■『天装戦隊ゴセイジャー』感想まとめ3■


“重ね合う想いが 邪悪を打ち砕く
いま果たす使命
コンバイン! グランドゴセイグレート”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『天装戦隊ゴセイジャー』 感想の、まとめ3(21〜30話)です。〔GYAO!〕 の一挙配信で全50話を2週間で視聴した為、全体的に大雑把な内容となっております。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。


戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・ 〔総括〕


◆epic21「エレガント・エリ」◆ (監督:長石多可男 脚本:横手美智子)
 機械を故障させるグレムリンが街で悪戯を繰り返し、その神出鬼没さに振り回されるゴセイジャーとゴセイナイト。そんな中、 エリはグレムリンの悪戯で怪我をしたケーキ屋さんを手伝う事に。幽魔獣と戦う事よりもケーキ造りを優先するエリを理解出来ないゴセイナイトだが、 ハイドはそんなエリを激励。見事にケーキを作り上げたエリは、パティシエ格闘術でグレムリンを倒すのであった。
 話の流れから巨大戦に至るまで、80年代テイスト溢れる1本。『ゴーオン』でも終盤ありましたが、 戦隊スタッフは時折こういうのをやりたがる印象。
 「奇妙なものが大事なのだな……笑顔、か」
 ゴセイナイトは護星天使達の力の源を知るが共感には至らず、一方、幽魔獣ブロブは、巨大な黒い影と接触していた……。

◆epic22「オーバー・ザ・レインボー」◆ (監督:長石多可男 脚本:横手美智子)
 ゴセイナイトから、貴重な証言が出ました。
 「古の護星天使達は、1人で戦う覚悟、1人で戦える力を持っていた」
 やっぱり一人前の天使達は、
 「復讐のランディックパワー! ゴセイスカーレット・早川健!」
 「炎のスカイックパワー! ゴセイバーミリオン・香川竜馬!」
 「幻影のランディックパワー! ゴセイシャドー・星川竜!」
 「怒りのシーイックパワー! ゴセイコバルトブルー・剣流星!」
 「勇気のスカイックパワー! ゴセイシルバー・一条寺烈!」
 「謀略のデビティックパワー! ゴセイダーク・山路哲山!」
 みたいな方々なのでしょうか。
 かつてグラディオンを倒した強力な幽魔獣、人間の影を食べるネッシー怪人が出現し、 敵を倒すよりも仲間をかばう事を優先するゴセイジャーの戦い方に異を唱えるゴセイナイト。
 「ここからは私の、私だけのターンだ」
 甘すぎる見習い護星天使達を不要と断じ、1人ネッシーに挑むも苦戦するナイトだが、それを助けようとするゴセイジャー。
 「俺たちは、みんなでゴセイジャーだ!」
 皆で力を合わせて戦う事は足し算ではなく掛け算になる、とゴセイジャーは必死にネッシーに食らいつくが、ゴセイダイナミックも無効。 ひとかたまりになったゴセイジャーはまとめて影を食われてしまう。が……
 「お前達、まさか……!」
 (ゴセイナイト、今だ!)
 それは、ゴセイナイトを6人目のゴセイジャーと信じ、ネッシーの隙を生む為の見習い天使達なりの作戦だった!
 「――私が護星の切り札だ!!」
 獅子チェンジしたナイトはネッシーの影の舌を切り裂き、殺戮の挿入歌でナイト無双の反撃開始。「ゴセイナイトは許さない」 が流れ出すと、もう、なんでもありです(笑)
 「掛け算か……見習いにしては巧い事をいう」
 思わぬツボで、ゴセイナイトの好感度が上がった!
 巨大化したネッシーの破壊光線で一度は合体分離してしまうゴセイグレートとゴセイグランドだが、護星の魂は怯まない!
 「引くな! これからは私の――いや、私達のターンだ!」
 6つの魂に応え、新たな奇跡もといDLC・デュアルコンバインが発動し、ゴセイグレートとゴセイグランドが合体した、 グランドゴセイグレートが降臨する!!
 グゴグは武器の先端に各種頭部を付け替えて戦うのが特徴。しかし、鷹頭の3枚割れはホント酷いなぁ(笑)
 「「「「「星を傷つけ、汚す魂に!」」」」」
 「護星の使命が天罰を下す!」
 締めはクワガタヘッダーによる、さすまた大切断・グランドグレートストライクで勝利。ナイトは5人を完全に認めないまでも、 共に戦う仲間として歩み寄り、空に浮かんだ虹を見つめて去って行くのであった。
 ナイトちょっと丸くなる編としては、可も無く不可も無く。グゴグが割と格好良いのでいいかな、と。後いつの間にやら、 新しいDLCを入手するのが“奇跡”という扱いに。

