■『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想まとめ5■


“バシッと着座ァ 頼むぜブラザー
まわる轟音 風切れGO−ON!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『炎神戦隊ゴーオンジャー』 感想の、まとめ5(GP−21〜25)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆GP−21「幼稚ナヤツラ」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:武上純希)
 見た目通りに器も大きかったジャン・ポエール教官の誘いにより、巨大ロボットで戦闘訓練するゴーオンジャーとウイングスだったが、 炎神王と頑張王は青空王に弄ばれ、今日もいい所なし。
 まあ、両ロボとも対空兵器とか無いので、問題は操者の技量ではなく設計思想なので仕方がない。
 という事にしておきたい。
 訓練後、バーベキューパーティが始まり、改めて肉で餌付けされるゴーオンジャー。
 「こーいうのを、人間らしい食事、ていうのよ」
 トップブリーダー・美羽。
 …………肉をむさぼる5人はなんかホント、どんどん哀れっぽくなってきたなぁ(涙)
 その頃、連戦連敗にどよーんと落ち込む害地目の二人を、ここしばらく何の仕事もしていないケガレシア様が、適当に励ましていた。
 「気分を入れ替えて、地球を汚すでおじゃるよ」
 凄くシンプルで素晴らしい、悪台詞(笑)
 そこでキタネイダスが、新たな蛮鬼獣を出撃させる。
 「わたくし、生まれも育ちも害気目、人呼んで、フーセンのとらと発します」
 まさかの、『男はつらいよ』パロディ。
 そして声を務めた原一平って誰だろうと思って調べたら、渥美清公認の寅さんのものまねだった!
 相変わらず、妙な所に惜しみなく本気を注ぐ『ゴーオンジャー』。
 フーセンバンキは街で風船を配るが、それには汚染された空気が充満しており、次々と割れて大気を黒く染めてしまう。 ガイアーク反応に、「肉! 後で食うから!」と出撃するゴーオンジャー。
 「よっ、相変わらず馬鹿か、ゴーオンジャー諸君」
 フーセンバンキは体中に身につけた風船の弾力で満タンガンを跳ね返す……とコミカルな見た目と違って、普通に強い。満タンガン、 ゴーオンジャーにおけるダイナロッドばりの強力武器なので、割と衝撃。
 そこへやってきたウイングスは、いきなりフルパワーで蛮鬼獣を切り刻み、フーセンバンキ撤退。
 蛮鬼獣の能力で風船化された警備員を、金銀が助けるという描写がさらっと入りましたが、 これまで徹底的に民間人無視していた金銀がいきなり人助けに走ったのは、兄が投票最下位に危機感を抱いたのか。
 ちょっと安易に、ここまでの描写との統一感が無くなってしまった気はします。
 ガイアーク本拠地に帰還したフーセンバンキは……
 「ったく、おめおめ追い返されてきおって」
 「さくら、それを言っちゃあおしまいだい」
 「誰がさくらだよ!」
 ……くっ、こんな単純なパロディで笑ってしまうとは、不覚……!
 後なんか、キタネイダスがキタネイダスというか真殿さんの素になっているぽいんですが、アドリブそのまま採用された?(笑)
 「まったく……あの蛮鬼獣ならばもっと気の利いた使い方がありそうなものですが」
 「ほぅ……」
 「?!」
 「ならばヒラメキメデスよ、その閃きで、害気目に手を貸してみよ」
 「ほぁぁ、か、かしこまってございます」
 閃きさん、適当にくさしていたら、無茶ぶりされて慌てる。
 一方、今日もいいところゼロだったゴーオンジャは、ポエール教官から「我が輩の講義を受けてみんか?」 と声をかけられ話を聞く事になるが……連以外、轟沈。
 走輔と早輝と範人はともかく、軍平は国家公務員としてそれでいいのか。
 本当は、辞職ではなく免職だったのではないか?!
 軍平に対する新たな疑問が浮かび上がる中、ボンパーさんがポエール教官の設計であった事が判明。時系列としては、
 〔マシンワールドでの炎神とガイアークとの戦い→ヒラメキメデス、トリプターとジェットラスに追われて異次元へ逃亡→2体の炎神、 ヒューマンワールドで大翔・美羽と接触→大翔・美羽、マシンワールドへ→ヒューマンワールドで炎神が活動するには人間の相棒が必要だと知ったポエール教官、 ヒューマンの水先案内ロボットとしてボンパーを設計→ガイアーク3大臣、ヒューマンワールドへ逃亡→炎神達、ヒューマンワールドへ→走輔達、 ボンパーと契約してゴーオンジャーに〕
 となる模様。
 閃きさんの動きが思った以上に作品全体に影響を与えている事になります。
 またこの流れだと、ボンパーとウイング族(少なくともジャン・ポエール)は最初から繋がっていた事になり…… 真っ黒だ! 真っ黒だ!

 自然に考えればゴーオン変身システムも教官(ないしその関係者)の肝いりという可能性が非常に高く、 ウイングススーツはいわば訓練を積んだスペシャリストのみが変身可能なオリジンでありプロトタイプ、ジャースーツは、 現地で適当な一般人と契約して変身させる使い捨ての廉価版と考えると、 これまでのピカピカ兄妹の5人への態度や戦力差に極めて納得がいきます。
 そう、可哀想な生き物を見る目。

 ……真っ黒だ! 真っ黒だ!

