■『百獣戦隊ガオレンジャー』感想まとめ2■
“ガオ! 叫べ! ガオ! 倒せ!
ガオ! ガオ! ガーーーッ!!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『百獣戦隊ガオレンジャー』
感想の、まとめ2(9〜16話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕
・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕
・ 〔総括〕
- ◆Quest9「双子が微笑む」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
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束の間の休息に訓練と買い出しに励むガオレンジャー。ホワイトが父に武芸十八般を叩き込まれていた事、
ブラックが相撲を辞めた後に花屋で働いていた事がそれぞれの台詞で判明。
黒はもう、何だかよくわかりませんが、白はやっぱり、教団の精鋭騎士として育てられたという事でいいのか。
そして黄色は、懐かしい警察署を見て感慨にふけっていた。
やたらと主導権を握りたがるのは元警察官の正義感? と思ったら、署の前でどうやら昔お世話になっていた刑事と出会い、
本当にヤンキーだったようです。
「パイロットになるなんて言ってたが、空、飛んでんのか?」
「……ああ、時々な」
という会話はちょっと良かったのですけど、残念ながらこの刑事に、この後特に役割は無し。
街で携帯電話オルグが暴れだし、携帯から放たれる超音波に苦しむ人々。一足早く駆けつけるイエローだが、
携帯電話をコレクトするオルグがGフォンに目を付け、猛攻を受けて負傷。オルグの超電磁波結界による通信妨害で仲間とも連絡が取れず孤立した黄色は、
オルゲットに囲まれた所を白黒の謎めいたサイキック双子に助けられる。
見るからにチンピラのイエローが、口元から血を流していたり、腹に包帯を巻いて倒れていたりすると、
迸るVシネマ感。
双子への恩返しで黄色は警察署に潜入して双子が欲しがる花を入手し、その礼として双子からドングリの種を受け取る。
ガオキングが携帯電話オルグとの戦いで危機に陥ったその時、ドングリはガオの宝珠へと姿を変える――双子の正体は、
二頭の子熊のパワーアニマル、ガオベアー&ガオポーラーだったのだ!
冒頭で黄色が警察署を見て「立派になったなぁ」みたいな事を言っており、おそらく、
警察署の増改築で裏の山なり森なりが崩されて双子クマの力の源が地下に埋まってしまい、
双子が力を発揮するにはその現場まで行ってイニシエーションを行わなければならなかった……とかなんとかそういう事だとは思うのですが、
尺に収めるにはややこしくなりすぎるのでカットという判断でもあったのか、一切説明が無い為、ただただ謎の展開に。
まあもしかすると、黄色は警察署の中に潜入すらしておらず、
全ては朦朧とした意識の中での神秘体験だったという可能性もありますが!
基本設定として、最初のライオンと赤のように、“パワーアニマルとガオレンジャーは引かれ合う”という事なのでしょうが、
初の追加パワーアニマルだったゾウを白ではなくテトムと繋げてしまった為、その要素が物語の中で強調されるどころかぼんやりとしてしまい、
青とキリン、黄色とクマ、の交信と話の成り行きがひたすら都合が良いだけになってしまったのは残念。
まだしも最初のゾウと白から、“パワーアニマルとの交信”という形で話を進めておけば、そういう関係なのだ、
という事である程度の説得力が生じたのですが。
ガオベアーとガオポーラーは炎と冷気のブレス攻撃を携帯電話オルグに浴びせると、ガオキングの両手に百獣武装し、
ガオキング<ダブルナックル>が誕生。
「なに?!」
「「「「「すげぇ!」」」」」
と、誰も理屈がよくわからないまま、オルグの超電磁波を無効化すると、両手からの光線同時発射でオルグを退治するのであった。
……ところが、快勝も束の間、突然ガオラインが腰痛を訴え、ガオキングが強制分離してしまう。果たして、何が?!
「これは面白い事になりそうだぞ。ふははははは」
それを見て笑うシュテン様の出番は、今回ここだけであった。
- ◆Quest10「月が招く!!」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
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見所は、ナンパしたゲストヒロインとうまくいかなかったブルーを、これで、おまえもこっち側
(非モテの国へようこそ)だな!と満面の笑みで励ますブラック。
ライオンの腹痛の原因は、考え無しにがっちゃんがっちゃんとパワーアニマルを付けたり外したりした影響でガオソウルが減少した為ではないかと判明し、
その治療薬である“輝きのキノコ”を求め、パワーアニマル教団の伝承に記される聖なる森へ向かうガオレンジャー。しかしその森は、
ニュータウン開発により切り拓かれ、既に失われていた。途方に暮れる5人だが、突然、月の光に導かれて不思議な森へと転移する……
聖なる森とは異世界?の森だったのだ!
