■『天装戦隊ゴセイジャー』感想まとめ5■


“星を護るは天使の使命!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『天装戦隊ゴセイジャー』 感想の、まとめ5(41〜最終話)です。〔GYAO!〕 の一挙配信で全50話を2週間で視聴した為、全体的に大雑把な内容となっております。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。


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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔総括〕


◆epic41「爆発! 仲間の絆」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:下山健人)
 エリ、鼻歌がズレ気味。
 こんなにズレた鼻歌は初めて耳にしました(笑) さすがに本人ではなく、音響関係の問題な気がします(^^;
 今日も懲りずに地上に現れるメタルアリス。「またおまえか!」「またおまえか!」と、最近のナイトとアリスの会話は、 度々婚活パーティで再会してしまう、別れた夫婦のようです。
 アリスが繰り出したヒトデロボは棒立ちで役に立たず、アリスはロボを捨てて撤退。その存在に敵意を感じないエリは意思疎通をはかり、 ゴセイジャーは少しずつヒトデロボと仲良くなっていく。だがその体内には、 周囲300kmを吹き飛ばす強力なリモート爆弾が内臓されていた。天装術により爆弾を除去しようとするゴセイジャーだが、 そこにメタルアリスが現れると、ヒトデロボのバトルモードを起動する。全ては最初から、 人間の仲間意識や感情について研究しようという、メタルアリスの実験だったのだ!
 ヒトデロボと戦う事ができないゴセイジャーが、人工知能をショートさせる事で動きを止めようとするのですが……それ、 殺すのとあまり変わらないのでは(^^;
 エリ渾身のサンダーによりロボの動きを止める事には成功するが、アリスはロボを巨大化して爆弾を起動。 エリは責任を取ってロボを乗せたアルティメットで急上昇するが、これまで培ってきた絆の奇跡か、 エリ達との交流の記憶を取り戻したロボは自らアルティメットを離れると天高く飛翔し、エリを護って砕け散るのであった……。
 勝手な実験を海老閣下に怒られてお仕置きを受けるアリスは、自分の制御を外れて自爆したヒトデロボの姿に、 仲間意識や絆は海老閣下の支配や制御を上回るのではないかと考え、オーソドックスな交流話にマトリンティス側の揺らぎを絡め、 悪くない出来。また久々に、エリがヒロイン度を稼ぎました。……まあ、遙か30馬身先を、望少年がぶっちぎっているのですが。
 次回、扱いの雑さに耐えかねて、ダークデータス降臨?!

◆epic42「情熱的ハイド」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
 「データス、余計な事はしなくていい! おまえは機械なんだから!」
 ハイド、言ってはいけない一言を言ってしまい、怒るモネ。
 「データスはデータスでしょ! データスもここ、怒っていいとこだよ!」
 ……なお、お兄ちゃんは似たカテゴリでナイトに酷い事を言った事がある模様。
 マトリンティスは国際平和会議を人質にデータスの身柄を要求し、自ら名乗り出るデータス。
 ……待て馬鹿、時間稼ぎぐらいさせろ!
 誤情報を仕込むとか致命的なウィルスを仕込むとか色々出来るのに……!
 多くの人々を犠牲には出来ない、とゴセイジャーはやむなくデータスを差し出し、囚われのデータスは見知らぬ場所で目を覚ます。
 「もしやここは、マトリンティスの基地……」

 今だ、自爆だ!! (※最低限の基本的なセキュリティです)

 だが残念ながらデータスは自爆装置を内蔵していなかったらしく、メカゴーグはデータスから護星界の科学や護星天使と天装術に関するデータを吸い出すと、 それを元にしたマトロイド、イミテーションのデスデータスを誕生させる。 ゴセイジャーの動きを完全に先読みするデスデータスに苦戦するゴセイジャーだが、ハイドが廃棄処分寸前のデータスを救い出して復帰し、 データス込みでのゴセイジャー名乗り。
 ……ゴセイナイトはイケメンなので、何も言わずに遠慮しました(笑)
 データス発案の、変装呪文による入れ替えでデスデータスを混乱させたゴセイジャーは、 ダブルゴセイブルーアタックからのデータスギャラクティカマグナム、そしてミラクルゴセイナイトダイナミックで滅殺。
 ゴセイイエローだと思ってミサイル撃ったら本当はナイトで全弾軽く回避、って色々な意味で酷い。
 80年代ノリの挿入歌で、もう二度と見ないかと思ったデータスハイパーが登場し、ロボットも揃い踏み。
 「俺たち護星天使と」 「そのサポーターが」 「「「「「「悪しき魂に、天罰を下す!」」」」」」
 「あれが仲間の……数値を超える力……」
 職場でストレスの多いアリス女史は、変なオカルトに触れてしまうのであった……。
 口では厳しい事を言いながらも、ハイドが誰よりも早くデータスの水濡れを心配して拭き取っていた事に思い至り、 ハイドの本心を知ったモネは謝罪。ゴセイジャーとデータスは改めて、仲間としての絆を深めるのであった。と、 サポートロボ話をやってくれたのは嬉しい。
 まあデータス、扱い軽いけど、情報処理能力は極めて高いし、一応戦闘能力もあるし、性格は善良 (重要なポイント)だし、サポートメカとしては歴史的にもかなり優秀な部類なので、邪険にするなど、本来ならとんでもありません。
 ED、5人が歌うバージョンに。多分モネが一番上手くて、ハイドがゴセイナイトが思わず撃ちそうなレベルでヤバい。