 異質な生命体同士が、簡単に感情や倫理観を共有できると考えてはいけないのです。
 ボンパーがもしかしたら毒々しい水玉デザインだったかもしれなかった、という衝撃の情報にさすがに目を覚ました5人だったが、 そこにガイアーク反応。ゴーオンジャーは出撃するが、フーセンバンキの不意打ちでボンパーが風船化されてしまい、 凄い形になってしまう。
 久々に名乗りを決めるが、あっさり蹴散らされるゴーオンジャー(100円均一)。
 しかしそこから根性を出して、謎の合体技・ゴーオンスクリューを炸裂させると(いきなり合体体術技というのはよくある話)、 ひるんだ所にポエールソウルでスーパーハイウェイバスターを発動して、撃破。 産業革命したフーセンバンキに炎神王と頑張王で立ち向かうが、フーセンバンキはジェット風船攻撃でボンパーを狙い、 それを守って炎神王は大ダメージを受けてしまう。
 「なんの迷いもなく友達を助けようとするシンプルさ、そこが奴等のいいとこなのであーる」
 遅れてやってきたピカピカ兄妹に、廉価版5人の良さを語る教官。
 直訳:つまりいいように捨て駒として利用しやすい(あれ?)
 そして教官のソウルは、ぎんじろうに潜り込んだり、いつの間にかレッドのベルトに挟まっていたり、兄妹の所へ戻っていたり、 神出鬼没すぎて怖い。
 ボンパーを直接始末する、という作戦を立てたヒラメキメデスが姿を見せてゴーオンウイングス(高級ブランド)変身。 金色と閃きはタイマン勝負にもつれこみ、一瞬いい勝負をする閃きさんだったが、コンビネーションによる反撃を受けて撤退。
 なんかもう、閃きさんが駄目だ……初登場時、あんなに格好良かったのに…………。
 そしてボンパーを守りながらの戦いで大ダメージを受け、合体分離してしまった炎神王と頑張王に代わり、青空王、タッチダウン!
 「ブレイク限界、ゴーオンゴールド」
 「キラキラ世界、ゴーオンシルバー」
 「縦横無尽トリッキー、俺っち炎神トリプター!」
 「白銀のエアマスター、炎神ジェットラス」
 「我が輩全てがファーストクラス、炎神ジャン・ポエールであーる」
 ヒューマンと炎神のダブル名乗りは8話であまりに決めすぎた為、以降でやっても相当盛り上げてからではないと、 単なる焼き増しになってしまうのが、なかなか厳しい所です(^^; 教官のキャッチコピーは面白かったけど。
 青空王は、強敵だった(筈の)フーセンバンキを青空インパルスで瞬殺。
 これが、正規品の力だ!
 5人の行動を疑問視する兄妹に対し、ポエール教官は、考え無しではあるがゴーオンジャーのシンプルな純粋さがいいのだ、 と無理矢理な持ち上げ。
 「守らなきゃ、て勝手に体が動いてたんだ。だってさ、こいつはもう、俺たちの仲間だから!」
 とボンパーを囲む5人であったが……正直、非常に今更。
 ゴーオンジャーのシンプルなヒーロー性そのものは、ここまでの物語で充分以上に描かれてきており(そこは今作の評価できる点)、 その長所に対して、屋上屋を重ねる内容と言わざるを得ません。
 また、確かにここまで、改めて5人とボンパーの関係性というのは描かれていなかったのですが、 それならもっとボンパーをフィーチャーするべきで、ボンパー回としても全く成立していない。
 蛮鬼獣が面白かっただけ回。
 その頃、ガイアーク本拠地・ヘルガイユ宮殿では、適当な作戦でフーセンバンキを失った事についてヒラメキメデスが土下座、 キタネイダスとケガレシア様にいびられ、遂にヨゴシュタインに蹴り飛ばされていた。
 「馬鹿たれが! 害地目の顔に泥を塗るナリか! このヒラメ!」
 「ヨゴシュタイン様、お許し下さい、ヨゴシュタイン様ぁ……!」
 ヨゴシュタインにすがりつくヒラメキメデス。
 おかしい、閃きさんはどうしてこんな事になったのか……。

◆GP−22「最後ノノゾミ」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:武上純希)
 「お許し下さい、ヨゴシュタイン様!」
 「許さぬ」
 怒りのヨゴシュタインの槍がヒラメキメデスの腹部を貫き、宮殿から逃亡するヒラメキメデス。 ヨゴシュタインはヒラメキメデスの処刑命令を出すとボウセキバンキをその刺客として放ち、他の大臣に軽く引かれる(笑)
 普段コミカル寄りなだけに、急にシリアスになると悪の怖さが目立ちます。
 ガイアーク反応に出撃した5人と兄妹は、身内に追われる閃きを発見。
 「あの傷、あれじゃ弱い物いじめじゃねえか」
 思わず割って入るゴーオンだったが、閃きは紡績の攻撃を受けて、谷底へ落下。刺客はそれで引き上げ、閃きを探したゴーオンジャーは、 洞穴に横たわる瀕死の姿を目にする。
 「笑いたければ、笑うがいいさ……」
 ボンパーに調べさせるも、閃きの損傷はもはや修復不能。その命はもはや長くはない……。
 「ただ一つ、思い残す事がある。いや、これも未練か……」
 「なんだ? 言ってみろ、武士の情けだ」
 ヒラメキメデスの最後の望み、それは、愛機バンドーマスペシャルとゴーオンゴールドのトリプター、 どちらが最速かを決めるレースをしたい、というものであった。ただで信用される筈が無い、 と閃きはレースのゴールを本拠地ヘルガイユ宮殿にしてもいい、という取引を提案する。
 ここまでの甘すぎる展開から、一応、納得のできる範疇の交換条件には持ってきました。
 ……まあ、先に地図見せたら駄目だと思いますが(笑)
 すっかりほだされた走輔達の説得を一度は断る大翔だったが、改めてレースに臨む事に。
 バンドーマスペシャルvsトリプター、レースが始まるなり、全力でヒラメキメデスを応援するゴーオンジャー(笑)
 それはさがすに酷いと思いますよ!
 幾ら兄に人徳0だからって!
 レースはあっさりとトリプターが勝利し、金兄はゴールのヘルガイユ宮殿に辿り着く……しかしそれは、 巨大なホログラムによる偽装だった!
 「ゴーオンゴールド、レースの勝利はあなたに譲りましょう。ただし、人生の賭は私の勝ちですよ」
 大量のウガッツと共に、孤島に降り立ったゴールドの前に姿を見せたのは、ヒラメキメデスとボウセキバンキ。
 「和解も何も、害地目は一枚岩です」
 ヒラメキメデスが負った重大な損傷は確かに本物だったが、閃きは自分の体内に、 ボンパーの検知不能な修復システムを仕込んでいたのだった。全ては、瀕死の自らを餌とし、ゴーオンジャーの甘さを利用した、 ヒラメキメデス命がけの一手だったのである。
 紡績の糸に囚われるもあっさり破って雑魚を撃破したゴールドだが、その前に豆知識とともに紡績バンキが産業革命。 しかしそこへ飛んでくるジェットラスのミサイル攻撃。当然、罠を警戒していたウイングスは、 シルバーとポエール教官が待機していたのであった。紡績バンキを撃破するべく、青空王に合体するウイングチーム。だが……
 「さすがの読みです、ゴールド。しかし…………来た!!」
 大空へ舞い上がった青空王は、突然の雷に撃墜される。
 「悪意の発動する予兆を読むおまえ達も、意志を持たぬ自然の動きは読めぬ」
 ヒラメキメデスがウイングスを誘い込んだのは、特殊な気象条件により、突然の雷が発生しやすい孤島であった。 急な天候の変化で雷が生じた時に、空に巨大な金属の塊が浮かんでいれば……ヒラメキメデスの二重の罠にはまり、 雷撃による大ダメージを受けた青空王は行動不能に陥り、かつてない大ピンチに。
 だがその時、海を割って現れる二体の巨大ロボ。さしものゴーオンジャーも念を入れて罠を警戒し……
 「ふれー、ふれー、ヒラメキメデス! 頑張れ、頑張れ、ゴーゴー!」
 たわけなかった。
 ロボサイズの横断幕をかかげ、ゴールドとヒラメキメデスの応援を始める炎神王と頑張王。
 馬鹿すぎる……。
 しかもこう、“楽しい馬鹿”というよりは、“呆れる馬鹿”……。
 「おい、ちょっと待て、なんだあいつ」
 巨大化した紡績バンキに気付いたゴーオンジャーは、ヒラメキメデスを狙っているのだと勘違いして攻撃。 ヒラメキメデスの裏切りなど全く気付かないまま、全てを善意に解釈して青空王を救出。
 「おまえら……何も気付かずに来たのか?」
 そう、ただ彼等は、両者のレースを応援する為だけに、泳いでやってきたのだった!
 あー……うーん……策の打ち合いを馬鹿が吹き飛ばす、という展開自体は面白く使える場合は色々ありますが、その“馬鹿”が ゴーオンジャー全員というのは、さすがにやりすぎ。
 ウイングスとの対比の中でゴーオンジャーが辿り着いたポジションが、どうして、“馬鹿”なのか?(^^;
 「敵も味方もねえ、命を賭けた願いだからこそ、みんなでかなえてやろうと、必死になったのによ!」
 兄妹の説明により、ようやくヒラメキメデスの罠を悟ったゴーオンジャーは、紡績バンキへと突撃。その姿に、 ポエール教官がゴーオンジャーに目をかけていた真の理由を悟るウイングス。
 「あんな無茶苦茶なやつらに救われたとはな、どうだ、大翔?」
 「教官、わかりましたよ。ゴーオンジャーは先のことなど見ようともしない。でも、それがやつらの強さだ」
 「時にはあんな鈍感な力こそが、強い時もある」

