■『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想まとめ1■
“さぁ行け! 我らニンニンジャー
天下無敵 忍JAPAN!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『手裏剣戦隊ニンニンジャー』
感想の、まとめ1(1〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕
・ 〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕
- ◆忍びの1「俺たちはニンジャだ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
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放浪の旅から帰った主人公・伊賀崎天晴が実家である忍者道場の門をくぐると、突然、弾け飛ぶ実家。
???「馬鹿め! 扉を開ける時は先に《罠感知》をしろとあれほど言ったのを忘れたか!!」
……という、さすがニンジャ! ニンジャ一家怖い!! なる驚愕のオープニングかと思ってドキドキしたのですが、
謎の敵の襲撃でした、残念(おぃ)
天晴は忍者一番刀に手裏剣をはめると、アカニンジャーへと変身し、次々と敵を蹴散らす!
と主題歌をバックに最初から一気に変身アクションに入り、まず活劇で見せてくる、というのは割と好き。
戦国の世を恐怖で支配しようとするも、伊賀崎家の祖先であるニンジャ達によって倒された戦国最強の武将・牙鬼幻月。
「444年後に甦る」という予言の通りに復活した幻月はしかし、天晴の祖父でありラストニンジャの異名を持つ最強のニンジャ、
伊賀崎好天によって封印された……筈だった。
もしかしたら復活のタイミングが間違っていたかもしれない……と天晴の父である旋風に集められた好天の5人の孫達は、
迫り来る脅威の予感と戦うように忍者一番刀を渡されるが、それを拒否。ところが敵幹部が道場から盗み出した小槌の力で、
好天の施した封印が解かれ、本当に幻月が復活。封印の手裏剣が器物と合体した誕生した妖怪が暴れだし、5人はニンニンジャーとして、
忍びなれども忍ばずに、幻月の軍団と戦う事になる!
狐面の敵幹部の声は、潘めぐみ。直前までプリキュアだった人を悪の幹部に据えるとか、凄いキャスティングします東映(笑)
まあ、遡ればボス(稲田徹)も、翌年の『マジレン』で冥府10神やっていましたが。そして今回は、栄えある第1話の怪人、
妖怪カマイタチとして出演。
物をベースに、伝承の妖怪と融合したデザイン、というのはなかなか面白そうで、今後も期待。
今のところメカニズムはわかりませんが、好天が封印に用いた48の手裏剣が、狐面が手にする紫色の手裏剣と小槌の操作で妖怪のコアとなっており、
敵も味方も手裏剣を用いている、というのがキーワードになりそう。
にしても手裏剣のデザインにそこはかとなくベイブレードを思い出します(笑)
戦隊としては宿命の戦士系で、一応「大学生だから」「留学中だから」「修行してないから」「本気で言ってるの?」
という具合に天晴以外は一度は戦いを拒否するのですが、今時っぽい感じを出す為にとりあえず入れてみました、
というぐらいの雰囲気で、あまりその辺りを重くする気はなさそうです(後々使うかもしれないけど、とりあえずは軽い)。
それ自体は全く構わないのですが、ただその、とりあえずが余りにとりあえずに見えて(正直、
1話全体のノリからするとちょっとした拒否も不要だった気がしないでもない)、この先、とりあえず重くしてみた、
という“逆のとりあえず”がいきなりあったりしそうな予感がするというか、リアリティバランスの制御に若干の不安を覚えます……
何となくの勘ですが。
人型の個人メカが、合体後にも物凄いアピールしてくるという、
徹夜明けのテンションで採用してしまったような新機軸の合体ロボなのですが、新機軸すぎてそのフォルムの崩れはどうなのか、
と思ったら、予告見て納得。なるほど、ああ来ますか。……しかし犬はいけそうだけど、ダンプとリニアはいけるのか(^^;
その辺り、どうなるかワクワクはします(笑)
そういう、ワクワクするギミックを目まぐるしく繰り出して、戦隊1話としては非常にスタンダードな造りと出来。
細かい忍者っぽさの盛り込み(ネギと刀をすり替えたり)などは良い感じなので、パイロット版以降も維持してほしい。
キャラクターの色分けには力を入れていますが、1話の段階だと一番面白かったのはお父さんだったのはどうなのだろう(笑)
油断していると父と祖父にがっつり食われると思うので、若者達の健闘に期待したい。天晴は何となく、
翔一くん(『仮面ライダーアギト』)に雰囲気が似ているなぁ。作り手はどう見ても妹推しなのですが
(戦隊としては新しいか?)、さて、上手く行くかどうか。
2話でどう物語の方向性を色づけしてくるか、忍タリティを楽しみに待ちたいと思います。
- ◆忍びの2「ラストニンジャになる!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山建人)
魔法は本当にあったんだ!