異世界で森の番人達と出会う5人だが……ヤバイバとツエツエも一緒にワープしていた(笑) 更に、
オルグも一匹、迷い込んでいた(笑)
番人達の頼みを聞き、森を破壊しているという鬼(正体はブルドーザーオルグ)と戦う事になるガオレンジャー。
番人達の“鬼”という単語にピンと来てもいい筈なのに「鬼退治とかやってる場合じゃねーし」という表情になったり、
キノコとの取引を持ちかけるわけでもないし、番人娘に一目惚れした青がいい所を見せようとほいほい引き受けて皆が微妙な表情になるという、
何とも締まりのない展開。
青は以前にホワイトにも粉を掛けており、女性関係に軽い路線のようですが、正直ゲストヒロインの容姿に、
“異世界の女性”というハードルを無視するほどの説得力が存在しない為、青が何も考えていない感じだけが増しました。
巧く付き合えたらどうするつもりだったのか、青。
ツエツエの魔法で巨大化したブルドーザーオルグと戦いになり、赤が病気のライオンを心配して仲間の進言を拒否する度に、
ライオンが「俺はやるぜ!!」と訂正する展開は、ライオンの男は上がったのですが、
ひたすら独り相撲している赤の男が下がりました(笑)
最初からなのですけど、ライオンの声は5人全員に聞こえる設定の方が良かったします(^^;
ガオキングダブルナックルが必殺技直前でエネルギー切れし、追い詰められるパワーアニマルとガオレンジャー。その時、
番人娘が森の守り神に祈ると赤の手に新たなガオの宝珠が生じ、聖なる森の守護神・ガオゴリラが森の奥から走ってくる!
赤「ガオゴリラ、君が新しい仲間だったのか!」
……いやそもそも、仲間の勧誘に来たわけではないような(笑)
ゴリラ・クマ×2・牛・鷹による新百獣合体・ガオマッスルが誕生し、ブルドーザーオルグの体当たりをものともせずに弾き返すと、
必殺マッスルラリアットで粉砕。つまり、
王 < 筋肉
ブルドーザーオルグを撃破すると共にガオレンジャーとパワーアニマル一行は元の世界へ戻り、一件落着…………ではなくて、
キノコを入手し損ねてライオン・リストラ?!
というかこれは、ゴリラの罠だ。
と思いきや、青が見覚えのある古びた祠を見つけ、実は聖なる森が異世界ではなく、過去だった事が判明。祠の中には、
番人娘がブルー宛てに残した“輝きのキノコ”が収められており、時を超えた贈り物により、
ガオレンジャーは無事にミッションコンプリートするのであった。
そもそも、前回神秘体験をしたイエローが、森へ飛ぶやいなや「ここは異世界なんだ!」と力強く断言し、皆が「あー、
そういう事もあるかもね……」と何となく頷いてしまうというのが、ミスディレクションとして有りか無しかの判断は、
各自にお任せしたいと思います(笑)
とにかくゴリラを出してガオマッスルにならなくてはいけない、というのが最優先ではあったのでしょうが、
番人娘が祈るとゴリラが出てくるけど、ガオの宝珠は番人娘と一切絡んでいない赤の手元に生じ、
勢いで帰ってきてしまったけどキノコは青が好感度上げておいたので手に入ったよラッキー、
というか今回は時空を超えたシリアスなラブロマンスだったんですよ! と劇中の要素がてんでばらばらで連動せず、
ゴリラの話とキノコの話が完全に分裂している、という空中分解エピソード。
ラブロマンスをやるならやるでしっかりやってくれれば良いのですが(そうすればキノコの入手にも“物語”の力により説得力が増す)、
適当に始まってシリアスに終わり、それとゴリラを繋げる技巧は全く凝らされず、物語をまとめるという仕事が全くなされていない脚本も演出も総じて酷い。
新しいパワーアニマルを出して、ロボ戦の見せ場にも尺取って……と色々厳しかったのかもしれませんが、
竹本監督も前回今回と、脚本を受けて一本のエピソードとしての筋道を整えるのを放棄したような演出で、
第5〜第10話の6話で4体の追加アニマルを出すというのが、スタッフにとってかなり厳しかったのが窺えます。
何とか合間にキャラ話も挟みたかったのでしょうが、正直このペースなら、
ウェディングドレスオルグ回とかやっている場合では無かったよなぁ……と(^^;
で、時間移動に関してはナレーションさんが「仲間になりたいと思ったゴリラが過去に呼んだのでしょうか」
みたいな事を言ってまとめるのですが、ゴリラがガオレンジャーを召喚したと仮定した場合、
時系列から数日前に召喚されたとおぼしいブルドーザーもゴリラが呼んだと考えるのが自然であり、ここから導き出される結論は、
