■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ8■
“攻め来る魔の手を連携で打ち砕く
無敵のルールさ 支え合う「チームは勝つ!!」”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』
感想の、まとめ8(Episode.36〜Episode.40)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・
〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・
〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・
〔まとめ9〕 ・ 〔まとめ10〕 ・
〔総括&構成分析〕
- ◆Episode.36「マザー・ユニバース」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子)
-
最近気付いたけど、デカマスターが出てくるかどうか、OPでネタバレするのはどうにかならなかったのか(^^;
前々回吹っ飛ばされたデカマシンの修理とメンテナンスを終えたスワンの元へ、
宇宙警察本部から金のSPDマークのついた招待状が送られてくる。それは、
全宇宙警察で一番の科学者に与えられるサイテク賞の受賞の知らせ。しかし、過去にも何度も選ばれながら、
興味が無いと授賞式への出席を断っているスワンにとっては、紙くず扱い。今回も地球署が心配だ、
と受賞も出席も無視するつもりのスワンだったが、地球署のメンバーとドギーに繰り返し勧められ、
授賞式の行われるニューウェル星へ向かう事に。
「地球の事は、俺たちに任せて下さいね」
テツが随分と張り切っているのは、スワンさんの栄誉で盛り上がっているというのもありますが、本部育ちの生粋の真エリートなので、
どのぐらいの栄誉か肌で実感している、という育ちから来る嗅覚っぽい。……メタ的には、最近あまりに扱いが可哀想だからでしょうが!
かくして、おめかしして、ヌマ・O長官から記念のプレートとメダルを受け取るスワンさん。
長官、本部に戻ってきたら科捜研所長の椅子を用意するよ、とナンパ。
「ありがたいお話なんですけど」
「聞くだけ無駄だったか」
「ふふっ」
地球では、テツがスワン部屋の掃除中、スワン不在を忘れていつもの反射的行動で駆け込んでくる子供達。
「先輩たち、スワンさんに頼りすぎです」
ここでセンちゃんがまた小芝居入れているのですが、前に立っていた風呂上がりのウメコの手ぬぐいを頭に乗せたのかと思って、
一瞬顔が青ざめましたが、よく見たらテツが掃除に使っていた雑巾で一安心。危うく、
センちゃんが変態の坂を光速で駆け上がってしまう所でした。ふぅ。
そこへ、無人で遠隔操作された怪重機デビルキャプチャー6が出現。デカロボとデカバロボが出撃して一蹴するが、
それは両ロボの戦闘データを解析する囮であった。
デビルキャプチャー6を操っていたのは、ポッペン星人ハイマル。科捜研時代のスワンの同僚だったが、
自分がどうしてもスワンに阻まれてサイテク賞を取れない事から科捜研を退職した、能力に驕り自己顕示欲の極めて強い科学者であった。
ハイマルは、悪人というよりも、善悪の観念の薄いマイペースな科学者バカタイプ。マッドというよりは、駄目人間。
CV:中村大樹という事で、たぶん勝手に面白くしてくれています(笑)
「愛しの怪重機ちゃん、その名も、フランケーンザウルスー。へへへへへへへへへへっ。スワンのメカなんか、めっためったの、
ぎったんぎったんですよー。おおー、ハイマルさん、楽しみー」
アブレラと手を組んでいたハイマルは、デカロボとデカバロボの戦闘データ分析から、最強の怪重機・フランケンザウルスを完成させる。
一方、出撃ごとにメンテナンスが必要なデカロボの為、ボスはスワンに連絡しようとするが、気を回したテツ、
既に連絡済みですと嘘をついて、それを阻止。
出現したフランケンザウルスの迎撃の為にメンテ無しで出動するデカマシンだが、いきなり合体うまく行かず、不安な出だし。
SPD制式採用っぽいデカロボですが、予想外にデリケートで、連続出動に向いていない事が判明。まあ、辺境以外では、
複数配備されているのでしょうが。スワンさん以外のメンテ要員が全く居ない地球署も地球署ですが、辺境だ、全て辺境が悪いんだ……!
後どうも、どんどんスペックの上がっていくスワンさんが天才すぎる弊害の様子
(「間さんがミサイルぶち込んでも壊れそうにないからGK1人しか登録してないや」みたいな)。
「なんだか……ごちゃまぜくん?」
様々な怪重機のパーツの組み合わせであるフランケンザウルスは、ハイマルの遠隔操縦ながら、デカロボを圧倒。
デカロボは遅れてやってきたデカバロボと合体してスデカロボに……やたらに火花をあげながら(笑)
スデカロボのガトリングパンチも破られ、ボスはスワンに現在地を確認するが、勿論まだパーティ会場で、テツの嘘が発覚。
怪重機の映像を確認したスワンは、その胸にハイマルリアクターが搭載されている事に気付く。
それはハイマルの開発した極めて高出力の動力炉だが、爆発したら地球の半分を消し飛ばす、危険な代物でもあった。
スワンはパーティに出席していたブンターに受賞スピーチを押しつけ、地球へと急ぐ。
白「すみませんボス、俺、知らなかったんです。デカマシンがこんなに繊細で、微妙な物だって事。日々のメンテナンスが、
そんなに大事だって事も」
赤「俺たちスワンさんに、休暇を取ってもらいたくて……」
「馬鹿もん! そんな気遣いをされても、スワンは喜ばんっ」
真エリートが裏方さんの日々の働きを知る要素を重ねたのは、良かったところ。……まあ、地球署だとスワンさん1人なんですが。
フランケンハイパークラッシュが炸裂し、スデカロボ、遂に爆発四散。
「宇宙警察のロボも蹴散らす新製品。闇市場での大ヒット間違いなしだ。少し私にも、運転させてもらうぞ」
珍しく、テンション上がるアブレラさん(笑)
ボスはパトウイングを発進させ、デカウイングロボ・ビルドアップ。5人が怪重機を食い止めている間、マスターとブレイクは、
遠隔操縦の電波を追い、ハイマルの行方を捜す。デカベロボは操縦者の人数よりもむしろ、スワンさんが居ないと起動不能な模様。
「ハイマル……あなたどうして……」
デカウイングロボはフランケンハイパークラッシュを何とか受けきると背後から組み付き、爆発阻止の為の持久戦へ。
地球に着陸したスワンは、いち早く操縦電波の発信源に辿り着く。
「見つけたわよ……ハイマル!」
宇宙警察に踏み込まれ、背景で逃げるアブレラさん(笑)
悪のエージェントと手を組み、危険なハイマルリアクターまで用いて怪重機を街で暴れさせるハイマルに、理由を問うスワン。
「スワンのロボなんかより、ハイマルさんの怪重機の方が、よーーーっぽど凄いんです」
それは、白鳥スワンという超えられない壁への、科学者としての醜い嫉妬であった。
「目の上のたんこぶだったんですよ!」
それにしても、ハイマルの台詞から解釈する限り、デカロボその他は、スワンさんの設計という事なのか。
デカレンジャーは宇宙各地に配備されていて、以前にベン・Gの事件の時に他の惑星でのデカロボの運用に触れてるなど、
今作の装備関係は基本、地球署ワンオフではない筈ですし(配備惑星の環境に応じたチューンナップはされているでしょうが)。
同じ東映でドラマ『科捜研の女』を作っている関係か、「科捜研」に在籍していた事になっていますが、
やっている事は「科学捜査」ではなく「兵器開発」なので、どちらかというと、
某ギガストリーマーを開発した警視庁電子工学研究所とか、某MX−A1を開発した警視庁科学装備研究所寄りのような…………て、
あれ、長官の台詞「かそうけん」から自然に「科捜研」だと思っていましたが、もしかして、
「科装研」の略だったのか?! フォージャスティス!
