■『百獣戦隊ガオレンジャー』感想まとめ6■


“I'll be healing you,healing you,forever”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『百獣戦隊ガオレンジャー』 感想の、まとめ6(41〜最終話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕  ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕  ・ 〔総括〕


◆Quest41「サンタが来た」◆ (監督:坂本太郎 脚本:酒井直行)
 ゴッドに認められて調子に乗った赤が面倒くさい上司モードになっている頃、ブルームーン化で消費したエネルギーが癒えないシルバーは、 ビリヤード場のソファで寝込んでいた。……何この超迷惑な人。
 「いいもんだな、仲間って」
 ビリヤード場のマスターが出てくる度に謎の人と化していきますが、正直どうせガオゴッドを出すのなら、 この人がガオゴッドの化身だった方が遙かに納得度は高かった(笑)
 街で子供達にプレゼントを配って歩くクリスマスオルグ(CV:なんか爽やかな演技の野田圭一)が現れ、 出撃するガオレンジャーだが、穏やかな性格のクリスマスと、喜んでプレゼントを貰う子供達の姿に、戦意を喪失。 ひとり監視を続行する赤だが、ツエツエとヤバイバに因縁を付けられたクリスマスがラセツに人間との融和を説き、 ラセツが心を動かされる姿を見てクリスマスオルグの平和主義を信じる事に。
 「人間とオルグの和平の道、俺にも手伝わせてくれ!」
 「残念ですが、今の貴方では、無理です」
 どうせ右手で握手を求めながら左手でサブマシンガンを隠し持ってるんでしょ?  と責められた赤は武装解除の要求に応えてクリスマスにGフォンを渡すと、街でプレゼント配りに協力。そしてラセツとの会談に向かう。
 「人類を代表して、ここに宣言する。もう戦いはよそう」
 ……宗教団体の戦士が、人類の代表気取りだ!!
 和平の呼びかけに、にこやかにレッドと肩を組むラセツ……だが勿論、全てはオルグの罠で、赤は見事に拘束されてしまう。
 「ガオレンジャーのリーダーが、ここまで単細胞だったからでございます」
 んー、季節ネタと絡めて、善良そうなオルグが子供達を味方に抱き込んだ事でガオレンジャーが一杯食わされる、 というギャグ回としてはテンポも含めてそれほど悪くはないのですが、オルグが純粋悪意である、というのは今作の根幹設定であり、 赤はそれを一度思い知って乗り越えた――そしてその後は全くブレが無いので、中心に据えたキャラクターの選択が悪すぎます。 そして残り4人の反応も、序盤ならともかく、40話まで話を積み重ねてのものとは思えません(^^;
 クリスマスオルグが「単細胞」と評していますが、むしろ獅子走はガオレンジャーの中ではまだしも頭を使う方ですし、 人情家のお馬鹿キャラというのは本来、黒のポジションの筈(まあ、炭火焼きの回で既に消費してしまっているわけですが)。 最終クールにして、作っている側が話の都合でレッドのキャラクターさえ歪めてしまうというのは、あまりに酷い。
 この後、レッドが拘束からの脱出に、クリスマスオルグが「武器と言える所持品はこれだけ」 と取り出して交換していた臭い靴下を用いたのは、くだらないギャグが伏線として機能してちょっと面白かったですが。
 5人揃ったガオレンジャーは、正体を現したクルシメマスオルグをガオラオするが、 ラセツは何故か余裕を見せて姿を消すのであった……次回、ニンジャ!!

◆Quest42「鬼(オルグ)忍者侵略!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:赤星政尚)
 見所は、角さえ無ければ聖なる泉に触れても大丈夫、という超理論。
 ……え、聖なる泉は、角の有無で対象がオルグかどうかを判断しているのでしょうか。
 いや、オルグの力の源は角で、それを折られるとオルグの力を即座に失うというのなら話はまた別ですが、凄く普通に戦っているし、 ここに来て物語としての積み重ねの無さと文芸設定の軽視が時速200キロオーバーで、寂れた埠頭から太平洋にダイブしそうな勢いです。
 新たなデュークオルグ・ドロドロ(忍者スタイル)が登場し、忍者コスプレに身を包むヤバイバとツエツエ。 ガオズロック侵入作戦に失敗したツエツエはラセツから解雇通告を受けるが、角を切り落として聖なる泉が大丈夫になった状態でもう一度侵入するのだ、 とドロドロの口車に乗せられる。
 ガオレンジャーが陽動に引っかかって不在のガオズロックで、ツエツエのキャラクターソング?をバックに肉弾戦で火花を散らすテトムとくノ一ツエツエ。
 「あなたって、ハイネスの言うがままなんだ!」
 テトムは、理由も知らぬままに、ラセツの命令で自分をさらおうとするツエツエの在り方を嘲笑う。
 「今、確信を持てたわ」
 「……何のこと」
 「ガオレンジャーは、自分達の考えで、この星の希望を守る為に戦ってるの! そんなみんなが、上司の言う事しか聞けない貴方達に、負けるもんですか!」

