■『魔法戦隊マジレンジャー』感想まとめ4■


“天空変身 ゴール・ゴル・ゴルディーロ
輝く太陽のエレメント”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『魔法戦隊マジレンジャー』 感想の、まとめ4(22〜28話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆Stage.22「京都でデート?〜ルーマ・ゴルド〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
 ヒカルを強引に引っ張り、魔法の絨毯に乗って京都へ向かう芳香。一方インフェルシアでは、 メーミィがシャインのトラベリオンチケットを狙い、地上界へ冥獣人ニンジャ・キリカゲを派遣する。
 ……さすがニンジャ、ファンタジーのモンスターと同じ扱いの種族名です。
 そしてトラベリオンは、チケットがあればメーミィの魔法力で自由に操る事が出来るそうで、鉄人だけに、いいも悪いもチケット次第。
 というわけで、忍者だ京都だ太秦回。
 芳香にはある理由でどうしてもお参りしたい神社があったのだかそこがはっきり思い出せず、ヒカルの魔法で記憶を探って、 それらしい場所へ手当たり次第に向かう事にする……と、京都寺社巡り。
 行方不明のヒカルと芳香を占いで探していた麗は、水晶玉に映った光景から2人がキスをしていると勘違い。 変質者が無理に芳香に迫ったに違いないと激怒して、兄弟3人を引きずって京都へ――。
 記憶を探る魔法がチケットを挟んで額と額をくっつける、という物だった為にセクハラと勘違いされて……という事なのですが、 ヒカル先生は相手が男だったら絶対にこんな魔法は使わないので、あながち、間違いとは言い切れない気がします。
 「はっはっは、このマジカルハンマーで後頭部を渾身の力を込めて殴れば、記憶が甦るのさ!」
 移り気な芳香に振り回されるヒカルは、博物館でSLに大興奮。
 やっぱり、車掌なのか。
 そう思うと、衣装もそんな気がしてきました。
 ヒカルは思わず闇の力に染まって鉄への道を転がり落ちそうになるが踏みとどまり、一つの事に身が入らず集中力の足りない芳香をたしなめる。 自分勝手な芳香に付き合ってはいられない、と帰ろうとするヒカルだったが、そこへ忍者キリカゲが強襲を仕掛けてくる。
 変なエフェクトで登場シーンがおかしいのですが、 今回随所に『仮面の忍者赤影』オマージュが盛り込まれているそうで、その一つかと思われます。
 京都へやってきた麗のセクハラ許すまじキックをかわしている間に芳香がキリカゲにさらわれてしまい、 5人はメーミィがマルデヨーナ世界に作り出したシノビ城へと芳香奪還に向かう事に。マルデヨーナ界、便利。
 トラベリオンでの道中、芳香がお参りしたかったのは一年前の小津家の家族旅行で母がお参りした南禅寺に違いない、と気がつく麗。 母が年に一回、そこで行っていた「家族が一致団結するおまじない」を、芳香は母の代わりに行おうとしていたのだ。
 ここの回想は男達を絡めずに、早朝にこっそり抜け出す母、それについていく娘2人、で女同士の話にしたのは良かった所。
 それにしても若かりし日の父、南禅寺でプロポーズとか、どういうシチュエーションだったのか気になります。
 家族の為のお参り、自分にSLを見せる為の寄り道……自由奔放で何も考えていないように見えて、 実は他者への優しさを秘めた芳香の真心を悟るヒカル。……まあ芳香の場合、人生の9割方ラリっていて、たまに正気に戻る人、 という感じもします。
 そんな芳香を救い出すべく、一致団結した家族と居候は、メーミィの作り出したマルデヨーナ世界へと突入。
 「なんでこんな格好に?」
 「メーミィのふざけた演出だ!」
 ヒカル=サムライ、4人=忍者、という服装で、囚われの芳香=お姫様を救い出すべく、 京都太秦スペシャルスーパー忍者タイムが開始!
 同じく忍者装束のインフェルシア雑魚を相手に、チャンバラあり、手裏剣あり、爆裂弾あり、と忍者らしいバトルが展開。 城へ向かった黄と青の前には、立ちはだかる巨大ガマ(『赤影』1話の敵が、巨大ガマだったか)。赤と緑の前には、 くノ一ルックのナイとメアが登場し、太腿チラッで悩殺を試みるが……
 「そんな色仕掛けに乗るか! 俺には江里子さんが居るんだ!」
 「そうだ! 俺にも山崎さんが!」
 愛のパワーで抵抗判定に成功する2人。割とこういう、真っ当な無効化は珍しいような(笑)
 天守閣に囚われていた芳香はヒカルの「集中すれば、必ず打開策が見つかる」という教えを思い出し、 キリカゲの鳴らすでんでん太鼓が魔法変身を封じていると気付くと、体当たりでそれを奪い取る事に成功。
 そしてそこへ、先生が凧で来た!
 ヒカルの攻撃でキリカゲは逃走し、変身妨害アイテムの破壊で変身できるようになった6人は反撃開始。
 黄と青は魔法で巨大ガマを打ち砕き、赤と緑もマジパンチと兄者マッスルでバンキュリアを撃破。 兄者マッスルはCGではなくスーツの上に追加パーツを作ったので勿体ないと思ったのか、珍しく魔法の継続使用。 そして普通に負けたけど大丈夫ですか、バンキュリア……。
 キリカゲとナイ&メアは合流して逃亡をはかるが、そこに6人が揃い踏む!
