■『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想まとめ4■


“きらめきの凪! キニンジャー!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 感想の、まとめ4(19〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る


〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・  〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕


手裏剣ライン

◆忍びの19「探せ!天空のオトモ忍」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 あ、リニア丸、活躍した。
 『ニンニンジャー』は、玩具攻勢が落ち着いてきた所で割と、各オトモ忍に役割を与える見せ方をしているのは、良い所。 ……前半推していたゾウが、その分出番減りましたが(笑)
 天晴達は一斉に土下座で好天にキンジの弟子入り許可を頼み込むが、 八雲だけ片膝の礼だった為 あくまで過去を気にする好天は厳しくそれを拒む。
 ……九衛門の件がトラウマみたいな描写の続く爺ちゃんですが、 そもそも人材育成とか向かないマッドニンジャーという気はしないでもないでもありません。その辺り、 爺ちゃんはあまりにもつかみ所の無いキャラクターとして置かれすぎていて、どうもツッコみにくいのですが(^^;
 ここで天晴が、舎弟の本気の為には躊躇いなく土下座できる男、と描かれたのは良かった所 (逆に後ろの4人は差別化した方が良かったかも)。あと、天晴の「金ちゃん」はどうにも違和感があるのですが、 凪の「金さん」はちょっと面白かったです。
 自分の為に頭を下げてくれた5人の姿と、好天の拒絶を目にしたキンジは、アメリカ海軍と激闘を終えて帰ってきた九衛門と接触すると、 ヘッドハントの誘いを正式に断る。――たとえラストニンジャの弟子にはなれなくとも、他に秘めた目的があるのだとしても、 天晴達と敵対する九衛門と手を組む気はない! とここは久々に、キンジがびしっと決まりました。
 また、スターと戦う九衛門、ほぼ初めてといっていい本格アクションが格好いい。
 好天の残した、「ラストニンジャである儂を一部でも超える事が出来ればサイコニンジャーの件について善処しなくもない」 という言葉に考えこむ5人だが、そこへゲソ軍師が牙鬼の力を借りて作り出した上級妖怪ヌエが出現。
 て、ヌエ、登場してしまいました(笑)
 ゲソ軍師がこれまでニンニンジャーに妖怪をけしかけていたのは全て、ニンニンジャーの戦力調査の為であった。 満を持して〔封印の手裏剣×2・ツールボックス・牙鬼様の有り難いお言葉〕というレシピで誕生したのが、 全身の工具を用いて変幻自在の戦いを行う上級妖怪ヌエ!
 手裏剣忍法を正面から弾き返すヌエにより、天晴と凪の忍者一番刀、そして幾つかのニン手裏剣を壊されてしまったニンニンジャーは、 からくも撤退。キンジの助言により、装備の修理を頼む為、天空のオトモ忍の手がかりを得る為、 かつて好天のオトモ忍作成に協力したという(例のテキストに記載あり)、からくり鍛冶師の元を訪れる事に。
 これまで謎に包まれていたロデオ丸(バイソンキング)は、エリア51からの機密の流失ではなく、 好天のテキストを元にキンジがインターネットで発注して作っていた事が判明。
 ……もしかして終盤、地平線を埋めるバイソンキングの軍団が登場したりするのだろうか。
 「敵は1000体のバイソンキング……やってくれるじゃねえかジジイ……燃えて来たぁぁぁぁぁ!! ――行くぜ!  パオン・トマホーク・ブゥゥゥメラン!!」 (CV:石川英郎)
 冒頭に九衛門相手にちょっと格好いい所を見せたキンジですが、弟子入り失敗の虚脱状態を引きずっているという事なのか、 戦闘では目立たず、この会話シーンでもしゃきっとしません。これまでテンションの高さで引っ張ってきたらキャラクターなので、 役者も演出も、今のキンジをどう演じ(さ)ればいいのかに、どうも戸惑っている感じがあるような(^^;
 からくり鍛冶師の住むという山寺へ向かった6人は、山中で孫悟空のような風貌の謎の酔っ払いと遭遇。 次々と弱点を突かれていいようにあしらわれてしまう。
 一応地道に成長してきた事になっているのに、ここに来て、ニンジャとしての基本がなってない扱いとか、旋風父さん、涙目(出番なし)
 キンジが大人しい挙げ句に年少組の保護者みたいなポジションになっている事に関して、 「団体行動に慣れていない」は凄く納得しましたが!(笑)
 ここでニンニンジャーを研究したヌエの戦闘と、酔っ払いの指摘が重なっているという言及はあるのですが、 ヌエが物凄く力技で強かったようにしか見えなかったので、台詞でそういう事にしただけ、という感じになってしまったのは残念。
 そこへニンニンジャーにトドメを刺すべくヌエが現れ、とうとう、自ら、巨大化した!!