ゴリラが自分の存在をアピールする為に仕組んだ壮烈なマッチポンプ。加えて、
キノコなど採らずにさっさと帰還してあわよくばライオンからセンターを奪おうとした、卑劣な策略。
全て、ゴリラの罠だ。
1話冒頭の演出など見るに、『ガオレンジャー』は“御伽噺”というニュアンス(ナレーションさんは読み聞かせの“語り部”である)
で進めたいのかなとは思うのですが、では御伽噺の雰囲気が作れているかといえばそういうわけでもなく、納得力としては、
なかなか厳しいと言わざるを得ません。思えば『魔法戦隊マジレンジャー』(2005)
も“御伽噺”をやろうとして巧く行かなかった節があるのですが、“戦隊っぽさ”と“メルヘン”の食い合わせの悪さを見る所です。
- ◆Quest11「父親上京。」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希)
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ライオンの腰痛を治すには前回入手したキノコから生まれるガオの卵が必要で、しばらく時間が必要……とガオマッスル継続の理由付け。
そんな中、ホワイトの父親が上京してくる事になり、通っている武道の専門学校を休学中のホワイトは、それがバレるとまずいと、
身の回りの荷物を持ってアパートに一時帰宅する事に。
基本、ガオズロックで各地を飛び回るというのをやりたかったのでしょうが(これ自体は良いと思う)、「戦士になるつもりなら、
今までの名前を捨てろ」に関しては、すっかりガタガタに(^^;
もはや、黄色が変な事言い出さなければ……レベル。
これ実はみんな、黄色の居ない所では学校生活の思い出を話したり、プライベートなメアドの交換とかしているのではないか。
「ヒーローになる事」=「社会を捨てる事」という基本設定はテーマとして真っ正面からやってくれれば面白い要素があったと思うので、
腰砕けになってしまったのは残念です。
J−POPなボーカル曲をバックに、アパートを片付けたり私物を並べ直して部屋に生活感を出そうとするホワイトの姿がしばらく描かれ、
途中でカメラを「あー!」と布で覆い隠すという、謎のアイドルPV風演出。
渡辺監督か? と思ったら、渡辺監督でした(笑)
父の到着を待つホワイトだったが、シュテン肝煎りの武者人形オルグが出現してしまい、すれ違い。
アパート近くでぶつかり合う闘気を感じたタイガー父は物陰からオルグとガオレンジャーの戦いを目にし、
ホワイトの構えに成長した娘の姿を感じ取る。テーマ曲をBGMにホワイトは白刃取りから刀破壊を決めると、
ステッキ個人技を炸裂させ、破邪百獣剣で邪気退散。
巨大化した武者人形にはマッスルも苦戦するが、合体から外されがちなタイガーが援護攻撃に入り、
マッスルアンカーからラリアットで成敗。パワー系のマッスルに合わせたのでしょうが、武器がアンカー(錨)というのは、
デザイン的に面白く、いい感じ。
飛行機の時間で父は帰ってしまい、久しぶりの再会はかなわなかったホワイトだが、残された手紙に、
父の想いを感じ取るのであった……て、上京して弾けて名乗っていた「麗しの白虎」が親バレしたぁっ?!(悲鳴)
ようやくの本格的な白回。遅くなったからという事か、ボーカル曲を入れ、酷いギャグ無し、男達の存在は終始ノイズ扱いという、
非常に真っ当なヒロイン(※打撃系)エピソード。
色々と疑問のあった素性も、鹿児島から上京中の武道娘(たぶん母親は既に亡い)という事で、純粋いい子路線、
恋に恋するメルヘン脳、ブルーより年下に見えるが教団に拉致されていて大丈夫なのか、自称・麗しの白虎、などがある程度、
納得の出来る範囲に収まりました。
血と汗と涙で塗り固められた鹿児島の道場から単身上京してきたなら、少しぐらい弾けても仕方ない、仕方ない……。
質実剛健な薩摩隼人の武道家、というタイガー父は雰囲気の出た好キャスティングで、最後に出会ってバタバタして終わるのではなく、
互いを思いやる手紙のやり取りに留め、そこから地球を守る戦士としての決意を窺わせるというラストカットなど、父娘の物語としては、
悪くない出来。だけに、「戦士」としての基本設定が有耶無耶になっているのが残念(^^;
結論:なにもかも黄色が悪い
そういえば後の『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)の、ゴーオンイエローも九州出身(何県かは忘れた)でしたが、