 ……え。

 ブーメランが特大すぎて、全長が測れないのですが。

 …………いやまあ確かに先日、神様に見捨てられても俺達は人々の為に戦うぜ! みたいなエピソードがあった気はしますが、 その結論は「全て試練だったから俺達は神様に認められたぞ良かったぜ!」という自立とは程遠いものだったと記憶しているのですが。
 ツエツエはテトムの誘拐に成功するが、切り落とした角が再生するというのはドロドロの嘘で、力を失って倒れてしまう。そして、 結果的に命がけで行ったテトム誘拐の目的は、ラセツが単にテトムの料理を食べたい、 シェフとして雇いたいというだけのものに過ぎなかった。必死にラセツに尽くそうとするツエツエだが、 駆けつけたガオレンジャーが放った破邪百獣剣の盾にされ、無残にガオラオ。光の粒子になって消滅する……。
 …………えーあー、3クール分のレギュラーキャラの最期、これ……?(^^; まあ、 ツエツエとヤバイバに関しては一度死亡して復活していたりもしますし、しれっとまた出てきそうな予感もありますが、 現段階の展開としては、かなり酷い。
 ラセツがテトムの料理を食べたがっている、というネタは確かにあって(なお、その為にプロペラとキュララは死亡している)、 自分の嗜好の為に部下を捨て駒に出来る邪悪さ、というのを描いたつもりなのでしょうが、 ラセツの食へのこだわりには大きな問題が一つあって、それはラセツが食事シーンの度に、 無機物を食べたり人間と同じ物を食べたり、一定しない事。
 勿論、両方いける口、でも矛盾はないのですが、それなら何故、初登場時にコンクリートソムリエぶりをあそこまで強調したのかと。 結局、話の都合で「テトムの弁当に誘われる」シーンを作ってしまったが為に、本来は大きな特徴付けであった筈の食に対する嗜好を一本化できず、 むしろこだわりが曖昧で、動機付けがぼやけてしまいました。
 ラセツ動機そのものは曖昧でもくだらなくてもいいのですが、「ツエツエのリタイア(?)」「テトム誘拐」 という出来事と物語上のバランスを取る為には、天秤の反対側にはそれなりの重さの要素を乗せる必要があり、 しかしその重量が全く足りていません。
 とにかく今作の、物語の組み立て方の粗さと軽さが、また大きく出てしまいました。
 ラセツとヤバイバはテトムをさらって撤退。幻影忍術でガオイカロスを翻弄したドロドロも、シルバーに術を見破られて退却。 だがガオレンジャーは、教団の巫女を失ってしまうのであった……。

◆Quest43「獅子、灼熱する」◆ (監督:諸田敏 脚本:赤星政尚)
 「こんな時テトムの手料理を食べれたら、不思議と力が、湧くんだけどなぁっ!」
 「テトムの手料理って、なんかこう……殺る気満々にさせてくれるからな!」
 ここまで堂々と公式に発言されると、こちらとしても少々怯む所がありますが……TVの前の良い子のみんなは、

 クスリ、ダメ、ゼッタイ

 ガオレンジャーとの約束だ!
 専属シェフとしての引き抜きを拒否するテトムを脅す為、ガオレンジャーを呼び出したラセツは、 ドロドロのオルグ忍法により生み出した影ガオレンジャー(全身黒タイツにメット)とガオレンジャーを戦わせる。 ガオレンジャーと全く同じ力を持つ上に、攻撃すると本体にダメージが跳ね返る影に追い詰められるガオレンジャー。
 だが戦闘中、ツエツエの事を認めさせようとしたヤバイバが、ツエツエの残したレシピによる料理をラセツに食べさせようとした事で状況が混乱。 ラセツの命令で抹殺されそうになるヤバイバだが、たまたま持っていた鏡(ウラの魔鏡?)がドロドロの影分身の術を跳ね返し、 自ら影を生んでしまったドロドロはファルコンアローを受けて死亡。
  影による窮地から脱するガオレンジャーだが、巨大化したドロドロにより、オルグの邪悪な衝動が澱む冥界・鬼霊界に連れ込まれてしまう。 アニマル召喚も不能でまたも追い詰められるガオレンジャーだが、外では掟破りのダイレクトアタックにより、 パワーアニマルがラセツからテトムを救い出していた。
 そしてテトムの祈りとガオライオンの咆吼が重なったその時、スーパー卵焼きの力により巨大化したガオラインはガオイカロスの上半身と合体し、 偉大なる勇者・ガオケンタウロスが誕生する!
 巫女と戦士とパワーアニマルというのは本来なら、今作において中心を成すべき三角形だったと思うのですが、 先にその高位存在であるガオゴッド中心の話を展開してしまった為、流れが綺麗になりませんでした。一応構造としては、 ゴッドが去った後だからこそ巫女が自分の力で戦士達を守ろうとする、と組んでいるのですが、そもそもゴッドの存在が、 「巫女と戦士とパワーアニマル」の関係が積み重ねられてこそ意味を持つ――戦士視点でいえば、 巫女とアニマルへの信頼の先にゴッドへの信頼が存在する――ものなので、それを逆にしたのは構成として大失敗だったと思います。
 言うなれば、整地もしなければ土台の補強もせずに塔を建てたらやっぱり崩れて、 その瓦礫の山の中に「定礎」を設置した感じ。
 今回は百歩譲って、巫女とパワーアニマルに意味を持たせたのは評価するとしても、 「信じられない事が起こりました」の一言で緊張感を粉微塵に破壊する毎度お馴染みナレーション爆弾、 蓄積皆無なのに説明無き圧倒的暴力で全てを解決する新兵器、ケンタウロス強行突入後のガオレンジャー置き去りの戦闘、 と例の如く例のようにの展開で全て台無しに。
 次回、ラセツ、本気。

