■『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想まとめ2■
“いきます炎神 勇気ジンジン
唸れ轟音 かっとべGO−ON!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『炎神戦隊ゴーオンジャー』
感想の、まとめ2(GP−06〜10)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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- ◆GP−06「乙女ノココロ」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
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今日も今日とて寝癖を気にする早輝に向け、
走輔「メットオンしちまえばわかりゃしない」
「あ」
「あ」
「あ」
硬直する残りの男3人。悪気はないらしい走輔はフォローのつもりだったが、早輝は落ち込んで歩き去ってしまう。
「ええっ?!」
「ふっ、やっちまったな」
正直、このメンバーでは一番モテなさそうな割には、上から目線だ、軍平。
おそらくこのメンバーのヒエラルキーは、
青:基本2枚目。しかし付き合っている内に過保護と蘊蓄を鬱陶しがられてフられる。
緑:愛玩動物系。一歩間違えるとヒモ一直線。
赤:告白されても気付かない。
黒:告白されない。
走輔は早輝を追いかけるが、「どーせうちの野郎どもの前でお洒落しても仕方ないしー」とやさぐれモードの早輝さん。
ここで「ボーイフレンドが出来たら面接してやる!」とのたまう走輔はどうも、心は兄ポジションらしい。
よく考えたら少し前まで赤の他人だった筈なのですが、この辺り、良い意味での馬鹿っぽさが出ています。
公園で練習をしていた青年のフルートに心奪われる早輝だったが、そこへ美しい音を吸収して破壊音波に変換する蛮鬼獣・
スピーカーバンキが登場。早輝は男を助けて変身し、走輔も変身。騒音攻撃に苦戦する二人だったが、残り3人も駆けつけ、青、
こんな事もあろうかと、耳栓を取り出す。
メットを外して耳栓をする5人(笑)
見事に騒音を防ぐ事に成功するが、今度は会話も聞こえず、連携できず(笑)
蛮鬼獣を面白くした事で、戦隊側のこういったナンセンス気味なネタもギャグで収まる空気は、6話までで上手く成立しています。
身振り手振りからの連携銃撃でスピーカーバンキを撃退して数日後……早輝が例のフルート青年とデートする事を知って気が気でない走輔は、
ちょうど読唇術を披露していた軍平を引っ張って、デートを覗き見。軍平に冷たい目で見られながらも読唇術で二人の会話を読み取るように頼み込むが、
中途半端な読唇術の結果、料理の注文のやり取りを告白にOKしたのだと思い込み、ショックで倒れ込んでしまう。
更に後日、スピーカーバンキ警戒のパトロール中、ショーウインドウで跳ねた髪を直している黄色の姿を、
飾られているウェディングドレスを見ているのだと勘違いし、赤の誤解はますます大暴走。早輝にはヒーローとしての戦いではなく、
青春を取り戻してあげるべきだ、とすっかり独り合点で思い込んでしまう。そこへフルート青年から黄色への「大事な話がある」
という電話を聞いて更にアクセルを踏み込むと、蛮鬼獣より公園に行く事を優先しろ、と黄色を幸せに向けて送り出す……つもりになる。
「きっと正式な結婚の申し込みだ。おまえは、そっちにいけ」
妄想レベルの譫言に戸惑い拒否しようとする早輝に向け、
「いいか良く聞け。幸せの女神ってのは、後ろ禿げなんだ」
がしっと説得。