 えーーーーーーー(笑)

 物凄く間違った所に着地した気がするのですが、どうしてそうなったんだ、武上!
 “二つの視点”というのはわかるのですが、これはあまりにゴーオンジャーが馬鹿すぎて厳しい。
 恐らく、ヒーローにおける“後先考えないシンプルなヒーロー性”と、“敵の作戦に冷静かつ柔軟に対応する頭脳面”を、 ジャーとウイングスに分担する、というコンセプトなのでしょうが、これは著しくバランスを損なってしまいました。
 “罠とわかっていても敢えて飛び込む”のと“罠とか想像もつかない”のは、似ているようで天と地ほどの差があるのですが、 数話前まではゴーオンジャーは前者だったのに、この2話ですっかり後者に。
 (※なお世の中には、“罠とか通用しないから気にしない”という派閥もあるのですが、これは極めて特殊な例なので、 服用の際は取り扱い上の注意をよくご覧になってからにして下さい)
 3話前に、軍平が“プロフェッショナルとしての判断”を見せて株を上げた回の存在も、 そんな時空は無かったレベルで台無しになっていますし、個人的に期待していた方向とかなりズレた、というのも含めてですが、 かなりいただけない展開。
 「ゴーオンジャー、おまえたちの力を貸してくれ。俺達と一つになって、戦ってほしい」
 「うむ、今こそ合体の時が来たようだのう」
 「みんな、G9フォーメーションだよ!」
 ポエール教官の依頼により、ボンパーがウイング族のキャストに手を加えていた追加機能により、今、炎神王、頑張王、 青空王が合体する!
 「9体の炎神と7人の心が一つになった時、空と大地に君臨する王、炎神王G9が生まれるでござる」
 「馬鹿な! 9体合体だと!!」
 超盛りまくりの脅威の9体合体、その名を、炎神王G9!(まんま)
 ここまでを前提とした、頑張王と青空王の比較的シンプルかつ微妙なデザインの合体変形だったのでしょうが、 9体合体、玩具凄い。
 そして、本当に26話で終わりそうな勢い(笑)
 炎神王G9は空中からの一斉射撃G9グランプリで紡績バンキを殲滅。バンドーマスペシャルも一緒に藻屑にされるが、 ヒラメキメデスはなんとか生き延びる……。
 劇場版宣伝込みのEDは、何故かいきなり、キャリゲーターの歌に。
 かなり残念な2エピソードでしたが、作品のベースは嫌いではないので、3クール目以降の新展開での修正に期待。……いやその前に、 割と好きな閃きさんが、最後の大勝負で盛り上げなおしてくれる事にも期待したいですが、この直近の流れでは、せいぜい、 華々しく散ってほしい、と願う他ない。
 次回、ヒラメキメデス乾坤一擲の大勝負!
 朝焼けの空に浮かぶ二等辺三角形の輝きを、君は見たか!