某名古屋を愛する脚本家みたいに、武上さんは九州に何か思い入れがあるのか……と思ったら、鹿児島県出身でした。
女優さんは2人とも九州出身では無かったので、概ね武上さんの陰謀の模様です。
まあ参加していない『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003)に福岡出身アバレイエローが居たので、
東映上層部の陰謀という可能性もありますが。
……そういえばダイナイエローは熊本出身だし、キレンジャー(桜島愛好家)もたぶん九州出身だし、行ける、
九州戦隊! ……というかこれはつまり、一種のキレンジャーネタなのか。
- ◆Quest12「本物はどっち!?」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希)
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見所は、「お使いクエスト面倒くさいよ!」と口に出してしまう赤。
そして黄色から、「だったらおまえが治せよへっぽこ獣医」とツッコミを受けて心に闇が生じる。
ガオの卵が誕生するが、ライオンの治療に必要なのは卵の中から生まれるガオの心臓である、とまだまだ引っ張るマッスルタイム。
卵を孵化させるのに必要なガオソウルを求めて、ガオレンジャーとテトムは黒羽の谷へ向かうが、
それを阻止するべくシュテンはツエツエ達を卵の破壊に向かわせるのであった。
他人の姿をコピーする能力を持ったコピーオルグが登場し、イエローをコピー。
オルグの能力を知ってお互いが本物かどうか疑心暗鬼に陥るガオレンジャー……前半思わせぶりに5人を分断するのですが、
それが特に活かされるわけではなく、偽物ネタとしてはこれといった所のない出来。どちらかというと後半、
ガオレンジャーをコピーして生まれたコピー戦隊コピーレンジャーvsガオレンジャー、の戦いが中心。
同等の力を持つコピーレンジャーに苦戦する5人だが、気合いで大逆転。それぞれ個人武器の必殺技を発動させ、
邪悪なコピーレンジャーを撃破。と、今作では扱いの悪かった個人武器に、ようやくスポット。
巨大化したコピーオルグにマッスルが苦戦するもゾウとキリンを召喚し、これはマッスルの腕にゾウとキリンをくっつけるのか?!
と思ったら、ごく普通に動物状態のまま援護攻撃を仕掛けるので、物量は正義。
コピーオルグを倒したガオレンジャーは無事にガオの心臓を手に入れる……が、それですぐにライオンが治るわけではなく、
今度は心臓から生まれる存在を待たなくてはいけないのだった……と、ひたすら引っ張るマッスルタイムで、お使いクエストはまだ続く。
次回、シュテン様動く。
- ◆Quest13「産声が凍る!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希)
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ガオの卵の中から、あざとい感じのもけもけペンギン登場。
「これがガオの心臓か? こいつをガオライオンに食わせるのか?」
レッド、予想外にクール。
「これは幼態。まだ、ガオの心臓にはなっていません。幼態が大人に成長するまで、待たなくてはなりません」
やっぱり、食わせるのか。
パワーアニマル教団がペンギンにでれでれしている頃、オルグマスター(石像)からお怒りの火炎放射を浴びたシュテン様は、
遂に自ら出撃。斧からビームで大破壊を行うシュテンに立ち向かうガオレンジャーは連続で必殺技を浴びせ、シュテン、大爆発……が!
「ふははははははは、おまえ達の攻撃がどれほどか受けてみたまで。これぐらいの攻撃では傷もつかぬわ!」
…………え? という事は、火薬は全部、自分で仕込んだ演出ですか?!
思わぬプロレス魂を見せたシュテンは、破邪百獣剣も斧の一振りで跳ね返し、幹部の貫禄を見せつける。
そこへフリーザーオルグをともなってツエツエとヤバイバも参戦し、戦いは3つの局面に。
おばさん(ツエツエ)と小娘(ホワイト)は今日も罵り合い、白馬の王子様とか恥ずかしーと笑いものにされるメルヘン脳。
ヤバイバとイエローは真面目に刃を交え、この4者のマッチアップを続けて因縁を構築しているのは、
ツエツエとヤバイバのキャラ付けにも繋がり、良い所。
赤青黒はフリーザーに敗れたと思わせて、死んだふりからの反撃で、ライオン砲で邪気退散。
巨大化したフリーザーも筋肉祭りで追い詰めるが……実はそれは、シュテンの周到な罠だった!
