■『魔法戦隊マジレンジャー』感想まとめ6■


“MAKE A LEGEND 激しくマジボルト!
BE LEGEND 撃てよジー・ゴル・マジボルト!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『魔法戦隊マジレンジャー』 感想の、まとめ6(36〜42話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆Stage.36「神罰執行〜マージ・ゴル・ゴジカ〜」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:前川淳)
 OPがマイナーチェンジで冥府10神が入ったりしているのに、何故かウル皇帝が健在なのは、悪質な嫌がらせとかでしょーか (玩具が出ていたので、外せなかった模様)。
 「冥府の神々、破壊の限り尽くすとも、地上の民、決して歯向かう事許されず」
 マジトピアに伝わる、悪しき冥府神の伝承を引き、小津兄妹に戦いを禁じるヒカル先生。
 「僕が戦う。地上の民でない、天空聖者の僕なら戦える!」
 「たったひとりで?!」
 「マジトピアの言い伝えは絶対なんだ!」
 地底では、ワイバーンによる「一番の食いしん坊」とか、「一番頼りになる」とか、割と雑な神様紹介。これにより、10神が更に、 2極神/3賢神/5武神、に分けられている事が判明。
 最も偉いのは2極神のスレイプニルとドレイクだが、実質リーダーは3賢神の一柱ダゴン。 上の二人は……仕事しないのか。
 従来の(一応)強力幹部キャラだったバンキュリア(ナイとメア)を、ちまちまと飛び回らせる事で、 10神の桁外れの力を示しているのは、前回に引き続き巧いところ。
 裁きの石版によるルーレットで指名されたイフリート(CV:稲田徹)が、神罰の執行役として地上に出現。 トラベリオンを一撃で粉砕すると人間大に小型化し、マジシャインを子供扱い。そこへマジレンジャーが駆けつけるが、 シャインは母親を救おうといつにも増して前のめりな5人の動きを封じる。それには、ヒカル先生が口にしていない、 ある秘密があった――。
 「もし、神々に刃向けることあれば、地上のみならず、天空までもが滅ぶなり」
 マジトピアの伝承には、地上の民が冥府神に歯向かう事があれば、地上のみならず天空聖界まで滅びしてしまうだろうという、 続きがあったのだ。やたらマジトピアの言い伝えに詳しいイフリートは、神罰執行のタイムリミットを設定して一旦帰宅。小津家では、 マジトピアの言い伝えを守ろうとするヒカル先生と母大事で加熱気味の兄妹の間に軋轢が生じる。
 「マジトピアがどうなってもいいというのか?!」
 「あんたこそ、母さんがどうなってもいいっていうんだな?! 家族じゃないからそんな事言えるんだ!」
 かたや“古い言い伝え”で、かたや“水晶玉の映像からの思い込み”なので、凄く、不毛な争いです。 ここでさらっとさばけずに魁を殴ってしまう辺りに、想像を超える敵の出現に対するヒカル先生の動揺が窺えるわけではありますが。 先生はマイペースにアップルパイを焼いてきた麗にもあたってしまい、芳香の勧めで半ば強引にアップルパイを食べさせられる。
 「なんて優しい甘さなんだ……」
 「それ、お母さんのアップルパイなんだ」
 かつて何度も小津家の兄弟喧嘩を収めてきた、母のアップルパイ。その 隠し味である沈静的薬物 優しい甘さにヒカル先生は落ち着きを取り戻し、小津家の絆を改めて知ると、麗に謝罪する。
 「そしてわかった事がある。やはり深雪さんは、君たちの手で助け出すべきだ。マジトピアの言い伝えは絶対かもしれない。でも、 だからといって諦めちゃいけないんだ。ブレイジェルも言ったように、可能性は自分で作るものなんだから」
 ここでお父さんのインフェルシア皆殺し宣言を絡めて繋げたのは、良かった所。
 「忘れてたよ、君たちがブレイジェルの子供達だって事を。そして僕がブレイジェルの弟子だって事も。よし、 みんなで一緒に戦おう!」
 先生、吹っ切れる。
 ……というか、母のアップルパイに込められた呪力による、間接的洗脳?!
