■『天装戦隊ゴセイジャー』感想まとめ1■


“天装! 命の限り 天装! 希望を生きる
未来は君の中にある”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『天装戦隊ゴセイジャー』 感想の、まとめ1(1〜10話)です。〔GYAO!〕 の一挙配信で全50話を2週間で視聴した為、全体的に大雑把な内容となっております。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。ところであの揃い踏みポーズはどうしてあんなに、 「上へ参りま〜す」みたいなのか。


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〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・ 〔総括〕


◆epic1「護星天使、降臨」◆ (監督:長石多可男 脚本:横手美智子)
 護星天使――それは、地球と全ての命を護る事を使命として、生きる者達。強き力と清き魂を持つ彼等は、 遙か昔より、人知れず、邪悪な存在と、戦ってきた。

 見所は、素性を立ち聞きした少年を拉致して取り囲み、「記憶を抹消する」と凄む天使達。
 見た目は一緒だけど、感覚は人間とちょっと違うよ、という表現としては、なかなか面白い(笑)
 さて今回、一挙配信につき1週間で25話という見るのも書くのもハイペースの都合により、 先にメンバー5人について1話時点でわかる事をざっくりと。
 ゴセイレッド/アラタ スカイック族。シンボルはドラゴン。個人武器は剣。
 ゴセイピンク/エリ スカイック族。シンボルはフェニックス。個人武器は銃。
 ゴセイブラック/アグリ ランディック族兄。シンボルはスネーク。個人武器は斧。
 ゴセイイエロー/モネ ランディック族妹。シンボルはタイガー。個人武器は爪。
 ゴセイブルー/ハイド シーイック族。シンボルはシャーク。個人武器はボウガン。ぼっち。
 5人は地球を護る使命を持った護星天使である、という、宿命系+職業系の合わせ技が基本設定。 ただし5人は護星天使としては仮免であり、まだまだ未熟。何故そんな彼等が地球を狙う侵略者と戦う事になっているかというと…… 護星界と地上界の連絡路にして通信施設でもある“天の塔”が破壊されてしまった為だった。
 キラキラした外装の宇宙昆虫軍団は侵略目標について入念に下調べしているらしく、先制攻撃でまず、天の塔を破壊。 ……やはり大事だ、傾向と対策!
 アバンタイトル、天から逆さにそびえる塔を、股の間から逆さまに見るカマキリ怪人、というのは長石監督っぽいカット(笑)
 初動で護星天使の動きを封じ、圧倒的優位に立った宇宙昆虫軍団だが、たまたま地上研修中だった5人の見習い護星天使――アラタ達が、 地上には残っていた。本隊と連絡も取れず補給も増援も期待できないという絶望的な状況にも関わらず、 天使達は超前のめり。落ち込む事も恐れる事もなく、地球と全ての命を護る為、侵略者に立ち向かうのであった。
 「嵐のスカイックパワー、ゴセイレッド!」
 「息吹のスカイックパワー、ゴセイピンク!」
 「巌のランディックパワー、ゴセイブラック!」
 「恵みのランディックパワー、ゴセイイエロー!」
 「怒濤のシーイックパワー、ゴセイブルー!」
 「星を護るは天使の使命! 天装戦隊ゴセイジャー!」
 天の塔を壊したカマキリは幹部クラスの扱いらしく、地球攻撃の尖兵として街を破壊するフンコロガシと戦うゴセイジャー。 アラタが変身カードを無くしてピンチになどあったものの、地上で交流を持った少年・望が拾っていたカードを受け取って変身。
 変身や武器の召喚などにカードを用いるギミックがアピールされるのですが、『ダイスオー』の稼働開始と連動した作品でしたっけ…… と思ったらやはり、『ダイスオー』が連動企画でした。
 初回から高萩市の例の工場跡で派手に立ち回り(よく考えると前作『シンケンジャー』から2週連続同じ所で戦っている(笑))、 前作がチャンバラベースの異色の殺陣だったという事もあってか、射撃武器をアピールしつつ、個人武器を合体して大型武器を発動、 と実に正統派。
 こうしてフンコロガシを倒した護星天使達だったが、その前に再びカマキリ星人が現れる……で、続く。
 主題歌、「地球の 平和を 目指して!」の所までの抑えたメロディと歌い方が格好いいのに、その後陽気になりすぎるのが、 個人的に惜しい。
 OP映像の演出担当者も似たようなツボだったのか、「地球の 平和を 目指して!」の所で揃い踏みで爆発、 という格好いいカット入ってたり(笑)
 合体武器の発動時の台詞が「パニッシュ!」で、侵略宇宙人への殺害行為を、 天罰と断言する辺り、なかなか熱い。
 目には目を、歯には歯を、侵略には天罰を! この星の明日を護る為のスクランブルだ!!