フリーザーは強化された力で自分ごとマッスルを凍らせ、壮絶に自爆。それによりガオソウルが凍結・封印され、マッスルは行動不能に。
更にあらゆる動物軍団がそのソウルを封じられた事で変身も解除され、一切の戦闘力を失ったガオレンジャーに迫るシュテン達。
絶体絶命の危機に、5人は生身+気合いで特攻をかける。
「たとえ、ガオアクセス出来なくても、ガオの戦士に変わりはない!」
「ああ! そうだ! 俺達はいつだってガオレンジャーだ!」
「あんた達に負けてたら、父さんに笑われるわ!」
「このぉっ……ネバギバだぜ! ブルー!」
「ああ! 俺だって負けねぇ!」
これが、信仰の力だ!
だが、生身でオルグに敵うべくもなく、5人は追い詰められていき、シュテンはガオレンジャー、パワーアニマル、ガオの卵、
全ての抹殺を宣告する。
赤「ピヨちゃんは俺達の希望だぁっ。俺達も死なないっ、ピヨちゃんも死なせないぜ!」
……ここまで割と格好良かったのに、ここで軸がよりによって「ピヨちゃん」(あざといペンギンの事)に寄ってしまった為、
微妙に間の抜けた台詞に(笑)
なおシュテン様は(ピヨちゃん……? こいつは何を言っているのか)と思っている。
必死に食らいつくも苛烈な攻撃は続き、派手な火薬で倒れる5人。果たしてガオレンジャーは、
地球とそこに生きる命を守る事が出来るのかっ?!
- ◆Quest14「魂の鳥が叫ぶ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希)
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「鮫に、牛か」
ねばねばコンビを蹴散らすシュテン様、呼び方が新しい(笑)
ガオの宝珠すら次々と奪われ、オルグの魔刃の前にいよいよ風前の灯火となるガオレンジャーだがその時、
突如響き渡る変な音波にシュテン達が苦しみ出す。それは、テトムと共に戦場に現れたペンギンの鳴き声であった。
「ガオソウルは、この星の命の力。この星に、生きとし生けるもの、全てに宿ります。勿論、人の心にも」
そう、5人の信徒の不屈の信仰心より溢れ出した熱きガオソウルにより、フリーザーオルグの凍結封印が破れ、
ガオの心臓とパワーアニマル達が力を取り戻したのであった。再び輝き出したガオの宝珠も5人の元へ戻り、ガオレンジャー、復活。
「オルグ、本当の人間の力を見せてやるぜ!」
元々ライオンが走を必要としていたように、信者とパワーアニマルが互いに補完関係にある、という事なのでしょうが、
ペンギンを介してしまった為に、奇跡のマジックアイテムで逆転勝利、みたいな印象が強くなってしまったのは、少々勿体なかった所。
まあ、そもそもがペンギンの為の成り行きなわけですが、せめて後2話ぐらい時間使ってペンギンとの交流が欲しかった所で、この辺り、
1クール目の忙しさを感じる所です(^^;
「命ある所、正義の雄叫びあり!」
コピーオルグの回辺りから、レッドに続けて皆で、「「「「あり!」」」」と合わせる所が、
妙に面白くて仕方ありません(笑) そこだけでいいのか、それとも、パーティの絆レベルが上がっていくと、
徐々に文字数が増えていくのか。
26話→「雄叫びあり!」
32話→「正義の雄叫びあり!」
40話→「ところ、正義の雄叫びあり!」
みたいな。
ガオレンジャーはシュテン一味に猛反撃を開始し、ヤバイバは黄色と青の連係攻撃を浴びて爆発、
ツエツエは白と黒に地面を引きずられて盛大に頭ゴツン、シュテンは至近距離からのライオン砲で、今度こそ大爆発。
分割戦闘の都合もあるのですが、これだけガオレンジャーの前のめりな一体感を強調してきた割にシュテン様はライオン砲で倒してしまい、
ここまでの使い方からも、玩具的にやたら押されている気配を感じます(笑)
「見たか! これが、人の勇気と、獣の力だ!」
大ダメージを受けたシュテンは、ツエツエの杖を奪うと自ら腹部に突き刺し、ハイネスデュークオルグの秘儀により、巨大化。
「恐れよ! ひれ伏せ! オルグマスターの力のもとに!」
「お見事です、シュテン様!」
「人と獣の力など、オルグパワーの前には小さき物!」
突然、オルグパワー、なる怪しげな名称が登場し、シュテンを持ち上げていたヤバイバとツエツエだが、
暴れる巨大シュテンの崩した瓦礫に呑み込まれ……こいつはヤバイバ!