 地上に再臨し、巨大火の玉で神罰を執行しようとするイフリートの前に、立ちはだかる6人。
 「運命は僕たちが切り拓く!」
 全ての攻撃を一睨みで蒸発させるイフリートにはレジェンドパワーも通用せず追い込まれる6人だったが、 ブルーに新魔法の水流波がDLされ、その蒸発により発生した水蒸気に紛れたシャインが零距離射撃を炸裂させる。 巨大化したイフリートは、トラベリオンピストンパンチを受けながらも、マジレジェンドのファイヤートルネードを無効化するが、 ここで自ら戦いに設定したタイムリミットが来てしまう。
 極めて強大な力を持つ冥府10神だったが、闇の戒律により、自ら定めたルールを守らなくてはならない。 俺ルールの達成に失敗したイフリートはダゴンの裁きを受け、「母親を助けたければ茨の園を司る冥府神を倒せ」と言い残して、死亡。
 強面の割に、親切に色々と教えてくれる神様でした。
 冥府10神との初戦は、相手が自分ルールで爆死、という結末に。 いきなり「勇気で殴り勝ち」という今作の鉄板駄目パターンにしなかったのは良かったですが、 今後も「ルールに対する勝利」路線で行くなら、今後のシナリオ(ルール設定)の凝り方に期待したい所です。 ダイヤルも二つほど余っているし、レジェンドのパワーアップ展開もどこかで入るのでしょうが。
 「闇の戒律は厳守しなくてはならない。さもなくば冥獣帝が転生しない。ン・マが絶対神として降誕する事こそ、我らが願い」
 冥府10神の究極の目的がン・マの転生であるらしい事が明かされつつ、いよいよ物語は終盤戦、神々との戦いへ。
 それにしても今回の成り行きで新魔法がDLされるという事は、やはり魔法配給システムは、 もはやマジトピアの管理を離れた摂理と化しているのか。或いは、「ハーフだからいいんじゃない?」という解釈なのか。

◆Stage.37「狙い撃ち〜ゴル・マージ〜」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁)
 誰にしようか、誰にしようか、サイクロプス、君に決めた!
 という事で、新たな神罰担当として、冷静沈着な狙撃の名手・サイクロプス(CV:置鮎龍太郎)、出陣。
 前回、闇の戒律の厳正さを見せた一方で、なんかもー面倒くさいから戦いたいという人、 ン・マとか甦らなくてもいいんじゃないかという人など、冥府10神それぞれの思惑の違いが入ってきたのは面白い。
 その頃、蒔人と翼は2人でボクシング観戦に出かけていた。久々のボクシングの試合に盛り上がり、 インフェルシアとの戦いが終わったらリングに復帰してみせる、と拳を握る翼。
 「おまえの夢は世界チャンピオンなんだもんな」
 「ああ。……そういえば、兄貴の夢って聞いた事無かったな」
 しいて言えば弟妹達の面倒を見る事が夢かな、と微妙な表情になる兄者は、外国人観光客の質問に流暢な英語で答え、 「なに?!」と翼を驚愕させる。
 俺の、インテリポジションが……!!
 翼、昔、英語の呪文書をすらすら読んでいた記憶があるのですが、あれは何か魔法の作用だったのか。
 実は兄者は昔、より先進的な農業を学んでブラジルに大アニキ農場を作りたいと、留学を考えていた事があったのだった。 だがそれよりも長男としての責任の方が大事だ、と言う蒔人に納得行かない表情になる翼だったが、その時、 地上にサイクロプスが降臨する。
 わざわざスナイパーライフルに弾丸を込めた上で手近のビルを撃つサイクロプスに切りかかるマジキングだが、勿論敗北。 余裕綽々のサイクロプスはマジレンジャーに、日没まで狙撃から逃げ切れれば5人の勝ち、というゲームを持ちかける。
 勿論、前のめりなマジレンジャーはルール無用でサイクロプスに突撃するがあしらわれ、煙幕を張って姿を消すサイクロプス。 まあここは、直接戦闘の実力差を見せておかないと逃げ回るゲームが盛り上がらないので、一旦突撃してみせるのはやむを得ない所。 ゲームのルールが大枠で前回と変わらないのは、もう一ひねり欲しかったですが。
 一方その頃、マルデヨーナ世界でスモーキーと訓練していたマジシャインは、ケンカ大好きな冥府10神ドレイク(CV:矢尾一樹) に絡まれて戦闘に。トラベリオンで立ち向かうが火炎放射が通用せず、直接戦闘でも、完敗を喫してしまう。
 最近、立場の無くなりつつあったヒカル先生、相手が悪すぎたとはいえ、遂に完封負け。 1人でこっそり訓練しているのはとても良かったのですが、果たして、教師としての威厳を取り戻せる日は来るのか。それが無いと、 単なる変態だ!
 地上の5人は、姿を消したサイクロプスの見えない狙撃に魁が負傷し、追い詰められていた。サイクロプスの狙撃位置を探る為、 一か八か囮になろうとする翼を止める蒔人。すぐに「長男だ」「責任だ」と持ち出すのは、 それを言い訳にして何でも諦めているからではないか、と反抗する翼に、蒔人は2年前の出来事を持ち出す。
 それは母と蒔人が数日家を空けたある時……帰宅した兄者が目にしたのは、大けがをして救急車で運ばれる魁の姿だった。
 熊が! 魁を! 襲ったのだ!