間違ってない、間違ってないんだが……名言(笑)
走輔は「邪魔だ」とまで言って強引に早輝を公園へと向かわせ、大出力の破壊音波でビル群を破壊するスピーカーバンキの元で揃う男4人。
「あいつはもう卒業だ。ゴーオンジャーはこれから、4人でやっていく」
「「は?」」
走輔は思い込みが激しい、というより、ちょっと自分に酔っています。
まあ酔っていないと、これだけ堂々と“正義ノミカタ”は出来ないという事なのか(笑)
今度も耳栓を装備でスピーカーに挑む4人だったが、パワーアップしたスピーカーバンキの破壊音波は耳栓でも防げず、
更に満タンガンの射撃すら無効化。破壊音波の直撃を受けて変身が強制解除されてしまい、4人とはいえばゴーオンジャー、
これまでで最大のピンチ。
トドメの攻撃が4人に迫る時、そこへやってきた早輝がゴーオンイエローに変身。イエローは迫り来る破壊音波を足下に伏せてかわすと、
満タンガンでスピーカーバンキに大ダメージを与える。実は、フルート青年の大事な話とは、公園で気付いたスピーカーバンキの攻略法であった。
一流の音楽家の耳で足下のスピーカーから音が出ていない事に気付いた青年は早輝にそれを伝え、イエローは見事にその弱点を突いたのだった。
「大事な話って、それだけか? 幸せの女神の、前髪は?」
「たくもう。前も、後ろも、毛なんかないよ。みんな、行くよ」
「「「おお!」」」」
「ああ、じゃあ、行くか……」
ゴーオンジャー揃い踏みに主題歌インストがかかり、速攻のダブル合体技でゴーオン。
産業革命したスピーカーの破壊音波に苦戦する炎神王だったが、黒車が右腕に合体。その射撃は音波の壁をぶち破り、
ガンパードガンファイアーにより、スピーカーバンキは爆発四散するのであった。
読唇術の誤解も解けて、無事元の5人に戻るゴーオンジャー。女性キャラ話をやりつつ、赤の性格をうまく出して軽妙に展開。
コミカルとシリアスのバランスが取れてきて、5話・6話は好編となりました。
なお、OPのクレジットを見るまで、てっきり「俺にラブネタをやらせろー」と荒川さんが来襲したのかと思っていた件について、
関係各位にお詫び申し上げます。
次回、5体合体かと思いきや、緑と黒用のボディパーツ登場……?
- ◆GP−07「相棒アミーゴ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇)
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今更ながらOPのキャスト紹介で、名前の所にそれぞれのキャッチが付いている事に気付きました。
SPEED KING:暴走野郎
CYCLOPEDIA:蘊蓄男
SWEET ANGEL:夢見がち
VAGABOND:遊び人
CHASER:ストーカー
という感じでしょうか(おぃ)
……なんか一気に凄く駄目な感じに!
背後に出ている(隠れて読めない)英字は、名乗りの台詞かな?
地下を走る、二つの蛮鬼獣の反応を追うゴーオンジャー。ぎんじろうの中では、ガンパードから軍平に、先週の駄目出し。
すっかり馴染んでいる自由人コンビ(範人×バルカ)に対し、お互いの主張が強い黒と黒車の息は今ひとつ合わない。
前途多難な雰囲気の中、ゴーオンジャーの前で、錆びて崩れ去る東京タワー。
物凄いランドマークを破壊してしまいましたが、どう見ても東京タワー(^^;
そこで蛮鬼獣の反応が二つに分かれ、赤・青・黄と黒・緑の2チームでそれぞれ追う事に。暴走チームの前に現れたのはボンベバンキ。
そしてストーカーチームの前には、巨大な車が姿を見せる。それは炎神の中でも伝説の存在であり、
巨大で力の強い希少なジャイアン族の炎神・キャリゲーター。