◆Quest44「亀岩(ガオズロック)、落ちる」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希)
 「「ガオレンジャーの夢、この星を食らい尽くす。いよいよオルグの時代がやってくる!! ふふふはははははは……」」
 消耗した体でガオズロックを緊急退避させるテトムだが、そこにもラセツが姿を現す。 実はレッドがクリスマスオルグにGフォンを渡した際に、ラセツは自分の分身をそれに憑依させる事で、 ガオレンジャーの動向を完全に把握していたのだった。更に分身体の魔力によりGフォンが破壊されてしまい、 変身不能になる5人……と、リーダーの軽い行いで、窮地に立たされるガオレンジャー。
 この後の損害も考えると、リーダー、切腹もの。
 ガオラオガオラオと唱えていればアニマルパラダイスに往生できるから怖いものなし生身突撃を敢行するもラセツにあしらわれ、 駆けつけたシルバーもラセツビームであっさりやられると、Gフォンを踏み砕かれてしまう。
 更にラセツは念動力でガオズロックを墜落させ、分身体と融合する事で巨大化すると、ガオズロックを完全破壊。 怒りのレッドが突撃するもあっさりおやつにされようとしたその時、すんでの所で動物園に退避したテトムが、 パワーアニマルと共に駆けつけ、窮地を救う。
 ……と、前回とほぼ同じパターン。
 Gフォンは鹿の力であっさり修復され、復活したガオレンジャーはマッスルとハンターを召喚。ラセツを適度に痛めつけ、 トドメはケンタウロスの連続斬りでガオラオ。
 「敗北の味もまた……」「まったりとして美味」
 「「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」」
 かくしてガオレンジャーは、ガオズロックを失いつつも、3体目のハイネスデュークオルグの滅殺に成功するのであった。
 …………えー、43話の感想とほぼ同じ事を書きますが、どうして44話にもなって、テトムとガオの戦士の関係強化エピソードなのか。 パワーアニマルとの関係含め、2クール目の内にやっておくような内容なのですが、2クール目に困った狼の人が、俺は誰だー、 とぎゃーすか続けていたのが、やはり良くなかった。
 ラセツは、前回今回とパワーアニマルのダイレクトアタックにダメージを受けまくり、結局、初登場時が一番強かった、 という実に駄目幹部でした。……どうしてドンドン、幹部が駄目になっていくのでせう。
 次回、宿無しになったパワーアニマル教団は、無事に年を越す事ができるのか?! こいつはヤバイバ!

◆Quest45「闘い、終わらず」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:中州千恵次郎)
 年末総集編で、前年の『タイムレンジャー』に続き、当時ローテ入り前の中澤監督が登場。脚本は、 監督と編集担当の洲崎千恵子さんの合体ペンネームとの事。
 見所は、シルバーの入浴シーンヤバイバのムーンウォーク。
 なお前回墜落したガオズロックは、鹿パワーで修復されました。

◆Quest46「正月が襲う!」◆ (監督:竹本昇 脚本:酒井直行)
 マトリックスには4体目のハイネスデュークオルグが現れず、上司も同僚も失ったヤバイバは、何も出来ずにいた。一方、 ガオズロックではレッドがマトリックス強襲を提案。ラセツにさらわれた際のテトムの記憶を元に、 ガオレンジャーはマトリックスを目指して行動を開始する。それを知ったヤバイバは、正月オルグが時間稼ぎをしている内に、 目印になる地形を変えるという、大胆な防衛作戦に打って出る。
 基本ギャグ怪人ながら、羽根突きやカルタなどの正月バトルにガオレンジャーを誘導し、 自分のペースに巻き込む事で一定の足止めに成功した正月オルグが割と優秀。ヤバイバからの評価は芳しくありませんでしたが、 かなり健闘したと思います。
 最後は巨大化した正月オルグが戦闘中に、ヤバイバがオルゲットに豆を食わせて巨大化させ、強引に地ならしする事で、 地形を変えてしまう事に成功。ガオレンジャーの強襲作戦を防いだヤバイバがマトリックスに戻ると、 何故か鏡からツエツエの声が響いてくるのであった……。
 年末年始進行が終わり、次回から多分、最終章。