 なぜ熊

 ……動物園から脱け出した熊だそうなのですが、他に、何かなかったのか(^^; 人間の強盗などだと生々しくなりすぎるので、 敢えて突飛に熊になったのかもしれませんが、突飛すぎて、目が点になってしまいました。
 「俺が居ない時は次男のおまえが長男だって、あれほど言っただろうが!」と、タイミング悪く朝帰りした翼(ちょっと不良ポーズ) を責めた兄者はその時から、より深く、父親不在の一家において、長男の責任を感じる事になったのだった。
 「今考えれば、おまえを責めるのは筋違いだったと思う」
 そうだね、だしね……たぶん、流星パンチで倒せないし。
 結局、蒔人が夢を諦めたのは自分のせいなのか……この局面でもしかして念の入った嫌味を言われているのだろうか…… 悩む翼だったがその時、5人が潜んでいた倉庫の中に煙幕弾が撃ち込まれる。
 「おまえの成長した姿を見せてくれ。後は任せたぞ、翼」
 レジェンド変身した兄者は罠だとわかって敢えて外に飛び出し、迫り来る狙撃。だがその凶弾が心臓を貫く寸前、 兄者は大地の硬化魔法を発動し、スーパーアーマーによって弾丸を弾き返す! ……展開としては盛り上がり所なのですが、これ、 どうして予告で見せてしまったのか(^^;
 そのまま無敵状態でサイクロプスの狙撃を受け続け、4人が逃げる時間を稼ぐと同時にサイクロプスの居場所を探ろうとする緑。 だが、クールダウン機能の発動したサイクロプスは狙撃を乱射からピンポイント射撃に切り替えると、同じ一点への連続精密射撃により、 緑のアーマーを撃ち貫く。サイクロプスの隠れ場所を発見して攻撃を仕掛けるも一瞬遅く、狙撃を受けて倒れるマジグリーン。
 「あにきぃぃぃぃぃ!!」
 変なエフェクトで消滅したので、どうやら即死ではなく何らかの魔法的効果のようですが、兄者、リタイア。
 2人の年長者が倒れるという最大級のピンチを、果たしてマジレンジャーは逆転できるのか。 先生が倒れた事はスモーキーしか知らないけど!
 出落ち展開に定評のある今作ですが、冥府10神の二番手は続けて1エピソードで簡単に片付けない事により、 これまでとは桁違いの敵である、という事を改めて強調でき、非常に良かったと思います。1回大ピンチを煽っておく事で、 今後の展開にも幅が出来ました。ただ、物語の要素も完全に引いてしまった為、 翼と兄者のもやもやがそのまま残るという構造になってしまいましたが(^^;

◆Stage.38「アニキとの約束〜ゴー・マジーロ〜」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁)
 兄者が脱落し、サイクロプスの狙撃から逃亡する4人。
 (アニキは俺に、後は任せると言ったんだ。アニキが居ない時は、次男の俺が長男なんだ……俺が、俺がみんなを守らないと)
 銃声と荒い息に合わせて、カメラが翼をズームしていく、というのは良かった。
 遮蔽物の多い森の中に隠れる4人だったが、サイクロプスの銃撃により次々と樹木が消滅し、魔法で姿を消すも、 赤外線センサーによる射撃で、芳香がリタイア。更に、負傷の魁をかばった麗もリタイアしてしまう。
 一方、ドレイクのエネルギー波を受けて四散したかと思われたマジシャインだが、まさかのキャストオフ。 装甲を脱いで天空聖者体になって突撃するという裏技「プロミネンスアタック」を直撃させるが、それでもドレイクを倒す事ができない。 逆にドレイクの更に強力な攻撃を食らいそうになったその時、闇の戒律を守る為、スフィンクスがドレイクを止めに現れる。
 頭脳派ポジションのスフィンクスは、バズーカ装備が、なかなか格好いい。
 目の前で始まる内輪もめ(というか凄いナチュラルに、立ち位置でかばわれてるよ僕……?)に困る先生だが、ドレイクは引き下がる。 そしてわざわざ人間の姿になって何かをアピールした先生は、スフィンクスの口から冥府10神が絶対神ン・マの復活を目論んでいる事を知るのだった……。
 「プロミネンスアタック」は面白かったのですが、これ以上の切り札が無さそうなので、 引き続きヒカル先生もといマジシャインの立場が心配です。
 地上では、芳香に続いて麗が脱落した事で、重圧と失態から翼が恐慌状態に陥っていた。
 「俺は……アニキに頼まれたんだ……おまえを……みんなを……守ってくれって……それなのに……芳ねえも………… 麗ねえもやられちまった。俺がしっかりしなかったばっかりに、みんなやられちまったんだぁぁ」
 俺が索敵を怠ったばかりに、トムが、ジョニーが、マックがぁぁぁぁぁ、みたいな。
 「ちい兄が悪いわけじゃないだろ」
