■『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想まとめ2■


“暴れて天晴! アカニンジャー!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 感想の、まとめ2(7〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕


手裏剣ライン

◆忍びの7「春のニンジャ祭り!」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
 戦隊40周年という事で、お父さん、ニンジャレッドとハリケンレッドを連れてくる。
 サスケ「人に隠れて悪を斬る――それがニンジャだ」
 「え?」
 鷹介「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ……それが、ニンジャだ」
 「ええっ?!」
 「忍びなれども忍ばない? そんな事言ってるようじゃ、到底本物のニンジャにはなれないぞ」
 「ええーっ?!」
 天晴、いきなりニンジャの信念にダメ出しを受ける。
 ……まあ、これに関して悪いのは天晴ではなく、伊賀崎流の教えだと思うのですが。
 なおここで参考資料として、3人の更に先輩にあたるニンジャの所属した偉大な流派のモットーを引用したいと思います。
 山地学「忍法の奥義は相手を騙しても最後に勝つ事にあるんだ! わかったか!」
 わかったか!
 (改めて、『ジライヤ』、何かおかしい)
 スパーリングでニンニンジャーに実力を見せつけたニンジャレッドとハリケンレッドは、5人にスパルタ訓練。 先輩2人から厳しい評価を下されるメンバーだが、特に天晴は5段階評価の1、「実戦で使えないレベルで今までが奇跡」と告げられる。 それでも全くめげず、より厳しい訓練を科される事に燃える天晴だが、その時、新たな妖怪が出現。
 サスケと鷹介は、ニンジャ失格の烙印を押されるも戦いに向かおうとする天晴を忍術で身動き出来なくすると4人を引き連れて出撃。 だが、その強引とも言える態度にはある理由があった……実は10年前、サスケと鷹介は天晴に出会っていたのだ。
 狐面が時間を操る妖怪ネコマタに“終わりの手裏剣”を入手する為に過去に戻らせ、ネコマタは10年前の世界で次々とニンジャ狩りを決行。 ネコマタと戦うサスケと鷹介の前に、10年後の世界からネコマタを追って天晴がやってくるが、 いつもの調子で突撃を敢行した天晴は無残に大爆死。2人はその運命を変える為に、天晴とネコマタの戦いを阻もうとしていたのである。
 と、どこからともなく先輩2人が現れて何の説明もなく先生役に収まるという前半の強引な成り行きと、 天晴がニンジャとして話の流れと噛み合わない形で表向き下げられる→舎弟達がフォローする→結局天晴ワッショイ、 といういつもの残念パターンかと思わせて、このネタばらしで先輩2人の事情が判明して納得、 というのは今作にしてはトリッキーな構成も合わせてなかなか面白かったです(また今週もがっくりか……からの反動加点含めて(笑))。
 だが先輩2人の努力も虚しく、戒めを破って戦闘に突貫してきた天晴はネコマタを追って10年前の世界へと行ってしまう。 やはり運命は変えられず、天晴は過去で大爆死してしまうのか……終わりの手裏剣を手に入れたネコマタが現在へ戻ってくるが、その時、 ネコマタを背後から蹴り飛ばして天晴も現在へと帰還する!
 大爆死したかと思われた天晴は間一髪、先輩2人すらもあざむく変わり身の術を成功させて攻撃を回避していたのである。
 全体としては毎度ながらの天晴ワッショイ展開ではあるのですが、「スパルタ訓練で習った高度な術が役に立った」 という形でさすがに先輩2人の顔を立てた事により、天晴のパッシブスキル:《本番に強い》LV10が物語の中に収まり、 今作としては許せる範囲。このぐらい、周囲のキャラとバランスを取りつつ、 ここぞという時に用いれば《本番に強い》も決して悪い特徴ではないのですが、普段の使い方のバランスが悪すぎます(^^;
 ここから先輩2人が加わって、5+2の揃い踏みで反撃スタート。過去戦隊が『ゴーカイジャー』 で一度ブラッシュアップされているというのは大きいでしょうが、原典のポイントを抑えて現役組とミックスさせる辺りの見せ方の巧さは、 さすが竹本監督。
 正直、『カクレンジャー』も『ハリケンジャー』も特に思い入れが無いのですが、ここの戦闘の入りからアクションは素直に格好良かったです。 赤3人が目立つ分、支援射撃しかやる事なかった4人の舎弟感がまた増してしまいましたが(^^;
 ネコマタが手に入れてきた“終わりの手裏剣”は間違いで、九衛門はガシャドクロを召喚。 ニンニンジャーはニンジャレッドとハリケンレッドの 大いなる力 技手裏剣を用いてガシャドクロを打ち倒し、 その姿に満足した先輩2人は、ニンジャらしく何も言わずに姿を消すのであった。
 最後は、どこからともかく現れたアカレンジャーが、なんとなく場をまとめて締め。
 ロボット召喚アイテムに変化するにしては48個は多すぎないか……と思われた封印の手裏剣に、 ドーピング忍術を使えるようになるという、新たな種類が登場。いきなり過去ヒーロー2人というカードを切ってしまったので、 今後の扱いがちょっと難しそうですが……これは、ダイナブラック手裏剣とか、期待して、いいのか……!?
 「星川竜、見参! しゃぁぁぁぁぁ!!」
 というわけで春のニンジャ祭りでしたが、スペシャルゲストの見せ場を抑えつつ、天晴を信じ抜こうとする八雲、 前回助けて貰ったお礼をなかなか面と向かって兄に言えない風花、などメンバーの心情も織り交ぜ、 今作にしては比較的バランスの取れたエピソードになりました。
 スペシャルゲストの顔を立てようとして作品のバランスが崩れる、というのはままありますが、 今作に関してはむしろゲスト2人の顔を立てる都合によりかえってバランスが良くなるという効果が発生しており、これをきっかけに、 少しキャラクター描写のバランスが是正されていくと良いなぁ……。
 次回…………あれ、さんざん、「大学とニンジャの両立とか無理じゃね?」と言っておいて、高校生ニンジャネタはやるのか。これ、 次回の展開次第では、「八雲だけが両立できない」という事になりそうですが、それでいいのか。……まあいいか。