◆epic2「ファンタスティック・ゴセイジャー」◆ (監督:長石多可男 脚本:横手美智子)
 エルフとドワーフとマーマンが対立していて面倒くさい。
 望少年はハイドがきつくて苦手な感じと言うのですが、どちらかというとアグリの物言いの方がきついような。
 カマキリ星人は名乗っただけで帰り、ガ大王の率いる侵略昆虫軍団の新たな刺客、UFOテントウムシが地上の人間を大量誘拐。一方、 かつて天の塔があった場所に向かったハイドとエリは辛うじてマスターヘッドと連絡を取る事に成功し、 護星界への帰還方法が判明する……だがその方法は太陽の爆発的なフレアのエネルギーを必要とし、チャンスは実質一度。 果たして見習い護星天使達は護星界へ帰る事が出来るのか?
 護星界へ帰る事を優先するのか、目の前の人間を救うのを優先するのか、という話なのですが、 そもそも5人が「護星界への帰還手段」の情報を共有しないまま、黒と黄が戦闘に雪崩れ込んでしまった為、 肝心の葛藤が一部のメンバーにしか発生しないという困った事に。それなら1人でも帰還可能だけど、仲間と一緒に帰るか、 とりあえず1人でも帰って本隊と連絡をつけるか、という選択が発生すればまだ成立したのですが、「5人一緒でないと帰還不可能」な為、 全てちぐはぐに(^^;
 5人の色分けもそれほどされていない為に方針の違いによる対立も面白くならず、その上で、ハイドにはハイドのいい所がある、 という要素まで盛り込もうとした為、色々一緒にやろうとしすぎて空中分解。根本的に、 しばらく成り行きと勢いで戦う→帰還手段が判明する→しかし敵の襲撃があってどうしよう?! みたいな感じで、 もう少し後回しにすれば良かったような。
 宿命+職業系戦士の「戦う意志」を立ち上げで描いておくべきだと思ったのでしょうが、正直、大失敗。
 結局ハイドも人間界に残って戦う事を決意し(1人だと帰れないのですが)、5人揃ったゴセイジャーはテントウムシを撃破。 だがブレドランの放った謎の虫でテントウムシが巨大化してしまう(何も説明されないが、巨大化した当の怪人も驚いているので、 昆虫帝国上層部の秘密兵器なのか)。その時、ベルトに生まれる新たなカード。
 「俺たちの、新たな力だ!」
 ……なんだか存在も近そうだけど、某天空聖界と似たようなシステムなのか。
 伝説のゴセイマシンが人間界のメカのボディを借りて誕生し、UFO軍団とのメカバトル。 陸海空それぞれの特性を活かしてのメカ戦はなかなか面白かったです。
 そして、「撃墜完了」と格好つけた直後に敵の攻撃を受け、しっかりと残念ポイントを稼ぐ青。
 五つのゴセイマシンは天装合体し、巨大ロボット・ゴセイグレートが降臨。
 「「「「「俺たち護星天使が、悪しき魂に、天罰を下す! グレートストライク!!」」」」」」
 でテントウムシを撃破し、さらわれた人々をの記憶を消去してオチ。 「辛い記憶を忘れさせてあげるんだ」という天使目線で記憶消去するのですが、この辺りは、こだわるのかしら。
 ハイドさんは1人だけ相方居ないのが何かしら過去に抱えてそうだったり、そんな都合により桃と絡みが多かったり、 現時点では色々とおいしそう。
 「戻らぬと決意したのか。しかし、これからの務め、容易ではないぞ」
 そして護星界のボス、マスターヘッドは、色々と他人事気味だった。

