■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ5■


“夜のハイウェイ ホシはクロ
エンジン全開
完全無欠のパトローラー”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』 感想の、まとめ5(Episode.21〜Episode.25)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆Episode.21「マッド・ブラザーズ」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
 非番の日、公園で一息吐いていたジャスミンは、やたら邪悪な絵を描く女に話しかけられる。 アリエナイザーとおぼしき女を追ったジャスミンが目にしたのは、森の中に倒れた、意識不明の人々。 女の正体は他者の生命エネルギーを食べるリバーシア星人サキュバスであり、変身したイエローは派手な格闘戦を展開するが、 サキュバスの前に圧倒される。
 「食べるなら残さずに。おばあちゃんの遺言だから」
 「ふふふ、いい度胸してんじゃん」
 ジャスミンの態度が気に入ったサキュバスは、ジャスミンがエスパーだと理解すると、 自分が79の星でやってきた数々の虐殺の記憶を強引に読ませ、「私の仲間になるんだったら、この星を見逃してやってもいい」 と言い残して姿を消す。
 同じ頃、4人の仲間はビルを破壊して暴れ回るリバーシア星人ボンゴブリンに叩きのめされていた。 手も足も出ずに危機に陥る4人だったが、妹サキュバスからの通信を受けてボンゴブリンは退散、九死に一生を得る。
 それが、地球を襲うかつてない危機の、始まりであった……。
 サキュバスは、ジャスミンとの対比という要素もあってか、紫基調のボディスーツにヘルメットを被るようなデザイン。 対してボンゴブリンは、ややコミカルな動物型。
 冒頭から完膚なきまでに敗北するデカレンジャーですが、デカは比較的強くない戦隊なので、それほど衝撃的というわけでもなかったり(笑)
 ボンゴブリンとサキュバスは、特別指定凶悪犯・ヘルズ3兄妹の次男と末の妹。気に入った惑星に住み着いては非道の限りを尽くし、 飽きると惑星ごと破壊してまた次の獲物を探す……という、滅茶苦茶な兄妹であった。3兄妹を束ねるのは、 ボンゴブリンとサキュバスを合わせたよりも強い上に凶悪と名高い、長兄ブリッツ。
 サキュバスが気に入った星を見つけると合図の花火を打ち上げ、宇宙で待機中のブリッツがやってくる……というのが兄妹のいつもの手筈であり、 何としてもブリッツの地球到来を阻止しなければならない、と出撃するデカレンジャー。
 惑星保護バリアはどうなったのか。
 こんな事なら1−2話で、怪重機のパーツを招き入れる為に一時的に解除された、ではなく、 完全に解除されてしまった事にしておけば良かったと思うのですが、後で面倒くさくなるのわかりきっているのに、 どうしてこの設定つけたのだろう(^^;
 ヘルズ3兄妹による破壊と虐殺の光景を見せつけられたジャスミンは、サキュバスとの取引について皆に相談するが、 当然止められる。しかし兄妹の力はあまりに凄まじい……思い悩むジャスミンを、「大丈夫、勝てるって!」と励ますバン。
 一方、ボンゴブリンとサキュバスは、怪重機ゴッド・パウンダーを呼び出し、ブリッツを呼ぶ為の打ち上げ花火を仕掛ける。
 その光景を目にして、「あれ、困った連中来ちゃったから、俺の仕事場、もう駄目じゃね?」 とエージェント・アブレラの辺境うはうはライフに、赤信号、点る……!
 よく考えると前回は、惑星破壊爆弾仕掛ける犯罪者にメカ人間を提供していましたし(当然、大気圏外で退避していたのでしょうが)、 犯罪エージェントというのも、なかなか浮き沈みの激しそうな職業です。アブレラさん、自営業なのか、サラリーマンなのか、 未だによくわかりませんが。
 後、ちゃんと利益出ているのか。
 今回、出番ここだけで、ますます切ない……!
 「あなた達に、地球を蹂躙させはしない!」
