■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ9■


“さあ Getup! チャンスだ
wow ジャッジメント! 決めるぜ
特捜戦隊デカレンジャー”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』 感想の、まとめ9(Episode.41〜Episode.45)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ10〕 ・  〔総括&構成分析〕


◆Episode.41「トリック・ルーム」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:武上純希)
 宇宙の殺し屋・アサシン星人ジンギが、宇宙マフィアであるギラーク星人ドン・ビアンコの命を狙っているというタレコミ情報を得たデカレンジャーは、 その身柄を確保しようとする。手分けして捜索中、メカ人間に取り囲まれるジンギを発見するデカグリーン。だが、 直前のサーチでは存在していた筈のメカ人間とドン・ビアンコは、道を回り込んで目を離した一瞬の間に、影も残さず消滅していた。
 「僕の秘技は、芸術だからね」
 ジンギは、自らを殺し屋ではなく、「全てを消すイレイザー」とうそぶく、中華系ヒットマン。 これまで数々の暗殺事件への関与を疑われながら、被害者全てが文字通りに消失してしまう為に、 宇宙警察も逮捕できずにいた凄腕の消し屋であった。
 「幾ら凄い技でも、人殺しの技なんて……くだらないんだよ!」
 「今なんつった? くだらないだと?!」
 自分の秘技に絶対の自信とプライドを持つジンギは激怒し、デカグリーンを滅多打ち。……にしてもセンちゃん、 幾らなんでも迂闊すぎる単独行動。
 ジンギの攻撃で気を失ったセンちゃんは、窓も出口もない暗い密室の中で目を覚ます。SPライセンスを破壊されて変身もできず、 自分がどこに閉じ込められたのかわからないセンちゃんに、迫り来る壁。なんとそこは、 中の人間をぺったんこに押しつぶす、仕掛け部屋だったのだ。唯一、バンとの通信回路だけがギリギリ生きていた事から外部と連絡が繋がり、 仲間達はセンちゃんを助け出す為に、ジンギの居場所を突き止めようと動きだす。
 「あの時に似てる……」
 子供時代に、田舎で古井戸に落ちた経験を思い出すセンちゃん。
 「あれ以来俺は、暗くて狭い場所が苦手になった……いや、大丈夫だ、すぐにみんなが、助けにきてくれる」
 だが、ジンギの口を割らす為には、その秘技を打ち破らなければならないかもしれない。センちゃんは闇の中で、 ジンギの秘技の謎を暴こうと、考えを巡らせる……。
 その頃デカレンジャーは、ジンギにドン・ビアンコ暗殺を依頼した宇宙マフィア、 ザブン星人ドン・ブラコ(やる気の無い名前)の居場所を突き止めていたが、一足遅く、暗殺の報酬交渉で揉めたブラコは、 ジンギによって消滅させられていた。逃亡するジンギの姿を確認したデカレンジャーは4人がジンギを追い、 センちゃんとの通信回路が生きているバンが、ジンギの秘技の正体を暴く手伝いとしてそこに残る事に。
 バンの説明を受けて、暗闇の中に部屋の情景をシミュレートするセンちゃん……と面白い演出。 バンの手伝いでセンちゃんが頭脳労働する一方、残り4人はジンギと戦い、こちらは力の入ったアクションで対比を出すという構成。
 暗闇と迫る壁の重圧に耐えながら思考するセンちゃんだったが、壁に足先が触れたのがきっかけで、過去のトラウマに苛まれる。
 「助けて、助けて、助けてぇー!」
 「ばかやろーーー」
 オーバーラップする、古井戸から自分を助けてくれた巡査と、通信機からのバンの声。
 「いつもみたいに、逆立ちしてるのか!」
 「お巡りさん……バン」
 バンの叱咤を受けたセンちゃん、シンキングポーズ。
 「……ブランデーがあるんだ。バン、バーカウンターとか、酒を並べてある棚はないのか?」
 食器棚の間の空白……何か重い棚を置いた跡……部屋から消えているいくつか不自然なもの……照明スタンド…… 室内から背の高い物が消えているが、四隅の観葉植物はそのまま……つまり、ジンギを中心にした円の範囲――。
 「みんな、伏せろーーー!!」
 センちゃんの辿り着いた回答を元にバンからの通信を受け、ジンギの放った秘技を回避する4人。 ジンギの秘技……それは普段は隠している弁髪状の房を回転させ、触れたもの全てを異次元空間へ飛ばすという攻撃であった。その為、 ジンギの頭の高さ以下のものは部屋の中に残り、人間その他、背の高いものは消失していたのである。
 技を見切った4人はSWATモードを発動してジンギを追い詰め、センちゃんを捕らえた場所を白状させるが、 ジンギは怪重機アルティメットイビル2を召喚。ブレイクがデカバイクを出撃させ、それに立ち向かう。
 囚われのセンちゃんの元に急いだバンは、圧殺寸前、センちゃん救出に成功。
 「まさかバンに叱られるとはねぇ」
 そして、マーーーフィーーー!
