■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ6■


“エマージェンシー! デカレンジャー
フェイスオン! 現場にむかえ
オレたちの出番だぜ 逮捕だアリエナイザー”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』 感想の、まとめ6(Episode.26〜Episode.30)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・  〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕
〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・  〔まとめ9〕 ・ 〔まとめ10〕 ・  〔総括&構成分析〕


◆Episode.26「クール・パッション」◆ (監督:坂本太郎 脚本:横手美智子)
 街へバイクでパトロールに出るホージーとテツ。都合によりテツがフルCGの為、凄い違和感のある映像に(^^;
 「あの……いつか聞こうと思ってたんですけど、俺って、ホージーさんに嫌われてます?」
 「……どうして?」
 「そんな気がするっていうか。……ズバリ、俺が金バッジだから嫉妬してます?」
  ズバリ正解っス!
  先日、ブーツの中に入っていた画鋲は俺の仕業っス!
 答は如何に、というその時、2人は街で暴れるアリエナイザー・ビース星人ビーリングと遭遇。
 「チャンピオンは俺どぅわーーー」
 中毒性のある非合法の筋肉増強剤・メガゲストリンの影響により錯乱状態にあるビーリングを何とか取り押さえた2人は、 メガゲストリンの供給元である、闇闘技場へと潜入する。そこは命がけの殴り合いを賭の対象とする違法ギャンブルの巣窟であり、 特凶扱いの指名手配犯である闇のプロモーター・タイラー星人ダーデン(見た目ドン・キング。名前は、『ファイトクラブ』の主人公より) によって仕切られていた。ダーデンに会う為に1999連勝中のチャンピオン・バンダレ星人ジーバに挑戦しようとするテツだが、 さくっと顔割れ。追い出されてしまう。テツの代わりに挑んだホージーは、叩きのめされ、全治3週間。
 ダーデンを確実にジャッジメントし組織を一網打尽にする為には、直接会ってその隙を突くしかない。 ジーバの弱点を見つけたというホージーはバンを押しとどめて再チャレンジを志願し、トレーニングに励む……。
 「相棒は頑固だからなぁ。言ったら聞かねえんだ」
 ホージーをメインに据えつつ、バンとの関係も強化という事で、ホージーの負傷に怒りを見せたり、 ホージーのトレーニングを見守ったり、今回はバンが随所でいい表情を見せています。
 そしてホージーは再びイリーガルマッチに乗り込み、仲間達は変装して観客として潜入。面が割れているテツは、 タイトミニの真っ赤なワンピースに女装。さすが真エリート、変装に手抜きなし。
 ジーバの弱点を見つけたという言葉に偽りなく、的確にパンチを当てていくストロング・ホージー。 強烈な左アッパーでダウンを奪うが、ジーバは大量のメガゲストリンを飲んで肉体を強化し、一転、追い詰められてしまう。
 「今助けないとホージーさんは!」
 「大丈夫だ、相棒は絶対に勝つ。必ずやってくれる」
 正体がばれても構わない、とホージーを助けに飛び出そうとするテツコを止めるバン。
 「相棒は天才なんだよ……努力のな」

 言っちゃった(笑)

 ホージーのパーフェクトな射撃の秘密……それは決して天性の素質ではなく、 どんな時も一日千発の射撃訓練を欠かさないたゆまぬ努力の賜物であった。
 目的の為に地道な努力を続け、それを必ず身にする男、戸増宝児。バンの言葉に応えるかのように、徐々に反撃していくホージー。 ジーバの弱点……それはあまりにも力任せの大振りが多い事。ホージーは軽やかなステップでジーバのパンチをかわすと、 小刻みなジャブで確実にジーバのスタミナを奪っていく。
 そして……脱いだ!
 ジーバの攻撃で千切れたシャツを自ら引き裂き、アルティメット残念フォームへフォームチェンジ。
 「俺はしぶといんだ、宇宙で一番な!」
 痛烈な左アッパーがジーバの意識を刈り取り、新たなチャンプとなったホージーはダーデンの元へと案内されると、 デカブルーに変身し、仲間も合流。追い詰められたダーデンは怪重機アルティメットイビルを起動する!
 アルティメットイビルは超スピードを誇る高級怪重機。デカロボの攻撃を全てかわし、デカバイクロボの竜巻斬りも回避。 ライディングデカレンジャーロボでスピード勝負に挑むが、それでも及ばず。地球署はこのまま手も足も出ず、 金の力の前に屈してしまうのか……?!
 だがしかし、地球署には、あの人がいた。
 「こんな事もあろうかと、改良を加えておいたわ。みんな、超特捜合体よ」
 辺境任務の少ない予算をやりくりし、手元の装備に魔改造を繰り返す天才技術者・プロフェッサースワン。彼女のスパナが唸る時、 地球を守る新たな守護神が降臨する!
