ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた 『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想の、総括&構成分析。
- ☆総括☆
名作。
00年代戦隊の総決算にして、極めて完成度の高い作品。
お見事でした。
ポイントを上げると、
1,人間と炎神の描写
戦隊メンバーと意志を持ったマシン(炎神)が相棒関係を結ぶ、というコンセプトで、必然的にキャラクターが増える、 台詞の配分バランスが難しくなる、と不安要素が大きかったのですが、ある種声優頼りである炎神の扱いを思い切って大きくする事で、 この課題を突破。サポート役というよりも、もっとイーブンな関係として物語の中心に置く事で序盤の傑作第8話に繋げ、 人と炎神と合わせて戦隊というのを見事に描き出しました。更にそこからヒラメキメデス登場編があって、 人間と炎神の双方が助け合って戦う相棒関係というのが綺麗にまとまりました。
中盤以降は個々の炎神の取り上げは散発的にはなりましたが、序盤でしっかりとキャラクターとして立てていた事で、 絡みの薄さを回避。また、ナレーションを炎神持ち回りにしたのは、非常にいいアイデアだったと思います。
2,構成の綺麗さ
そろそろこのキャラクターを取り上げてほしいなぁ……と思った所でキャラ回がくる、というバランスが、 個人的に非常に絶妙でした。ここまで綺麗にはまるシリーズもなかなか無く、痒いところに手が届くお見事な構成。
3,ガイアークの造形
恐怖とコミカルさを融合させたガイアーク3幹部ですが、ギャグはギャグとしてやりつつ、繰り出す蛮鬼獣は割と高性能。 ヒューマンワールドの汚染をもくろむ作戦そのものは結構真剣。そして幹部は普段飲んだくれてるけど、 前線に出れば強い、とうまい事崩れすぎない所に収まりました。
アイドル回ではサウンドワールドからの闖入者撃退の為に共闘するという飛び道具を放ちつつ、 かといって決してなれ合わなかった辺りのバランスはお見事。この“なれ合わない”のはラストまで貫かれ、 正義の味方にほだされるのではなく、あくまで自分達の理想に殉じる、というキタネイダスとケガレシアの最期は非常に満足度が高かったです。
また、怪人としての蛮鬼獣のデザインが非常に秀逸。せこいギャグを入れる、というのもこだわりを盛って貫かれ、 面白く、かつ、印象深い存在となりました。
そして作中の諸々を繋ぎ合わせると、ガイアークは必ずしも絶対的な「悪」ではなく、 祖先が悪事を働いた為に被差別階級となったその末裔、 と思われ、マシンワールドの色々シニカルでブラックな背景が浮かび上がってくる所も面白かったです。
4,ロボ盛り
相棒の炎神が巨大化してロボットになる、というコンセプトでしたが、3身合体のロボットを最終的に4体出し、 6身合体・9身合体・12身合体、と使い切り。また、後半にも、合体前のロボットにほどほど出番を作りつつ、 組み合わせギミックを用いるなど、サービス精神豊富かつ、使い捨てのない戦隊でした。
ロボット=相棒なので使い捨てるわけにはいかないのですは、そういったコンセプト部分が巧く噛み合いました。
5,ヒーロー論
個人的な趣味ですが、本テーマではないものの、随所にヒーロー論が持ち込まれたのも良かったです。
走輔(レッド)は若干ヒーローに酔い気味の部分がありつつ、いかにも典型的なレッドなのですが、やたらにプロにこだわる軍平との対比、 そこへ本物のエリート(ゴーオンウイングス)が現れる事で生じる軋轢。そういった諸々を織り込みつつ、 各人の信念に則ったヒーロー像が語られる。ここで、物語としての大上段からではなく、あくまでキャラクター個々の視点から、 さらっと描かれていたのも、一つ今作の面白みでした。
「ヒーローと云ったって、一人じゃねえんだろ?」