津久井教生+ワニ! は完全にネタか(笑) (※かつて『爆竜戦隊アバレンジャー』で、ヤツデンワニという、
凄まじく濃いセミレギュラーを演じていた)
実はキャリゲーターはガイアークを追って独自にヒューマンワールドへやってきたのだが、普段接触のない種族だった為、
炎神達もその存在に戸惑ってしまう。ケガレシアはこの混乱状況を利用し、ガイアークとジャイアン族が手を組んだという偽情報を流し、
まんまと騙されたゴーオンジャーは、キャリゲーターと戦う事に。
緑と黒はバルカとガンパードを巨大化して立ち向かうが、キャリゲーターの圧倒的なパワーの前に全く歯が立たず。一方、
暴走組はボンベバンキを撃破するが、それもケガレシアの策略であった。産業革命したボンベは逃げ出すと見せかけて、
突撃してきた炎神王にアカサビームを噴射。全身が錆びてしまった炎神王は合体を保つ事ができなくり、分離した上に、
錆び付いたキャストの姿に戻ってしまう。優位に立ったボンベは、ジャイアン族とガイアークが手を組む筈が無い、とネタばらし。
慌てて和平交渉を試みる黒と緑だったが、
「先に手を出してきたのは、お主らであろう」
正論過ぎて、ぐうの音も出ません。
ついさっきまで本気で殴りかかってきておいて、「誤解でした、仲良くしようよ☆」とか言われても、
そんな簡単に腹の虫が治まるわけはありません。
「そも、炎神の誇りはどうした」
体内にちっぽけなヒューマンを乗せていなければ戦えないなど、熱いソウルが足りないのだ、
とキャリゲーターは黒と緑の説得を無視して二台を蹴散らすと、なおも立ちはだかる黒車をその巨大なアギトに捉える。
このままでは噛み砕かれる……とガンパードは軍平に脱出を促すが、軍平はそれを拒否して、メットを外す。
「ふざけんな、逃げてたまるか」
「逃げろ! こいつは本気で、俺たちを潰すつもりだ」
「おまえのハンドルを握っているのは俺だ」
「俺の言うことを聞けってんだ!」
「潰されんなら一緒だ! ……俺たちは、相棒だろうが」
ここで、熱い所を見せる軍平。
冒頭の口げんかの際の「ハンドルを握っているのは俺だ」という、どちらかといえば主導権争いの台詞がここで、
一蓮托生のメッセージになる、というのはお見事。
偉そうで我が強くて鼻持ちならないストーカーの、いいタイミングでのフォローにもなりました。
軍平の覚悟に範人&バルカも立ち直り、かなわないまでも必死に、ガンパードを解放させようとキャリゲーターに体当たりを繰り返す。
軍平の言葉、バルカ達の行為に、人と炎神の未知なる繋がりを感じるキャリゲーター。
「こやつらのソウルが……激しく燃えさかっている。なんでござる、この熱さは? 拙者のソウルよりも、熱い熱い。この熱さ、
信じてみるか。人間、拙者も相棒とやらが、欲しくなったでござる」
キャリゲーターはガンパードを解放し、ヒューマンの相棒を認めると、二台を屋根に乗せて発進。
一方、暴走組は変身も解除されて巨大ボンベに追い詰められていたが、そこでやってくるキャリゲーター、バルカ、ガンパード!
3体はガイアークの飛行部隊を蹴散らすと、「今こそ一つになる時ぞ」と、炎神合体。
全ての炎神を繋ぎ合わせる事が出来る伝説のジャイアン族の力を中心に、5つの心が一つになって、今ここにブラボーな巨人が誕生する。
「ガンバルオー、チューンナップ、ゴーオン!」
か、格好悪いな……(笑)
ボンベバンキは炎神王を錆びさせたのと同じ逃げる振り戦法を使うが、頑張王はこれを見事に回避。
必殺「頑張王頑張グランプリ」によってボンベを粉砕する。
……や、炎神王と違って、どう考えても「ガンバルオー」ですが、某元気爆発っぽいし、「頑張王」の方が面白いので、頑張王で(おぃ)
こうしてゴーオンジャーに6体目の炎神と新たな巨大ロボが加わるが、錆びてしまった3体の運命や如何に?
