■『天装戦隊ゴセイジャー』感想まとめ4■


“地球のパワー 天装!
無敵の強さ ファイブスター!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『天装戦隊ゴセイジャー』 感想の、まとめ4(31〜40話)です。〔GYAO!〕 の一挙配信で全50話を2週間で視聴した為、全体的に大雑把な内容となっております。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。


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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕  ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ5〕 ・ 〔総括〕


◆epic31「ネバーギブアップ! ゴセイジャー」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久)
 ブロブが箱の力で自らの体に宿す粘菌を広範囲に拡散させ、毒の粘菌ネットワークにより地球を覆おうとする。 幽魔獣ビッグBまさかの合体技、幽魔バスター・幽魔ダイナミックからゴセイジャーをかばったゴセイナイトが大ダメージを受け、 ゴセイジャーは何とか幽魔獣の野望を食い止めようと、ビッグBに挑むのであった。
 「吾輩は人を随分と研究したけどねぇ。地球に一番優しくない存在は、実は人なんじゃないかい?」
 「なんだと……?」
 「知らないのかい? 世界には地球を百回滅ぼせる量の、爆弾があるんだよ。それは人どもが作ってきたものだろう?」
 と、面白い所に踏み込んできたのですが、データス越しに戦いをモニターしていた望が反論し、ブロブの「ただの綺麗事だよ」に対して 「いや、俺たちは信じてる」で終わってしまう為、広がりきらず、どうも弱い。
 ナイトと人間の関係など、色々と広げられると思うのですが、どうも脚本サイドでも、もっとやりたい事があるのに、 1話に収めてゴセイジャーの勝利で何となく話をまとめないといけない為、すべからく省略気味にせざるを得ず、組み立てにくそう。
 ナイトの助言もあり、巨大化したブロブ@打撃無効を打ち破るゴセイジャーだが、ビッグフットは何故か余裕の表情で引き下がると、 密かに箱をビービ虫で巨大化するのであった……て、何でも巨大化できるなビービ虫!(笑)