◆忍びの8「時をかけるネコマタ!」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
 注目は両サイドの女子高生の肩に手を回して自宅に連れ込む伊賀崎天晴。
 いくら天晴さんでも、やっていい事と悪い事があると思うな……!
 凪も風花の遠い方の肩に手を回していましたが、ニンジャ的には基本スキルなのでしょうか。
 天晴がヒーローなのに夜のバイトとかしていないか、ちょっと心配です。
 4月、凪と風花の高校生活がスタート。凪(風花の一つ下と判明)が転校はわかるとして、半分ぐらいまで、 風花も転校していたというのがわかっていなかった為に、同級生と随分距離があるけど風花友達居ないの??  と困惑してしまいました(^^; 山奥の道場が吹っ飛んで、街中に引っ越してきたという事なのか。
 年頃の乙女として、ニンジャである事と残念な兄の存在について隠そうとする風花だが、 成り行きで同級生2人を家に招く事になってしまう……そして家では風花の恥じらいなど全く知る由もなく、 ニンジャ馬鹿達がかくれんぼの真っ最中であった。
 「伊賀崎さんの家、変な人達がたくさん住んでるんだね……」
 「床の間に、忍タリティとか書いてあるし、ちょっと危ないよね……」
 「近づかない方がいいよね。みんなにもLINEで教えとこ」
 ――このままでは、残り1年の高校生活が暗黒に閉ざされてしまう!
 風花に人生の危機が迫る一方、前回倒した筈のネコマタが復活。素体となった時計に妖力が宿り、 タイマーセットによる再生能力を得たネコマタは九衛門の指示で再び“終わりの手裏剣”を探して伊賀崎家を漁り、 女子高生2人を連れて10年前へ飛んでしまう。
 2人を追って10年前へ飛んだ伊賀崎兄妹は10年前の自分達と出会い、年頃の乙女としてニンジャの将来に悩んでいた風花は、 幼い頃の自分がニンジャになりたかった事を思い出し、振り切れる!
 ……風花はつまり、「ニンジャになりたくない」というよりも、残念な兄を見て育った結果、 「兄みたいになりたくない」という想いが、ちょっとねじれていた、と(笑)
 結局は同じ血統だったという事か、テンションMAXの風花がプチ天晴となっているのは気になりますが、 同級生からニンジャ一族を隠そうとして空回りするドタバタ劇はテンポ良くコミカルに展開し、悪くなかったです。 全体的に馴染んできたというのもあるでしょうが、下山さんはこういうノリのシナリオの方が得意なのだろうなぁ。
 結局“終わりの手裏剣”は伊賀崎の家からは見つからず、ネコマタは中心部の時計を破壊されて再生能力を失った所を成敗バイ。 そしてその戦いを、 雷忍ワイルド ギターニンジャが見つめていた……。
 最後は、同級生にニンジャである事がバレるも「格好いい」と言われた風花が、忍術登校を披露。まあ、 女子高生的には「正体がニンジャ」よりも、「年下の従兄弟と一つ屋根の下」の方がスキャンダルな可能性があるから気を付けろ!
 このラストシーンで吹っ飛ばした事により、“ニンジャと私生活の両立とか面倒くさい事は基本考えない方向で” というのをハッキリ打ち出しましたが、結果として第5話の八雲が、霞ねえに気を遣う俺かっこいー、 と自己満足の悦に浸って上から目線で接しようとしていた事が確定し、ますます残念な存在になりました。 それでいいのか、加藤・クラウド・八雲。……八雲だから、いいか。
 次回、そんな八雲の母親登場? そして再び、魔法VS忍法の異種格闘技戦に新ニンジャまで登場で、盛りだくさん!  今作ここまでの出来を考えるとそんなに盛りだくさんを上手く処理できると思えないけど、果たしてどうなる。