再起動するマッスルだが巨大シュテンに圧倒され、投げ出される5人。しかしその時、ペンギンパワーが発動し、
遂にペンギンが“ガオの心臓”――ソウルバード――にその姿を変える!
ソウルバードは銀色の鳥……というか、見た目は、蛇の頭(笑) 機械的な外見に動物っぽさを出す為に下部に足をつけたのだと思うのですが、
どうもそれが、下顎に見えます(^^; 説明入るまで何事かと思いましたが、あざとく媚びた感じのぬいぐるみが、
凄く目つきの悪いメカになったのは、高く評価(笑)
ガオの心臓、それは、ガオキングとガオマッスルの真のコックピット。ソウルバードが精霊の王や筋肉と融合する事で、
両者の聖なる肉体が真の力を発揮できるようになるという、文字通りの心臓部なのだ!
ソウルバードは更なる外付けオプションかと思いきや、内部システムの変更でロボが強化されるという変化球。
搭載した途端にいきなりマッスルが一気にシュテンを押し込むほど強くなっており、戦闘用OSの最適化みたいな感じでしょうか。
内部システムの追加により外見は変わらずに強化されるというアイデアは面白いと思うのですが、
どちらかというとメカニック戦隊向けの設定で、没になった別の企画用のものだったのではなかろうか、というのは穿ちすぎでしょうか(笑)
そう思うと、ソウルバードのデザインが他のアニマルと比べて異彩を放つのも納得行くのですが。
ガオの心臓の効果によりライオンも腰痛から復帰し、このままリストラされちゃ敵わねぇと存在をアピールしてきた新生ガオキングは、
スーパーアニマルハートであっさりとシュテンを瞬殺。……早い(^^;
今度こそ仕込み無しで爆死してしまったシュテン様、序盤で退場する幹部は玩具を見せる都合の優先や物語の流れが定まっていなかったりで、
役立たずで何をしたいかよくわからないままリタイアしてしまう、というのがしばしば有りますが、
しっかりと作戦を立ててガオレンジャーを追い詰めてくれたのは良かった所。
個人的に稲田ボイスへの贔屓もありますが、この前後編、大健闘だっただけに、断末魔の台詞ぐらいは欲しかったなぁ(^^;
シュテンは弾け飛び、ツエツエとヤバイバは瓦礫に埋もれ、オルグに勝った! 社会復帰しなきゃ! と喜ぶ6人だが、
妙に白に触りまくる赤、どうか。
このシーンだけやたらに赤が白にベタベタ触っているのですが、喜びのあまり、素が出ちゃってるんでしょうか走先生、不潔よ!
ちなみに、皆で一緒に仕事探そうぜ、と盛り上がる汗臭いトリオに対し、手に獣医師免許持っている走先生は、
超くーる。
ガオレッドはいかにも仲間思いの熱血漢といった描写で、ドリーム電波発言も口走る割に、突然、素に戻るというか、
「じゃ、俺帰るわ」みたいなノリになる時があって、時々怖い。
喜び合いながら帰路につくガオレンジャーだったが、謎の異変が起こり、ビル街に居た筈が採石所に転移。
そして死んだ筈のシュテンが復活する。
「ガオレンジャー、私はまだ……!」
だが突然、緑色のオルグがその背後に現れるとシュテンへ光線を浴びせ、倒れたシュテンは今回3度目の爆発で今度こそリタイア。
「お前は! そうか、私の運命は、既に、尽きて……」
「お休みなさい、シュテン。千年の恨みは、麿が引き継ぐわ。おほほほほほ、おほほほほほほ。オルグは不滅じゃ! 甦れ、
我が配下どもよぉ!」
緑のオルグの力により、瓦礫の下から復活するツエツエとヤバイバ……て普通に死んでいたのか(笑) 復活前提にしても、
瓦礫の下敷きになって死ぬ悪の幹部って、防御力低すぎでは。
シュテン退場の入れ替わりで登場した緑のオルグは、新たなハイネスデューク・ウラ。
ちょっとオカマっぽいイントネーションの公家喋りで、デザインは、耳? 背中は耳っぽいのですが、顔は鼻になっているので、
耳+鼻でしょうか。シュテンは手+目だったし。
新幹部ウラはガオレンジャーに宣戦布告するとツエツエとヤバイバをともなって姿を消し、戦いはまだ終わらないのであった……。
――次回、いつもと音楽の違う格好いい予告で、黒い狼、現る!