 太秦回で前半ほぼ観光デートに費やしながら、逆転劇で盛り上げた流れでシャイン込みの名乗りまで入れたクライマックスに持ち込んだのは、 さすが、渡辺×荒川の、匠の技。
 スキル:《集中力》LV1を身につけた桃に新魔法がダウンロードされ、 組み体操のようにタワーを組んだ状態から魔法力を束ねて日本刀のごとき一閃を放つ新魔法マジカルタワー(二度と使われそうにない)で、 キリカゲを成敗。忍法・巨大身の術で巨大化するキリカゲだったが、トラベリオンにかすり傷一つ負わせられずに、焼死するのであった。
 「これにて、一件落着」
 て、前作がパロディをやっていた為、もはや普通に言うとパロディが成立していない感じ(笑)
 魔法戦隊のなんでもありな部分を巧く活かし、アクション充実、かなり良質の太秦回でした。 京都の必然性を“母との思い出”に繋げる事で、定期的な母の出番を確保しつつ、家族テーマを掘り下げられたのも良かった。 母は色々とアレな人ですがちょくちょく出番を作っており、前回の江里子さんのチョイ出しなど、 キャスティングの都合で難しい事が多い中、割とサブキャラクターを大事に使っているのは今作の良い所であります。
 次回、やっぱり盾に収まらなかったので打ち直した剣を手に、あの男が帰ってくる?!

◆Stage.23「禁断の魔法〜ロージ・マネージ・マジ・ママルジ〜」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:荒川稔久)
 久々に、ちょっとホラー調の怪奇演出からスタート。
 小津兄弟は、今日も魔法の授業中。変質者の指示で、魔法でピアノを弾く事に。なかなか上手く行かない中、 1人華麗にピアノを奏でる翼。………………し、死亡フラグ?!
 というぐらい、突然の翼持ち上げ。
 やはりスタッフ的にも、「あれ? ヒカル先生の登場で、ただでさえ立ち位置の危うい翼の存在感が0に近くない?」 という話になったのか。
 技能レベルを上げる薬の力でピアノを弾きこなした翼の発想と応用力を誉めるヒカル先生。 これまで悪い意味で何でもありだった魔法ですが、それぞれの個性を活かして応用を考えよう、とだいぶ方向性を修正してきました。
 翼の器用さを見た猫は、それなら「リバースの魔法」も使いこなせるのでは、と口に出し、ヒカルに怒られる。 リバースの魔法……それは伝説の天空聖者クロノジェルが編み出し、その強力さにともなう危険性ゆえに自ら呪いをかけて封印した、 時間を操る禁呪であった。
 禁呪、というのも、魔法物ファンタジーとして、ときめく響きです。
 授業を終え、世話になっているボクシングジムのトレーナーの息子・幸太に誕生日プレゼントを渡しに行く翼だが、幸太の様子がおかしい。 なんと幸太は、冥獣人インキュバスのベルビレジに、魂を抜かれてしまっていたのだ。
 「俺は背徳のマエストロ。インキュバスのベルビレジ」
 ヒカル先生と同じ系統の変質者の匂いがするベルビレジは、次々と人々の魂を抜き取っていた。 インキュバス……というとどうしても金子一馬デザインが思い浮かばずに居られないのですが、 一風変わったそれとなく観葉植物っぽいデザイン。声と顔は二枚目なのですが、下半身は案外とどっしり体型。ほとんど、 緑川光の声の力だけで格好良く見えているという(笑)
 その頃、インフェルシアではウルさんがふらっと帰ってきて、メーミィと初顔合わせ。 ン・マ様の為に働くだけで主導権争いに興味はないと、メーミィにマジシャインの撃破を命じられ、地上へと出撃する。 低音ボイスから放たれるおじ様フェロモン効果か、偉そうなオカマとそりの合わないナイとメアが妙に嬉しそうに懐いているのが面白い(笑)
 地上では、ベルビレジによる被害が700人以上、確認されていた。だが、本来ならインキュバスに魂を吸い取る能力は無い。 果たして切り離された魂はどこへ行ってしまったのか……魂を奪われた被害者達は数時間で肉体と魂の繋がりが完全に切れ、死んでしまう。 幸太の為に焦る翼は、奪われた魂の在処を突き止める為にリバースの魔法を用いようと考えるがヒカルに制止される。 冷静さを失うあまり、ヒカルは禁呪の使用を怖がっているだけだ、と怒りの矛先を向ける翼。
 「その程度の勇気もねえくせにな、先生面してんじゃねえよ!」
 「そんなの勇気じゃない!」
 お、本当は1話で語られた筈なのに有耶無耶で台無しになっていた「本当の勇気とは何か?」 というアプローチが、ここでヒカル先生から入りました。
 しかしヒカルはウルザードからの呼び出しを受け、事件の秘密を知っているに違いないという勘違いから、 禁呪の使用禁止を念押しした上で、戦いへと向かってしまうのだった。
 翼はマジレンジャーとしての戦いの為にボクシングを一時断念していた事が明らかになり、 ジムの可愛い弟分である幸太の言葉を思い返す。
 「俺、翼さんの流星パンチに憧れてたんだぜ」

 りゅ、流星パンチ……?!