◆Quest47「蒸気機関、爆走!」◆ (監督:竹本昇 脚本:酒井直行)
 ゴッド太郎が再び姿を見せ、ひれ伏す人間達に風太郎呼びを強要するパワハラを行うと、 全国に漂っていたかすかなオルグの衝動が集結し最強最後のオルグが誕生し、それがオルグとの最終決戦になるだろう、と宣言。
 劇中でガオレンジャーも困っていますが、「世界に漂う邪悪な念や衝動のパワーが、 物の姿を真似て具現化したもの」というオルグの設定上、敵の根絶を断定しにくい為、ゴッドパワーで強引にゴールを作った感じ(^^;  ここで、空の彼方へ飛ばした筈のゴッドを再臨させないと物語の終着点を用意できない、というのも今作の造りの甘さが見える所です。
 誕生した蒸気機関オルグは最強ファルコンアローすら跳ね返す圧倒的な力でガオレンジャーを叩きのめすが、 その光景を覗き見しながら悩む鬼が一匹。鬼地獄に彷徨うツエツエとの霊界通信に成功したヤバイバが、 ツエツエを地獄から引っ張り出す為には破邪百獣剣のエネルギーが必要と、目前の勝利を取るか同僚の復活を取るか、 で悩むのはヤバイバがぐずぐずで面白かった部分。
 結局ヤバイバはツエツエの復活を優先して蒸気機関を騙し討ちし、破邪百獣剣のエネルギーを得る事に成功。巨大化した蒸気機関は、 ライオン、イーグル、シャーク、タイガー、ディアスを戦闘不能に追い込み、マッスルとハンターも合体解除に追い込まれてしまう。
 「ガオマッスルでも駄目なのか!」
 ……そもそも、後半ろくに役に立った記憶がありません。
 この後、残りのパワーアニマル(ファルコン・バイソン・ウルフ・ハンマーヘッド)で、ガオイカロス@寄せ集めを形成すると、 謎の化学反応により「いつものガオイカロスより、遙かに強力だ」と、さくっと蒸気機関を撃破。
 諦めない心で力を結集+シルバーも一緒にコックピット、とやりたかった事はわかるのですが、そもそも、 不自然にキングとマッスルを無駄に投入して自らピンチになった上で「もう駄目だー」と一部メンバーが落ち込んだり、 キングのパーツの5分の4が戦闘不能なのに都合良くバイソンだけ無事だったり、 ガオイカロス@寄せ集めを組む為だけにパーツを消していっているのが露骨に出来レースすぎて、 全く盛り上がりません。
 もっと丁寧に段取り組めば、盛り上がる展開なのになぁ……。
 最強最後のオルグをガオラオし、残すはヤバイバを倒すのみ。戦いの終わりへ向けて意気上がるガオレンジャーだが、 マトリックスではヤバイバがツエツエを復活させる事に成功していた。そしてツエツエが鬼地獄で拾ってきたアイテムから、 なんとシュテン、ウラ、ラセツが復活する――!

◆Quest48「奴らが甦る」◆ (監督:舞原賢三 脚本:武上純希)
 残る敵はヤバイバのみ! と少々気の早い祝賀パーティに盛り上がるガオレンジャー。そのさなか、 戦いが終わればそれぞれの道に戻ってバラバラになる事に不意に思い至り、各人がその後の人生について考え出す、 という展開はなかなか良かったです。
 MIA(作戦行動中行方不明)扱いで、娑婆に戻る所の無いイエローが、改めて飛び抜けて可哀想ですが!
 今後の事を口にするシーンは二人一組で描かれ、画面にエフェクトかけてセンチメンタルを強調しているのですが、 ねばねば兄弟は治療不可能として、ホワイトがシルバーの方に回された事で、レッドとイエローがペアになり、唐突に
 「初めて会った時はとんだ電波野郎だと思ったけど、最近は随分とリーダーらしくなってきたじゃねえか」
 「え? ホント? 俺、おまえにそういう事言われるとすっげー嬉しい」
 みたいな事を言い出して、ちょっと、気持ち悪い(おぃ)
 いや、レッドが“リーダーとしての自分”に悩むような流れがあったならまた別ですが、 特にそういう描写は無いどころかむしろ率先してリーダー気取りでしたし、 イエローも2話で託宣だからとレッドにリーダー職を放り投げた後は、 多少の反発はしても皆を引っ張る役へのこだわりを見せた事はほとんどありませんし、 相変わらず積み重ねを大事にしない作品です(^^;
 一方マトリックスでは、妙に狂信的になっているツエツエが謎の力でパワーアップしてオルグの巫女の名を与えられると、 甦った3体のハイネスと共に出撃。
 もはや敵はヤバイバのみ、と最後の戦いのつもりで繰り出したガオレンジャーがノリでオルゲット相手に生身戦闘し、 そのまま生身での「灼熱の獅子!」などの名乗りからノーモーション変身したのは格好良かったです。
 だが、ヤバイバを追った6人の前に、復活したツエツエ、そしてシュテン、ウラ、ラセツが姿を現す。
 夢見るようにハイネスへの崇拝を口にするツエツエと、そのツエツエ――オルグの巫女――の言葉に従順なハイネス、 というどこか歪な関係が描かれ、3ハイネスの合体技、修羅百鬼剣で大爆発するガオレンジャー。 3ハイネスはアニマルビームさえ跳ね返し、6人はガオライオンの助けで何とか退却に成功するも、闘志と肉体に深い傷を負うのであった……。
 ツエツエを釣り上げたら3ハイネスが何の説明もなく一緒に復活して、しかも出鱈目に強くなっているわけですが、さすがにこれは、 納得のいく説明がされる……ん、ですよ、ね……?