◆epic23「燃えろ! ゴセイジャー」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)
 何があったのかと心配した荒川さんが、凄く普通に帰ってきたよ!
 女子回だからね!!!
 ……と思ったらむしろハイドを中心に男達の暑苦しい友情がメインで、女子はほとんど土管にはまっているだけでした。
 予告から、諸々への配慮もあって、近年とんと見なくなった水着回を2010年に敢行したのかと思ったら、 ここまではギリギリ怒られないのではないか、というラインを模索した、水着回のようなもの、でした(笑)  児童向け番組の映像表現の(自主)規制を考える上では、なかなか興味深い1本(?)。 普通に水着見せるよりむしろ品のないシーンを入れたのは、そんな世間への精一杯の抗議か(^^; 
 幽魔獣スカイフィッシュが、浴びると体温が異常上昇する火種を用い、人間にエアコンを大量に使用させる事で地球温暖化を早めようとするが、 標的に選んだ街は、温暖化防止の為のエコ運動を推進しており、人々はエアコンを使わない暑さ対策に慣れ親しんでいた!
 ハッカ湯をやたらにアピールしたり、どこかから、お金でも出ているのか(笑)
 そんな間抜けな幽魔獣だったが、火種を浴びたエリ、モネ、ハイドが次々と暑さで変身不能になってしまい、 ゴセイジャーは思わぬ大ピンチに。さらわれたエリとモネを救うべく、 スカイフィッシュの弱点である水属性攻撃を使えるハイドを呼び出しの場所へ連れて行く為にアラタとアグリが奮闘するのであった……と、 リヤカー引っ張ったり、かき氷食べさせたり、キュウリ食べたり、と酷いネタの数々を、あくまで映像としては真剣に撮る、 というギャップ狙いのギャグ回。
 脱力したまま終わるのかと思ったら、戦いの後にブレドランとナイトが謎の咆吼を耳にする……で、つづく。