◆epic32「究極の奇跡を起こせ!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久)
 見所は、超ヒロイン化する望。
 望の誕生日を祝おうとするゴセイジャーだが、巨大化したエルレイの箱が都庁と合体。ブロブの真の目的は、 故意にグゴグの必殺技を受ける事でゴセイパワーをその細胞に染みこませ、箱の力と合わせて再生巨大化し、 地球そのものと一体化する事であった!
 ブロブを倒す為にゴセイジャーは都庁内部へと向かい、立ちはだかるビッグフットにはゴセイナイトが立ち向かう。
 「彼等のターン、邪魔させはしない」
 「馬鹿な護星天使どもは、膜インの中で終わりだ、終わりだ、終わりだ!」
 「そんな事は、この星と私が許さない!」
 都庁内部でのゴセイジャーvsビービ部隊の集団戦と、ゴセイナイトvsビッグフットの一騎打ちを並行して描く事で、 ここの戦いは盛り上がりました。ただ、中枢に辿り着いたゴセイジャーが例の如く気合いと根性でブロブを撃破してしまう為、 ウォースター壊滅時と同様に、幽魔獣との決戦も盛り上がりきらず(^^;
 これはずっと今作の欠点なのですが、ゴセイジャーは事あるごとにヒーロー口上を乱発する上に、 どんな戦いでも言っている事が基本的に変わらないので、“ここぞ”という時のパワーが致命的に不足しています。
 気合いも根性も正統派も構わないのですが、「そこで出る言葉」と「そこに至る積み重ね」の繋がりが弱いので(これを繋げる為に、 「物語」は存在する)、今ひとつ、上滑りして空回りしてしまう。
 敵組織が入れ替わって定期的に大きな波が来る、という構成なればこそ、ゴセイジャーが何に気付き、どんな力を得ていくのか (ギミック的なものではなく)、の1年間トータルでのホップステップジャンプの大まかな設計図が必要な作品だったと思います。 ……まあそもそも、戦隊ものでそういった年間の絵図を描くのは難しいわけなので、恐らくそういう風には作ってないと思うのですが、 とすると、コンセプトに問題があるよなぁと(^^;
 テクニックがあるので何となくまとまったものは書いてしまうのですが、サブ参加の荒川さんがどうもノっておらず、 可も無く不可も無く優等生的なエピソードが目立つのも苦しい(その分、これまでの枠を外しに行ったゴセイナイト登場編は良かったのですが)。 今回も言ってしまえば子役ヒロイン化による一点突破ですし。
 ブロブの仇を討つために、ビッグフットは自ら巨大化。一方、ブロブが消滅した事で、 都庁内部に生じた幽魔ゾーンの崩壊に呑み込まれてしまうゴセイジャー。もう、ゴセイジャーは現実空間へ帰還する事は出来ないのか……?  その時、マスターヘッドが究極の手段を宣言し、新しい天の塔の礎となる筈だったマスター山が次元の壁を突き破ってゴセイジャー達の元へ辿り着くと、 ミラクルゴセイヘッダーと合体し、巨大な三角形のマシンが誕生する!
 「未来ある護星天使達よ、おまえ達の力、これからも信じているぞ……」
 ゴセイジャーを乗せて幽魔ゾーンからの脱出に成功したゴセイ三角は、ちょっと懐かしいノリの空中戦艦といった感じで、 空中戦〜ロボットへの変形は、気合いの入った特撮でかなり格好いい。
 そして今、奇跡の力とマスターの力、護星天使達の想いが結集した地球を護る究極の三角、ゴセイアルティメットが降臨する!
 ゴセイアルティメットは悪くは無いのですが……胸の……顔が…………どうしても、つけずにはいられなかったのか……マスターの顔(^^;  二刀流を振るうアルティメットはビッグフットを圧倒し、必殺アルティメットストライクで天罰執行。……ロボットも技名も変わっていますが、 結局、頭を飛ばします(笑) そしてアピールするマスター。
 かくして幽魔獣は滅びたが、ゴセイジャーを助ける為に力を使い果たしたマスターの反応が消滅してしまう。 護星界との連絡も絶望的となり、再び孤立無援となったゴセイジャーは、改めて、地球を護れるのは自分達とナイトしか居ないと、 決意を固め直すのであった。
 マスターが大きな力の代償として、(一時?)離脱したのは良かった所。合わせて、ナイトの着地点候補も見えてきましたが、さて。
 ゴセイナイト登場で華々しく開幕し、途中からだいぶグダグダになった幽魔獣編でしたが、ブロブは茶風林さんの好演もあり、 面白かったです。こういう、年間で考えると大ボスにはしにくいデザインやキャラクターを、 中ボスに持ってきてそれなりに大物然として使う、というは今作のコンセプトを活かせて良かった所。その分、 ビッグフットはただの筋力専門で、台詞で特徴づける以外に特に面白くなりませんでしたが(^^;
 次回、新展開で海底人……?!

◆epic33「恐怖のマトリンティス帝国」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:八手三郎)
 八手三郎さん、今年2本目(笑) 本気で何が起こっているのか(^^;
 (※ご存じの方も多いと思いますが、八手三郎は著作権管理上の名義)
 劇場版を終えて、渡辺監督が帰還。会話シーンでの画面手前の構造物の置き方とか、遠景にした時の風景の切り取り方とか、 歩道橋の使い方とか、随所で師匠筋(長石多可男)オマージュぽい構図多し。
 マスターヘッドが姿を消し、護星界への帰還は遠のき、皆が落ち込んでいるのではと心配した望は、 5人の似顔絵を描きながらそれぞれの話を聞き、護星天使達の人間界への想いが改めて語られる所に新たな敵が出現する、という展開。
 「でも、自分がまだまだ未熟だって事を知っただけで、あいつも少しは、大人になったのかもしれねぇな」
 モネを上から目線で評価するアグリさんの姿に、涙が止まりません。お兄ちゃんは口ではそんな事を言いつつ、 (やべぇ……うかうかしていると追い抜かれて置き去りにされるぜっ……でも望にはそんな事言えないぜっ)と冷や汗をかきながら、 深夜にこっそり自分だけ別メニューで特訓を追加するのです。
 新たな敵、それは復活した古代文明マトリンティス帝国と、その尖兵であるメカ怪人・マトロイド。今度の敵はメカメカしい路線で、 秘書ロボット・メタルアリスの足が吹っ飛び、すぐに繋ぎ直す、という、最初にメカである事を強調した描写は面白かったです。
 「なんだあいつは……? 地球汚染源反応が感知できない」
 ゴセイジャーを助けに来るも、GKサーチで敵が強制浄化の対象外と知り、困惑するナイトは攻撃を受けて吹っ飛び、 それに望が巻き込まれてしまう。望の無事を知ったゴセイジャーは、怒りのパワーでシールドメカに反撃し、素では苦戦したものの、 結局ミラクルで楽にパニッシュ。マトリンティスの首領であるメカゴーグが拾ったビービ虫により、巨大化したシールドメカは、 ゴセイアルティメットで天罰執行。
 ……巡り巡って、ブレドランよりビービ虫が大事になるという、驚愕の展開(笑)
 「地球を育むもの……命」
 珍しくいい所のなかったゴセイナイトは、ゴセイジャーが望に語った、地球を護るのが天使なら、 地球の未来を築いていくのは人間なんだ、という言葉に、考え込むのであった。
 と、断罪の根拠を失いゴセイナイトの立ち位置が揺らいだ所で……次回、サブタイトルがヤバい(笑)