「ヒーローは、人を幸せにする使命がある。人を幸せにするなら、自分も幸せの何たるかを知らねば」
「軍平、おまえ……勘違いしてねえか。俺たちは、プロでもなきゃ、アマでもねえ。俺もお前も、ゴーオンジャーだ」
全体のトーンは軽快ながら、“ヒーローとは何か”だったり、“戦隊とロボットの関係”だったりを、 『ゴーオンジャー』として組み立て直している、という部分でも良く出来た作品でした。
基本、明るく楽しい陽性の作風ながら、締める所を締め、生と死に関してはしっかりと正面から描き、 作品世界の道を踏み外さなかった、というまとまりも良し。個々のキャラクター性とかネタの面白さだけで引っ張るのではなく、 物語における山という山がだいたい盛り上がった、というのも非常にポイント。燃え展開をきっちりと入れてきて盛り上げる、 という点でも極めて良く出来た戦隊でした。
べた褒めになっていますが、ホント非常にレベル高く、2008年に、“戦隊”のニュースタンダードとして描ききった作品だと思います。
好きなキャラクターはガイアーク3大臣にヒラメキメデス。ゴーオンジャーの中だと、軍兵、かなぁ……。
軍兵はなんというか、軍兵個人はそんなに好きではないのですが(身近に居たら、凄く面倒くさそうで)、“ヒーローとしての軍兵” はとても好きです(笑) ポジション的にはおいしい立ち位置で、個人エピソードに恵まれた、というのも大きいですが。
あとヒロイン2人は可愛かったです。比較して、男衆がちょっとパッとしませんでしたが(笑) 嫌いではないけど、これだ、 というのがちょっと無いというか。
後ボンパーにもうちょっとスポット当たればなぁ。ボンパーさんはあの、さらっと鬼畜な所がポイント高かったので、 もう1回ぐらい、見せ場が欲しかったです(笑)
そんなわけでキャラクター的な思い入れはどうしても、ガイアークに行きがち。
3幹部のみならず、閃きさんもとても良かったですし。閃きさんに関しては、どちらかというと苦手な声だった中井和哉への印象が変わったレベル。
今作、特に設定に大きなひねりがあるわけでも、衝撃のどんでん返しがあるわけでもありません。 例えばシリーズをまとめて紹介する時にあらすじを数行でまとめたら、目立たなくなってしまう存在かもしれません。
しかし、正義のヒーローvs悪の侵略者の戦い、という構図をごくごく正統派に描きつつ、その正統派として抑えるべき所を抑え、 外してはいけない所を外さず、奇策に溺れず、ネタに頼り切らず、メカを見せる、バトルを見せる、友情を見せる、燃えるべき所で燃える、 というやる事を全てきっちりとやった、そんな作品でした。
故に、00年代戦隊の集大成にして、戦隊もののニュースタンダード像。
そういう点では戦隊シリーズ史においては、『デンジマン』『ゴーグルV』を踏まえた上で1983年に一つのフォーマットを完成させ、 後世の“戦隊もの”のイメージを確立した『科学戦隊ダイナマン』と似た位置づけになるかもしれません。
『ダイナマン』が1983年にして後に続く戦隊シリーズの一つの完成形とも言える姿を描いたのに対し、 それまでの“戦隊的なるもの”を集約した、という意味では逆ではありますが。
『ダイナマン』から数えて、25年(!)、王道戦隊の一つの到達点と言っていいかと思います。
勿論、戦隊シリーズは内部での試行錯誤が激しく、フォーマットの中でのパターン破りを地味に繰り返しているので一筋縄ではいかず、 簡単にまとめてしまう事は出来ないのですが、歴史の中で培われた様々なギミックを取り込みつつ、 真っ正面から“戦隊”をやりきった、そんな作品ではないかと思います。
あと、私の妄想を多分に含むので極めて個人的な見立てではありますが、劇中ではっきりと語られないけれど各所に散りばめられた、 “悪”側の様々な背景が終盤にカチッカチッとピースが填まって綺麗に繋がる、という点でも『ダイナマン』とは共通項を感じる所。