◆Quest49「鬼洞窟(マトリックス)、閉じる」◆ (監督:舞原賢三 脚本:武上純希)
 心拍音をBGM代わりにして他の音を消し、全身包帯で苦痛に呻く仲間達の姿を思い詰めた様子で見つめるガオレッド、 という印象的な入り。
 「俺は……リーダー失格だな」
 ここの真面目な顔は格好いい……というか、この路線で良かったのではレッド。
 役者のいい表情をどの時期に引き出せてどう組み込めるのか、というのは作品の出来不出来にそれなりの影響を与えますが、 今頃レッドの一番いい顔が見つかった気がします(^^;
 3ハイネスが現れる時、今までにない3つの光の反応が見える事をテトムから聞いたレッドは、 ハイネス打倒の手がかりを求めて単身そこへ向かう覚悟を決める。
 「でも、レッドだって傷ついてるわ!」
 「大丈夫。一つぐらい、リーダーらしい事やらなきゃな」
 前回から急にリーダーの責任を強調するようになったレッドは天に向かって昇る謎の光を発見するが、 出現した3ハイネスに追い詰められて、あっという間に崖から転落。……何しに出かけたのか(^^;
 レッドが一人で飛び出してしまった事を知った5人は負傷を押して後を追いかけ、崖下に転がっていたレッドを発見。 5人の呼びかけに目を覚ましたレッドは、みんなに夢を掴んでもらう為に早く戦いを終わらせたくて、 少しでもリーダーらしい事をしたかったのだ、と謝罪する。
 「そこまで自分たちの事考えて……」
 そもそもこの“みんなの夢”が前回出てきた要素なのに加え、レッドが急に“リーダーの責任”を積極的に果たそうとしたり、 身内に対して献身的になったりと、すべからく唐突。終わりが見えた戦いの後について各自が思いを馳せる、 というそれ自体は悪くなかったのですが、あくまで補助的な要素であり、ここで物語を転がす軸に据えるのはいくら何でも強引に過ぎます(^^;
 その頃、「ごめんね。僕の読みが甘かった」と、終戦宣言は見当違いだったと亀岩に現れるゴッド太郎。テトムが感知した3つの光の反応は、 マトリックスに張られた結界を保持するエネルギー体であり、それらを破壊する事でマトリックスへ進入可能になる筈、と解説。 レッドが見た光の柱が解決のヒントになるならまだしも、全く関係なくゴッドが全て説明してしまうので、 リーダー決死の単独威力偵察は本当に無意味な蛮勇だった、というパーフェクトに台無し展開(^^;
 一発逆転の本拠地強襲を目指し、エネルギー体を破壊する為に3手に分かれるガオレンジャーだが、 当然その前にはハイネスデュークオルグが立ちはだかる。ここでシュテン、手が伸びるという新技を披露。
 「立ち止まってる時間はねぇんだ!」
 「夢に向かって突っ走れ!」
 なんか急に、新しいテーマが入ってきました(笑)
 赤黄vsシュテン、青黒vsラセツ、白銀vsウラ、という対決となり、各自が名乗りから変身し、3分割の画面で一斉に揃い踏み、 というのはバラバラだけど一緒に戦っている、というのが出て良かったです。
 だが、オルグ地獄からのエネルギーを受けた復活ハイネスの力は脅威そのもので、一方的に追い詰められる6人。
 赤「しっかりしろ!」
 黄「俺はいいから!」
 赤「でも!」
 黄「みんなの夢を、かなえるんだろリーダー!」
 戦いに決着をつけ、それぞれの夢を掴む為――不屈の闘志で立ち上がるガオの戦士達……なのですが…………
銀:やる事ねーし、温泉巡りでもしようかなぁ……
白:温泉旅行、ついてっちゃう
黒:目指せ日本一のちゃんこ屋!
青:ついていきます社長!
黄:あ、俺、隊で葬式出てるかも……
赤:獣医師免許持ちなので、割となんとでもなる
 と、ねばねば兄弟はともかく、前回から自覚的に夢から除外されている黄(MIA)、衝動アバンチュールな白銀、 と最終コーナーで強引に取り付けた燃料タンクですら中の容量がてんでばらばらで、全体の推進力が全く足りていません。
 特に割り振りの都合で急接近した白銀は、白は赤・青・銀と適当にフラグを重ね、 銀はムラサキ本命の上でテトムと白に両天秤で粉をかけ、と腰の据わらない描き方を続けてきたツケで、注ぐ側から燃料ダダ漏れ。
 そして、まだしもゲスト女性キャラとの絡みがあった黒に対し、そんなものは皆無な上に白にも相手にされた例しのない黄色は、 戸籍も無ければ、女っ気もない!
 まあ7年経つまでは辛うじて死亡届は出されていないかもしれませんが、この終盤に、 私の中で黄色に対する同情票がこんなに集まるなんて夢にも思いませんでした。
 ドリームパワーを発揮した6人は結界の要を破壊し、解放されるマトリックス入り口。 突入したテトムとゴッド太郎はオルグパワーの放出口を閉じる事に成功するが、何かを完成させたツエツエには逃げられてしまう。 そして再びぶつかり合う、修羅百鬼剣vs破邪百獣剣。
 「俺たちは、地球に生きるみんなの夢を守らなきゃならないんだ。どんなにお前達が強くても、負けるわけにはいかない!」
 二つの剣が交錯し、至近距離大火薬祭の果て、どろどろに溶けて消滅する3ハイネス。 遂にガオレンジャーはオルグに勝ったのだ――と思われたその時、不気味な呪文と共に、 ツエツエがおどろおどろしい卵のような呪具を掲げる。
 「オルグの秘宝、見るがいい」
 赤・青・緑、のハイネスデュークオルグの体液が秘宝を中心に融合し、3ハイネスが合体。膨大なオルグパワーの塊である、 1体のオルグが誕生する……!  何故か、ヤバイバの親戚みたいな顔で。