◆epic34「ゴセイナイト・ジャスティス」 (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 単なる偶然だったらそれはそれで凄いですが、ここまで来ると、ゴセイナイトがジャンパーソンを多少なりとも意識している、 というのはほぼ確信を持って良いのかもしれません。サブタイトルにこだわっている作品ではないですし。
 肝心の内容は、色々とこねくり回した挙げ句に結局、人間至上理論に着地し、その裏付けも特に無いという、 悪い意味でいつもの『ゴセイジャー』。とても面白くなる可能性を持ったテーマを、穏当にまとめてつまらなくしてしまったというのが正直な感想。 せっかくゴセイナイトの変化をほぼ1クールかけて丁寧に描いていただけに、勿体ない。
 OPにマトリンティス追加。
 データスの調べにより、マトリンティスは4500年前に地殻変動で海底に沈んで滅びた文明だと判明する。 宇宙人→古代生命体→海底人、と来たので、最終章は地底人か未来人でしょうか。
 ゴセイジャーが、人類を下僕にする機械の帝国とか許さない! とかデータスの横で語り合っているのですが、 アイデンティティがどこにあるのかわからないけど、データスが悪魔の誘惑とかされたら面白いのですが(笑)
 海底に透明ドームで覆われた建造物、というマトリンティスのアナクロな描写は、一周回っていっそ面白い。 これまでのゴセイジャーの戦いを研究し、前回の戦いもさっそく分析するマトリンティスは、やっぱり下調べ路線なのか(笑)
 戦闘データを元に強化改造されたシールドメカ2号が出撃し、「そんなの私達には通用しない!」と言いつつ、 ゴセイダイナミックを放つゴセイジャー。跳ね返されて「嘘?!」と驚くのですが、そもそも最近、 ゴセイダイナミックが通用した記憶が無いんですが。また、「人類を統率して下僕とする」というマトリンティスの目的に対し、 「上から目線がむかつく!」と反論するのですが、天使達の「人間を護る」も大概上からです。
 救援にやってくるゴセイナイトだが、「マトリンティスは、地球を汚すつもりはない」「ここまで地球を汚したのは誰?」と、 自分達はナイトの敵では無いというメタルアリスの主張に立ち尽くす。そう――
 「お前達に聞きたい事がある。……人々は護るべき存在か、地球に必要な存在なのかどうか」
 “人間の戦士”であれば、人間の為に戦う、という事は自然な前提たりえるのですが、 元より人間とメンタリティの大幅に違うゴセイナイトが、“人間ではない戦士”である護星天使に、人間の価値を問う。更に、
 「ならば証明してみろ。人間は護るに値する存在だと」
 小学生に人間の存在価値の証明を要求する、という所までは今作の特性を活かして非常に面白いテーマ (悪人以外に、客観的に人間の価値を証明してみせる)だったのですが、ここから、ぐだぐだ……(^^;
 「私は腑に落ちないのだ。多くの間違いを犯す人間を、護星天使はなぜ護ろうとする。それに人間は、 愚考を重ねてもなぜ生きているのだ」
 「たぶん……明日があるからじゃないの?」
 「明日?」
 望少年の回答が、いきなり明後日(^^; ナイトの質問の前半分に答えていない上に、それだと、 特に考えてないけど明日が来るから何となく生きている、と聞こえて「そうか……ならば人間はやはりバニッシュだ(かちゃっ)」 ってなりそうな気がするのですが。
 前回の流れで、ナイトの似顔絵を描いた望とナイトが本格的に接触するというのは、 安易にすぐ使わず溜めてきたので良かったとは思うのですが、ゴセイジャーのサポートと日常要素としては充分以上に機能しているものの、 逆上がり事件以後の望は優等生発言しかしないので、作品全体のテーマに絡めた事を言わせるには、もう少しキャラクターの厚みが欲しい。
 「お前は私を護ろうとした。そのお前達人間を、護星天使が護ろうとしている……」
 前回、望が咄嗟に自分をかばおうとした事を思い返したナイトは、とりあえず戦いの場へ。そこではシールドメカ2号に叩きのめされながらも、 ゴセイジャーが生身で戦い続けていた。
 「俺たちは終わってない!!」
 ナイト「どうしてここまで、人間を信じられるのだ」
 望「アラタ達が、護星天使だからだよ」
 えっえーーー?!
 「人間が地球を汚したというのなら、地球を再び慈しみ、浄めることが出来るのも人間だ! 俺たちはそれを信じて…… 信じてるから戦うんだ!」
 「それが私達の使命!」