◆epic24「ミラクルアタック・ゴセイジャー」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)
 前回ラストの咆吼の元を辿ったブレドランは山の中で何かを見つけ、アラタは、荒々しい謎のゴセイパワーを感じる……それは、 かつて誰も制御できず、あまりに力が強すぎる事から護星天使によって封印されていたアバレヘッダーであった。 ブレドランは5人をうまく誘導すると護星天使の結界を破らせ、龍の意匠のアバレヘッダーを入手。アバレブレドランとなると、 5人を一蹴する。
 本来地球を護る意志である筈のヘッダーが、なぜ天使との共闘を拒むのか? 再びアバレブレドランに立ち向かったアラタは、 接触回線でアバレヘッダーに直球の質問をぶつけてシンクロし、アバレヘッダーが本当は、 強すぎる自分の力に怯える心優しいヘッダーである事を知る。
 ……どうやら地球意志は、時々イライラして、やりすぎた存在を生み出す事がある模様。
 「やっぱり君は、俺たちの仲間だよ。地球を護る護星天使のパートナーなんだ! 大丈夫、怖くないよ。俺達ちゃんと、受け止めるから。 一緒に戦おう! ミラクルドラゴンヘッダー!」
 アラタの想いを受け取ったアバレヘッダー、改めミラクルドラゴンヘッダーはブレドランの拘束を逃れ、 更に封印されていた4つのミラクルヘッダーが、ミラクルフェニックス、ミラクルスネーク、ミラクルタイガー、 ミラクルシャークとして5人の元に集う!
 ………………ノーマルのヘッダーは、リ ス ト ラ ですか?
 五つのミラクルヘッダーから新装備、護星天ソードが生み出され、5人はスーパーチェンジ。
 「護星の想いの熱き結晶! スーパーゴセイジャー!!」
 ちょっと早めとはいえ、ナイトと戦力差がつきすぎていたので、納得のパワーアップ展開なのですが(まあ、 気合いで倒されたウォースターの立場がますます無くなりますが)、金色の追加装甲はまあいいとして、 ブレストアーマーから光輝くヘッダーが突き出しているのが、凄く動きにくそう(^^;  けっこうアクション制限されそうな気がするのですが、これはどうなのか。立ち回りの最中にぶつかってもげる事件とか無かったのか。
 あと、護星天ソード(の上部デザイン)が、ちょっと昔はレストランとかにあった占いマシンに見えて仕方ない。
 スーパーゴセイジャーはミラクルな力でブレドランを打ち破り、ブレドラン、一気に雑魚化(^^;  復活幽魔獣軍団を操るブロッケン妖怪と着ぐるみ大投入でそれぞれ派手に立ち回り、最後は、 効果音うるさすぎて何いっているかさっぱりわからない光線でパニッシュ。
 今回の怪人は、ブロッケンの怪物とだいぶ強引になってきましたが、顔が蜘蛛だったのは、雲と引っかけたのでしょうか。
 今回のゴセイナイト:
 ◇ブロッケン妖怪と激しい立ち回り。あの鎧で回転しまくって、ひたすら格好いい。
 ◇スーパーゴセイジャーの登場に、「勝利は見えたな……」と余裕のコメントで、以後、手出しせず。 追加戦士としてのナイトの良い所は、あくまでヘッダーなので、ゴセイジャーがしっかり戦えるなら、サポートに回るのに躊躇が無い事。 自然に凄く目立っているけど、あくまで目立ちたがりではない、というのが素敵。
 今作、敵ローテの都合もあるのでしょうが1話完結にこだわっており、それ自体は好感を持っているのですが、 結果としてラブコメ回→お菓子回→ゴセイナイトと共闘回→土管回→新アイテムでパワーアップ回全て同じウェイトになってしまい、構成としての波の上下があまりに有りません。
 ゴセイナイト登場編は新組織登場からの3部作っぽい作りにして上手く波を立てていたのですが、せめて今回ぐらいは、 前後編にしても良かったような。

◆epic25「ノスタルジック・モネ」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 独断専行の結果、ゴセイジャーをパワーアップさせる事になってしまったブレドラン、独房入り。 ブロブはパワーアップしたゴセイジャーを倒す為、妖精怪人を用いて、一応年下キャラのモネに精神的揺さぶりをかける。 護星界に居る母親の幻影に惑わされるモネだが、護星天使としての決意でそれを打ち破るのだった。
 ホームシックになるモネ、その様子を心配しつつも、「あいつは……自力で乗り越えるべきなんだ。 たとえ敵の術にかかっているとしても」と戦士として突き放すアグリ、と護星界への郷愁と兄妹愛を絡め、下山さんが、 今作の幅を広げようという姿勢には好感。……話が面白いかどうかは微妙ですが(^^;
 他の場所に敵が出ており、「自力で乗り越えるべき」とはいえ、誰一人としてモネを助けに行かない、 というのは戦隊らしさからちょっと逸れすぎました。助けに行く余裕がなかった、なら仕方ないけど、 助けに行く人員を割くべきかどうか、普通に時間取って話し合ってるし(笑) まあ結局、 怪しい術の気配に気付いていたナイトが助けてヒーローポイント稼ぐのですが。「ここからが、私のターンだ」 でいつでもどこでも介入できて、素晴らしい(笑)
 子役はスケジュール問題も出がちな中、ここまで頑張って連続出演していた望少年が一休み。
 エリはいつの間にか「それが○○らしいよ」キャラになっているのですが、ゴセイナイトへのボディタッチ以来、 サークルクラッシャー属性にしか見えません。正直、 19話ラストであの台詞をボディタッチしながら言わせたのは、大失敗だったと思っています。