◆忍びの9「忍術vs魔法、大バトル!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 ラストニンジャだけが持つ事を許される、世界を終わらせるほどの力を持つと言われる手裏剣――<終わりの手裏剣>。 ラストニンジャとはまた、その手裏剣の守り人の称号でもあった……と、「ラストニンジャ」という呼称が、 身内のネタでなかった事が判明(笑)
 これまでずっと、業界では伝説の「○○さん」みたいな扱いだと思っていました(^^;
 その<終わりの手裏剣>を求め、ニンニンジャーより早く妖怪を倒す、謎の星頭ニンジャ。そして蠢く牙鬼一味。昔、 伊賀崎家に保管されていた筈の<終わりの手裏剣>はどこへ消えたのか……頭を悩ませる5人と旋風だが、それが、思わぬ所で発見される。
 旋風の姉にして八雲の母、世界的なファッションデザイナー・加藤春風が発表した新作ドレスのアクセサリーとして、 <終わりの手裏剣>が堂々とTVや雑誌に写っていたのである!
 地味に週刊誌の定期購読とかして現代社会の情報を集めているらしい九衛門配下の足軽がこの情報をもたらし、 「<終わりの手裏剣>を手に入れようとしているとか、豪快な目的が気に入った」みたいなノリで蛾眉さんが九衛門に協力すると手裏剣に妖力を込めると共に足軽軍団を強化する。
 おまえ接着剤で角くっつくまでじっとしてろよ、みたいな扱いを受けて前回お休みだった蛾眉さんですが、 今回も角はくっついてませんでした。……蛾眉さん、じっとしてられなさそうだしな!(多分、そういう事ではない)
 あまりに駄目な感じのパワーファイターなので追加戦士の踏み台にされて1クール脱落などが懸念されていた蛾眉さんですが、 出番すら無いのと、やっている事が気に入れば九衛門にも協力してしまうノリなど、段々面白さ(と駄目っぷり)が加速してきたので、 出来ればしばらく生き延びてほしいなぁ(笑) この人ホント、ちょっと倫理観が戦国なのと、ちょっと暴れん坊なだけで、 中身は人の好いおじさん疑惑。
 とんでもない力を持つマジックアイテムだと判明し、当面の物語の中心に来た<終わりの手裏剣>ですが、前回、 九衛門が「あの時まで伊賀崎家にあった筈」と回想した時のカットと、今回、 旋風が実家で<終わりの手裏剣>を見た時の事を思いだした回想のカットが同じで、手抜きではなくきちんとした伏線だとしたら、 狐面の正体(或いは操られている肉体)が伊賀崎家の身内である可能性が濃厚に。お約束としては不在の母親が本命ですが、 さて、伏線なのかどうなのか。
 実家の物は私の物、と正面から持ちかけても話の通じない八雲母から<終わりの手裏剣>を取り戻すべく、 ニンニンジャーは密かに本物と偽物をすり替えてしまおうと、準備中のファッションショー会場へ潜入する。
 女性陣のドレスアップなど交えつつ潜入ミッションというのは、“楽しくニンジャ物”という今作らしさを出す方向で良かったと思います。
 だが、内部へ潜入した5人の前に、魔法の絨毯もとい妖怪イッタンモメンが現れる。 魔術展に出展される筈だった絨毯を素体としたイッタンモメンは強力な魔法を操り、風花をネズミに変え、 凪からは<終わりの手裏剣>の場所をあっさりと聞き出す。霞もネズミ、凪は漬け物石、天晴はソフビ人形、 と次々と姿を変えられてしまい、窮地に陥るアオニンジャー。母親を人質に<終わりの手裏剣>を奪われそうになったその時、 青が合い言葉を口にすると、足軽の1人が突如周囲を薙ぎ払い、春風を救出して<終わりの手裏剣>を回収。それは、 身代わりの術でネズミ魔法を回避した霞の変装であった!
 と、安定の霞ねえ無双。
 まあ、今作ここまでの描写からして、霞があっさりネズミになるのは有り得ないと思いました、ハイ。
 ある意味では、天晴より無敵度高い。
 青は分身の術をフェイクに使って絨毯に魔法をかけ、変身呪文を解除させる事に成功。
 「俺は魔法使いでもニンジャでもない。魔法ニンジャだ!」

 言っちゃった(笑)

 まあいっそ、断言したので清々しいといえば清々しい。
 この分だとその内、霞は科学ニンジャだ! とか言い出すのか。……まあ全員がそこまで突き抜けてくれるなら、 それはそれで有りという気もしてきますが。
 ここから反撃スタートで、名乗りの際に、ショーのステージのモニターにCGが映る、という演出はちょっとメタだけど小技として面白かったです。 で今回、2話で“男の子のプライド”をくすぐられて封印されたかと思われた魔法を、八雲がニンジャ状態でガンガン使ってしまい、 メンバー間のバランスがまた極端に悪くなりましたが、この先、どうするのでしょうか(^^;
 八雲、変化魔法は使えないようですが、質問に強制的に答えさせる魔法、は使えるようですし。 なまじ絨毯の魔法を何でもありに描いてしまった為、八雲がこの先、本当に何でもありになってしまいました。 ……まあ都合に合わせて、忘れたり思い出したりしそうですが。
 イッタンモメンを倒したニンニンジャーだが、そこへ現れた九衛門と手裏剣の奪い合いになった結果、 なんと<終わりの手裏剣>が半分に割れてしまう!
 これはまさかの『ジライヤ』オマージュで、半分に割れたボードならぬ<終わりの手裏剣>の奪い合い?! と思って興奮したのですが、 あっさり、偽物判定が下されました(笑)
 九衛門はイッタンモメンを巨大化して退き、イッタンモメンの魔法で石化してしまうドラゴ丸。その時、 前回ラストと今回冒頭に姿を見せた星頭の金色ニンジャが現れ、オトモ忍・ロデオ丸を召喚。
 「イヤッハー、わりいがここはあっしがいただきやすよ!」