 前回の巨大化は完全に謎でしたが、なんだか着々と、九衛門が居なくなった後の巨大化の理由が積み重ねられているような(笑)
 巨大ヌエ&ガシャドクロ×2に、オトモ忍を召喚可能な4人が立ち向かうが、大苦戦。だがその時、 おっさんが取り上げた忍者一番刀を修復して、寺の少年が現れる。その少年こそが、先代の後を継いだからくり鍛冶師だったのである。
 遅れて参戦した2体、ダンプ丸の上でシノビ丸が六方を踏んでいる小技が楽しい。
 ニンニンジャーはキングシュリケンジンに合体し、アカの号令で、コックピット内部で名乗る事に。
 見せる相手が居ないのでテンション低い&狭い中での名乗りシーンは面白かったです。今作、 こういう随所の細かい馬鹿ネタは、割と好きなんですが。
 キングシュリケンジンはガシャドクロを蹴散らすも、ヌエの攻撃を受けて粉砕されてしまう。それを見た酔っ払いは、 「握り飯の分のお礼だ」と立ち上がると、霧に隠されていた巨大な城塞のようなオトモ忍と合体。酔っ払いの名は、獅子王。 その正体は、好天が手なずける事が出来なかった天空のオトモ忍・ライオンハオーに宿る精霊だったのだ!
 これまでもオトモ忍に人格(のようなもの)がある描写はされていたので、それが実体化するだけの力を持った存在、というのはまあ、 居ても納得は出来る範囲。「精霊」と言われると妙に洋風な気がしてきますが……よく考えると既に「魔法」があった。
 空中要塞ライオンハオーは凄まじい火力を見せて、ヌエは撤退。獅子王は6人の前に降り立つと、自らの正体を明かす。
 「つまり、爺ちゃんが手なずけろ、って言ってたやつか」
 「一つ聞かせろ小僧。俺を手なずけてどうする」
 「決まってんだろ。ラストニンジャになって、牙鬼から世の中のみんなを守るんだ。だから俺達についてきてくれ!」
 ――獅子王の胸に蘇る過去。天晴の言葉は、くしくもかつての好天にそっくりであった。
 「……それなら俺は断るだけだ。……じゃあな、あばよ」
 獅子王自身にも、自分が“物”であるという自覚はあるようですが、 その目の前で「手なずける」という言葉をいっそ肯定的に用いる天晴さんが2周以上回って熱いよ!!
 最近は好感の持てる部分を描いてくれている事もあってか、段々、天晴さんの面白がり方がわかってきた気がします(笑)
 逆に言うと、やはり作品として受け手に好意を持って欲しいキャラクターには、しっかりと早めの仕込みをした方がいい、 と思うわけでありますが。個性は、その好感の見せ方・付け方で出せるわけで。
 獅子王役は、戦隊では過去に『百獣戦隊ガオレンジャー』の主題歌を担当した歌手でもある、山形ユキオ。ライオンの精霊というのは、 ある種のセルフオマージュなのか(笑) ガオラオ。
 お約束としては「一緒に戦ってくれ」パターンですが、この辺りでそろそろ、今作としての飛躍も期待してみたい所。
 次回…………ニ……ンジャ……? まずい、強化アカニンジャーのデザインが頭おかしくて、ちょっとドキドキしてきたゾ!

◆忍びの20「ザ・超絶!ライオンハオー!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下山健人)
 ラストニンジャの勧誘を断った時の事を思い出す獅子王。
 「冗談じゃねえ! 俺は、暴れたいだけだ!」
 思った以上に、駄目な人(精霊)でした。
 その後で、自分の創造主ともいえる先代・鉄之助の忘れ形見の事を気にしているというのを描いて、ただの駄目精霊ではない、 とフォローは入れましたが。……酒代は、いったい誰が稼いでいるのか。
 そんな酔っ払い精霊もとい獅子王の説得に再チャレンジしようとする天晴達だったが、若き雑賀鉄之助がそれを止めると、 天晴に忍者一番刀を渡すように要求。素直に天晴が渡した所に、タイミング悪くイカ軍師の力で強化された妖怪ヌエが出現し、 5人はその迎撃に。一番刀を返してもらおうとする天晴だが、鉄之助はひらりとかわしてそれを拒否すると、 いきなり天晴に手裏剣を投げつける(笑)
 ……これだ、こういうゲストキャラが欲しかったんですよ!!
 少々メインに近すぎる感じはありますが、いっけん物静かな風貌から躊躇無く天晴に手裏剣を連打する鉄之助は、 ようやく今作における世界の狂気の枠組みを広げてくれました。いいぞ、その調子だ。
 天晴を忍びというより動物。そして馬鹿と評した鉄之助は、一つの問いをぶつける。
 「おまえは仲間の為に何が出来る?」
 「……なんだろうなぁ……?」
 「ちょっとは頭を使え」
 天晴は思わぬ体術の冴えを見せる鉄之助から一番刀を奪い返す事が出来ず、2人はそのまま、5人がヌエに苦戦する戦場へと近づく。
 「一度落ち着いて、仲間を見てみろよ」
 客観的に舎弟達の動きを見つめ、そこに前回獅子王が指摘した、5人の長所と短所が現れている事を理解する天晴。
 「八雲と霞は頭いいんだ! 風花と凪はすばしっこいんだ! キンちゃんは普通に強いんだ! だから俺も自由に暴れられた!」
 これまでの、俺の活躍、を回想した天晴は、自分達の強さの理由に至る。
 「俺がみんなと居れば、みんなも暴れられて、全員でもっと強くなるんだ!」
 「――もう一度聞く。おまえは仲間の為に何が出来る?」
 「みんなのいいところ引き出せる」

 え?