正統を正道でやる、という高いハードルを飛び越えた、長く評価され続けるべき名作だと思います。
非常に、満足の出来でした。
- ★構成分析★
- 〔評〕は、大雑把な各エピソードの評価。◎……名作、○……それなりに面白かった、−……普通、×……駄目回。
ただし、どこに基準を置くか、を考えるとややこしくなるので、相対的というよりは印象評価だと思ってください。 記憶と感想を読み返してのものなので、微妙にリアルタイムで見た時と、違っている所もあるかもしれません。
話数 監督 脚本 メインキャラ 備考 評 1 渡辺勝也 武上純希 ―― ○ 2 渡辺勝也 武上純希 ―― 〔ゴーオングリーン、ゴーオンブラック誕生〕 − 3 諸田敏 武上純希 ―― − 4 諸田敏 武上純希 ―― 〔バルカ、ガンパード登場〕 − 5 竹本昇 武上純希 青×緑 ○ 6 竹本昇 武上純希 黄×赤 ○ 7 中澤祥次郎 會川昇 黒 〔キャリゲーター、頑張王登場〕 ○ 8 中澤祥次郎 會川昇 赤 ◎ 9 渡辺勝也 武上純希 緑×黄 − 10 渡辺勝也 武上純希 青 〔炎神王G6登場〕 − 11 竹本昇 古怒田健志 黒 ◎ 12 竹本昇 宮下隼一 赤 × 13 諸田敏 荒川稔久 青 × 14 諸田敏 會川昇 緑 − 15 中澤祥次郎 武上純希 ―― 〔ヒラメキメデス登場〕 ○ 16 中澤祥次郎 武上純希 ―― 〔ウイング族登場〕 ○ 17 渡辺勝也 武上純希 金×銀 〔ゴーオンウイングス登場〕 × 18 渡辺勝也 武上純希 金×銀×赤 − 19 諸田敏 宮下隼一 黒×緑 ○ 20 諸田敏 香村純子
荒川稔久金×銀 〔ジャン・ボエール、青空王登場〕 − 21 鈴村展弘 武上純希 ―― × 22 鈴村展弘 武上純希 金 〔炎神王G9登場〕 × 23 渡辺勝也 古怒田健志 赤×金 〔ヒラメキメデス死亡〕 ○ 24 渡辺勝也 古怒田健志 黄 ○ 25 諸田敏 會川昇 青×黒×金 ○ 26 諸田敏 會川昇 黄×銀 ○ 27 中澤祥次郎 武上純希 緑 − 28 中澤祥次郎 武上純希 黒 ○ 29 竹本昇 會川昇 金 〔ゴローダーGT登場〕 ○ 30 竹本昇 會川昇 赤 ◎ 31 渡辺勝也 荒川稔久 黄×銀×ケガレシア ○ 32 渡辺勝也 武上純希 赤×緑 〔古代炎神登場〕 − 33 諸田敏 武上純希 赤 〔キョウレツオー登場〕 × 34 諸田敏 武上純希 黄×黒 × 35 鈴村展弘 宮下隼一 ―― 〔炎神王G12登場〕 − 36 鈴村展弘 宮下隼一 ―― 〔ヨゴシュタイン死亡〕 ○ 37 竹本昇 古怒田健志 金×青 〔カンカンバー登場〕 × 38 竹本昇 武上純希 黄×銀 ○ 39 佛田洋 會川昇 黒×緑 〔劇場版クロス編〕 × 40 佛田洋 會川昇 赤×たっくん 〔〃〕 − 41 加藤弘之 宮下隼一 金 − 42 加藤弘之 武上純希 銀 − 43 渡辺勝也 武上純希 赤 〔掃治大臣キレイズキー登場〕 ○ 44 渡辺勝也 古怒田健志 ―― 〔キレイズキー死亡〕 ◎ 45 竹本昇 波多野都 ―― − 46 竹本昇 吉本聡子 青×黄×ボンパー − 47 諸田敏 武上純希 黒×緑 〔総裏大臣ヨゴシマクリタイン登場〕 ○ 48 諸田敏 古怒田健志 金×銀 ◎ 49 渡辺勝也 武上純希 赤×青×黄 〔キタネイダス、ケガレシア死亡〕 ◎ 50 渡辺勝也 武上純希 ―― 〔ガイアーク壊滅〕 ◎
(演出担当/渡辺勝也:14本 諸田敏:12本 竹本昇:10本 中澤祥次郎:6本 鈴村展弘:4本 佛田洋:2本 加藤弘之:2本)
(脚本担当/武上純希:25本 會川昇:9本 古怒田健志:6本 宮下隼一:5本 荒川稔久:3本(※うち連名1本) 波多野都:1本 吉本聡子:1本 香村純子:1本(※荒川稔久と連名))