 えっえーーーーー?!

 「俺たちはそれを信じて……」の前に「何故なら」が入らないといけない筈なのですが、その最も肝心な、「地球を再び慈しみ、 浄めることが出来るのも人間」の根拠ゼロ。敢えて言えば、「信じてるから」。そしてそれは、 「私達(護星天使)の使命」って、一歩も進んでいない。
 提示したテーマに対して考えているようで、表層の言葉をこねくり回しているだけで、実は何も語っていない、 という非常によろしくない展開。
 本来なら、ナイトの疑問を通して、護星天使の使命を語り直す〔どうして人間を護るのか?→人間にはこんないい所があるからだ→ だから命を張って戦える〕という要素も持ち合わせていたと思うのですが、〔根拠は無いけど人間を信じている→ だから人間を護るのが俺たちの使命!〕と、むしろ疑問をアンドロメダの彼方に投げ飛ばしてしまいました。
 結果的に、ゴセイジャーの根幹は、これまでの30数話の積み重ねと関係無く、人間を信じるように条件付けされた(としか思えない) 護星天使としての使命である、と……一周回って、ゴセイナイトよりも護星天使達の方が 疑問を持たないロボットぽくなってしまう(しかも対ロボット帝国編で!) というのはミラクルといえば無残なミラクル(笑)
 百歩譲って、護星天使達の信念が100%揺るがしがたいものだとしても、その信念をどうやってナイトに証明するかの話だった筈なのですが、 その証明手段は、自分達が体を張って凄く頑張っている所を見せつける……で、人間、全然、関係ありません(^^;
 せめてこの30数話の物語の中で、「地球を慈しむ希望を持った人間」の姿が描かれていれば、アラタ達の奮戦に、 そういう人達と触れあったからここまで頑張れるのだろうな……という納得も出来るのですが(重ねて書くけど、「物語」とは、 その為にあるのです)、そんな要素が描かれた過去の登場人物はせいぜい、さなかクン博士ぐらいなので、 物語の流れが全く成立していません。
 故に、「使命」だけが歪に浮き上がってしまう。
 「人の命を護る事が、地球を護ることに、繋がる。なぜなら、今を明日に繋げる事ができるのは、地球に生きる人間のみ。 護星天使の使命の中に、私の使命がある」
 そして、ナイトが問題にしていたのって、人間の行動が地球を汚す事、地球に生きる他の命を害する事、だったと思うのですが、 何故か「今を明日に繋げる事ができるのは、地球に生きる人間のみ」という、極端に言うと「人間だけが大事な命」 理論に取り込まれてしまい、酷い詐欺にあった感じに。
 そこの納得できる根拠が劇中で全く示されていないので、単なる人間至上理論に着地してしまいました。
 誤解を招かないように言うと、そこに間違いを含んでいたとしても、ゴセイジャーが人間ならば「地球を再び慈しみ、 浄めることが出来るのも人間だ!」で構わないのです。人間が人間を中心に考え、基準とするのは当然であると同時に、こうあろう、 という自分達の決意表明となるので。
 問題は、人間では無い護星天使が「地球を再び慈しみ……」と言うからこそ、そこに「何故か?」がより強く生じ、 その「何故」を人間ではない視点から語れるというのが今作のストロングポイントとして生じた筈なのに、 その折角の利点を放り捨ててしまった所。非常に勿体ない。
 「お前達! そんな事では何も護れんぞ!」
 戦う意味を取り戻したゴセイナイトはゴセイジャーを援護し、6人共同必殺技・ミラクルゴセイナイトダイナミックで、 シールドメカ2号を滅殺。
 「残念だわ、ゴセイナイト。こんな簡単な計算も理解できないほど、馬鹿だったなんて」
 「計算? 戦いにおける計算? 笑わせるな。今からお前達マトリンティスは、私の敵だ」
 天使の力技に呑み込まれてしまいましたが(そもそも、あまり知力とか精神にはボーナスポイントが割り振られていないし)、 ナイトが引き続き格好いいのが救いです……(^^;
 割と意識的に絡めている感じがあるのですが、一種の“作られたもの”繋がりとして、 ゴセイナイトとメタルアリスの絡みには今後ちょっと期待したい。