 冷静さを欠くジャスミンはサキュバス操るゴッド・パウンダーへデカロボを突撃させるが全く攻撃が通用しない。 皆の声でようやく落ち着きを取り戻すが、花火の玉をセットされてしまい、ボンゴブリンがスイッチを押そうとしたその時、 止めに入るのはデカマスター!
 ……て、今回は明らかに、溜めてましたよね、マスター(笑)
 これまで散々無双だったマスターだがしかし、Dソードの刃を通さないボンゴブリンの不思議な肉体に苦戦し、 連続パンチを浴びてしまう。一方、デカロボも大苦戦し、ゴッド・パウンダーにマウントからラッシュを浴びる。
 もともとあまり強くはないデカロボですが、真っ正面から完膚なきまでに倒されるのは初めてで、こちらはなかなか衝撃的な展開。
 (駄目……やっぱり勝てない!)
 内部で変身が解けるほどのダメージを受け、行動不能に陥るデカロボ。意を決したジャスミンは地球を守る為、 サキュバスの仲間になる、と降伏を宣言。
 「やめろ、ジャスミン!」
 「他に手がないじゃん。こうするしかないでしょ……」
 言葉をなくすホージー、センちゃん、ウメコだが、バンだけがジャスミンの前に立ちふさがる。
 「手はなくても……それでも正義は勝つんだ!」
 「バン……」
 「俺はいつもそう信じてる。おまえだってそうだろジャスミン!」
 「……」
 「ジャスミン!」
 今回は、いつもクールでハードボイルドなジャスミンの心が揺れ、折れず曲がらず真っ直ぐなバンがそれと対比される、という形。 前回のバン回が良かったというのもあり、ようやくバンの、“いい熱血”が描かれるようになってきました。本当はホージーさんは、 バンの熱血に対して“根拠”を与えられる参謀キャラ、とでもなると格好良かったのですが、バディものならともかく、 戦隊だと見せ場配分の問題でなかなか難しい所はあるか。
 またここの会話シーンは、デカロボの巨大パトライトの上、という設定で、5人の足下で赤いシグナルランプが回っている、 というのは緊迫感と危機的状況を示すいい演出。
 バンの言葉に頷く皆だが、ゴッド・パウンダーから放たれた不思議な光に包まれる。 気がつくと地上に倒れていたジャスミンに伸ばされる、サキュバスの手。一度はサキュバスの手を掴むジャスミンだったが…… 振り払って裏拳を炸裂させる!
 「正義は勝つのよ。結果はどうあれ、あたしはそう信じたい!」
 「ああ、俺もそう信じてる!」
 「あたしも!」
 「俺もだ!」
 「とーぜんだろ! 正義は勝つんだぁ!!」
 今作としてはここまでと少々毛色の違う勢い任せですが、「正義」という言葉を、「力を支える信念」という所に収め、 バンの熱さを巧く絡めたのは良かったところ。……とにかくここまで、不遇レッドだったから、バン。
 「見せてやろうぜ、正義の力を!」
 「チェンジ・スタンバイ!」
 「「「「ロジャー!」」」」
 「「「「「エマージェンシー・デカレンジャー!」」」」」
 5人は変身、久々のOPをバックに5人揃っての連係攻撃でサキュバスに大ダメージを与える。
 一方、ボンゴブリンに苦戦していたかに思われたデカマスターだったが、弾力を持った鋼の筋肉の隙間を見切ると反撃に転じ、 調子に乗って新必殺技・ベガトルネードクラッシュを炸裂させる。
 追い詰められる兄妹だったが、地面に落ちていったスイッチで打ち上げられてしまう、合図の花火。
 ……まあそれはともかく、とりあえずジャッジメントだ。
 「リバーシア星人、ヘルズ三兄妹、サキュバス、ボンゴブリン。大量殺人、破壊、略奪の限りを尽くし、 79の惑星を消滅させた罪で、ジャッジメント!」
 当然デリート許可で、放たれるDバズーカ。
 ――だが!
 抹消寸前、二人の前に降り立った影が、Dバズーカの光弾を受け止め、握り潰す。
 「宇宙の死神、ブリッツ・ヘルズ。この星の恐怖を喰らいにきた」
 最強武器Dバズーカをものともしないブリッツの攻撃を受け、吹き飛ぶデカレンジャー。
 遂に揃ってしまったヘルズ3兄妹の圧倒的暴力を前に、このまま地球は死の星になってしまうのか?!
 デカレンジャー殉職?!
 マーフィーお払い箱?!
 そしてアブレラさんの商売の行方は?!