……まあ、忍力がある世界らしいので、魔法あってもいいよね、というのは、若干掟破りではありますが、納得はできる範囲。
と同時に、今作の世界観はまずはこのぐらいまで荒唐無稽です、という宣言になっているのは微妙に巧い。
合わせて、“男の子のプライド”をくすぐる事で、魔法抜きで忍法のみで勝ってやる! と持っていって魔法の使用を縛る(今後、
日常の小ネタで使う事はあるかもですが)、というのは良い流れになりました。
「それは……ニンジャで勝負しても、天晴くんには勝てないからですよね」
「じゃあ証明してやる! 俺の忍法は誰にも負けないという事を」
「……まったく。相変わらず子供ですね」
天晴と八雲の間に入った桃は、青いわく「毒舌」というよりも「策士」の類だと思いますが……というか、
ああいう発言をナチュラルな毒舌(本人にその気はないけど本質を的確にえぐっている)
と受け止めていると精神的に凄くきついと思うのですが…………ああそうか、それで青は海外に飛んで魔法に耽溺し、
なるべく、親戚の集まりに顔を出さずに済むような境遇に身を置いていたのか。
生きづらい世の中です。
そして策士は相手に策士だと思われては策士たりえないので、天然な毒舌ぐらいに思わせておくのが、策士の真の策士たる所以です。
ニンジャより怖い。
前回、派手に吹っ飛んでしまった伊賀崎家の忍術道場だが、天晴達は好天が密かに用意していた忍者屋敷に案内される。
そこで改めて旋風から手裏剣忍法について学ぶ事になり、好天の置いていった五行属性の手裏剣を、ただ1人使いこなしてみせる八雲。
「俺の居た魔法学校じゃ、もっと凄い事を学んでいたんだ。手裏剣忍法など、イージーだな」
「八雲。おまえ忍法に対して……いや、爺ちゃんに対して失礼だぞ」
何故そうなる(笑)
「俺はタカにぃとは違って現実主義でな」「妄想するのも、ほどほどにした方がいい」「ニンジャなど所詮、過去のもの」
と、魔法を学んでいる八雲が口にする、というのはなかなか面白い(笑)
留学先で学んだ魔法をちらりと披露し忍法には魅力を感じないとする八雲と、ニンジャもとい爺ちゃん大好きな天晴による、
忍法vs魔法の宗教戦争が勃発。
……てこれ、企画段階で来年の戦隊を忍者で行くか魔法で行くかで会議が紛糾した再現とかではなかろうな(笑)
「ラストニンジャ? 興味ないな」
「おまえ謝れ。爺ちゃんに手ぇ合わせて謝れ!」
……なんだろうこの、
「俺は日常系萌えアニメが好きだからロボットアニメに魅力は感じないな」
と言ったら
「謝れ! 富野由悠季に謝れよ!」
と返されたみたいな。
顔を合わせる度に、年上の従兄弟からこの訳の分からない理屈でニンジャ(爺ちゃん)を布教されれば、
それは留学して魔法の一つや二つも学びたくなるというものです。
生きづらい親戚付き合いです。
たぶん天晴、
「野球選手の方がニンジャより格好いいなぁ」「爺ちゃんに謝れよ!」
「ヘリコプターで空を飛んでみたいなぁ」「忍法で飛べよ! 爺ちゃんに謝れよ!」
みたいな幼少期だったと思われます。
というわけで八雲を描きつつ合わせて天晴のニンジャ(爺ちゃん)崇拝を描いており、実の祖父が伝説のニンジャだから憧れる、
というのはわかるのですが、それなら爺ちゃん黄金伝説はギャグっぽく処理しないで、如何にも憧れるようなものでも良かった気は少し。
天晴の中では混ざって一つなのでしょうが、少々やりすぎて、天晴がニンジャというよりも爺ちゃんが好き、となってしまいました
(それで狙い通りかもしれませんが)。
そこから、どうすれば心がぴょんぴょんできるのか、『ガンダムUC』を許せるか、の激論が展開しようとしたその時、
街に新たな妖怪・カッパが出現。
消火器を素体に、消防士風に処理されたお皿、というカッパのデザインは非常に秀逸。
第1話のカマイタチも三つの頭が意匠に組み込まれていましたが、特に説明なく相撲を始めたり、頭の皿が弱点だっり、
と名称がそのままなのに合わせて、伝承をストレートに盛り込んでいく路線になる模様。