素晴らしく格好悪い頑張王ですが、「全ての炎神を繋ぎ合わせる事が出来る」という台詞からすると、更なる変則合体、
そして六身合体を踏まえたデザインでしょうか。というか、そうだと信じたい。
一通りの要素を揃えつつ、ここまでマイナスの多かった黒話で、改めて人間と炎神の絆を描く、というシリーズとしての構成が秀逸。
同じ、非人間の相棒キャラを声優で立てて戦隊メンバーと組み合わせる、という構造だった『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003)
の失敗をよく踏まえています。
この辺りは東映全体として『仮面ライダー電王』(2007)の成功体験を踏まえている、という要素もあるのかと思いますが、
『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)の路線を継承し、パワーアニマル的存在の個性化を目指した結果、
爆竜を前に出すか人間を前に出すかで迷いが見えて中途半端になってしまった上に、
メイン爆竜の個性を強調する前に次々と爆竜を追加してしまい、人も爆竜も深められないまま進んでしまったのが『アバレンジャー』。
これに対し今作は、最初から炎神をメンバーと等価のキャラクターとしてある意味割り切って扱い、
メンバーと炎神を一対一の関係にして、「相棒」という要素をより前面に押し出し、
早い内にお互いの関係を――それを理解しない存在が理解するというプロセスを通して――再確認する、
というエピソードを持ってくる事で、うまくまとまりました。
この辺りは技術的進歩で、以前よりCGやミニチュアと絡む芝居がしやすくなっている、という部分もあるのかもしれませんが。
ちなみに今回、ワニ+津久井教生が出てきましたが、緑色の相棒がアミーゴキャラというのも『アバレン』と重なっており、
恐らくセルフオマージュ的なものというか、踏まえるに当たって、意図的に重ねたのかな、とは思えます。
會川昇はわけあって一時期苦手にしていたのですが、サブで入ると、実に安定感高い。
- ◆GP−08「最高ノキセキ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇)
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巨大な蛮鬼獣が街を襲撃し、それを見つめる、自動車整備会社の社長・冨士東次郎。
「サーキットが襲われてから、妙なことばっかり起きやがる……」
彼はかつて走輔が所属していたレーシングチームの監督でもあった。
「走輔、おめぇ、本当に死んじまったのか……」
あの爆発以来、行方不明になった走輔を案じている社長だったが、その時、蛮鬼獣と戦う為に目の前を走輔達が走り抜けていく。
「……走輔? て、え、えええーーー?!」
……お世話になっていたレーシングチームの監督が生存を知らない、って、
もしかして初期メンバー3人は社会的に死亡しているのでしょうか。
や、戦いに忙しくてヒーローに酔っていてどこか抜けている走輔が連絡してないだけで、
他の二人はしっかりと身内と身近な人に連絡している気はしますが。
気をつけないと、いつの間にか葬式出されて、戸籍とか失うぞ!
ただでさえ、住所不定系ヒーローなんだし。
まあ最悪、ボンパーさんが悪魔科学で戸籍の一つや二つぐらいは捏造してくれそうですが。
巨大蛮鬼獣・ボーリングバンキに立ち向かおうとするゴーオンジャーだが、キャリゲーターは充電中で出撃不能。
3体の錆びたキャストを取り出すが、なんとソウルを入れても巨大化しない。
困惑する5人の前でなぜか頭を地面につけて眠り始めるボーリングバンキだったが、そこにガイアーク3大臣が姿を見せる。
ケガレシアには一度会っていますが、ヨゴシュタイン、キタネイダス、とは初お目見え。
3大臣は宣戦布告と共に、5人と直接対決。幹部の力を見せつけ、5人を圧倒。ゴーオンジャーはダブル必殺武器を放つが、
三大臣バリアで防がれ、三大臣合体光線で吹き飛ばされて、撤退。ここに初の、正面からの完全敗北に見舞われるのであった。
比較的コミカルに描かれていた3大臣ですが、意外や真っ当に強かった!
特にキタネイダス、あの着ぐるみであんなに動けるとは。
ガイアークはヒューマンワールド征服のプロセスとして、一種のテラフォーミングが必要でありそれを目的としているので、
幹部があまり前線に押し出してこなかったのですが、戦闘も出来る所を見せました。……まあそれでも、
炎神が本気出したらやられるというか、その敗戦もあるので、正面攻撃しないで間接的な戦略を展開しているのでしょうが。
そういえば3大臣はジャンル分けで同格っぽいのですが、ガイアークのボスは別に存在しているのか、
それともマシンワールドで既にお亡くなりになっているのか、この辺りは謎。基本的にこの人達、敗残者だと思うと、
改めてヒューマンワールドにとっていい迷惑です。
このままでは蛮鬼獣を止める事ができない……悩むゴーオンジャーだったが、蘊蓄が、炎神キャストの丁寧な錆取りを思いつく。
ボンベバンキの錆は炎神にとっては一種の病気のようなもので、丁寧にケアする事で治療可能なのだ。しかし、
細かい作業が苦手な走輔はスピードルを乱暴に磨き、拭いた側から錆が再発してしまう。
イライラした挙げ句、瞼を強引に広げて涙を流そうとする暴走王子。こぼれた涙で映画のように奇跡的に治るのでは?