 何話ぶりだ(笑)
 特別マーフィーが好きなわけではないのですが、あまりにあまりなフェードアウトぶりに、なんだか不憫で。
 マーフィーから新しいSPライセンスを受け取ったセンちゃんは変身。デカバイクが奮闘してアルティメットイビル2を足止めしている所に、 5人揃った事で、デカウイングロボ現着。
 「後は頼みましたよ、先輩達」
 アルティメットイビル2を掴んで大気圏突破していくデカウロボを寂しく見送るデカブレイク。
 スワンさん、お願いだから、バイクを、何とかしてあげて下さい……。
 「アサシン星人ジンギ、殺し屋として1000人以上のエイリアンを暗殺した罪で、ジャッジメント!」
 今回かなり、罪状がファジー(笑)
 というか、証拠は限りなく無い。
 そもそも「物的証拠が無くて捕まえられないという噂の消し屋」だったわけですが(あえて台詞で「噂」と言わせていたのは、 ここのエクスキューズと思われます)、辺境ルールの前には無力にすぎませんでした。
 「これにて一件コンプリート、この世に解けない謎はない」
 ジンギは宇宙で汚い花火となり、事件解決。デカルームで一息つきながら、スワンさんに過去の思い出、 警察官を志した理由を語るセンちゃん。
 自分を励まし助けてくれたお巡りさんに憧れて……どうして、デリートデカになってしまったのか(笑)
 思いがけず回想とかぶってしまったバンは、センちゃんの理想の警察官……? からかわれるセンちゃん、それにかこつけて、 いちゃつくボスとスワンさん、でオチ。
 分割構造としては面白かったのですが、解明した秘技の正体による盛り上がりは今ひとつ。……うーんまあ、 あんなものかという気はしますし、出来として及第点ではあるのですが。構成は面白かっただけに、出来ればもう一押し欲しかった。
 次回、まさかの残念妹登場。

◆Episode.42「スカル・トーキング」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久)
 採石場に謎の生物が出現し、楽しそうに爆発で飛ぶ現場の人達。
 そこで暴れていたのはアリエナイザーではなく、宇宙生物ブラウゴール。
 デカレンジャーは、高い所でSWAT名乗り。ロープで下りながら射撃をし、火薬をバックに飛び回り、と今回はアクション盛りめ。
 坂本監督は前半、あの長いフル名乗りを割と入れていましたが、今回もちょっと懐かしい感じの高い所での名乗りを入れているのは、 単なる趣味か、それとも意識的なものなのか。番組全体としてのバランスも考慮しているのかもしれませんが、 たまに高い所で名乗ってくれると、やはり、気持ちいい(笑)
 ブラウゴールはDリボルバー一斉射撃でも撃破しきれず、変な泡による反撃で装備に障害の出たデカレンジャーは、 マーフィーを召喚してみる。
 かれこれ……20話ぶりのDバズーカ(ミーメのバーチャル空間除く)。
 前回今回と、急な出番で殉職の予感すら漂うマーフィーの変形したDバズーカが火を噴くが、ブラウゴール、ひらりと回避。 光線技で反撃してきたブラウゴールは、その爆風を隠れ蓑に、地中へ逃亡してしまう。
 「いったいなんなんだあいつ……」
 個人的には、反撃を受けた後のシーンで、爆風が晴れたらDバズーカもといマーフィーの姿が無かったのが気になります!
 そこに別行動していたテツから、採石現場で手がかりを発見したという連絡が入る。テツが見つけたのは、卵の殻。そして、 その卵に押し潰されるような形で土中に埋まっていた、エイリアンのものと思われる骨。 果たしてこの骨は何者のものなのか……ジャスミンがエスパー能力を使ってみるがサボテンのようなシルエットしか浮かばず、 スワンさんが復元を行う事に。
 巨大ロボの開発から、法医学的捜査までこなす女、白鳥スワン。宇宙警察は早くボスを(以下略)。
 ブラウゴールは惑星を喰らう凶暴な宇宙生物で、グロンチウムという鉱石から放射されるエネルギーで成長するという性質を持っている。 しかし地球上にはグロンチウムは存在せず、あれほど急激に成長している筈がない……もしかしたら、 地球にグロンチウムを含んだ隕石が近づいているのかもしれない。実は最近、ブラウゴールが出現した惑星に巨大隕石が激突する、 という事件が続いているのであった。それは偶然なのか、はたまた何か因果関係があるのか、 隕石に関する情報を得る為バンとホージーは中央天文台のモンテーン博士の元を訪れる。
 仮に巨大な隕石が地球に接近しているとしたら、普通にあちこちから情報が上がってくると思うのですが、それがないという事は、 やはりこの地球は植民地化していて、宇宙関連の一切合切は、宗主惑星の管理下にあるのだろうなぁ。 中央天文台も地球人以外に仕切られていますし。
 モンテーン博士より、地球への隕石の接近・衝突は無いというお墨付きを得たバンとホージーの帰り道、 パトカーの前に突然割り込んでくる、ピザ屋のバイク。
 「やっと捕まえた。もう逃がさないんだから!」
 「相棒、まさか、ピザ代踏み倒してもしたのか?!」
 「違う! 妹だ」
 「戸増美和です。兄が、オールウェイズお世話になってます」
 実は結婚を控えた美和が相手方の家族と結納代わりの食事会を行う事になっていたのだが、 出席する筈だったホージーは事件の捜査に集中する為、携帯電話の電源すら切っていたのである。
 職業柄、仕事優先になるのは仕方ないよなぁとホージーさんの行動に納得させつつ、兄と妹、 二人きりの家族という事で妹さんの気持ちもわかる、と巧いバランス。まあそのバランスを取る為に、 設定の為の設定になってしまった感はありますが、これは致し方ないところか。センちゃんは妹とか弟とか3人ぐらい居そうだけど、 ホージーさんは兄分まるで感じないし、全てが急という気はする(笑)
 あくまで捜査優先というホージーに妹は怒って走り去っていき、出席を勧めるバンだったが、 ホージーはそれを冷たくあしらう。少々険悪な雰囲気で2人がデカベースに戻ると、スワンの復元作業により、衝撃の事実が判明していた。
 謎の異星人骨の正体は、モンテーン博士だったのである。