 一人称:あっし

 エレキギターをかきならし英語を喋るメリケンニンジャ、まさかの一人称「あっし」で渡世人口調。……まあ多分、 日本文化勘違い系なのでしょうが、今回、これが一番面白かったです(笑) これはさすがに、予想外もいい所でした。
 ロデオ丸は星ニンジャのかきならすギターに合わせて身軽に飛び回りイッタンモメンを翻弄。 投げ縄で杖を奪い取って戦闘力を失わせると、バイソンバギーと変形合体し、新たなロボ、バイソンキングに。
 「ここからは、ロックなビートで行きやしょう。締めさせて、いただきやす。バイソン・アラクレバスター!」
 ガンマンスタイルのバイソンキングはイッタンモメンを蜂の巣にして、撃破。
 「忍びなれども、パーリナイッ!」
 派手にエレキをかき鳴らしながら、謎の星ニンジャは去って行くのであった……。 そして――すっかりおでん屋のおやじと化している好天を襲う、星ニンジャ。果たしてその目的と正体や如何に――?!
 予告された要素が多すぎて心配していましたが、新ニンジャは今回も顔見世興行で本格的には登場せず、 ロボ戦だけを持っていくという構成にした事で、八雲と母親のエピソードをしっかりと描く事が出来ました。またその上で、 ロデオ丸の活躍に尺を割く都合上、天晴ワッショイぶりが抑えられ、クローズアップすべきキャラクターをきちんとクローズアップした作りに。
 追加戦士はどうしても、出てきた回で何から何まで持っていくという構成になりがちですが、早めの登場を活かして、 見せ場を分割してきた、というのは良いアイデアだったと思います。
 追加戦士の登場タイミングとしては『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013)と似たような早さですが、 『キョウリュウジャー』同様、“最初から6人でバランスを取るつもり”で構成されていたなら、 今後の人間関係の描写には期待したいです。……まあ『キョウリュウジャー』の場合、 話数1桁台の時点で初期メンバーの色分けは既にある程度出来ていましたが(^^;
 特にどこが凄く面白かった、というわけではないのですが、天晴ワッショイが落ち着いてきたら、どうしようもない、 という感じでは無くなって参りました。このまま、50〜60点ぐらいのハードルを淡々と跳び続けていく(そして時につまづく )作品になりそうな気もしないでもないですが、ウェスタン+ヒャッハー+渡世人というお腹壊しそうな取り合わせのスターが、 うまく化学反応を起こしてくれるといいなぁ……。

◆忍びの10「ヒーハー!金色のスターニンジャー」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 好天が謎の襲撃者に襲われて負傷(?)。怒りの天晴は好天に変装して囮になると襲撃者を誘き寄せるが、 おでん屋台へ突然の銃撃を行ってきたのは、ギターを背負った渡り鳥……その正体は、前回ラストでニンニンジャーを助けた、 金色の星頭ニンジャだった!
 という、追加戦士スターニンジャー本格登場編。
 先に好天を襲われたり、屋台に銃撃をされたりしたものの、3方向から囲んで銃撃を浴びせ、死角から仕留めに行く辺り、 ニンニンジャーの忍タリティもだいぶ上昇してきた感じがあります。
 かなり力の入った肉弾戦で、赤を上回る戦闘力を見せる星は、自称・妖怪ハンター、その名をキンジ・タキガワ。 ニンニンジャーが既にメジャー妖怪を何体か封印してしまったのを知ってショックを受けるのは、やや強引でしたらが落差としては面白かったです。
 妖怪反応を感知した星はニンニンジャーをスルーして妖怪ハントへ向かい、呆然と取り残されるニンニンジャーだが、 風花は謎の渡り鳥に、どこか憎めない親近感を覚えるのであった……。