 「でも、その為にはみんなが必要だ。……おっちゃんも同じだ。おっちゃんが暴れれば、俺達はもっと強くなるし、 俺達が良さを出せれば、おっちゃんももっと強くなる!」
 ……えー……一応流れとしては、これまでの天晴さんが
 俺は卵だ! 舎弟どもは俺を引き立てるその他の具だ!
 だったのから、
 その他の具にもそれぞれいい所があるんだ! でも俺が卵だ!
 となって「天晴アニキと舎弟ども」改め、「互いに高め合う仲間達」になったという事なのかと思われるのですが、 これまでの天晴の積み重ねがこの2話で劇的に改善されるというのはどうにも無理がある為、
 「みんなのいいところ引き出せる」=「やっぱりあいつらには俺が居ないと駄目なんだ」「しょせん卵の入ってないおでんに価値などない」としか聞こえず、ニンニンジャーの闇は深い。
 しかもこの後、1人で超絶しますし。
 鉄之助は天晴の答に満足して一番刀を返し、天晴は戦線復帰。やり取りを聞いていた獅子王に、鉄之助は自作のからくりを見せる。
 「22代目・雑賀鉄之助、初めて作り上げたからくりだ」
 己を思う存分暴れさせられる者の元へ――獅子王はブレスに宿ると、アカニンジャーの腕にワープ。
 「もう一度聞かせろ小僧。俺を手なずけてどうする?」
 「――もう手なずけるつもりはない。だから一緒に暴れようぜぇ!」
 うんやっぱり、本人の目の前で「手なずける」って言うの、感じ悪いですよね。
 「一緒にか、ふん、どうなっても知らねえぞ。オトモなれども、暴れるぜ!」
 獅子王との協調は鉄板ネタになりましたが、天晴の視野を広げる展開を挟んだ上で、本作の決め台詞と繋げた所は良かったです。 ……天晴の視野が本当に広がったのかに若干の不安がありますが。
 アカニンジャーが勝負ブレスの獅子王手裏剣を回すと、獅子王の力が融合し、強化形態・超絶アカニンジャーが誕生!
 風よ! 光よ! 忍法・獅子変化!
 ……あ、一応、忍者+ライオンという事でお約束で。
 強化装甲を身に纏った超絶アカは、高速移動からの素手のパンチでヌエを圧倒、という『ドラゴン○ール』の超戦士状態に。 このまま1人でヌエを倒したらどうしようかと思いましたが、舎弟達が金の術の鎖で動きを封じ、 ロックな舎弟が雷の術でダメージを与えた所に超絶・手裏剣斬でガオラオ、というのは良かったです。
 良かった……というか、普通なんですが、ニンニンジャーはその辺り、悪い意味で油断ならないので(^^;
 巨大化したヌエに対し、獅子王の本体、ライオンハオージョウが起動。その装甲と火力でヌエを押し込むと、更に真の姿、 ロボット形態・ライオンハオーへと変形する。城が立ち上がると獅子の顔の部分が胸の所に下り、口が開き、 敵の真正面に生身で剥き出しになる超絶アカ。
 突然だが説明しよう! 読者諸君は、敵の眼前に操縦者が身をさらす行為を愚かと思うかもしれない。だがしかし、 敢えて敵の銃口を目視し、火砲の熱気を肌に感じる事で脳下垂体から分泌されたエンドルフィンが操縦者に鎮痛作用とニンジャーズ・ハイをもたらし、 ライオンハオーの精霊である獅子王との共感率を高める事で獣を超え人を超え、つまり先代・雑賀鉄之助はいい感じに出来上がったキチガイだったのである!
 「超絶熱いなこれ! 燃えてきたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 まあそもそも、シノビ丸の時点から肩の上に乗っているといえば乗っているのですが、そう、一緒に暴れるとはつまり、 俺が爆死する時はおまえも爆死する――という事だ!
 この戦闘で流れ出すライオンハオーのテーマ曲は山形ユキオさん歌唱という事で、ある意味、キャラソン(笑)
 結局すっかり蚊帳の外で応援団と化した舎弟達の声援を受けながら、ニンジャーズ・ハイな超絶アカとラインハオーは、 巨大ヌエを粉砕。天空のオトモ忍がニンニンジャーに手なずけられてしまった事に驚く九衛門は、急遽、 新たな面に恐れのエキスをかけるのであった……。そして好天は、孫達がちょっとだけ自分を超える可能性を見せた事を認め、 キンジの弟子入りをちょっとだけ認めるのであった。
 前後編で、天晴の成長(?)・強化・6人目確定、をまとめてやった結果、自分の弟子入りイベントなのにキンジがほぼ空気、 という恐ろしい事になりましたが、次回そんなキンジ回のようなので、いい加減、テンションをどこに置くのか、 キャラクターを少し落ち着かせてほしい所です。というか次回失敗すると、キンジの存在感が物凄くまずい事になりそうな気がするので、 弟子入りを認められた新生キンジをしっかり描いてほしい。
 天晴にいきなり手裏剣を投げつける、で株価急上昇した22代目鉄之助ですが、最後に好天との会話シーンがあった事で、 やたらに天晴に頭を使わせようとするのが、結局ラストニンジャの差し金に見えてしまったのは、勿体なかった所。 話が綺麗に収まるという判断だったのでしょうが、単体のキチガイとして、現時点ではラストニンジャに直接繋げない方が良かったように思えます。
 超絶ニンジャは、システム的には他のメンバーも使えそうですが、獅子王とシンクロしないといけなそうなのと、 ライオンハオーが馬鹿すぎてアカしか乗れなさそうなのが、少々不安(^^; 基本パワーアップはするなら全員してほしい派なのですが、 せめて使い回せるといいなぁ……いっそ各人が別のパワーアップをする、とかまでやってくれたら嬉しいですけど。
 次回、みんな大好き野球回。

◆忍びの21「燃えよ!夢の忍者野球」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下山健人)
 北別府+浩二……って、下山さんは、広島ファンなのか?!