 既に博士は殺害されており、天文台に居たのは博士になりすました偽物だったのだ。 中央天文台から宇宙へ向けて謎の電波が発信されているのが確認され、それに呼び寄せられるように迫る巨大隕石。 そして近づく隕石の影響で急速に巨大化したブラウゴールが街へ出現する。5人は中央天文台へ向かい、 ブレイクはデカバイクロボで出動。年末を睨んだテコ入れタイムか、頑張って戦うデカバイクロボ。やはりこれは、 前々回の平手打ちによりテツがレベルアップしているのか。
 出撃前、わずかに時計を気にするホージー。
 「本当は行きたいんだろ、相棒」
 「いい加減にしろ」
 「そっくり返すぜ!」
 5人は中央天文台に駆けつけ、モンテーン博士になりすましていたアリエナイザー、スマスリーナ星人ニカレーダがその正体を現す。 ニカレーダはグロンチウムを大量に含んだ隕石を人為的に惑星に誘導する事で、 卵からブラウゴールを育てて生物兵器として売りさばいているという、大がかりかつはた迷惑なブリーダーであった。 隕石の接近を誤魔化しつつ誘導電波を放つ為に、モンテーン博士になりすまして中央天文台を利用していたのである。
 デカレンジャーはSWAT装着し、ニカレーダはメカ人間を召喚。なんだかんだで気のせいているデカブルーは率先して突撃し、 変な大の字ジャンプを披露(笑)
 桃「なんか今日のホージーさん、凄くない?」
 黄「んー、すっごいですねぇ」
 赤「そうだ、もたもたしてる暇ねえんだ」
 緑「ん、どういう事?」
 赤「相棒、一気に行くぜ!」
 青「相棒って言うな」
 前回今回と、バンと誰かのエピソードなのも、終盤に向けた意図的なものでしょうか。
 ダブルリボルバーショットにより、ニカレーダの手にしていた隕石誘導装置は破壊され、 軌道を変えて地球激突コースから外れていく隕石。
 「スマスリーナ星人ニカレーダ、殺人及び危険指定生物繁殖条例違反にまつわる、7つの星を滅亡させた罪で、ジャッジメント!」
 当然のようにデリート許可が下り、珍しく自分からアブレラさんとの繋がりを口にしたアリエナイザーですが、 特に気にせずその場でデリート執行。5人はデカロボでデカバロボの救援に駆けつけ、お久しぶりにスデカロボ発動。
 久々に見ると…………格好悪い(笑)
 スデカロボはガトリングパンチからダイナマイトアッパーでブラウゴールを撃破し、これにて一件コンプリート……時刻は、4:55。
 「本日はこれで、お開きという事で」
 「駄目だこれで終わるなんて!」
 「ん?」
 「行くぜ相棒!」
 バンは強引にスデカロボを食事会のレストランへと向かわせるが、既に無人……と思いきや、妹と相手の家族は、 外でホージーを待っており、無事に挨拶できるホージー。
 「いい相棒さんが居てよかったね」
 「相棒って言うな」
 と、妹相手にいつものやり取りで、丸く収まりました。
 はいいとして、
 「よっ、おにいちゃぁーん!」
 「スーパークール」
 「相棒、相棒!」
 職場の巨大ロボを私用で使い、高い所から囃し立てる同僚5人に、向こうの家族、どん引き。 こ、この嫁をいびったりしようものなら、私達一家まとめて、いや、地域一帯、消される?! みたいな感じで、戦慄しています。
 ナレーション「ホージーとバンの友情に支えられて、地球の危機は救われたかに見えた。だが――」
 闇の中、街を見下ろすエージェント・アブレラ。
 「あれで終わりだと思うな。卵は一つではないのだ。そしてあの時、莫大なエネルギーが地底に流れ込んだのを知らないだろう。 本当の恐怖は、これからやって来るぞ。ふふふふふははははは、ははははははははははは……!」
 珍しくアリエナイザーがアブレラさんの名前を口にしたと思ったら、更に珍しく、アブレラさん、悪の黒幕のような引き。
 爆散したブラウゴールのエネルギーを吸収し、地底で蠢く、巨大なブラウゴール。果たして、地球の運命や如何に?!
 全体的にテンポ良く進んだ中、ブラウゴールと隕石のダブル脅威にホージーさんの事情まで付けた結果、隕石の存在感が薄い、 というのが今回の欠点だったのですが、次回が本番だった模様。
 相棒ネタもまさかの前後編で、次回、殉職するのは誰だ?!  ……しかし、バンとホージーは、コンビ立ち上げの3−4話が、シリーズ通してもかなり出来の悪いエピソードだったのは、 本当に勿体ない(^^; あそこでもっと巧く噛み合っていれば、今回みたいなノリも、もう少し早くから持ち込めたと思うのですが。 そういう点では、途中参加の横手美智子がバンを立て直してくれたのは、シリーズとして大きな分岐点だったな、と。

◆Episode.43「メテオ・カタストロフ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久)
 非番の日、結婚を控えた妹と買い物中のホージー。何か奇妙な声を聞いた気がしてデカベースへ連絡を取ると、 横から通信装置をかっさらわれる。
 「伴番さんも来て下さいね、あたしの結婚式」
 「え?! 呼んでくれるの?!」
 「勿論ですよ。ボスや他の皆さんも是非」
 結婚式場にボス、は凄い絵になりそうです……(笑)
 ホージーが通信を切断した後デカ部屋では、ホージーさんは結婚式で絶対泣く、で全会一致。
 ……うんまあ、泣くね。
 「お兄ちゃん、どうして伴番さんにきつくあたるの? 楽しそうでいい人じゃない」
 「知ってるだろ。俺は昔から、お調子者が嫌いなんだ」
 閃きを頼りに後先考えずに無鉄砲に突っ走るバン……命が幾つあっても足りないそのやり方は、とてもプロとは呼べない、 と久々に切って捨てるホージー。
 「でも仲間なんでしょ?」
 「俺はそう長くあいつの仲間じゃいられない気がする」
 「え?」
 「なんとなくな」
 怪しい電波が探知され、出動したメンバーはホージーと合流。何故か現場に向かった5人の前で仁王立ちする足のカットだったので、 ここで新たな敵でも出てくるのかと思ったら、ホージーさんでした。そして揃った6人の前に姿を見せるのは、コウモリの羽ばたき。
 「ごきげんよう諸君」
 「エージェント・アブレラ!」
 「覚えていてくれて光栄だよ、可愛いこちゃん」
 いきなりのナンパ。
 ウメコは変な生き物にモテるけど、ジャスミンはアリエナイザーにモテるのか。