 妖怪ハンター
 +
 アメリカンニンジャ
 ↓
 ウェスタン風味ガンマンシェリフスター
 ↓
 ギターロックンロール
 ↓
 渡り鳥
 ↓
 渡世人あっし

 と、辿ってきた思考経路全てを盛ってみたみたいなスターニンジャーは、 アメリカニンジャだけど顔が純日本人なのも含めて(日系人という設定かもしれませんが) ちょっと盛りすぎで見ていて落ち着きません(^^;
 ロックンローラー辺りで止めて良かったと思うのですが、どうして渡り鳥まで行ってしまったのか。
 …………そういえば、前作『烈車戦隊トッキュウジャー』のザラム(明)が、特に理由の言及なく、ウェスタン調の服装でしたが、 東映の上層部で今、小林旭が熱いのか。2年がかりのネタなのかもしかして。
 そして、当然わかってやっているとは思うのですが、東映で渡り鳥モチーフというと、どうしても伝説のあの人が想起されてしまうわけで、 ますます落ち着きません(笑)
 まあこれは、戦隊が既に3世代を意識して作っていると思うと、そういうネタなのでしょうが。
 ネタといえば、妖怪に襲われた工事現場の人にすがりつかれて冷たくあしらう所で、間違いなく
 「あっしには関わりのねえ事でござんす」
 と言うと思ったら言わなかったのですが、あんな前振りまでしておいてどうして言わなかったのかしら。
 そんなスターだが、自分を盾にして逃げ遅れた子供を救い、その姿に風花は、無茶苦茶ぶりが天晴に似ている、 と親近感を覚えた理由に気付く。そして、意識を取り戻した(寝たふりをやめた?)好天により、 星はアメリから追ってきた刺客というわけではなく、妖怪ハンターにして好天の大ファンという、押しかけ弟子志望であったと判明。
 ……ただでさえ風花がプチ天晴に寄ってしまった所に、また天晴みたいなのが増えてしまいましたが、大丈夫でしょうか(^^;
 希望を持てる材料としては、初めて、同年代で天晴より強いニンジャが出てきた、という所ですが。多少の初登場補正はあるでしょうが、 スターは明らかにアカよりも上位のニンジャとして描写されており、これを受けて天晴にも変化の欲しい所です。
 ……喧嘩と本番に強い、という特徴で上回られてしまうと、天晴、要らないよーなという根幹を揺らす説も浮上しますが。
 6人は見事に妖怪を封印するが(スターが記念に写真を撮ったり、戦闘終了後に足形を取るというネタは面白く、 今後も妖怪ハンター属性は活用してほしい)、好天がお互いの闘争を煽ってガソリンを投下。そして闇の底では、 蛾眉雷蔵が職場復帰しようとしていた……正直今、話の流れが蛾眉さんの方に全く向いていないので、 ドタバタの内に始末されそうな不安が加速度的に募りますが、大丈夫か蛾眉さん!
 今回明かされた情報の範囲では、物語の大筋と特に関わりなく「妖怪ハンターで押しかけ弟子志望」のスターですが、 何故か手裏剣忍法使えて、何故か変身できて、何故かオトモ忍を持っているので、いずれ、その辺りの理由とニンニンジャーが繋がりそう。 ……或いは、この世界のニンジャには当たり前、という可能性もあるけど。
 ところで、伊賀崎→伊賀崎道順、加藤→飛び加藤、百地→百地三太夫、だろうから、キンジ・タキガワは滝川一益 (織田信長に仕えた戦国武将。甲賀出身とされ、忍者説もある)からでしょうか。「松尾」だけずっと悩んでいるのですけど…………て、 あれ、今急に閃いたけど……もしかして……「松尾芭蕉」??(^^; もしそうだったら、色々凄いな……芭蕉ニンジャ説を採るのか (劇中でネタになったりしそう)。