◆epic26「護星天使、爆笑!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
 笑ったものを吸い込む力を持った瓢箪を操る天狗怪人が現れ、街の人々に加えてモネまでも瓢箪の中に吸われてしまう。
 「この世から笑いが消えれば、地球は絶望に包まれ、腐っていくというわけだ」
 …………幽魔獣はそろそろ駄目すぎて、早いところ退場させた方がいいのではなかろうか(^^;
 ウォースターがかなりダイジェスト気味に始末されたのに比べると、引き延ばしている感じが強い。初登場時の 「地球が汚れて強くなっている」発言や、ナイトの背景など、環境汚染テーマで繋げているのだから、 せめて作戦でそこにこだわってくれればまだいいのですが。本来、地球汚染源ハンターである筈のナイトが、 幽魔獣ハンターのような扱いになってしまっているのも、ちょっと勿体ない。
 「何が問題だ。笑わなければ済む事だろう。笑いなど、我々には必要ない」
 笑い耐性の高いハイドとナイトが連携するが、微妙に息が合わず、エリとアグリもリタイア。その後、 アラタがお笑い芸人の扮装と物真似を披露したり、ハイドのツボがオヤジギャグである事が判明したり、 ハイドとナイトが協力して天狗を笑わせる事で瓢箪から皆を解放したり……と、まあ、 ここまでくだらない事を連発してくるといっそありな感じ(笑)
 残念だったのは、ハイドがナイトに「俺が突っ込んだらおまえは後方支援だろうが!」と怒られ、 後半の息の合った秘策への布石になるのですが、ハイドはそもそも普段から支援射撃ポジションであるという所。 アグリとかならお互い突撃でわかるのですが、話都合でここまでの積み重ねと大きなズレが出てしまいました。
 例えばナイトが、滅多に戦闘中に膝をつかないとか(除く別格のネッシー戦)、 アクションシーンでも丁寧な描写の積み重ねはあるわけで、そこは大事に抑えてほしかった所です。
 ミラクルの必殺技、皆でバラバラの方向を向くけど、ビームはホーミングして集中する、というのは面白いなぁ。
 次回、
 「もう、お兄ちゃんなんていらない」
 率直にメンバーの中では最も存在感の薄くなっているアグリは、妹からの粗大ゴミ発言を受けて立ち上がる事が出来るのか?!

◆epic27「目覚めろ、アグリ!」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子)
 面白かった。ゴセイナイト登場編3部作は飛び道具で別にすると、ここままで一番の出来。
 ビッグフットが呼び出した人魚妖怪の鱗をつけられた人間は、自分の抱えている内心の脆さ、気にしている事が、 他人からの悪口として聞こえるようになってしまう。
 「お兄ちゃんてさ、もう存在自体、無意味だよね」
 戦闘中に気付かぬ内に鱗をつけられてしまったアグリは、4人に影で罵声を浴びせられていると勘違いしてしまう。
 「みんな……そんな事を考えていたのか」
 愕然とし、どうするのかと思ったら、
 「やあみんな! 今日は悪かった! 俺は、反省すべきところはちゃんと反省して、直すべき所はちゃんと直す! だから、 問題点をどんどん言ってくれ!」
 割とストレートに落ち込んで、精一杯の笑顔で歩み寄った!(笑)
 てっきり怒り出すかと思ったのですが、皆に出来る限り受け入れてもらおうとするアグリ(笑) 視聴者目線だけではなく、俺の影、 薄い……? と本人も気にしていた事が発覚。
 「こういうのを使えれば、ハイドのように知識が身につくのか。俺も、勉強した方がいいだろうか」
 「アグリ……悪いが今は、集中させてくれ」
 人魚妖怪の行方を追ってパソコンを操るハイドにいじましく存在をアピールするが邪険にあしらわれ、 乾いた笑いで離れるアグリがかつてなく面白いぃ!!!
 仲間達に次々と、「俺もゴセイジャーやりたいんです、お願いします。なんだったら靴でも舐めます」的にへりくだるアグリだが (エリの買い食いすら肯定しようという姿に君は刻の涙を見る)、鱗の魔力により聞こえもしない言葉が聞こえ、 かえって疑心暗鬼が膨れあがってしまう。
 落ち込んだ末にせめて戦いで役に立てるようになろうと、山中で一人斧を振るブラック。 街で人魚を見つけてビービ軍団と戦う4人から加勢を頼む通信が来るが……
 「来なくて良いよ」
 「四人で充分。アグリはいらない」
 「これからは、4人でゴセイジャーだから」
 「バイバイお兄ちゃん。じゃなくて、元・お兄ちゃん」
 その通信すらも魔力の影響で幻影の罵声が加わり、へたり込むアグリ。その姿を見つめてほくそ笑む人魚妖怪だが、そこへ、 人魚の気配に気付いたナイトが現れ、アグリは藁にもすがる思いでナイトに問いかける。
 「ハイドには冷静さが……エリには明るさが……モネにも集中力……そして、アラタには、不思議な魅力がある」
 ……2クールかけて、アラタのアピールポイントってそこなのか(笑) アグリもちょっと、考える間があったし。
 「俺にしか無いものって一体なんなんだ?!」
 「フッ……下らんな」