 「怪電波を出しているのはおまえか?!」
 「いーや。君たちに大宇宙の、ある伝説を教えに来たのさ」
 思わせぶりな事を語った所で地下から出現する、巨大なブラウゴール。前回ラストにちらっと登場したもう一匹のブラウゴールは、 前回暴れたものより成長しているという事か、口が二つになっていたりするデザインが秀逸。
 「もう一匹居たのさ――そして今の鳴き声が怪電波の元」
 ブラウゴールの鳴き声は、餌であるグロンチウムを含んだ隕石を地球に向けて呼び寄せる。前回、 デカレンジャーの活躍によって軌道を変えた筈の隕石は再び地球に接近・激突し、 その際に生じた莫大なエネルギーが地底で眠るブラウゴールを大量に繁殖させる……。
 「地球は全滅するだろうが、私はブラウゴールを売りまくって大もうけさ。ははははは」
 どうやら度重なる宇宙警察の妨害が仕事に差し支えてきたアブレラさん、長期的にコツコツ稼ぐのを止め、 短期的な投資で一気に利益を稼ぐ方針に変更した模様。……商人としては、赤ランプが点り始めました。
 そんなアブレラさんですが相変わらず、手先の動きと台詞回しで格好良く見せていて、素晴らしい。あと今更気付いたけど、 マントの下がウルトラマン配色。赤と銀の分量は逆だけど。
 アブレラは高笑いと共に姿を消し、ブラウゴールを止めるべく、スデカロボがビルドアップ。 前回ブラウゴールを星へ還したガトリングパンチからダイナマイトアッパーのコンボを直撃させるが、 より成長したブラウゴールには通用せず、叩き伏せられた上に地底への逃亡を許してしまう。
 ブラウゴールの呼び声により急速に軌道を変えた隕石は既に地球に近づきすぎており、 もはやブラウゴールを倒してでも隕石の地球への衝突を止める事はできない。このままでアブレラの目論み通り、 地球はブラウゴールの養殖場になってしまう。
 「でも、隕石の衝突を阻止する方法は、ありますよね?」
 「…………一つだけあるわ」
 それは、至近距離からのデカウイングキャノンによる砲撃。その破壊力なら巨大隕石を宇宙空間で破壊する事が可能だが、 一歩間違えればデカウイングロボが隕石と衝突して粉微塵となる、極めて危険な作戦であった。
 あまりの危険性に、珍しく苦い表情で言いよどむスワンさん。そのスワンに、ホージーが問いかける。
 「スワンさん、デカウイングロボを1人で発進させる事は可能ですか?」
 「……ええ。オートコンバインモードを設定すれば」
 「ボス、俺が行きます」
 デカウイングキャノンの射撃オペレーションに最も精通を自負するホージーが、この決死の作戦に名乗りをあげる。
 「俺も行きますボス!」
 「俺1人でいい」
 バンも加わろうとするが止められ、結局、隕石破壊作戦はホージー単独、残りのメンバーで、地球で暴れるブラウゴールに挑む事になる。
 デカウイングキャノン・スーパーファイナルバスターのエネルギーが積めるのは一回分。その一撃で、 確実に隕石の重心を撃ち抜かなくてはならない。
 「確実に仕留めます。その為に磨いてきた腕です」
 「お願いね。地球のために、必ず成功させて」
 「ロ」
 「それから。……絶対無事に帰ってくるのよ、ホージー」
 途中で遮るスワンさんが、格好いい。
 街にブラウゴールが出現し、出動するメンバー、そして宇宙へ向かうホージー。
 「ホージーさん!」
 「ん?」
 「帰ったら、焼き肉屋さんで祝杯あげようね」
 わざわざ念入りに死亡フラグをたててあげる、ウメコの優しさ(笑)
 正直、割と洒落にならない殺意を感じました。
 地球を救うべく、二手に分かれて出撃する6人。ところが……
 「……あれ? バン乗ってる?」
 「勿論乗ってるぜ。デカウイングロボにな!」
 いつの間にかバンは、パトウイングに乗り込んでいた。もはや地球に引き返している時間はない。 ホージーとバンで隕石破壊作戦に挑む事となり、地上のブラウゴールには4人がライディングデカレンジャーロボで攻撃を仕掛ける。
 結局『デカレン』メカは、デカレンジャーロボ/ライディングデカレンジャーロボが一番格好いいなぁ。デカロボは戦隊歴代の中でも、 かなりお気に入り。ライディングは初登場時の気合いの入った特撮で、好印象が強い。
 スデカで負けたので、2体で挑んでみるデカロボとデカバロボだが、 隕石の接近でますます巨大化していくブラウゴールは凄まじい力を振るい、地球署は切り札・デカベロボを起動する。 一方、デカウイングロボも迫り来る隕石の目前に到達し、デカウイングキャノンへと変形。 近づく隕石の引力の影響で照準が定まらない中(これは宇宙っぽくて良かった)、 2人の強力でなんとかスーパーファイナルバスターを隕石の真芯に直撃させる。
 ――だが。
 迫り来る隕石の質量は、スワンの計算をも超える非常識なものだった。赤く輝くコアを露わにしながらも、 完全には破壊されずに地球へ落下しようとする隕石。もはや打つ手はないのか……考え込む2人は、 パトウイングによるコアへの体当たりを思いつく。失われるのは自分1人でいいと、バンを帰して特攻しようとするホージー。
 「この作戦のリーダーは俺だ! 俺の命令に従え」
 「わかった。……あばよ相棒」
 だがバンは、ホージーよりも早く、自動操縦スイッチを押し、ホージーの乗ったパトウイングを強制分離。 地球に帰還するルートへ発進させる。
 「相棒は……美和ちゃんの結婚式出なきゃ駄目だろ」
 「おまえ、どうする気だ!」
 「一度くらいは、相棒って呼ばれたかったぜ」
 「何言ってるんだ馬鹿!」
 地球へ向けて飛ぶパトウイングを背に、残された砲身部分で、隕石へ向けて突撃していくバン。
 「じゃあな…………相棒」
 「戻るんだぁ!」
 ホージーの絶叫は虚空に響き――そして、激しい爆発と共に、その背後で隕石は消滅する。
 「バン……応答しろバン! バン! バぁン! ……馬鹿野郎。なんでだよ、なんでおまえが……」
 死ぬのは自分で良かった。その筈だった……。
 「俺の替わりは幾らでもいる。努力さえすれば、俺程度には誰だってなれる。……だがバン、 おまえの替わりは簡単には見つからないんだぞ! 予定より早く特凶試験を受けたのも、今のままじゃおまえに負ける気がしたからだ。 一度おまえと離れて、一回り大きな俺になって、もう一度再会したいと思ってた……。 お前は……お前は俺にとって最高の…………最高の相棒だったんだぞ!!」