 お互いに卑怯な手段を駆使しまくるという教育上よろしくない野球回(笑)でしたが、些事ながら少々気になったのが、2015年現在、 ボールカウントはボール先で例えば「スリーボール・ツーストライク」と読み上げ、 「ツーストライク・スリーボール」とは言わないのですが、どうして劇中ではストライク先で言っていたのか。 実況担当は足軽兵でしたが、牙鬼軍団、基本的に現代社会に精通している筈。
 球場の表示板はボールが上になっていましたし、アフレコ段階まで誰も気付かないほど最近の野球を見ているスタッフが全く居ないとは思えないのですが、 単なる凡ミスなのか、何か都合があったのか。少年野球のコールはまだストライク先なのかなと思って軽く調べたのですが、 どうもハッキリわからず。
 キンジが正式に伊賀崎流忍術に弟子入りを許され、好天から忍者装束を与えられる。 ところが風や雷の上級忍術を独学で修めたキンジは基礎の五遁の術をうまく使えず、5人の足を引っ張るわけにはいかない、 と1人で修行に励む事に。そんなキンジはプロ野球選手を目指して練習を続ける野球少年と出会い、 少年の横でいきなり忍術の修行を開始。
 一歩間違えると通報されますが、少年がごく普通に「タライを頭にぶつけている間抜けなニンジャだなー」 ぐらいの生暖かい視線を向けているので、ご町内の広場で忍術の修行をするぐらいは、ふつー、ふつーです。
 何度か書いていますが、この辺りの常識と非常識のブレンド具合が非常に中途半端なのが今作の問題点なので、 振り切るなら思い切って振り切ってほしい所。その際に重要になるのがゲストのリアクションなのですが、今回の野球少年が、 妖怪以外は概ね平然と受け入れるので、ニンジャ=街で時々見かける(ただし女子高生としてはちょっと恥ずかしい)、 という方向に舵を切ったのだと思ってしまう事にします。
 修行に協力しようとキンジに合流した天晴達は、野球少年が友達に小馬鹿にされているのを見て、「おまえら、 頑張ってるヤツに酷い事言うなよ」と割って入り、抜き身の刀を握ったまま小学生を囲むニンジャ6人。
 一歩間違えなくても、通報した方がいい。
 ニンニンジャーに再び逮捕の危機が迫ったその時、妖怪バクが現れ、野球少年と天晴が夢を食べられてしまう。 バクに指示を下すのは、般若と翁に続き、女面から復活した新幹部、ハイテンションにして高飛車な牙鬼幻月の妻・有明の方!
 (この名前はもしかして『マジレンジャー』オマージュか?)
 蛾眉さんの無残なリタイアから順次交代制かと思われた幹部ですが、ここで正影が存命の内に、女幹部を緊急補強。 複数幹部体制になったとはいっても、有明の方に対して正影が引き気味の上に顎で使われるというヒエラルキーが明確すぎて、 イカ軍師の存在感が薄くなりそうな気がしてなりませんが(^^;
 いっそこれなら、蛾眉さんを生かしておいて、高飛車に命令する奥方→面倒くさくなって下に丸投げする軍師→ 割を食って嫌々出撃する蛾眉さん、ぐらい上下関係の厳しい牙鬼軍団、みたいな組み方をしても面白かったのではと思われますが、 本編でこの関係を巧く転がしてくれる事に期待。
 ラストニンジャになる、という夢を食べられてしまった天晴は、早速、アルバイト探しを開始。 ここでアクティブに真人間の道を目指すというのは、天晴らしい(笑) 一方キンジは野球少年を気にするが、 少年はグローブも帽子も捨ててしまうのであった……。
 で、今回の問題なのですが、“ニンジャに興味を失う天晴”という非常に面白く広げられそうなネタ(実際この時点で面白い)と、 “夢を失った少年とキンジの交流”という、それぞれ単独で展開できそうなエピソードを混合した結果、 どちらも非常に中途半端になってしまいました。
 特に前者のネタをこのエピソードで消化してしまったのは、非常に勿体ない。
 せめてこのエピソードの中でキンジと天晴が線で繋がればいいのですが、キンジは少年しか気にしないし、 天晴は状況に乗っかるだけだしで、詰め込んだ劇中の要素が連動せず、折角だから屋根裏部屋を付けようとしたら天井が抜けた、 みたいな感じに。
 最終的にキンジを、自分の目標に一直線であるが故に他人の夢も大事にする男、として微修正しつつ着地させるのですが、それなら、 キンジと少年の関係に絞るか、少年を抜きにして、夢を失った天晴の為にキンジが奮闘する話にして2人の関係も補強するか、 で良かったと思うのですが、キンジと天晴の話を同時進行でやりつつ何故か2人が絡まない、 という軸足を見失ったエピソードになってしまいました。
 ロボ戦も営業の都合で、野球バトルで立ち直った少年の助力で天晴が復活してライオンハオーでバクをガオラオしてしまい、 少年と主に絡んでいたキンジ(バイソンキング)棒立ち、という、どうにも締まらない事に。
 「俺達が戦うってのはさ、自分の夢の為でもあるけど、みんなの夢を守る為でもあるんだな」
 この台詞だけは、基本、本能の赴くままに戦っている天晴が自分の戦う意義を見つめ直して良かったのですが。 最後だけ綺麗にまとめれば良いというわけでなく、いつも以上に、ネタを使い切れない『ニンニンジャー』の勿体なさ、 を感じるエピソードでした。
 ……惜しげもなくネタを絨毯爆撃しているという見方もあるかもしれませんが、どうも今作の場合は、 ネタを掘り下げる事が出来ないという印象です。もう一踏ん張りして掘り進めば、 岩盤の下に金脈が眠っている事もあると思うのですが、その前に別の所を掘ってしまう感じ。
 声だけですが獅子王が引き続き登場してくれたのは、単なる強化アイテム扱いで終わらずに良かった所。次回は少し、 物語に絡むようですし。

◆忍びの22「超合体!覇王シュリケンジン」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
 知り合ったばかりの伊賀崎家へお中元を送ってくる鉄之助、高校生ぐらいの見た目なのに、なんて出来た男なんだ……!