逃げたカッパを追い、「この中で、手裏剣忍法を使いこなせるのは俺だけだからな」と言いつつ魔法で移動する青の背後に、
いつの間にやら桃が追いついている、というのはさりげないヒエラルキー描写。策士に転がされた青はカッパに立ち向かうが、
ダブル氷結光線に追い詰められた所に、駆けつけた赤が火の忍術を発動させる。
「俺、本番に強いタイプだから」
定例の警戒警報ですが、熱血・単細胞&無根拠タイプは一歩間違えると凄く嫌な奴になってしまうので、
その辺りは早めのフォローが欲しいところ。個人的に、主人公属性で全突破するのも馬鹿を全肯定するのも好きではないというのがありますが、
天晴の描写には工夫を期待したい。軽快で派手なアクションは今作の魅力として、せっかくの“忍者”なのだから、
パワープレイ戦隊にはなってほしくないなぁ。
策士の根回しにより宗教戦争は一旦和解し、 2人でプロデューサーになる事を誓う天晴と八雲
まずは忍法で天晴を超えてラストニンジャになる、と宣言する八雲。
赤と青のコンビネーション攻撃でカッパを撃破すると、巨大化したカッパと戦闘。
空飛ぶカッパを追って赤メカがピンチになるもドラゴンがそれを助け、青が神輿に担がれるドラゴン形態に変形。
1話は何事かと思いましたが、この入れ替えギミックはなかなか面白い。
頭部が入れ替わるだけではなく赤メカが左腕に移動しているというのもポイント高く、今後のバリエーションも楽しみです。
リニアが頭部に来る時はドラゴンかダンプが足に来るとかそれぐらいの大胆な組み替えだと面白いけど、
バンダイの科学力はどこまでやってくれるのか。
戦い終わり、策士からニンジャ馬鹿への講評。
「天晴くんって、何も悩まないですよね。それってニンジャとして、一番凄いです。……お馬鹿さんだからかもしれませんけど」
1話のラストでも、昔教わったニンジャの心得として、
「ニンジャたるもの、恐れるべからず、悩むべからず」
「侮るべからず、ですね」
と言っていましたが……悩もうよ!!
陽性は陽性で良いのですが、若干、先行きに不安が漂います(笑)
大体ノリが掴めて、さらっと楽しめる戦隊、としては悪くない印象。後は上述したように、極端なパワープレイ戦隊(人質が居ようが、
かつてない強敵だろうが、基本とにかく正面突破で、愛か勇気か奇跡か正義か主人公力で概ねどうにかなってしまう)
にならない事を祈ります(^^; とりあえず、桃と青が頭脳派要員のようなので、巧く活用してほしい。もう一つ不安なのは、
みんなが頭を使うのに赤がノリで解決してしまう(常にそれが正しいという事になってしまう)パターンですが、
前回ラストが「恐れない」で、今回が「悩まない」だったので、次回が「侮らない」の話になるなら、
赤が判断力を見せる展開になるといいなぁ。
他幾つか気になった事。
伊賀崎家は今のところ母親不在っぽい描写で、これは狐面の肉体が母親、という可能性はありそうか。
お父さんの「忍術できないじゃん」は怪しい。
……まあこの辺り、開き直ってフレキシブルに行く旨が宣言されているそうなので、いかようにでもなりそうですが(笑)
“戦国最強”・牙鬼幻月というキャッチコピーが微妙に弱そうなので、牙鬼様には早い内に1回ぐらい、
「凄い!」という所を見せつけてほしい。
敵幹部は集めた闇で復活させるシステムのようですが、復活前の幹部がOPでシルエットになっているのは良い演出。
悪の幹部好きなので、どのようなキャラが出てくるか楽しみです。
- ◆忍びの3「強敵、蛾眉あらわる!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
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うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん、「テキストばかりに頼って頭でっかちは駄目」というのは良いと思うのですが、
「傾向と対策など実戦では無意味」というのは大間違いだと思います(^^;
立てようよ、傾向と対策!