◆epic43「帝国総攻撃」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 独裁ハリケーンのセンスは好き(笑)
 ゴセイジャーに関する全ての情報を集め終えた海老閣下は、今こそ決戦の時、と地上に総攻撃宣言。
 閣下は「10サイ」らしいけど、「天才」って取られていると思うので、「10サイのロボゴーグ」 名義での全世界への宣戦布告に対する地上人の主な感想は、
 「痛い……」「痛い……」「痛い……」
 だと思われます。
 決戦を控え、気合いを入れるゴセイジャーのシーンで、ヒトデロボの事を拾ってくれたのは良かった。
 マトリンティスの先鋒を務める量産型シールドロボを撃破するゴセイジャーだが、ブレドランの放った光線を受け、 装備が使用不能になってしまう。
 「恐怖こそが、全てを統率できる、唯一のものなのだ」
 研究の結果、ゴセイジャーの能力を封じる事に成功した海老閣下が満を持して登場し、 一発限りの最終兵器・厄災ディストラクションを起動。
 「私は護ってみせる! この星と、この星を愛する人間と、使命を持った、五人のゴセイジャーを!」
 地殻変動すら引き起こすその一撃を、全身のゴセイパワーを振り絞った3属性バリアで防いだゴセイナイトは、 最後に残った力で5人のテンソウダーを復活させると、レッドに銃を託して機能停止。
 …………まあその人、しばらく放っておくと予備電源が機能して第二段階で再起動しそうですが。
 ナイトの志を胸に5人は再び天装し、いよいよ、メカゴーグとの最後の戦いが始まるのだった。