 一刀両断

 「なんだって……?」
 「下らんと言っている。私達にとって、地球を守る事がただ一つの使命で有り、全てだ」
 「所詮ヘッダーであるゴセイナイトにはわかんねえってことか」
 「そうだ。だがそれがどうした。私は今の私である事を誇りに思っている。下らん事で悩んでいる今のお前は、 護星天使として失格だ」
 “人格を認めた仲間”に対しては、言ってはいけない事を口にしているアグリですが、それすらも意に介さず、 むしろ受け入れるゴセイナイト。そう、彼は、地球を護る純粋正義。
 まあこのナイトの、「ただ一つの使命しかない生き方」も、いずれ揺らして欲しい所ではありますが(というか、 揺らさないといけないと思う)。
 疑心暗鬼の幻聴など必要無いレベルで、的確に痛いポイントを突いてくるナイトの言葉に激高したアグリはナイトに殴りかかる……が、 一方的に回避される(笑) そしてぶつかり稽古のような状況から、アグリを投げ飛ばすナイト。
 「うぬぼれるな。うぬぼれるから悩むんだ!」
 なんだろうこの、迸るJP感(笑) 凄い角度からの説教機能が付いている所までそっくりです。まあ、 ジャンパーソンだったら容赦なく鉄拳制裁だけど。
 アグリをあしらいつつ幽魔獣の気配に気付いていたナイトは、潜んでいた人魚を射撃。
 「自分の力がどうだ、やれる事がどうだ、下らん事に悩んでいてどうなる!」
 そこに、こっそりブレドランに鱗をつけられた事で、ブロブに影で馬鹿にされると思いこんだビッグフットが乱入。 大ダメージを受けるも駆けつけた4人に助けられるアグリだが、4人に足手まとい扱いされていると思い込み、動く事ができない。 ビッグフットに4人が次々と叩きのめされていく中、ゴセイナイトの叱咤がアグリに飛ぶ。
 「ゴセイブラック! おまえが今すべき事はなんだ?! 悩む事じゃない。戦う事だ!」
 影で自分の事をどう思っていようと――今そこに傷つき倒れ行く仲間達が居る。彼等の命、護星の使命に比べれば、 キャラが妹に食われ気味とか、汗臭そうとか、扱いが雑な気がするとか、そんな事は小さな事だと、 護星天使の誇りに改めて目覚めるアラタ。
 「どう思われようと……何を言われようと……俺の使命には関係無い。俺は護星天使――ゴセイブラックだ!」
 人魚の鱗が砕け、アグリは何故かジャンパーを着ると、新しいDLCにより、一気に超天装してスーパーゴセイブラックに。 挿入歌とともに怒濤の攻撃でまさかの単身でビッグフットを打ち破り、溜めに溜め、落としに落とされた挙げ句に、 いい見せ場が回ってきました。ここは格好良かった。
 人魚は適当にナイトが成敗し、まとめてミラクルゴセイダイナミックでパニッシュ。巨大化した人魚は、 クワガタ頭による打ち上げからのドリルキック、という格好いい演出で天罰執行。
 しかしこれだと誤解が解けないままなのでは、と思ったら……
 「いやー、あれがみんなの本心じゃなくて良かったぜ〜」
 とすっきりした顔で皆でランニングを強行しようとし、人魚の鱗の魔力については、判明してしまった模様。 ……ナイトかマスターが説明したのか?
 一方、何とか生き延びたビッグフットの姿を見ながら、上司のパワハラへのお返しに内輪揉めを画策したブレドランは、 ほくそ笑むのであった……。前々回ぐらいに、「ブレドランの動きがちょっと変」という言及がゴセイジャー側から出ているのですが、 次の組織への布石といった所か。