特に青、現役の魔法学校生(留年確定)の筈なのに、予習とか復習とかしないのか?! ……天才系だから、しないのかもしれませんが。
加えて、「実戦は資格を取るのとはわけが違うんだ」って、テキストだけ大量に読んで資格を取れていない(本番に弱い)ならともかく、
実際に資格を持っているのだから、何かおかしい。ボイラー技士の資格持っているのとボイラーを日常的に動かしているのは確かに違うかもしれませんが、
前提となる知識が有るか無いかもだいぶ違うと思うのですが。
…………もしかして魔法学校って、「魔法とは筋肉!」とか叫びながら、
ひたすら組み手を繰り返して肉体言語で血と汗と筋肉に魔法を染みこませて覚える、実戦流派なのでしょうか。
そんなこんなで、赤がこれといって突っかからないのに、青が突っかかりまくる為に、
前回の今回で青が上から目線で他人の努力を罵倒する凄く嫌な自信家になってしまいました(^^;
目上のライバルを追いかけている最中なので、まず手始めに、目下のライバルを先に蹴落としに行った感じが強い。
で、せっかく資格マニアという設定にしたのだから、最後は大型免許を活かしてトラックを見事に運転して危機を脱出する、
とかにすれば、時には考えない大胆さも必要だけど、持ってて良かった資格! みたいになってせめてものバランスが取れたのですが(^^;
青の思想は青の思想として、それと物語上の正解はまた違う、という事が出来ていない。
(※この後、凪は高校2年生で大型免許はそもそも持てないと判明しましたが、この時点では年齢わからず)。
天晴はなー、
爺ちゃん大好き・ラストニンジャに憧れている・修行の旅に出ていた筈
なのに
忍者としてはかなり低レベル
だけど
忍力が高いので戦闘は強い
と、話が進む程にちぐはぐ。
……もしかして、好天の口にする「忍者」と、天晴の目指す「ニンジャ」って、別のものではなかろうか。
本当は、忍ばないといけないのではないか。
またこれに、長兄属性とガキ大将属性が加わった結果、従弟2人に内心では慕われており自動的にリーダー扱いを受けるが、
自由人なのでメンバーを統率する気とか責任感は全くない、という得体の知れない生命体に。
せめて戦闘力もどっこいなら良かったのですが、結局、なんだかんだで天晴は強いという事にするのなら、
素直に責任感のある長兄的リーダーで良かったような。
どうも、「燃えてきたーーーーー」でキャラ付けしたいようなのですが、諸々の要素が巧く噛み合っておらず、今のところ、
いっそ滑り芸みたいに見えます(^^; ニンジャなのに「燃える」というギャップ狙いありきだとは思いますが、
もう少しキャラクターと物語に要素を馴染ませ連動させてほしい。
で、体術・忍術・ステルス技能、それぞれの振れ幅が大きく、総合的なニンジャの強さというのがよくわからないまま、
そんな天晴にいきなり力技でダメージを受けた為に、初登場の蛾眉さんまで株が落ちるという負の連鎖。
「ヒーローだから」を理由にして事態を解決するのを否定はしませんが、
“未熟なニンジャが忍法を学んでラストニンジャを目指す”というコンセプトに対して、「ヒーローだから」の使い方が、凄く雑。
作品コンセプトに応じた「ヒーローだから」の使い方があるわけで、そこは丁寧に抑えてほしい所です。
妖怪を追いかける時の、赤と黄の水の術の威力の差をさらっと見せていたり、ああいうのは良かったのですけど。
折角そういう事もやっているだけに、勿体ない。
……まあ、蛾眉さん、OPのシルエット数見る限り、1クール保つか保たないかぐらいっぽいですけど。
先行き怪しい蛾眉さんは、割れた般若の面の間に顔が覗いている、というデザインで、幹部クラスはお面軍団になるのか。
それから、狐面は牙鬼さんの小姓であった事が判明。なるほど、男性名と男っぽい着物デザインで声は女、
というのはそういう事かそういう事か。戦国ですから、そういう事か(余計な部分まで納得)。
蛾眉さんが狐を知らなかったのは、伏線になるのかならないのか。
今回の妖怪は、着ぐるみ+ローラーブレードという、無茶ぶり。忍者物という事で生アクションも気合い入っておりますが、
ローラーブレードで後ろ滑りしている着ぐるみにダッシュから飛び蹴り、とか、酷い。
今後も生アクションの充実には期待したいです。
年齢によるヒエラルキーをつけつつ、あくまで従兄弟なので兄妹ほどの強制力を持たない、
というメンバーの基本設定はうまく用いられており、赤と青が張り合って黄はその後をついていく、
という構図も新鮮みがあって面白いので、赤マンセーにしないで巧く転がしてほしいなぁ(^^;
女性陣に関しては、桃は積極的には前に立たず男の子達を生暖かく見守り、白は今のところ薄いけどツッコミかほだしポジション?