◆epic44「究極の最終決戦」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 天知家のソファに転がるゴセイナイトという、割とショッキングシーンから(笑)  何とか生命力を残していたナイトだが……えー……ここまでは、データスが運んだのでしょうか?(^^;
 ゴセイジャーの怒濤の連続攻撃に苦戦する海老閣下はブレドランを自爆特攻させようとするが、 そこへ割り込んだメタルアリスが自爆を買って出て……大失敗。映像的にはなんだか、びみょーな感じに。「仲間にも冷たい奴!」 と今更みんなで海老に怒るのもなんだか、びみょーーーな感じに。
 「おまえは人間の事を、何もわかっていない!」
 「わかっているさ。お前達よりも、よぉくな」
 そして海老は、太古のマトリンティスに生きたある天才科学者の事を語る。 あまりにも先進的すぎて誰にも認められずに不遇をかこっていたマッドサイエンティストだが、 地殻変動により大陸が沈もうとしたその時になって、人々は手の平を返して科学者に助力を求めた。その時、 科学者は人間の愚かさに絶望すると同時に、人間は恐怖によってたやすく支配できる存在だと確信したのだ。
 おお、そこへ踏み込んできたのか……と思ったら、それ以上は特に突っ込まず流したので、あくまで仄めかすだけ、 というのも作風を考えたらありかな……と思ったら巨大化後にアラタが「さっきの科学者って、おまえの事だろ?  今からでもやりなおそう?」と《説得》開始。……えーといいのか、そこ、護星天使が海老閣下を元人間と認めてしまって大丈夫なのか……?  気付いても、知らないフリをした方が良かったのではないか……?
 激しい不安がわき起こる中、ダイス目が悪かったのか、「何それムカつく」と説得を拒絶した海老閣下は、 心中兵器・玉砕クラッシャーを起動。大ピンチとなるゴセイジャーだが、謎の光を浴びて復活したゴセイナイトが参戦し、 アルティメット、グレート、グランド、データス、の全必殺技発射で天罰覿面。遂にマトリンティスの支配者、 海老閣下を撃破するのであった。
 …………元人間に天罰執行して大団円モードなのですが、本当にそれでいいのか。
 人間さいこーをモットーとする護星天使の前に立ちはだかっていた冷酷非情な侵略者は実は元人間だった! という、 護星天使の根幹を揺るがしかねない要素を入れてきたのに、完全スルー。いいのか?  あくまで「元人間」だからいいのか? 百歩譲って、もう後戻り出来ないメカ野郎だから仕方ない、としても、 その部分の葛藤が一切描かれないのは大問題。これなら、アラタの説得フェーズが全く無意味で、 むしろ海老閣下の過去語りで仄めかすだけにしておいた方が、遙かに渋くて良かったです。
 首だけになっても活動し、ブレドランに再生スイッチを押すように命じる海老閣下だが……
 「この時を待っていた……待っていたのだぁ!」
 なんかまた、始まりました(笑)
 ブレドランは再生スイッチを破壊。実は、ブレドランにまんまと転がされたアリスは海老が保管していたブレドランの記憶メモリを回収。 戦闘前にかつての記憶を取り戻していたブレドランは、故意にゴセイナイトの能力を封じないなどの策を弄し、 ゴセイジャーと海老閣下が力を使い果たすように仕向け、謀反のタイミングを狙い澄ましていたのだった。
 「ブレドラン、謀ったな!」
 「恐怖を司っていたつもりのあなたが、実は最も恐怖に怯え、感情的になっていたのですよ。その姿は、あなたが最も蔑んでいた、 人間の醜い本質そのものでしたね。ふふふふふ、なんという痛快な皮肉だ」
 「おのれぇーーーっ」
 「我が閣下よ!マトリンティス帝国など、所詮あなたという愚かしい元人間の、幻想でしかなかったのですよ!」
 「ブレドラン、やはりおまえの正体は!」
 「おまえとは、器が違うのだ!」
 抜き取ったブレドランの記憶で何かを知った為に、敢えてそれを保存していたらしい海老、ブレドランの攻撃で完全に爆死。
 「ブレドラン……私達は、恐怖の支配から、逃れられたのね」
 「そうだ。これからは――私の時代だ」
 自爆装置の使用により、倒れていたメタルアリスをわざわざ抱き起こした上でトドメを刺す、ブレドランの素晴らしいダメ男ぶり。
 「ゴセイジャー、次に会う時を、楽しみにしているがいい」
 こうしてマトリンティスは完全に崩壊し、衝撃の復活を遂げたブレドランは自由の身となって姿を消す。果たして、 護星天使の戦いの行く末や如何に――?!
 海老閣下の最期は、ブレドランのハイテンション含め、悪くなかったです。惜しむらくは、 マトリンティスの出オチ感が最初から強すぎた事(^^; 33話での登場という事を考えれば、残り話数から 「これが最後の敵組織か?」と思わせても良かったと思うのですが、出てきた瞬間から「これがラスボスは、無いな」 という雰囲気全開だったのは、構成として勿体なかったです。もう少しラスボス感があれば、物語全体に緊張感が出せたと思うのですが。

