始まった。
 「支配スルノハ私デアル――私ガ支配スル――全テヲ」
 メタウィルスによってデータを実体化し、所員を襲撃、人類に対して牙を剥いた中枢システム――メサイア。
 ……メサイアとか、名前、つけるから!
 ネット回線を通じてこの現象が世界中に広がる事を阻止しようとしたセンター長は、莫大なエネトロンを用いて、 暴走したシステムを含め研究所を丸ごと亜空間へと転送する。
 ……だが、いずれメサイアは通常空間へ復帰しようと活動を開始するだろう。センター長はその対抗手段として、 メタウィルスに対抗できるワクチンプログラムをセンターに居た3人の子供に移植すると、同じくワクチンを持ったバディロイド (チダ・ニック、ゴリサキ・バナナ、ウサダ・レタス)と共に一か八か通常空間へ転送する……。
 こうして、いつか来る戦いの為の切り札としてこの事件を生き延びた3人こそが、ヒロム(当時7歳)、リュウジ(15歳)、 ヨーコ(3歳)であった。
 3人はワクチンプログラムの効果により、メタウィルスへの耐性、普通の人間には不可能な亜空間と通常空間を行き来可能な肉体、 超人的な力、それらの代償としてのまるでコンピューターのような“ウィークポイント”をそれぞれ有する体質になっていた。
 センター長の息子であり、シスコンだが他人の感情を理解するのが苦手で思った事を何でも口にしてしまう レッドバスター/桜田ヒロムは、超スピードの異能と、ニワトリを見るとフリーズして動けなくなるという弱点。
 落ち着いた年長者にして優しいお兄さん的存在のブルーバスター/岩崎リュウジは、 超腕力の異能と、常に体を冷やしていないと熱暴走してしまうという弱点。
 この事件で母を失った、最年少だが負けん気の強いイエローバスター/宇佐見ヨーコは、 超ジャンプ力の異能と、こまめにお菓子などでエネルギーを補給しないと電池が切れたように力が出なくてしまうという弱点。
 その日、たまたま外出中で難を逃れ、センター長から後事を託された黒木は、いずれ亜空間から侵攻してくるであろう敵をヴァグラスと呼称すると、 その首魁であり人類の支配を目論むシステム、メサイアをシャットダウンするべく特命部を組織したのであった。
 ……そして13年後、特命部はメサイアが亜空間から通常空間へ戻る為に必要なエネトロンを入手しようと窃盗を働くエンターと戦い、 13年前に失った家族を取り戻すという約束を果たすべく、ヒロムはゴーバスターズへと参加したのだった。

 ……と、公式サイトのあらすじをチェックしてから、第13話までの内容を踏まえた上で第2話を見直して、 ようやく、話のベースが理解できました(笑) 幾つか納得。
 そもそも第1話で、「ヴァグラスはエネトロンを狙っている」−「それを阻止しようとしているのがゴーバスターズ」と置いた上で、 2話において双方の背景を描き、「ヴァグラス(メサイア)の目的はエネトロンを用いて現実空間へ復帰する事」− 「ゴーバスターズはあくまでメサイアに対抗する存在」と、1話においてお互いの“目的”のように描かれていたものは“手段”であった、 というテクニカルな事をやっていたようですが(意図的にズレを作った上で、更にその背後に幾つかの謎を拡散して紛れ込ませる)、 全然、本編見ているだけだと伝わってきません(^^;
 戦隊とは多少環境が違いますが、《平成ライダー》シリーズで数々の面倒くさいパイロット版(『龍騎』『電王』『キバ』など) を担当してきた田崎竜太監督の、複雑な世界観と設定を、一応わかるレベルで描写した上でアクション入れてまとめるセンスの高さを、 改めて知る思いです。
 とりあえずパイロット版は田崎監督に任せておけ、という割り振りにそれはなるわけだなぁ(笑)
 というわけで作品世界の理解がようやく進みましたが、それはそれとして以下、リアルタイム感想。