(なお、「警視庁科学装備研究所」は実在しないが、警察の科学捜査用の備品を製作する「科学装備研究所」という株式会社は実在)
「見返す……そんな事のために」
アブレラさんがメカ人間を放つが、怒りのスワンさん、エマージェンシー。
「エマージェンシー、デカ・スワン!」
変身、しちゃった(笑)
「あの姿は……」
「真白き――癒やしのエトワール。デカスワン」
洞窟の外でメカ人間と激突するデカスワン、癒やしのエトワールの割には、幻術による集団攻撃したり、普通に強い(笑)
メカ人間を薙ぎ倒したデカスワンだったが、そこへアブレラさんが火球を放つ。身
を伏せて火球を防ごうとするデカスワンの前に降り立つ、一陣の風。火球を軽々と弾き返したのは、颯爽登場、
地獄の番犬・デカマスター! ……とお伴B。
「お帰り、スワン」
「ドギー……ただいま!」
「スワンさん、変身できたんですか?!」
「乙女のたしなみよ」
「ドギー・クルーガー、地球署署長直々のおでましですな」
「貴様がエージェント・アブレラか。色々と聞きたい事がある!」
アブレラさん、初の直接攻撃。そして、ボスと初顔合わせ。
「それはごめんですな」
こんな危険な刃物キ○ガイの相手はしていられないと、アブレラ、フランケンザウルスの自爆スイッチをぽちっとな。
ハイマルリアクターに負荷をかけ続ける事でエネルギーを暴走させる――地球半壊まで、タイムリミットはわずか3分。
しばらく前に必死で守った市場が半分吹き飛ぶ事になりますが、それでいいのか。半分壊れるぐらいならむしろ、
復興資材の闇取引とかで儲ける気満々なのか。
アブレラはメカ人間を放って飛び去り、マスターとブレイクが雑魚の相手をしている間に、
スワンはリアクターにかかる負荷を分散して解消する数式を計算開始。そんな複雑な計算は、
残り時間では不可能だ……というハイマルの前でソロバンを取り出すと、超スピードで計算とプログラムを完成させ、
自爆装置の解除に成功する。
デカウイングロボはエネルギーが空になったフランケンザウルスを宇宙へと運び、ファイナルバスターで宇宙の塵に。
とどめを宇宙で刺すのはわかっていた事なので、自爆装置が発動した時点で、「宇宙へ運び出せば……」「相手のパワーが強すぎる!」
みたいなやり取りは欲しかった所。
「デリートすればいいじゃないですか! ハイマルさんは……もう、どうなってもいいんですよ!」
目の前でスワンの天才ぶりを見せつけられた上に、渾身の自信作を撃破されたハイマルは自暴自棄になって錯乱した所を、
スワンの平手打ちを食らい、そこへテツをともなってやってくるボス。
「ハイマル、おまえとスワンのマシン、どこが違うかわかるか? おまえは、自分の才能を誇示する為にしか物を作らない。スワンは、
いつも誰かの為を思って作っている。乗る人への思いがあるから、いつもマシンを大事にしている。
大切なのは、愛なんだよ。その違いが、性能に出るんだ」
の・ろ・け?
「ハイマルさん、完敗ですよ」
うなだれたハイマルは自らの負けを認め、大人しく逮捕……大丈夫、お望み通り、デリートが待ってるから!
まあ実は、数少ないアブレラさんと接触した上で存命の犯罪者なのですが、宇宙警察にはそんな事関係ないしなぁ。
宇宙警察も身内に甘く、前回のチョウ・サン同様、減刑される可能性もあるけど。
「ふぅ、これにて一件、コンプリートか……」
砂浜を歩く、ボスとスワン。
「すまなかったな……折角の表彰式を」
突然流れ出す、80年代な感じのアイドルソングをバックに、スワンさん、ボスに近接してダイレクトアタック。
サイテク賞の記念メダルを、ボスの首にかける。
「ドギー、貰ってくれる?」
「しかし、これは……」
「いつも貴方が側に居てくれたから、このメダルは貰えたの。だからこれはドギーのもの」
照れる犬、微笑むスワン。
て、なんかいきなりごく普通にラブシーン入ったぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ!!
正々堂々、真正面から公式カップリングしてきて、さすがにビックリしました(笑)
真のヒロイン力とは何か、について、新しい見地を開かされた気分です。
砂浜を並んで歩いて行く上司のオフィスラブを、崖の上から生暖かく見守る6人の部下。
ある意味最終回だ、『デカレンジャー』!
余は非常に満足である。
なお、デカスワンに関しては“乙女のたしなみ”で流されました(笑) お遊び要素8割だと思うので、
真剣に考える部分ではないかと思われますが。シナリオとしては、デカスワンをやりたい都合で、
地球とニューウェル星の距離感がわけわからなくなりましたが、お遊びとして面白かったので良し。
その上でマスターが格好良く助けに来たので、なお良し。「お帰り」「ただいま!」のやり取りも非常に良し。
地球は物語が進むほど、言うほど辺境でない気がしてきますが、要するに銀河中心部からの距離の問題ではなく、
文明発展度による惑星の等級なのかもしれない、「辺境」。
ところで、かつてない大爆発を遂げたスデカロボは、どさくさ紛れでこのまま引退なのでしょうか。まあ、
困るの使えない子だけなので、戦力には影響無いのですけど。
次回、ホージーさんにちらつく、昇進と女の影。……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ、もう、悲しい予感しかしない(おぃ)
- ◆Episode.37「ハードボイルド・ライセンス」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
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深夜、踏切の音に紛れて謎の怪人に殺害される女性。怪人は女性の首筋に白いバラが咲き、それが青く染まるの確認すると、
花を持ち去って姿を消す……。女性の突然死事件として処理された為、
アリエナイザーによる不可思議犯罪としてSPDに報告が上がる事は無かったこの事件が、悲劇の幕開けであった……。
て、次回予告から不幸な予感満載のホージーさんメイン回、OP始まる前から
悲劇って断定された!
そんな天の声はつゆ知らず、めかしこんで鏡の前で回っている、今日も絶好調で残念な元エリート。
「OK。unn...Perfect」
なんて完璧な掴み(笑)
「……なに、回ってんの?」
「気にするなセンちゃん、グッドラック」
やたらめったら上機嫌で休暇に繰り出すホージーの姿に、女の影を感じる仲間達。更にボスの口から、
現在ホージーが特凶昇進試験を受けていて、第四次試験までパーフェクトに通過。後は最後の実地試験を残すのみ、
と仕事の方も絶好調である事が判明する。
通常任務をこなしながら、特凶の試験勉強を両立させているホージーに驚嘆するテツ。
「ナンセンス?」
「いえ、マーベラス。凄いです」
しかし最近、テツのバブルが崩壊しすぎなので、“特凶になれそうなホージーさん凄い”というより、
“テツもこれだし、結局ホージーでもなれるレベルなんだ特凶”としか思えないのが凄く困ります(^^;
「励ましてくれる人の存在が大きいのかもしれんな」
前回の今回なので、妙に実感の深いボスの台詞(笑)
とうとう、部下の前で堂々とのろけ出し始めました。
場面変わって、静かな雰囲気のバーで、ギターの弾き語り。
アバンタイトルでの珍しい直接的な殺人描写から、通常営業のコミカルなノリで一息、そこからまた一転しんみりとした大人の雰囲気、
と今回は全体的にシナリオと合わせて一風変わったトーン。
「胸に染みたぜ、テレサ」
酒場の歌姫テレサ、彼女こそが絶好調ホージーの力の源、ホージー意中の女性であった。
グラスを手にして咳き込むテレサを気遣うホージー。
「この星のお酒、マイク星人の私には、強いんだもの」
そこへテレサの弟クロードが現れ、彼女を連れ帰ろうとする。
「私は好きなの……歌う、事が」
やんわりと断る姉を心配しながらクロードは帰っていくが、ホージーに対しては、視界に入っていない感じで、無視。
「どうも嫌われてるな」
……まあ、姉の恋人が残念だったらなぁ……(笑)
恋人達が語らう中、その夜も若い女性が謎の怪人に襲われるが、それを一般警察に目撃される。
テレサを家まで送ってアタックをかけたホージーが言葉を濁された所に、アリエナイザー逃走中の連絡が入り、ホージーは5人と合流。
地下駐車場へ追い詰めて腕に傷を負わせるが、逃げられてしまう。
調査により、被害女性の体内から、特定の栄養素だけが完全に抜き取られていた事が判明。同様の症例の突然死が洗い出され、
繋がる事件。更にヌマ・O長官からの連絡により、七つの惑星にまたがって数十件にのぼる被害が発生している事から、
事件は広域宇宙犯罪に指定され、48時間以内にこの事件を解決する事が、ホージーの特凶昇進最終試験となる。
「頑張れよ、相棒」
「サンキュ。だが、相棒って言うな」
解消する気満々だからな!