 鉄之助が送ってきたのは、ライオンハオーの更なる力を引き出す新たなニン手裏剣。 さっそくガシャドクロとの戦闘中にそれを使ってみるアカだが、3体合体が発動する筈が……失敗。
 ガシャドクロは撃破するも、なぜ合体は発動しなかったのか。獅子王が身勝手な為だとすぐに他人を蹴落とそうとする八雲と、 それに乗っかるキンジだが、そこに好天が現れ「お前達二人が原因じゃ。天晴のようにライオンハオーを使いこなしてみろ」 といつものように煽るだけ煽りまくってログアウト。
 煽り耐性の低い二人は天晴から獅子王ブレスを受け取って超絶変身しようとするが、変身できない上に獅子王に抵抗されてしまう。
 「なんかさー、おまえら面白くないんだよ」
 やはり超絶変身は、獅子王とのシンクロが必要な模様。
 「俺はこっちのお嬢さんの方がいいぜぇ」
 霞に取り憑こうとする獅子王ブレスだが、セクハラの気配を感じて、霞、超絶を拒否。 はたき飛ばされたブレスは横の風花に取り憑いて変身し、超絶風花・誕生!
 一発ギャグっぽいネタですが、生身の風花が洋服の上からライオンアーマーだけ装着する、までやりきってくれて面白かったです。
 ここで、風花の腕からブレスを奪おうとする青と金の姿に、
 「今気付いた。やっくんって、相変わらずスターって呼ぶんだ」
 という凪の台詞は良かった。ツッコミ役として少しずつ個性の出てきた凪が、 メンバーの中では人情の機微を察する能力がある所を見せてポイントを突き(邪悪策士はわかった上で利用する為に黙っているので)、 この台詞がある事で、獅子王との絡みが無かった点についてもバランスが取れました。
 その頃、牙鬼軍団では、ガシャドクロを出撃させて集めた恐れのエッセンスを、有明の方がスキンケアに使っていた。
 「互いに苦労しそうじゃのう……九衛門」
 気ままかつ高圧的な有明の方に振り回されて、九衛門と正影が本気で意気投合したらそれはそれで面白そうですが、 九衛門は今ひとつそういう感じでもないなぁ……ただ九衛門、正影の名前の言い間違い(故意)や、有明の方からの「狐」呼ばわりには、 余裕を失ってやたら過敏に反応するのですが、「九衛門」という名前に何かこだわりがあるのか。
 その辺り、ネタが尽きたのか、正影が普通に「九衛門」呼びになってしまったのは、ちょっと残念。 それこそ奥方復活後に名前をまともに呼ぶようになったのなら二人の絆の短縮ダイヤルが表現できましたが、 奥方復活前から「九衛門」呼びになっていましたし、ネタとして使い込めなかった感。
 奥方の指示で九衛門は妖怪ヌリカベを生み出して街に放つ。ヌリカベは人々に人生の壁を見せつけ絶望させる事で恐れを生み出すのだ……あ、 これ、キュアフローラが飛んできて「笑おうよ」って言って解決する流れだ……と思ってビクビクしていたのですが、 幸いな事に、飛んできませんでした。
 妖怪アンテナの反応に駆けつけたニンニンジャーだが、精神防御弱めの青と金がヌリカベの攻撃を受け、壁の中に閉じ込められてしまう。 二人の前に立ちはだかる人生の壁、それは――天晴!