◆GP−23「暴走ヒラメキ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:古怒田健志)
 協力して戦う事になったからには……と大翔を理解しようと行く先々に付きまといはじめる走輔(笑)
 この辺り、さっぱりして引きずらないのは、走輔らしい所。
 一方、決死の策略を仕掛けるもゴーオンジャーに敗れたヒラメキメデスは、何とか7人を破るべく宮殿にも戻らずに思考を重ねた末、 新必殺技「三平方の定理」を編み出すが、ヒラメキメデスの動きを読み切ったゴーオンゴールドにあっさりかわされ、撤退。
 相変わらず飲んだくれているケガレシアとキタネイダスはそれをあざ笑うが、ヨゴシュタインは一人
 「あいつはやればできる子ナリ!」
 とその帰参を待つ。
 ヨゴシュタイン様はホント、ヒラメキメデスが好きすぎます。まあ元々、親分気質なのかもしれませんが、三大臣、 割と蛮鬼獣に優しいし、意外と福利厚生がしっかりしているのかもしれないガイアーク。
 またもゴーオンジャーに敗れたヒラメキメデスは、逃げ込んだ深い山奥で、 ガイアークによるマシンワールド侵略の決行前夜を思い返していた。もともと発明家であり、 バンドーマを研究開発するもその功績を相応に評価されたと思えずにいたヒラメキメデスは、 いっそ自ら害地大臣になろうかと謀反を思案していた所をヨゴシュタインによって副大臣に取り立てられ、一転、 その恩義に報いるべく深い忠誠を誓ったのであった。
 回想シーンで過去に裏切りを考えていたという話が入ったのは、もしかしたら初期設定の名残か。 前回唐突に出てきた「発明家」という設定自体が、微妙に後付けっぽい感じもありますし(^^;
 ヨゴシュタインの期待に応えるべく、何としてもゴーオンジャーを倒さなくてはならない……これまでの戦いを思い返し、 ヒラメキメデスは打倒ゴーオンジャーの思索を深く巡らせる……
 「いったい、わたくしの計算の、どこが間違っていたのか………………どこだ…………何が正解なんだ…………」
 ぽくぽくぴーん!
 「エウレカ!! 我、答を見つけたり!」
 何かを閃いたヒラメキメデスは宮殿へ帰還すると、蛮鬼獣製造・強化装置への中へと入り、 自らの体に蛮鬼獣100体分のエネルギーを注ぎ込む!
 「計算がなんだ! 力尽くで叩きつぶす! それがわたくしが見つけた答なのです」
 そう、全てを吹き飛ばす、パワー!
 だがビックリウムエナジーは劇薬、過剰に摂取すれば、それはヒラメキメデスの命を削る事になる。
 「このヒラメキメデス、命にかえても、ヨゴシュタイン様と、害地目の名誉を守って見せます!」
 裏のありそうな策士→面白メガネ→信義の忠臣、となったヒラメキメデス、その姿が、注ぎ込まれたエネルギーによって変貌する――。
 その頃、ピカピカ兄妹の家にまであがりこんだ走輔は、兄の真似してサンドバッグを叩くもプールに吹き飛ばされ、 「相手の先を読むんだ」とアドバイスを受けていた。
 エスプレッソおごったり、なんだかんだで面倒見いい兄ですが、トリプターによると「兄貴が人にアドバイスなんて、 珍しいな」という事なので、段々、愛玩動物を見る目線になっている気もする。
 そこへ極めて強力なガイアーク反応が出現し、集まったメンバーが目にしたのは、異形の姿へと変貌し、 「だいさんぎょーうかくめーい!」で巨大化したヒラメキメデスであった。
 「蛮鬼獣100体分のビックリウムを吸収し、でたとこ勝負のデタラメデスとなったのだ、げひゃはーーひはぁ!」
 知性をかなぐり捨てて狂気の怪物と化したヒラメキ改めデタラメデスに対し青空王で挑むウイングスだったが、 高速で空さえ飛ぶデタラメデスのその名の通りの出鱈目すぎる動きを読めずに敗北。次いで立ち向かった炎神王G6も、 滅多切りにされてしまう。
 「4+5は、19! 6−3は、25!」
 など、デタラメデスの出鱈目ぶりを、見た目やただのマッド台詞だけではなく、口にしている計算がひたすらおかしいという、 キャラクターらしい狂気で現したのは、前回良かった古怒田脚本の、センスのいい所かと思われます。また、 機械的なエフェクトを使っているのかどうかはわかりませんが、一つ一つの単語のイントネーションや音の高低に極端な変化をつける事で、 狂気を演出。エフェクト無しだとしたら、中井和哉、凄い。
 デタラメデスの圧倒的なパワーに対抗するべく7人と9体は炎神王G9へと合体するが、
 「ひっさつ! ルート3ひくていへんわるちょっけいたす、95まーん!」
 意味不明な必殺攻撃でやられる。
 「俺様のパワーは、10+10で百万倍だぜ。あははははは」
 That's ゆで理論(違う)
 炎神王G9すら圧倒する出鱈目パワー。追い詰められ蹂躙されるG9だが、いよいよトドメというその時、 レッドが強引に気合いで立て直すと、デタラメに向かってまっしぐらに直進し、攻撃をものともせずにその体へと組み付く。
 「みんな! G9グランプリだ!」
 零距離からの必殺技を放てば、勿論、G9も只ではすまない。止めるゴールドだったが気合いに押される形で賛同し、一か八か、 超至近距離からのG9グランプリを発動。デタラメデスに大ダメージを与えて巨大化を解除させるが、G9もバラバラに吹き飛び、 ダメージで炎神もキャストの状態に戻ってしまう。
 各々ダメージに倒れたゴーオンジャー達に迫るデタラメ、一人立ち上がり、立ち向かうゴールド。 しかし相性の悪さもあってかデタラメの横紙破りの動きに翻弄され、大ダメージを負う、とゴールドが劇中初の大苦戦。 遂に倒れたゴールドに迫る必殺の刃を横から受け止めるレッドだったが、ゴールドを見習ってデタラメの動きを読んで戦おうとするレッドもまた、
 「出鱈目殺法・思考停止斬り」
 などによって追い詰められていく。
 レッドの奮戦を見ながら、先ほどのG9玉砕戦法を思い起こしたゴールドは、一つの事を悟る。相手の行動の先を読み、 常に最善の一手を打とうとする自分達に対し、悪く言えば考え無し、良く言っても無鉄砲のゴーオンジャーはバカである。 バカではあるがしかし、バカではなくては突破できない壁、辿り着けない強さがある。
 「走輔、俺の真似をするな……。今必要なのは、おまえの戦い方だ」
 どちらが上とか下ではなく――いや、人間としても戦士としても基本的に俺が上だが(兄談)――必要なのは、 互いの長所を発揮する事。
 と、前回のフォローというか、実質3部作だったというか、前回の着地点からもう少し動かして、多少マシな形で、 ウイングスには真似の出来ないジャーの強さ、という事を描いてきました。
 前回はゴーオンジャーの無思考を「愚かな善良さ」として描いてしまい、それがたまたま(たまたまである) 「性格の悪い複雑さ」をひっくり返してしまう時がある、という展開だったのですが、今回はそれを「真っ直ぐな無鉄砲さ」として、 良い面も悪い面も含めて、考えすぎる人間の枠を越える「窮状を突破する力」へと転がしたのは、 走輔の性格やゴーオンジャーの性質とも巧く絡んで良かった所。
 ゴーオンジャーのヒロイズムとはつまり、「ストレート」にある、という本質が見えた気がします。
 また、デタラメデスが考える事を止めた結果ゴールドを上回る力を見せ、しかしそれは捨て身の危うさである、という被せも面白い。
 「よーし! 俺の戦い方は、マッハで前に出るだけだぜ!」
 ゴールドからダガーを受け取ったレッドは、サーベルの上に乗るとダガーのブースターで空中を加速、滑走する!
 ここで兄が赤にダガーを托す、というのはゴールドがジャーを心底認めた表現であると同時に、戦闘力の増強にもなるし、 アクションとしても盛り上がる、とがちっとはまりました。
 「相手の出方とか! 予測とか! 関係ねぇ!!」
 デタラメデスの出鱈目攻撃をゴーオンレッドの無理無茶無鉄砲が突き抜け、炸裂するエアリアルサーベルストレート。
 「バカな、俺が負ける筈が無い、俺は勝ってヨゴシュタイン様のもとへ……ヨゴシュタイン様ぁぁ!!」
 閃きさん、爆死。
 「俺が……いや、俺たちが力を合わせれば、無敵なんだぜ! なあ大翔」
 走輔が最後だけいい所を持って行った、と少々不満顔の美羽だったが、大翔はそんな妹の頭をポン。
 「構わないさ……勝ったのは、俺たちだ」
 ここで遂にお互いを認め合い、「俺たち」となる、ジャー&ウイングス。
 「長くなるかもな、あいつらとの付き合いも」
 前回からだいぶ改善しましたが、しかしこれなら、もっと露骨に引っ張って、今回で綺麗にまとめるという展開にできなかったものか。 炎神王G9とか、大翔と走輔の関係とか、今回の前振りとして必要な要素はあったのでしょうが、 ジャーとウイングスの関係性において言えば前回のまとめを改めてやり直したという構造であり、 むしろ前回は着地したフリをしただけでまだ降りていなかった、というなにか奇妙な事になってしまいました(^^;  そして前回がメインライターで今回がサブライターという不思議(笑)  着地点に修正が入った事自体は、非常に良かったですが。
 早速たかり始めた走輔を大翔がいなし、去って行く7人のヒーロー達……。戦場に残されたのは、ヒラメキメデスの剣。 かつてヒラメキメデスを副大臣に取り立てる際に、自ら仕立てたそれを渡したヨゴシュタインは、忠臣を失った慟哭と共に、 その剣を手にする。かつてなくシリアスなヨゴシュタインはいかなる復讐戦を望むのか―― 敵方のシーンなのに最後に手前に花入ったりしつつ、物語は後半戦へと突入していく。
 そろそろ仕事してくださいケガレシア様!
 終わってみれば戦隊史で見てもかなりの忠義者だったのではないかと思われるヒラメキメデス。 戦力的には完全にウイングスの踏み台という無残な転落ぶりでしたが、 固定化しつつあったガイアーク三大臣のトリオ漫才に変化を加えるなど、作品にいいアクセントを付けたキャラクターでした。 どちらかといえば苦手な声優だったのですが、中井和哉も好演。
 作品としては、通常なら、追い詰められた閃きさんが超パワーアップ→ロボット敗れる→G9で大逆転、という流れになる所を、 G9登場→閃きさん超パワーアップ、と逆にしているのは、構成として面白いところ。お陰でG9は(相手が捨て身だったとはいえ) 登場2回目にして追い詰められるどころか合体解除されてしまう新巨大ロボになりましたが(笑)
 まあG6も役に立ったのごく短期間でしたし、今作は割と、ロボットに厳しい。