 ん〜〜〜〜〜、とても、微妙。
 1話の感想で書いたように、3話以降、どういう定型で話を転がしていくか次第だとは思っていますが、 立ち上がりの2エピソードの出来としては、あまり面白くない。
 全体的に、説明しようとしすぎた、かなと。
 もちろん説明する事は大事なわけですが、バスターズサイドの設定説明(“ウィークポイント”絡み) とメサイアサイドの設定を一緒くたにした結果、情報過多になったきらいがあります。その上で、ウィルスに対する耐性がどうこう、 という台詞がありましたが、その辺りの肝心な所が抜けているので、今ひとつすっきりしない。
 あと、ウィークポイントの話を聞いて開口一番「まるでパソコン」って発想が出てくる眼鏡の子は、人間としてちょっとオカシイ。 そういう性格設定なのかもしれませんが、あそこは設定の説明に綺麗に繋げようとして、かえって変な台詞になってしまいました。 台詞が多少おかしいのはまだしも、それが人間性に問題を感じさせるのは、どうかと思います。
 肝心な所といえば、怪人の暴れる理由が未だにわかりません。
 巨大ロボット転送までの時間稼ぎ、という事でいいのでしょうか。
 あの巨大ロボットの転送意図とメカニズムもいまひとつわかりませんし。
 実は真っ先にハッキリと説明するべきだったのは
 敵はなぜ小型怪人を暴れさせるのか? それとどういう繋がりがあって巨大メカが送られてくるのか?  如何にしてゴーバスターズはそれに対抗するシステムを作りだしたのか?
 という事だったと思います(視聴者が考えれば何となくわかる――解釈する、のと、劇中でハッキリと説明がある、 というのは全く意味が違います。そしてある要素について「説明する」か「解釈してもらう」かのバランスを取り間違えると、 物語は混迷する)。
 全てが謎、というのなら仕方がないですが、本部の反応を見ている限りは全て自明の理になっているようなので、 ならば先にそこを説明してくれないと、
 戦闘と物語が繋がらない
 よく書く話なのですけど、“戦闘シーンを入れる”という約束事は非常に重要なものであって、それは出来る限り守られるべき。 その上で物語の質を高めるには、その“戦闘に意味を持たせないといけない”。
 それによって戦闘と物語が繋がる事で、劇的な空間が成立する。
 『ゴーバスターズ』には、これが欠けています。
 例えば今回、メガゾード出現まで8分、という状況で物語が展開したのですが、その8分間にやった事は、怪人と戦う事だけ。
 で、「3分残っているから余裕」と言っていたのに、巨大メカ出現したら大被害。
 付近住民の避難誘導をした形跡なども無い。
 “出現時間”はわかっても“出現場所”はわからないのかもしれませんが、しかし「目標」は分かっているわけですし、 色々とやりようはあった筈。
 勿論、8分で何が出来るかといえば、効果的な避難誘導などは出来がたいのですが(ただし、フィクションの力を用いれば、 可能である)、誘導した、というシーンを入れた上で被害が出るのと、シーン描写無しで被害が出るのでは、 その意味が全く変わります。
 加えて言うと、そこで、避難誘導可能である、というフィクションの力を否定すると、 あの青いトラックの亜空間な収納能力も否定しないといけなくなる、というのがリアリティのバランス。 それは並立して共存しなくてはなりません。
 ゴーバスターズが秘密組織などだったらまた事情は変わりますが、明らかにかなり公的な権力を持った組織なわけで、 巨大メカ対策を何もした形跡が無い(自前メカの発進準備はしていたのでしょうが)、というのはあまりに不自然かつ杜撰。 もしかしたら、70年代一部円谷系的なダメ組織なのかもしれませんが、 そんなオマージュはいらない(笑)
 仮に“出現場所”がわからないのだとしたら、それを探知する努力をオペレーターがするシーンを入れたり、 最低限として8分の間に避難誘導をするシーンなどを入れなくてはいけません(効果の有無は問わない。描写がある、 という事が物語的に重要)。
 そうする事でオペレーションルームの存在意義が出るし、それをやって始めて、
 出現まで8分、という時間表示に意味が出る
 結果、
 物語の要素が劇的に連動する
 この、“メタ的な約束事を含めた物語のための様々な要素をいかにして劇的に連動させるか”という事こそ作り手の腕の奮いどころなのですが、 その部分が極めて出来が悪い。
 評価を低くせざるを得ません。
 何とか立て直してほしいです。
 その他、幾つか。
 前回に続いて親の敵のように被害に遭うサングラスですが、ツッコミ待ちだと思うので、ツッコまない。ただ、 あれを繰り返すなら演出的に格好良く処理しないといけなくて、終始、ただ投げているだけ、になっているのは勿体ない。
 相変わらず、キャラクターの掛け合いとそれによる個性の出し方は上手いですが、本筋が面白くないと仕方がない。
 ウィークポイントはネタとしては有りだと思うのですが、症状の出方に違いがありすぎるのは、ちょっと気になります。 赤がかなり致命的なのに比べて、青とか割と勇気と根性で何とかなりそうですし。早い内に、青が限界に達するととても酷い事になる(?) 話は入れておいた方がいいよーな。
 メサイアが何を言っているのかわかりません(笑) 故意にしても、ちょっと、音をいじりすぎでは。
 エンターは毎回、コスプレしてこそこそ泥棒する仕事なのでしょーか。今後はむしろ、ゴーバスターズの妨害をかいくぐって、 如何にエンターが意外な所からエネルギー盗み出すかの物語、になるのか!(多分、なりません)
 クリスマスプレゼントを車に積んでウキウキしていたら、あんな通信一つで世界の未来を託されてしまった長官には、 心の底から同情する。