遺留物から、恐らく犯人はマイク星人の男性と推測されるが、心当たりについて思わず口をつぐむホージー……その頃、姉はまた、
歌っていた。
安アパート、哀愁のバラード、当然部屋は線路沿い。
素晴らしい(笑)
夜が明けて、青い花を手に帰宅するクロード。
「この星でも見つかったの、その花?」
腕の怪我に呻くクロードを心配するテレサに、弟は真実を隠して笑ってみせる。
「それを摘む為に、何か危ない事してるんじゃないの?」
「心配性だな、姉さんは。谷間に咲いていたのを、摘んできただけだよ」
顕微鏡で青い花のエキスを分析したクロードは、それが姉の病気を治せる薬になるという確信を得る。それを聞き、
ホージーと二人で写った写真立てに視線をやるテレサ。テレサがホージーの告白をそれとなくかわしていたのは、
自身の体の病気の為であった。だがそれが治るなら……その時、アパートをホージーが訪れる。
「君に聞きたい事があるんだ」
アパートを離れ、線路脇で向き合うホージーとクロード。
「これは俺に受けた傷だな?」
「だったら……だったらどうだって言うんだ!」
「重要参考人として、連行することになる」
サスペンス展開という程ではないので、犯人はあっさり判明。だがクロードが殺人を繰り返すのは、姉・テレサの為であった。
「姉さんは元気そうに見えるけど、このまま放っておいたら、あと僅かしか生きられないんだ!」
「テレサが……」
幼い頃に両親を亡くし、貧しい生活を送る中で弟の為に必死に働いていたテレサは、ある鉱山惑星で労働中に大量の放射線に被曝し、
重い放射線障害を負っていた。医者となったクロードは姉の治療法を探した結果、
ある白い花を青く咲かせる成分が特効薬になりえる事を発見。幾つもの惑星で人体実験を繰り返した結果、遂にこの地球で、
地球人の若い女性の体に姉の治療に最適な物質を発見したのであった。
ここでまたも、姉バラードON。
昔懐かしいタイプの演出です。
テレサが余命僅かという事実に呆然とするホージーから逃げ出したクロードは、ガード下で若い女を見かけてマイク星人の姿に変身。
女に襲いかかろうとするが、幼い弟が女性に話しかける姿を見て躊躇っている内に見つかって悲鳴をあげられ、再び逃亡する。
姉の為に一線を踏み越えて狂っているクロードに残る情の部分……犯人捜しに尺を割かず、このシーンを入れた事で、
エピソードの持つドラマ性が、非常に深まりました。
ホージーはアパートに戻ってドアノブに手をかけるが、そこで本部から逃亡中のクロードの目撃情報がもたらされる。
結局、ドアを開かずに立ち去るホージー。
特凶昇進のかかったホージーの為にと、盛り上がりながら出動する5人。
ギターと傘を手に出勤するテレサ。
逃げるクロード。
――闇に沈む街に、降り出す、雨。
地下道を走るクロードはまたも女性を襲おうとするが、間一髪、それを阻止したデカブルーは、クロードへSPライセンスを向ける。
出勤途中のテレサの前で横断歩道の青信号が点滅し――赤へと変わる。
「俺が居なくなれば、姉さんは死ぬんだぞ。それでもいいのか」
「俺は、デカなんだ……」
「姉さんを好きだっていうのは、嘘だったんだな!」
「嘘じゃない。愛してる」
Dライフルを向けられて地下道を飛び出したクロードは、地上に出た所で一般人を攻撃しようとし、背後から引き金を引くデカブルー。
そして――……通勤途中で人だかりに気付いたテレサはその中を覗き、地面に倒れて動かない弟の姿を目にする。降りしきる雨の中、
弟の亡骸を抱えて絶叫するテレサ。それを見つめながら、ホージーはただ、雨に打たれ立ち尽くすのであった……。
最終試験を合格した事によりホージーには憧れの金バッジが送られてくるが、ホージーは特凶への昇進と配属を辞退、
地球署に残る事に。あの後、メディカルセンターで検査を受けた結果、テレサの放射線障害は回復に向かっていた事がわかる。それは、
クロードの治療の効果だったのか、それとも……
「それよりも、地球に来てからの彼女に、生きたいという思いを強くさせる、何かがあったんじゃないかしら」
……しばらく後、墓参りに、ある寺を訪れたホージーは、墓地で一人の尼とすれ違う――見覚えのある風貌、それは間違いなく、
事件の後に姿を消して行方不明となっていたテレサであった。
今回のテーマ曲をバックに二人はしばし見つめ合い、しかし、無言のまますれ違う。
弟が自分の為にしていた事の真実を知ってしまった今、テレサは自分の幸福を求める事はもはや出来ず、ホージーもまた、
自分の思いを押しつける事は彼女を追い詰めるだけだと、悟らざるを得なかったのだ。
弟と被害者達の菩提を弔って生きる道を選んだテレサと、デカである事を貫いたホージー。二人は二度と交わらぬ道で、束の間、
己を押し殺し、振り返らぬまま歩いて行くホージーの背中……でEND。
……やりきった!!