 「俺が悪いんだ……格好つけて、クールぶってたって、目の前の兄弟すら救えねぇ。俺は……無責任で、駄目な奴なんだよ!」

 認めた(笑)

 何があれって、翼のクールさが物語で活きた事がほとんど無いので、恐慌状態による自虐を越えて、 ホントにクール分要らなかったよね……というあまり笑いに転化できないメタツッコミになっていて困ります。
 まあ前年に「Supercool(笑)でPerfect(笑)」な人が居たので、クール系キャラの扱いそのものがちょっと難しかったかとは思いますが、 多少被ってもせめてクール+ツッコミにしておけば良かったのになぁ、とは思うところ。
 「あーもう、イライラするな! 見ろよ、情けないツラしてるぜ!」
 魁、錬成魔法で壁に鏡を作り、翼の顔を押しつける、鬼畜プレイ。
 「ちい兄はちい兄だ。蒔人兄ちゃんの真似なんか、出来るわけないだろ」
 「俺は……俺……」
 「ああ。ちい兄は、ちい兄らしく、やればいいんだよ」
 「……まったく、すっかり生意気な事言うようになったよな」
 うーん……40話近くなって、前後編で引っ張っておいて、着地点が「俺は俺」というのは少々残念な所。あと、 大抵の状況において魁の行動がポジティブに描かれてしまう今作において、折角の上の兄2人の話が、魁の言葉から解決、 というのもあまり好ましく感じませんでした。
 上の兄から託された重圧を、下の弟の言葉で吹っ切る、という構造自体は特におかしな作劇ではないのですが、 今作に関して言えばバランスが悪い。
 魁が作り出した鏡から、倒れる寸前の緑が窓ガラスを攻撃していた事を思いだした翼は、サイクロプスの居場所を閃き反撃を決意。 魁の傷も薬で治り、変身した2人はサイクロプスを挑発すると銃弾の雨を叩き落とし、イエローはサイクロプスの銃撃の瞬間を狙って、 鏡の世界へと入り込む。そう、サイクロプスは光の反射するものの中を行き来できる能力を持ち、窓ガラスや水たまりの中から、 4人を狙撃していたのだ。
 「よく覚えておけ、サイクロプス。攻撃は最大の防御だってな」
 いちいち頭を指さし、何かをアピールする黄色はレジェンド変身し、ダイヤルロッドが強化ボウガンに変形という新ギミックが発動。
 「拾えよ。スナイパー同士、狙撃で勝負だ」
 coolな頭脳派スナイパーという俺設定を発動した黄色は射撃勝負に勝利してサイクロプスを撃破。リタイアした3人はそれぞれ復活し、 長男の苦労がわかった気がする、俺も少しは肩の荷が下りたよ、となんかわかりあう長男と次男。
 敵が、ではなかったしな……。
 ほのぼのしたところでサイクロプスが巨大化し、5人はマジレジェンドに合身。 サイクロプスの特殊誘導弾に苦戦するマジレジェンドだったが、帰ってきたヒカル先生のトラベリオンが横から不意打ちで弾丸を焼き払い、 随分久しぶりの活躍を見せると、どうやら銃を手にしていないと凄く弱体化するらしいサイクロプスを、 ファイヤートルネードで撃破に成功する。
 「なあ翼。地上が平和になったら、俺も夢、見ていいかな……」
 一番下に凄く残念な弟が残っている気がするけどとりあえず置いておいて、がっちり拳を合わせる兄者と翼。
 まあ、いい歳した男兄弟なんて、これぐらい複雑なプロセスを辿らないとわかりあえなよね、みたいなエピソードなのですが、 この前後編でわかった事は、普段、下の4人をとても大事にしているけど、
 翼には時々、イラッとする事がある
 という兄者の本音(笑)
 次回、末弟、人生の崖っぷちに立つ。

◆Stage.39「あべこべ姉弟〜マジュナ・ジルマ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 見所は、しなを作りまくる魁。割と好演の上に、凄く楽しそう。
 冥府神トードの毒を受けて芳香と魁の精神が入れ替わってしまい、芳香は魁の体で学校へ、魁は芳香の体でデートをする羽目に。
 ここまで、自称恋愛マスターというほどモテ描写のなかった芳香ですが、現在、15股を進行中である事が判明。 「今週は少なめで15人とデート」との事ですが、平均して1日に二人ペースでデートをしている事となり、これはもう、 立派な職業です。
 一方、末弟はサッカー部でもチームワークとか絶無で、マネージャーである山崎さんのアドバイスにも向き合って聞こうとせず、 険悪な雰囲気になっていた。
 そんなドタバタの中、次なる神罰執行役に選ばれたゴーゴンが地上に出現し、無数の蛇を放つ。その蛇が繁殖して更に数を増やし、 次々と人間を噛んだ上でゴーゴンの盾が光を放つ時、世界の全てが石と砂と化すのだ――!