 コックピットで男泣きにくれるホージー。
 クール系知性派キャラが熱血系無鉄砲キャラ(主人公ポジション)を認める時の黄金パターンですが、まあどうしても、 こんな感じになってしまうのか。
 ただ、「俺の代わりは幾らでもいる。努力さえすれば、俺程度には誰だってなれる」という部分は、通常なら受け手に(いやいや、 居ないから)と思わせる部分なのですが、紆余曲折あったホージーさんの場合、(あ、自覚あったんだ……)みたいになりかねないのが、 今作のちょっと困った所(笑)
 そんな残念さには荒川さんも自覚と反省があったのか、以前に特凶試験でパーフェクトという優秀さを証明した事で、 ようやく何とかこの台詞が効くようになっているので、ある意味でネタ回だった37話が、仕込みとして巧く機能しました。
 地球上では、デカベロボが久々の戦闘シーンで、全身の武器アピール。そこへデカブルーの乗ったパトウイングが、 隕石の破壊成功を報告する。
 「しかしバンは……バンは……殉職しました」
 全員に衝撃が走る中、ブルーはパトウイングで宇宙怪獣へ突撃。
 「これは、バンの……俺の相棒の、弔い合戦です! 許さねぇ!!」
 ひるんだ所で、デカベロボのヴォルカニックバスターが直撃。だが、それでも倒れないブラウゴール。もはやこの宇宙怪獣には、 地球署の火力で打ち勝つ事は出来ないのか?!
 「諦めちゃ駄目。三体のロボのエネルギーを、一つに合わせるのよ」
 「だったらこれでやろうぜぇ!」
 そこへ届く声……それは、キャノンに乗ったバン!
 ここで流れ出すOP。
 「おまえ、本当にバンなのか?!」
 「嘘の俺なんか居ないっての」
 あの時、隕石のコアを見たバンはそれが崩壊寸前ではないかと閃き、キャノンに乗って隕石に突っ込むも、 超至近距離からのDリボルバーの射撃でそれを破壊。自爆体当たりを敢行せずに、隕石の破壊に成功して帰還したのだった。
 「そんな発想……俺にはできなかった」
 バンの閃きについては、冒頭に妹さんとの会話で伏線あり。またコアを見た時の表情にもちょと変化をつけています。
 「ちょーっと熱かったけど、俺って天才かな、って思ったぜ」
 「馬鹿野郎! ……おまえ」
 「寂しかったんだろ、相棒」
 「……んなわけあるか。相棒って言うな!」
 「それ聞いたら、やっと地球に帰った気になったぜ!」
 この台詞まで、普段よりかすれ気味に喋っていて、ここでいつものトーンに戻る、という演技・演出が秀逸。
 「合体だ! トドメをさすぞ!」
 デカロボ、デカバロボ、デカベロボがキャノンを構え、パトエネルギー、フルチャージ。
 「「「オールスター・アルティメットバスター!」」」
 地球署全ロボのエネルギーを集中した火砲の一撃が遂にブラウゴールを粉砕し、スワンさんも参加して、「ごっちゅう!」
 最近、デカバロボの出番が露骨でしたが、年末商戦に大きな花火を打ち上げました。
 おまけコーナーも、「オールスターは、いい事だ」(笑)
 妹さんが連続登場だったので、オチは結婚式になるかと思ったのですが、焼き肉屋での打ち上げだったのは、 予算とスケジュールの都合か(笑) 奥のカウンターに凄くわざとらしく、誰かが座って背中を見せているのですが、 大柄に見える体格+焼き肉というと、稲田さんの特別出演しか思い浮かばないのですけど、真相や如何に。

◆Episode.44「モータル・キャンペーン」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:武上純希)
 妹へのクリスマスプレゼントを買った帰路、ホージーは紅白クリスマス配色のアリエナイザーに襲撃を受ける。
 「おまえ、デカブルーか」
 「誰だ?」
 「ソードアルタイル!」
 と剣を構えて、撃った(笑)
 「ボスのDソードベガに似ている!」
 ホージーは変身し、早回しでの斬り合いの末、「メリークリスマス!」とアリエナイザーの剣が一閃し、倒されるデカブルー。 妹へのプレゼントを踏みつけて迫るアリエナイザーは、変身の解けたホージーのS.P.Dバッヂを奪い取る。
 「プレゼントは貰っていくぜ」
 ホージー気絶、でOP。
 重傷のホージーは意識不明のまま緊急治療を受け、パトロール中のセンちゃんとウメコに連絡が行くが、そこにも現れる紅白半魚人。 2人はSWATモードになるもざっくりと倒され、やはりバッヂを奪われてしまう。
 「さすがビスケス、いい仕事だ」
 3人を襲撃したアリエナイザー・ビスケスを雇っていたのは、前回の邪魔が腹に据えかねた様子のアブレラさんであった。
 「奴等の面目を潰してやらねば……気がすまん!」
 ちょっと、小さくなってきた(笑)
 「ふん、俺は復讐できればいい……あの男に」
 怒りのデカベースでは、倒される前にセンちゃんが送ってきたデータから、襲撃犯が判明。
 ボス「ボクデン星人ビスケス!」
 それは、惑星から惑星を渡り歩いて腕の立つ剣士を襲い、999人に勝利・殺害している宇宙の道場破りであり、 ボスにとっては因縁浅からぬ人物であった。
 そこにヌマ・O長官から通信が入り、奪われたS.P.Dバッヂが宇宙ネットで曝され、 「宇宙警察なんか怖くないキャンペーン」が展開されているという情報がもたらされる。
 器の小さくなったアブレラさんですが、いい感じの嫌がらせだ(笑)
 「胸に輝く階級章は我らの誇り。これは宇宙警察への挑戦だ」
 もう本気で滅殺しちゃうよ? と増援を派遣しようとする長官だが、ボスはそれを断る。
 「これは地球署の問題です。地球署の力で解決します」
 長官の承諾を受けたボスはバン・ジャスミン・テツに待機を指示し、1人で出撃。
 「ボスはいったい何を考えてるんだ」
 さっき、「地球署の問題」って言ったばっかりなので、それはさすがにバンでも思います。そんなバンの代わりに、逸るテツが、 命令違反で単独出撃。ホージーが襲撃された現場を探っていた所、ビスケスの襲撃を受ける。
 「少しはやる男がいたようだな」
 誉められた!