◆epic3「ランディックパワー、分裂」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子)
 スカイックの2人、天知家に居候する事に。
 ……あ、他の3人には紹介しないのか(笑)
 この2人はベタベタしすぎてちょっと気持ち悪いなぁ今の所(^^;
 子供の視点を入れる事で、見た目普通の人間だけどちょっとズレている天使達、というのを見せる意図だと思われますが、 望少年はレギュラーになるようで、少年レギュラーは久々でしょうか?
 一方、ランディックの兄妹、アグリとモネはテントで野宿しながら、特訓に励んでいた。今回は堅実派の黒と、 やや自信過剰の黄の兄妹喧嘩を交えつつ、5人が一致団結するまで。…………といっても個人同士では全く仲が悪いように見えないのに、 何故か種族の差にこだわって変に張り合うのが、正直、分かりづらい(^^;
 特徴は出したいけど本格的に面倒くさくはしたくない、という辺りがちょっと中途半端に感じます。 まあ前年が面倒くさいの極北を目指す戦隊だったので、方向性はわかるのですが。
 色々あってアグリがアラタにほだされ、アグリの半人前発言に意地になって1人で冷凍ユスリカ星人に立ち向かっていたモネと合流。 あくまで1人で戦おうとするモネだが、
 「おまえが強いのはわかってる!」
 「え?」
 「でもこいつは俺たち2人、いや、5人の敵だ!」
 黒兄、妹の操縦方法を覚える。
 5人は連係攻撃でユスリカを撃破し、メンバーの中で武器によって、前衛と後衛の役割分担が自覚的に行われている、というのは好き。
 それにしても、演出の都合上、合体武器に最後に1人でカードを入れる青がリーダーに見えて仕方ありません。
 前回謎だった虫は、ブレドランが、ありとあらゆる生き物の悪意や毒を練り上げて作った人造生物であると判明。巨大化したユスリカは、 黒と黄のコンビネーション攻撃、ゴセイグレート鳳凰脚から必殺剣で天罰執行。
 赤の誘いに乗って、護星天使達は揃って天知天文研究所に居候する事になり、5人は何となく絆を深めるのでありました。

◆epic4「響け、天使の歌」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子)
 エレキギターがガンガン鳴らされ、ヘッドホンで視聴していると耳によろしくない回(^^;
 見所は、
 エリの踏み台になるアラタの姿に、
 「あいつ何か、変な性癖がないか?」
 という顔になる3人。
 小学生と同居しているのだから、気を付けろ、天使!
 今回の怪人は頭が観葉植物っぽくて、ウォースターは宇宙昆虫軍団ではなかったのか……? と思ったらコオロギモチーフとの事。 なるほど、終盤で胸部のギターを左右に動かしていたのは、羽根をこすり合わせて音を出すイメージか。
 蛾様をパトロンにするヘビメタコオロギが地球でゲリラライブを行い、その凶悪な怪音波に苦しむ人々。迎撃に出るゴセイジャーだが、 風を司るスカイック族は音に敏感で、アラタとエリが戦闘不能になってしまう。
 コオロギは悠々と引き上げ、ゴセイジャーも一時撤退。戦力を欠いて思い悩む3人だが、その時、 研究所の片隅で埃を被っていた謎のマシン(『ダイスオー』の筐体…………?) から手足が伸びてディスプレイにロボット8ちゃん的な目玉の映像が表示され、データスを名乗る。
 マスターヘッドの命令で緊急時の為に眠っていた、との事ですが…………天知天文研究所に?
 …………ま、まあ、護星天使は古来から地球を護っていたとの事なので、 世界各地に緊急用のシステムが色々と仕込んであってもおかしくはないんですが。
 というか今回、博士出てこなかったけど、中身、博士じゃ。
 頭脳労働担当のデータスの分析によりヘビメタコオロギの次の出現場所が予測され、半信半疑ながらも出撃した3人は、 そこで全地球ライブの準備をしていたコオロギを発見。それを阻止しようとするが、その前に、彗星のブレドランが立ちふさがる。
 ゴセイジャーと初の相対となったブレドランは槍を振り回し、3人を叩きのめすかなりの強さを発揮。 コオロギの怪音波は全地球に発信されてしまうが、立ち上がったエリが天使の歌でそれを相殺。ブレドランマネージャーの 「地球壊滅! 俺の歌を聴きやがれ!」大作戦は失敗に終わるのであった。
 アラタとエリの「なんとかなるなる」兄妹がマッド気味な前向きさでゴセイジャーを勝利に導くのですが、 残り3人の「あいつら、ちょっと変」という評価が、最初から最後まで全く変わらなくて、それでいいのか(笑)