 も、もしかして、翼のクールキャラという位置づけそのものを改変するという決断がなされたのでしょうか(笑)
 幸太を救う手段は他にない、と禁呪に手を染めた翼は、リバースの魔法で巻き戻った時間の中で、 ベルビレジが抜き取った魂を冥獣スパイダーに渡している映像を確認する。現場に残った冥獣の匂いを鋭敏感覚の魔法で追った翼は、 集めた魂の運搬・保管役である、スパイダーの巣へと、兄姉達と共に突入。
 鋭敏感覚の魔法に続き、赤の錬成魔法でスパイダーの集めた魂を球体に変えて奪い合うなど、冒頭で示した通りに「魔法の応用」を見せ、 ヒカル先生の登場に合わせ、だいぶ、前半の問題点に修正を入れてきました。……いやもしかしたら、 大雑把だった魔法がヒカル先生の指導により面白い使われ方をするようになる、という展開まで全て計算尽くだったのかもしれませんが、 だとしたら雑な前半戦があまりに面白くなかったので、計算としては明らかに失敗しています(笑)
 この辺り、初期メンバーがあまりにはまりすぎていると追加戦士でバランス崩れる事があり、かといって、 追加戦士でバランス取る構造だと前半がもたつきがちになるし、と難しい所。
 そういう点では、サブキャラが次々と出てくるという作風の故もありましたが、10話にして追加戦士を出し、 “むしろ6人がベース”として展開した『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013)は、発想としては面白かった。
 ビルの谷間を糸で飛び回るスパイダー(『スパイダーマン』オマージュ?)に翻弄されるマジレンジャーだったが、 兄姉弟を囮に相手の動きを読んだ黄色が、満を持して装着したマジパンチでマジカル流星パンチを炸裂させ、撃破。 魂の回収に成功するが、その翼の体を、異変と苦痛が襲う。
 「翼!」
 ウルザードとの決闘のさなか翼の変事に気付くシャインだが、その隙にウルザードの一太刀を浴びて大きなダメージを受けてしまう。
 「心ここにあらずか! 俺はそんな奴とは戦わない主義だ! いずれまた決着をつけてやる」
 自分からケンカふっかけてきたウルザード、自分から早退。
 今回、色々と改善の方向性が目立つ(全体の話し合いとしての流れだと思われる)エピソードでしたが、帰ってきても、 ウルさんは、どこまでもウルさんでした。
 この人が最低なのは、「よーし、いっちょシャインとかいうピカピカした奴、殺ってくるわ」と素直に命令を聞いて出撃したのに、 自分勝手な理由で中断した挙げ句、悪いとも何とも思っていない事。もうそれなら、最初から、命令聞かない方がいい(^^;
 見せ場を確保しつつ、しかし決着を付けきれない物語上の都合というのは勿論あるわけですが、物語としては、 それを“格好いい”に転化しないといけません。それが全く転化できていない為に、 ただひたすらダメで残念で困った人にしかなっていません。過去に色々とダメなサンプルがあるわけですが、 それを参考に工夫するどころか
 むしろ30年分の戦隊ダメ幹部のエッセンスを凝縮して、三日三晩徹夜で煮詰めて鋳型に入れて残念パウダーを満遍なく振りかけた感じ。
 ウルザードは声とデザインと思わせぶりな言動で強行突破を図ろうとしていますが、その実態は、

 芳香を上回る真性のダメ人間。

 本当にどうして、ここまでダメとわかりきっているダメな要素だけを凝縮したのでしょう…………頭痛い。
 マジレンジャーの方では、巨大化したスパイダーをマジキングで倒しかけるが、必殺技の寸前、 黄色が激しく苦しみだして合体と変身が解除。せっかく手にした魂はベルビレジに回収され、スパイダーともども逃げられてしまう。 駆けつけたヒカル先生が翼のシャツをまくりあげると、何と、その腹部には漆黒の風穴が……!
 「禁呪」をキーに、兄妹と教師の関係、翼の熱い側面を描いたエピソード。なのですが……前回の芳香の場合、一見ちゃらんぽらん、 実際ちゃらんぽらん、けれど実は我が儘に見えて他人思い、は成立するのですが、翼の、一見クールな知性派、 けれど実は熱いハートの持ち主、は、クール……? 知性派……? 色々作っているけど、 本当は泥臭くて暑苦しいんですよね、ハイハイとなってしまうのが困りもの。
 うーん……どのエピソードが、失敗だったのか。
 まあもはや、クールとか知性派とかの夢は捨てて、星の巡りが悪くてちょっとひねくれちゃった苦労性の熱血漢、 でもいいと思いますが(笑) 兄者は単細胞だけど責任感の強い熱血漢で、弟は無鉄砲で脳の動いていない熱血漢、 という色分けでも良いのでは無いでしょうか(おぃ)
 次回、……あ、あれ、黄色回だった筈なのに、ヒカル先生が全部持っていきそうな。

◆Stage.24「先生として〜ゴル・ゴル・ゴジカ〜」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:荒川稔久)
 禁呪の呪いで倒れた翼に、応急処置の魔法をかけるヒカル先生。
 「すまない翼……! リバースの魔法の恐ろしさを、もっときちんと説明するべきだったのに。僕のせいだ」
 この作品に、きちんと謝る人が出てくると、それだけでとてもいい人に見えます(笑)
 小津母はクズ筆頭だし、敵方だけどウルさんは最低人間だし、ルナさんもけっこう前のめりだったし、 年長者ポジションでまともな人格者が出るのが初めてか。……少しばかりセクハラ趣味がありますが、 それが些細な事に見えるぐらいには、補ってあまりあります。
 リバースの魔法にかけられた呪い……それは、使用した者の肉体に 地上界の全ての時間が飲み込まれる事であらゆる秩序が乱れ、世界の終わりが来てしまうというものだった。