◆epic35「パーフェクトリーダーを探せ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
 空中を高速で飛行するマッハロボが次々と人間をさらっていき、その動きに翻弄されるゴセイジャー。駆けつけたナイトと、 高速立体機動のマッハロボとの、ハイスピードの撃ち合いが滅茶苦茶格好いい。
 マッハロボから、命令系統がハッキリしないから駄目なんだと指摘を受けたゴセイジャーの視線が集まるゴセイナイト。
 「私はリーダーではない。ヘッダーだ」
 前回の後遺症が心配されましたが、今回も激しくイケメン。
 結局マッハロボに翻弄されるまま多数の人々をさらわれてしまったゴセイジャーは、今更ながら、リーダーを決めるべきじゃね?  と話し合い、とりあえず おっさん 年長者で判断力のあるハイドがリーダーに任命される。 ゴセイナイトが囮としてマッハロボを引きつけている間にハイドの指揮のもと、ちょっと特殊部隊ノリで人々の救出に突入するゴセイジャー。
 この後、色々なトラブルで次々とリーダーが交代し、最終的にはアラタの号令「こうなったら……いつも通りにやろう」で、 マッハロボと戦闘。その戦いでゴセイジャーは、自分達の身に染みついた連携と信頼感に気付く。
 「大事なのは、リーダーが居ることじゃねえ!」
 「私達は、地球と仲間を思う気持ちで、繋がってる!」
 「心の絆……それが俺たちの強さだ!」
 ……と、こういう感じでエピソードの主題と繋げて、角度を変えれば、ヒーロー口上もその時々の意味をしっかり持たせて、 爆発的な逆転の力を生む説得力を持たせられるわけで……と香村さんが登板2回連続でいい仕事。むしろ、 クライマックスでない時に無駄玉撃ってしまった感じさえ(笑)
 「私は彼等に使われているのではない。上下を明確にしなければ関係が成り立たない、貴様等とは違う」
 ナイトも増援に現れたアリス女史を切り払い、今回もこの二人の絡みがあって嬉しい。
 巨大化したマッハに対し、ゴセイグレートはゴセイ三角を背中にくっつける強引な合体で反撃。最後は上に乗り、 二刀が合体した弓による、アルティメットグレートストライクで勝利。廃棄処分にされたかと思われたグレートが復活し、 滅茶苦茶な合体というのは割と面白かったです。アルティメットの空中戦艦モード、ロボット形態より好きかも(笑)
 かくしてリーダー騒動は決着したが、アバンタイトルで揉めていた夕食の献立は決まらず、買い物係のアラタが「全部乗せちゃえ」 と提案して、「結局、アラタがまとめちゃったね」と、ここぞで引っ張るのはアラタ……でオチ。
 最初に誰がリーダーになるかという話が出た時に、皆が一回、自然とアラタに視線を向けており、 変に形式ばらなくても関係と分担がある、というのを、各キャラの良い所も悪い所も見せた上で、 強引なレッド持ち上げ以外でそれとなく示し、嫌味なく落としたのも秀逸回。