 デカレンジャーロボ、凄いぞんざいな頭部パーツ装着から、超強引にバイクと合体。被り物は二体合体の定番ではありますが、 被り物から変形が始まるのは珍しいような(笑)
 かくて、
 「スーパーデカレンジャーロボ・ビルドアップ!」
 また実に直球(笑)
 スパデカロボは従来のデカロボに比べて、移動速度380%アップ、パンチの衝撃400%アップ!
 盛りすぎ、スワンさん、適当に盛りすぎ。
 背中のバーニアで超高速移動し、アルティメットイビルの速度を上回る!
 「タイラー星人ダーデン、賭博場開張図利罪、薬物密売罪、及びそれにまつわる大量殺人罪でジャッジメント!」
 これまでは、デカロボの左腕を前に出しての「ジャッジメント!」が格好良かったのですが、5番パトカーの位置が左肩の上となり、 棒立ちで「ジャッジメント!」という、えらく格好悪い事に(^^;
 デリート許可となり、バーニア噴射によるブースト駆動から連続パンチで殴り殺す新必殺技・ガトリングパンチで、ごっちゅう!
 お約束の二体合体でしたが、見た目・ジャッジメント・必殺技、と全体的に格好悪くなってしまいました(^^;
 話数的に、更なる新メカか新たな変形合体が見込まれると思うので、次に期待。
 テツは今日も決め台詞の後半を奪い取り、ホージーの真の実力を知って、一件コンプリート。イ リーガルマッチの関係者の大量摘発にも成功し、ホージーは仲間達から手荒い祝福を受けるのであった。 皆から小突かれまくるホージーさん、構ってもらえて、ちょっと嬉しい。
 スーパークールでパーフェクトな辺境のエリートから転落後、あっちこっちを彷徨っていたホージーが、 禁句とともに凄い普通の所に着地。もはやホージーをこれ以上落とさずに置いておける立ち位置がそこしか無かったのかもしれませんが、 正直、非常に面白くない所に辿り着いてしまいました。
 「テツに一切つっかからずに、努力を重ねていつか付けるぜ金バッジ」みたいなホージーさんの姿なんて、見たくなかったよ……!(おぃ)
 そしていきなりのロボ強化展開はあまりに唐突すぎて、きょとんとしてしまいました(^^;  何故か台詞でホージーが操縦の主導権を持つ事で誤魔化していましたが、そこまでの物語の流れと全く関係なくなってしまい、 クライマックスだけ別の話のように。強引に強化を突っ込まざるを得なくなったなら得なくなったで、 もう少し工夫の欲しかったところです。
 ところで、基本制服の上にあまりゲスト民間人が出てこないので季節感が薄い今作ですが、 3話連続で男性陣の肌色分が多いのは、リアル時間で、夏・男が大胆になる季節だからか?!
 次回、ローテ通りに、ジャスミン×テツ回。その後、「テツ、決め台詞を考える」みたいな回になるのか。

◆Episode.27「ファンキー・プリズナー」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久)
 美術館を内部から竜巻で吹き飛ばしてお宝を強奪するという、豪快な強盗、バリゲ星人ミリバルが登場。 現場に駆けつけるデカレンジャーだが、ミリバルの竜巻攻撃に手も足も出ない。
 「温帯低気圧なみの、弱さだなぁ」
 こと戦闘力に関しては、デカブレイクの落ちっぷりはホージーさんのパーフェクト並のきりもみ急降下。
 これが、4分の1ブルーの効果か……!
 逃亡したミリバルは大型台風並のパワーを持っているが、一度巨大な竜巻を発生させると30時間はエネルギーを溜める必要が生じる。 何とかその間にミリバルを探し出そうとするデカレンジャーは、現場の遺留品をジャスミンがサイコメトリし、かつての仲間、 ワンデ星人ニワンデの存在が捜査線上に浮上。ジャスミンとテツは服役中のニワンデから情報を得ようと、 デカバイクで監獄衛星アルカポへと向かう……。
 ニワトリっぽい宇宙人・ワンデ星人ニワンデの声は、津久井教生。
 デンワニデンワ。
 世界が、浦沢時空に支配されていく……!