◆epic45「救星主、誕生」◆ (監督:加藤弘之 脚本:横手美智子)
 使いそうで一切触れなかったクリスマスツリー、冒頭10秒で処理され、お正月に向けて盛り上がる護星天使達。 そこに急にマジトーンのアラタがホワイトボードを持ち込み、そもそもブレドランとは何者なのか……をテーマに振り返る軽く総集編風味。 最初から振り返るのではなく、最近の出来事から巻き戻っていく、というのが新しい(笑)
 ところで結局、最終盤までアラタのこの、ゆるゆるモードとマジモードが突然切り替わるのに馴染めませんでした(^^;  そういう性格、という事なのでしょうが、どうも物語都合が目について、すんなり受け入れられず。
 テンソウダーを封じた力、タイムリバースの際の謎ビーム、一時的とはいえアバレヘッダーを制御した事、 エルレイの箱の封印を解いた可能性、護星天使や天装術への知識……ブレドランは所属していた組織それぞれとは異なる、 何やら謎の力を持っている……とかつてなく適当な敵を振り返って辻褄合わせしていくという、 斬新な総集編(笑)
 「もしかしたら……幽魔獣ですら無いのかもしれないよ」
 ブレドランが1万年前、幽魔獣が箱に封印された後でウォースターに参加したとするならば、その頃に何があったのか……だが、 当時の事を知る者は誰も居ない……て、いや、律儀に本を返しに来たゴセイナイトがそこに立っているのですが、何故かみんな、無視。 そこへ天知博士が入ってきて慌てる皆だが、何とそれは、博士の体を借りたマスターヘッドであった!  ゴセイジャーを助ける為に莫大な力を消費したマスターだが、完全消滅を何とか免れ、人間界で依り代を見つけて安定。 そこから一時的に、博士の体を借りているのだった。
 マスターは、「今後もたまに博士の体を借りていいか?」と適当なノリで望に許可を求め、ここで望少年がすんなり頷かないで、 これは悪魔との契約ではないのか――と躊躇ってから承諾したのは、お父さん好きが出ていて良かった(笑)
 前回、バッテリー切れのナイトに力を与えたのは復活したマスターという説明がされ、マスターは1万年前に幽魔獣を封じ、 姿を消した最強の護星天使について語るが、そこでマトリンティス反応で皆が出撃。 ここでマスターとナイトの間に思わせぶりな会話が入り、ナイトの適当復活にはさすがに何らかのリスクがある様子。
 「望……さらばだ」
 ナイトの言葉の意味を問う望だが、そこで天知博士の意識が戻るという、マスター見事な逃亡。
 ゴセイジャーと対峙したサイボーグブレドランは、天装術を天装術で弾き返すと、その真の姿を明らかにする。
 「私は元・護星天使。救星主の――ブラジラ。愚かで弱い人間どもは根絶やしにし、汚れきった地球は、 粉々に打ち砕く。そして私は、新たな星を創り直し、救星主となるのだ」
 なんと、ブレドランの真の姿は、護星の使命を捨てた、堕天使だった!!
 ゴセイジャーに根付いた「護星の使命」の適当さ加減に対する不安感が主に視聴者的に増す中で、これはなかなか、面白い展開。 サイボーグ時代の決め台詞だった「護星天使は俺が落とす」というのも、「星」に掛けて洒落ていたばかりではなかった、となかなか小粋。
 ………………まあ、チュパカブラ時代に大爆死していたのは芸には見えませんでしたし、制裁ボムも自力では外せなかったので、 態度ほど凄まじい力を持っているとも思えず、これまでの行動も綱渡りの連続としか思えないのですが、

 「ウォースターからは武力」(…………え?)
 「幽魔獣からは幻術の力」(…………要るの?)
 「マトリンティスからは技術力」(…………完全な偶然)

 とこれまでの立ち回りで得たものを力強く断言する、自己肯定力が物凄い。
 ……この人あれだ、頭脳派の策士とかではなく、

 ハイレベルなスリルジャンキーだ!!

 ……あとこの流れだと、マスターが意味ありげに言及した「最強の護星天使」よりも、 死にものぐるいで様々な力をかき集めて自分を強化した「貧弱な護星天使」の方が正体としてはしっくり来るのですが、さて、 マスターの言動はミスディレクションなのかどうなのか。
 というわけでいよいよ次回から、最終章。
 エピソードとしては、総集編風味を逆手に取った構成の工夫はとても面白かったです。だけに、 途中で適当なジョーカーであるマスターヘッドで処理してしまったのは勿体なかった。まあ上述のように、 真相を匂わせているようで実は……という仕込みの為にどうしても必要だった、という可能性はありますが。
 面白い素材を終わってみれば無味無臭に調理してしまう事には定評のある今作ですが、ここまで見てきたので、最後に一化け、 一応期待したいなぁ。

◆epic46「狙われたゴセイナイト」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 OPに、色々なブレドラン登場(笑)
 『ゴセイジャー』の長所を一つ挙げるとしたら、この細かいマイナーチェンジと、“いい絵”の所はクレジットを入れない、 という凝ったOP。かなりこだわって、良く出来ていると思います。
 本編の見所は、ブレドラン改めブラジラの繰り出してきた金牛ヘッダーへの対策を練るアグリとモネの姿に、 「え? おまえらの脳、機能してたの?」みたいな視線を向ける望少年。
 兄妹の絆の話なのですが、弱点である角を破壊しても再生されてしまうが2本の角を完全に同時に破壊すれば大丈夫……て、 それだけ角を壊せるなら普通に勝てるのでは……? という、よくある本末転倒な展開(^^; 演出もちょっと悪くて、もう少し、 角以外には攻撃が全く通用しないのを強調すればまた変わったとは思うのですが。
 ブラジラによると、1万年前、幽魔獣をエルレイの箱に封じたブラジラだが、その時に出した犠牲の件を護星界上層部に問いただされ、 捕まってお仕置きを受けてしまう。その事を恨んだブラジラは実験中だった時間移動の天装術で、未来へと脱出。 1万年後の世界――「現在」へと辿り着くが術の副作用で容貌が全く変わってしまい、しかしこれ幸いとウォースターに潜り込み、 地球救星計画の準備を進めていたのであった。
 ……本人の供述通りだと、未来に来てすぐにしれっとウォースターの幹部面していた事になりますが、あまりに不自然なので、 1万年も9990年も誤差の範囲で、10年ぐらいはウォースターで下積みでもしていたのでしょうか。
 確かに1万年もウォースターで働いていたのも変なわけですが、突然の時間ジャンプの告白により (タイマーカブトガニの回と繋げているのでしょうが)、ブレドランの背景とか抱えている情念とかが吹っ飛んでしまい、 いきなりのがっくり展開。
 この後まだあるかもしれませんが、もう少しこう、ブラジラが歪むに至る経緯をドラマチックに描いてほしかったなぁ……。
 一万年前の戦いにおいて、グランディオンの主だったブラジラはゴセイナイトを拉致。ゴセイジャーは金牛ヘッダーを打ち破るが、 それによって大地に打ち込まれた巨大な楔を見て、ブラジラはほくそ笑むのであった……。