◆epic28「おとうさんの宝物」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子)
 あまりスポットを当てていなかった天知親子のエピソード。真っ正面から親子愛を描いて、割と良かったです。 せっかくの人間の父子との同居設定ですし、単なる都合のいいギミックに終わらせないで、真っ当にやってくれて良かった。
 幽魔獣・遮光器土偶(ギャル)の光線を浴び、意志も感情も失ってしまった望の姿に、 自分が駄目な父親だから望が悪い子になってしまった、と嘆く博士を、「博士はいいお父さんです」と励ますアラタの素朴さと真摯さも、 キャラが活きました。正直アラタはいまいち苦手なのですが、ようやく、アラタの良い所を素直に頷けるエピソードでもありました。
 意志も感情も失い土偶に操られた人々が集団投身自殺を図ろうとするが、その先導役に使命された望を、博士の愛が正気に戻す。 ゴセイナイトとも対等に武器を交える土偶とブロブの連携に苦戦するゴセイジャーだが、
 「見たか! あれが人の想いだ」
 から反撃スタート。
 「人間の想いとやら……よくはわからんが、おまえたち幽魔獣の悪巧みより――よほど上等なものらしい!」
 合わせて、ナイトの人間への好感度を間接的に上げたのは非常に良かったです。ここに来て、2話連続で横手さんがいい仕事。
 土偶はミラクルゴセイダイナミックでパニッシュされるが、ブレドランはわざとらしくブロブをかばい、忠臣ポイントを稼ぐと、 ビッグフットと完全に仲違いしたブロブの心の隙間につけ込み、その信用を得る。……ブロブ、結構ちょろい。
 「一つとっておきの作戦があります」
 そしてブレドランは、ブロブ達が封印されていた箱の力を使おうと進言するのであった……。
 見た目に反して強力な土偶に、それを助ける為にブロブまで現れて少し苦戦するナイトですが、やはり膝は付かず。 広域攻撃ブロブサンダーでもゴセイジャーがひっくり返っている中で一人だけ立っており、 さすがに無双ぶりは少しずつ抑えられているものの、やはりナイトは強い、というのがそういった所で表現されていて素晴らしい。