 ――次回、遂に発音にダメ出しされる。

◆忍びの11「シノビマル、カムバーック!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
 激突! クイーンズイングリッシュvsテキサス訛り!!?????
 OPにスターとロデオ参加。映像に手が入るのは通例ですが、だいたい追加戦士が無視されがちなOPナレーションも変化するというのは、 少し珍しいか。
 孫達を倒せば弟子にしてやる、と好天に告げられたキンジは天晴の寝込みを襲って朝から激しくバトルをしたかと思うと、 伊賀崎家の朝食を用意したり、洗濯物を干したり、弟子入りした暁には「坊ちゃん方の世話をするのが当然」と押しかけ家政婦をこなし、 家事スキルの高さも見せつける。
 ……ますます属性を盛りすぎて、得体の知れないキメラ化が進行していきます(^^;
 「いい人なのか危ない人なのか、わかんないね」
 世の中には、危ない善人が居るのですよ風花ちゃん……。
 妖怪ハンター+アメリカンニンジャ+ロックンローラー+渡世人、でどういう自我が確立されているのか謎だったのですが、 師匠になってほしい人をマシンガンで銃撃したり敬愛する人物の家族を刺しに行った直後に笑顔で朝食の案内をしたり……要するに、 この人あれだ、洗濯物を取り込んだ30分後に笑顔で伊賀崎家大爆破したり、3回に1回朝食に猛毒を仕込んだりできる人だ。
 呆れながらもキンジを敵視できない4人に対し、“出来る男”ポジション(脳内設定)が被りそうなんだよッ、 と警戒を強める八雲だが、妖怪エンラエンラとガシャドクロが出現。手分けして対応しようとするニンニンジャーだが、 突然シノビマルが戦場を離脱してしまい、ドラゴ丸とロデオ丸でガシャドクロに挑む事に。
 すかさず青が、先日見せ場を奪われた恨みをロデオ丸にぶつけるなどあったものの、 何とかガシャドクロを撃破するが、キンジにはラストニンジャの末裔でありながら魔法を使う八雲が邪道に見えて仕方ない。一方、 八雲からは妖怪ハント(コレクト)を楽しんでいるように見えるキンジが、不真面目で自分の事しか考えていないように見え、2人は対立。
 なお、魔法は駄目で銃火器はいいのか、という点に関しては、拳銃は概ねニンジャの武器なのでOKです。
 キンジに戦う理由を問われ、
 「伊賀崎の血を引く者の、使命だからだ」
 と八雲が答えるシーンでは、あくまで自分の夢を後回しにしているという思いが感じられ、少し八雲の背景が深まりました。 …………が、八雲の夢は本当に「魔法使いになる事」でいいのか(笑) まあキンジも普通に「魔法」を認識していたので、 この世界では、「大リーガーになる」ぐらいの扱いでいいのかもしれませんが。この辺り、劇中の「魔法」の扱いが不透明な為、 八雲の内面の扱いまでフワフワしてしまっているのは、勿体ない所。もういっそ、雑誌の表紙を飾るぐらい世間的に有名な大魔法使い、 とか出してしまった方がリアリティラインに納得が行く気がします(笑)
 一方、エンラエンラを追っていた霞達は戦場を走り去ったシノビマルを発見し、そこに天晴もやってくる。 霞の謎マシンの翻訳によると、シノビマルは天晴がどう見てもパオン丸を好きすぎて自分の存在を忘れている事や、 ロデオ丸とアクションが被り気味な事から、このまま存在感が希薄になってお払い箱にされてしまうのではないか、 という恐怖から戦闘意欲を失ってしまったのであった……と禁断のネタ(笑)
 そして、UFO丸さんに謝れよ?!
 UFO丸さん、第5話に登場したきり、呼び出してみようかという試みさえないまま完全に存在を黙殺されているのに、 ずっと宇宙空間で待機しているんですよ!!(涙)
 ……うんホント、企画時点で、どうやって本編で出番作るつもりだったのでしょうか、UFO丸。
 初登場以降の出す気の無さが、割り切りすぎて涙が涸れ果てるレベル。
 勿論、そんなUFO丸の事は誰1人思い出さず、シノビマルの説得を天晴に任せてエンラエンラを探す霞達は、 公園で座り込む人々を発見。エンラエンラの能力は、その煙に巻かれた人々の心の中の恐れや怯えを増幅させる事であり、 シノビマルもその能力によって己の存在意義に落ち込んでしまったのだが、更に白と黄も煙の犠牲になって怯えの中に閉じこもってしまう。