◆Mission3「GT−02アニマル、出撃!」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
 「多面同時侵攻したらどうですか」とメサイアに言ってみるも拒否されたエンターは、病院を襲撃。 赤と黄色が病院を占拠するメタロイドと戦う間に、青は巨大ゴリラで病院のエネトロンを補充するべく急ぐのであった。

 賢い作戦を上申するもボスに怒られたエンターさんは、今回もコスプレでこそ泥。
 今もって小さい怪人と大きなメカと転送メカニズムの関係はさっぱりわかりませんが、毎度ご苦労様です。
 メタな部分を含んだ話として、従来の戦隊シリーズの怪人が“作戦遂行の為の人間大”→“主にやむを得ず巨大化”、 というプロセスであり、言ってしまえば巨大ロボ戦は玩具を売る為のプロモートでありドラマとしての意味はない場合が多かったのに対して、 “巨大メカの転送そのもの”を目的として、巨大メカの存在にこそ意味を持たせよう、という試みなのはわかるのですが、 その結果として、今度は人間大の意味が限りなく薄くなっているのが、惜しい。
 この場合、手段としての怪人状態、というのをもっとアピールしないと、目的としての巨大ロボ、にスムーズに繋がらないと思うのです (ただ、逆さまにしただけになってしまう)。
 やりたい事はわかるのですが、この辺りの構造が、どうも巧く、今作は繋がっていない感じ。
 一応今回エンターさんが言っていた、「我がマジェスティが人間が苦しむのをお望み」というのが、怪人大を前座にする理由、 という事ならそれで良いのですが、それならそれで、もうちょっと酷い作戦でアピールして欲しかったなぁ、というのは有り。 その理由付けとして最初に置くには、怪人の行動が地味だったのが、やはり惜しい。
 どうもこう、縦糸と横糸がちょっとずつズレていて、うまく模様が出来上がっていない、という感じ。
 病院への突入シーンで赤の判断力の良さがさらっと織り込まれていたのは良かったです。 その流れで3人の連携が徐々に出来ていくのを描き、赤と黄の関係もなんとなく落ち着く。……まあ、まだこれから色々と大変そうですが、 なんというか、頑張れ青。
 後はここから、“プロフェッショナルなチーム”を描いていけるか、どうかでしょうか。本部のオペレーションも含めて、 巧く描ければ面白いけど、失敗すると色々と台無しになるので、頑張っていただきたい所。
 前作が「ゴーカイチェンジ」を軸として変身後のアクション主体であったのに対して、 今回は巨大メカを軸にロボ回りのディテールで面白がらせる、という方針自体は良いと思います。
 ただディテールというのはやればやる程、作品世界全体におけるリアリティのバランスを保つ事が難しくなるので、 色々と前途は大変そう。
 肝心な所としては、あの世界は、明確にエネトロンが狙われている、というのが周知のようなのですが、その一方で市井の人々にとって、 1話以降の一連の物語が“予期された襲撃”なのか“十数年ぶりに降って湧いた天災”なのか、 というリアクションが一切描かれていないので、世界の緊張感というのがどの程度なのか、というのが全く伝わってこない。