 獄中で腕立て伏せを行い、一目見るなりジャスミンをナンパするなどふざけた態度のニワンデだが、 ジャスミンのテレパシーで心を読む事ができない。ジャスミンとテツはニワンデを連れ、地球でミリバルを捜査する事に。
 「俺のデカとしての勘が、そこは近いと言ってるぜ!」
 ミリバルは回転するものが大好き……というニワンデの言葉で、回転寿司、綿菓子、かき氷、コインランドリーに風車、そして観覧車、 と振り回されるテツとジャスミンだったが、地球人に偽装して遊園地のアトラクションでぐるぐる回る不審な男を遂に発見。 逃げ出した男をそれぞれが追い、急にシリアスな口調でミリバルに話しかけるニワンデ。
 「俺たちには美学があった筈だ。おまえはそれを捨てたのか! 宇宙盗賊としての、誇りを!」
 実はニワンデの軽い態度は全て偽装であり、かつての弟分であったミリバルを説得し、自首させようというのが真の目的であった。 しかし既に凶悪犯罪者として罪を重ねるミリバルはそれを拒否し、ニワンデを攻撃。駆けつけたテツが逃げたミリバルを追い、 ジャスミンはニワンデを治療しながらその真意を聞く。
 ――かつてニワンデとミリバルは、あくどく儲ける商人などから金を盗み、それを自分達と同じ境遇の貧しい孤児らに分け与えるという、 義賊を気取る宇宙の盗賊であった。ミリバルが破壊役、ニワンデが余計な被害を出さない為のバリア役。 決して殺しはしない主義の2人だったが、ある日ミリバルが警備員を殺害してしまう。 その罪を償おうと敢えて逮捕されたニワンデだったが、ミリバルは刑務所を脱走。 なんとかミリバルを説得しようと考えていたニワンデだが、欲望に狂ったミリバルは、既に引き返す気のない凶悪犯となっていたのである。
 「ほっといたら逃げるかもしれないぜ」
 「貴方はそんな人じゃない」
 逃亡防止用の電撃首輪を解除したジャスミンはテツがミリバルを追い詰めた現場へ向かい、デカレンジャー合流。 ブレイクの久々の活躍もあってミリバルを追い詰めるが、後一歩のところでミリバルがエネルギー回復。強烈な竜巻攻撃によって、 全員が変身解除されるほどのダメージを負ってしまう。ブレイクともどもデカレンジャー壊滅が迫るその時、 強力なバリアがミリバルの体を包み込む! デカレンジャーを助けたニワンデはテツの腰から光線銃を抜き取ると、 身動きできないミリバルに向けて銃を撃つが、咄嗟にその壁となり、撃たれるジャスミン。
 「駄目よ、あいつを倒して、自分も死のうなんて……」
 「なぜわかった……心のバリアは、解いていないのに」
 「そのくらいわかる。貴方を見てれば」
 「茉莉花……」
 通常「ジャスミン」呼びの中、ひとり「茉莉花」呼びなのが実にポイント高く、おいしい。
 ジャスミンは罪を重ねてでもケジメをつけようとしたニワンデから銃を取り上げるが、 その間に最大エネルギーを溜め込んだミリバルがバリアを破壊して巨大化。対するデカレンジャーは、 容赦なく最初からスーパーデカレンジャーロボ・ビルドアップ! 変に旧ロボが苦戦する尺を取るより、いっそ潔くてよろしい(笑)
 「バリゲ星人ミリバル! 48の惑星における窃盗と大量殺人の罪で、ジャッジメント!」
 強力アリエナイザーのミリバルだったが、当社比4倍パンチのラッシュ、ガトリングパンチによりデリート。
 「これにて一件コンプリート。罪を生まないのもまた使命」
 「ありがとう、茉莉花……」
 ニワンデは再びアルカポへと収監されていき、ジャスミンはいずれ刑期を終えたニワンデが、 正しいやり方で孤児達を救っていく事を祈るのであった。
 前半のギャグキャラから一転、後半のシリアスな二枚目演技まで、安定と信頼の津久井教生無双。
 スタッフもほぼ、「津久井さんに任せれば大丈夫」みたいな感じ。
 また、ニワンデがバリア使いであり、剣と剣ではなく、剣と盾のポジション、 というのは強力なアリエナイザーの描き方として面白い手法でした。

◆Episode.28「アリエナイザー・リターンズ」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
 空になったオフィス……デジタル空間に取り込まれた人々……かつてデリートしたケバキーアの時と同様の手口のアリエナイザー犯罪が発生。 ホージーによる犯行パターンの分析から想定される次の現場に向かったバンとテツは、 パソコンの中に吸い込まれながらも子供を守ろうとする母親の姿を目にし、 テツはその姿におぼろげな記憶しかない自らの母の死を思い出し、激高する。
 一方、ケバキーアを探す残り4人の前に、これもデリートした筈のベイルドン、そしてカーサスが次々と姿を見せる。 合流した6人が次に見つけたのは、フィギュア化した人間、そしてダゴネール……と、各メンバーメイン回のアリエナイザーが次々と出現。 アジトとおぼしき部屋に踏み込んだ6人が目にしたのは、各事件の証拠品。そして壁一面に貼られた、 ある犯罪者に関する新聞記事であった……。
 無人の部屋に無意味に冷凍ピラフが置いてあるというのは、非常に不気味な感じが良く出ました。 新聞記事はベタなサイコ演出ですが、各証拠品とのミスマッチが面白い雰囲気に。
 新聞記事が指し示すアリエナイザーは、スペキオン星人ジェニオ。鏡の中に生きたまま人を取り込み、 数千人を生きたポートレートに変えた凶悪にして芸術肌の天才犯罪者であった。2年前にテツによって逮捕されたが、 その能力が解析できていないためデリートされずに収監中であり、今もなお数多のアリエナイザーから尊敬の念を集めているという、 恐るべき宇宙犯罪者……そしてまた、テツの両親の仇でもあった。