◆epic47「地球救星計画の罠」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 ブラジラが護星界で罪人とされた真の理由……それは、1万年前の戦いにおいて箱を使う為に、 2人の仲間を殺してそのゴセイパワーを奪い取った事にあった。元々の護星天使としての強力さに加え、 3属性全ての力を使いこなすようになった事で、ブラジラは自らの為に地球を創り直す事を計画したのである……と、 前回の供述に補強が入り、それは怒られるなぁとなりましたが、すっかり誇大妄想の方向に。
 個人的な妄想としては、
 1万年前、星と命を護る為にエルレイの箱で幽魔獣を封じた“最強の護星天使”……それは、 護星天使ブラジラの最愛のパートナーであった。だが、箱の使用によりゴセイパワーを使い果たし、彼女は死亡。 しかも禁忌の術に手を染めた事を隠蔽する為、護星界上層部は彼女に関する記録を抹消してしまう。怒りに震えながらも、 最愛の人が護った星と命を護り続けようとするブラジラだったが、地球はその人間の手によって加速度的に汚され、 崩壊への道を進んでいく。最愛の人が命を賭けた美しい星を取り戻す為、護星界を出奔した“最弱の護星天使”ブラジラは、 死にものぐるいであらゆる力をその身に集め、「地球救星計画」を発動する……。
 ぐらいの背景と情念が欲しかったです(笑)
 すべからく悪人に事情があればいいというわけではないですが(敵が純粋な悪だからこそ面白くなるという物語も当然ある)、 そもそもの立ち位置からしてブラジラは背景あってこそ面白くなると思うのですけれども。……誇大妄想パターンって、 それを支える情念の裏付けを描かなくて済むから、作劇としては割と楽な手段で…… 誇大妄想そのものをキャラ付けと繋げて面白く描ければいいのですけど、ちょっと残念。
 「ブラジラぁぁぁ!! おまえに教えてやる! 地球を護れなければ、俺たちには生きる資格がない! 仲間が居なければ、 生きる喜びがない! 俺は、地球も仲間も護ってみせる!」
 怒りのブルーに滅多切りにされるブラジラ。……真の姿を見せても、安定の芸風です。
 ゴセイジャーは馬ヘッダーを撃破するが、金色の粒子と化したヘッダーは、巨大な楔と化して海に大穴を穿つ。
 強力なゴセイパワーによって敢えてヘッダーを倒させ、その力を楔に変えて天地海に打ち込む……それこそが、 地球救星計画の為のブラジラの狙いだったのである!
 残る楔は、空の1本。ゴセイナイトもダークゴセイナイトと化してしまい、果たしてゴセイジャーは、 ブラジラの計画を止める事が出来るのか! というかブラジラは、術の完成前にネタばらしして大丈夫なのか?!
 もはや完全に、マスターの操り人形と化してしまった天知博士ですが、口髭つけて、ちょっと難しい顔をさせて、 熟練の声優さんが声をあてると全く別の人間に見えるというのは、凄い。一種の、着ぐるみ芸(笑)