 何故これが気になるかというと、従来作品なら多くの場合、市民生活に被害が及ぶにしても“その回限りの奇想天外な作戦”か “直球な破壊活動”になるので、市民が武装するわけにもいかない以上、市民レベルでの対策というのは取れなくても仕方ない という前提が存在したわけです。
 しかし今作の場合、敵の目的が“エネルギー泥棒”と限定されているので、これに関しては市民レベルでも、「泥棒への対策」も 「泥棒された場合の対策」(安全係数を上昇させるという形で)も、双方可能であろうと(同時に、従来シリーズ同様、 怪人が暴れだした場合は対応できなくても仕方がない)。
 そうなると、世間での危機レベルの認識、というのが重要になるわけです。
 2話までの流れと、今回、病院のような重要施設において、予備電源が一切無い、外部からの簡易な電源供給体制が確立していない、 というのを見ると、世間での危機認識レベルは低い、という解釈をする事も可能のような気はしますが、そうすると、 ゴーバスターズ組織がやたらに世界の構造に食い込んでいる、という部分と微妙な矛盾が生じます。
 この辺りの、今作の設定なら本当は詰めないといけない所が詰め切れていない、 というのがどうも立ち上がりの手応えが悪い要因であろうなぁ、と。
 もう2歩ずつぐらいディテールを詰めてくれないと、作中の要素が連動しない。
 今回も転送時間わかっても、本部が何か対策しているようには見えませんでしたし(笑)
 せいぜい心の準備ぐらい。
 まあ、心の準備、非常に重要ではありますが。
 青の人も転送時間を見て早めに動きましたけど、何故か「残り10秒」の時点から、最も危険な行動 (エネトロンのタンクと接続して身動きが取れない)を始めるとか、本当に時間を見ているのかと。
 しかも結局、そこに何のスペクタクルもないまま、満タンになってしまいますし。
 むしろ後半の病院のエネルギー切れまでに輸送が間に合うのか、という方にクライマックスの焦点を合わせていましたが、 どちらかといえば転送完了までにエネトロンを満タンに出来るか、という所で一つ山を作った方が盛り上がった気がします。
 そうする事で、転送時間の表示理由が出ますし。
 なんかもう3週連続で同じような事を書いている気がしますが、とにかく、色々な要素が“ただやっているだけ”で、 全くドラマ上で噛み合っていない、というのが残念すぎ。
 もっと高いハードルを越えてくれるスタッフだと、信じています。
 後、アクション監督が今作から代替わりしているそうなのですが、新しい事をやろうとしすぎて、 画面が忙しすぎるのはちょっと気になります。新しい事をやる事自体はいい事なので、その内落ち着いてくるか、こちらが慣れてくるか、 するかとは思いますが、3話までの感想としては、いまいち。もうちょっと、決め絵を作ってくれた方が、好み。
 キャラクターの関係性なんかは割と面白いし、青の人が気に入ってきているので、引き続き様子見のつもりですが、 細かい事をやっている分、細かい事が気になる話になっているので、うまく改善していってほしいなぁ。とりあえずは、 二番手の監督がどんな風に演出をつけるのかが、楽しみ。