 確かに時を操る魔法も強力かつ危険ですが、そのリスクとなる呪いに、世界の滅亡を設定するクロノジェル、 危険人物すぎて、天空聖者の人格破綻ぶりがまた一つ窺えます。……まあこの人達、基本的に仙人のような存在で、 一部を除いて人界及び人間に玩具以上の興味は無いのでは、という感じもありますが。
 むしろそういう設定は納得できるし、そういう設定そのものは嫌いではない。
 世界の滅亡を防ぐ為には、呪いを受けた者が死ぬか、クロノジェルの生み出したマルデヨーナ世界へ向かうしかない。 4人は魂を取り戻す為にスパイダーを追い、翼を救う為にヒカルがマルデヨーナ世界へ向かう事に。ここで、 4人があまりごねずに翼の事をヒカルに託したのは、多分に尺の都合な気がしますが、 4人のヒカルへの信頼感を見せる形になったのは良かった所。
 ヒカルは5人に指輪のお守りを渡し、フラグを立てる。
 「僕が必ず君を助ける。先生として、絶対に責任を取るから。――僕は君たちの力を信じているよ。ずっとずっと、永遠にね」
 街ではベルビレジの手により被害者が続出し、遂に1000人目の魂が奪われていた。
 メーミィの企みは、悪夢の恐怖が凝縮した魂を1000人分集め、それを花火にする事で人間界の広範囲を恐怖の力で焼き払う事。 仕事をサボってしれっと帰ってきたウルザードに「あんた、わざと見逃したでしょ」とメーミィはツッコミを入れるが、 平然と「俺には俺の考えがある。全てはン・マ様の為だ」と返す駄目人間には、勿論、反省の色など無かった。
 後から言い訳するなら、最初から断った方が格好いいのになー。それで見せ場は他で作るやり方も工夫次第だと思うわけですが。
 恐怖の花火玉の打ち上げを阻止するべく、戦いを挑むマジレンジャー。そしてヒカルは、 クロノジェルの作り出したマルデヨーナ世界へ辿り着いていた。その地で試練を越えて赦しの杖を手に入れれば、 杖を抜いた者の命と引き替えに翼の呪いを解く事ができる。ヒカルは試練の山を登り、姿を隠して後をついてきた翼は、 ヒカルが自分を救う為に文字通りに命を懸けようとしている事を知ってしまう。
 試練の山登りは特に凝った事はせず、斜面や崖を登って風が吹いたり雨が降ったり岩が落ちてきたりで大変だ、という程度ですが、 翼を運ぶヒカルの絨毯がいい味を出しています。
 ファイト一発で遂に杖の元に辿り着いたヒカルだが、何故かそこへ現れるウルザード。最初、試練の一角の幻影か何かかと思いましたが、 後の展開を考えると正真正銘の本物のようで、何をしに来たのかさっぱりわかりません。構成としては誉められないのですが、 このダメな意味不明さは、確かにウルザードなので、ギリギリ納得は出来てしまって、ダメズルい(笑)
 激痛に耐えて赦しの杖を引き抜こうとするヒカルの前に、姿を見せる翼。自分の自業自得にヒカルが命を懸ける必要はない、 と叫ぶ翼に、しかしヒカルは杖を抜こうとするのを止めない。
 「これだけは覚えておいてくれ。魔法世界の禁を破るという事は、誘惑に負けて、魔導士への道を選ぶという事だ。 君たちのお母さんを手に掛けた、こんな奴と同じになってはいけない!」
 先生、厭らしい感じに背後で観戦モードに入っているダメ騎士を、挑発(笑)
 「いいか翼! いつだって正々堂々と戦って勝てる男になれ。正義の為だけに、魔法を使える男にっ」
 先生の最後の教えと同時に、今ひとつ、単語の力が弱い「魔導士」(闇に染まった魔法使い)を、「正義の魔法使い」と対比させる事で、 改めて劇中での定義付けを強調。また、“易きに流れる弱さ”を悪/闇として、それと逆の所に置く事で「正義」の意味づけも重ねており、 これは荒川さんのテクニカルな所。
 「なんでだよ?! なんでそこまで?!」
 「当たり前だろ。僕は……君の、先生なんだから」
 いよいよヒカルの命と引き替えに赦しの杖が引き抜かれようとしたその時、ウルさん、いきなり、山を攻撃。 これにより試練を司っていたクロノジェルの想いが消え去り、ウルザードは封印の解けた杖をあっさりとその手にする。
 「見たか。か弱き正義の魔法使いよ。闇の力ならばこれほど容易いのだ」
 「クロノジェルの想いを宿せし山を! こんなのは反則だ!」
 「魔道士はいかなる掟にも縛られない」
 「返せ。それは僕が」
 「欲しければ奪い取れ!」
 とウルザードは土下座して帰ってきてもらった馬を召喚し、いつ見ても格好悪いウル皇帝に。
 ……ウルさんがこんなに上手く使われたのは、24話にして初めてのような。
 一切魔法を使わず試練を乗り越えたヒカル先生の真面目さとウルザードの裏技を対比させつつ、 これまでウルさんの自己申告だけで定義づけが曖昧だった「闇の力」の“卑怯な反則技”であるという面を見せ、 ケンカ好きであるウルザードがシャインと殴り合う理由も処理。
 これはお見事。
 ここまでの負債が莫大すぎて焼け石に水ですが、やはりキャラクターは工夫次第である、とちょっぴり光明が見えました。
 シャインはトラベリオンを召喚し、激突する馬皇帝と魔法鉄人。奮戦するシャインだが、これまでの試練で体力を消耗していた事もあり、 ウル皇帝の暗黒ジャベリンにより追い詰められていく。
 一方地上では、変質者の悪夢攻撃を受けたマジレンジャーが同士討ちの果てに変身が解除され、4人もまた大きな危機にあった。だが、 ヒカルに託された指輪を見つめた4人は、翼やヒカルとの約束を思い出すと再び変身、ベルビレジへと立ち向かう。
 「ふっ、儚い最期だな。今頃お前の教え子どもも、冥獣人達の作戦を阻止できず、くたばっている筈だ」
 「ウルザード! 貴様がなんと言おうとも、僕は教え子達の勇気を信じてる!」