◆GP−24「最初ノエガオ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:古怒田健志)
 ヒラメキメデスの撃破により戦いが一段落し、森林浴としゃれこむゴーオンジャー。訪れたその森に、「なんだか、見覚えがあるの、 この森」と記憶を刺激される早輝。
 一方、ヘルガイユ宮殿ではヨゴシュタインがどん底まで落ち込んでいた。
 「ヒラメキメデス……どうして死んでしまったナリ……」
 「ヨゴシュタイン、元気を出すでおじゃるよ」
 「奴の事は良き思い出にして、新しい一歩を踏み出すぞよ」
 「ほっといてほしいナリぃ」
 なんか、フられた男を慰めるみたいに……(笑)
 ガイアーク三大臣は、仲良し・割と部下に甘い・飲んだくれ、というのが実に面白くはまってきました。 当初はそれぞれの対抗意識めいたものがもう少し描かれていたので計算の結果ではないでしょうが、 ギャグに踏み込みすぎない範囲でユーモアとシリアス分のバランスも良く、何とも味わいのある幹部連に。
 そんな三人の前に、おどろおどろしい効果音と共に現れる人魂――なんと前回あれだけ派手に散った閃きさんが、 まさかの幽霊として帰還する……。
 その頃、街へ帰ろうとしたゴーオンジャーは、ぎんじろうが原因不明のエンストを起こして立ち往生。 森の中に少年の姿を見つけた早輝は迷子かもしれないと追いかけて男達とはぐれてしまった所を、突然、 青鬼っぽいデザインの謎の怪物に襲われる。変身して立ち向かうイエローであったが、蛮鬼獣ではない謎の怪物は満タンガンを弾き返し、 イエローは逆に怪物の攻撃で吹き飛ばされてしまう。
 Gフォンも通じず、戻ってこない早輝を心配して森に入った男達を次々と襲う、謎の怪異……と、ここから夏の怪談回に。その裏には、 怨霊となって舞い戻ったヒラメキメデスの策動があった。
 「うらめしや〜。ウラメシメデスとなった我が怨念、思い知るがいい」
 閃きさんは、実に素晴らしい使われっきりぶり(笑)
 森の中を逃げ惑う途中、胸騒ぎを感じてやってきた大翔と美羽に出会う4人だが、6人まとめて幽霊の群れに追われる事に。もはや、 信じる/信じないの領域は飛び越えているとはいえ、大翔あたりはクールに幽霊をかわすものかと思われましたが、全員、 オカルト駄目でした。
 一方、青鬼に敗れた早輝は、洞窟の中で少年に介抱されて目を覚ましていた。早輝はその少年の姿に、子供の頃、 親に連れられてハイキングにやってきたこの森で迷子になり、そっくりの少年に励まされた事を思い出す。
 「怖い時やさみしい時は、笑うと勇気がわいてくるよ。だから、スマイルスマイル」
 それが、早輝のスマイルの原点、最初ノエガオ。
 「私はこの森であの子に助けてもらったから、今度は私があなたを助けてあげる」
 「うん!」
 少年と手を取り合って進む早輝だが、再び青鬼の襲撃を受け、逃げていた所で6人と合流。その前に姿を現す、 ヒラメキメデス改めウラメシメデス。
 「うらめしましてございます」
 前回、壮絶な爆死を遂げたヒラメキメデスはゴーオンジャーへの憎しみから怨霊となり、霊界で亡者達と意気投合。現世へ舞い戻ると、 亡者達の協力で様々な怪現象を起こしていたのだった。
 だが、霊体の身ではゴーオンジャーに物理的な被害を与える事ができない。そこで幾つもの異次元ワールドを渡り歩いたヒラメキメデスは、 強さだけを求める 宇宙刑事 サムライワールドで、 森を破壊する事を生きがいとする妖魔バッキをスカウトしてきたのであった。
 EDの宣伝を見る限り恐らく劇場版との絡みだと思われますが、これで突然出てきた謎の怪物・バッキがやたらに強い理由には納得。
 それにしてもサムライは、ヒューマンとかマシンとかと同じ扱いの、異種族なのか(笑)
 早輝と少年を逃がしてバッキに挑むジャー4人+ウイングスであったが、種族特性:《炎神ソウル無効》 を持つ妖魔バッキに蹴散らされてしまう。森の奥に逃げ込むも、自分の力では勝てない……と沈む早輝。そんな彼女に、 少年は笑顔を見せる。
 「怖い時やさみしい時は、笑うと勇気がわいてくるよ。だから、スマイルスマイル」
 それは、10年前の少年の言葉。
 「僕は……いつでもここにいるから」
 そう、少年は、森の古木の化身であった。10年前と同じく、少年に勇気を貰い、スマイルを取り戻した早輝は、 ひとりバッキへと立ち向かう。
 「大丈夫、あなたとこの森は、私が守る! 言ったでしょ、こう見えて私、とっても強いんだよ!」
 「うん!」
 「チェンジソウル・セット! レッツ・ゴーオン! スマイル満開! ゴーオンイエロー!」
 変身したイエローは、バッキに走輔ばりの突撃から、連続攻撃。
 「私は負けない! あの子にもらった、勇気があるから!」
 気合いの満タンガンでバッキをひるませると、少年が森のパワーを込め、 二人で放つレーシングバレット夏の思い出スペシャルでバッキを撃破。しかし倒れたバッキにウラメシメデスが取り憑くと、 邪悪パワーで融合・巨大化。時間の都合でいきなりG9で立ち向かうゴーオンセブンであったが、《炎神ソウル無効》 のバッキをどうやって倒せばいいのか……その時、早輝が塩を使う事を思いつく。
 怨霊に対抗するには、清めの塩。
 ボンパーに転送してもらった塩をそれぞれのブラスターソウルにまぶし、 悪霊退散ブラスターソウルを弾頭としたG9成仏グランプリが炸裂。
 「わたくしの復讐もここまでなのか……さらばです、ゴーオンジャー!」
 怨霊ヒラメキメデスは今度こそ完全に昇天し、ゴーオンセブンは見事にバッキを退治。
 その光景に、最後の最後までよく戦い抜いた、とヒラメキメデスの形見となった剣に、手向けの酒をふりかけるヨゴシュタインであった……。
 ラストは、少年の木にお礼を言う早輝。主題歌のスローアレンジの中、早輝の言葉に応えるかのように葉っぱが一枚落ちてくる、 という演出も素敵なのに、遠巻きに見守る野郎4人の中、連が一人だけ、
 「は? とうとう脳に虫が湧いた?」
 みたいな実につまらなそーーーな顔しているのですが、どうしてそうなった(笑)
 いや、今回通して、理論派の連が「俺はオカルトなんか信じないっス」というならそれはそれで有りなのですが、 巨大猫とか幽霊とかに怯えまくっていたからなぁ……(^^; まあ、それはそれ、これはこれ、なのかもしれませんが、それにしても、 どう善意に解釈しても「狂ったんじゃないか」という表情にしか見えず、色々台無しに(笑)
 最近、都合により銀色に押されていた早輝の、正統派ヒロイン回。
 夏の怪談回にヒロイン回を合わせて劇場版の要素も絡め、好敵手であったヒラメキメデスにもう一花与えるとともにヨゴシュタイン様に心の整理を付けさせる、 と筋立てに特筆すべき所は無いものの、複数の要素を破綻なく組み合わせたテクニカルな好篇。
 今のところ、古怒田脚本は安心して見られます。