◆Mission4「特命と決意」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
 亜空間からの転送時に生じる誤差を利用してエネトロンタンクを狙うエンターと戦うゴーバスターズ。 救援の遅れで苦戦するゴーバスターズだが、それはヴァグラスの基地を探り出そうとする黒木司令の、 ゴーバスターズを囮に使った作戦であった。
 13年前に亜空間に転送された人々の救出を第一と考える3人に対し、あくまでメサイアのシャットダウンを最優先とする上層部であったが、 「目的のためなら手段を選ばないほどの黒木の本気度を知り、ヒロムは安心したのだった。」……って、 公式サイト(TV朝日)に書いてあるんですよ!

 んーーーーーーーーーーーーーーーーーー、小林靖子はキャリアもあるし、けっこう買っている脚本家の一人なのですが、
 “時に戦力の損耗も辞さないのが、シビアで有能な指揮官の表現”
 だと、本気で思っているのでしょうか。
 それがシビアさと有能さの表現になるのは戦力に替えが効く時に限ってであって、戦力が限定されている場合は、 “戦力の無駄な損耗を防ぐ”のが大前提。
 設定聞いている限り亜空間に突入できるのがゴーバスターズのみらしい以上、黒木長官が最も恐れるべきは、 “ゴーバスターズという中核戦力が無駄に損耗する事”であり、全ての戦略は、それに基づくべき。
 ゴーバスターズが、温存のきかない切り札、である以上、彼等を如何に無駄遣いしないかこそが、 指揮官の有能さの見せ所でありましょう。
 今回の黒木長官の間違ったシビアさこそ、まさしく、的はずれ。
 実は独自に亜空間に突入できる素材を育成していて、後半、「もはや貴様達は用済みだ!  これからは私だけのゴーバスターズが世界を救う!」とか言い出してゴーバスターズ裏切る伏線だったら凄いですが(笑)  悪役、似合いそうな顔してるし。
 話としては、面白くなかったです。
 長官云々を抜きにしても、単純に、1エピソードとして面白くなかった。
 エンターの陽動作戦に対するゴーバスターズ側のリアクションで展開するわけですが、どうもギリギリの所で緊迫感に欠けるのは、 前回の感想でも書きましたが、“世間が描かれていない”からではないかと思います。世界の危機の筈が、 ゴーバスターズとエンターの追いかけっこに、堕している感じ。敢えて、 いわゆる“日常パート”を入れていないような感じではあるのですが(説明しないといけない事が多すぎる、 というのもあるのでしょうが)、やはり物語構造としての日常パート、というのは、それなりの必然性があるわけです。
 作戦のディテールだけで面白いほど詰まった話では無かったですし、やはり、怪人が、ただ暴れているだけ、 というのが致命的に面白くない。売りにしているロボット戦も、それ単体で盛り上がれる、というほど面白くもないし。 なぜロボット戦が面白くないかというと、物語が乗っかっていないから。で、これは、 “世間が描かれていない”という事に繋がる。
 もう一つ加えると、敵の巨大メカに個性が薄いから。
 ドラマが乗らないならせめて敵が憎たらしくて特徴的でなければなりませんが、それが無いので、見ていて気持ちが乗らない。
 Bパートほぼ全部までメカ戦にこだわるというのなら、今、今作に必要なのは、わくわくする敵、であると思います。
 CGでバリア張る程度では、個性とは言えません。
 従来の戦隊シリーズにおける巨大メカ戦は、人間大で悪さをしていた怪人が切り札として巨大化したのに対して、 戦隊も切り札として巨大ロボを呼んで倒す、という所にカタルシスが存在していたわけですが、その欠けた(意図的に外した) 要素を埋める、今作独自の要素というのが未だ存在していない。
 で、それならせめて、「人々の生活を守るんだ」というような単純な正義感でも良いからとりあえず挿入してくれればいいわけですが、 むしろ今回、メンバーのクローズドな目標が提示されてしまい、「あれれ?」といった感じ。 そこは脚本家のリアリズムだったのかもしれませんが、建前無しに本音だけ提示されると、視聴者としては共感のし所に困ります (まだ個人の目標に感情移入できるほど、キャラクターが描かれていないわけですし、その個人の目標も、 段階を踏んでしっかりと描かれたわけではない、今回割と唐突)。
 『ゴーバスターズ』はこれだけ、世間も建前も存在しないのなら、私設軍隊か秘密組織の設定にしてくれた方が、 すっきり見られた気がします。
 次回、青の人の暴走ネタみたいなので、期待。
 というかこれでまた面白くないと、正直、ちょっと辛くなってくる。
 ……あ、そういえば中澤監督があっさりと、転送時間表示を止めました。
 一度やったなら、全体で1クールぐらいは、続けましょうよ(笑)
 個人的には嫌な演出だったので、無くなってホッとはしましたけど。
 柴崎監督回でまた復活したら笑える。