と奇天烈な譫言を口にしてスピードルに涙の滴をこぼすが、勿論治るわけはなく、皆の反応も氷点下に。
千歩譲っても、このメンバーで涙で癒やせそうなのは、そこのスイーツ天使ぐらいかと思われます。その天使も、
凄い冷たい反応ですが!
暴走王子がレーサー時代に、何かにつけて「奇跡」「奇跡」と口にする事から、「奇跡の江角」と呼ばれていた事を思い出す、
連と早輝。
ヒーローに酔っている節のあった走輔ですが、もともとヒーロー願望、ミラクル願望の強い男であった事が判明。
「スピードル、俺たちはヒーローなんだ。キセキぐらい起こせるよな? な?」
「走輔……奇跡は、もう、起きない……」
なぜか、叫んで走り去る走輔。
「俺だけでもキセキを起こしてやる。俺だけで、ガイアークの奴等を倒してやる」
脳細胞が沸騰して蛮鬼獣に単独で突貫しようとする走輔だったが、その姿を見た社長に声をかけられ、命拾い。
「おまえ……あの練習走行の日、死んじまったんじゃなかったんだな」
「キセキが、起きたんですよ」
「奇跡?」
「はい。俺、信じてもらえないかもですけど、ヒーローに選ばれたんです。俺は、キセキを起こす男なんです。街も、俺が守ります!」
「変わんねぇな、おめえも」
レーサー時代から、やれ奇跡のコーナリングだ、やれ奇跡の追い上げだ、と無茶な走りを繰り返していた走輔……その結果、
奇跡的に3位入賞したじゃないですか、と主張する走輔に対し、
「いや、あれは、奇跡なんかじゃないぞ」
「……え?」
3位入賞は、走輔の走りをサポートするチームのスタッフやメカニックの、地道な働きがあってこそのもの。
それは一人のヒーローが起こした奇跡ではなく、様々な人々の努力の結果に過ぎない、と諭す社長。
「ヒーローと云ったって、一人じゃねえんだろ?」
「……スピードル!」
仲間、そして掛け替えのない相棒が居て初めて、自分はゴーオンジャーとして戦える事に改めて気付いた走輔はスピードルの元へと駆け戻るが、
スピードルもまた、ぼろぼろの体で走輔の元へと必死に向かっていた。
「なにやってんだスピードル! ……その体で」
道路を横断中に、哀れタイヤの下敷きになりかけたスピードルを救う走輔。
「おまえを追っかけてきたに決まってるだろ、相棒」
「……その為に、あんな危ない真似を? ……俺、わかったよ、スピードル。俺はもう、奇跡なんかに頼らない。おまえの言うとおり、
奇跡なんて起きないんだ。だから……」
「違う、走輔。キセキは起きるさ。でも、最高のキセキは、とっくに起きたんだ、そうだろう?」
「とっくに? 最高の、奇跡?」
「俺とおまえが出会って、相棒になった。それが最高のキセキだ。それ以上は、ないぜ」
ヒーローが自分の立場を見つめ直して地道な努力の必要性を学びつつ、ヒーロー物として奇跡を否定しない、というのはいいバランス。
わかりやすい赤同士ゆえに後回しになっていた走輔とスピードルの関係も、うまく収まりました。
一方、蛮鬼獣の威力偵察に向かった黒と緑は、眠っているように見えるボーリングバンキが、実は地底を掘り進んでいる事を知る。
地球奥深くのマグマ層を掘り当て地表に噴出させる事で、大地・大気・水の全てを一気に汚染する事こそが、ガイアークの計画だったのだ。
このままにはしておけない、と夜襲を敢行する黒と緑だったが、その前にガイアーク雑魚と3大臣が立ちはだかる……。
走輔が監督の会社で懸命にスピードルを磨く中、シーンの都合により夜通しいたぶられる黒と緑。夜が明けて、二人にトドメが迫る時、
青と黄が駆けつける。