◆GP−25「母上(おかん)サヨナラ」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇)
 ヨゴシュタイン、喪中。
 まだ振り切れてなかった(笑)
 害地大臣が部下の死を悼んで蛮鬼獣製造装置に籠もってしまった為、「作れないなら、見つけるぞよ」 とヘルガイユ宮殿から外へ出る害気大臣と害水大臣……一方、ゴーオンジャーはヒラメキメデス撃破記念一休みモード続行中で、 海へ行こうと盛り上がっていた。
 予算が無いと却下しようとする大蔵大臣もとい家計を預かる香坂連だが、メンバーのテンションに押されて、旅行を企画する事に。
 「オカン、か……」
 メンバー全員から、とうとう公然とオカン扱い(笑)
 こうして連をわめき落としたゴーオンジャーは、夏期休暇に出発。宿代の節約の為、連の実家である高級旅館「香坂」に泊まる事に……と、 ここで以前に出た設定を拾ってきました。
 「連お坊ちゃま、ゴーオンジャーのお仕事、ご苦労様です」
 実家公認だった(笑)
 一人息子がメカニックになりたいと言って跡取りを拒否したのに、それでOKなのか実家。
 海だ旅館だ豪華な食事だ! と盛り上がる4人だが、どこか様子のおかしい連。それを気に掛ける軍平は、 海で遊んでいる最中にそっと姿を消した連が、ゴミ捨て場になっている海辺の洞窟をひっくり返しているのを目撃する。
 「気になってついてきたんだ。おまえ、急に、なになにっス、て言わなくなったし。……ここは?」
 色々と疑わしくなってきた元刑事、久々に、注意深い所を発揮。
 「ちょっとした、思い出の場所だよ。みんなの邪魔をしたくないから、一人で来たんだ」
 「そーいうところが、オカンだっていうんだよ」
 あるものを探してゴミをかきわける連だったが、突然、山のようにあったゴミが洞穴の中にあった石像の中に綺麗さっぱり吸い込まれる。 その石像こそが、連の探していた思い出のお地蔵様であった。
 ……てこれ、地元では便利な、謎のゴミ消去システムとして使われていたのか?(^^;
 お地蔵様との再会を喜ぶ連だが、そこへキタネイダスとケガレシアが現れ、お地蔵様を渡すように要求。連と軍平は変身するが、 さすがに蹴散らされる。
 「これは我らの仲間! 渡すゾヨ!」
 「嘘だ……! これは俺と母さんの、お地蔵様だ!」
 ガイアーク反応に宿でくつろいでいた3人が駆けつけ、ピカピカ兄弟も唐突に登場。金銀は問答無用で地蔵を破壊しようとするが、 青はやや錯乱気味に二人からお地蔵様を守ると、皆を振り払い、石像を抱えて逃走。大臣ズはそれを追いかけ、残された4人は、 ピカピカ兄妹とポエール教官から石像の正体について聞くのであった……。
 かつて、マシンワールドでは、ガイアーク以前にも蛮鬼族による反乱事件があった。それが、アレルンブラ家の乱。 蛮鬼族の名門・アレルンブラ家はマシンワールドで暴れるだけ暴れ回ると、 忽然と姿を消す――その一部が異次元を渡ってヒューマンワールドへと辿り着き、自然の豊富な美しい環境で仮死状態になっていたのが、 連の思い出のお地蔵様の正体であった。
 前々回、ヒラメキメデスの台詞で「ガイアーク決起前夜」というのがあって、「ん? 決起?」と思っていたのですが、 どうやらガイアークは他次元からマシンワールドへ侵略したのではなく(特に言及は無かった気はするけど、そうなのかと思っていた)、 もともとマシンワールドで生活していた蛮鬼族の組織(国家?)であった模様。
 …………て、あれ、これ、もしかしなくても、被差別階級と差別階級による 機械生命体の階級闘争にヒューマンワールドとばっちり受けた?!
 かたや炎神。
 かたや蛮鬼族。