◆epic5「マジカル・ハイド」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久)
 街では高熱が出る代わりに学力が飛躍的に向上するという、天才風邪が大流行。勿論これはウォースターの陰謀なのだが、 流行の原因には、受験シーズンを前に多少苦しくても一時的に学力が上がればいい、 と子供をわざと風邪にかからせようとする親のエゴがあった。と風刺を交えつつ、天才塾の亜流パターンになっているのは、 上原大先生を好きな荒川さんなので恐らく意識的。
 それにしてもウォースターはホント、地味に下調べしているなぁ(笑)
 今の所、蛾様は飯塚昭三ボイスの一点突破で、ウォースターの組織としての特性はそれほど出ていないのですが、 侵略対象を侮らずに傾向と対策を立てている所には非常に好感が持てます(笑)
 買い出しに出ていたアグリとハイドは宇宙カメムシに襲われていた女性を助け、天才風邪にかかった子供が、 やがてビービ(ウォースターの戦闘員)に変身してしまうという事を知る。
 「買い物を馬鹿にするな。日々の生活の基本だ。そもそもおまえは、一直線すぎる」
 買い出しのシーンは、冷静だが細かすぎるハイドが店を梯子して超吟味し、直情径行のアグリがそれに不満を漏らし、 ちょっとギャグをやりつついまいち反りが合わないという2人のキャラ立て。……ていうかアグリは、誰となら反りが合うのか(笑)  あとランディック族は大地の力で野菜の質とか見分けられないのか。
 ちゃんとエコバッグ持っていたり、5話にして随分と生活感の滲み出ている天使達ですが、 地上任務の際に人間社会に紛れ込むノウハウは必須項目なのです。
 いいかい坊や? 天使はね、天使は、愛と希望と自由を謳う存在なんだ! 決して、決して、 夢ばかり見ている無職じゃないんだよ!!
 特効薬の開発に必要なカメムシの体液を手に入れる為、天装術による変装を用いて囮作戦を行うハイド。
 「人間界のことわざで云えば、飛んで火に入る夏の虫だ」
 カメムシとの戦いで、黒が取り落とした斧を、青は筋力不足で持てない、というのは面白かったです。が、
 「任せておけ。怒濤のシーイックパワーを、見せてやる!」
 結局、両手持ちで使用(笑) 挿入歌まで入ってえらく贔屓された青の怒濤の攻撃でカメムシの体液は入手され、 5人揃って合体攻撃でパニッシュ。巨大化したカメムシにドラゴンソードを奪われて苦戦するゴセイグレートだが、 ハイドの怒りに応えて新たなゴセイヘッダー、鮫頭3兄弟(と思ったら一匹マンタだった)が召喚され、合体。 シーイックゴセイグレートの連続攻撃によりカメムシの装甲を打ち破り、天罰執行するのであった。
 シーイックゴセイグレートは顔が片目に眼帯というデザインで、翌年の海賊戦隊の前振りのような風貌。
 というわけでハイドさん無双回。しかも最後に、さして役に立たなかったアグリを立てる、という男前ぶり。
 頭脳プレイ→パワープレイ→仲間を立てる気遣い、とあまりにも出来が良すぎると思ったのか、 0.2ミリの調整こだわって皆に引かれる、でオチ。いやしかし、戦場ではその0.2ミリの誤差が生死を分ける場合があるので、 むしろ戦士としてはハイドが正しいと思います!
 妄想フィルターかかっているかもしれませんが、顔立ちがちょっと似ていたり、ハイドにはどうも大五さん (『五星戦隊ダイレンジャー』)の匂いを感じて、現状けっこうお気に入りで見るモチベーションになってくれそう。
 今回気付いたけど、各人のヘルメットに横向きのシンボル生物の意匠があしらわれているのが格好いい。変身時のエフェクトも、 そこから来ていたのか。