 再び姿を見せた4人のアリエナイザーはジェニオと関わりがあるのか? そしてあの時、 炎に包まれながら母はなぜ自分に向けて微笑んでいたのか。事件の真相を掴む為、また、己の過去と向き合う為、テツは一人、 ジェニオに話を聞く為に監獄衛星へと向かう。
 前回、ちょっと無理をしてデカバイクでアルカポ往復をしたのは、今回と連動した前振りだった模様。
 光を反射するものなら何でも入り込んで脱獄可能というジェニオへの対策の為、光り物を全てテープで多い、 暗く重苦しい牢獄の中で悠然と構える天才犯罪者と対面するテツ……とこれは、『羊たちの沈黙』オマージュか。
 「あの4人とおまえは、何か関係があるのか?」
 「答えてやってもいいが、その前に、君も私の質問に答えるがいい。15年前、両親の最期は覚えているか?」
 幼かったので詳細は覚えていない……としながらも憎しみと痛みを抑え、出来る限りの答を返したテツに満足したジェニオは、 自分を崇拝する犯罪マニアから送られてきたファンレターの束を取り出す。ジェニオが犯人候補として名を上げたのは、 パウチ星人ボラペーノ。一個の細胞さえあれば、どんなアリエナイザーにも変身できる宇宙人。
 だが、スペシャルポリスによるデリートは、一片の細胞すらこの世に残す事を許さず対象を完全に抹消する筈……。
 「完全という言葉は、神にしか使えないものだよ」
 ホージーさん、全く知らない所で落とされてますよ!!
 ボラペーノが細胞を手に入れた秘密……それは、アブレラとアリエナイザーが交わした契約書に残された血判からだった!  とここで久々登場のエージェント、渋い活躍。
 ジェニオの挑発を受け、ボラペーノの次の動きを推理したテツは地球署に緊急連絡。ボラペーノの犯行パターン、それは、 この数ヶ月の間に地球で発生したアリエナイザー犯罪の順であった。
 今作、キャラ話のローテをしっかり組んでいるので、各キャラ話からチョイスすると、そのまま時系列順になる、 というのは巧いステルス。
 意識的な模倣犯であるボラペーノが次に変身するのは、ザムザ星人シェイクに違いない。 ならば狙われるのは“バンのお友達”のマイラだ、とデカレンジャーは急ぎマイラのマンションへと向かう。
 情報を入手し、退出しようとするテツだったが、その背にジェニオが声をかける。
 「母親の言葉を思い出せないと言ったねぇ。知りたくないかい、坊や。ママの最期を――」
 地球では、テツの推理通りにやってきたシェイクをレッドがムーンサルトショットで撃退。ボラペーノは次々とアリエナイザーに変身し、 最後は全身黒タイツというその姿を披露する。
 特性を逆手に取った省コスト、といえばいいのか(笑)
 「どうだい、僕の犯罪ショー、素晴らしかっただろ」
 あくまでも崇拝するジェニオに見せる為に犯罪を行うボラペーノは、愉快犯的な性格を併せ持ち、ひたすら楽しそう。 そしてコミカルな見た目とは裏腹に、予想外にアクロバティック。……動きやすいので。 黒タイツアクションがアクロバットで面白かったのでそのまま進んでも良かったのですが、 ボラペーノはデカレンジャー対策として細胞を手に入れていた、あのアリエナイザーへと変身する!
 「宇宙最強のアリエナイザー……リバーシア星人・ブリッツ!」
 5人を圧倒するかに思われたコピーブリッツだったが、如何にデカレンジャーといえども、 再生怪人に負けるほど落ちぶれてはいなかった。超必殺技を打ち破ると、新フォーメーションでブリッツを撃破。
 「おまえさんのコピーは完全さ。でも、デカレンジャーは進化してるんだ」
 同じ技は二度通用しないメソッドによりコピーブリッツを破られたボラペーノは、怪重機ゴッドパウンダーを起動。
 デカマシンの出撃シーンでは、最近出番の無かったマーフィー、モブ気味に登場(笑)  そういえばマーフィーの初登場は竹本監督回なので、これは監督の愛か。
 ゴッドパウンダー相手にデカバイクロボ無しでは苦戦必至かと思われたデカロボだったが、相手のパンチを利用すると、 綺麗な背負い投げで柔よく剛を制す。そしてタックルをかわして蹴りを浴びせると、 倒れた所に腕ひしぎ十字固め・ジャスティスホールドを極め、着ぐるみロボバトルの限界に挑戦(笑)
 「パウチ星人ボラペーノ、様々な凶悪犯に変身し、コピー犯罪を犯した罪で、ジャッジメント!」
 「どっちだろ、どっちだろ」
 ノリのいいボラペーノだったが、判定は、デリート許可。
 「あ、がっくし」
 ジェニオによると、宇宙警察の把握していない犯罪が相当数あるそうですが、 余罪の追及とか細かい事は脇に置いておいて、 フォージャスティス。
 ボラペーノはジャスティスフラッシャーでデリートされ、被害に遭った人々も無事に元に戻って事件は解決。
 「これにて一件コンプリート。やったぜ、テツ」
 その頃、アルカポのテツは、ジェニオから15年前の真実を聞いていた。
 15年前の夜……へまをして宇宙警察に追われていたジェニオは、逃走中に遭遇した車を吹き飛ばし、破壊。 その車に乗っていたのが幼かったテツと、その両親であった。父は車のひっくり返った衝撃で即死。瀕死の母親は薄れゆく意識の中で、 側に居たジェニオを救助の人間だと勘違いしてテツを托し、死にゆく物の美しさに見とれていたジェニオは思わずテツを受け取り助けたのだった。
 ジェニオの言葉におぼろげだった記憶を刺激され、今際の際の母親の言葉を思い出すテツ。瀕死の母親はそれでも微笑み、 テツを愛している事を伝えていたのだ。甦った記憶に思わず涙がこぼれ……その反射を利用してジェニオは脱獄する。
 「また地球で会おう、坊や!」
 かくて脱獄に成功してしまった稀代の犯罪者。デカレンジャーはこの危機を乗り越える事が出来るのか。
 というか、特凶降格の危機!