尼になって菩提を弔う、とか、久々に見ました。
多すぎたり、作り手の自己満足になりすぎると問題ですが、年に1本か2本ぐらい、いつか大人になった時にわかってもらえればいい、
というこういったエピソードがあってもいいと思います。
その際に大事なのは、中途半端にしないで、やり抜く事。
酒場の歌姫、安アパート、懸命に暮らす姉弟、ギター、バラード、ロマンス、電車、と目一杯詰め込み、
演出のトーンも抑えてやりきりました。クライマックス、恐慌状態の弟が通りすがりの女性と間違えて姉を殺してしまう、
という展開も脳裏をよぎったぐらい。
最後、墓参りのホージーにブラックスーツを着せる事で、ラストシーンからヒーロー物の要素を違和感ない形で出来る限り取り除いている、
というのも今回に関しては良し。
その上で、演出の白眉は、ジャッジメントシーン。
普段通りにそのままやると少しコミカルになってしまうジャッジメントを他のもの(信号機)になぞらえる事で、
今エピソードの雰囲気を壊す事なく、しかし今作としての特性をそのまま残し、ちゃんと『デカレンジャー』しました。
これが凄く大事。
毎度こんなトーンは出来ない、というのがわかった上で意識的に全体を作り込んだ1本。
くしくも35話とは対照的になったといえますが、まあ、ロボ戦省いた所も含めて気軽に出来ない展開なので、
メインライターの立場的有利さというのもあったかもしれません(^^;
こんなラストでどうするのかと思われたおまけコーナーは、さっくりと前回登場デカスワンの話。
“4年に一度しか変身しない女”らしい(笑)
次回、バン、また走る。
- ◆Episode.38「サイクリング・ボム」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
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今回わかった事は、延々と自転車で走っているという絵を面白くするのは、難しい(笑)
どんな鍵でも自在に扱う能力を持った、パルファ星人の幼体・ヤーコが、保護を求めて宇宙警察に出頭してくる。
ヤーコはその能力でアラドン星人ギャンジャバの右腕として犯罪に荷担していたが、悪事を続ける事に耐えられなくなったのであった。
見た目バスケットに入ったぬいぐるみ大の子豚であるヤーコは、ギャンジャバの隠し金庫に暗号をかけた上で逃亡しており、
その中身と、身柄と安全の確保を交換条件として持ちかけてくる。先行したテツがヤーコの証言通りに隠し金庫を発見し、
デカレンジャーはヤーコを護送して金庫へ向かう事に。ところが、車に極端に弱い体質のヤーコはパトカーでの移動に耐えられず、
通りすがりの自転車を徴発したバン、ヤーコを籠に乗せてパトカーを背中に自転車で走る事に。
「おまえみたいな子供を犯罪の手先に使うなんて、ギャンジャバって、ほっんと悪いやつだな」
「おいちゃんは悪い人じゃない!」
ヤーコにとってギャンジャバは、赤ん坊の時に両親が殺された後、拾って育ててくれた恩人でもあった。
しかし恩人の為とはいえ金庫を破り続ける事に耐えられなくなったヤーコだったが……突然、自転車の一部が通信機に変形し、
外部から二人へ通信が入る。
「聞こえるか、ヤーコ?」
それは、ギャンジャバの声であった。なんと自転車を貸してくれた通りすがりの男性はギャンジャバの変装であり、
自転車はヤーコを捕らえる為の罠だったのである。
ギャンジャバの声及び、通りすがりのおじさん役は、主にスーツアクターであるが、特徴的な声質でしばしば怪人などの声も担当する、
ボー・ガルダンその他色々の岡本美登。だいたい出てくると悪役で悪メイクなので、穏やかな風貌に老けていて、ちょっとビックリ。
隠し金庫の暗号を教える事を拒否したヤーコは自転車の前カゴに囚われた上、
自転車には時速20km以下にスピードが落ちると起爆する強力な爆弾が仕掛けられている事が判明する。
「それならしばらくサイクリングをしてな。そのうち気が変わるだろうから、さ」
かくしてバンとヤーコ、ママチャリで死のサイクリングに。
・スピードが落ちると起爆の警告
・バンが変身すると重量が変わって起爆の警告
・ジャイロで釣り上げ作戦を行うとタイヤが地面から離れて起爆の警告
丁寧な自転車に追い詰められ、とうとう暗号を教えるヤーコだったが、ギャンジャバは爆弾を解除しようとはしない。それどころか、
両親を殺したのは強盗ではなく、ヤーコの能力に目をつけたギャンジャバ自身であったと真相を明かし、
自分を裏切るなら用済みで爆死しろ、と外道ぶりを見せつける。
通信を逆探知したデカレンジャーSWATのアジト強襲を逃れたギャンジャバは、隠し金庫の前で待ちぼうけしていたテツと激突。
パワーフィストを放つデカブレイク、久々に活躍?! と思ったのも束の間、普通に格闘戦で押し負ける(笑)
もう、星へ帰れ。
先輩達が応援に駆けつけ、バンを追尾していた青も、ギャンジャバ確保に合流。ひたすら走り続けるバンは、
爆弾の被害を防ぐ為に市街地を外れ、人気のない山間部へと辿り着いていた。
「変身したら? 爆発しても、あんたは助かるかもよ」
「なに言ってんだ、諦めんな」
悪党でありながらも、自分を育ててくれた恩人だと慕っていたギャンジャバに裏切られた事で、誰も信じられなくなるヤーコ。
「あんただって、どうせ最後は変身して、自分だけ逃げちゃうんだろ」
「俺を信じろ」
そんなヤーコに、バンは自分のSPライセンスを託す。
「これを、俺とおまえの信頼の証として」
そしてバンは、仲間達を信じる。
「俺の仲間が、ギャンジャバを捕まえて絶対に爆弾を解除する。それまではこの足が千切れようと、俺はペダルを踏み続ける!!」
だが、ギャンジャバは用意周到に、バンの行く先にメカ人間を放っていた。自転車突撃で包囲網の突破を図るバンに迫る、爆発!
冒頭で、延々と自転車で走っているという絵が微妙、と書きましたが、火薬大放出で、ここは盛り上がりました。
ママチャリで盛り上げようと思うと、このぐらいの派手さが必要になるというか。
遂に追い詰められて自転車ごと崖下へと転落するバンだったが、その時、ヤーコ、割れる。
幼体から成体へ、ぬいぐるみ大の子豚から、光の翼を生やした少女の姿へと変態したヤーコは、バンを抱えて空中に脱出。
「パルファ星人は、ハートに火が点くと、子供から大人に成長しちゃうのさ。バン、あんたがあたいのハートに、火を点けたのさ」
成体ヤーコ役は、幼体ヤーコの声も演じた、中川翔子(当時19歳)。
隠し金庫の前では、ギャンジャバにデカブレイクの必殺拳・ソニックハンマーが炸裂。
これまでずっと「スティックハンマー」と聞こえていて、何がスティックなんだろう……と悩んでいたのですが、
どうやら「ソニック」のようで、納得。
ギャンジャバはキャノングラディエーター4に搭乗するが、前に立ちはだかったデカバイクロボが頑張り、
レッド不在で個別出撃のデカマシンとの連携で、怪重機を追い詰めてジャッジメント。
「アラドン星人ギャンジャバ、3000以上の金庫を襲った強盗及び、両親を殺害し幼いヤーコを誘拐し、使役した罪で、
ジャッジメント!」
デリート許可が下り、迫るデカバロボから逃げ出した怪重機だが、何故か背後にデカベロボ。
「地獄の番犬が逃がしはしない! ヴォルカニックバスター!!」
デカバロボ、目の前で見せ場を強奪される。
しかし、しぶといギャンジャバは、弾け飛んだ怪重機の中から脱出。だがその前に、ヤーコに運ばれたバンが降り立つ。
「ギャンジャバ! 幼い子供の幸せを奪い、罪の片棒を担がせた上、その命まで奪おうとするなんて、言語道断!