◆epic36「走れ、アグリ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:石橋大助)
 アルティメットグレートストライクは一発ネタではなかったのか……。
 マトリンティスは、肉体能力に優れた人類を選んで改造する事による、メカ人類計画を発動。スキャナーメカが現れ、 次々と身体能力に優れたアスリート達をさらっていく。ジョギング中に仲良くなった陸上選手が狙われる可能性を知ったアグリは、 自らが記録会で1位を取る事でさらわれ、敵のアジトを突き止めようと天装術で100m走の特訓を開始する……。
 トンデモ特訓で酷い目に遭うアグリ(に淡々と水をかけるハイド)は面白く、本命の囮作戦の事は忘れる勢いで、 男のプライドとして自力で1位を取ろうとするアグリ、というのも悪くは無かったのですが……肝心な所で、 人間と天使の肉体組成は一緒なのか、という(笑) スキャンした途端に、「あ、天使じゃん」と弾かれそうな気はするわけですが、 結果的に成功したからそれでいいのかどうなのか。
 この展開にするならその前の戦闘で、怪人に「護星天使は要らない」と言わせなければ良かったような気も。 仮に変身前だと肉体的には区別がつかないとしても、ゴセイジャー全員、メタルアリス女史に顔バレしているわけで、 ここから導き出される結論は、マトリンティスの指揮系統・情報管理は、実はぐだぐだ。
 「夢を信じて突き進む、その力に、限界はねえ!」
 こういう、護星天使と市井の人々との関わり、そこで天使達が知る人間の強さ、みたいな話を積み重ねていけば、 33話にもまだ説得力が生じたのですが、順番が逆(^^;
 巨大戦では、グレートと同時召喚され、棒立ちから遠隔操縦?されるアルティメットが謎。
 『シンケンジャー』で極薄の話を書いていた石橋脚本への期待値がとても低かったというのはありますが、 ポイントポイントは悪くなかったです。

◆epic37「エキサイト・モネ」◆ (監督:加藤弘之 脚本:横手美智子)
 そういえば無かったコスプレ回。
 見所は、怪人ヘッドにウサギの着ぐるみで放たれるドロップキック。
 街で怪しげなダイエットメーターとやらが配られるが、それは人間の怒りの感情が一定値を超えると石灰化ガスを噴き出すという、 マトリンティスの人間奴隷化実験のためのものだった。知らずに身につけてしまったモネは興奮しないようにと、 天知家に閉じこもっているように指示される事に。ところが退屈が嫌いで子供っぽいモネにとっては、 家の中でじっとしている方がストレス。事あるごとにゲージがレッドゾーンに行きそうになる中、博士のつまらない洒落を聞いたモネは、 悟りの境地への到達法を見いだす――。
 「怒ってるけど、怒ってませんわ……お兄様」
 それは、キャラ作り。クラシックをBGMに華麗に舞うゴセイイエローはデンタル珊瑚怪人を圧倒。 最後は強行突破になったものの、見事に撃破に成功するのであった。
 結局、博士のつまらない洒落から「ですわ」に至る流れは全く解説されないのですが、 私の中のプリキュアのイメージが今回のイエローみたいな感じなのですが、何か、そういうお遊びだったのかしら。
 今回のゴセイナイト:
 戦闘中に皆がダイエットメーターを付けられて戦いにくくなる中、
 「これで私達の動きを封じたと思ったら、大間違いだ」
 案の定、一人だけ、全く影響なし。「達」と付けているのは、優しさです。
 次回、「アリスvsゴセイナイト」! サブタイトルからは凄く期待なのですが……パターン的にはあまり期待しすぎない方がいいか?(笑)