 信じる勇気と、応える勇気――互いを想う勇気が重なり合ったその時、新たな力がトラベリオンを奮い立たせる。
 「馬鹿な」
 トラベリオンは闇魔法の拘束を打ち破り、うろたえるウル皇帝……もうこの人、早く埋めてしまいたい。
 そしてまさかのマジシャインに新魔法DLにより、放たれる「ディストラクションファイヤー逆噴射」。 いっそ真っ当な胸から灼熱光線によりトラベリオンはウル皇帝を打ち破り、赦しの杖の回収に成功する。
 「ふっ、なかなかやるな」
 ……もうホントこの人、早く埋めてしまいたい。
 赦しの杖の力により翼の呪いは解け、地上界で黄色合流。マジレンジャーは花火の打ち上げを阻止すると、 黄色はスパイダー撃破の見せ場を貰い、奪われた魂は元の体へと戻っていく。巨大化したベルビレジは劣勢と見るや逃げだそうとするが、 マジキングの天空魔法斬りでチェックメイト。
 「今回は僕も教えられたよ。教える事の難しさをね。これからもお互い、学びながら成長していこう」
 翼は約束通りに、回復した幸太とボクシングのトレーニングを行い、その光景を見つめながら兄妹とヒカル先生は、 その絆を強くするのであった。
 衝撃的な公開セクハラで登場した犯罪者予備軍ヒカル先生ですが、兄貴分ポジションよりはやや遠く、長官ポジションよりは近い、 という立ち位置で、いいキャラになりました。この辺り、前年ちょっとやりすぎた犬の人の問題点を踏まえて活かした部分もあるでしょーか。 恥ずかしがって逃げないで、ヒカル先生の良い所を真っ正面から描ききったのも良かった所。また、成り行きだけではなく、改めて、 兄妹とヒカルが師弟として繋がるエピソードをしっかりと描いたのも良かった。
 そしてヒカル先生の兄妹への態度は、かつて5人の父(ブレイジェル)の弟子であった、という事に裏打ちされており、 そこから背景の広がりを感じさせるのも良い点で、ようやく物語が立体的になってきました。
 そんなヒカル先生の持つ真っ直ぐさは教師としての憧れを追う青臭さであり未熟さでもある、 とした事は今後の展開に幅を作れそうですし、今回だけ見ると物凄い人格者なのですけど実際はセクハラもあるよ、 でバランスを取ったのも巧い(笑)
 マジレンジャー側に関しては、新展開に紛れて色々な軌道修正を図った事も含め、 様々な要素を繋げるキャラクターとしてヒカル先生が機能し、かなり改善されました。後は好感度を上げる要素がなかなか見つからない、 末弟の人格改良か。
 ヒカル先生をしっかりと描いた分、メーミィが割を食ってキャラクター薄いので、ヤカン大将の二の舞にならないよう、 早い内に何とかしてほしい所。毎度丁寧にスモーキーやバンキュリアの出番を確保していますが、 そこで無理しなくてもいいような気はしないでもない。

◆Stage.25「盗まれた勇気〜ジルマ・マジ・マジーロ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 人間の一番大事なものを盗む冥獣人シーフ・ガストンにより勇気を奪われた魁は、 愛しの山崎さんに蔑みの目で見られて 新しい性癖に目覚め 大ショック。
 更にガストンとの戦いで変身する事が出来ず、魁をかばったシャインが、《スティールアタック》:LV10により、 トラベリオンのマジチケットを盗まれてしまう。
 先日、その為の作戦を立てて手に入れようとしたものがどさくさで(笑)
 ガストンの目的、それは盗み取った大事なものを混ぜ合わせて作成した大事ダイナマイトを地上で爆発させ、 人間達の大事なものを誘爆させて地上を大破壊する事……て、メーミィは爆弾テロ路線で行くのか。
 いいも悪いもチケット次第のトラベリオンでナイとメアが出撃し、変身できない魁を残した4人は魔人化して激突。 シャインは大事ダイナマイトを仕掛けようとするガストンを止めようとするが、その前に厚底神官と残念騎士が現れる。 メーミィの命令でシャインと戦うウルザード、のシーンは割と力の入ったアクションなのですが、ウルさんは散々自慢げだった挙げ句、 色々と強化した末に、ようやくシャインと互角程度というのは、本当にどうなのか。
 唯一のセールスポイントだった勇気を失い、捨てられた子犬のようなへたれ化していた魁はマンドラの気合いパンチを受けて家を出た所で、 山崎さんお手製のマジレッドぬいぐるみを取り返す為に勇気を振り絞り、復活。通 りすがりに遭遇したガストンからダイナマイトを奪い取ると、戦場へ駆けつける。
 「勇気をなくしたはずなのに、なぜ?」
 「ヒカル先生、俺わかったんだ。勇気は盗まれてもなくならない。なぜって、勇気はいつだって、心の一番奥から、 無限に湧いてくるもんだからさ!」
 何かと問題だった「勇気」の再定義付けまでは行きませんが、一応、魁が勇気について見つめ直しつつ、 勇気の意味を劇中で描いた――魁にとっての“一番大事なもの”であると同時に、人間にとっての“大事なもの”であるからこそ、 誰の心の奥底にいつだって存在している、というダブルミーニングになっている――という事で、だいぶ改善。その後、 勢いでメーミィを叩きのめしたのはパワーバランス的にはやりすぎた気もしますが(^^; ゲージMAXの赤は最強、 というのは貫かれているので構わないのですが、メーミィ下げるのはちょっと早かったかな、と。
 メーミィとウルザードが早退してガストンが巨大化し、復活した魁を交えてそれに立ち向かうマジキング。 マジシャインがトラベリオンを奪還する際、コックピットから追い出されるナイとメアの台詞が
 「「いやーん、えっち〜」」
 なのですが、ヒカル先生、画面に映っていない所で何をしたのですか。小津家に、保釈金を払うような経済的余裕は無いんですよ?!