エマージェンシー・デカレンジャー!」
デカレッドは即座にSWAT起動、ヤーコが鍵開け能力でギャンジャバの纏っていたマッスルギアを解除した所を、
Dリボルバーで滅殺して一件コンプリート。ヤーコは宇宙警察本部で、自立支援を受ける事になるのだった。
人を信じる心を取り戻させてくれたバンに対し、満更でもない様子のヤーコに対し、子豚時代をからかって追いかけられるバン。
黄「あーあ、相変わらずバンって、女心がわかんないのねぇ」
桃「あんなに可愛い女の子の、ハートの鍵を開けたのにね」
青「つまり奴は、銀河一の金庫破りってわけだ」
緑「でも、自覚なし」
白「あんな可愛い子なのに、ナンセンスですね」
一斉に、ゲストのステマを始めるメンバー(笑)
そして前回の今回で、しっかり残念キザで自分を落としに来るホージーさんには、もはや職人のプライドを感じます。
話のコンセプトはEpisode.20「ランニング・ヒーロー」のアレンジという感じでしたが、常に真っ直ぐなバンのヒーロー性を出しつつ、
最近見せ場の無かったデカブレイク、デカバロボ、デカベロボに見せ場を作った、という構成は良かったです。結局、
マスターに持って行かれたテツはちょっと可哀想でしたが(笑) 後、前々回木っ端微塵にされたデカマシンとバイクは、
さらっと修理されていました(か、本部から新たに回してもらったか)。しかしまあ、ブレイクは基本的に存在感薄くなりすぎなので、
もう少し何とかしてあげた方がいいと思います………………マー……フィー…………? うう、思い出せない、頭が……。
次回、伝統の魔空空間でウメコと握手。
- ◆Episode.39「レクイエム・ワールド」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久)
-
緊急サイレンが鳴り響き、闇に包まれたデカベース――その廊下に積み重なる、職員達の死体。
デカルームに飛び込んだウメコが目にしたのは、ボス含め、6人の仲間達の無残な姿だった。
「嘘……こんな……こんな事って……」
がっくりと膝を付いたウメコはわずかに息の残っていたバンに駆け寄るが、
「わりぃ……俺……駄目だった……後は、頼む……」
赤座伴番、リタイア。
転がるSPライセンスに表示されたのは、ユイルワー星人ミーメ。デカルームに現れたミーメの攻撃をかわし、
逃げたミーメを追ってウメコがダストシュートに飛び込むと、何故か風呂の中。
……全ては夢だったのか?
「ん? 私、なにかやんなきゃいけない事があったような……?」
考え考えウメコがデカ部屋へ向かうと、そこにはいつものメンバーが無事な姿で揃っていた。
やはり惨劇は悪夢にすぎなかったのか……ところがジャスミンが振り向くと、その姿はミーメ! SPライセンスを奪われながらも、
部屋の外へ逃げたミーメを追うと、今度は突然、街の中に。そしてウメコに問答無用で襲いかかる、錫杖持った托鉢僧の集団。
次から次へと場所が切り替わる、という、由緒正しい魔空空間ネタですが、
托鉢僧に襲われるのは、特に意識的な『宇宙刑事ギャバン』オマージュでしょうか。なぜ托鉢僧なのかは『ギャバン』の頃から謎ですが、
変な仮面とか覆面とか無しに、衣装で顔を隠せるという事情なのかと思われます(虚無僧パターンも同じ理由かと思われます)。
……00年代ともなると、托鉢僧が知識として共有されているのかというのはあって、本格的に謎の存在化している可能性もありますが(^^;
無反応な人々の中、托鉢僧と戦うウメコは突然道路に開いた穴に落ち、再び風呂の中へ。しかし今度は制服のままで、
明らかに夢ではない……と思ったら、相棒のヒヨコが大爆発。気がつくと、パジャマ姿でベッドに転がるウメコ。
「やっぱり夢……でも……私の部屋じゃない!」
混乱するウメコに襲いかかる、熊のぬいぐるみ。布団に押しつぶされたウメコがわめくと、次に居たのはバスの中。
椅子に座ると仮面をつけたバスの乗客に襲われ、蹴散らしてバスから転がり落ちると、今度はゴミの山の上。
「そうだ、私には何か大切な約束が……」
悪夢のような空間で、何かが心に引っかかる……小指を見つめるが、思い出せないウメコ。しかしその時、
壁に貼られた礼紋探偵事務所の張り紙に気付く。
「居場所……そうだ、ミーメの居場所を探る、ジャスミンとの、約束」
ゴミの山の中に引きずりこまれたウメコは、解体(建造?)途中の船の中に。
同年放映の『仮面ライダーブレイド』で、橘こと役立たずさん、じゃなかった、役立たずこと橘さんがゼブラアンデッドと戦ったり、
2回ほど登場している場所ですが、ここはいいロケーション。よく使われるロケ地もあるとはいえ、
日常的な場所以外を同年の別作品でまんま使うとあれですが、魔空空間という事で、上手く使い回しました。
「けっこう遊んだから、そろそろあんたの魂、貰おっかなぁ……」
「あたしの魂は、どこへ行くの! 教えなさい!」
迫り来るミーメに対して、抵抗しながら問いをぶつけるウメコ。今回は結構、ウメコ、生アクション奮闘。
「あーもう、教えてやるわよ。神様みたいに、じーっとみんなを見守ってられるところよ。喜びな。――今度こそ、さ・よ・な・ら。」
しぶといウメコに返答するミーメだったが、その右腕から迸る光線が遂にウメコを撃ち貫き、白黒画面で崩れ落ちるウメコ。
「あたし、もう、駄目みたい……。こんな……こんな最期、やだな……やだよ。…………ジャスミン……後は……お願いね」
空に向けて小指を伸ばしながら、ウメコ、リタイア。
・
・
・
「今、ウメコの意識が途絶えました……もう、何も感じません」
アリエナイザーに殺害されたかに見えたウメコだが、その体はデカベース医務室のベッドに横たわっていた。その額に手を当て、
エスパー能力で読心しているジャスミン、それを見守っているのは、ウメコ主観の中では死んだ筈の仲間達。
「ミーメに魂を奪われたか」
「でも、夢の中でウメコはヒントをくれました。それを元に、絶対にミーメの居場所を突き止めます。ウメコが私を信じて、
あれだけの決意で臨んだ作戦だから」
そう、ウメコが彷徨っていたのは、現実世界ではなく夢の中であった。――2週間前、若い女性が次々と、
眠ったまま目覚めなくなるという事件が発生。捜査を開始ししたデカレンジャーは、
被害女性達が若さを保つという薬の試供品を飲んでいた事を突き止め、被害女性の1人を読心したジャスミンは、
ユイルワー星人ミーメの存在を知る。
「若い魂を沢山集めると、若返りの薬になるの。じゃあ、ばいばーい」
ミーメは夢の中に入り込んで魂を奪う能力を持ち、配った薬品の効果により、
ミーメの潜入しやすい特定の脳波状態になった被害者達の魂を、次々と奪っていたのである。事件の真相は判明したが、
夢から夢を飛び回るミーメの本体はどこにあるのか……? ミーメを早急に確保して被害女性の魂を奪い返さなくてはならない……
とその時、ウメコが突拍子もない作戦を思いつく。
「ボス、あたし寝ます!」
親しい関係の自分からなら、ジャスミンもより深く心を読んで、ミーメの居場所に辿り着きやすい筈。危険を承知で、
ウメコは自分が囮になる事を進言。
ここは17話の、「ウメコは私と違って、とんでもないやり方で、突っ走れるじゃない」を踏まえていると思われます。
そうは言ってもウメコが状況を先導する展開って滅多にないので、やっとアピールできたというか。
24話のネゴシエーション回は一応ありましたけど。
「危険とわかっていても、人々を守る為なら飛び込んでいく。それがあたし達デカレンジャーの、
使命じゃないの? そうでしょ?」
渋る仲間達を説き伏せるウメコ。
39話にして初めて……なんかリーダーっぽい!