 壁を乗り越えようと、様々な忍法を駆使するアクションの見せ方はドタバタギャグも含めて面白かったです。 こういう部分が面白いのは、今回、良かった所。
 「おまえらは頭の回転こそ速いが、超かちんかちんに固いなー」
 どうしても壁を越えられない二人は、ブレスを通して獅子王におちょくられた事で柔軟な発想に目覚め、 泥と風の術で壁の下を掘り進むという、裏技を閃く。
 「固い壁なら柔らかくすればいい。高い壁ならくぐればいい。壁を乗り越えるはやめた。ようは、突破すればいいんだ」
 往生際悪く「突破」と言い換えていますが、どう見ても、天晴という壁を乗り越えられないので、 平伏して這い進む土下座外交です。有頂天の本人達、柔軟な発想の俺達かっこいーーーーーモードなので、 触れずにおいてあげましょう。
 正攻法が駄目だったので抜け道を探すとか、この際プライドは捨てるとか、どちらかといえば、ネタとしては凪向きだったような気は。 八雲が頭の固さとプライドの高さを曲げて抜け道を見いだす所にポイントを置いたのかもしれませんが、八雲からプライドを抜いたら、 「魔法」と「可哀想」しか残らないけど、それでいいのか。
 そして、おそらくクライマックスの合体変形の都合なのでしょうが、そこにキンジを強引に絡めた結果、 「最強の妖怪ハンターになる為にニンジャに弟子入り志望」で「どこか天晴に似た無鉄砲」で「平然とインターネットでオトモ忍を発注」 して「巨大メカを個人所有」し「独学で高度な忍術を修得」でき「他人の家のお茶の間で朝からお命頂戴がルーチンワーク」 で「ニンジャ+ガンマン+ロックンローラーという組み合わせに何の疑問も抱いていない」キンジが、 頭固い扱いされているのですが、それはどこの並行世界のキンジなのか。
 キンジは物語が進めば進むほど人格が分裂していき、ここまで来るといっそ凄い(^^;
 一方、残りの4人は有明の方&配下と戦っていた。有明の方は近接戦でニンニンジャーを上回る戦闘力を見せ、 蛾眉さんのカーストはどの辺りのゴミの下に埋まっているのか。“牙鬼軍団一番槍”って、「牙鬼軍団最強の武人」とかではなく 「とりあえず最初に敵陣に放り投げて敵の戦力を確かめる案山子」の事なのかもしかして。
 そこにヌリカベの下を這い出してきた青と金が合流し、青は敢えて、自分を認めた獅子王のブレスをアカへと渡す。
 「今はまだ、タカにぃに託してやる。俺達はちゃんと、タカにぃを乗り越えた時に使う」
 …………達?
 当初、“天晴に匹敵する実力を持つニンジャ”として出てきた筈のスターですが、気が付けばすっかり、 新しい舎弟の一人に。
 ……というかこれやっぱり、「心が弱い」とか「新入りの弟子見習い」とか言われ続けている内に思いこんでしまっているだけで、 別の暗示をかけたら出てきた当初の戦闘力に戻るのではないか。或いは、求む、OSのバージョンアップ(緊急)。
 結局アカが超絶し、気まぐれな有明の方は帰宅。残ったヌリカベの装甲を破るべく、合体攻撃を提案する青。
 「EASYに行かないなら、難しくやってやろうじゃないか。タカにぃ、俺達が武器になる」
 「そいつはロッケンロールでございやすねぇ! まさか、耐えられないとは言わないでございやしょう」
 精神的に一皮剥け、距離感が縮まった事で、ヒートアップする身内の煽り合い!
 3人は、赤が妖怪に向けてグルグル回した青と金を投げつけ、それに手裏剣斬を被せるという連携攻撃・人間手裏剣斬りにより、 ヌリカベを撃破……映像的には格好いいのですが、この技を見る限り、直前の会話は
 「まさか、(身内を武器にするなんて心が)耐えられないとは言わないでございやしょう」
 「当たり前だろ! (良心なんて欠片も痛くないぜっ)」
 という理解でいいのか。
 巨大化したヌリカベに対して今度こそ3体合体し、バイソンキングが追加武装となり上半身がぐるりと回ったライオンハオーの中にシュリケンジンが収まるという、 覇王シュリケンジンが完成。覇王からシュリケンジンが射出され、続けてシノビ丸が射出され、 最後に飛び出した超絶アカが敵の武装を切り刻むという、忍法マトリョーシカミサイルは面白かったです。
 ただどうせ一斉射撃の必殺技名が「覇王・天晴バスター」なら、むしろそちらで、 超絶アカを弾頭にして欲しかった(笑)
 霞が拒否、八雲も拒否、キンジも拒否、と、誰も超絶ニンジャになりたがらない上に、玩具にも盛り込まれてしまっているようなので、 超絶するのはアカだけでほぼ決まりでしょうか。まあまだ2クール目も終わっていない段階の強化なので、後期ロボが出てくる辺りで、 他のメンバーにも何かしら起きる可能性はありますが。
 演出やアクションなどは面白いエピソードだったのですが、キンジのキャラクターが落ち着くどころか崩壊の一途を辿っており、 完全に物語の泥人形になっているのは厳しい。水面下で鉄之助とのトレード交渉が活発化しそうです。