 マジキングはガストンの盗み技にカウンターを炸裂させ、トラベリオンが焼却。魁がDLした新魔法で大事ダイナマイトは解除され、 盗まれた大事なものは人々の元に戻るのであった。
 (勇気は無限か……。魁、もしかしたら君は本当に古の5人の魔法使いと同じく、伝説を作るかもしれないな。新しい伝説を)
 魁は取り戻したマジレッド人形を山崎さんに渡し、山崎さんは様子のおかしい魁を心配して作った魁人形を見せる…………山崎さんは、 魁の好意に気付いていないならともかく、全て魁の好意を知った上での行動なので、邪悪すぎる。
 ただ、二つの人形を並べて見つめる山崎さん、というのはいいラストカットでした。

◆Stage.26「信じろよ!〜ジルマ・ジー・マジカ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 ウルさん、数々のサボタージュ行為にメーミィから抗議を受け、魔法力を差し出す事に。
 「俺にはン・マ様からいただいた、邪眼シールドと、ウルサーベルがある。魔法に頼らずとも、充分に戦える」
 あなた、他人(ブランケン)からかすめ取った剣に、なんて名前つけているのか。
 そしていつの間に、「ン・マ様からいただいた」事になっているのか。
 薄々そんな気配はありましたが、ウルさん、時間経過とともに全て自分の都合のいいように脳内事実が改変されるタイプでした。 納得です。
 メーミィはウルザードの魔法力を錬成し、闇の魔法を使えるようになるウーザフォンをナイとメアに渡し、 ナイとメアは冥獣人ハーピーのピーウィーと共に地上へと出撃する。
 「「ナイとメアとピーウィーの魔法大作戦、開始♪」」
 前回、マジレッドにざっくりやられてしまったメーミィですが、魔法の達者である所をを見せたのは良かった点。こういう、 戦闘以外での細かな実力の描写が、ウルザードには致命的に足りない。
 小津家では、モデルの仕事の臨時収入で芳香が皆に食事を奢り、ヒカル先生、初めてのお寿司にご機嫌。
 「本当に回ってるよ〜。感激だな〜」
 ところが、マンドラに悪戯した事でダーク麗からお仕置きを受けたスモーキーが寿司を次々と砂に変えてしまう。 これを目撃したナイとメアは闇魔法を使って街中で食べ物を砂に変え、寿司ばかりでなく世間様にも迷惑をかけて、 と激怒してスモーキーを囲む、兄妹+先生。
 「俺様がやったのはさっきの店の中だけー。兄妹と旦那相手だけ。後はにゃーんもしてない。魔法猫、嘘つかない」
 自分なりの節度を主張するスモーキーだったが、ヒカル先生にも信用してもらえず、ランプと接続を切り離して、家出。
 「旦那のばーか! かーば!」
 その様子を心配する麗に、ヒカルはスモーキーの出自について語る。
 もともとスモーキーはマジトピアの火山の煙から生まれたグレ猫で、手の付けられない暴れん坊だったが、ある日、 呪いの宝箱を開いて消滅寸前になってしまう。それを助ける為にシャインはマジランプの中にスモーキーを封印。結果、 スモーキーは消滅を免れるが、ランプから離れると3時間で消え去る存在になってしまう。 消滅の呪いを解除するには人の願いを叶え続けて立派な魔法猫になるしかなく、それ以来、二人は一種のコンビ関係にあるのだった。
 スモーキーに関してはもっと大雑把な存在なのかと思っていたのですが、思ったよりしっかりと設定が組まれていました。
 付き合いの長いヒカルは、これまでも何度も家出しているし、消滅する前に帰ってくるだろうと、軽い対応(笑)
 「でも……スモーキー、泣いてた」
 スモーキーを探しに出た麗は、河川敷でスモーキーを発見し、嫌いだから叱るのではない、と諭す。信じたい、信じられたいからこそ、 信じられるような行動をしなくてはならない……と麗に教えられるスモーキー、それまで呼称が「次女」だったのが「麗」に変わるのが、 おいしい所。二人は家に帰ろうとするが、冥獣人ハーピーのピーウィーを目撃し、その後を追う。
 ピーウィーの特殊能力は、人間の空腹感を胃の中でハーピー虫という寄生虫に変える事。 そしてハーピー虫はピーウィーの囀りに反応して急成長し胃を食い破って飛び出す! という割とスプラッターな大規模音響テロこそ、 ナイとメアとピーウィーの魔法大作戦の正体であった。
 ナイとメアが魔法で化けたスモーキーを追い、事件の裏を知った4兄妹+ヒカル先生だが、 二丁携帯を構えるバンキュリアに足止めを食ってしまう。
 ピーウィーの音響テロを食い止めるべく、信じられる魔法猫になる為に、戦いを挑むスモーキー。追いついてきた青が参戦するが、 ピーウィーの攻撃を受けて、変身が解除されてしまう。
 「もう少しだけ時間と、麗を守る力をくれぇ!」
 存在の消滅まで3時間のタイムリミットが迫る中、気合いで反撃に出るスモーキー。
 「俺様最終究極奥義・猫まっしぐらぁぁぁ!!」
 魔法猫、超高速四つ足ダッシュから、まさかの某エンペラーばりの空中連続キック。
 割とコミカル寄りの着ぐるみなのに、凄く普通に格好良かった(笑)
 ウェイクアップそしてフィーバーしたスモーキーの奥義はピーウィーのクチバシを砕いて音響テロを阻止し、麗を守る。 だがその肉体には、消滅の時が迫っていた――
 「母ちゃん、てさ……母ちゃんてさ……火山から生まれた俺様には、いにゃいけど、うるさくて、怖くって、 怒ってばっかりで……優しくて……麗みたいにゃのかにゃー」
 麗の叫びも空しく砂となって消滅するスモーキー……と思われたが間一髪、駆けつけたシャインのマジランプの中に吸い込まれ、 事なきを得る。
 「信じ合うもの同士の力、見せてあげる!」
 「おう! 行くぜ麗!」
 「ジルマ・ジー・マジカ!」
 「「スモーキー・ブルーシャイニングアタック!!」」
 新魔法をDLした麗は再変身し、マジランプバスターを手にすると、水属性のスモーキーアタックでピーウィーを撃破。 思わぬ成り行きに、横で棒立ちのヒカル先生が面白い(笑)
 呆然とするバンキュリアが「戦慄の怪鳥が……」と言っているのですが、、どうして微妙にレスラーみたいな扱いなのか。 冥獣人は、通り名路線で行くのでしょうか。
 バンキュリアが使うウルザードの闇魔法で巨大化したピーウィーだが、 スモーキーが操るトラベリオンの連続キックからファイヤー逆噴射を受け、天空魔法斬りでチェックメイト。瞬殺でしたが、 巨大化の魔法の質が悪かったのかもしれません。
 スモーキーはすっかり麗に懐き、ヒカル先生は、(まったくスモーキーめ、 僕が年増と戦っている間に勝手に麗とイベントを進行するなんて言語道断……後で麗の見ていない所でこっそりお仕置きだなこれは、 いやしかし、スモーキーのお陰で最後に麗に抱き付かれたのでプラスマイナス0で、いや、 シャインの時でなければなぁ……)なんて事を考えていたが、色々と不適切な表現があるので、モノローグは簡潔に
 (信じ合うもの同士の力か……凄いよ麗。君もまた、新しい伝説の作り手なのかもしれないな)
 にまとめられた。
 ……5人分、これやるのでしょうか?(笑)
 存在感の薄かったスモーキーを、いいタイミングでクローズアップ。設定と物語がしっかりと繋がり、 麗だけではなくヒカル先生の補強になったのも良かった所。一方で、マンドラが着々と闇に堕ちつつありますが、ウルさんは、 狙うならここだな。
 次回、兄者、史上最大の危機。

◆Stage.27「俺たちの絆〜マジーネ・マジーネ〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
 えらい説明的な台詞で、かつてブレイジェルと激闘を繰り広げるも封印されたという、冥獣人四底王が登場。
 ……いやが上にも、なんとか三冥獣を思い出してテンションの下がる所です(おぃ)
 中村秀利、勝生真沙子、青野武、とキャスティングはやたら豪華ですが。
 小津家の恒例行事、9月4日は串の日の準備で兄者がノリノリの所で、地上に“呪いの血刀(ちがたな)” サムライのシチジューローが 出現。
 ……やはり、サムライもエネミー種族なのか。
 シチジューローの魔剣が“絆”を切り裂き、突然ガラが悪くなると、家を出て行くと宣言する、芳香、麗、翼、魁。
 やってくる引っ越し屋さんはそれぞれ、
 引っ越しのタケモト→竹本昇監督
 引っ越し社104→企画社104(各種デザインワークなどを担当)
 シュシュっと引っ越しセンター→ハリケンジャー
 か(笑)
 なお末弟は高校生なので部屋を借りられず、すごすご帰ってきました!