まあ、桃がこの性格で女子1人だと余裕ありすぎて嫌な感じになりかねないので、むしろ桃の妹分として
(桃が自動的に姉ポジションになる)クッション効果を発揮しており、存在意味はあるのですが。
次回はそんな女性陣にキャラ回を回す前に、早くも追加メカ登場。合わせて赤にスポットを当ててくれそうな予告だったので、
早いところ赤の好感度が上がる要素が欲しい(一応今回、真っ先に黄色を追いかけたりはしていますが……そして追い越した)。
- ◆忍びの4「でたゾウ! パオンマル」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
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見所は、意外と格好いいパオン丸のMS形態。
天晴が頭一つ抜けて強い、というのは全然構わない(設定としてはむしろ自然)のですが、ならば2話の、
忍術を上手く使えなくて八雲に大きな顔される、というシチュエーション自体が全く要らなかったよなぁ……という。
一応チームワークの大切さに気付きましたが、それにしても、ジョーカーである好天の助けを借りたとはいえ、半ば自力脱出。
外で作戦を立てた八雲達の動きは全くの無駄骨。加えて八雲の作戦は「天晴に似てきた」と言われる始末で、
強引かつ激しいレッド上げ(そしてブルー下げ)。
自力脱出するにしてもせめて、外の4人の攻撃が妖怪に何らかの隙を生んで……とかあればまだ良かったのですが、どうしてこうなった。
脚本家の虚淵玄氏によるとメインライターを務めた『仮面ライダー鎧武』(2014)において、
「主人公を負けさせてはいけない」というオーダーがとにかく厳しかったそうですが、
戦隊も「レッドが失敗をしていはいけない」みたいな内規があるのでしょうか(^^;
パオン丸が出てきてからの勢いとかは面白かったのですが、こういう話が続くと、辛いなぁ。
今回の冷蔵庫ツチグモは、ほぼ何もしていないな……と思ったら、狐が、蛾眉さんを転がす為の踏み台だった模様。蛾眉さんは、
物凄く駄目そうな気配ばかり漂っていますが、ガンバレ。
次回、早くも宇宙忍者!
- ◆忍びの5「宇宙ニンジャUFOマル!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下山健人)
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前回よりは、マシでした。
天晴に次いでお爺さま好き好きオーラを放出していた霞の進路選択に、勢いのギャグだとばかり思っていた「宇宙人と30回交信」
が影響していた、というのは悪くない繋ぎ方。
今回もまた危うく4人棒立ちで赤無双になるかと思われましたが、桃も一応活躍しましたし、
戦闘では青と白・黄にも見せ場が与えられて、一応のバランス取り。
そして前回、“ただの嫌な奴”になってしまった青は、そこから更に加速をつけて、
“可哀想な人”ポジションに。
すぐ上の従兄と従姉が両方とも天然の天才タイプとか、それはイギリスに逃げ出したくもなるわけです。
黄は弟分ポジションとしてニコニコしてやり過ごす道を選んだけど(これはこれで可哀想だけど)、なけなしのプライドが邪魔した結果、
クールな態度を装って天然どもにせめて上から接する、という選択肢が哀れで涙を誘います。
いっけん和気藹々としているけど、予想外に殺伐とした人間関係!!
忍者だから仕方ない。
今回注目の台詞:
◇「忍法と魔法を融合して、新たな忍者となる事が目標」 (加藤・クラウド・八雲)
魔法×忍法=魔忍!
◇「俺が欲しいのは戦の手柄だけだ! すぐ戻ってこい!」 (蛾眉雷蔵)
律儀に待つ蛾眉さん、意外にいい人だ。
◇「とにかくさー、色々、与えすぎだよ。俺の時とは、まっったく違う。幾ら何でも、甘すぎるんじゃないか?」「なーに、
甘いのもここまでじゃ」 (伊賀崎旋風&好天)
財団Bからの初期オーダー、これで達成? 近年の財団Bの傾向だと、1クール中にロボットの第二段階は発動しそうですけど。
ゾウとUFOともう一つ追加で2号ロボとかになるのかしら。
◇「ただ私は、科学者もラストニンジャも、欲しい物は全部取りますので」 (百地霞)
宣戦布告する策士の暗黒面……! (え? 何この子? 俺って人に気遣いできるイケメン、みたいなつもりだったの?)
という内心の声が聞こえてきます……!
◇「もう、あれこれ考えるのは、やめる。忍者たるもの、悩むべからず、だな」 (八雲)
だから、考えようよ!!