◆Quest50「百獣、死す」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希)
 のっけから、「これは大変です」緊張感を破壊しにくるナレーションさん。
 最後まで、ぶれない見事な仕事ぶり。
 「我が名はセンキ。至高を超えた究極のハイネス。我こそは唯一絶対のオルグの王なり」
 千年前に、同じくハイネスデュークオルグ達のエネルギーより生まれたオルグの王・百鬼丸を超える存在――すなわち千鬼は、 ひとり修羅百鬼剣でガオレンジャーを蹴散らすと、ツエツエの杖を手に集めたオルグパワーで自ら巨大化。
 ゴッド太郎はガオゴッドの姿になるとこれに立ち向かうが、当然、百鬼丸以下の雑魚扱いを受ける。しかしその時、 今の自分なら千年の友と一緒に戦う事が出来る、とシルバーがガオハンター正義で参戦。
 「「ダブルゴッドインパクト!!」」
 だが、雑魚に雑魚をかけても雑魚なのであった。
 ゴッドとハンターはまとめてセンキに一蹴され、砕け散るウルフ、アリゲーター、ハンマーヘッドの宝珠。 亀岩が禁断のダイレクト体当たりでセンキをよろめかせた隙に全員を回収して一時離脱に成功するが、シルバーは変身能力を失い、 力を使い果たしたゴッド太郎は消滅してしまう。
 「風太郎は死んだんじゃない!」

 機能が一旦停止しただけだ!

 ……じゃなくて、
 「そうよ。天から、私たちの戦いを、見続けてくれてるのよ」
 子役に泣かせ演技させておけば盛り上がるだろう的なあれなのですが、とにかくゴッド太郎は、 実はゴッドでした→人間とかゴミじゃね?→全部ドッキリでしたー♪→後は任せた→しれっと再登場→今までみたいに風太郎と呼べや、 と存在と言動と行動が適当すぎる上に、作り手が物語の必然性ではなく、作品の都合でガオゴッドと風太郎を使い分けており、 非常によろしくありません。
 都合のいい時だけ風太郎にするのではなく、ゴッド人格を貫き通してくれた方が、まだ良かったような。 その上でガオレンジャーが思わず風太郎として接してしまう、ならもう少しドラマになったと思うのですが、 口を開いた途端にゴッドの方から強制してきたので、見事に台無し。
 あまりにも美しい台無しぶりで、逆に凄い。
 亀岩を追ってきたセンキが天空動物園に到着し、目覚めたファルコンと怪獣大決戦が始まるかと思われたが、 ファルコン十八番の呪いの目玉が通用せず、カウンターの袈裟斬りでファルコンあっさり消滅。5人はガオマッスルを召喚し、 《必殺・数の暴力》を発動すると鹿による精神攻撃から分身シュートでセンキを吹き飛ばすが、なんとセンキは核を中心に再生してしまう。 マッスルチームとソウルバードも次々とセンキに屠られ、残った初期アニマルチームが自律型ガオキングとなって立ち向かうが、 センキに敗れ去り、遂に、百獣全滅!
 宝珠が完全に砕け散ったり、Gフォンも失って変身不能になるなど、描写の差別化は図っているのですが、 パワーアニマル行動不能という展開そのものは2クール目にやってしまっているのが、クライマックスのインパクトとしては弱い所。
 ガオレンジャーとパワーアニマルの関係性の変化や、絆の強化などが描かれていればまた物語としての意味が違ってくるのですが、 その部分の積み重ねが足りない為、盛り上がりに欠けてしまいます。この、 “ロボットのパーツを戦隊メンバーのパートナーとして交流を描いていく”路線は、03年『爆竜戦隊アバレンジャー』でも失敗し、 00年代戦隊の集大成といえる08年『炎神戦隊ゴーオンジャー』でようやく成功する事に。
 全ての神体を失い、崩壊していくパワーアニマル教団の聖地・天空動物園。地上へ降り立ったセンキは、人類に宣戦布告する。
 「人間ども。おまえ達は心の中の衝動のまま、星の自然を破壊し、物を作り上げ、文明などと呼んでいる。 しかし今や人間の時代は終わった。これからは、オルグの時代。我らオルグが、おまえたちの衝動を吸い上げて、パワーとして、 この星を、オルグの星となそう」
 センキの放出する莫大なオルグパワーにより闇に包まれていく世界――果たしてガオの戦士達は、地球の命を救う事が出来るのか?!