◆epic6「ブレイクアウト・ゴセイジャー」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久)
 何やら落ち込んだ様子の望。
 「馬鹿にされたんだ……」
 家に得体の知れない無職(自称・天使)を5人も住まわせてるからですか?!
 と思ったら、逆上がりが出来ない、との事。
 「逆上がり……てなに?」
 …………うーん、前回やたらに生活感出して、今回は天使の人間界知識ギャップネタで来られると、フォローのしようがががが(笑)  話の転がしやすさ優先でその辺りのラインをあまり考えてなさそうな気配はあったのですが、やはり考えていないのか(^^;
 望に逆上がりを教えようとするアラタだが、カマキリ星人にやられた負傷の影響で失敗。それを見た望は、 「逆上がりなんて人生に無駄な事なんだ。僕はいっぱい勉強していい大学に入ってあいつらを顎で使うホワイトカラーになってやるんだ」 と人生の暗黒面に堕ちてしまう。
 そんな時、街に快傑韋駄天ドラゴンフライが出現。
 「はははは、すかっと参上! すかっと蹂躙! 人呼んで、韋駄天のヒドゥ!」
 序盤から、中尾隆聖とか高木渉とか、高性能怪人声優をがんがん使ってくるなぁ。
 ドラゴンフライの高速移動攻撃と流星カマキリの再登場に、完敗するゴセイジャー。 4人はアラタが用いた風の動きを感じて高速移動を耳で読む戦法を習得する為に訓練を行い、 左手の傷が癒えないアラタはそれを乗り越えてカマキリに立ち向かう為、望に教えると約束した逆上がりの訓練に励む。
 傷を癒すのではなく、精神力と根性で怪我そのものを無かった事にして乗り越えるとか、 往事の広島カープか最近のヤクルトスワローズみたいな(待て)
 再びドラゴンフライとカマキリが現れ、地球人を無駄な存在扱いするカマキリに怒りを燃やすアラタ。
 「無駄って言ったな……クズって言ったな……。そんなわけないっ。どんな小さなものだって、この世に無駄な存在なんかないんだ!」
 ゴセイレッドは咄嗟の逆上がりアクションでカマキリに痛烈な一撃を浴びせ、ドラゴンフライは4人が海産物ラッシュで撃破。 巨大化したドラゴンフライとは何故か全力の追いかけっこが始まり、黒と黄の根性に応え新たなゴセイヘッダー、 ランディックブラザーズが登場。
 まだしも関連性の見えたシーイックですが(色彩も統一されているし)、ランディックはティラノ・クワガタ・サイと、 潔く統一感皆無。
 降臨したランディックゴセイグレード(蛇頭と虎頭が移動して膝につく辺りのギミックは好き)は強化された走力でドラゴンフライに追いつくと、 ドリルモグラキックで天罰執行するのであった。
 「この世の中に無駄な事は無いもん。やってみるのが大事なんだ」
 ラストは、アラタ達の戦いに胸を打たれ、フォースの暗黒面から解き放たれた望が逆上がりの練習をする姿を見守る5人、でオチ。
 ところでアラタと望の鉄棒を握る手の向きが逆なのですが、どちらが正しいか調べたら順手(アラタの握り方)が正しいそうなので、 5人はせめて、望に握り方を教えた方がいい。