 だが、「ソニックハンマー!」で突撃した所に目潰しを喰らい、メリークリスマス。ビスケス必殺のアルタイルスラッシュを受け、 金バッヂを奪われてしまう。
 えー……それをネット公開などされた日には、チーフに処刑されるの確定なんで、マジ勘弁して下さい。 それだけは本当に、勘弁してやって下さい。
 そこへやってくるボス。
 「久しぶりだな……兄弟子」
 「ビスケス……貴様よくも俺の部下達を。汚い手を使って!」
 「最初に汚い手を使ったのはおまえだぁ!」
 ボスが自分の父親を騙した……と罵るビスケス。ボスとビスケスはかつて銀河一刀流の同門であり、2人の剣の師匠が、 ビスケスの父親だったのである。
 「おまえのせいで道場を継げなかった俺は、素浪人として生きていくしかなかったんだ!」
 ボスが父親をうまく転がして免許皆伝を受けた為に、自分は落ちぶれたのだと逆恨みするビスケスを、それは勘違いだと否定するボス。
 「心なき剣はしょせん殺人剣。銀河一刀流の奥義に、貴様の剣はほど遠い! Dソードベガ!」
 ボスはデカマスターへと変身、2人は切り結び、ぶつかり合う二つのスラッシュ。3人のデカレンジャーを倒し、 卑怯な戦法の上とはいえブレイクにも勝ったビスケスだったが、マスターとの力量差は歴然で、深傷を負って膝をつく。
 「ボクデン星人ビスケス! 決闘を装い999人の剣士を騙し討ちし、殺害せし罪で、ジャッジメント!」
 デリート許可は下りる、がしかし……
 「俺を斬ったら、死んだ親父が悲しむぞ」
 「……」
 ビスケスの命乞いに、マスターは修業時代を回想する。師匠から、あんぽんたんだけど可愛い息子なんで、何とか導いてやってくれ、 と頼まれた記憶に切っ先が鈍った隙に、目潰しを受けたマスターはビスケスの反撃を受けて倒れてしまう。
 「兄弟子は相変わらず甘いな!」
 「ビスケス、貴様そこまで落ちたのか」
 「ほざけぇ!」
 奪われるバッヂ、にこやかにそれをキャッチするアブレラさん。
 「無様だな、ドギー・クルーガー」
 これでキャンペーン大成功で、宇宙警察恐るるに足らずと地球にアリエナイザーが沢山やってきてウハウハだ!
 どこがクリスマス回で何がキャンペーンなのかと思ったら、アブレラさんのクリスマスキャンペーンだったという、 予想外のオチ(笑)
 階級章を返して欲しければポイント999まで来い、と言い残してアブレラとビスケスは去って行き、 なんとかベースに戻ったボスは治療を受ける。ボスは重傷、4人は意識不明。五体満足で残っているのはバンとジャスミン (と本当はスワンさん)のみ。罠に飛び込むにはあまりに戦力不足、と本部の増援を待つように指示を出すボスだが、 バンとジャスミンはそれを拒否する。
 「まだ2人残ってるんです。敵がどんなに強大だとしても、俺とジャスミンで必ず解決します」
 「負けたらどうする」
 「地球署の意地です! 必ず勝ちます」
 「以下同文」
 バンとジャスミンはボスを振り切って出撃していき、それをどこか楽しそうに見送るスワン。
 「あいつら……無茶しやがって」
 「やっぱり貴方の部下ね。無茶は地球署の専売特許だもんね。貴方も本当は、もっと無茶したいんじゃない? ドギー」
 今回、刺激的なOPから始まって、マスターの格好いい立ち回りなどAパートは面白かったのですが、段々と怪しくなっていく雲行き。
 もともと、根本的にはひゃっはー系魔剣士ですし、アリエナイザーとの因縁もあったわけですが、 今回のボスはさすがに言動も行動もいい加減すぎます(^^; 全体の事を全く考えないで動いているのに、 誰もボスに説教しないので凄くタチ悪い(後で長官から減給処分とか下されそうですが)。 最強系キャラは無茶した時に事態を解決してしまうから世界法則の中で許されるのですが、解決できなかったので、 存在の説得力に物凄い傷がついてしまいましたし。
 階級章を取り戻すべく、指定されたポイントに向かったバンとジャスミンを待ち受けるビスケス、そしてアブレラ。
 「ではクリスマスキャンペーン最後のビッグイベントを始めるとしよう」
 4人のイガグリ先生を筆頭に、出現する大量のメカ人間。
 イガグリ先生の登場は、「ギャル・ハザード」以来か?