◆Final Quest「百獣、吼える!!」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希)
 街ではオルゲットが大暴れし、最後の武器として、ムラサキが遺した護り刀を手にしたガオレンジャーは、 オルゲットを蹴散らしてセンキへと迫る。
 激しい雨の中、生身で夜戦突撃のシーンは、気合いが入っていて格好良かったです。
 「どんな小さな傷一つでも、奴の心の臓にぃ……!」
 二段スクラムジャンプで飛んだレッドの一撃はセンキの体に突き刺さるも核にダメージを与えるには至らず、 叩き伏せられるガオレンジャー。
 「こんな事じゃ負けねぇぇぇ!! 獅子走、俺は獣医だぁぁ!! 地球の命を守るんだぁ!!」
 「走先生、わかったわ。たとえ、ガオレンジャーの姿になれなくても、あたしは、あたしはガオの戦士! 大河冴よ!」
 「ぼ、僕は、鮫津海19歳!」
 「自分は、自分は! 牛込草太郎です!」
 「我が名は月麿……大神月麿だ」
 「もう、色で呼び合う事もないか……俺は鷲尾岳。よろしくな」
 結局最後まで引っ張った名前をここで公開するのですが、道中ずぶずぶだった上に、本当の名前を明かす事の意味が、 劇中の何とも線で繋がっていないので、急に思い出したみたいな感じに。
 初期の過去も名前も捨てた戦士路線、エピローグ近くの白の「やっと仲間になれたのに」発言などを見るに、 やはり『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)的な事をやりたかった節が見えるのですが、作風と噛み合わず上手く行きませんでした。

「「「「「「やる気満々だぜぇ!!!」」」」」」

 絶望的な状況にくじける事なく、6人が心を一つにして叫んだその時――暗雲にぽっかりと穴が開き、地上に光が射し込む。
 ナレーション「おやおや、どうした事でしょう。この光の玉は、なんなのでしょう」
 最 後 ま で こ れ か。
 「百獣の光……。ムラサキお祖母ちゃんから聞いた事があるわ。この世には、天空島に戻ってきてない者達を合わせて、 百匹のパワーアニマル達が居るって」
 ナレーション「そうなのです。ガオレンジャーの心が、世界に散らばっていた、この世の中のパワーアニマル全てに通じたのです」
 次々と降り注ぐ光の玉――パワーアニマルはオルグパワーの暗雲を吹き飛ばしてオルゲットを消滅させ、ツエツエとヤバイバは逃走。 乱舞する光球の中でセンキすらたじろぐ中、キングチーム&ウルフも蘇り、復活するガオレンジャー。
 「命ある所――正義の雄叫びあり!」
 「「「「「「百獣戦隊ガオレンジャー!!」」」」」」
 ガオレンジャーとパワーアニマル達の心が完全に一つになり、全方位を取り囲んだパワーアニマルによる、 森羅万象・天地轟鳴・百獣アニマルハートがセンキに炸裂。前回、天空動物園のアニマル達はざくざくセンキに倒されているので、 つまり勝利の鍵は圧倒的な物量です。戦いは数だよ神様!
 「センキ、そして全てのオルグよ! 邪気・退散!」
 そんな中、百獣リンチで完全に片付けてしまわないで、最後に残った核を破邪百獣剣でガオラオ、とガオレンジャーに花を持たせたのは良かったです。
 破邪の剣が核を両断した事でセンキは完全に消滅し、マトリックスも崩壊。逃げ込んだツエツエとヤバイバを飲み込んで、 闇の底へ沈んで消えていく……ここに遂に、現代のオルグは完全に滅び去ったのであった!