UFOは、勢いで月面戦闘までやる辺りは、今作のノリはこうです、という感じで好きです。……逆に宇宙まで行ってしまったせいで、
今後UFO丸の出番があるのかが心配ですが(笑) 桃回でUFO喜んでいるのだから桃が真ん中に乗らないのは特色を活かさず勿体ないなぁと思ったのですが、
つまりあれは、桃は真ん中に乗りたくないという事か(笑)
神輿に担がれてハッスルするのは、馬鹿(天晴)と残念(八雲)
に任せておこうと。
むしろ自分から担がれに行ってしまった八雲、果てしなく可哀想な男。
気になる要素としては、今回、霞の私生活を描いてしまったので、天晴(99%無職)はともかく、風花と凪はどうなのか、
という所ですが、今作の傾向からすると、すっぱり気にしなそうかなぁ(^^; ネタ的に女子高生忍者はやるかもですが。
次回、『仮面ライダードライブ』コラボ回。昨年の『トッキュウジャー』×『鎧武』コラボ回は奇跡的な出来の良さ
(強引な映画宣伝ネタ除く)でしたが、さて、どうなりますか。『ニンニンジャー』的には本来は風花回までやってからの予定がズレたのかと思われますが、
戦隊40周年記念エピソードがあるという話も事前に出ていたし、放映スケジュールの都合で、このまま吹っ飛ばされないかどうか、ちょっと心配(^^;
そして、『ドライブ』が2クール分ぐらい溜まっている。
- ◆『手裏剣戦隊ニンニンジャー』×『仮面ライダードライブ』春休み合体SP◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:三条陸)
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※リアルタイムでは11話の後に視聴
というわけでUFO丸の活躍をこの目で確かめるべく、『ドライブ』がずっと溜まっているけどコラボスペシャル見ました!
UFO丸来たぁぁぁぁぁ!!
て、普通に大気圏内で空中戦闘出来るのではないですか(笑) しかもそのまま合体し、
九衛門が巨大化したロイミュードを撃破するという大・活・躍。……と思ったら、
消えたぁぁぁぁぁ?!
で、最後に
戻ってきたぁぁぁ!!(歓喜)
少し本気で、この合体SPで歴史から存在が消滅して、本編に二度と出てこない事になっているのではないか、
とドキドキしてしまいました(笑) 良かった、良かったよUFO丸……本編では歴史から消滅しているも同然だけど、
八雲みたいに逞しく生きろ……!
で、今回のUFO丸を見てわかった事は、飛行能力=ドラゴ丸と被る、射撃系必殺技=バイソンキングと被る、という、
絶望的状況……!
もはやショッカーに魂を売り渡すしかないのか。
本編に絡む要素で気になる所というと、九衛門いわく「存在の古いものから消えていく」によりUFO丸が一番最初に消滅し、
その後で爺ちゃんが消え、天晴が「UFO丸が一番最初のオトモ忍」と口にしているのですが……
爺ちゃんが宇宙人に貰ったUFO丸を元に他のオトモ忍を作ったというのは、本気設定なのか……?!
脚本が『ドライブ』の三条さんという事で、基本、貰った設定を元に書いたのでしょうが(監督は中澤さんですし、
『ニンニンジャー』サイドのチェックは当然あるでしょうが)、思わぬ所で思わぬ背景が確定してしまったような(^^;
前年は、『トッキュウジャー』と『鎧武』の設定を巧く組み合わせ、両者の世界観を融合させつつテーマを絡めていたコラボSPですが、
今回はニンニンジャーとドライブは互いの存在と、重加速現象や妖怪についてそれぞれ全く知らない、という状況で展開し、
実はとある実験の影響でニンニンジャー達が『ドライブ』世界へ時空移動していたのだ、と判明。
前年が『トッキュウジャー』の特殊な設定を活かした事でコラボの物語が綺麗に繋がりすぎ、
劇場版の宣伝要素が120%蛇足になっているという、単独で見れば成功だけど宣伝としてはどうなのかという難しい事態になっていたのに対し、
お互いの出会いの根本に劇場版の要素が関わって強引に悪魔合体していましたという、ある意味では真っ当なコラボらしいコラボで、
劇場版のメインディッシュである仮面ライダー3号も早い内に登場。
……まあ、どうして3号がマッハさんを一方的に殴り飛ばして、一方的に飽きたから帰ったのかは、さっぱりわからないんですが(笑)
基本的に、この強引な悪魔合体は悪魔の組織ショッカーの陰謀だったんだよ!
という荒削りな話で後半になるにつれて面白くなくなっていくのですが、普通といえば普通。去年はちょっと奇跡の出来すぎましたし(^^;
その存在がこの世界に悪影響を与える、と警察に追われる事になるニンニンジャー。鍵を握る銀髪のロイミュードを追おうとする進ノ介だが、
上司どころかベルトさんからも、ニンニンジャーの逮捕を優先するべきだと言われ、刑事として仮面ライダーとしてどうあるべきかを悩む。
そして――熱暴走し続ける天晴に対して奇妙な友情を感じていた進ノ介は、
刑事であるよりも仮面ライダーであるよりも「人間として」彼等を救いたいと決断し、手帳とベルトさんを捨てて天晴と逃亡する!