「錆落としが終わったからね。無茶な仲間を助けに来た」
だが、まだ走輔の姿は見えない。
というかよく考えると、喧嘩して家を飛び出してそのまんま、みたいな状態(笑) おまけにスピードルも行方不明。だが……
「あいつは戻ってくる! すぐに」
「そうっすね」
「そうだね」
「うん。僕も信じるよ」
ここで走輔と最も角突き合わせてきた軍平が真っ先に走輔を信じる言葉を口にする事で、人間同士の絆もフォロー。
4人は時間稼ぎをはかり、黒と緑は充電途中のキャリゲーターを召喚して、頑張王を起動。
穴掘りを一時中断したボーリングバンキとの戦闘に突入するが、エネルギーが充分でない所にマグマ攻撃を受けて、大苦戦に陥る。一方、
3大臣の足止めをはかる青と黄も追い詰められ、変身解除。
赤の成長話ではあるのですが、最初から真面目に磨かなかったために、仲間、えらいピンチに(^^;
「本日よりガイアーク元年なりぃ!」
だがヨゴシュタインが歓喜の咆吼をあげたその時、真打ち登場、スピードキングが駆けつける!
「マッハ全開で飛んできたぜ」
スピードルを磨き上げた走輔はゴーオンレッドに変身し、青と黄とともに、いきなりハイウェイバスター。
ソウル装填3連発により3大臣バリアを突き破ると、3大臣(バリア破れたけどダメージはほぼ0)を無視して、炎神王に合体。
「だいじょぶか、頑張王」
「待ってたぜ、炎神王」
「へへっ、じゃあ行くぜ」
ここで流れ出す主題歌。
今、5人のヒューマンと6体の炎神の心が一つに重なる!
「勇気満タン、ハイウェイスター! 炎神スピードルだぜ!」
「マッハ全開! ゴーオンレッド!」
・
「粋でいなせな安全運転、炎神バスオンでぃ!」
「ズバリ正解! ゴーオンブルー!」
・
「愛嬌と度胸のタフガール、炎神ベアールVや!」
「スマイル満開! ゴーオンイエロー!」
・
「きままなドリーマー! 炎神バルカだよ〜」
「ドキドキ愉快! ゴーオングリーン!」
・
「ハードな緊急出動、炎神ガンパードだ!」
「ダッシュ豪快! ゴーオンブラック!」
・
「ジャイアントな千両役者、拙者炎神キャリゲーター〜」
・
「正義のロードを突き進む!」
「「「「「「炎神戦隊、ゴー・オンジャー!」」」」」
そしてロボットは、可動域の限界に挑戦する!(笑)
人と炎神と、合わせて戦隊という本作のコンセプトを、これ以上なく綺麗に描き出した名シーン。
というか現時点で、最終盤のハードルが物凄く上がった(笑)
揃い踏みした二体の巨大ロボは、ダブル必殺技でボーリングバンキを瞬殺。
ここにガイアークのマグマ大作戦は失敗に終わるのであった。
「それでもなんだかんだ……キセキってやつは、起きるもんなんだなぁ、走輔」
二体の勇姿を見上げる社長の台詞で、締め。
社長役は、真夏竜(ウルトラマンレオ!)。あーなんか、モーターチームの監督に居そう! という好キャストとなりました。
7話に続き、人間と炎神の絆を描いて今作のテーマとコンセプトを強く押し出した、良エピソード。
ヒーローに酔っ払い気味だった赤が、自分の居場所を見つめ直す、という物語もうまく入りました。非常に滑り出し順調な今作ですが、
そろそろスポットを当ててほしい、というキャラに焦点が合うタイミングが良く、見ていて気持ちが良い。
ここまで非常に構成が綺麗にまとまっており、今後も順調な進行を期待したいです。
- ◆GP−09「明日ガアルサ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希)