◆epic48「闘うゴセイパワー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 ゴセイジャーの持つゴセイパワーを利用して、地球を打ち砕くネガーエンドの秘術を完成させようとするブラジラ。 エリを望の看病に残し、打ち込まれた楔の破壊を試みるゴセイジャーだが、その前にブラジラとダークゴセイナイトが姿を現す。 ブラジラはダークゴセイナイトを最後の楔にすると言ってゴセイジャーにけしかけ、遂にアラタは、 正気を取り戻さないナイトとの戦いを決意する。
 「俺は、あなたを倒す!」
 一方、残り3人の前にはブラジラの配下であるドリル羊ヘッダーが姿を現し、巨大化すると街を大規模破壊。 天使の歌で望を癒したエリが合流し、4人はゴセイアルティメットでドリル羊ヘッダーへと立ち向かう。
 「間もなく、新しい地球が生まれる。美しく、汚れのない、完璧な私の星が」
 ドリルは4人とデータスがパニッシュし、その間、ひたすらぶつかり合うゴセイレッドとナイト。 壮絶な戦いにおけるアラタの狙い……それは、ブラジラからナイトに供給された闇のゴセイパワーを使い切らせる事にあった。 生身アラタの護星パンチが直撃し、正気を取り戻すナイト。これでブラジラの野望は絶たれたのか……? と思ったその時、 パニッシュしたドリル羊が最後の楔となって地球に突き刺さる。初めから「ダークゴセイナイトを楔にする」 というのはブラジラの虚言であり、その真の狙いは、ドリル羊を倒させる事にあったのである!
 ……それはそうだ。
 ブラジラの性格の悪い策がはまったというより、 何も考えずにドリル羊を倒してしまうゴセイジャーがさすがに頭悪すぎます(^^;
 「地球救星の儀式、ネガーエンドをこれより始める事とする。ふはははははは」
 今回、天知博士が護星天使達の素性に気付いていた事が判明。いったいいつから……? という問いをはぐらかし続けた挙げ句、 つい最近、「マスターが体を借りる際に事情を全て話して許可を求めていた」というどうしようもないオチ。
 マスターはいったい、何の為に望少年にも博士の使用許可を求めたのか。もし望少年が「断る。帰れ」と言ったら、「あ、いや、 実はもう、お父さんには許可貰ってるんだよ。ほ、ホントだよ!」とでも言うつもりだったのか。
 最終章のマスターヘッドの使い方は果てしなく最悪なのですが、なんかもう、 作り手の側が天知博士が事情を知らない状態が面倒くさくなって、強引かつ台無しに処理した感。

◆epic49「未来への戦い」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子)
 ――たとえ明日世界が滅ぶとしても、今日私はリンゴの木を植える。(マルティン・ルター)
 「これだって、地球の未来だ。俺と望で、一緒に育てていこ」
 ネガーエンドが迫る中、望と一緒にリンゴの種を植えるアラタ。一方、宿願を果たそうとするブラジラは、 踏み台にしてきた昔の上司達の怨念を前に、俺はお前達の下で働いていた時にこんな事を考えていた……と 今日も自己肯定に励んでいた。
 それぞれの組織の首領を嘲る、
 「浅はかな武力万歳」
 「陰湿かつ卑劣な思考」
 「自意識と自信過剰」
 てこれ全部、お ま え の 事 だになっているというネタなのでしょうか(笑)
 そこへ単独でカチコミを仕掛けたゴセイナイトだがブラジラに敗れ、海底基地ごと大爆発して浜辺に打ち上げられる。 皆既日食のタイミングを狙って発動を開始する、秘術ネガーエンド。
 「行け、ゴセイジャー。ここからは、お前達のターンだ」
 ナイト、マスター、データスは、地球深くへ潜っていこうとする楔を止めに向かい、ゴセイジャーはブラジラの元へ。
 「仲間を裏切り、命を弄び、そして手に入れた力で、俺たちを倒せる筈がない!」
 何度か書きましたが、結局この「命を弄ぶ奴は許さない」というのが、どんな悪に対しても繰り返される、 というのは今作の短所の一つ。作品として統一したテーマがあるのは良いことですが、 せっかく悪の組織の入れ替わりというコンセプトなのだから、敵の組織に合わせたテーマがあって、 それを年間で集約していく……というような組み立てを目指して欲しかったところ。……まあこれは、 一気にまとめて見ている為に余計に気になる、というのもあるかと思いますが(^^; 意図的に繰り返したのだとは思うのですが、 個人的には違うアプローチが欲しかったです。
 「護星の使命が、俺たちに戦う勇気をくれる!」
 「何度でもあたし達は立ち上がって、あんたの前に立つ!」
 「地球と、全ての命の為に戦う!」
 「それが俺たち、護星天使だ!」
 ミラクル一斉攻撃からミラクルゴセイダイナミックを放つゴセイジャーだが、ブラジラは何とそれを、握り潰す!  ブラジラの翼オープンモードは、非常に格好いい造形。……バランスの問題で、動けないみたいですが(笑)
 5人は次々と力を奪われて変身解除。そして遂に、皆既日食が始まってしまう……。このままでは、 ダークゴセイパワーを操るブラジラに勝つのは不可能。意を決したハイドは、自分の持つシーイックパワーをアラタに託そうとし、エリ、 アグリ、モネもそれに同意。全てのゴセイパワーを失う事は護星天使としての死を意味するが、その力があれば、 ブラジラを倒す事が出来るかもしれない――
 「仲間を犠牲にして得た力で、私と闘ってみろ!」
 上で、1年間どんな悪の組織を相手にしても同じテーゼを繰り返し続けたのは『ゴセイジャー』の短所と書きましたが、 ここでそのアンチテーゼをぶつけ、アラタに「選択」を迫る、というのはやっと面白くなりました。
 「……嫌だ。俺は誰の力も欲しくはない! ハイドはハイドの力、エリはエリの力、アグリはアグリの、モネはモネの力。 俺たちみんなが、それぞれの力を合わせてブラジラを倒すんだ!」
 だがアラタはそれを拒絶し、ブラジラに生身特攻。派手に弾着しまくって地面に倒れるが、それでも、アラタは希望を捨てない。
 「みんな……命を犠牲にして手に入れる、平和や、幸せに、意味なんかない。何の為にみんなで戦ってきたのか、 何の為に俺たちがここに居るのか、みんなわかってるだろう! 互いを守り、支え合ってそして! その先に、護星の使命があるんだ!」
 これは、集約として良かった。
 ここまで今作はずっと、まず「護星の使命」があって、それが戦う力になり、その為には命を賭けてもいい、という構図だったのですが、 ここで、命を大事にする心や、互いを思う気持ちあってこそ、護星の使命を全うできる、という形になり、 とても歪つだった護星の使命が、ある程度綺麗に収まりました。
 こういう形で描けたからこれまでが許せるわけではないですし、こういう形で描けるならこれまではもう少しどうにか出来なかったのか、 となりますが(^^;
 そして最後にこのぐらいのレベルでまとめてくれればこそ、ここから大逆転しても許される(納得力が生じる)わけで、 だからこそ各組織とのクライマックスはもっと丁寧に組み上げて欲しかった所です。改めて、この大技が許されるのは、 1年間の物語で1回、せいぜい2回ぐらいだなぁと。