 「スターニンジャーのキャラが濃すぎて、どうせ僕なんて、みんなに忘れられそうで、怖いよ……」
 「馬鹿なお兄ちゃんばかりみんな面倒見て、どうせ私なんか、このまま誰にも気にしてもらえない。怖いよ……」
 ……自分達の存在感に悩む白と黄というのは自虐ネタにしてもタチが悪く、 素直に笑えません(^^; 黄色はスターニンジャーとか関係ないしな……!
 その頃、シノビマルを説得しようとする天晴の前には、蛾眉が現れていた。
 「強くなったようだな、赤いの!」
 あー……言ってはいけない台詞を(^^;
 特に劇中で成長が描かれていないのに(敢えて言えば、サスケと鷹介の指導はあったけど)、強敵認定のキャラが唐突に「やるな」 「強くなったな」とか言い出して強さを担保するのは、鉄板の駄目展開です。加えて、実は蛾眉さんが大して強敵描写されていないので、 二重に困った事に。こういう段取りは、もっと丁寧にやってほしい所。
 この後の、赤と蛾眉の一騎打ちは力の入ったアクションで面白かったですが(手裏剣武装も遅ればせながら活躍)。
 一方、ガシャドクロを倒した青と星が霞達に合流するが、白と黄は青の「凪、風花、誰もお前達を忘れたりしないから。恐れるな」 という心ない言葉から、公園の遊具の中に閉じこもってしまう。
 「嘘だ! 嘘くさいフォローなんか聞きたくないよ!」
 そうだね、心こもってないね……。
 青が一計を案じて天岩戸作戦で桃と踊り出し、遊具の中から引っ張り出す、という、 これだけ馬鹿馬鹿しいとまあいいか……という気持ちになるのですが、折角ロックンローラーが居るのだから、EDダンスではなく、 ギターを活用して欲しかった所。あと、ちょっと顔を出した所を投げ飛ばして取り押さえる、のは「心を開く」に該当するのか。
 青「2人とも! 小さい事をいちいち気にするな!」
 白「私には小さい事じゃないの!」
 黄「やっくんにはわかんないよ!」
 青「そん」「そんな事ないです!」
 青「……え?」
 桃「八雲くん、最近ニンジャとしての自分に自信が持てないんです。だから、魔法ばっかり使って」
 ここで、無駄に感動的な音楽からコミカルな音楽に持っていったのは秀逸。
 青「いや、霞ねえ……いや、その」
 金「そうなんでございやすか」
 青「え?」
 白「そうなんだ」
 青「え?!」
 黄「やっくんの不安に比べたら、僕たちなんて」
 青「いや、その、いや、あの……えー……」
 存在感があればいい、というわけでない事を知った風花と凪は、妖怪の能力から回復。 9話以降の開き直った魔法ニンジャぶりを伏線として、こう持ってきたのは面白かったです。
 面白かったけど、八雲頼りというか、霞頼りというか、ギャグになってないメタツッコミまでしてしまった風花と凪を何とかして下さい(^^;
 そこにエンラエンラが現れるが、八雲の悲しい事実を知り、共闘を申し出るスター。
 「先程は、失礼いたしやした。ああいう事情があって、魔法を使っていたんでございやすね。あっしは、なんて心ない事を」
 ……うん、いい人ではあるな(笑)
 青と星の連携攻撃でエンラエンラを撃破し、巨大化した所で、復活したシノビマルとロデオ丸のダブルアクションも良く、 1クール目の一つの山(の前編)という事でか、アクションは充実の出来。特に人間大での戦闘だけでなく、 動けるメカでの巨大戦もしっかり見せたのは、今作らしくなって良かったです。
 2大ロボはダブル必殺技で巨大エンラエンラを粉砕するが、直後、コックピットの中で天晴が倒れてしまう。 蛾眉を倒して駆けつけたと思われた天晴だが、その体は激しい傷を負っていた……次回、蛾眉雷蔵は生き残る事が出来るか?!
 八雲残酷ショーは面白かったのですが(芸風が徹底してきました)、 サブタイトルにもなっていたシノビマルの方からカメラが外れてしまい、いきなり復活してしまったのは残念。まあ次回、 今回描かれなかった場面において、天晴を雷蔵から助けるようなシーンが描かれたりする都合かもしれませんが、 今作のオリジナリティとしては、オトモ忍の方に焦点を合わせた話を見たかった所です。