 「随分と頭数だけは揃えやがったな! 行くぜ!」
 突撃する2人はメカ人間を次々と蹴散らすがあまりに多勢に無勢、周囲を囲まれ、徐々に追い詰められてしまう。だがその時、 メカ人間を貫くビームの閃光。
 「地球署のスペシャルポリスは、おまえらだけじゃないんだ」
 青、緑、桃が駆けつけて敵陣を切り払い、「置いてくなんてナンセンスですよ、先輩」とブレイクも戦線復帰。
 「みんな……無茶しやがって」
 「無茶なのはお互い様だ、バン。おまえ達の無茶で目を覚まされたぞ」
 最後にボスが姿を見せ、不屈の闘志を持った地球署7人のデカが集う。
 「みんな! 地球署の意地をみせてやろう!」
 うーん………………。
 バンとジャスミンは無策突撃だし、ボスはともかく意識不明で呼吸器まで付けていた4人が何事もなかったように復活しているし、 「意地」だけで全てを解決しているのが非常に困りもの。
 この展開なら、4人はあそこまでの重傷描写をしないか、病室でバンが「地球署の意地です!  必ず勝ちます」と言った辺りで指がぴくりと動く、とか前振りが必要だったと思うのですが、 全ての描写がその場その場のインパクト優先で、エピソードの中で繋がっていない。 勿論これまでも「正義は勝つ!」で解決していた事はあったわけですが、意地と根性展開には、 意地と根性展開なりの前振りと積み上げが必要であり、今回、それが全くありません。
 ボスがデカマスターに変身し、5人もSWATモードを発動して、久々のフル名乗り。ブレイクとマスターも続けて名乗って、 揃い踏みする7人。
 「宇宙警察の権威を汚し、平和を乱す奴は、俺たち地球署のスペシャルポリスが許さん!」
 前に出たマスターがずばっと見得を切るシーンは、完全に時代劇演出(笑)
 アブレラさんの光線を合図に、双方突撃、火薬大盤振る舞いで、集団殺陣がスタート。先程の汚名返上とばかり、 しれっとイガグリ先生を3体まとめてなぎ払うマスター。
 「ビスケス!」
 「この死に損ないがぁ!」
 「師匠との約束は果たせぬが……今ここでおまえとの決着をつける」
 Dソードベガと、ソードアルタイル、互いの必殺剣を構えて対峙する2人。
 マスターvsビスケスの戦闘は、日本刀同士という事もあり、スピード感のある殺陣で、超格好良かったです。 話はぐだぐだになってしまったので、見せ場はもう殺陣だけ、になりましたが(^^;
 「貴様など、しょせん俺の敵ではない」
 「黙れぇ!」
 「それこそが、師匠が俺を跡継ぎにした最大の理由だ!」

 

 ……いやえーとそれは何でしょう、最初からわかりきっていた上に身も蓋もなさ過ぎるのですが、本人達の自称はともかく、 やっぱりバリバリの殺人剣じゃないのか、銀河一刀流。
 ビスケス苦し紛れの目潰しを今度はあっさり回避し、斬撃の猛攻を浴びせるデカマスター。
 「この俺が……貴様などにぃぃ」
 「銀河一刀流秘技・ベガインパルス!」
 Dソードベガの刀身から光の剣が伸び、ビスケスを一刀両断。……どこかで見覚えがあると思ったらあれだ、イ○オンソードだ。
 一方、メカ人間を蹴散らしてアブレラに挑む6人だったが、予想外に鍛えているアブレラさんは、 ブレイクのパンチを軽く受け止める(笑) Dリボルバーの一斉射撃も効かず、衝撃波で吹き飛ばされた6人は、フォーメーション展開。
 とりあえず囮にされるブレイク(笑)
 その犠牲的活躍もあり、多段の連続攻撃がとうとうアブレラを捉え、階級章を取り戻す事に成功。 ビスケスを成敗したマスターも参戦し、追い詰められたアブレラは、怪重機ビグドローワー2を召喚すると、自ら搭乗する。 その前で、久々のクローラーモードから、デカベースロボ、超巨大起動。
 なおスワンさんと一緒のコックピットで、マーフィーの生存が確認されました。
 ビグドローワー2とデカベロボは激しく火線を交え、レッドの横に所在なげに立つブレイク!  最後はすっかりボス1人で撃つようになったヴォルカニックバスターがビグドローワー2のジェノサイドビームを上回り、 怪重機は大爆発。アブレラさんは緊急脱出し、地球署への怒りを燃やす。
 「おのれ地球署……もう許しはしないぞ!」
 エージェント・アブレラの、辺境ウハウハライフに迫る最大の危機! 破産か、億万長者か、その商売の行く先はどっちだ?!
 赤「アブレラめ……ここまで追い詰めたのに!」
 青「地球の平和を取り戻すには、奴を一刻も早く倒さなければ」
 緑「宇宙警察の名誉と威信にかけて」
 黄「正義は必ず、勝つ!」
 夜明け「はい、必ず」
 桃「頑張らなくちゃ」
 ボス「エージェント・アブレラを倒したその時こそ、勝利の雄叫びをあげるぞ!」
 「「「「「「ロジャー!!」」」」」」
 台詞も全然配分出来ていなくて、酷い(^^;
 こうして、度重なる挑発行為がさすがに行き過ぎたのか、地球署の標的が確定したアブレラさん、めでたくラスボス?化。 しかし何だろうこの、同時に漂うもう駄目だ感。
 なんというか、仮に地球署を倒せても、宇宙警察から逃げ切れる気がしない。
 互いの仕事の誇りを懸けた、戦いの結末や如何に。
 最終盤を前に、42−44話で、ロボとスーツと地球署戦力大集合の大暴れ祭、 すなわちクリスマスキャンペーンだったわけですが、バンとホージーの絆を中心に描いた42−43話はともかく、 マスターを軸にしたこの44話は、大崩壊。
 殺陣が超格好いい以外は何の中身も無い話でした(^^;
 恐らくこれ、過去の因縁に囚われたボスがミスをし、それをバン達がフォローする事で「俺の部下達はこんなにも育ってくれたのか」 的な構造が狙いにあったのではないかと思われるのですが、明後日の方向に滑っていきました。
 一番悪いのはとにかく、ビスケスの描写に一貫性が皆無な事。
 ブルーは一対一で一蹴
 SWAT発動のグリーンとピンクも圧倒
 アブレラが「さすが」と誉める腕前
 ブレイクには目潰しを使うも勝利(ん?)
 ボスによると、999の勝利は、全て騙し討ち(あれ?)