 物語の積み重ね不足のまま吼えると起こる奇跡・肝心な所で緊張感を木っ端みじんに破壊するナレーション・ テトムが忘れていた事を思い出す・純粋にして至高なる数の暴力・心臓に突き刺した刀が急所になるのかと思ったら特にそんな事はない

 一から十まで『ガオレンジャー』で、短所もここまで作風として貫かれると、いっそ凄い(笑)
 「百獣戦隊」だからパワーアニマルは百匹存在する、というのはある程度の説得力がありましたし、話の規模が広がった点は良かったのですが、 結局最後まで、“どうしてこの5人+1が人類代表なのか?”という点が補強されなかった為、地球の命が結集してくれる、 という話の広がりに繋がりきらなかったのは残念。
 今作は他の戦隊シリーズとの差異の一つとして、明らかに、パワーアニマルと連結できる5人+1が“人類代表”として描かれているのですが、 その理由付けが「パワーアニマルに選ばれたから」という以上に書き込まれず、また肝心のパワーアニマルそのものが深く描かれない為に、 ガオの戦士がパワーアニマル教団の狭いサークルの中で人類代表だと“思い込んでいる”ようにしか見えなくなってしまっており、 本来この物語が指向していた地球規模のスケールと、上手く噛み合いませんでした。
 ガオレンジャーには、別の価値観との対決、ないし外部からの肯定による正当性の補強が必要だったと思うのですが、 それらが描かれなかった為、視野は狭いが気宇壮大・行動指針に疑問を持たない、 という非常にカルト性の強い戦隊になってしまったと思います。
 パワーアニマル達は再び世界中に散らばっていき、巫女であるテトムもまた、ガオズロックと共に眠りにつく事になる。一応、 お伴を申し出るシルバー……ほんと、腰が据わらないな!
 だがテトムは、シルバーは普通の人間だから無理、とそれを断り、メンバーのジャケットとGフォンを回収すると、 月へ向けて飛び立っていくのであった……。
 テトムは結局ヒロインとして攻めきれませんでしたが、別離を前にわざと他人行儀な口調になる、というのは感情が滲んでいて良かった所。
 そしてエピローグ……
 幸い死亡届はまだ出されていなかった孤高の鷲こと鷲尾岳は、墜落後逃走行方不明の汚名を背負いつつも、自衛隊に復帰。 パイロット候補生として再び厳しい訓練の日々を送っていた。
 武術学校で修練に励む麗しの白虎こと大河冴の元にはゲスト回で好演だった父が姿を見せ、「一年間よう気張りやした、 麗しの白虎どの」と強烈なボールが飛んできて、若気の至りを黒歴史に葬り去っていた。
 鮮烈の銀狼こと大神月麿は、21世紀の冷たい風を感じながら、渋谷の街の人混みに紛れて消えていく……。
 鋼の猛牛こと牛込草太郎はちゃっかり19話に登場した詩織と付き合い始めたようで、夢の為に牧場で働いていた。……男の友情?  何それ、何の価値があるの?
 ねばねば兄弟を解散した怒濤の鮫こと鮫津海は、プロボウラー、ではなく、何故か海岸でサーフボードを磨いていた。
 そして灼熱の獅子こと獅子走は、獣医として動物病院に復帰。今日も動物とおばさま方に囲まれていた。 そこへ運ばれてきた次の患者は、世話を忘れられがちだというインコ。その飼い主として顔を出したのは……鷲尾岳。
 ナレーション「おやおや……戦いの物語は終わっても、別の物語が始まっているようです」
 戦いが終わってメンバーそれぞれの新たな進路を描きつつ、人生は長く別に今生の別れというわけでなし、 友達付き合い続いていてもいいよね、というのは嫌いではないのですが、が、が、
 なぜ! 赤と黄のシーンで! そのナレーション!!

 二人にいったい、どんな物語が始まっているというのか?!

 番組史上最大威力の爆弾を投下し、ここからエンディング。ガオレンジャー6人にテトムと風太郎を交え、皆でピクニック、 というイメージ大団円で、最後はガオライオンに投げた卵焼きのアップでエンド。
 描くべき別離は描いた上で、今作らしく陽性に締めました。各人の後日談エピローグは、それぞれ納得の行く形で良かったと思います。 自衛隊の上官や牧場長など、過去ゲストではないけどそこそこ台詞があって絡む人たちは、スーツアクターの皆さんでしょうか。
 良くも悪くもやる事は全部やった最終回で、好き嫌いとはまた別に、『ガオレンジャー』としては、まとまったと思います。 全体的に最後までノリきれませんでしたが、商業的な成功で後のシリーズに大きな影響を与えつつ、 今作から継承されたもの・継承されなかったもの、今作を踏まえて発展したもの、が見えたのは興味深かったです。
 とにかく、ナレーションさんによる無慈悲な破壊活動は、継承されなくて本当に良かった。
 後は何か付記する事があれば総括でまとめて。以上、『百獣戦隊ガオレンジャー』感想でした。

→〔総括へ続く〕

(2016年2月24日)
(2019年7月28日 改訂)
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