と今回、ここまでの諸々を拾ってきます。
またこの台詞を、笑顔で言う、というのはウメコらしさが出て良かったところ。
「それにあたしは、絶対帰ってくるよ。だって、2人で約束したじゃん。今度雑誌に載ってたカフェに、
トリプルアイスを食べに行こうって」
「ウメコ……」
「約束」
ジャスミンとウメコは指切りをかわし……今、魂を奪われて眠るウメコの前で、ジャスミンはその小指を見つめる。
『ギャバン』オマージュの魔空空間ネタから、女性コンビの友情エピソードへ繋ぐ、という面白い構成。
「俺たちに与えられたヒントはただひとつ。神様のようにじっと見守っている、という言葉だけ、ですか」
頭脳労働の苦手な面々が苛立つ中、センちゃん、シンキング。
「あ……わかった!」
ハイ緑の人、早かった!
「神様みたいに宇宙から地球を見下ろして、じっとしているもの。――静止衛星だ」
センちゃんの閃きに基づき、軌道上の静止衛星をチェックしていく地球署。チェックシーンで一般職員の姿も入れる事で、
いい緊迫感の出た演出になりました。
そして遂に静止軌道上に――怪重機が発見される。
不在のウメコに替わってブレイクがパトウイングに乗り込み、デカウイングロボ、宇宙へ。
ちゃっかり特凶スーツの高性能ぶりがアピールされました。……嗚呼、スーツはSWATスーツ並の性能なのか、そうか、
つまり……(以下略)。
「ふふふふふふふ、魂100人分、集まっちゃったぁ」
若返りの薬の製造開始の直前、デカウイングロボは怪重機(以前に登場した女性型怪重機)を撃墜。怪重機は大気圏へと落下していき、
ミーメは集めた魂を持って、途中で脱出。追撃したデカレンジャーはそれを追い詰め、怒りのイエローがSPライセンスを向ける。
「ユイルワー星人ミーメ! ジャッジメント!」
……なんか、省略された(笑)
だがジャッジメントタイム寸前、ミーメが含み針・ドリーミーニードルで反撃。首筋に攻撃を受けた5人は変身が解除されて地面に倒れ、
夢の世界へと引きずり込まれてしまう……。
「夢の中なら、私の力は何倍にもなる。ゆっくり楽しみながら、片付けてあ・げ・る。夢で逢いましょう」
……寝込んだ所を肉体始末した方が早い気がするのですが(笑)
目を覚ますとジャスミン、映画館の中に。スクリーンの中に現れたレッドに、映像の向こう側からいきなり撃たれる。
これも恐らく、『ギャバン』第36話のオマージュか。
外へ逃げ出したジャスミンの前に現れる、巨大ミーメ。
「あんたエスパーね。あのピンクちゃんが変に粘ってた訳がわかったわ」
巨大ミーメの攻撃を受けた所に鉄鎖が巻き付き、バス停に縛り付けられるジャスミン。
そこへ迫るバス……の屋根の上にミーメが座っているという絵が素晴らしい(笑)
「お友達と同じように、あんたも恐怖でぐしょぐしょに泣きながら、地獄に落ちな」
ジャスミンを押しつぶさんと迫り来るバス。その衝突寸前――
「なーんてね」
ニヤリと笑ったジャスミンは、鎖を引きちぎると、正拳突き一発で、バスを吹っ飛ばす。
「ぐしょぐしょに泣きながら地獄に落ちるのは、あんたの方よ」
「ど、どうして?! 私が支配できる夢の筈なのに?!」
「これがあたしの実力よ」
狼狽するミーメに、ジャスミンはワンハンドでDバズーカを突き付ける。
マーーーーーフィーーーーー!
「――と、日記には書いておこう」
「やめてぇ」
「ばいなら」
Dバズーカ零距離射撃が炸裂し……はっと目を覚ますミーメ。気がつくとミーメは地面に転がっており、
それを見下ろすデカレンジャー5人。その手には集めた魂を収めたフラスコが回収されており、既に中は空。
これにより戦列に復帰したウメコがそこへ並ぶ。
「いったい、なにがどうなって……」
実はジャスミンがSPライセンスを用いて行ったのは、ジャッジメントではなく、ミラージュディメンションの発動であった。
対象をバーチャル空間に閉じ込めるミラージュディメンションにより、ミーメが、幻影の空間を彷徨っていたのである。
と、デカレンジャー、けっこう性格の悪い意趣返し(笑)
これでジャッジが省略気味であった事、反撃したミーメが肉体を直接狙わなかった事(既に幻覚の中だった)、に理由が付きつつ、
エピソードとして最初と最後に魔空空間が置かれる、と綺麗な構造に。
なおミラージュディメンションは恐らく、8話で一回使ったきり(^^; 序盤によくある、
とりあえず個性付けの一端で特殊機能を持たせてみた→よく考えると強力すぎるので封印された、パターンかと思われますが、
物語構造の美しさ優先で、引っ張り出されてきました。これは有りだと思います。
「卑怯よあんた達!」
「あんたが言うな!」
ここで流れ出す「girls in trouble! DEKARANGER」(ツインカムエンジェル・テーマ曲)をバックに、ジャスミンとウメコ、
並んでSWAT変身。
「デカピンク!」
「デカイエロー!」
「「ツインカムエンジェル・SWATモード! GO!!」」
勢い良く突撃していく2人に、呆然と置き去りにされるぼんくら野郎達(笑)
ピンクとイエローは空中回転射撃技「ツインカムラブリータイフーン!」などノリノリでミーメを追い詰めると、
SPライセンスを突き付ける。
黄「では改めて……」
桃「ユイルワー星人ミーメ!」
黄「宇宙薬事法違反、および!」
桃「若返り薬製造を目的とした大量殺人の罪で、ジャッジメント!」
当然デリート許可が下り、2人並んでDリボルバーでストライクアウト。
なお、射線の背後に棒立ちの男達が居ますが、デリートされたら、シカタナイ(おぃ)
「「ごっちゅう!」」
「これにて一件コンプリート!」
「2人の絆は、永久に不滅です!」
かくして難敵ミーメは、地球署の誇るツインカムエンジェルの友情の力に敗れ、約束のアイスを楽しむ2人。何故かそれを、
遠巻きに見ている野郎達。
「まるで恋人同士みたいだね、あの2人」……って、同僚のいい男度が低すぎるからだと思いますよ?
仲むつまじい2人だったが、ウメコが手を振り上げた拍子にアイスがジャスミンの顔に直撃して……でオチ。
何となく見覚えのあるカットなのですが、以前にも同ネタあったような無かったような……と思ったらどうも、
『電磁戦隊メガレンジャー』17話のオチのカットがそっくりだった模様。脚本家は同じものの監督は違うのですが
(『メガレン』17話は田崎竜太)、何か理由があってのお遊びだったのか、それとも更に元ネタがあるのか。
ちなみに、「ま、まあ色々あるが……」と、いつも淡々としているナレーションが動揺したのは、今回が初か?(笑)
おまけコーナーは、ツインカムエンジェルに負けじと男の友情を宣言するも、ナンパで一気にチームワークが崩れる野郎達(笑)
センちゃんは単体だとモテるのに、同僚と一緒に居ると残念力が増大しますが、最近テツも残念フォルダに片足突っ込んでるし、
これはつまり、ホージーさんの感染力が物凄いという事なのか。地球署の残念アウトブレイク。
そんな男達は置いておいて、
『ギャバン』オマージュ的なウメコ回で始まり、中盤からジャスミン中心へ移行、過去ネタを幾つか踏まえてコンビの友情に繋げ、
再び魔空空間を入れた上で、ツインカムエンジェルで締める、という構成が実にお見事。
前半と後半で、“ウメコのいい所”と“ジャスミンのいい所”をそれぞれ別々に見せつつ、
しかしその為にエピソード本体を蔑ろにせずに、淀みなく綺麗にまとめた名品。
特に、掴みのネタだった魔空空間をラストでもう一回持ってくる事で、全体の統一感と完成度を上げたのが光ります。
煩悩とテクニックが変にハイレベルで融合した、実に荒川さんらしい傑作回(笑)
番組後半のエピソードという事で、積み重ねてきた諸々も上手く散りばめられており、
荒川稔久はこれでテクニックなければホント困った人だと思うのだけど、こういうシナリオ書けるから、凄い(笑)
特に言及ないけど、それとなくマーフィー(Dバズーカ)が登場しているのは、竹本監督の、愛か。
また、タチの悪いアリエナイザーを、ベテラン富沢美智恵がさすがの演技で魅せ、キャスティングにも恵まれたエピソードとなりました。
非常に面白かった。
次回、とうとうブレイクパワーアップ?! と思ったら、上 司 来 た !