 次回、夏の怪談スペシャル。
 「遂に突き止めたんだ。霞ちゃんの弱点」
 ……何その、公式にボスキャラ扱い。

◆忍びの23「夏休みスペシャル 夏だ!忍者キモだめし」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
 安定の、邪悪策士の邪悪無双回。
 霞が凪に聞こえる位置で自分の苦手を話している時点で先の展開は見え見えなのですが、霞の場合、 見え見えの展開に着地するのが一番酷くて面白いので、今後も変に日和って弱みを作ったりしないで、この路線を貫いてほしい所です。
 もはや不条理な特殊能力レベルの身代わりの術など、邪悪無双は邪悪無双でやり過ぎなのですが、 結果的に天晴が戦闘特化型であるのが強調される事により、作品としては全体のバランスが取れてしまう、 という恐らく作り手の意図していない副産物が生まれており(それを考えていたら普段からもっとバランス取ろうとしていると思われるので)、 かえって落ち着いて見られる、というIt’sシュリケンマジック。
 そんなわけで霞の弱点を知ったと思いこんだ凪は、日頃霞から台所の水アカ並の扱いを受ける男達で手を取り合い、 霞に一泡吹かせようと忍者キモだめしを企画する。
 男衆の扮装は、やたら気合いの入った衣装とメイクでバラエティ展開としてメリハリが付き、天晴の扮した、 怪人・赤ピーマンも面白かったです。
 思惑通りに霞に悲鳴をあげさせてガッツポーズを決める、排水溝に詰まったぬめり並に心の澱んだ男達だっが、 ニンニンジャーがキモだめし中と情報を得た有明の方がそこに妖怪ユキオンナを派遣。 ニンニンジャーは各個撃破で次々と凍り漬けにされてしまう。
 女の子1人に悲鳴をあげさせる為に結託するいい年した男4人(高校生も居るけど)という実に最低な絵面でしたが、 そこからの、変な構えで凍っている天晴は凄く面白かったです(笑)
 基本、目を見開いての硬直ネタは鉄板ですが、台詞もなく固まっているのに全身から天晴らしさが迸っており、今回の大きな見所。 赤ピーマン→霞を心配して真っ先に戻る→変な構えで硬直、と最低なりに今回の天晴はとても良かった。天晴さんは、 ワッショイ→ワッショイの時より、馬鹿→男を見せる→馬鹿、の時の方が確実に輝いています。
 年上組が全滅し、残された風花と凪はユキオンナに立ち向かうが、風花もフリーズドライ。追い詰められた凪は霞の言葉を思い出し、 他人に頼ってばかりでチャレンジしない自分を乗り越えると、土壇場で上級手裏剣忍法を発動。
 安定志向→チャレンジしない性格、と繋げたのはまあわかる範囲ですが、個人的には凪は、 安定の為にそれなりの努力を積むタイプだと思っていたので、最初のメイン回の予習・テキスト全否定に始まり、 今作においては“堅実さ”というのが一切プラスに評価されないというのは気になる所です。
 まあつまり、伊賀崎流忍術は、実戦最重視の無差別殺人忍術! いわばニンジャ界のバーリトゥード!!  ゆえに、本番で役に立たない堅実さなど存在しないも同然!!
 という事か。
 加えて凪は、特にこれまで他のメンバーに依存する傾向があったとも思えないのですが、突然<年下属性>に覚醒。 資格マニアという初期設定が離陸直後に爆発四散した後の紆余曲折を経て、比較的常識人のツッコミ役でメンバーの弟分、 という普通そこから膨らませる土台ではなかろうかという地に足の付いた設定に辿り着く、 青春の旅路はゴールだと思った所がスタートだ! 23話かけてようやく、バラバラになっていた部品が集まった気分です(笑)
 かくして再生を遂げたイエローは複合忍術による幻術でユキオンナに反撃するが、惜しくもそれを破られてしまう。しかしその時、 最初に凍り漬けにされた筈の霞が現れてイエローの危機を救う。そう、凪に自分の苦手(真っ赤な嘘)を聞こえるように話してキモだめしを企画させ、 そこへ先に挑発しておいた有明の方の介入を誘い、ついでに凪を追い詰めてスキルアップを促した上で妖怪を返り討ちにする…… 凍ったゴミになっている男達も牙鬼軍団も、全ては邪悪策士の手の平の上で無様に踊らされているだけだったのだ。
 凪と霞は協力して天晴達を解凍すると、ユキオンナを撃破。巨大化後は、相手の氷結能力を逆手に取った雪だるま覇王で押し潰し、 封印に成功。
 凪は一つの殻を破るが、ただでさえ低かった男達の株価は取引停止状態まで下がり、 謀略の為には風花さえ餌にする事も躊躇わない本性を見せた霞は、邪悪策士から暗黒邪悪策士にクラスチェンジ。 「騙すにはまず味方から」という発言は、某山地哲山とか、某正木俊介とか限りなくブラックでイリーガルな系譜で、 20年後に新たな忍者戦隊の司令官を務めていそうです。
 その形ばかりの謝罪は次の機会の為の罠だから、素直に受け入れては駄目だ風花……!
 本当の悪は、平気で頭の一つでも二つでも下げてみせるんだ……!