◆Mission5「キケンな熱暴走!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
 エネトロン輸送トラックを狙うタイヤロイドとの戦闘中、ブルーバスターがウィークポイントで熱暴走。 敵も味方も関係無く暴れ回るダークリュウジの姿にショックを受けるヨーコだが、 これまでリュウジが暴走をしないように自分に気を遣って戦い続けていた事に気付くと、立ち直るのであった。

 ダークリュウさんは面白かった。
 出来れば今後も、随所で使ってほしい設定。
 「長い付き合い」だけど、黄色が青の暴走状態を見た事が無かった点について青と黄色の関係性 (あくまで庇護対象と良いお兄さんポジション)に絡め、戦いの中での人間関係の変化 (これまでのような気を遣った戦いは無理かもしれない→黄色の戦士としての独り立ちの進行)、 そしてまだ二人と距離感がある赤の視点(それがどうしたの?)を挟み、赤の朴念仁っぷりを見せながら赤と黄色の関係性に繋げていく (赤、ハンカチ常備は姉の教育かバイクの躾か)、という流れと造りは丁寧でお見事。
 次のステップは黄色がもう一段、階赤あるいは青に自分を認めさせるか、或いは青と赤が本当の戦友になるか、といった所でしょうか。 まだ各人の長官との関係性も描かれていないですし、ネタは色々と転がせそう。
 と、見ている側が先の展開に想像を広げられる部分を含め、ようやく、脚本家が活き活きしてきました。
 ヒロムに女心を語るバイクも面白かった。
 ……だけに、転送時間はだいぶ前に既にわかっている筈なのに、赤と黄色がやいのやいのしている内に、敵が転送完了して本部がメカ発進、 というくだりが、本当に残念。