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買い物に出かけた早輝と範人は、人々を襲うレンズバンキに遭遇。レンズバンキの特殊能力により、
ヒューマンワールドとは別の異世界に飛ばされてしまう。
と、マシンワールドとヒューマンワールド以外に9つの世界、合計11の並行世界が存在している、
という『ゴーオンジャー』の基本世界観が、蛮鬼獣の特殊能力を交えて初公開。
二人が飛ばされたのは、スクラップだらけの世界、ジャンクワールド。そこでは手元のベアールVとバルカの炎神ソウルとの会話は可能だが、
ヒューマンワールドとは通信不能で、変身する事もできない。自分のミスと落ち込む早輝を「ま、なんとかなるよ」と元気づける範人。
いつものお気楽極楽ではなく、早輝が落ち込んでいるの見て気遣いを見せる、と範人のポイントが大幅アップ。
また、早輝がケーキ大好きで、ケーキ屋を目指してケーキの専門学校に通っていた、という事が判明。
「でも、先生に味音痴、って言われて、今は学校行ってない。わかってるの、私、こうなるといいな、って思ったことは、
だいたいうまく行かないんだ。今も……」
「何言ってんの、人間最後には、うまく行くんだよ。明日は明日の風が吹く。諦めなきゃ、何とかなるよ」
前回は走輔の背景説明でもありましたが、2巡目に入って徐々に、メンバーの背景を見せて行く様子。
範人はまあずっと、謎の駄目人間でもいいと思いますが(笑)
地球環境を汚染するのではなく人間を異世界へ送り込む……これまでと毛色の違ったガイアークの作戦の目的は、
ジャンクワールドのエナジーで人間の肉体をスクラップに変え、ウガッツ(雑魚兵士)に改造しようという、兵力補強計画であった。
……という事は、スクラップワールドはガイアークに支配されてる? それとも、世界が世界だけに、
誰が住んでいるわけでもなく放置された特殊な次元なのでしょうか。
さらわれた人々がウガッツに改造されている光景を目撃した範人と早輝。何とか、彼等を助けなければならない。
「でも、変身できないよ……」
「それでもさ、僕たち、ゴーオンジャーじゃん」
割と男らしい所を見せる範人、というか範人は、他に頼れる人(連とか軍平とか)が居るとお任せだけど、
そうでない場合は自分でやるという、良くも悪くも要領のいいタイプという事な模様。それにしても物凄いポイント急上昇ですが、
あまり無責任キャラ路線を強くしすぎるのもまずい、という判断か。
二人が生身で突貫して人々を助ける一方、ヒューマンワールドでは連がレンズバンキへの対策を閃き、
パネルを使ったトリックでレンズの動きを封じると、ダイヤルを巻き戻してフィルムを強引に排出させる事で、
人々をジャンクワールドからの救出に成功。五人揃ったゴーオンジャー、主題歌から名乗り。
「よーし、スーパーハイウェイバスターやってみようよ!」
唐突に五つの武器を合わせ、ロングバレルになったハイウェイバスターによる、五人合体必殺技が炸裂
(打ち出されるソウルが分裂して怖い)。レンズは産業革命し、本日もダブルロボ。
フィルム攻撃に苦戦する二大ロボだったが逆光を用いて反撃し、レンズバンキは迫る二大ロボの必殺技を最後の瞬間まで激写しながら、
爆死するのであった。
レンズバンキの死亡とともに、顔だけ改造されていた人達も何故か元に戻って大団円。
ゴーオンジャーの野郎共は早輝の作った特製ケーキに怯えるが、食べてみたら問題無く美味で、和やかに終了……てあれ、
ケーキ学校の先生と口と性格が悪かっただけ?