『ニンニンジャー』の方がテーマもへったくれもないので(消えかかるお父さんを心配して家族愛を描くのが精一杯)、
語り部分は『ドライブ』が担当。ここはヒーロー物の持つ普遍的なテーマ性が綺麗に収まり、
過去に『仮面ライダーW』で「仮面ライダー」の再組み立てを描いた三条さんらしい流れ。
その分のバランス取りでか、進ノ介が終始、天晴に振り回されて影響を受けまくり、
『ドライブ』視聴者からするとこれはどうだったのだろうか、と気になる所でありますが、恐るべきは、
天晴ワッショイ時空の浸蝕作用……!
鳴○「おのれアッパレェェェ!!」
とはいうものの、今回、進ノ介とがっちり絡んで対比される事や、メンバーを励ましたり先導したりと“リーダーらしい”行動を見せる事で、
天晴の嫌な感じは本編よりも減じています。
天晴の主な問題点は「リーダーらしい要素がほとんど描かれないのに、無条件にリーダー扱いを受ける上に、
強さのバランスが悪い」所にあるわけですが、三条さんが「え? こいつがリーダーですよね?」と素直に書いてしまった所、
非常に立ち位置が落ち着いてしまった感(笑) というか改めて、天晴は素直にリーダータイプの造形で良かった気がしてなりません(^^;
霧子の協力を得て、銀髪のロイミュードの男と瓜二つな謎の人物ディー博士の研究所へ辿り着いた進ノ介達は、
そこでマッハの中身と合流。劇中最大の謎は、ここで出てくるショッカー集合記念写真。誰がどうして撮影したんだ……?!(笑)
ショッカー戦闘員の卒業式だったのか。
集まった情報から進ノ介の脳細胞がフルスロットルし、事件の黒幕ショッカーに辿り着くと、全員揃ってのクライマックスバトル。
妖怪とロイミュードとショッカーの力を併せ持つ妖怪ディー博士ミュードを倒した事で、時空の歪みが修復され、
天晴達は元の世界に戻って大団円…………? で最後にミッチーが出てきて劇場版への前振り。
恐らくスケジュールの問題でしょうが、『ニンニンジャー』×『ドライブ』コラボというよりは、天晴×進ノ介コラボ、
とでもいうような内容。天晴以外の4人は『ドライブ』組と一緒のシーンがほとんど無く(逆もまたしかり)、
進ノ介と絡むシーンも大体変身しているなど、互いにかなりカツカツの中を何とか切り抜けた感じが画面から溢れており、
コラボとしてはそこは物足りなかった所。爺ちゃんと課長のシーンを作って誤魔化しましたが、折角ならもう少し、
役者同士の絡みが見たかったです。とはいえ基本的に無理が目立つ企画なので(両作品の話数のズレ的にも)、
2年続けて難しい仕事を割り振られた中澤監督はじめ、スタッフの皆様はお疲れ様でした。
ところで進ノ介は、「俺は頭が固くて考えすぎ」みたいな自己申告していた割に、冒頭、
問答無用で背後からニンニンジャーを射撃していましたが、ベルトか、ベルトさんが悪いのか……?!
そのベルトは、「ニンジャとか逮捕するべき」から「進ノ介を信じるべきだった」と助けに来た際の第一声が、
「ふふふ」(格好つけた感じで)だったので、とことん人格に問題を感じます。
『ドライブ』も録画は継続しているので、その内再起動したいですハイ。
- ◆忍びの6「テングの神隠し」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下山健人)
-
アカニンジャーとの再戦を求める蛾眉は独自に妖怪テングを生み出し、ニンニンジャーと戦闘。
ニンジャ中間試験の追試中で天晴不在の4人は蛾眉に叩きのめされ、決闘の人質として風花がさらわれてしまう。
天晴は決闘の場所に走るが、力は無くても娘を助けようとする旋風は好天に金縛りを受けてしまう。天晴を止める好天の前には、
“終わりの手裏剣”を求めて九兵衛が姿を現し、好天は「牙鬼を“封印できなかった”のではなく、“封印しなかった”のだ」と、
意味ありげな言葉を告げる……。
風花がさらわれた事で激しく動揺する父の心情&祖父との葛藤を描いたのは良かったのですが、天晴の方はここまでの描写を見る限り、
誰がさらわれても(それこそ身内でなくても)反応が一緒だろうし、風花と天晴の絡みや、
さらわれた風花の方でドラマが生じるわけでもなく、天晴の方に“風花がさらわれてこそ”という意味が生まれなかった為、もう一つ、
詰め不足。
逆に、天晴の、(恐らく)誰がさらわれてもその為に必死で猪突猛進、というのは、描き方次第で凄く、