◆epic50「地球(ほし)を護るは天使の使命」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子)
 「みんな、行くぞ!」
 5人が生身でのポーズから変身し、そのままタイトルインは格好良かった。
 ゴセイジャーの猛攻にブラジラは自ら巨大化し、ゴセイジャーはゴセイグレートを召喚。実は特に弱体化していないので、 最後まで普通に1号ロボを使用、というのは割と珍しいでしょうか。他のロボがそれぞれ楔を止めに行っている都合なのですが、 今作の特性を活かしたといえます。
 ヘッダーも大集合し、毎度の事ながら、回避力高いのでヘッダー強い(笑)
 最後は強引合体・スカイランドシーゴセイグレートが降臨し、零距離射撃でブラジラと相討ちに。
 「これで、全てが終わり、再び始まる……!」
 だがブラジラは、最後の力でネガーエンドを完成させようとしていた(翼オープン状態で、ちょっとバックステップも披露!)。 執念で立ち上がるブラジラだが、ゴセイジャーも全ゴセイパワーを振り絞り、スクラムジャンプからのレッドダイナミックで一刀両断。 ブラジラ遂に死す……と思ったら、不屈の根性で再起動。
 「ただでは、死なん……。救星はならずとも、破壊だけは、必ず果たす。地球は、護星界ともども、滅ぶがいい!  ふははははははははは……!!」
 割れたブラジラから噴き出したダークゴセイパワーが楔に吸い込まれ、強化された楔はナイトらを吹き飛ばして地球深くへ潜り込んでしまう。 このままでは、地球破壊まであと10分――!
 「悲しいな……。ゴセイパワーは、自分だけの為じゃなくて、誰かの為に使った方が、お互い幸せになれるのに。……ブラジラは、 どうしてそれがわからなかったんだろう。俺たち、どうしてわからせてやれなかったんだろう」
 それは多分、「使命」「使命」ばかり言っているからだとは思いますが、ここの「悲しいな」は最後にアラタらしさが出て良かったです。 アラタは洞察力の高い、気遣いの人物として描かれてきましたが、その根っこは共感する力にあって、それ故に、 地球とその命ともシンクロしやすい――故に土壇場で大きなゴセイパワーを引き出せるのかな、と。
 3つの楔により巻き起こされる天変地異の大規模な被害描写が挟まり、けっこう適当にビルが吹っ飛ぶシーンが入る事もあり、 全体の陽性な雰囲気の割には、トータルでは割と被害の大きい戦隊かもしれない(^^;
 「僕にやれる事……やるべき事!」
 風が吹き荒れる中、リンゴの種を守りに外へ飛び出す望。
 「諦めないよ、僕。これは、地球の未来なんだ! 未来を育てていくのは、僕らだから!」
 ここで、今作でこれまでおざなりだった、天使ではなく「人間の出来る事」を抑えてくれたのも良かった。……ううーん、 『マジレンジャー』の49話(ラスト一つ前)もそうだったのですが、横手さん、 抑えるべき要素を拾って物語の根っこをまとめるのは結構鮮やかなのだけどなぁ。……どうして、 道中の「要素」そのものは上手く描けないのだろう(^^;
 5人はそれぞれのゴセイパワーで楔を止めようとするが、ブラジルの遺した怨念のダークゴセイパワーを止める事が出来ない。 ――だがその時、アラタが一つの気付きを得る。自分達、未熟な護星天使達が大きな力を得る事が出来たのは、未熟ゆえだったのだと。 未熟だからこそ、知らない事が多いからこそ、地球の美しさ、人々の逞しさ、命の素晴らしさをこれからも学び続ける為に、 この力を与えられたのだと。