パイロット版とラスト2話を担当した渡辺勝也が、最多演出。諸田・竹本が年間を通して関わり、中澤監督は途中で『仮面ライダーキバ』へ。 その穴を、鈴村、加藤、佛田で埋めた形に。
特に印象深いのは、走輔がパンツで大ジャンプ、文字通りに手の平を返すケガレシア様など、コミカルな演出が冴えた中澤監督の15−16話。 走輔とゴローダーのコンビが最高に輝いた竹本監督の傑作30話。また、わかりやすく面白いパイロット版として出来の良かった1話から、 大団円のラストまで、ツボを押さえた渡辺監督がさすがの安定感でした。
脚本は、ちょうど半分をメインライターの武上純希が執筆。會川昇、古怒田健志、宮下隼一、荒川稔久と前半からサブライターを起用しつつ、 お馴染みのベテラン以外も起用した形。
どうかと思う事が多い武上純希ですが、今作では非常いい仕事(武上純希らしい、根本的に組み方がおかしいエピソードも幾つかありましたが)。 そしてとてもサブライター陣に恵まれた作品となりました。
メイン回配分は、
〔赤:11(5) 青:7(2) 黄:8(1) 緑:8(2) 黒:8(3) 金:10(3) 銀:8(1) ボンパー:1 ケガレシア:1 たっくん:1〕
()内は、単独メイン回。炎神関係は考えていると非常に面倒くさくなるので、考えない事にしました(^^; とりあえず、 バスオン回は、多分、無かった。
特徴としては追加戦士が2人の上に助っ人扱いではなくレギュラーという構造上、中盤からの基本人数が7人と多い関係で組み合わせの回が多く、 単独回が少なめ。特に早輝は、初期メンバーながら単独メインが24話と実に遅く、しかもその1回のみ。 まあ6話(幸せの女神は後ろ禿げ回)は黄色単独回としてカウントしてもよいかと思ったのですが、 赤の勘違いがあってこそ面白いエピソードではあるので、黄×赤扱いに。
2−4話も微妙に黒とか緑とか赤寄りなのですが、5人がパーティ化していくエピソード、という事でフラット扱い。
構成バランスの良い作品だとは思ってましたが、改めて数えてみると、途中参加のピカピカ兄妹も含めて、綺麗な数字。 その中で走輔がしっかり頭一つ抜けていますが、ちょっと予想外だったのはそれに次ぐのが金兄だった事(軍平だと思っていた)。 初登場後のスポットや、走輔、ヒラメキメデスとの絡みなどがあった事もありますが、貫禄の数字。改めて、 走輔と表裏一体を成す、影の主人公、ゴーオンウイングスのリーダー、であったのだなと。
逆に走輔との絡みという点では、前半は走輔と対比する存在だった筈の軍平が、 ウイングス(正規品)の登場後にジャー(廉価版)にまとめられて金兄に立場を奪われた事が窺えます(笑)
まあそこで、失意を乗り越えて、青×黒×金という珍しい組み合わせの夏休み回に繋がるのが、今作の巧い所なわけですが。
青は博士ポジションという事で、ちょっとメイン回を決めにくい所があり、わかりやすい回に絞りました。 博士&オカンとして全体通してプラスポイントが多い為か、単独メインがぶーこりん回だったり、 あまり個別のエピソードには恵まれていない(笑)
早輝は単独ヒロインから一転、中盤、思いっきりゴーオンシルバーに食われる形に(笑) 後半はアイドル回を含め、 そのシルバーとのコンビが目立つ形となりました。
ふわふわとした範人は、前半ケガレシアとの絡みが設定されるも、途中で無かった事になりました(^^; 女関係が駄目そうな初期メンバーの中では貴重な人材だったのですが、作風に合わないという判断だったのか、 真性モテ(大翔)が出てきたあおりか、その辺りの軽い感じは消える事に。誰とでも適当に対応できるのが個性だった事もあり、 後半はちょっとエピソード的には影が薄くなってしまい、最終的には軍平との関係を中心に描かれる事に。青と緑は、 さすがに7人パーティの割を食った所はあるでしょうか。
美羽は単独回こそ終盤にねじ込んだ狙われた学園回だけだったのですが、兄、走輔、早輝、と活き活きと絡めるキャラクターが多く、 かなりエピソードには恵まれた印象。