 精神が入れ替わってしまった事で魔法変身が出来ず、魁と芳香は戦いに取り残され、デートの顛末を気にする芳香魁。
 だがなんと、タイミング悪く芳香のボーイフレンド同士の修羅場に巻き込まれた魁芳香は、これではいけないと、 15人全員にきっぱりと別れを告げていた。
 末弟、青春の潔癖さで、姉の収入源を崩壊させる。
 魁芳香は姉に恋愛論を語り、高校で青春の甘酸っぱい香りに触れていた芳香魁がそれに感化されると、マジトピア、 何故か新魔法を配信。
 「マジトピア、まだ混乱してんのかよ」
 ……まあマジトピアは、ずっとオカシイ。
 (この、意地でも毎回新魔法、を貫いているのは、作品として偉いと評価したい所ではあるのですが、 もう少し「勇気」に説得力があって、後の応用とかで広げてくれればなぁ……)
 魁と芳香の発動した新魔法はゴーゴンのバランスを崩して転倒させ、ゴーゴンは小型化。 シャイニングアタックを放ったスモーキーを石化させたゴーゴンは、マルデヨーナ世界“長きものの庭”で待つと姿を消し、 後には石になったスモーキーが転がるのであった。
 定番の入れ替わりネタですが、魁と芳香がなかなかいい演技。特にいつも一本調子の魁は変化がついて、かなり面白くなりました。 冥府10神の中ではかなり主体的に動いていたゴーゴンが早くもリタイアしそうですが、まあ、話数の問題もありますし、 むしろトードとティターン辺りはどれぐらい頑張れるのか。
 そして芳香は、2週間ぐらい経つとまた元に戻りそうだなぁ……いひ。

◆Stage.40「蛇女の庭〜マジーネ・ルルド〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 OPに不吉な文字(笑)
 変身できない魁と芳香を残し、長きものの庭に向かう残り4人。4人は密林にゴーゴンの姿を探し求め、 芳香魁は弟に代わってサッカーの試合へと向かう。
 変なテンション(中身が芳香)の魁を平気で受け入れている部員達の器の大きさが老師級。
 もしかして末弟は学校では、お調子者キャラとか作っていたのか。
 「なんだか……今日の小津くん、今までで一番格好いいかも」
 姉の様子が心配で試合を見守る魁芳香に、中身が魁だと気付く筈もなく話しかける山崎さん。芳香だと思われ、 魁についての長所と短所を率直に耳にした魁は、遂に、少し反省。
 「もっと周りをよく見て行動しろ」って、4話で麗に言われていましたが、 苦節36話、反省までの遠く長い道のりでした。
 またここで、山崎さんがマジレッドの正体が魁であると気付いているらしい言動があり、 これは劇場版でそういう展開があったという事でしょうか。山崎さんは劇場版でヒロインを務めたそうですが、 そういえばTV本編では25話以来、およそ1クールぶりの登場。ふと思って確認したら、 5−14−25−(劇場版)−39・40という事で、概ね10話ずつ程度のバランスで挟み込まれている模様。
 この辺りの継続したサブキャラの使い方は、好きです。
 中身入れ替わりでのサッカーの試合を通して、芳香のハイテンションと柔らかな気配りがチームに明るさと一体感を与える光景を外から見た魁は、 怪我の功名、独りよがりだった自分を省みるが、その2人の前に、ゴーゴンが現れる。
 長きものの庭で4人を次々と呑み込んだゴーゴンは2人も丸呑みにしようとするが、そこでスフィンクスが介入。 魁と芳香の入れ替わりは元に戻り、よくわからない新魔法で、呑み込まれていた4人も復活。
 おまえコーナーによると「呑み込まれたものを取り戻す呪文」だそうですが、どうしてそこまで用途が限定されているのか(^^;  マジトピアには、ものを呑み込む精霊でも徘徊しているのか。
 ゴーゴンは巨大化すると、繁殖した蛇により神罰を執行しようとするが、トラベリオンが盾を吸い込み、 マジレジェンドのファイヤートルネードが炸裂。ゴーゴンはドレイクが必ず恨みを晴らしてくれる……と言い残して死亡する。
 最初こそ圧倒的だった冥府10神ですが、なんだか、なし崩し的に弱くなってきてしまいました(^^; マジレンジャーは、 総合的にかなり強い戦隊ではあるのですが、もう少し、苦戦して欲しかったなぁ。
 その頃、ン・マ転生のきざしが無い理由を調べていたダゴンは、真実を映し出す湖面に浮かぶウルザードの姿を見ていた。 ン・マの転生を防ごうと、ウルザードがン・マの魂を回収していたのだ……!