◆epic38「アリスvsゴセイナイト」◆ (監督:加藤弘之 脚本:横手美智子)
 今まででワーストレベルの回でした(笑)
 単身赴任中で滅多に帰ってこれない天知博士の妻・裕子さんが帰ってくる事になり、天知親子は大はしゃぎ。 ところがタイミング悪くメタルアリスが地上のインフラ破壊活動を開始し、各地で交通網が大混乱。 裕子さんが乗った特急が通過寸前の鉄橋も破壊されてしまうが、最後まで諦めないゴセイジャーの意志に応え、新たな奇跡、 ゴセイワンダーカードがDLされ、巨大な頭が橋の代わりになって無事に列車は通過。ゴセイジャーは巨大化したアリスを、 ワンダーゴセイグレートで打ち破るのであった。
 ピンチを切り抜けたと思ったら結局大ピンチになったけど全く伏線の無い唐突な奇跡で解決しました!  という単純に酷いエピソードなのですが、唐突に登場したワンダーゴセイグレート(ゴセイグレートのコンパチ)がまた酷く、 微妙なデザインの上に必殺技がマサカリ飛ばしとか意味不明の領域なのですが、映画合わせにしては早すぎるし、何か、 企画ネタなのでしょうか? そう思ってもなお酷いけど、そうでも思わないとさすがに理解不能なエピソード。
 期待していたナイトとアリスの絡みも全く面白くなく、ハイドから本を借りて人間について勉強中のナイトは、
 「確かに不合理かもしれない。だが……! ――教えてやる。人が人を想う気持ち。それを愛というのだ!」
 とかいきなり言い出してしまう始末(^^; それは、マジック&デンジャーワードなので、安易に言わせないでほしいのですが。
 また、演出、脚本、双方の問題だと思いますが、ゴセイジャーがてんやわんやしている間のゴセイナイトの棒立ちタイムがいつも以上に長く、 色々と酷い。
 ゴセイナイトは、戦闘での強さを落とさない為に(これは本当に徹底している)怪人活躍タイムにはちょっと距離を置いていたり、 ゴセイジャーの見せ場を奪わないように少し待機していたり、というのはしばしばあるのですが、それにしても今回はやり過ぎでした。
 クライマックスで「諦めるな!」と言いつつ何もしないでゴセイジャーが立ち上がるのを待っていたり、 大団円シーンで天知親子とゴセイジャーの様子を覗き見していたりは、 ジャンパーソンぽいといえば凄くジャンパーソンぽかったけど!(笑)
 なお、裕子さんはお土産を見ている内に電車に乗り遅れ、そもそも乗っていず、帰ってもこない、というオチ。
 さすがにアリス女史は完全リタイアではなく、戦闘データの回収の為に海老閣下の手で再生。それを特別扱いかと喜ぶアリスだが、 「ただのロースペックロボット」としてお仕置きを受け、海老閣下の冷酷さの補強に。合わせて、個人の尊厳を認めず人類を 「ただの人間」呼ばわりするアリスが、自分も「ただの有象無象」の一体に過ぎない事を突き付けられる、という仕込みが入りましたが、 それにしても、酷かった……。

◆epic39「エピック・ゼロ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 39話にして、護星天使が「職業」であったと判明。
 言われてみればその方が自然といえば自然なのですが、これまでずっと、護星界に生まれる=護星天使(ファンタジー存在) のような描写だったので、ちょっとビックリ。
 ゴセイジャーについてはこれまで、“護星天使として生まれたから仕方ない”(そういうファンタジーな生き物である) という視点である程度見ていたのですが、「護星天使の使命」が誕生時からの刷り込みではなく、職業訓練による後天的なものだとしたら、 100%洗脳という事に。
 以前に幼いエリとアラタが天装術の修行をしているシーンがあり、今回、 護星天使はマスターが素質とか考えて〜みたいな事を言っていましたが、つまり護星天使は幼少時から訓練施設に集められて、 血の滲むような思想教育を重ねて育成されるのか。……それは、ロボットみたいな反応で仕方がない。
 「この課題を合格したら母親に会わせてやる」とか幼い頃から繰り返されたら、モネもああなるわけだし、 種族同士の連帯感がやけに強くて非常にベタベタしているのも納得です。
 となると、そこまでして護星界が人間を護る、真の目的がある筈ですが、 他の生命体よりも人間を優先する理由として考えられるのは、人間の感情が、何らかの形で護星界にとって有用である、という事。
 例えば、
 「本日のメインディッシュは、人間達がテストに合格した際の喜びを煮詰めたビーフシチューでございます」
 「3年間の片思いの末に失恋した冴えない男の悲しみのスパイスは舌の奥にぴりっと来て最高だね!」
 「ビジネスでの大成功から、一夜にして破滅した男の絶望で作った、ヴィンテージワインが入荷しましたぜ、へっへっへ」
 みたいな。
 つまり、人間界は護星界のプラントだったんだよ!!
 (前線の護星天使達は、勿論その真実を知らない)
 と考えると、「星を護るは天使の使命!」を謳うゴセイジャーがその中でも人間の命を不自然に特別視する事、 その理由を問われて答えになっていない答を返す事(思想教育による受け売りである)、などにも概ね納得がいきます。
 ……ゴセイナイトの真の敵は、護星界ではないのか。
 えー、脱線で筆がノってしまいましたが、本編では、あいつが! サイボーグになって! 帰って来た!(笑)
 アリス女史に拾われていたブレドランが、メカゴーグ閣下の魔改造を受けて、まさかの復活! まあ、 長々と出ていた割には特にライバルという感じがしないので、帰還のニュアンスは「(笑)」なのですが。デザイン的にも、 格好良くしようという意識が全く感じられません(笑)
 過去の記憶を抹消され、護星天使に対する復讐心だけを残されたサイボーグブレドランは、せせこましい暗躍大好き男から一転、 メタルアリスの命令に従う忠実なロボット兵士と化すが、その放つブレドランチャーはゴセイナイトにすら膝をつかせる威力を持つ。
 ここで何故か、ブレドランの記憶が無い事をやけに残念がるゴセイジャー(笑) いや、別に、無くてもいいじゃない……。
 限定的な空間で10秒時間を巻き戻すタイムリバース能力を持つタイマー亀が巨大化し、 タイムリバースとブレドランビームが謎の反応を起こし、弾け飛ぶアルティメット。そしてアラタは一人、 望がアラタと出会う前の過去に飛ばされ、これ以上なく見事な声かけ案件を達成してしまう。
 成る程それで、このサブタイトル(「エピック・ゼロ」)か。これはなかなか、面白い展開。
 今なら皆で集まって、ウォースターによる天の塔奇襲作戦を阻止できるかもしれない、 と考えたアラタは他の見習い天使達に招集をかける……とここで初めての、明確な「つづく」。 ここまで来たら1話完結縛りにこだわるのかと思いましたが、遂に引いてきたので、そろそろマトリンティスとはお別れでしょうか。
 なお、ゴセイミドリことマジスは既に死んでいました(^^;