 根深い差別の歴史を感じずにはいられません。

 「決起」という単語のチョイスといい、これ明らかに、炎神が蛮鬼族を搾取していた構図しか思い浮かばないのですが、 炎神はどこまで真っ黒なのか。
 ボンパーさん悪魔どころか、炎神全部真っ黒なのではないか。
 ジャッジメント! ジャッジメントを要求したい!
 話が進むにつれて、次々と明るみになっていく不都合な真実。『海のトリトン』展開になったらどうしよう(笑)
 美羽の「キガ○○った?」的な相変わらずの直球なツッコミに戦慄しつつ、連を探しに散らばる面々、何か理由がある筈だ…… とひとり気遣う軍平、とちょっと珍しい絡み。
 黄昏が迫る頃、逃亡者・連は、山奥に隠れてお地蔵様にオムレツを食べさせていた。ほのぼのと懐旧にひたる連だったがそこへ、 走輔とは逆ベクトルで話を聞かない男・大翔がやってくる。
 「無駄だ。そいつを放っておくわけにはいかない」
 あくまでお地蔵様を守ろうとする連へ冷たく迫る大翔。だがそこへ駆けつけた軍平が、 後ろから加速をつけて気持ちよさそうに大翔を殴り飛ばす。
 「軍平!」
 「よっ」
 いい笑顔の軍平さん、熱い(笑)
 「何をする」
 「あの地蔵には手を出すな」
 「おまえは馬鹿か。アレルンブラ家はとても危険だ」
 「だが! 連の大切な思い出だ!」
 連×軍平でも珍しいのに、そこに大翔も絡むという、ひたすら珍しい組み合わせ。
 病弱な母親の為に、「○○っス」という言葉遣いで笑わせ、母の大好物のオムレツを懸命に作っていた幼少期の連。 失敗作のオムレツをお供えしたところ地蔵に消化吸収されて以来、母親が亡くなるまで毎日拝んでいたのが、このお地蔵様であった。
 尋問モードで仲居さんから聞き出した情報により、ストレートな説得を試みる軍平だったが……お返しに殴られる。
 「戦士とはやりたいことをやっていいものじゃない」
 「だったら俺も戦士じゃないな。……俺は、昔から正義のために、命を賭けて戦いたかった。それがやりたくて、 ゴーオンジャーをやってる」
 おおここで、軍平のテーマも絡めますか。
 「おまえも、自分の才能を最大に活かしたかった! 結局やりたい事をやってるだけだ。連もそうしてなにが悪い」
 「おまえは間違ってる!」
 大翔のパンチをがっちり受け止める軍平。
 ウイングスの登場により、最も存在意義の薄くなった軍平が、ここで己の信念を掲げて大翔と真っ向から対等にぶつかる、 という対決シーンは非常に熱い。言葉だけではなく、肉体言語も駆使する事で、一方的だった上下関係にも補正を入れています。 また大翔というキャラクターにとっても、走輔以外のジャーメンバーと、真っ向から絡むという重要な展開。
 これは14話以来の脚本となった會川昇が、お見事。
 「連は優しい奴だからな! 俺たちに甘えられれば、やな事だって断れない。だが、今度は連がやりたい事をやる番だ!  連が地蔵を守りたいなら、俺も守る!」
 掴み合い、殴り合いにもつれ込む二人。
 「俺の……やりたい事……」
 小刻みにヒーロー論を入れてきている『ゴーオンジャー』ですが、英雄的大義とか使命感はさておいて、「好き」でやっている、 という点を強調してきたのは面白い。特に思想は正道ながら、その志そのものが自分の勝手である事を軍平が認めた上で、 色々と建前で武装した金兄を、「俺もお前も好きな事をやっているという点では同じだ」と 同じ地平に引きずり落としにきたのは多分、尋問で鍛えた詭弁マジック。
 軍平の台詞は前半で正義を謳っているのに後半で正義とか悪とか乗り越えてしまっているのですが、 根本にはメンバーに対する一線を守るという信頼があるのだ、という事にしておきたい。
 あまり踏み込まれてこなかった軍平の背景(刑事から無職へ)に関しては、特にイベント的なものはなく、 単純により自分の願望を充足できる職業に転職した、とこれでまとめられるのかなぁ……残りを考えると、手が回りきらなかった場合は、 これで、みたいな感じか。
 「やめろ! 二人ともやめるんだ!」