しかし……
「それにしても、レンズバンキが最後に写した写真が、大変な騒ぎを巻き起こすのは、また次の話だぜ!」
と、前回盛り上げすぎたので、さらっと単発話……かと思いきや、引きネタに。話としては、
早輝の背景が明かされつつ範人の株価が大幅に上昇し、相対的に、早輝のケーキから逃げる残り3人の株価が下落。
- ◆GP−10「発車オーライ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希)
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炎神キャストの研究・改良に熱中している連に代わり、前回のケーキで調理スキルを見せた早輝が朝食を担当する事になるが、
出てきたのは大量の砂糖をぶち込んだ、オムライスのチョコレートがけ。早輝がうまく作れるのは甘い物だけ……
というより全てを甘くしてしまう為に、「味音痴」の烙印を押されていたのだった。
今回は、連がカーチームのメカニック志望だった事が判明……て、2話の時に語られていたような気もするし、そうでない気もするし、
ちょっと覚えていません(^^; そして炎神は根っこはマシンという事か、外から改造可能な事も判明。
一方ガイアークでは、キタネイダスが一つの謀略を練っていた。
「虎は死して皮を残し、レンズは死して情報を残すぞよ」
爆死寸前のレンズバンキが撮影した二大ロボットの写真……それこそキタネイダスが秘めていた、二段構えの作戦だったのである。
3大臣は協力してスペシャル蛮鬼獣を作成し、いきなり産業革命した巨大蛮鬼獣・カガミバンキが街に出現する。
Wロボットで出撃したゴーオンジャーは、何故か8話の燃え名乗りをもう一度。勇躍カガミバンキに挑みかかるが、なんと、
カガミバンキはその巨大ミラーで、頑張王の両腕の能力(バルカとガンパード)をコピーする。
レンズバンキの残した二大ロボの情報を元にしたコピー能力。これこそがカガミバンキの最大の武器だったのだ。
ガンパードガンとバルカの旋風攻撃を受けた頑張王は敗北・分離。続けてゴーオンソードもコピーされ、
ミラーエフェクトによって炎神王さえも敗れてしまう。カガミバンキはエネルギー切れで撤退するが、10話にして、二大ロボット完敗。
頑張王の前振りぶりが、酷すぎる(笑)
「いつかこういう時も、来るんじゃないかと思ってたっす」
新しいフォーメーションを練っていたという連の主導で、カガミバンキを打破すべく、バルカ、ガンパード、
キャリゲーターの改造作業を進める事に。ガイアークでは3大臣が余裕で酒盛りを開始し、酔っ払った勢いで飛行部隊発進(笑)
走輔と早輝は、街を守る為にスピードル、バスオン、ベアールVで出撃する。
割と頻繁に、大被害にあうヒューマンワールド。
大攻勢は第1話だけ、というのが大体のお約束ですが、ガイアークはどうも環境汚染後の侵略活動の為に、
機動部隊を温存しているっぽい。
3体の炎神キャストは飛行部隊を壊滅させるが、そこに充電完了したカガミバンキが出現し、
3大臣パワーによって巨大カガミバンキへとパワーアップ。3大臣パワーを振るうカガミバンキはもう、
コピー能力関係なく炎神王より強いような(笑)
炎神グランプリを破られて合体分離してしまう炎神王だったが、そこへ、改良を完了した3体の炎神と3人の仲間が駆けつける。
「G6フォーメーション! 炎神合体!」
新フォーメーションとシステムにより、遂に発動する六身合体、その名を炎神王G6!
炎神王にバルカとガンパードを同時に合体する五身合体は何故やらないのか問題がありましたが、
六身合体のベースがそれだったからという、身も蓋もない事実が判明してしまいました(笑) というか六身合体、
ほぼ炎神王に下駄履かせただけ……って、キャリゲーターは、「ゲタ」も兼ねていたのか!
炎神王G6は、G6キックで蛮鬼獣の鏡を粉砕。コピー能力を無効化すると圧倒的なパワーでカガミバンキを押しまくり、
最後は必殺の炎神一斉射撃・G6グランプリにて撃破する。
頑張王があんなだったので登場の待たれていた六身合体でしたが、割とぞんざいな感じに(^^; 構成としては予定通りなのでしょうが、
8話でちょっと盛り上げすぎました。綺麗にやる事やりすぎて、続けてのパワーアップ編は、見ているこちらも正直ノリにくかった(^^;
次回、
「なに、軍平が逮捕された?!」
うん、まあ、いつかそんな日が来そうな気はしていた。
→〔その3へ続く〕
(2013年12月11日)
(2017年4月9日 改訂)
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