天晴の好感度を上げられる要素なのに、むしろ負の面としてばかり描いてしまって、非常に勿体ない。
どうにも、“ヒーローだから”“主人公だから”というのが作り手の側で前提条件になりすぎていて、
劇中において“ヒーローらしさ”“主人公らしさ”を描く、というのがすっぽり抜け落ちていて厳しい。
出来ればこちらとしても天晴を前向きに見たいのですが、そのとっかかりがなかなか見つけられません(^^;
一方、中間試験を前に
青「やばいな。俺まったく復習してこなかったな」
黄「居るよねそういう人」
白「ぜぇったい復習ばっちりなんだろうなー」
嫌な奴→可哀想な子→痛い子
と、自ら奈落の底へ五体投地ダイブしていく、加藤・クラウド・八雲、19歳。
ツッコミが年下組からで、年上組から完スルーなのがまた絶望的に痛い。1人だけ椅子に座っているのも、
そろそろ心が空っぽになりそうなほど痛い。
今回この後、天晴の説得役(霞は人を操るのは好きだけど、人を説得するのは面倒くさいっぽい)として株を上げに来ますが、
上がる好感度よりも遙かにネタで下げすぎなので、八雲はもう少しバランス取った方が良い気がします(^^;
全体的に、ちょっとした好感度上げや特徴付けなどが出来ていない為、黄と白は未だ無味無臭
(黄色に至っては折角の特徴を最初のメイン回で放り捨てた)だったりするので、どちらがいいのか悩ましいですが。
単独で先行したアカは閉鎖空間での蛾眉との一騎打ちで追い詰められるが、4人が外でテングを倒して神隠し空間を解除し、救出。
あくまで1人で立ち向かおうとする天晴に、八雲はチームワークの大切さを解く。
「俺たち1人ずつではまだ力が足りない。でも5人の力を合わせれば、あいつを倒せる。1人で背負い込むな!」
「そっか……そうだった。お前達はがんもや大根。――俺は卵だ!」
おでん回を叩き台にして、今度こそ4人が外部からアカを助け、改めてチームワークの大切さを身に染みて理解する、
という2段構えだった構成自体は悪くないのですが、叩き台が叩き台だった為に、
「そっか……そうだった。お前達は俺を引き立てる前菜。――俺はメインディッシュだ!」
と聞こえるのがにんともかんとも(^^;
“1人だけ抜けた強さを持っている天晴が戦いを背負いがちだけど、4人がサポートして力を合わせて戦えばチームとして強敵にも打ち勝てる”
と話は組みたかったのでしょうが、
“戦闘力だけに特化した天晴がいい気になって暴走するのを格下扱いの4人が必死に止める”
という構図にしかなっていないのも、にんともかんとも。
これホント、天晴は強くて責任感のある(但しちょっと抜けてて独りよがりな)リーダータイプで良かったと思うのですが、
どうしてリーダー要素を抜いてしまったのだろう(^^; そして、抜いたにも関わらず、
周囲からはリーダー扱いされるという作劇なのだろう。
どう見ても天晴は自発的に何かを背負っているわけではなく、ただ1人で突撃しているだけなのですが、
そんな天晴の行動を八雲が何故かやたら好意的に拡大解釈しており、作り手が本気でそういう描写をしているつもりだったら、凄く、
困るなぁ……(^^;
あと、“悪い事をしている強大な敵を力を合わせて倒す”というのは戦隊の基本構造ではあるわけですが、
蛾眉さんが劇中で悪い事をしている描写がここまで特に無い為、“一騎打ちにこだわる相手を5人で袋叩きにしている”
という絵が無駄に強調されてしまい、微妙にスッキリしない感じになってしまいました(笑)
“ヒーローらしさ”“主人公らしさ”と同様に、“悪役らしさ”も劇中で描いてこそ物語の中に理由が生まれるわけで、
どうもその辺りの不足(心配りの足りなさ)が目立ちます。
というか、人質(風花)は即座に返すし、前回の路上放置プレイへの恨み言は一切言わないし、蛾眉さん、物凄くいい人。
……この人ホント、ちょっと現代人と倫理観が違うだけで、根は人の好いただのおっさんではないのか。中身、
うっ○ーだったらどうしよう。
ニンニンジャーは連携攻撃で蛾眉の角を折ると、狐に連れられて蛾眉は強制撤退。巨大テングはパオン丸で倒して、
新たな封印の手裏剣を手に入れるのであった。次回――赤いニンジャが盛りだくさん。
→〔その2へ続く〕
(2015年11月11日)
(2017年3月22日 改訂)
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