 キンジもせめて、このぐらい天晴とは別方向で強みがあればなぁ……と思うところですが、最近は八雲とセットの扱いが加速しており、 戦闘では天晴にかなわず、頭脳では霞にかなわないのに、デキる男のつもりの可哀想な器用貧乏コンビになりつつありますが、 それでいいのか。
 今回登場した上級手裏剣忍法が幻術ばかりだったのは、繰り返しの上に何でもありすぎて少々面白くなくなってしまいましたが、 今後の利便性を優先したか。本格的に広げるかはともかく、桃と有明の方に若干の因縁を構築したのは良かったポイント。
 で、サブタイトルに何故か「夏休みスペシャル」とついていて何がスペシャルなのかと思っていたのですが、 次回のサブタイトルにもついており、どうやら夏休みの間は「夏休みスペシャル」な模様。
 すなわち、有明の方の増援要請を受けて来日した途端に出オチ感満載の西洋モンスター軍団(笑)
 ある意味で、この連中は夏休みスペシャル要員だ、とわかりやすいので安心して見られますが、 狼男とか出てきてキンジの過去に少し触れたりは有るのか無いのか。というか本人のメモリから消去されない内に少し触れておいた方が良い気もしないでもなく。

◆忍びの24「夏休みスペシャル 夏だ!西洋妖怪ぞくぞく来日!」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
 まだまだ娘離れが出来ない旋風父さんが家族サービスにかこつけて風花と遊びに行きたがるが、 「忍者資料館へ行こう」と言って引かれてしまった所に、「遊園地、遊園地」と即座に助言する凪、やはり紳士レベルがちょっぴり高い。
 …………他のメンバーに皆無という説もありますが。
 遊園地に着くやいなや最初の選択肢を間違えてしまう旋風父さんに向けてガイドブックを手渡し、
 「風花ちゃんの好きそうなアトラクションに、印つけといたから」
 と助け船を出す凪、この男、デキる…………!
 残り3人は前回と合わせ技で、もはや屑鉄置き場でも引き取り手が見つかりません。
 その頃、牙鬼軍団の気が利く小姓は、有明の方が呼び寄せた西洋からの助っ人妖怪軍団の一員、フランケンを観光案内していた。 適度に名所を回った所で、九衛門はフランケンをニンニンジャー達が遊ぶ遊園地へと誘導し、自分以外の機械が目立つのを許せないフランケンは、 遊園地のアトラクションをストップ光線で次々と停止させてしまう。
 この騒動に居合わせたニンニンジャーは、旋風と風花には夏休みを満喫してもらおう、と5人でフランケンに挑む事に。
 西洋妖怪一番手に対してキンジがちゃんと「フランケンシュタインの怪物」と言っているのですが、 当の本人が「フランケン」と名乗っており、台無しに(笑) まあ、カテゴリが妖怪の時点で、 フランケンシュタインの怪物という概念が妖怪化した存在なのでしょうが。
 ちなみに旋風父さんが娘と遊びたいだけなので特別気を遣う必然性は実のところあまり無いのですが、 凪の口にした「忍法・助け船の術」に乗っかった手前、全員が引くに引けなくなっている感じ(笑) まあその辺りは、 夏休みスペシャル、という事であまりこだわらずに全国のお父さんに代わって旋風父さんが家族の絆を深めるという展開。
 なお、男親として、図体ばかりでかくなって特に可愛くない息子の方は割とどうでもいい、というリアル。
 焼き肉屋で昼休憩中の風花と旋風を誤魔化す為に霞も戦線を離れ、フランケンに苦戦する紳士見習いと男の屑鉄トリオ。 ニンニンジャーの撃破よりも観光を優先しようとするフランケンの気を引くために九衛門がガシャドクロを召喚し、 それに挑んだ青と金は、禁断の欧米合体・バイソンキングドラゴを発動……するが、 フランケンのストップ光線を浴びてあっという間にただの置物に。
 欧米コンビの株価が、全欧米人に謝れレベルで底抜けに下降していきます。
 霞が戦線復帰して、ガシャドクロはシノビ丸がドラゴンソードを用いて撃破。 ストップ光線は超絶アカが耐えている間に黄が忍術で反射して打ち破り、前回と同じく、 赤・桃・黄の連携必殺技でフランケンはわっしょい。巨大化したフランケンはシュリケンジン覇王で滅殺し、 メンバーが1人ぐらい足りなくても平気で最強必殺技が放てる事が判明してしまうのであった。
 普段から割とアカニンジャー1人で何とかなってしまう傾向がありますが、これだけ力強く、 全員揃っていなくても大して戦闘力が落ちない戦隊も珍しいかもしれません(笑)
 来日の時期があまりに悪く、恐らく本人もどうしてやられたのかわからないまま、夏の勢いで爆死してしまったフランケン (そして手裏剣にもならない)ですが、スピード感のある展開に、次々と繰り出されるロボットのいつもと違うサービスアクション、 と閑話休題バラエティ回としては割と面白かったです。
 ――ところでお父さん、愛娘の好みを完璧に把握している、一つ屋根の下で同居中の年下男子には、 発信器と遠隔操作式の自爆スイッチを取り付けておいた方が良いと思います。
 自爆は最後の武器だ!(かちっ)
 案の定出オチ展開になった西洋妖怪トリオですが、
 前回:凪×霞回。欧米コンビは役立たず。
 今回:風花×旋風回かと思ったら、実質的に凪×旋風回。天晴と霞にも見せ場有り。欧米コンビはネタ要員。
 と来て、予告の様子だと、
 次回:風花×天晴回。欧米コンビはまたもネタ要員の予感。
 で何だかキャラクターの扱いのバランスが悪いので、夏休みスペシャルの終盤は、 夏のバラエティショーだと思って油断していたらメタルダーとゴッドネロスが出会ってしまう的な急展開がオオカミ男編で欧米コンビを待ち受けていたりするのかどうか。 ……まあ特に何事もなく、トリオを倒したら最後に怪物ランドのプリンスが現れる可能性もありますが。

→〔その5へ続く〕

(2018年4月24日)

戻る