 おまけコーナーは、今回登場したアリエナイザーの数を答える早押しクイズ。
 答がわかったのに敢えて早押しボタンを押さず、ホージーさんに回答させるジャスミンに女神を見た。

◆Episode.29「ミラー・リベンジャー」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
 「君のお陰で自由の身になれたので、逮捕された時の約束を、今こそ果たそうと思う」
 脱獄に成功したジェニオは地球に逃亡し、その行方を追うテツに鏡の中から宣告する。かつて、 デカブレイクは闇に包まれたクリスト星(以前に登場したファーリーの生まれ故郷と思われる)にジェニオを追い詰める事で逮捕したが、 自分がデリートされない事に確信のあったジェニオは、「次に会う時には、坊や……君に、死以上の苦しみを味合わせてあげよう」 と告げていたのだった。
 「私の最新作を、楽しみにしてるといい」
 ジェニオはテツの周囲の人間へと牙を剥け、パトロール中にパトカーの中から姿を消すセンちゃんとウメコ。 その捜索に向かったホージーとジャスミンも、デカベースのエレベーター内で鏡の世界に囚われてしまう。 更に怪重機メガロリアが出現し、街を破壊。
 「もうこれ以上、俺のせいで苦しむ人達を見てられない!」
 早いな(笑)
 直接ではなく周辺を狙われる事で精神的に追い詰められるという展開なのですが、ド定番なのはともかく一切捻りが無い上に、 攻撃を受けたのがそもそも同僚刑事(必然的にジェニオとは対決すべき存在)だったり、Aパート早々でテツがキレるので “じわじわ追い詰められている感じ”が全く無かったりで、テンプレートに乗せただけの展開になってしまいました。
 ジェニオはあくまでテツをいたぶっているのであり、テツが前に出ても姿は見せないに違いない。 それならば……スワンさんのヒントにより、ジェニオの能力に対する解決の糸口を見いだしたバンは、囮作戦を発案。 ジェニオが出撃したバンを狙った所でその能力の秘密を解き明かす事を、テツへと託す。
 前回、宇宙警察が2年かけても能力の秘密を解析できない、と大風呂敷を広げてしまった為、解決をどうするのかと思いましたが、 スワンさんがあっさりと筋道をつけてしまいました。単にスワンさんが凄いのか、 宇宙警察の科学班がぼんくら揃いなのか。
 ……基本まあ、デリートするからシカタナイ。
 光線兵器の開発とか大好きだけど、アリエナイザーの特殊能力の解明とか、興味ないのです。
 バンはデカバイクロボで出撃し、やたらに柔軟な動きの女性型怪重機メガロリアを竜巻斬りで撃破。そこに姿を見せたジェニオは、 胸部のミラーをオープン。高層ビルを利用して、合わせ鏡による光の無間回廊を作り出すと、特殊能力「ミラー・イリュージョン」により、 デカバイクロボごとバンを光に変換し、鏡の世界へと取り込んでしまう。
 全ての鍵は、胸の鏡――あれを破壊する事で、鏡の世界に囚われた人々を解放できる筈。 遂にジェニオの能力の秘密に辿り着いたテツはデカブレイクに変身し、戦いを挑む。頭脳派の学者系と思われたジェニオだったが、 剣を振るって接近戦もこなし、弱体化の激しいデカブレイクを切り伏せると、電撃拳も光速回避。
 デカブレイクは結果的に、対ブリッツ三兄妹特化型だった事が証明される形に(^^;
 ブレイクを翻弄するジェニオは、鏡の中に捕らえたデカレンジャー5人の姿を見せつけ、テツを絶望に落とそうとする。鏡の世界で、 酸欠っぽくあえぐ5人……
 「悲しみの仲間達、とでも名付けるか」
 しかし、
 青「ジェニオ! 残念だが、おまえの作品は失敗作だ!」
 珍しく、ホージーさんから反撃開始。
 ……まあ実際、大物然として引っ張った割には、猟奇の欠片も無くて非常にがっくりですジェニオ。
 「どこが失敗作だというんだ」
 緑「地球署の仲間は……6人なんだよぉ!」
 赤「画竜点睛を欠く、テツのいないポートレートなんか駄作だ!」
 先輩達の言葉に力を得たテツ、渾身の反撃。ここで改めて、デカブレイクが地球署のデカレンジャーの一員である、と強調され、 熱い台詞をセンちゃんに言わせたのも良かったと思います。
 だが反撃も束の間、やはり強力なジェニオの前に、追い詰められていくデカブレイク。 芸術家気取りも結局は殴り合いで優位を確保したジェニオは復讐のフィナーレを奏でる。
 「お仲間達の望み通り、完璧な作品にしてあげよう」
