■『百獣戦隊ガオレンジャー』感想・総括■


“命ある所――正義の雄叫びあり!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『百獣戦隊ガオレンジャー』 感想まとめの、総括です。

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☆総括☆
 1号ロボ→2号ロボ→強化合体……というのが主流路線であった戦隊ロボの展開に、 既存の合体パーツと追加武装を交換する組み替えでロボットが強化されるという新基軸を持ち込み、 その商業的ヒットで以後のシリーズ作品に大きな影響を与える事になった他、追加戦士が始めてOPバンクに参加し、 従来のあくまで助っ人キャラ(セミレギュラー)扱いから、“明確な戦隊メンバー”としてレギュラーの一員となる大きな契機になった、 00年代戦隊のスタートであり、転換点の作品。
 前年『仮面ライダークウガ』が話題作となった事で、特撮ヒーロー作品自体が注目を集めたというのがプラスに働いた部分もあるかと思いますが、 戦隊史の中で大きな一作……という事で改めて腰を据えて見てみたのですが……正直、改めて全く肌に合いませんでした(^^;
 戦隊という大きな枠組みを除くと、全く波長の合わなかった作品。
 というわけで、総括の文章をこねくり回してはみたものの全く面白くならなかったので、今作に関してはこれでまとめとしたいと思います(^^;
 玉山鉄二の、顔は、凄く好きでしたが!!


★構成分析★
 〔評〕は、大雑把な各エピソードの評価。◎……名作、○……それなりに面白かった、−……普通、×……駄目回。
 ただし、どこに基準を置くか、を考えるとややこしくなるので、相対的というよりは印象評価だと思ってください。 記憶と感想を読み返してのものなので、微妙にリアルタイムで見た時と、違っている所もあるかもしれません。

話数監督脚本メインキャラ備考
諸田敏武上純希―― 〔獅子走、ガオレッドに〕
諸田敏武上純希
渡辺勝也武上純希 〔シュテン、登場〕
渡辺勝也武上純希青×黒
坂本太郎武上純希テトム 〔ガオエレファント、登場〕
坂本太郎武上純希 ×
諸田敏武上純希 〔ガオジュラフ、登場〕
諸田敏武上純希
竹本昇武上純希 〔ガオベアー&ガオポーラー、登場〕×
10竹本昇武上純希 〔ガオゴリラ、登場/ガオマッスル、誕生〕×
11渡辺勝也武上純希
12渡辺勝也武上純希――
13坂本太郎武上純希――
14坂本太郎武上純希―― 〔ソウルバード、誕生/シュテン、死亡/ウラ、登場〕
15諸田敏武上純希―― 〔ロウキ、登場〕
16諸田敏武上純希―― 〔ガオウルフ&ガオハンマーヘッド&ガオリゲーター、登場〕
17渡辺勝也武上純希青×白 〔ガオハンター、誕生〕
18渡辺勝也武上純希――
19坂本太郎赤星政尚
20坂本太郎武上純希
21諸田敏酒井直行――
22諸田敏武上純希―― 〔ガオゴッド、登場〕×
23渡辺勝也武上純希―― 〔ロウキ、シロガネの姿に/ガオアルマジロ&ガオライノス、登場〕×
24渡辺勝也酒井直行 〔ガオシルバー、誕生/ウラ、死亡〕
25竹本昇武上純希―― ×
26竹本昇赤星政尚白×銀 〔ロウキ、ウラ、復活〕
27松井昇武上純希テトム ×
28松井昇武上純希 ×
29渡辺勝也赤星政尚銀×テトム 〔ガオディアス、登場〕
30渡辺勝也酒井直行―― 〔ウラ究極体、誕生〕×
31竹本昇酒井直行―― 〔ガオファルコン、登場/ガオイカロス、誕生/ウラ究極体、死亡〕×
32竹本昇武上純希―― 〔ラセツ、風太郎、登場〕×
33舞原賢三武上純希―― ×
34舞原賢三武上純希黄×黒
35諸田敏武上純希 ×
36諸田敏武上純希銀×テトム
37竹本昇武上純希青×黄
38竹本昇武上純希―― ×
39舞原賢三武上純希―― 〔風太郎、ガオゴッドと判明〕
40舞原賢三武上純希 ×
41坂本太郎酒井直行 ×
42坂本太郎赤星政尚テトム 〔ツエツエ、死亡〕×
43諸田敏赤星政尚テトム 〔ガオケンタウロス、誕生〕
44諸田敏武上純希―― 〔ラセツ、死亡〕
45中澤祥次郎中州千恵次郎――
46竹本昇酒井直行――
47竹本昇酒井直行―― 〔ツエツエ、3ハイネス、復活〕×
48舞原賢三武上純希――
49舞原賢三武上純希
50諸田敏武上純希―― 〔センキ、登場〕
51諸田敏武上純希―― 〔センキ、死亡/マトリックス崩壊〕