 次回、本物のエリート(ここ重要、テストに出ます)が地球に降り立つ?!

◆Episode.22「フルスロットル・エリート」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)
 「この星を、恐怖のパラダイスにしてやる。刃向かっても無駄だって事を、愚民どもに教えてやるんだな」
 地球に降り立ったブリッツの戦闘力はデカマスターをも上回り、叩きのめされる6人。 ブリッツはじわじわと恐怖を味合わせる為に敢えてデカレンジャーにトドメを刺さずに立ち去ると、 謎の呪文で前回目を付けたタワーを怪しげな拠点へと変貌させる。
 ここまで特定の悪の組織が存在しなかった今作、タワー内部は黒背景にスモーク焚いて、いかにもな雰囲気に。
 そこを訪れたアブレラ、メカ人間を納品。
 「金は払わないぜ」
 「ふっ……それよりも、宇宙警察を、侮っているようだ」
 「あなどっちゃいねえ。冷静に見くびってるだけだ」
 「それでは、今回は香典代わりという事にしておいてやる」
 「祝杯代わり、だろう?」
 「ふっ」
 二本指を振り、妙に格好いく去って行くアブレラさん、商売人の矜持を理論武装で守る。
 「この星を恐怖で埋め尽くせぇ!」
 ヘルズ三兄妹はメカ人間を前に気勢を上げ、すっかりプチ悪の組織に。デザイン的にどうも、これから中盤戦を牛耳るぜ、 という雰囲気はあまり無いのですが(^^; 正直、デカレンの怪人デザイン、人間に近い目鼻立ちのタイプはあまり格好良くない。 すんなりスマートにしないで、妙に顔が大きく全体がごつい感じにしているのは、意図的な統一性(若干、 地球人のフォルムから崩している)だとは思われますが、たまにはストレートにスマートなアリエナイザーも見たいような。 というか今回、むしろ妙にアブレラさんが格好良く撮られていたり。
 ベースに戻ったデカレンジャーは対策を協議し、気合いを入れ直す5人。そこへ、ヘルズ3兄妹の地球来襲の報を受けて、 宇宙警察本部長官、ホルス星人ヌマ・Oから直接の通信が入る。
 「現状の戦力では、かなり苦戦する相手だろう」
 ……て、え、地球署のスペシャルポリス全滅寸前レベルが「かなり苦戦」扱いで済まされる、それが修羅の集団・宇宙警察の常識。
 犯罪者をデリートし終えた時、スペシャルポリスが一人でも立っていれば、それは宇宙警察全体の勝利なのだ。
 つまり、宇宙警察は永遠である!
 長官は、これまで蓄積されたデータから対ヘルズ3兄妹用の訓練を特に受けた特凶のスペシャリストを地球へと派遣した事を告げる。
 特凶――特別指定凶悪犯罪対策捜査官。
 それは、極めて凶悪なアリエナイザーに対抗する為に選抜されて厳しい訓練を受けた、スペシャルポリス最強の精鋭達である。
 どうでもいいけど、漢字で書くと凄く凶悪な字面です、「特凶」。
 ヘルズ三兄妹よりいっそ邪悪。
 あと正式名称が滑舌自慢大会みたいに。
 長官の下で15年の経験を持つという、地球生まれのエリートデカ……しかしその到着を待つ前にボンゴブリンが街を襲ってビルを平らげ、デカレンジャーは出撃する。 その途中、噂のエリートデカからかかってくる状況確認の通信に、明るく応答するバン。
 「正義は絶対勝ーつ、ですから」
 「正義は、勝つ……?」
 ボンゴブリンと接敵したデカレンジャーは、「同じ手は使わない」と言いつつ蹴散らされるが、 センちゃんが掟破りの戦闘中にシンキングポーズ。鍛えようのない口の中への集中攻撃が効果を見せ、 ひるんだ所にDバズーカを決めようとするが、そこで再びかかってくる電話。
 「まもなく現着します。余計な事はしないでください」
 戦闘中でそれどころではない、と通信を途中で切断したデカレッドはボンゴブリンの口の中にDバズーカを直撃させるが、 吹き飛んだボンゴブリンがなんと巨大化してしまう。ボンゴブリンは、一見弱点と思われる口の中にある程度以上の衝撃を受けると、 暴走・巨大化してしまう体質だったのだ。デカマシンは修理中で発進不能。デカベロボで立ち向かうデカレンジャーだが、 ボンゴブリンのスピードに翻弄される……と、デカベロボまで大苦戦。
 基本この手のシリーズは、デカい=強い、という世界観なので、ここまで圧倒的だったデカベロボでしたが、早い内に、 デカベロボ=パワータイプ、デカロボ=スピードタイプ、と適性を分けてきたのは、使い分けの理由になるので良い所。……まあ問題は、 仮にデカロボ出せてもボンゴブリンに勝てそうにない所ですが。