 特殊能力を発動しようと胸の鏡をオープンするジェニオ……その瞬間の為に最後の力を残していたブレイクは、 必殺拳スティックハンマーでダイブ。星の拳が鏡を砕き、解放される5人。
 「天網恢々、悪は必ず滅びるんだ!」
 揃い踏みしたデカレンジャーは、怒濤の一斉攻撃。そして各地のスペシャルポリスから、 ジェニオによって生きたままポートレートにされていた人々が、次々と元に戻ったという連絡が入る。
 「みんな、もう気兼ねはいらないぞ!」

 思う存分、殺ってしまってOKだ!

 「ジャッジだ、後輩!」
 「ロジャー! スペキオン星人ジェニオ、124の惑星で、一万人以上の人たちの自由を奪い、鏡の世界へ閉じ込めた、 誘拐及び幽閉罪で、ジャッジメント!」
 当然降りるデリートの許可。だがジェニオは、余裕の笑みを浮かべる。
 「私を止める事はできない。私は光の速さなのだ」
 鏡の世界に逃げる事は出来なくなったが、光速移動能力を失っていないジェニオは、 デリートを発動しようとするブレイクめがけて光の速さで突撃。
 しかし、
 「超光速拳・スーパーライトニングフィスト!」
 光速を上回るデカブレイクの拳が、それを迎撃し打ち砕く。
 ……なんか、星闘士の勝負みたいに。
 「ナンセンス! 俺の拳は、光よりもっと早いぜ。光速拳・ライトニングアッパー!」
 そしてやはり車田っぽい打ち上げ技が炸裂し、ジェニオ爆死。
 「これにて一件コンプリート、夜明けは必ず訪れる」
 遂にデカブレイクの決め台詞も決定するのであった。
 「俺は今まで、過去に縛られて孤独に戦ってきました。でも……先輩達が俺をそこから解き放ってくれたんです」
 「やっと夜明けが来たんだな」
 「はい」
 かくてテツは両親の仇を討ち、自ら夜明けをつかみ取ると、新しい明日へ向かって一歩を踏み出すのだった……もはや一人ではない、 頼れる先輩や上司達と共に。
 前回、ベテラン・野田圭一の抑えた演技も効いて、一風変わったアリエナイザーとして面白かったジェニオが、 今回は全く面白みのないキャラになってしまいました(^^; 単発エピソードならともかく、デカブレイクと大きな因縁を持たせ、 引っ張って盛り上げた事を考えると極めて物足りない展開。
 とにかく、天才的犯罪芸術家の筈のジェニオが、蓋を開けたらチープでつまらない人だった、と今回はこれに尽きます。 別のアリエナイザーのエピソードで前振りをして……という構成自体は面白かっただけに、ジェニオの三流芸術家ぶりが非常に残念。 なにかと制約の厳しい00年代かもしれませんが、もっと狂気と猟奇が欲しかった。

◆Episode.30「ギャル・ハザード」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)
 怪重機同士が戦っている、という通報で出動したデカレンジャーは、逃走するデビルキャプチャー5を、 ナイトチェイサーが捕まえようとしている現場に到着。倒れたデビルキャプチャー5を後回しにしてナイトチェイサーの身柄を確保しようとするが、 閃光弾で逃げられてしまう。デビルキャプチャー5のパイロットが女の子と聞いて、我先にと救出へ向かうホージーとバン。
 センちゃんは、強者の余裕。
 「大丈夫かいbaby、俺が来たからには、もう安心だ」
 ホージーがコックピットで目にしたのは……ガングロ宇宙コギャル。
 「ずりぃぞ相棒!」
 「オーケーおまえに任せたー」
 ホージーさんは男としてまた一段、株を下げた気がします(笑)
 地球署で身柄を確保した宇宙コギャルは、過去に何度か窃盗の逮捕歴があるスロープ星人ファラウェイ。悪びれず、 暴れ回るファラウェイに手を焼き擦り傷を作るメンバー、最終的にジャスミンが超能力を発動し、 彼女が謎の男に宝石の運び屋を頼まれたが、それを途中でがめた為に追われていた事が判明する。
 宝石の隠し場所を問われたファラウェイは嘘泣き→金的蹴りのコンボでバンを倒すと、取調室から逃走。 スロープ星人の少数民族である彼女は、触れるだけでどんな機械も操作する能力を持っていたのだ。脱走したファラウェイにより、 各所の機械を狂わされ、大混乱に陥るデカベース。その隙にファラウェイはデビルキャプチャー5を起動し、 コックピットに隠していた宝石と共にデカベースを脱出してしまう。