 何故か駄目父がウルザードの姿で再登場し、最終クールへ突入していく所で、魁が遂に反省。個人的に、 とにかく好きになれる所を見つけにくい赤だったのですが、これで少しは変わってくれるか(^^;  次回もどうやら魁に焦点が当たりそうですが、終盤に向けて先生にガツンとやっていただきたい所です。

◆Stage.41「先生の先生〜ゴール・ゴル・マジュール〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:前川淳)
 今日は楽しいクリスマスイブ、何かと祭りにする小津家は大はしゃぎだが、浮かない顔のヒカル先生は、 スノウジェルから「赤の魔法使いから学ぶのじゃ」と助言を受け、魁に一日弟子入りする事に。
 クリスマスイブはいつも、中学の時の同級生のケーキ屋を手伝っている、と珍しくいい所を見せる魁に付き合ってケーキの箱詰め作業を行う先生だったが、 事故でケーキが倒れて全て駄目になってしまう。もう駄目だ、と沈む一家を励まし、とにかく少しでも何とかしよう、 と一人で勝手にケーキを作り出す魁だが、考えなしのその行動が、ヒカル先生には非効率的で納得がいかない。
 そんな中、新たな神罰執行神として、ドレイクが出現。ドレイクの無敵の鎧の前にはあらゆる攻撃が通用せず、 マジレジェンドは一撃死。めくらめっぽうに突っ込んだ赤魔人の蹴りがわずかなダメージを与えるが、 その赤魔人も攻撃を受けて変身が解けてしまう。ヒカル先生は何も考えずに無茶をする魁をたしなめるが、魁は全く利く耳を持たない。
 「俺の何が駄目なんだ!」
 「考え無しに突っ走る所がだ!」
 …………何かまた、凄く基本的な所で揉めています(^^;
 「ねえ。今日は俺が先生で、あんたが生徒だったんじゃなかったの?」
 「な」
 「俺から学ぶんじゃなかったのかよ!」
 実に感じ悪い魁の態度に「君から学ぶ事など何もない!」と激高するヒカル先生だったが、 そこへ現れたスノウジェルは先生に駄目出しし、超力招来によりバトルフォームを発動、自らドレイクの前に立ちはだかる。
 「煌めく氷のエレメント・天空聖者スノウジェル!」
 ……なんだか、円谷っぽい雰囲気の戦士に。
 やはり根っこは武闘派だったスノウジェル、かつては幼児のフリをしていた事もありましたが、 武術の老師的なイメージだったのか、柔軟かつ多彩な技でドレイクを翻弄し、モニターしていたダゴンもちょっと動揺。
 「たかが魔法使いが、ありえん」
 「勇気だ。勇気とは立ち向かう力。俺たち魔法使いの武器だ。勇気を知らぬ貴様等に、俺たち魔法使いが負ける事はない」
 何か、残念父が言い出した。
 今回もダゴンとイメージ?で会話するウルザード、台詞そのものは格好いいのですが、この人に何故かウルザードの姿で言われると、 素直に頷きがたい部分が凄くあって困ります。
 ドレイクを相手に一歩も引かないどころか優勢に戦いを進めるスノウジェルだったがスタミナ不足を露呈し、 マジレンジャーを引き連れてマルデヨーナ世界へと戦場を移す事に。ヒカル先生は「来るだけ邪魔じゃ」と要らない子扱いされ、 みんな薄々思っていたのか、五人は特にヒカル先生をフォローする事なくマルデヨーナ世界へと乗り込んでいく。
 残されたヒカル先生は、果たして立ち直れるのか?!