 「冥獣人に絆を切られたからって、こんな簡単にバラバラになっちまうもんなのかよ。俺たち家族だろ……兄妹だろ」
 兄者はアイデンティティに大打撃を受け、それぞれの様子を見に行くヒカル先生だが、皆それなりに自由を満喫していた。
 先日、兄者が一ヶ月の収入を無くした時に大騒ぎした割には、全員そこそこ金を貯めていた事が発覚したり…………なんか皆、 兄者にだけ冷たいような(笑)
 切れたのは、本当に、“絆”だったのだろうか。
 兄妹の団結は失われたが、それぞれがインフェルシアと戦う意志まで失ったわけではない事が確認され、 何とかだましだましやっていこうと善後策を練るヒカル先生。
 「それなりに力を合わせれば……」
 「駄目ですそんなの! 俺たちは、戦う為だけに組織されたプロのチームじゃない、兄妹なんです!  兄妹だから力を合わせられた、その気持ちがなくちゃ駄目なんです!」
 ここで、職業戦隊ではない、という点に触れてきたのは面白い。
 それも、前年プロフェッショナルの職業戦隊(『デカレンジャー』)を描こうとして、微妙に失敗した荒川さんが (最終的には良いところに収まったけど)。
 そしてその非職業戦隊ながらも戦ってこれた武器を、「家族」というコンセプトと繋げたのは鮮やか。
 兄者は4人を呼び出して串の日を強制するが冷たくされ、思い出のアルバムとか取り出してみる。 かつて兄者が不良高校生に暴力を振るわれた時、怒りに燃える4人が戦いを挑み、 あっさり返り討ちに遭うも食らいついて結局は相手を根負けさせた時……兄者は家族を兄妹を、愛し続けようと思ったのだった。
 「俺たちが素人なのにインフェルシアと戦えたのも、兄妹だからだろ? 誰かが傷つけられた事を怒ったり、 誰かを守りたいと思ったり、そんな気持ちが人一倍強いのが、家族や兄妹ってもんだ」
 兄者の必死の言葉が4人の気持ちを揺り動かすが、演説のいい所で、巨大シチジューローが出現。魔人化し、 個々に立ち向かうも4人はそれぞれ軽く蹴散らされ、妹弟を救う為、兄者魔人と鉄人が参戦。
 「絆は俺たちにとって、最高の力になるんだ!」
 絆に対する熱い想いの籠もったスーパーアニキスペシャルクラッシュで、牛魔人はシチジューローを一刀両断。

 ある意味、「勇気」全否定(笑)
 これにて一件落着かと思われたが、4人は元に戻らない……うんまあ兄者、個人の力で強敵を倒せる事、 証明しちゃったしな!(笑)
 実はシチジューローの本体は刀であり、肉体を乗っ取られる兄者。魔剣の虜となり鎧兜を身につけたサムライ兄者は、 思い出のアルバムを無残に切り裂く!
 「絆が切れたこいつらには、もう必要ねえだろ」
 ここで、舞い散るアルバム紙吹雪の演出がいい味。
 アルバムは細切れにされ、妹弟の目の前で燃え上がる思い出の写真。それを見つめた4人の胸に、兄者の言葉が去来する……
 「兄貴!」「兄ちゃん!」「お兄ちゃん!「おにいちゃん!」
 絆を取り戻した4人はサムライ兄者にタックル。その隙にマジシャインがスモーキーシャイニングアタックで刀を破壊してシチジューローを倒し、 兄者は無事に正気に戻るのだった。
 だが……
 「四底王は死してなおその力で闇を広げる」
 撃破されたシチジューローの体から溢れ出した闇を集める、四底王のコボルド――と、四底王は、単なる出落ちではない事をアピール。
 怪人がもう一度巨大化するのかと思ったらマジキングは出番無し。前半の戦闘シーンで一応ノルマを果たし、 クライマックスバトルが実質生身だった、という終わってみれば面白い構成。
 最後は兄者に新しい魔法がDLされ、地面にぶちまけた串の日セットと、バラバラにされたアルバムが復元されて、大団円。
 ……あれ、禁呪?
 おまけコーナーによると、「駄目になったものをいい状態に変える呪文」という事ですが、 「戻す」だと問題が出るので「変える」として「いい状態」の基準は? など、レトリックを駆使しつつ色々と疑問が募ります(^^;  ここまで巧くまとまっていたのに、最後だけ、新魔法DLの“お約束”を無理に処理しようとして少し崩れてしまいました。
 (絆は最高の力か。蒔人もまた、新しい伝説の作り手に違いない)
 ヒカル先生が段々、自己暗示みたいになってきた……!