 けんかをやめて 二人をとめて
 私のために争わないで もうこれ以上
 ちがうタイプの人を 好きになってしまう
 揺れる乙女心 よくあるでしょう
 だけどどちらとも 少し距離を置いて
 うまくやってゆける 自信があったの
 ごめんなさいね 私のせいよ
 二人の心 もてあそんで
 ちょっぴり 楽しんでたの
 思わせぶりな態度で だから
 けんかをやめて 二人をとめて
 私のために争わないで もうこれ以上

 そんな修羅場の真っ最中、大臣ズが地蔵を発見。ケガレシア様が汚水を注ぐと、 仮死状態になっていた地蔵は蛮鬼族としての姿を取り戻す――その名を害水騎士・ウズマキホーテ。
 もともと探すのを嫌がっていたり、ケガレシアを「姫」と呼ぶなど、アレルンブラ家は、ケガレシア様と何か繋がりがある様子。
 変身した金と黒をまとめて吹き飛ばしたウズマキホーテは生身の連に向けて槍を突き出すが、その動きが途中で止まり、苦しみだす。 長い地蔵の時代に連のオムレツを吸収していたウズマキホーテは、その部分だけ汚れが浄化されてしまっており、 連を攻撃できない体質になっていたのだ。
 そもそもウズマキホーテに地蔵時代の記憶は無くオムレツの吸収も機械的にエネルギー補給をしていただけであり、 連の思い入れは一方通行に過ぎないのだけど、システム的な不調の背後に心の交流を“見たければ見てもいい”、 程度のバランスに収めたのは良い所。
 その場を走り去った渦巻きは、森の中で残り4人と遭遇。エネルギーを吸収して反射する能力で4人を蹴散らすと、 閃きさん殉職後の新展開への布石なのか、かなりの能力を見せつける。
 思い出のお地蔵様を破壊すべきかどうか、揉める黒と金を押さえる連。
 「俺が行く」
 暴れ回る渦巻きの姿に覚悟を決めた連は、ゴーオンブルーへと変身。
 「二人とも、喧嘩をやめるっス」
 「連……スって」
 「仲直りして、俺と一緒にあいつを倒すっス」
 「おまえ……」
 「オカンになる。それが、俺のやりたい事っスから」
 「オカン?」
 素っ頓狂な発言に、戸惑いを隠せない兄(笑)
 「はい、仲直り」
 その動揺の隙を突き、ブルーは二人を握手させる。
 なにやら連は、早くに亡くした母への思慕の念がねじくれ曲がった結果、他人の面倒を見る事で充足を得るようになってしまったらしい。
 「子供の兄弟喧嘩を止めるのも、オカンの仕事っス」
 「おい! 兄弟喧嘩って!」
 「……俺たちの事か」
 連の狂気に呑まれだす金兄(笑)
 忘れがちだけど第5話で範人に見せたように、連は深く静かに狂っているのでありました。
 青は二人に指示を飛ばし、連携攻撃から一斉射撃。かつて母が死んだ日、 衝動的にお地蔵様に石をぶつけてしまった際に出来たひび割れを狙う事で、渦巻きを撃破する。倒れた渦巻きは、 アレルンブラ家の王子ニゴールが近くに眠っている事をケガレシアに伝えると、 キタネイダスからビックリウムエネルギーを与えられて巨大化。出撃する3大ロボだが、 青空王と頑張王がエネルギーを吸われてピンチに陥ってしまう。そこでブルーが、新開発の給油ソウルを打ち込んでエネルギー補充。
 久々の主題歌とともに、立ち上がる青空王と頑張王。大翔と軍平はむさ苦しい兄弟としてまとめられ、 逆らったら何されるかわからん……と渋々それを受け入れると、給油パワー全開で、三大ロボ連携攻撃。 ハイオク満タンプロペラアタックにより、渦巻きを撃破するのであった。
 連のメカニックネタはいつも唐突なのですが(「こんな事もあろうかと」的な伝統芸といえばそれまでですが)、 ここまでが丁寧だっただけに、ラストの強引さは少々悪目立ち(^^;
 ただ全体としては、一応連と並ぶジャーの年長者ポジション(?)である軍平を連と絡め、軍平と大翔を信念の在り方でぶつけつつ、 連の狂気にちょっと引く大翔、と、噛み合わなそうな3人を巧く絡めて見事な展開。……まあ軍平の場合、 気を遣うならもっと普段から気を遣え、というのはありますが(笑)
 「母さん、お地蔵様は、無くなっちゃったけど、今の俺の家族と、新しい思い出、いーっぱい作ってるっス」
 このドタバタもいっそ楽しい、とどこまでもオカン魂を発揮する連であった。
 というか連、存命の父親をナチュラルに家族から外してないですか(ガタガタ)。
 ゴーオンゼミナールは、「兄、劇場版で号泣する」という、捏造広告(笑)

→〔その6へ続く〕

(2014年3月12日)
(2017年4月9日 改訂)
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