◆epic7「大地を護れ!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:大和屋暁)
 街で出会った爺さんにアグリが相撲に負けて景品としてエリが連れて行かれ、エリを取り返す為にアグリは爺さんの家で農業に従事する事に。 奥さんを亡くして身寄りのない老人だと思って親身になる2人だが、実は奥さんは元気で旅行中なだけだった……と、 アクの強いゲストキャラが出てきて、いい話パターンからそうはさせじとドタバタにして落とす、という如何にもな大和屋脚本。
 頭脳派シロアリに攻撃パターンを研究されて苦戦するゴセイジャーだが、《ファーマー》スキルを手に入れたアグリの奮闘で大逆転。
 「あの爺さんの農家でこきつかわれたぐらいで強くなれるなら、全国の農業従事者のみなさん全員が、格闘家として大成してる!」
 ……確かに一番シロアリにダメージを与えたのは、可愛い可愛いくすぐり攻撃でした。
 ……早く護星界と連絡がつくようにならないと、ゴセイジャーの男性陣が人間界でどんどん未知の性癖に目覚めていくのを止められません。
 ロボ戦の時、背景で黒煙が噴き上がるのは格好良かったです。
 しかしこの話、景品役はエリでなくてモネでも成立したと思うのですが、エルフもドワーフも兄妹で絡みすぎなので、 敢えてエリにしたのでしょうか。ここまでエリがやたらヒロイン扱いなのに対して、モネの扱いがちょっと粗雑なような(^^;
 ところで、望とゴセイジャーが食卓を囲むシーンがあって、 農家から帰ってこないエリとアグリの席の前には空席を強調する為の食事が用意されているのに、 そもそも天知博士の席がないのですが、博士はやはりデータスの中に入っているのか、或いは博士の正体がデータスだったのか、 それともそもそも天知博士は存在していなかったのか。そこはかとなくホラー。

◆epic8「ゴセイパワー、暴走」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:大和屋暁)
 割と駄目っ子だった望少年、絵が巧いのを披露。
 軽いノリで機械や人体の命令中枢を混乱させる光線を放つお腹に蜂星人が登場し、 出鱈目光線を受けた赤は天装術がうまく制御できなくなってしまう。ゴセイレッドへの変身が解けない赤をコミカルに描きつつ、 意図しない天装術が発動してしまうなど、状況はどんどん悪化。とうとう術を発動するカードそのものが機能不全を起こしてしまい、 赤が最後の手段として白紙のカードに絵を描くと、何故か4つのドラゴン頭が飛んできて電波蜂のアンテナを破壊。 出鱈目光線の影響が解消され、ゴセイグレート降臨。背中の翼部分が前に降りて、 五つのドラゴン頭が胸部に並んだエキゾチックゴセイグレートは、一斉火炎放射で天罰執行するのであった。
 何がエキゾチックかさっぱりわかりませんが、この大量ドラゴン頭は、一回限りの勢い扱いで処理。 その割には着ぐるみがわざわざ造形されているのですが、何か、他の企画との絡みだったのでしょうか?(^^;
 変身が解けないゴセイレッドのコミカルな描写や展開は悪くなかったのですが、ブレドラン乱入辺りからただの殴り合いになってしまい、 最終的によくわからない方法で解決してしまったのは残念。
 久々に登場した天知博士が天装術誤爆の落雷で死にかけたのですが、華麗に復活。とても普通の人類とは思えないし、 同じ画面に出てこないし、やっぱりデータスの正体なのでは。
 今回からED映像が大きく変更。カラオケマイクみたいなのを持ちながらのダンスなのですが、新しい玩具の宣伝?(^^;