 ファラウェイの特殊能力には少々、小説『ARIEL』(笹本祐一)の1エピソードを思い出してみたり。ファラウェイが意識的に操作するのに対し、 『ARIEL』のシェラは、意図せずに何でもかんでも狂わせて破壊する、というもので別に似ているとかそういうわけではないのですが、 『ARIEL』思い出して、今デカベースは、あの話のあのキャラの気持ちだな、と変にすんなり見る事が出来ました(笑)
 発進装置もエラーを起こし、出動不能なってしまうデカレンジャー。そんなタイミングで特凶会議の出張から帰還したテツは、 戻ってきて早々に宇宙コギャルと戦う事になるが、デビルキャプチャー5は行動不能にするも、ファラウェイには逃げられてしまう。 まんまとデカレンジャーの手を逃れたファラウェイは、同じスロープ星人の彼氏・ピロジーと合流し、あははうふふ空間を展開。
 「これ売って、百年豪遊? みたいな、うん」
 「マジすげー。ファラりん最高。オレ、何があっても絶対、ファラりんのこと守るぜ」
 だがそこへやってきたイガグリ先生、容赦なく二人を射撃。逃げ出した二人だったがデカレンジャーもようやく駆けつけ、 悪と正義に前後を挟まれ、進退窮まったファラはなんと、宝石を取り出して飲み込んでしまう。
 「これで手出しできないだろ」
 「愚かな……」
 そこへ響くのは、闇に蠢くあの声――そして、コウモリの羽ばたきと共に、エージェント・アブレラが姿を見せる……!
 アブレラさん、こんな形でデカレンジャーと初接触(笑)
 いいのか、それでいいのか。
 「簡単な運び屋も務められんとはな」
 「おまえが今回の黒幕か!」
 「私は被害者だ。こいつのせいで仕事が一つふいになった」
 そこの所は、強調しておく(笑)
 「――はじめまして、デカレンジャーの諸君。ここまでの活躍は、よーく知ってるよ。私の名は、エージェント・アブレラ。 宇宙を舞台にちょっとした商売をしている、しがない商人さ。今回も惑星爆破の依頼があってね」
 アブレラがファラに預けた宝石は、実は惑星破壊ミサイルの誘導装置であった。蓋を開くと同時にミサイルが発射され、 宝石めがけて飛んでいく……運び屋はその巻き添えでほぼ確実に死亡する為、使い捨ての駒を適当に選んだ、と雑な仕事の理由も判明。
 そして今やファラの胃袋めがけて飛んでくる惑星破壊ミサイルの地球到達まで、あと30分。
 「だがこの星が爆発しては商売に差し支えるからな。その娘は宇宙の適当な所に、捨てさせてもらう。 その方が地球を守る諸君にとっても都合がよかろう」
 濃いキャラクター頼りのギャグ展開から、ここで、悪の論理で安易に地球を守るか、 敢えて困難な道を選んでも不愉快な相手の命を守るかの選択が提示される、という面白い展開に。
 イガグリ先生はファラを捕まえ、それを止めようとするデカレンジャー達。アブレラは大量のメカ人間を繰り出すと、 自らはその場を飛び去り姿を消す。
 「いずれ改めて会う事になるだろう。ごきげんよう、諸君」
 アブレラは決してデザインは格好いい系ではないのですが、あくまでも“格好いい系”の身振りに徹しているのが、 見せ方としては面白い所。…………飛び去る所は格好良くありませんでしたが(笑)
 イガグリ先生がファラを連れ去ろうとし、「おまえと一緒に爆発なんてごめんだ!」と、 彼氏はファラを守るどころか一目散に逃げ出すが、5人は迷わずファラを助ける為にメカ人間へと立ち向かう。
 「バカな……この小娘と心中するのか」
 「うるせえ!」
 「今、こいつを助けるのはいいが、地球に向かっているミサイルはどうするつもりだ」
 「後から考えりゃいいんだよ!」
 左腕にビームガンをつけて登場など、能力増強されたらしいイガグリ先生は、二刀流を発動。
 「俺は今までのイーガロイドとは違うぞ」
 前回バージョンはキャスティング節約で、喋りもせずにデカグリーンと相討ちになったイガグリ先生ですが、今回率直なところ、 自分も巻き添えになるのは御免なので、超本気! 二刀流の連撃を浴びて倒れるデカレッドだが、しかし、 ファラに迫るイガグリ先生を止める為に立ち上がる。
 「待て! その娘に近づくな! 俺はまだやられちゃいない!」
 「デカさん……?」
 必死に戦うバンの姿に、こんな自分の為に何故そこまでするのかを問うファラ。
 「おまえ一人の命も、この地球のみんなの命も、同じように大事な命だ。――だから守るぜ。俺たち警察官だもん」
 台詞の途中で、くるくるっと、銃を回す小技を入れるのが実に格好いい。