 「正義は絶対勝つんだ!」
 コックピットで吠えるバンの叫びに、割って入るクールな通信。
 「またそんな。ナンセンスなこと言ってないでどいてください」
 デカベロボの頭上を飛び越え、一台のニューマシンが、地球の大地を走る!
 その名を、デカバイク!!
 ……て、そのままだ!!!
 名前まんまのデカいバイクは人型のデカバイクロボへと特捜変形(今回はCG)。
 デカレンジャーロボ
 デカベースロボ
 デカバイクロボ
 と今作ここまで、ひたすら直球。
 暴れ回るボンゴブリンの前にその勇姿を見せたデカバイクロボは特殊装甲でゴブリンの打撃を跳ね返すと、 両手のブレードによる竜巻回転斬りでゴブリンをすぱっとデリート、衝撃のデビューを飾る。
 今ひとつよくわかりませんが、ボンゴブリンの弾力性筋肉を打ち破る為に点や線ではなく面(衝撃波)で攻撃、 とかそういうイメージなのか。
 そして戦いを観戦していたブリッツ、サキュバスの前にデカバイクロボから降り立つ、特別凶悪な、じゃなかった、 特凶のエリート宇宙刑事!
 「なんなのあんた、なんなのさ!?」
 「無法な悪を迎え撃ち、恐怖の闇を、ぶち破る! 夜明けの刑事! デカブレイク!!」
 白ベースに青色が加わった2色構成、金色のラインで飾られ、意匠にローマ数字の「6」が入ったスーツの新戦士、 宇宙警察本部から派遣された真のエリート(重要、テストに出ます)、その名をデカブレイク!
 颯爽と登場したエリート刑事は、腕だけ加速装置を用いた光速拳ライトニングフィストでブリッツのばらまく弾丸を全て受け止め、 電撃拳エレクトロフィストによるパワーウェーブで兄妹を攻撃。物凄い噛ませっぷりで新戦士の踏み台にされた兄妹は這々の体で退却する。
 「俺の左手は、ひと味違うぜ」
 と、ですます調から一転、ブレイクさんは戦闘中は少し性格変わるタイプなのかしら。
 ライトニングフィストは「もう一度見てみよう」的な巻き戻し演出が入り、意図的な『ギャバン』ネタ、「では、 蒸着プロセスをもう一度見てみよう」オマージュかと思われます。『ギャバン』第5話に、敵に狙撃されるも蒸着して弾丸を受け止める、 というまんまのシーンもありますし(そこまで意識していかはともかく)。
 くしくも後に映画『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン』を撮る事になる中澤監督ですが、映画のパンフレットでは、 映画の話が来た時点で『ギャバン』については「蒸着」ぐらいしか知らなかったと語っており、 脚本ないしその他スタッフの主導によるものかと思われます。あと中澤監督は『忍風戦隊ハリケンジャー』で大葉健二ゲスト回を撮っており、 その際も監督わかってないのにアクション監督など周囲が盛り上がって大葉健二に「蒸着」ポーズをしてもらった事があったそうで、 本人のあずかり知らぬ所で『ギャバン』映画を撮る布石が着々と打たれていた模様(笑)
 「これが地球か……」
 変身を解いたブレイクの中身は、20代前半ぐらいの青年。地球出身ながら地球の事を知らない様子、 そしてこの若さで長官の下で15年の経験、という背景が物語に関わってきそうな気配。
 そんなエリート刑事は、スーパースーパークール。
 「正義は勝つとか言って、恥ずかしくありませんか」
 通信を切断して事態をややこしくした相手が、「正義は勝つ」を連発する バカ バンだと知ると、 前回の一致団結・大逆転の原動力を、ばっさり。
 「どういう意味だよ、おい?!」
 バンは基本キレキャラですが……沸点、そこなの?(^^;
 突っかかるバンだが、本物のエリートは、どこまでもスーパースーパークール。
 「姶良鉄幹(あいらてっかん)です、テツでいいですよ」
 さらっと愛称を要求してきた!
 後は一人でやるので、所轄の無能どもは邪魔しないでネズミ捕りにでも精を出していて下さい的な発言に激高し、 掴みかかろうとするバンと、それを止める4人。当の鉄幹は、涼しい顔でそれをかわしてみせ、あくまでスーパースーパークール。
 そう、本当のエリートは、下層と同じ土俵になんて、降りてやらない。
 長官肝煎り、真上から目線のエリート刑事はこのままヘルズ三兄妹を撃破できるのか。 水と油のバンとテツは手を取り合う事が出来るのか、というか今のところ皆無な手を取り合う必要は生まれるのか。 ホージーの存在意義、アブレラさんの独占市場、色々なものが揺らぐ中、テツは、今度こそ、 本当に、正真正銘の、エリートなのか?!