 というかまあ、大体、オチまで読めるわけですが、うーん、うーん、うーん……。

◆Stage.42「対決!二極神〜ゴール・ルーマ・ゴル・ゴンガ〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:前川淳)
 属性:氷のフィールド・沈黙の雪原でドレイクと戦うマジレンジャーとスノウジェルだっが、 ドレイクは強引にマルデヨーナ世界を破壊してしまう。一方、要らない子扱いされて意気消沈のヒカル先生は、 夜逃げまっしぐらだったケーキ店が、無事に予約のケーキを販売しているのを目にする。
 使えない手伝い二人が逃げ出した後、魁の姿に触発された父が立ち直るとケーキ職人アルティメットフォームと化し、 「アルティメットフォーーーム・スペシャルターボ!」により、全てのクリスマスケーキを作り直したのであった。
 「魁のまずやってみるその行動が、道を切り開いたのか……そうか、何かわかった気がする。スノウジェルが魁から学べと言った意味が!」
 先の事を心配しすぎて、行動してみる事を忘れていた自分に気付いたヒカル先生は、通常空間でドレイクに圧倒される6人の元へと急ぐ。
 「もう考えない事にしました」
 ああ、ヒカル先生が、向こう側へ……。
 「見ててくれ魁先生。君から教わった事をやる。うまく行くかはわからないけど、やるべき事はわかった」
 先生はなー、基本的に格好いいし好きなんですけど、結局、風向きを変えきれずに作品に呑み込まれてしまったなぁ……。
 エネルギー切れのスノウジェル、変身の解けてしまった5人に変わり、先生はマジシャインに変身、ドレイクに立ち向かう。 久々の見せ場で、いつもより余計に飛んでおります。
 銃、剣、そして天空聖者体による魔法攻撃。無敵の鎧を持つドレイクに対し、あらゆる技を用いて立ち向かうマジシャイン。 その攻撃はいっけん無意味で無謀に見えたが、くじけず諦めない連続攻撃の末、魔法乱れ打ちがドレイクの唯一の弱点、 首の後ろの一点を突き止める。
 爆炎をものともせずにドレイクへ突進したサンジェルは、まさかの投げ技、プロミネンスドロップを炸裂させると、 プロミネンスクラッシュでドレイクを撃破。巨大化したドレイクに対し、マジレジェンドとトラベリオンも起動するが、 そこへダゴンの要請でスレイプニルが出現し、冥府の二極神が地上に居並ぶ!  闇の戒律の遵守を絶対とするスフィンクスはこれを激しく批難するが、ダゴンの目的は、 ン・マの魂を隠すブレイジェルを炙り出す事にあった。
 ここで、絶対神ン・マの転生に積極的だったツートップが、手段の違いで対立、という要素を入れてきました。
 冥府神一の攻撃力を持つスレイプニルの、冥府馬車によるチャージ攻撃の速さと鋭さに追い詰められるマジレジェンドだったが、 その時、突如現れたウル馬神がスレイプニルの攻撃を弾き返す。馬、生きてた、馬……!
 ウル馬神とスレイプニル戦車の対決は、なかなかの面白さ。前回今回と、最終クールに入る所での一つの山という事でか、 ドレイクvsマジドラゴンの空中戦、激しく飛ぶヒカル先生、そしてこの騎馬戦闘と、戦闘にはかなり力が入っています。
 馬車を破壊したウル馬神はウル皇帝に変形すると、「今は互いのやるべき事をやるのだ」と子供達に言い残し、得意技の強制転移。 スレイプニルを冥府のどこかに放り投げて、姿を消す。
 父がごく普通に最強の冥府神と渡り合ってしまいましたが、ウルザードの姿だから違和感があるだけで、 天空聖者ブレイジェル本来の力だと思えば納得です。これだけ圧倒的な暴力を有しているならそれは、戦略も戦術も些細な事であり、 「勇気があれば何でも出来る」という思想に辿り着くわけです。
 残ったドレイクは弱点にファイヤートルネードを受けて弱った所をトラベリオンに吸い込まれて焼却。 時には先が見えなくても行動する事で拓ける道もある、と魁から学んだヒカル先生は、一皮剥けて成長を遂げるのであった。
 ……考えるよりも行動する事で計算以上の力が出る、ってこれ完全に前作の「なんか、いい!」(by特凶) と同じパターンなのですが(笑)
 こうしてマジレンジャーはクリスマスの窮地を突破し、ヒカル先生は要らない子扱いを脱出。だが、 闇の戒律に背いてまでブレイジェルを誘き出したダゴンは、バンキュリアの手で自らの鱗をブレイジェルに貼り付けさせる事に成功し、 その潜伏場所を突き止めようとしていた……。
 それにしても、イフリートは実は、冥府10神の中でも凄く強い方だったのでは。
 以下ちょっと、作品全体に関するネガティブな話。
 「最近弱気になっていたヒカル先生が、行動する勇気を取り戻して殻を破る」という大筋自体は良いと思うし、 「ヒカル先生が魁から学ぶ事もある」というのも問題はないのですが、このエピソードを前後編でやるのなら、 「ヒカル先生が魁から学ぶ事もある」そして「勿論、魁がヒカル先生から学ぶ事も沢山ある」としなければ、 バランスが悪い。