 マスターに敵わないのはともかく、回想シーンの描写を見る限り、完全な駄目人間の子供剣法(……えーと)
 「貴様そこまで落ちたのか」というか、回想シーンで既に底辺
 ブルー〜ブレイクまでは、騙し討ちどころか、わざわざ紳士的に相手の素性を確認してから攻撃していますし、 強さと戦い方の描写がてんでばらばら。その為、根っから卑怯なだけの駄目悪役なのか、 それなりに実力はあるのだけど性根が歪んでいるのか、さっぱりわからなくなってしまいました。
 回想シーンから現在までは時間が空いているので、その間にマジックアイテム(ソードアルタイル)を手に入れて強化されました、 と説明がつかない事はないですが、それにしても、その場その場の物語のインパクトを優先しているだけで、 脚本から見ても演出から見ても、繋がりが無さすぎます。
 「掴みのインパクトが必要だからデカブルーに楽勝」「卑怯な奴だから999勝は騙し討ち」 「わかりやすくしたいから回想シーンではただの駄目人間」と、個別のシーンの都合に合わせているだけの描写なので、物語が繋がらない。
 話のベースを考えるとコンセプトとしては恐らく、“それなりの実力はあるが多少強い相手にはすぐに邪道に走ってしまう為、 真の一流になれない邪剣士”といった所なのでしょうが、回想シーンで低劣に描きすぎた為に、そういった説得力も発生しませんでした。
 その上で、心の問題を説くべきボスが、「俺の方が圧倒的に強いからだ」で、ずんばらりんしてしまうので、 師匠、駄目息子は無事に、地獄へ導かれました!
 前半三分の一と、後半三分の二で別人が書いているような、奇天烈なシナリオ。 そしてそれに統一感を持たせるどころかますますバラバラに撮ってしまった演出、と二重に酷かった。

◆Episode.45「アクシデンタル・プレゼント」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:横手美智子)
 年末特別取り締まり中で大忙し、と『デカ』らしさを出した、年末風景。
 そこへ、宛名のない怪しい郵便物が届くが、ホージーの制止も空しく、何も確認せずにフタを開けてしまうバン。 中に入っていたのは……白と黒に塗り分けられ、ぎょろっとした目玉の不気味な人形。
 ジャスミンが人形に触れてみると、
 「俺を、忘れたとは言わせない。いつも、おまえを見ている。必ず、おまえに会いに行く」
 という、強烈な念が感じ取られる。
 これは何者かの復讐のメッセージではないか……恨まれているとしたら、色々派手にやってるバン? と、バンの活躍シーン回想で、 年末進行総集編風味。
 続いて、本人の知らない所で恨みを買っているのでは……と候補に挙がるセンちゃん。デカミドリさんの活躍シーンは、回転が多い。
 時間の無駄なのでトレーニングに行くという発言から、次の候補に挙がったのはホージー。 イリーガルファイトで打ち倒したジーバが仮釈放されて地球に居るという事で念のためバンとホージーが様子を窺いに行くと、
 「僕は、生まれ変わったんですー」
 と、すっかり更正したジーバは変なテンションでTV制作のADをしていた。ジーバはわざわざ、声までつけての再登場。 ……そもそもデカレンジャーと向き合って、生き残っているアリエナイザーが少ないので、探したら何故かこうなったのか。
 どうやらジーバは無関係なようだったが……帰路、2人は謎のサナギに「彼女に近づくなーーー」という叫びとともに襲われる。
 シンキングの結果センちゃんが辿り着いた結論は、
 「これはラブレターなんだよ」
 人形に込められた強烈な念は悪意ある怨念ではなく、強すぎる好意……?
 急にテンションの上がる、女性陣2人(笑)
 ウメコだとすると、送ってきたのは、アルパチ? エイミー?
 ジャスミンだとすると、可能性があるのは、ニワンデかチョウさん?
 「んー、すねに傷を持つオヤジばかりですね」
 これは面白かった(笑)
 余計な事を言ってテツが正拳突きの餌食になり、2人の属性が判明した所で、デカレンジャーは囮作戦を敢行。 お洒落した2人が街に繰り出してみるが、空振り。そこでテツは、真相に辿り着く。 ジャスミンでもウメコでもないデカベースの女性……すなわち、狙われているのはスワンさん?!  それならと囮に立候補しようとするスワンをボスとテツが止め、代わりにテツがスワンさんの仮装をする事に。
 ……やはり、癖になっていたか。
 「誰がスワンに……」
 と、部下5人と一緒に尾行するボスは、無駄に本気モード。
 そして、白鳥テツの前に現れる巨大なサナギ、を割って姿を見せたのは、昆虫ぽいエイリアン・アモーレ星人バーチョ。 ハイテンションで混乱したやり取りの末に、バーチョの本命は、テツその人であった事が判明する。 かつてイリーガルファイトの会場に潜入する為に女装したテツに一目惚れしてナンパするも袖にされたバーチョは、 テツが地球署のデカである事を突き止めるもサナギの時期に入ってしまい、監視カメラ付きの人形をデカベースへ送ったのであった。 そして今、羽化したバーチョはテツの前で愛を叫びまくる。
 「いいか、おまえは勘違いしている。見ろ!」
 バーチョに熱烈に迫られ、かつらを放り投げるテツ。
 「俺は男だ!」
 「男……それはなんだ?」
 アモーレ星人は恋に生まれ恋に死す、雌雄同体で男とか女とか関係ない宇宙人であった。
 ボス「スワンでなくて良かった。テツならなんとかするだろ」
 寒くなってきたので皆、冷たく帰還。テツはブレイクに変身して次々と必殺技を放つが通用せず、 ラブストリングスに絡め取られて助けを求める姿を見ながら、皆で大笑い、という酷いオチ(笑)
 オチ、というか、落ちてないのが酷い(笑)
 一応ジーバが伏線になっていたり、回想シーンの入れ方とかは少し凝っているのですが、最後は思い切り放り投げました(笑)
 5人の活躍シーンがほんの少し回想されるだけで、総集編というほどでもない、総集編風味のギャグ回。おまけコーナーでは、 テツが延々と戦っている内に除夜の鐘が鳴り出すのですが、 次回登場しなかったら、テツは遠い世界へ行ってしまったという事で。

→〔その10へ続く〕

(2016年5月25日)
(2017年3月14日 改訂)
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