 この台詞はちょっと微妙な所を突いていて、「おまえ一人の命」と「地球」を等価に置いてしまうとファールなのですが、 「地球のみんな(それぞれ)の命」と置く事で、目的の為に些末な犠牲と切り捨てる悪の論理に屈する事なく、 迷惑な窃盗常習犯の命でも「守るべき命の一つ」として公平に扱うという、正義と警察官の誇りを描く事が出来ました。
 「デカさん……」
 「ふん、バカが」
 「どっちがバカか、今見せてやる!」
 デカレッド気合い全開、決めBGMと共にジュウクンドーが炸裂し、Dマグナムハリケーンショットでイガグリ先生を撃破。と、 デカレッドらしい見せ場もバッチリ。30話にして初めて、荒川回でバンがちゃんとはまった気がします(笑)
 だが、イガグリ先生を倒したのも束の間、ファラは怪重機ナイトチェイサーに捕まってしまう。 ファラを捕まえたまま怪重機は急速上昇し、まさかのゲストヒロイン生身で大気圏突破?! かと思われたその時、 デカバイクロボがキャッチロープで怪重機を確保、地上に叩きつけてそれを阻止。 Bパートからリアリティラインがシリアスに拠っているので、この時の衝撃による内臓破裂などでファラが死にそうな勢いですが、 スロープ星人は地球人よりだいぶ頑丈なのだ!
 デカマシンも出撃し、省略気味にスデカロボ・ビルドアップ! 今回も車田的なダイナマイトアッパーを喰らわせてファラを救出すると、 ガトリングパンチでデリート。地球に迫る惑星破壊ミサイルは、侵入軌道を計算したデカベロボが必殺技を発動して迎撃に成功。 地球署のオーバーキル兵器が効果を発揮し、地球は無事に救われるのであった。
 ミサイルの解決は超おざなりでしたが、最近マスターもデカベロボも出番無かったし、今回の主題ではないので、まあ良しか。
 あと、長らく何言っているのかわからなかったデカベロボの必殺技が「ヴォルカニック・バスター」と判明しました。
 ファラの命ばかりでなく、心も救ったデカレッドはマスクごしに熱烈なキスをされ……というか何かを吸われて、ばたんきゅう。
 何をどうやったかは恐ろしくて聞けませんが、スワンさんによりファラの飲み込んだ誘導装置も取り出され、一件コンプリート。 ファラは罪を償ってバンの奥さんになる宣言をし、メンバーはそれを遠巻きに囃し立てるのであった。
 何故かその輪に加わっていないな……と思ったら、ホージーさんはボスと真面目に、アブレラについて考察中。 宇宙警察のクライムファイルにも記載のない、犯罪エージェント・アブレラ。地球で急増するアリエナイザー犯罪の陰にはその存在があったのか? そして――
 「我々の前に姿を現した事に、どんな意味があるのか……」
 前回今回と少しホージーさんの扱いが改善されているのですが、内部で何かあったのか。それとも、 より残念な人(前回:ジェニオ、今回:ファラウェイ&ピロジー)が出てくると相対的に浮き上がるという、大宇宙の真理なのか。
 “不良と刑事”という定番ネタをギャグ成分強めで転がしながら、デカレンジャーとアブレラが初接触という、 後半戦に向けて重要な布石回。前半のどぎつめのギャグ展開から後半のシリアス展開という振れ幅の広い話をテンポ良くまとめていて、 中澤監督、今作では安定していい仕事。
 ちょうど同時期に配信で視聴した『炎神戦隊ゴーオンジャー』34話が、 「悪女が最初から最後まで悪い人で何の反省も改心も無いままギャグの範囲を少々踏み外した犯罪を行って勝ち逃げしてオチも笑えない」 というエピソードだったのですが、ファラウェイがバンの真摯さに打たれて心を入れ替える、というのは、 お約束だろうが何だろうがフィクションとしての因果応報がきちっと収まっていた方がスッキリする、とくしくも対照的になりました。
 別に何でもかんでも“ちょっといい話”にすればいいというわけではありませんが、“いい話”にしないならしないで、 フィクションのエンターテイメント作品としては別の因果応報を描くべきであるよな、と。
 工夫のない変化球とか、変化球のつもりでただの大暴投、というのが一番よろしくない。
 そういう観点で、特別誉める程では無いけれど、きちっとストレートを投げきった、そんなエピソード。

→〔その7へ続く〕

(2015年7月2日)
(2017年3月14日 改訂)
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