◆epic29「ゴセイジャーを封印せよ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 ブロブ達が閉じ込められていた箱は、太古の幽魔獣が作り出した強力な魔力を秘めたマジックアイテムであり、 1万年前の戦いでは護星天使達がそれを逆に利用して、ブロブ達を封印していた事が判明。 ブロブへの進言で箱の使用許可を得たブレドランは、それを用いてミラクルヘッダーを箱の中に封印してしまう。
 「何を恐れる事がある。ミラクルゴセイヘッダーが戦っていたのではない。おまえ達が戦っていたのだ」
 ミラクル化の力を失い落ち込むゴセイジャーを叱咤するゴセイナイト、ひたすら格好いい。なおここで、 初めて天知家へ乗り込み、マスターヘッドとご対面(ナイトのグラディオン時代には、マスターはまだ意識を持っていなかったと言及あり)。
 ブレドランはブロブをそそのかしてゴセイジャーを箱に封印させようとし、新たなユニット、 BBブロブレドランvsゴセイジャー&ゴセイナイトが大決戦。これまで杖を使っていたブロブですが、 本格的な立ち回りでもう一工夫しようという事になったのか、メイス二刀流が格好いい(後の回で気付いたけど、杖を二分割していた)。 そこへ脱退した筈の元ベース・ビッグフットが乱入し、混戦の中、箱を手にしたブレドランは本性を現し、ゴセイジャー、ブロブ、 ビッグフットをまとめて箱に封印しようとする。
 「これでこの世界は私のものだ! ふっはははははは」
 ……が、充電切れ(笑)
 実は、音楽性の違いから解散したと思われた幽魔獣ビッグBは、ブレドランの陰謀を見破っており、 わざと偽物の箱を落としてブレドランを罠に掛けたのであった。ところが調子にのって取り出した本物の箱をナイトが攻撃し、 ミラクル解放。
 「お前達の力を見せてやれ」
 力を取り戻したゴセイジャーのミラクルダイナミックの盾にされ、ブレドランはパニッシュ。 ビッグフットが確保したビービ虫の巣を使って巨大化されるという、策士策に溺れて哀れな事に。
 「ふっ、遂にこの私を本気にさせてしまったな」
 ……何故そうなる(笑) 引っ張った末に随分な小物になってしまったブレドランは、グゴグの攻撃を受けて天罰断罪。 とうとうお星様になってしまうのであった。
 1話完結を守るあまり、決戦の段取りを時間を取って組めず、何故かいきなり荒野で決戦が始まってしまう為に盛り上がりに欠け、 連鎖的にブレドランも随分情けなくなってしまい、それに対するゴセイジャーのヒーロー口上も空回り気味になってしまうという、 『ゴセイジャー』の構造上の難が激しく出てしまったエピソード(^^; ここ2話が良かっただけに、勿体ない。
 そして、ブレドランとは何だったのか……。
 「お前達、油断するな。戦いはまだ終わってはいない。――だが今は、よく休むがいい」
 良かったのは、ゴセイナイトがひたすらイケメンな事(笑)
 登場時はただの“格好いい”だったけど、5人に気を遣うようになってから、物凄い勢いでナイトのイケメン度が上がっていく……!