難を言うと、感想本文でも触れましたが、サポートロボであるボンパーへのスポットライトが及ばなかった事ですが、 今作に関しては炎神の存在の方が重視される都合上、これは手が回らなくても仕方なかったか。
全体の構成としては、1クール目に、2号ロボ登場→1号・2号ロボ合体。
2クール目に、新幹部登場→追加戦士登場→3号ロボ登場→1号・2号・3号ロボ合体→幹部リタイア。
夏休み展開を挟んで、3クール目に、4号ロボ登場→1号・2号・3号・4号ロボ合体→幹部リタイア→年末商戦前に追加武器。
そして劇場版クロス編を経て、最終クールで決戦、と、このぐらいの時期になると、細かい回し方とは別に、 年間の行事予定は概ね安定しているというのはあるでしょうが、改めて綺麗な構成です。まあ物語としては、 カンカンバーはちょっと余計でしたが(笑)
どんどん合体を盛っていくのが作品の一つ大きな特徴でしたが、追加ロボはそれぞれ、7−20−33話、 G6−G9−G12は10−22−35話と非常に綺麗に1クールおき。
また、50話まであった事で若干の余裕があったのか、終盤に単発エピソードをねじ込めたのが、特徴的といえます。 その上で最終章も尺が足りない感なくやる事やって綺麗に収まり、とにかく非常に年間の計算がうまくいったシリーズでした。
今回、星取りに○以上が多いので流れで振り返りますが、スタートダッシュに成功し、前半は粒ぞろい。そして8話が、 この後どうするのだろう、と思ったレベルの序盤の傑作回。
一段落して単発エピソードを挟んだ所で、荒川、宮下がちょっとこけましたが、戦隊初参加の古怒田健志による11話がこれまた傑作。 古怒田さんは非常にいいお仕事で、また戦隊に参加していただきたい。
新幹部・追加戦士・新メカ、と怒濤の勢いで盛り込まれた2クール前半は上下ありましたが(22話は今作屈指のダメ回)、 ヒラメキメデスは非常に良いキャラクターでした。で、 新メンバーと既存メンバーの擦り合わせだったり夏休みだったりで何となく落ち着いてしまいがちな、 2クール後半〜3クール前半に秀作揃いだったというのが、今作のアベレージを非常に上げた所です。 リタイアした幹部にもう一花与えつつ劇場版と絡めたテクニカルな24話、青×黒×金という珍しい関係を巧くまとめた25話、 ガイアーク3大臣が仲間の絆の大切さを確認する奇跡の29話から、走輔とスピードルの友情の傑作回30話、 と古怒田健志と會川昇が、非常にいい仕事をしました。
あとこの辺りで、炎神真っ黒説が濃厚になった(笑)
その反動か、古代炎神登場と強烈王の辺りはがくっと下がったのですが、キタネイダス退場編はさすがに盛り上げて、 ギリギリセーフ。残りは劇場版クロス編が微妙だったものの、傑作だったクリスマス前後編を経て、クライマックスは文句なく盛り上がりました。
こうやってまとめて振り返ると、『相棒』パロディ回やアイドル回などまで秀作だったのも含め、山と山の間であった、 24−31話が高いレベルだったのが、作品の印象として非常に大きいな、と。
構成の綺麗さもさる事ながら、各ライターが非常にいい仕事をした作品でありました。また、古怒田健志は別にしても、 武上純希、會川昇、宮下隼一、荒川稔久、と集めたのは、00年代戦隊の集大成の意識がやはりあったのかな、 とは思う所です(で、小林靖子は翌年に『侍戦隊シンケンジャー』で、新たな方向性へ挑む事となる)。
以上、『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想総括&構成分析でした。
長々とお付き合い、ありがとうございました。
「産業革命!!」
(2014年12月31日)
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