◆忍びの12「最強決戦!奇跡の合体」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
 見所は、EDダンスで好感度を取りに行くキンジ・タキガワ。
 蛾眉との戦いに敗れた天晴が重傷を負い、八雲達はその穴を埋めるべく、訓練とオトモ忍の解析に励む。一方、 赤との一騎打ちに勝利して満足した蛾眉は約束通りに九衛門に協力し、街で破壊活動を始める……とようやく、明確な悪事を働きました。
 が、これまで様々な妖怪でちまちま恐れを集めてきたのに対し、蛾眉さん単純な物理的破壊で恐れを大幅に集めてしまい、 若干の台無し感。それだけ蛾眉が強いという事なのでしょうが、そもそも蛾眉の“強さ”がしっかり描けていなかった為 (何事も天晴を中心にしてしまう悪い作用で、天晴に匹敵する、という天晴との対比でしか蛾眉の強さが描かれていない)、 どうにも巧く組み上がっていません。
 そして、この展開に向けて狙い澄まして投入されている筈のスターが、全く物語に馴染んでこない。
 妖怪ハンターだから戦国武将には興味が無いと蛾眉さんについては無視、かといって寝込みの天晴や忙しい4人を襲う気はない、 何やら思う所あるらしく「家族」というキーワードにほろっと来て転がされる……と、 「目的」と「優先順位」が時と場合によってバラバラすぎて、結果的に全てが中途半端。
 これはまさしく、スターニンジャー/キンジ・タキガワというキャラクターの造形そのものなのですが、 盛り込んだ要素が多すぎて軸がハッキリしない為に、かえって、その場その場で都合のいい行動ばかりを取ってしまっている。
 今回、キンジ視点におけるエピソードの構造は、「妖怪退治にしか興味が無い」「ラストニンジャの弟子になる為にニンニンジャーと対立関係である」キンジが、 「5人の姿に打たれて共闘する」というものなのですが、この場合、ドラマ性はどこに生じるかというと、 キンジがその“行動指針を曲げる「選択」をする”という所にあります。
 つまり、キンジの行動指針が強固である程、劇的な効果が発生する。
 ところがキンジの行動指針を二つ(「ラストニンジャの弟子になる」「妖怪をハント(コレクト)する」)用意した上で、 その優先順位などを描写していない為に、キンジの行動指針の強固さが物語として非常に不明瞭です。
 勿論、どちらも大事、というのはこの場合矛盾しませんし、キャラクターを単純化すればいいというものではありませんが、 少なくともキンジのキャラクターと、キンジの今回の用い方は、噛み合っていません。
 自らの行動指針を曲げてまでニンニンジャーに協力する所にドラマが生じる筈なのに(少なくともエピソードはそういう構成になっている)、 その行動指針に対する葛藤が描かれず、代わりに行動指針を曲げる理由としてキンジが背負っている「明かされざる背景(家族?の写真)」という、 新たな行動指針が加わってしまい、ますます不明瞭に。
 結果、キンジは複雑化というよりも、ますます分裂してしまい、最終的には前回見せたように「結局、 いい人」という身も蓋もない所に着地してしまっています。
 それを貫くならそれはそれで良いのですが、現状、「結局、いい人だから○○はしない」という逃げ道に使われてしまっており、 キンジは一見物凄く濃いのだけど、実態は“物語を脱線させない為の言い訳で全身を固めている”状態となっており、 設定された行動指針を貫ききれない、いわば、「キンジだからこうする!」ではなく、 「キンジはこういう事はしない」でキャラが構成されてしまっています。
 これはとても良くない。
 で、そのキンジを転がした「家族」というキーワードなのですが…………今作でここまで描かれてきた家族の姿って、 風花を心配する旋風とか、八雲と春風とか、脇に伸びればともかくとして、ことメイン5人に関して言えば 「ガキ大将と舎弟達」「年上ほど優遇されるシンプルかつ冷酷なヒエラルキー」であって、 信頼とか優しさとか表現されていたとは言い難いと思うわけであります。
 付き合いの浅いキンジがその関係性を把握していないのは仕方ないと言えるのですが、
 天晴にとっての妹と従兄弟達=俺の為の前座
 であり、その天晴が「あいつらが待ってる」と言っても、あまり良い話として受け止められません(^^;
 まあ、「ワレ、わしの兄弟分に何さらすんじゃい!」「アニキー!」「アニキー!」という構図だと思えば、 戦隊物のルーツの一つである任侠ものの延長線上には位置しているのですが。
 この辺り、「家族愛」とはどうにも遠い所にある今作で、キンジの背景と繋げて1クール目を「家族」に集約したのは、 凄く明後日の方向にボールを飛ばしてしまった気がします。
 なんかもう今作、家族戦隊は家族戦隊でも、『痛快!天晴一家』みたいな感じで見ればいいのかもしれませんが。……そう考えると、 キンジが渡世人口調である、真の理由が見えない事もなく。
 そんなこんなで復帰した天晴が舎弟共の心意気に応える事で忍タリティーが高まり、4つの手裏剣から新たな技手裏剣が誕生。 それによって放つ超必殺技により、アカは蛾眉を撃破するのであった。
 話の流れはどうにもノれませんでしたが、展開した忍者刀がバリアになって敵の攻撃を防ぎ、その後で合わさった剣で斬撃、 という新必殺技はとても格好良かったです。5色の忍者刀が展開しているので、今後は5人の合体技で放つのか、 それとも天晴のアニキが今後も1人で使うのか。ニュアンスとしては5人の力を合わせているのに、実際は天晴が1人で使うというのが、 とても今作らしい必殺技ですネ(遠い目)。
 アカの必殺剣に敗れた蛾眉は敗北を認め首を取るように告げるが、九衛門によって巨大化されてしまう(肥大の術を受けると、 理性を失う事が判明)。二体のガシャドクロが巨大な剣となり(これもとても格好良かった)、 それを振るう蛾眉に苦戦するシュリケンジンとバイソンキングだが、霞の研究と、新たに手に入れた「合」の手裏剣により、 6体のオトモ忍が合体。神輿の5人の手前にバイク風のスターというかつてなくカオスなコックピットになりながら、 新ロボの圧倒的な力で蛾眉を撃破するのであった。
 牙鬼軍団一番槍・蛾眉雷蔵は、結局、困ったおじさんのまま終了。最後に武士らしい潔さを見せるのですが、 そういうのは、ここまでの物語の中で少しずつ見せるから格好良くなるのであって、 末期の台詞だけで突然キャラクターを立てようとしても空々しくなってしまうだけです。 立ち上げ期間という事で尺を避けなかった部分も大きいかと思いますが、どうにも書き込みの足りないままの退場となりました。
 この人がアカをライバル視していたのって要するに、知能指数が同程度だったのだなぁ……(^^;
 それまでの流れを集約するエピソードで、多少の軌道修正を加えて綺麗にまとめてくるパターンと、 そこまでの積み上げがガタガタだった事が浮き彫りになるパターンとありますが、完全に後者。
 設定上は確かに家族(親族)戦隊なのですけど、あくまで従兄弟にする事で今作独自の距離感を出そうという方向性が見えていたのに、 ろくに描いていない「家族だから」でまとめてしまった為、それならもっと素直に家族要素を描いておけば良かったのでは、という事に。 過去に真っ向勝負の家族戦隊があるだけに、これまた非常に中途半端になってしまいました。
 で、九衛門は爺ちゃんのかつての弟子だったとまたさらっと明かされましたが、あくまで爺ちゃん談なので保留。
 バイソンキングは、爺ちゃんのテキストを元にキンジが自作したと語られましたが……あー……うん、その辺りにはこだわらない、 という宣言なのでしょうが、それならそれで、もう少し面白く使えそうなネタを、どうしていつも投げ捨てるように明かすのか(^^;
 次回登場の新幹部が、声といいデザインといい少し頭脳派寄りっぽいので、雰囲気を変えてくれる事に期待したいです。

→〔その3へ続く〕

(2015年11月11日)
(2017年3月22日 改訂)
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