◆epic30「ロマンティック・エリ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
 『炎神戦隊ゴーオンジャー』で戦隊初参加し、後に『仮面ライダーウィザード』でメインライターを務める香村さんが参戦。
 夢を願い、感謝を捧げる護星界の伝統行事、護星祭の日――人の夢を食う獏妖怪が、ビッグBが実験する箱の力で強化されて出現。 元々は寝ている人間の夢を食べるだけだったが、強化された獏は人間の希望や目標を吸い取ってしまえるようになり、 しかも獏に夢を奪われた人間は廃人となって絶望の根を生やし、それは大地に突き刺さって広がると地球を腐らせる毒になってしまうのだった!
 と、まずは幽魔獣の作戦と「地球を腐らせる」という目的を劇中でしっかり繋げました。また。 夢を奪われて廃人状態になった人間の体から根が生える、というビジュアルも秀逸。
 戦闘中に思い切り油断して夢を食われてしまったエリが倒れ、同じく夢を食われた人々が無表情で座り込む廃人空間に。
 (こんなの嫌。私、みんなに笑っててほしい)
 廃人の仲間入りするかと思われたエリだが、持ち前の明るさと前向きさで立ち上がり、無反応に構わず、人々を笑顔で励まそうとする。 現実空間では、一旦エリから伸びた絶望の根が消滅し、それを見たアラタ達は廃人空間をエリに任せて獏を探しに。 地球が腐っていくのを見過ごせないナイトは倒れた人間から伸びた絶望の根を力ずくで切断しようとする、 と両者の立ち位置の違いも上手く処理。
 (このままでは地球が危ない。こうなったら人間ごと……)
 地球を腐らせる人間どもをフォーアース! しかけてギリギリで思いとどまるナイト、いい(笑)
 そして――
 「私……ママのプリンが食べたい……」
 廃人空間でひたすら、無邪気で無尽蔵の夢を語り続けるエリの言葉に、少しずつ目覚め、甦りだす人々の心。
 「あたしも……」「僕も……」「私も……」
 やがてそれは大きなうねりと叫びになり、甦った人々の夢は獏怪人の腹の中から解放される!
 「夢は、自分で諦めない限り、何度だって甦る!」
 夢が戻った事で人々は目を覚まし、ナイトの前に笑顔で立ち上がるエリ。
 「ゴセイピンク。……おまえはまさか、夢の力で」
 「そ! 夢っていうのは、人間の生きる力なんだから」
 「生きる、力……」
 底抜けに前向きで明るい自由人、というより、無責任で脳天気な割に計算が透けて見える、という嫌な感じになっていたエリが、 ようやく挽回。エリの持っている精神的強さを、ゴセイジャー的「諦めずにやってみる」とは別の角度から描いた上で、 人々の立ち直りと繋げたのは非常に素晴らしい。
 ゴセイジャーって「人間」「人間」言う割には、これまでなんだかんだで、望以外の人間との精神的繋がりが薄かったのですが、 ここで、天使のサポートで立ち直る人間、という構図を組み込めたのは良かった。
 「ここからは、私達のターンよ……なーんてね」
 獏怪人と戦う4人の元に、ライオンヘッドに乗ったピンクがかけつけ、ナイトとピンクの連携攻撃。 吹っ飛んだピンクの足場になってのツープラトン攻撃など、ゴセイナイトは今回もひたすらイケメン。獏妖怪は天罰断罪されるが、 箱の力の実験には成功したと、ビッグBは闇の中でほくそ笑むのであった……。
 戦い終わり、夢を取り戻した人々の姿を描き、路上ギタリストの歌をBGM(これが割と良い演出)に向かい合うゴセイジャーとナイト。
 「夢の力か……」
 赤「ねえ、ゴセイナイトの夢は?」
 「夢など私には必要無い。私の使命は、幽魔獣らこの星を汚す輩を、ただ排除する事。それだけだ」
 ようやく気付いたけど、ゴセイナイトは毎回こうやって、ヒーロー去りするから、格好良さが増すのか(笑)
 黄「それだけだ……て、なんかさみしいね」
 5人はその後ろ姿を、今はまだ、黙って見送る事しか出来ないのだった。
 その夜、5人は祈りの言葉と共に地上で5人だけの護星祭を行い、それぞれの夢を天装術に誓う。 ここ数話の個人回で触れた事柄をそれぞれの夢に、というのも良かった。
 特に、
 「もっと仲間や自分を信じて、自分の強さに変える」
 アグリの夢が、泣けます。
 そして――
 エリ「……ゴセイナイトにも、楽しい夢が見つかりますように」
 と、アバンタイトルで振ったネタを劇中のギミック(エリが大量に書いた夢の天装術カードで獏を誘き寄せる) として用いた上で締めにも使うという、しっかりした三段活用。この話数での途中参加ながら、 ゴセイナイトのキャラクターをしっかり掴んでゴセイジャーと色分けし、更に今後ナイトで描いてほしい部分も抑えた、 見事な脚本でした。
 大筋では悪の組織の完全入れ替えという目立つ仕掛けをやりつつ、17話での追加戦士登場、 その後の追加戦士と既存メンバーの擦り合わせ、とセオリーを組んだ流れなのですが、結果としてナイトと絡める事でようやく、 各キャラの良い所を良い形で見せられるようになってきました。自分の夢を散々語っていたエリが、肝心の一つでゴセイナイトの為に祈る、 という最後も素晴らしい。…………モネとハイドの回は微妙だったけど(笑)
 ゴセイジャーそれぞれの補強をしつつ、ナイトが少しずつ人間について知っていく……という構図になった事で、 ナイトが凄く丁寧に描かれているのは、今作の構成の貴重な長所です(笑) 当然、望少年にほだされて思想改造されてあっさり終了、 というのを危惧していたのですが、それを回避し、丁寧にやってくれているのは嬉しい。 というかどうしてナイトだけここまで丁寧に描かれているのか、背後に何か陰謀を感じるレベル(笑)

→〔その4へ続く〕

(2015年6月2日/8月30日)
(2019年7月21日 改訂)
戻る