- ◆Quest15「鬼、吼える!!」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希)
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OPに色々と追加され、テンション上がりすぎてしまったのか、朝から全国のお茶の間にパンツを見せつけようとする赤。
力士魂に火がついたのか黒が対抗してパンツを見せ合い始め、教団の風紀が、壊滅的に危険です。
その頃、ツエツエとヤバイバは新しい上司に戸惑いつつも取り入ろうとしていた。
「麿は、シュテンとは違うでおじゃる。美しいものを愛で、美しいものを集めるのが、目的」
というウラの言葉を聞いた2人は掃除機オルグをともなって花を集めたり金山を掘ったり美術品を盗もうとしたり、と東奔西走。
ヘルメットを外して(角は生えっぱなし)コスプレに身を包むツエツエと、着ぐるみの上から服を着るヤバイバが日本各地に出没して歌を唄ったりたらいに乗ったり、
追いかけるガオズロックを見つめる太陽が書き割りだったり、と全体的に変なテンション。
ガオズロックでの6人の会話シーンもコントっぽく演出されていて、一段落した所で、どのぐらいまでギャグに振れるかの限界を諸田監督が探りに行った感じ。
結果、赤が更に2目盛りほど、
〔判断力のあるリーダー <<>>>>>>>> 熱血お馬鹿さん〕
に寄った上に、ジョブが<獣医>から<痴漢>にクラスチェンジしつつありますが、
戦い継続でしばらく社会復帰できそうにないから、まあいいか。
そう、野生に、衣服は要らない! そういえば、EDでも脱いでいた……!
パワーアニマル教団全体に露出癖疑惑が浮上している頃、アホな部下を放置し、古い銅鏡を手にしたウラは奥秩父の山奥に向かい、
隠された封印の棺の蓋を開けようとしていた。
掃除機オルグを久方ぶりのソード&シールドで瞬殺したガオレンジャーが駆けつける目の前で、満月の光を浴びて棺の封印が解け、
その中から黒い影が甦ると、凄まじい迅さで5人を圧倒する。
「我が名は、デュークオルグ、ロウキ。我、千年の恨み晴らさんと、甦りし者なり」
白が取り落としたガオの宝珠をロウキが握りしめると宝珠が凍結され、動物園から消滅してしまうゾウ。
……巨大戦での活躍は、このフラグだったのか……!(笑)
「死に急ぐな。これから、じっくり時間をかけて復讐してやる。――楽しみにしておけ」
ギャグ寄りから一転、新たな一本角、漆黒の狼鬼が復活。果たして「千年の恨み」とは何なのか、
ツエツエとヤバイバの立場はどうなってしまうのか。新展開から更に、急展開!
- ◆Quest16「魔笛、轟く!!」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希)
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前回ロウキに叩きのめされ、丁寧にあちこちに転がっているガオレンジャー(笑)
そこへ空からガオズロックが回収しにやってくる、という導入が、ちょっと映画っぽくて格好いい。
ロウキはウラにガオの宝珠を渡す事を拒否し、突っかかってきたヤバイバとツエツエを軽くあしらい、
あくまで自分の復讐の為だけにガオレンジャーを狙う、と文字通りの一匹狼スタンス。
(恨みだけが、胸に渦巻く……あの時以外の事は、思い出せぬ)
横笛を吹きながらのロウキの回想シーンでは、陰陽師風ガオレンジャーに封印された過去の映像。
(この顔は……これが、俺の顔……?!)
だが何故か、ロウキは水面に映った自分の顔を見て苦しみ出す……と、思わせぶりな伏線。
ゾウを奪われた責任を感じて単独で鬼塚山へ向かった白は、笛の音を辿っている内にツエツエとヤバイバに遭遇してしまい派手に吹っ飛ばされるが、
これまた何故かそれに反応したロウキによって助けられ、気絶している間に手当を受ける。
楽器! 女に優しい! と、今作に不足気味だったイケメンポイントを一気に稼ぐロウキ。
知らない間に悪のイケメンに助けられるとか、引き続き正統派ヒロイン推しを受ける白ですが、
ロウキは前回は思いっきりホワイトを殴り飛ばしていたので、二重人格まで行かなくても、記憶の混濁などがあるタイプか。
赤がやってきてロウキはその場を立ち去り、合流するガオレンジャーだが、その前に功を焦るツエツエとヤバイバが現れる。しかし、
そこに響く笛の音色!