 そう簡単には信じないぞ!

 大惨敗からの新戦士登場、衝撃のデビュー戦というわかりやすい流れ。一応、長官の台詞で、 対ヘルズ3兄妹の訓練を積んだスペシャリスト、という事にしてバランスブレイカーぶりを和らげてはいますが (基本的に強いのは確かですが)、長官の台詞だけで、ブレイク自身による説明がないので、クッション効果は今ひとつ。 ただ強いだけではなく、対策を練っているという理由があって強い、というのは好きなので、 次回以降にうまく物語の中に組み込んで補正していってほしい所です。……ただただ問答無用で強いポジションは、 既に埋まっていますし(笑)
 おまけコーナーは、特凶――特別指定凶悪犯罪対策捜査官、について。
 「全宇宙警察から集められた精鋭達の中でも、超難関の資格試験をクリアした、エリートのみがなれるのだ」
 というマスターの説明だけで十分なのに、ホージーさんが横に立っているのは、 どういう主旨の公開処刑なのかッ?!
 酷い、酷いよ、ホージーさんがそもそも「超難関の資格試験をクリア」できなかった、 どころか「全宇宙警察から集められ」なかった、という事実を強調するなんて、 スタッフはホージーさんに一体どんな恨みがあるのか。
 デカブレイクは三分の一ぐらい青いし、戸増宝児、本格的に殉職の危機。
 大丈夫、ホージーさんの残念は永遠だから。
 というわけで、やたらにバンが突っかかるなど、今作序盤で失敗した、バンとエリート水と油の再挑戦、 という要素はありそうなデカブレイク。ホージーは結局、言う程エリートではなかった上に残念だった、 とバンと同じフォルダに突っ込まれてしまいましたが、一度失敗しているだけに、どんな差異をつけてどう転がすか見物です。
 しかし急に言動が軽くなったり、無駄に喧嘩腰だったり、メインライターなのに、荒川さんが書くとバンの扱いがいまいち悪いのですが、 苦手なのだろうか、この手のキャラ。
 次回、
 「気持ちで勝てるなら、スペシャルポリスなんていらないですよ」