(演出担当/諸田敏:14本 渡辺勝也:10本 竹本昇:10本 坂本太郎:8本 舞原賢三:6本 松井昇:2本 中澤祥次郎:1本)
(脚本担当/武上純希:38本 酒井直行:7本 赤星尚正:5本 中州千恵次郎:1本)


 パイロット版とラスト2話を担当した諸田監督が最多演出。諸田・渡辺・竹本監督はいずれも90年代の監督デビューで、 この3人にベテランの坂本監督を付ける、というのが基本的な意図でしょうか。率直な所、今作の全体的な作りの甘さには、 演出陣の若返りを進めようとしすぎた、という影響はあったのかなとは思う所。
 脚本は、全体の約8割を武上純希が担当。1〜18話までを一人で書いていたかと思ったら、 19話以降はサブライターと順繰りになり、32〜40話までを再び連続で書いたと思ったら終盤の重要な所でサブライターが入り、 と何となく首をひねる体制(^^; 序盤にイベントが多いので巧く休みを入れられなかったのかもしれませんが、 販促スタイルの変更に対して現場の対応も難しかったのだろうか、と穿って見たくなってしまいます。

 メイン回の配分は、
 〔赤:5(5) 黄:5(3) 青:6(3) 黒:4(2) 白:4(2) 銀:4(1) テトム:6(4)〕
 ()内は単独メイン回。
 特徴的なのは、これといって誰がメインとも言いがたいエピソードが多い事。通常、山場の回は実質的に赤メイン、 みたいな事が多いのですが、良くも悪くも割とフラットな構成が多く、あくまで私の判定でありますが、 赤メイン回といえるエピソードは歴代で最小かもしれません。かといって赤が目立っていないかというとそういう訳ではないので、 ある意味でバランスの取れた作品。

 作品としての特徴は、10話までに5体の追加アニマルが登場して2号ロボ合体まで見せる、序盤怒濤のアイテムラッシュ。 やはりこれは、かなり大変だったのかな、とは思う所です。2クール目にはライバル(追加戦士)のロボットが登場し、 そこから先は比較的ゆったりで、23話で更なるバージョンアップ、31話で実質的3号ロボ登場、 というのは既存戦隊と比べてもそこまで増量というわけではありません。
 その余裕のあった時期にゴッドとか風太郎とかで物語が明後日の方向へ行ってしまうのですが……。

 評点ですが、○をつけたのは、女好きの鹿が出てくる第29話のみ。……ほぼ唯一、本文に「 『ガオ』にしては割と面白かったです。」 と書いてあったので(^^;
 ×印は合計18になりましたが、後半になるほど、特別酷いというわけではないけれど物語の積み上げが足りないのでどうにも盛り上がらない、 というのが率直な感想です。
 流れとしては1クール目はまだともかく、淡々とどこか歯車のズレたロウキ編が、ガオゴッド降臨で解決してしまった所が、 致命的に合わず、そこから先に×が急増する形になっています(^^; 助っ人から一歩進んでレギュラー化した追加戦士の収め方、 というのも試行錯誤あったのでしょうが、シルバーがどうにもキャラとしてフワフワし続けていたのも、靄を増してしまいました。
 トドメはゴッドの全ては試練だったのぴょーん、ですが……つまり戦犯はガオゴッド。
 基本的に、ゴッドとか出すものではないな、とつくづく思った次第です。
 2年後に、またゴッド的な存在を出す作劇で似たような失敗しますが(^^;

 以上、『ガオレンジャー』感想まとめでした。


(2016年3月4日)

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