 本部はバカなのか

 既にほとんど、オペレーターが転送完了時間を算出する意味が無いレベル。
 この展開なら、敵の巨大メカが出てきたからロボット発進、でも何の問題もありません。
 繰り返しになりますが、「転送完了時間を計算する」→「その間に本部が何らかの対策を取る」動きを見せないと、 この要素そのものに意味がありません。なぜ本部は、転送完了寸前なのに、赤と黄色とバイクの漫才を延々と放置プレイしているのか。
 ギミックが、ロボット物として、全く活かされていない。
 そこだけきちっと処理されれば、今週は良かっただけに、とても残念。
 映像演出としての、転送完了時間関係は、今回は完全に消滅。
 柴崎監督が自分の中で面白い演出だと思って独自にやったのか、 企画段階でやってみようという事になってやってみたけど3話までのラッシュ映像見たらあんまりだったのでやっぱり止める事にしたのか。 真実はわかりませんが、今回、輸送中に転送完了時間の連絡が来た際、時間には一切触れずに赤が「これなら間に合う」 みたいな事を言っていて、ここまでの流れを考えると(時間表示の有無に関係なく)転送時間について全く言及しないのは不自然なので、 音入れ段階では、「ここで画面下に時間表示が出ます」という予定だったのではないかと、ちょっと穿った推測さえしてみたくなります。
 キャラクターのやり取りは安定して面白いので、後はドラマ部分とロボ戦のバランスが取れて、 シナリオがきちっと戦闘にリンクするようになれば面白くなってくるのでは、と先に期待の持てるエピソードにはなりました。
 怪人との戦闘が今ひとつ面白くない、敵側の作戦バリエーションの不足、など改善していかないといけない要素はまだ色々とありますが、 この辺りはむしろ、サブライターに誰が入ってきてどんな話を書くか次第、になるかなぁ。
 あとは悪玉側の個性を全てエンターで出そうとしすぎで、そのエンターが(これは好き嫌いがありますが) ちょっと滑り気味ではないかなというのは気になるところ。特にエンターが嫌いというわけではないのですが、 彼一人に悪サイドの個性を全て背負わせるのは、無理があると思います。
 その辺りも今後、怪人と作戦で悪の個性が出てくれる事に、期待。

◆Mission6「合体!ゴーバスターオー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子)
 3体のバスターマシンが合体して誕生するゴーバスターオー。その合体プログラムを訓練するゴーバスターズだが、 パイロットとして優れた腕を持つ筈のヒロムが、合体を上手く成功させる事ができない。そんな中、エンターが基地の格納庫に潜入すると、 メタロイドを用いて、ゴーバスターズを巻き込んだ自爆作戦を展開。窮地を脱出する為にヒロムを信じて命を賭けたリュウジの姿に、 1人で訓練をし続けてきた為に何でも自分1人でこなそうとしていたヒロムは仲間を信じる事を学び、合体プログラムを成功させると、 ゴーバスターズは敵の撃退に成功するのであった。

 無理に巨大ロボ戦で長く時間を使わないようになると共に、見られる話になってきたゴーバスター。
 これまではいったいなんだったのか(笑)
 またそれ以上に今回は、ロボット戦や敵メカ転送時間など、これまで話と噛み合ってなかった部分が、しっかりとシナリオ上で繋がり、 筋の通った物語になりました。
 まあ元来、これぐらい書ける脚本家の筈なので、通常営業に戻ったというか。
 本質的にはロボット戦の“長さ”の問題ではなく、“物語の中にロボット戦が吸収されていない事”が問題だったのですが、 6話にしてようやく、巨大ロボ戦の存在とそこに至る流れが物語の中で必然性を得ました。本来、巨大ロボ戦をフィーチャーするならば、 そこをこそ作り込まないといけなかったわけですが、3話辺りまですっぽり抜け落ちていたその部分が埋まり、ようやく、 企画とスタッフの呼吸があってきた感じ。
 ただ、今回のシナリオの中では埋まっていた、というのが、今後もベースになってくれるかどうかは、来週からの展開次第。
 そこがおざなりになるとまた厳しくなるので、意識して進めてほしいところです。
 怪人が頭悪いのを愚痴る中間管理職エンターさんの図、はちょっと面白かった。
 でそれが、あっさりと自爆装置の巻き添え置き去り、に繋がる布石にしているのも秀逸。
 後はもう一つ、ゴーバスターズ特有の面白さ、というのが出てくれると良いんだけどなぁ……これは個人の趣味嗜好の問題ですが、 今一歩、ときめきポイントが足りない。偏愛ポイント抜きで凄く楽しいというほど、まだ面白くはない。今のところ、青の人頼りです。 長官がもうちょっと面白いと、偏愛ポイントが増えるのですが。オペレーターはむしろ、 男の方をメガネ美形にするべきだったんじゃないか(何が)。
 あと、赤姉が出てこないよ?!

→〔その2へ続く〕

(2015年4月13日)
(2019年10月26日 改訂)
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