しかも、堅物の女上司!
『デカレン』は当たり外れが大きいのであまり予告で盛り上がらない方が良いのですが、これは期待したい(笑)
- ◆Episode.40「ゴールドバッヂ・エデュケーション」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子)
-
ボランティアで「火の用心」の夜回りに参加していたバンとテツは、火事を目撃。それは、アリエナイザーによる放火であった。
2人は変身し、デカブレイク、噴射拳インパルスフィストによる、高圧噴射で消火活動。そこに4人も駆けつけ、
姿を見せた銀色ボディのアリエナイザー、コラチェクと激突する。
桃「火事を起こすなんて、酷い危ない許せないわ!」
黄「火遊びで許されるのは、夏の恋だけよ」
緑「……え? 夏だけ?」
……おい、センちゃん。
やっぱり、センちゃんの女性関係は油断なりません。
割と強いコラチェクに苦戦する5人。赤は戦闘中、放火の被害にあった車の中に要救助者を発見し、その救助をブレイクに任せる。
ブレイクがなんとか救助者を逃がしたその時、突然現場に降り注ぐ白い閃光――そして降り立つ、まばゆい光のスペシャルポリス。
「あれは……」
「金バッジ……」
「並み居る悪を、白日の下、暴き出す。光の刑事・デカブライト」
「チーフ!」
そもそもそういう設定の作品でありますが、これでデカレンジャー5人・デカマスター・デカブレイク・デカスワン・デカブライトと、
とうとう9人目のスーツが登場。
女性型の特凶スーツに身を包んだデカブライトは、コラチェクを1人で圧倒。
…………おい、テツ……。
やはりダメなのは、装備でなくて中身なのか。
まあ実際、特凶スーツよりSWATモードの方が装備が強いと、宇宙警察として特凶の位置づけがおかしいので、つまり、
これが真の特凶の実力です。すなわち、真真エリート(もう何が何だか)。
コラチェクは炎を放って撤退し、素顔を見せるデカブライト。特凶1班チーフ、その名をリサ・ティーゲル。
演じるは、七森美江さん!!
薔薇のタトゥの女!!!
『仮面ライダークウガ』(2000)放映当時、一条さんと薔薇のタトゥの女に狂っていたので、私、大興奮(笑)
というわけで今回の感想は、だいぶ七森さん補正が入っているので、ご了承下さい(笑)
宇宙各地で4107件の放火事件を起こしてきた、自由に炎を操る神出鬼没の放火魔コラチェック。惑星全体を炎上させた事もある、
この特別指定凶悪犯を追って地球にやってきたチーフは、初登場の頃のテツのような態度。
「本件は、特凶扱いです。よって、手出しは無用。――鉄幹、来い」
「私達って、なんとなーく……ちょっと、たぶん、嫌われてる?」
「いや。Perfectに嫌われてる」
まあ、チーフから見ると、腐ったリンゴだし。
テツを廊下に連れ出したチーフは、いきなりの平手打ちを一閃。
「鉄幹、夕べのあれはなんだ?」
なぜ本庁のエリートである金バッヂが、所轄のノーマルバッヂの指示で動いているのかを厳しく問い詰める。
「いいか、鉄幹、特凶は選ばれた人間だ。大きな権限を持つ代わり、果たすべき責任も大きい。我々のなすべきは、
特別指定凶悪犯の逮捕であって、断じて、単なる救助活動ではない」
…………すみませんチーフ、一番弱いの、そいつなんで、適材適所なんです……。
「見るところ、おまえはここで、ろくな事を学んでいないようだな。あんな奴等と馴染んでどうする」
すみません、ホント、すみません。
「馴染むのは悪い事じゃないと思います。あんな奴等って発言は、取り消して下さい」
「おまえが私に口答えするとは。何を熱くなってる? 任務中は感情を出すなと教えただろ」
チーフ、棒読みなのか、「機械的に喋ってください」という演技指導だったのかいっそ悩ましいレベルになっていますが、
よく考えると『クウガ』の時、ほぼグロンギ語しか喋ってない。
でも、テツを冷たく見下ろす視線が素敵。
「俺はここに来て、気持ちが、不可能を可能にする事があるって学びました」
格好良く拳を固めて熱弁をふるうテツだが、鼻で笑われる。
「ふっ……気持ちか。そんなものは劣等生の論理だ。気持ちなんて頼らずとも、任務を遂行するのが我々特凶だ。
――コラチェクの件が終わったら、おまえを本部に戻す。もう一度最初から鍛え直してやる」
嗚呼、楽しい(笑)
チーフに徹底的に説教されたテツは、屋上で体育座り。
「チーフ……本気だよな……。そろそろ地球とお別れなのか」
そこへいつでも無駄に前向きなバン、やってくる。
「どうした後輩!」
「俺、わかんなくなっちゃいました……」
一方、事件を調査中のチーフにハーブティーを出してみるスワンさん。チーフは一応頭は下げるが、ハーブティーには手を出さない。
どこで残念が感染するかわかりませんからね!
「生憎、休んでいる暇などありませんが」
「少し、テツのやり方に任せてみれば?」
テツをフォローしてみるスワンさんだが、ばっさり却下。あと正直、視聴者目線でも、テツに任せるのはどうかと思うんです(笑)
「テツはちゃんと頑張ってるわ」
「頑張る? 気持ちとか頑張るとか、下らない事を鉄幹に吹き込んだのは、貴女ですか」
吹き込んだのは、恋の魔法についてです。
「そういう曖昧な言葉が、彼を駄目にするのです。私は血気に逸って死んでいったスペシャルポリスを、嫌というほど見てきました。
鉄幹には、そういう風になってほしくないんです」
「でも……」
「口出しは無用です。鉄幹の事は私が決めます」
おお、スワンさんに勝った!