◆epic9「ガッチャ☆ゴセイガールズ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 朝っぱらから自堕落なエリにキレたモネ、規律正しい生活を送らせようと天使の生活ルールを制定しようとし、 仕切り屋で段取り好きという扱いに。
 地球には新たに、あらゆるオスを下僕にする毒液を放つ女王蜂星人が襲来し、青、黒、赤が次々と戦闘不能に陥ってしまう。 ビービに回収された男達は組み体操で人間オブジェにされてしまい、地味に大変な事やっているシーンのような(笑)
 モネが木の声を聞く事でさらわれた男達の元に辿り着くが、黄は何故か桃の動きを封じて1人で女王蜂に立ち向かう。
 桃「外して!」
 黄「外したら、すぐ無茶するでしょ!」
 桃「え?」
 黄「なんとかなるって人が居なくなったら、あたし達、困っちゃうよ!」
 ここで桃のチームにおける位置づけ、黄と桃の差別化をはっきりしたのは、良かった。
 黒「あいつ、いっちょまえに、エリの守護者のつもりなんだ」
 赤「モネだけじゃなく、エリもモネを護る気でいるよ」
 青「あんなに合わない二人なのにか」
 赤「何言ってるの、二人とも合ってんじゃん」
 一緒に戦おうと力を振り絞る桃の心意気に応えてスカイックブラザーが召喚され、桃はクロウと鷹ヘッドでビーム攻撃。 ランディックも合わせ、ふわふわと浮きながら回っているヘッダーを銃に装着する、という演出は格好いいのですが、 「クロウ」と「鷹」と「プテラノドン」って、どうしてそこ、「ホーク」でないのか。
 息の合ったコンビネーションを見せた黄と桃は、W恐竜頭ビームで女王蜂を粉砕し、巨大化した相手には、 スカイックゴセイグレート降臨。
 頭が三つに増えるだけで、もう、何が強いのか(笑)
 「「私達、愛と美の五星天使が、悪しき魂に天罰を下す!」」
 勢いに乗りまくる黄と桃による、お約束のゴッドバードアタックで天罰執行。
 頭だけが増えていくという前代未聞の強化ギミックが続くゴセイグレートですが、前作『侍戦隊シンケンジャー』より更に割り切った感じの、 追加ギミックに理由などない、という物語の姿勢には、この時期、 バンダイと東映担当者の擦り合わせが巧く行っていなかったのだろうか、と勘ぐりたくなります(^^;
 ロボの強化武装である頭部が、そのまま銃のアタッチメントに流用可能、というアイデアはそこまで悪くないと思うのですが、 肝心のロボの強化がまるで面白くないのと、三つの頭にあまりにも統一感が無いのはもう少しどうにかして欲しかった所です。
 書き込みが後回しになっていたモネは、やや暴走気味だけど根は真面目という位置づけに。 これまで特に皆を引っ張ろうとしていた事が無いので仕切り屋設定もどうも唐突ですが、ランディック兄妹は揃ってキャラ付けがぶれ気味で、 そろそろ落ち着いてくれる事に期待したい。
 天然無双でかつてなく嫌なピンクになりかけていたエリは、ここぞという時には真剣な態度を見せる事でぎりぎりフォロー。合わせて、 色々な事が見えすぎていたアラタは、女子2人に引きずり回される事で少々バランス取り。
 そしてアラタを生け贄にして墓地送りにする事で、ハイド・アグリ・望に、 篤い友情のトライアングルが発生!
 今回、一番大きかったイベントはこれだった気がします(笑)

◆epic10「ハイドの相棒」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
 天の塔を破壊したカマキリにゴセイレッドが挑んでいたのと同じ頃、実は護星天使と宇宙昆虫軍団のもう一つの戦いがあった。 カマキリによる奇襲攻撃と並行して地球沸騰作戦を実行しようとした灼熱ゾウムシとシーイック族の2人が戦い、 ハイドの相棒だったデカミドリ……じゃなかった、ゴセイグリーン・マジスが命を落としていたのである。
 マジスが相討ちして倒した筈の灼熱ゾウムシが傷を癒して復活し、相棒の仇に冷静さを失い独りよがりで突っ走ってしまうハイドだったが、 特別ゲストのさかなクン博士の話を聞いて個人の復讐に囚われる事なく、広く大きな世界を護る事の大切さを思い出し、 仲間との連携でゾウムシをパニッシュするのであった。
 と、もう少し引っ張るかと思ったハイドの過去エピソードで、可も無く不可も無い出来。

→〔その2へ続く〕

(2015年5月26日)
(2019年7月21日 改訂)
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