横笛を奏でながら山道をやってくる漆黒の狼が、やたらにイケメン。
「ここは俺の縄張りだ。そいつらも、俺の獲物だ!」
そしてイケメンだと思って、勝手な事言い出した!
実力差を思い知らされている杖&刃は引き下がり、握り手が中央にあるという独特の形状の三日月剣を振るうロウキに対し、
ガオレンジャー変身。
「命あるところ、正義の雄叫びあり! 百獣戦隊」「「「「「ガオレンジャー!!」」」」」
「ふふふふ、笑わせるな!」
「なぁんですってぇ?!」
「お前達に正義などない!」
前回に続きロウキに叩きのめされるガオレンジャーだが、死んだふり戦法(通算2回目)によってロウキに不意打ちから連続攻撃を浴びせ、
必殺ライオン砲。割とうろたえながら全弾食らったロウキ、普通に膝ついた(笑)
……登場2回目でこれで、大丈夫か。
まあ、ライオン砲食らっても爆発しないだけ、装甲とHPが豊富という事かもしれませんが。
ところで、アクションシーンなので基本は演出の領分かとは思うのですが、武上脚本だと『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)
でも(主にマトイ兄ちゃんが)死んだふり戦法を多用していたので、武上さんの癖な気がしないでもありません。
赤「ロウキ! 千年の恨みとか、俺達にそんなもん受ける覚えはないぜ!」
本当に悪い奴はみんな、そう言うんだ。
黄「俺達はパワーアニマルに選ばれた、戦士なんだ」
白「そうよ。もし、私達が正義に背いたら、パワーアニマルが許さないんだから!」
カルト、怖い。
「ならば……パワーアニマルに処刑されるなら文句はなかろう。我が闇の宝珠よ!」
ロウキは三つのガオの宝珠を取り出すと、それを笛にはめ込む。
「魔獣・召喚!」
魔笛の音色が轟くその時、ロウキの召喚の呼び声に応え、ガオウルフ、ガオハンマーヘッド、ガオリゲーターが登場。
……何故か「アリゲーター」だけ略されているのですが、商標の問題でもあったのでしょうか。
「我が魔獣どもは、俺の恨みの証言者でもある」
黄「オルグの手先になるような奴等なんて、パワーアニマルじゃねえ!」
先程まで、パワーアニマルこそ“正義の象徴”扱いをしていたのに、
それが否定されると現実をねじ曲げて自分達に都合のいい解釈を通そうとする……教団の深い闇が図らずも浮き彫りになり、
ここまで一直線だった物語に捻りが入ってきたのはいい感じ。
00年代的テーゼでいうと、今作においては「正義」=「地球の生命の為」=「地球の精霊であるパワーアニマルがそれを裏付けする」
という形を取っていくというのが明確になり、同時に、その構造に揺らしを入れてきました。
体力回復したロウキと5人は再びぶつかり合い、背後ではアニマル大戦争(なかなかの迫力)。
ライオンがウルフにがじがじされた事から、ガオレンジャーはガオマッスルでこれに介入し、魔獣軍団とマッスルが軽く一当たりすると、
ロウキは姿を消すのであった。
テトムの口から、ロウキは1000年前に先代ガオレンジャーが封印したオルグであり、パワーアニマルが従っているのは、
その強大なオルグパワーの影響ではないかという事が語られ、ゾウが洗脳されてしまうのではないか、と心配するホワイト。
以前に書いた、ゾウ回でゾウと白がしっかり絡められていなかった問題がここで悪い方向に出てしまい、
白のゾウへの思い入れが物語として積み上げられていないのは、厳しい所。今作とにかくギミックが多いので、
全体的にそういう傾向ではありますが。
登場2回目でイケメンポジションを確立したロウキは、敵とはいえほぼ真っ黒。ベルトにくすんだ黄色、
全身にそこはかとなく青が入ってますが、ここまで色彩アクセントのないデザインというのも、
なかなか珍しいか(例えば『ジェットマン』のグレイでも、目はハッキリ目立つ赤を入れていますし)。
いきなり膝ついたのが凄い不安ですが、健闘を祈りたい。
次回――我々は、(商業的)攻勢を緩めない!
→〔その3へ続く〕
(201年10月31日/11月2日)
(2019年7月28日 改訂)
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