「俺たちは!」
「「「「「護星の力で、この星を、護る!!!」」」」」

 ここでOPが流れ出し、イントロをバックに、嵐の中、空へ昇っていく金色の光を見つめる天知親子、というのは凄くいいカット。

愛する星を 護るため生まれた 運命さ

 この歌詞に合わせて翼を広げた5人の天使達が空の一角に集い、手を繋ぐ、という絵も良く、竹本監督が最後にいい絵を造りました。
 翼を広げた5人の天使達は大空に舞い上がると、ゴセイパワーを全力で放出。その黄金の光は地球の力と合わさって楔を消滅させ、 地球に穿たれたダークゴセイパワーの傷を癒して救星計画を阻止。同時に、ゴセイパワーと地球の力が合わさった事で、 いつもの木から伸びた光により、天の塔も再建されるのであった……。
 一気の奇跡の大団円ですが、とにかく入りの絵が素晴らしかったです。正直、アラタ理論はよくわからなかったのですが、 天使という特性を活かし、『ゴセイジャー』の集約として、良い絵になりました。ああこれが『ゴセイジャー』 なんだなーという納得を得られたので、最終回はこの絵で満足。
 そして――ブラジラの地球救星計画は失敗に終わり、平穏の戻る世界。ゴセイジャーは正式な護星天使に昇格。地上研修も終了するが、 5人は地上に残りたいと願い出、受け入れられる。だがそれは望との別れも意味していた……。
 ナイトは失ったゴセイパワーを補給する為にしばらく眠りにつく事にし、護星天使としてもっともっと地球や人々の営みを知る為、 それぞれ旅立っていく5人&データス。
 「望、お前に会えて良かった。感謝している」
 結局、ナイトは子役にほだされてしまいましたが、最後に目線を合わせて別れを告げるのも、格好良かったのでまあ良し。
 「アラタ……また会えるよね?」
 「もちろん。護星天使は、人には気付かれなくても、いつでも側にいる。ずーっと、みんなを見守ってる」
 「うん。みんな……またね」
 「うん、また会おう」
 EDが流れ出し、飛び去っていく5人&ナイト&データス。天知親子は、その背を見送るのであった……。
 「ありがとう、護星天使」
 ラストは、アラタとの約束のリンゴを育て、天使の羽根に触れる望少年、でエンド。圧倒的ヒロイン力でした(笑)
 ひたすら、やってほしい事をやってくれない作品でしたが、最後に望との別れをしっかり描いてくれて、初めて今作で、 やってほしい事をやってくれた気がします(笑)
 道中、激しく素材の無駄遣いがありましたが、49話後半〜最終話は、割と悪くなくまとめたと思います。 そこに至る道中が問題多すぎなので、総合評価はどうしても高くなりませんが(^^;
 1話ずつなら多分リタイアしていただろうし、週2話ずつだとだれそうでしたが、一気見の力でゴセイナイトと出会えて良かったです(笑)  バランス悪すぎるので最終章では役立たずの上にろくに見せ場もありませんでしたが、全体としては「ゴセイナイトの志を受け取り、 それを乗り越えていく」という構図になっているので、物語としては、正しい。
 表向きの軽い感じの一方、結構実験的な作品だと思うのですが……それは別項かまとめかで(^^;  さすがに脳が煮えてきましたので、とりあえずここまで。
 「断罪のナイティックパワー――バニッシュ!」

→〔総括へ続く〕

(2016年5月29日)
(2019年7月21日 改訂)
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