◆epic40「ストロング・アラタ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
 ブレドラン、サイボーグだけどやたら格好良くOPに参加。わざわざ追加する辺りに、スタッフのこだわりを感じます。
 アラタを失いショックを受けるゴセイジャーだが、どこかでアラタが生きていると信じ、 今の自分達で出来る限りの事をしていこうと決意。まずはエネルギー補給、でエリが思わず作りすぎてしまったアラタの分の丼を、 無言で手に取るゴセイナイトが超絶イケメン。
 割とすぐ、説教モードや叱咤激励モードが発動するのに、こういう時は無言のまま行動だけで示すのが超イケメン。
 過去のアラタは集めた仲間達を説得しようとするが、上手くいかず、結局一人で天の塔に向かう事になる。その後、 声かけ案件から落ち着いた望少年がやってきて、車に轢かれそうになったお礼をした事で4人がアラタの心を知って駆けつける…… という流れは、正直、かなり強引。望少年を話に絡めようとしすぎて、無理が出てしまいました。そもそもハイド、 この時点で謎の敵の襲撃を受けている筈ですし。
 天の塔へ向かうアラタの前に同じ時間に飛ばされていたタイマー亀が出現。駆けつけた4人とゴセイジャーになったアラタは亀を撃破し、 その結果として現在へ戻り、「アラタが過去に戻ったという歴史」はリセットされる(本人談)。
 過去編で同種族以外の各人が初対面だったり、印象づけるように「はじめてのゴセイジャー」を描いていたので、 ここで実は出会っていたので1話では最初から交友があってすんなり戦闘も出来た……と持ってくるのかと思ったら、 そういう事ではない模様(^^; まあ、1話本編自体が、天の塔襲撃から数日経っている筈なので、 塔の崩壊後に仲良くなっていてもおかしくはないのですが。
 ゴセイジャーの力を直接調べようと地上へ現れたメカゴーグとレッドが剣を交え、
 「人間は、自らの知恵や力で、あらゆる災厄を乗り越えて生き抜いてきた! それがどれだけ凄い事か!」
 と、護星天使が人間を信じているのは、過去の歴史を見てきたからだ、と一応少し34話のフォロー。
 海老閣下は、自らをメカ化した古代人の生き残りっぽい雰囲気が結構あるけど、そういう展開は『ゴセイジャー』的には重いかなぁ。
 一方、前世の癖でアリスをかばい、なんかフラグを立てるブレドラン。
 え?? そっちなの?!
 当方、アリス×ナイト派なんですけど!!(聞いてない)
 にしても、愛する上司に邪険にされ続けた末、新入社員にちょっと優しくされてよろめいてしまうとか、アリス女史、 思ったより装甲薄い。しかもそれ絶対、駄目男!
 上層部は撤退し、巨大化した亀には早送りでグゴグが降臨し、夕日の決戦で天罰断罪。
 博士は部屋を貸しているだけならまだしも、食事の世話までしていると、5人の無職を住まわせる、昔の金持ちみたいだなぁ(笑)
 次回……あれ? 封じていた前後編まで使ったのに、まだ、マトリンティス引っ張るの??

→〔その5へ続く〕

(2015年8月30日)
(2019年7月21日 改訂)
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