 出落ち感満載の冥獣人四底王がやたら大仰な説明台詞で出てきて、ウルさんと「やるな……」 「おまえこそ」みたいな茶番を始めた時はどうなる事かと思いましたが、安定の兄者回。
 一家離散で兄者史上最大の危機と、家族(兄妹)戦隊というコンセプトを繋げ、 技術的に拙い筈のマジレンジャーがこれまで勝利してきた理由付けまで広げたのは、実に鮮やか。
 鮮やかすぎて、「勇気」テーマより「絆」テーマの方がしっくり来る、という事態になってしまいましたが(笑)
 「絆」があれば、「勇気」要らないのではないか……という。
 ただまあ、魔法の配給元が勇気重視政策なので、上のルールには従わなくてはなりません。
 勇気はコイン、絆は力。

◆Stage.28「永遠に…〜ジルマ・マジ・マジ・マジーネ〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:前川淳)
 池の畔の四阿で、琴をつまびく歌姫、というファンタジックな入り。近づいた釣り人は池から飛び出した何者かに襲われる…… ランニング中に歌声を耳にして誘われた翼は歌姫と遭遇するが、なけなしのイケメン力を発動して、命を救われる。
 実は彼女は、一週間前に謎の突然死を遂げた歌手、間宮レイ。かつての戦いで喉を潰された“虐殺の歌姫”セイレーンのネリエスが、 その力を取り戻そうと、殺害したレイの魂に人間を誘う魔性の歌を強制していたのだった。
 ネリエスが微妙に甲殻類っぽいデザインなのは、池に潜んでいるからか(笑)
 レイの歌声につられて人々が誘き寄せられ、それを助けるマジレンジャー。ネリエスは巨大化し、その間にレイの手を取って逃げた翼は、 彼女の悲しい事情を知る。
 「言ってたよな。私には歌しかない、って。だったら、俺の為に歌ってくれないか」
 レイが既に死んでいると知りながらもその歌声に心引かれる翼、翼の温かさに心を取り戻すレイ……しばらく、 レイさんの歌唱シーンと翼さんのイケメンパワーフルブーストをお楽しみ下さい。
 翼はフィーチャーされる度に「実は熱い一面」がアピールされるのですが、そもそも斜に構えた態度が本編で活きた事がないので、 今ひとつ巧く回りません。芳香ぐらい、普段はらりぱっぱーが徹底していると、「実は……」展開もメリハリが付くのですが。
 例えばこのエピソード、まんま魁に変えてもほぼそのまま成り立ってしまいますし、魁と翼はどうも押し出しが弱い。
 まあこの辺り、私の翼に対する好感度が今ひとつ低い影響というのも正直ありますが(^^; ただ何となく、翼が一番、 父の血を濃く受け継いでいるキガスル。
 レイの魂を魔法で解放しようとするシャインだが、思わずそれを止めてしまう翼。押し問答の最中にレイがネリエスにさらわれ、 その身に吸収されてしまう。レイの魂を吸収した事で、ネリエスの歌声が復活…………て、それで喉が治るなら、 最初からそれで良かったよーな。
 いや一応、今までレイが集めていた分+レイ、で丁度治った、という解釈は出来ない事もないですが、展開としてはやってしまった系。
 死を呼ぶ歌声を取り戻したネリエスは、ウォーミングアップの音波攻撃でマジレンジャーを苦しめる。 ここまで圧倒的だったマジシャインですが、四底王戦ではダメージ描写が増え、彼我の戦力バランスがやや均されています。 シャインが苦戦すればするほどウルさんの株価がセットで下がっていくのが困り物ですが(^^;
 相変わらず華麗に闇の魔法を使いこなすバンキュリアが妨害に現れる中、マジイエローはレイを取り戻そうと、 ネリエスに異物浄化の魔法をかけるが、通じない。もはや完全に、レイは取り込まれてしまったのか……しかし諦めずに、 魔法を唱え続けるイエロー。
 そして、ネリエスの音波攻撃を前に変身を解いて、全裸ガードを敢行した翼の勇気に応え、 より強力な浄化魔法がDLされ、レイはネリエスの中から解放される。
 「最後まで諦めずに彼女を助け出そうとした、翼の勇気にスペシャルな魔法が応えたというのか?!」
 先生それは、悪い時のマジレンジャー理論です(笑)
 翼はレイを救い出し、シャイン+4人での一斉射撃「ワンダフルシャイニングスター」でネリエスは撃破。 マジキングは2話連続で出番なしで、ネリエスの闇の力もまた、コボルドに吸収される。
 「これで四底王は残り2人、だが五色の魔法使い達、本当の試練はこれからだ」
 思わせぶりに呟くウルさんですが、えーこの人、魔法力取られた後、何しているの?
 本当にこう、あらゆる駄目な悪役パターンを網羅しにいっている感じで、いっそ凄い。
 ネリエスが倒された事により解放されたレイの魂は、あるべき所へ還っていく……という二枚目ポジション悲恋エピソードでしたが、 ゲストヒロインが事故や病気で死んだわけでなく、ストレートに冥獣の犠牲者、というのは若干、首をかしげる所。
 そもそも、主人公達の救いようのない所での悲劇、というのはあまり筋がよろしくないのですが、 その悲劇の要因を劇中の悪玉にしてしまったのは、二重に筋がよろしくない。 プロットの複雑化を避ける意図があったのかとは思うのですが、もう一工夫欲しかった所です。
 呪文再利用からのバージョンアップ、というのは使い方としては面白かったのですが、 これまであまりにそういう手法を用いていなかった事と、元の魔法が地味すぎて、あれ? 何それ?  になってしまったのは厳しかった点。
 おまけコーナーを見て、「ああ!」と思い出した視聴者も多かったと思うのですが(私がそう)、それでは遅いわけで、 前半に本筋と関係なく使うシーンを挟むなり劇中で前振りしておくべきだったなど、色々と粗の目立つエピソードになってしまいました。
 (翼の強い思いが僕も想像しえなかった奇跡を起こした。彼もまた、新たな伝説を作る魔法使いの1人なんだ)
 頑張れヒカル先生、あと1人だ!

→〔その5へ続く〕

(2014年10月13日/10月15日)
(2019年11月24日 改訂)
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