 そもそもヒカル先生は元来、23−24話の禁呪エピソードで見せたように「今回は僕も教えられたよ。教える事の難しさをね。 これからもお互い、学びながら成長していこう」と、変質者だけど傲岸ではありませんし、 教師と生徒のエピソードとしてはこの24話が遙かに綺麗にまとまっています(まあこの24話は、 本編中でも屈指の名編という位置づけになりつつあるけど)。
 もっとも、ヒカル先生もそれから20話弱が経ち、教師として自信を深めるとともに独りよがりな部分が出 (ているようには見えませんが)、その為に最近は一人で特訓して一人で格好つけて一人で弱気になり…… と視野が狭くなっていたのをスノウジェルが正した、というニュアンスを含んでいたのかもしれませんが、 それなら魁ばかりではなく他の兄妹とも関わらせるべきですし、逆にそこまでやれば24話を踏まえてうまく繋がりが出来たと思うのですが、 そういった連動もない。
 例えば駄目になったイチゴについてアニキ農場に助けを求めたり、料理の得意な麗が応援に入ったり……、 幾らでも広げて面白くできたと思うのですが、そういった展開は一切無し。
 そして根本的な所では劇中において、魔法の技術的薫陶以外で魁がヒカル先生から影響を受けた描写は、記憶にある限り一切無いので、 極めて一方的です。
 またこの一方的な関係は、魁とほとんどの兄妹の関係にも当てはまり、とにかく今作は、 魁のほぼ全ての行動と主張が概ね正当化されてしまいます。
 今回、ケーキ屋の娘に「いつもうまく行くとは限らないけど」と言わせてはいますが、 劇中においてそのような描写がされた事はほぼ無いので(たぶん4話と前々回ぐらい)、作り手が信じていないし、 あまりにも言い訳じみています。
 冥府神との戦いに入ってからでも、翼を立ち直らせるのが魁だったり、高校生の弟に説教されて芳香が恋愛観を改めてしまったり、 後者は正直ひどい。
 で、前回はそこから、山崎さんの忠告と、姉によって変化したサッカー部の姿を見つめ、4話で受けた指摘をようやく反省する、 という魁の変化が劇中でほぼ初めて描かれたのが良かったわけですが、今回でまた台無しに。
 「魁にも良い面がある」のは全くもって構わないのですが、「魁はこれで良い」が、あまりにも世界の法則を支配しすぎています。 思えば3話で兄者が「魁は我が儘なイチゴなので、 真っ赤に育てるのが畑(長兄)の役目」と似たニュアンスの事を述べていますが、 これは魁が“他者の影響を受けて”人間的成長をしていくから許されるのであって、魁がほとんど人間的成長を遂げず、 むしろ周囲が我が儘なイチゴに影響を受けてしまうという今作では、全く逆の方向に進んでしまっています。
 魁が精神的ダメージを受けるのってほとんど、ギャグ風味も含めて山崎さん絡みのエピソードの時しかないのですが…………ああ、 なるほど、魁にとっての山崎さん=残念父にとってのクズ母で、 ブレイジェルも人の話を全く聞かない暴走マシンだったと、そういう事なのか。
 極めつけに、サンジェルとドレイクの戦闘中の
 「あんな熱い先生、初めて見たぜ」
 「なんか……魁みたい」
 に至っては、作品そのものが“皆が魁になる”事を推奨しているようで、正直、ちょっと気持ち悪い。
 マジトピアにおける勇気史上主義、そしてその「勇気」とはひたすら正面突破をはかる事、である以上、 魁の姿こそマジトピアの理想であり、ヒカル先生こそが道を誤っていた、というのは世界観として成立するとは言えますが、 「魁のやり方が正しい時もある」のは納得できても、むしろ「魁のやり方が正しい」寄りの作劇には、どうにもノれません。
 ここまで来てなんですが、今作とは相性が悪かった、と言うしかない。
 もともとヒーローのパワープレイがあまり好きではない(勿論、見せ方によりますが)ので、例えば人質を取られたら、 取り返す為に策を講じてくれたりする方が好きなのですが、今作はどこまでもパワープレイ推奨。 ヒカル先生の加入で少し変化がついたと思ったら、結局パワープレイ超推奨。
 “そういう戦隊”として見れば良いのでしょうが、初期の「勇気」の使い方に引っかかってしまった事もあり、 どうにも世界観と馴染めませんでした。ここまで来たので最後まで視聴するつもりですが、 世界観にノれなかったマイナス補正がどうにも重くなってきてしまったというのが正直(^^;

→〔その7へ続く〕

(2014年10月15日/2015年5月1日)
(2019年11月24日 改訂)
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