スワンさんへの勝者が出たのは、劇中初でしょうか(笑)
またここの会話で、チーフはチーフなりにテツを心配しているというニュアンスが出ているのはいい所。
実際テツに最も影響を与えているのはバンなわけですが、チーフの「うちのテツに変な事を吹き込んだのは誰?!」レーダーが、
スワンさんに激しく反応しているのは、いっそ微笑ましさも感じさせます。テツ、マザコンの気があるし。
部屋の外では通りすがりのボスが立ち聞きして唸ってますが、デカベースの壁が薄いのか、アヌビス星人の耳がいいという事なのか、
色々と問題だ。
「……俺、何もかもチーフに教わったんです」
屋上で体育座りしながら、特凶での厳しい訓練を思い返すテツ。
「感情は往々にして、攻撃の計算を狂わせる。だから戦いにおいては気持ちを出すな、って事も」
……まあ向き不向きがあるというか、明らかに計算しなくなってから弱くなっているしな、テツ(笑)
「けど、先輩達を見て、気持ちで戦う事も大事なんだって」
「そう、その通り!」
「でも、やっぱり冷静さの方が大事なんでしょうか?!」
「うーーん…………大事なのは、冷静さじゃない。そして気持ちでもない。――正義だ!」
「……はぁ?」
「一番大事なのは正義だ。だから正義は必ずかぁつ!!」
「……やっぱりナンセンスかも」
人々を守り悪を倒す、という最終的な勝利が大事で、それを支える信念が「正義」という事なのかと思われますが、
まあうまくバン語になっています(笑)
逆に言えば、物語中盤から持ち込まれた
「正義は勝つ」
というキーワードに、改めて意味づけを付加しているともいえ、この辺りの流れは達者。この再確認は、作品全体のフォローとして、
良かったと思います。
コラチェクが昼日中から街に出現して団地を大炎上させ、出動するチーフとテツ。
「光の刑事・デカブライト」「夜明けの刑事・デカブレイク」
2人はダブルインパルスで炎を鎮火。姿を見せたコラチェクはブレイクのトルネードフィストを跳ね返し、
しゃしゃり出てきた5人のSWATモードからのDリボルバー一斉射撃すら防御。反撃の炎で5人を燃やす……と、やたらめったら強く、
SWATモードも、なんか短い春でした(^^;
「ノーマルバッヂ、手出し無用と言った筈だ」
コラチェクの追撃から、5人を防御拳・バリアフィストでかばってくれるチーフ、なんだかんだでいい人だ。
逃げたコラチェクを追うブライトとブレイクだが、その逃走に市民の少女が巻き込まれてしまう。
咄嗟に少女を守ってコラチェクに体当たりを敢行するブレイクだったが、無視して戦えというチーフと、
火傷を負った少女を病院に連れて行かなくては、という板挟みで惑っている内にコラチェクに逃亡を許してしまう。
「半人前の特凶など、ノーマルバッヂにすら劣る。先にデカベースに帰って、本部へ戻る準備をしておけ」
鉄幹を置き捨てコラチェクを追ったブライトは、追い詰めた倉庫で、至高拳・なんとかハンマー(何言ってるか聞き取れず)
でコラチェクを倒したかに思われたが、背後から襲いかかる炎がその体を包み込む!
一方、少女を救急隊員に預けたテツは、思わぬ目撃情報を得ていた。
「あの悪い人は、火傷しないの? お洋服の中に火が、入っていったよ?」
ブライトを追ったブレイクが目にしたのは、ダメージによって変身が解けて倒れるチーフと、悠然と立つコラチェクの姿であった。
ブレイクはコラチェクに拳を向けると見せかけ……背後から迫っていた炎に振り返る。
「おまえの本体は、こっちだ! 噴激拳・スーパーインパルスフィスト!!」
迫り来る炎に向けて放たれた高圧噴射を浴び、悲鳴をあげるコラチェク。そう、コラチェクの正体は炎を実体とするパイロー星人であり、
銀色のボディは地球上で活動する為に炎の体を納める特殊スーツにすぎなかったのだ。
「チーフ……犯人を逃がして人助けしている俺は、特凶として、半人前かもしれません。でも……バッヂの色がどうであろうと、
俺は人を守りたい。――だって俺、刑事ですもん」
迷いを乗り越え、自分の立つべき場所と、それを支える信念を見つけ出すテツ。
だがその時、大地を揺らす振動とともに、パイロー星人用特殊スーツ・フレイムギア〔超LLサイズ〕が出現。アブレラさんが、
角のところにぶら下がっているのがお洒落。
「早く着替えて、宇宙警察どもを蹴散らすがいい!」
コラチェクは超LLサイズの中に入り込み、実質的な巨大化。テツとチーフは倉庫の外へと逃げだし、
超LLコラチェクにはデカウロボが立ち向かうが、その放つ超高熱を浴びてピンチに陥る。
「あの炎には耐えきれない。機体はともかく、中の人間が危険だ」
――だが。
「心頭滅却! ちっとも熱くねえ! 何故なら、俺たちの胸ん中には、もっと熱い炎が燃えているからだ。
正義って名前のな!!」
「え?」
これが、地球署名物、計算を超える力。正義の思いとド根性で高熱に耐えたデカレンジャーは、
ウイング高速突撃パンチでコラチェクを吹き飛ばす。
「呆れたな。これが奴等の言う気持ちか」
横で、テツが凄い顔になっている(笑)
心の声を翻訳すると、(このタイミングで先輩達それかよーーー!! なんか「計算通り、ニヤリ」みたいに言って逆転してくれれば、
俺まだ地球居られるかもしれないんですけどーーー)みたいな感じでしょうか。
「だが……悪くない」
「え?」
「なんかいい」
特凶だめだーーーーーーッ
ヌマ・O長官は、本格的に宇宙警察の組織再編を考えた方がいいと思います!
「そうなんですよ!」
笑顔になるテツの前で、舞い上がるデカウイングロボ。
「燃えるハートで行くぜみんな!」
「「「「ロジャー!!」」」」
恒例の大気圏離脱から、キャノン変形。ジャッジメント前から銃口向けているけど、細かい事は気にするな!
「パイロー星人コラチェク。23件の惑星放火を含む、4103件の放火の罪によって、ジャッジメント!」
デリート許可が下り、ファイナルバスターが炸裂。フレイムギアを破壊されたコラチェクは、宇宙空間の冷気に耐えきれず、
消滅するのであった。特別指定凶悪犯は削除され、本部へ帰還するチーフは、去り際、スワンに問いかける。
「……鉄幹に、特凶の前に刑事だと教えたのは、貴女ですか?」
明らかに、スワンさんをライバルだと認識しているのが、素敵(笑)
「いいえー」
スワンから水を向けられたボス、犬なりにニヤリ。
「誰も教えてはいない。テツが自分で学んだ事だ」
「そうですか」
そこへ入ってくる6人に、チーフは軽く頭を下げる。
「皆さん。これからも鉄幹を、よろしく頼みます」
こうしてテツの地球署居残りが決定。これ幸いと、先輩達から雑用を押しつけられるテツの「ナンセンス!」が響いてエンド。
エリートキャラの考えを変えようとするとどうしても、ミスさせたりピンチにしたりになりがちなわけですが、今回、
テツがテツのやり方の結果、計算外で思わぬ情報を得る、という要素があったので、出来ればブライトをあそこまで追い込まずに、
しかしテツが逆転の鍵になる、という展開に収めて欲しかったところ。まあ、
ヒーロー物としてピンチ感をあおったりわかりやすい構図優先という判断だったのかもですが、“こちらを上げる為にあちらを下げる”、
という展開にどうしても陥りがちのは残念。
その点で今回、締めのナレーションが
「スペシャルポリスとは何か? 特凶とは何か? けっして答の出ることのない問い。だが、問いかけ続けることに、意味がある。
悩め、迷え、デカレンジャー。そして、戦え、特捜戦隊デカレンジャー」
と、本編よりはもう少しフラットな位置からまとめたのは良かったところ。
エピソードの構成はテツがオカルトに染まってしまう23話とほぼまんまなのですが、その中でブレイク登場編から持ち込まれた
「正義は勝つ!」というテーゼを補強したのは、面白かったと思います。
そーいえば結局、ブレイクは何のパワーアップもしなかったけど、テツが特凶スーツを使いこなせばもっと強くなれる、
という事でいいのか、いいのか。バイク……は、まちょっと覚悟はしておけ。
チーフ役の七森美江さんは、スタッフ側でも特別ゲストの扱いだったのか、おまけコーナーにもちらっと登場。ただテツは、
あんまりMっぽくないよなぁ(何の話か)。
→〔その9へ続く〕
(2015年7月12日)
(2017年3月14日 改訂)
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