 そう、大切なのは、装備と火力。

 それが全宇宙共通のジャスティス☆

◆Episode.23「ブレイブ・エモーション」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)
 訂正:デカブレイクの青分は、4分の1ぐらいでした。
 これは、4分の1ぐらい残念、という暗示だろうか……。
 そんなデカブレイク、OPに追加。
 途中まで完全にいつも通りだったので、あれまだ? と思ったら、割と不意打ち気味に。デカバイクロボも併せて追加され、 OPの派手さが増しました。
 「気取らない性格ですので、テツと呼んで下さい」
 つまらなそうな5人を気に留める様子もなく、爽やかにボスへ挨拶する特凶のエリート・姶良鉄幹――テツ。
 挨拶もきちんと出来、厭味でもなければ喧嘩腰でもなく、所轄の無能なデカレンジャーどもに悪口雑言を並べ立てるわけでもないが、 ただ淡々と正論を述べるという、それはそれで社会的には難のある人格であった。
 「おい特凶! 正義は勝つってのの何が悪いんだよ。俺たちはそれを合言葉に勝ってきたんだぞ」
 「それは、よほど運がよかったんです」
 「違う! そう信じる気持ちが勝利を呼ぶんだ!」
 「でも……さっきは負けてましたよね」
 「あれは……」
 「気持ちで勝てるなら、スペシャルポリスなんていらないですよね」

 土下座したくなるようなド正論

 前回、スーパースーパークールと書きましたが、クールというよりも、良くも悪くも正直者といった感じか。 思った事を全部そのまま口にするタイプというか。
 幼い頃、アリエナイザーにより両親が殺され、本部で引き取られて育った為に宇宙刑事として15年のキャリアを持つ、 純粋培養のマッドスペースデカ、姶良鉄幹。長官からの通信により、ヘルズ3兄妹への対処は全てテツに一任される事となり、 テツはやさぐれる5人に、何もしなくていい、という極めてストレートな指示を出す。
 「地球語で端的に言うと…………んー……足手まといですから!」

 事実

 デカバイクロボのメンテをしているスワン部屋へ赴いたテツは「貴女のような優秀で美しい人がこんな田舎でくすぶっているのは惜しいので、 僕が本部に推薦しますよ」とスワンさんをナンパするが、「田舎のせまーい所が好きなの」と鮮やかに袖にされる。
 ――スワンさんの魅力にいち早く気付くとは、なんて立派な奴なんだ、テツ!
 君を、真のエリートと認めよう!(早い)
 「信じる気持ちで勝てる」とか譫言を言っているこの星のデカレンジャーは大丈夫でしょうか? と問うテツに、 「そうよねー」とあっさり同意するスワン。
 ……ボス、ボス、頻繁に無茶苦茶やるから、内心、深く静かに怒ってますよ!!
 「でも…………あなた恋愛経験ある?」
 「え?」
 「恋って魔法みたいなものでしょ。好きな人の事を想うと、それまで不可能だった事でも出来ちゃったりして」
 「はぁ……」
 「それと同じ事よ」
 がんがんストレートだけ放り投げるテツに対し、緩急をつけたオトナのボールを返すスワンさん、と対比の巧く出たシーン。 そこへブリッツ出現の報に、飛び出してゆくテツ、それに駆け並ぶバン。
 「協力を要請した覚えはありませんけど」
 「黙って見ているなんて、俺の気持ちが許さねえ」
 油断するとすぐバカ(なだけの)キャラになってしまうバンですが、これはバンの熱さがいい方向に出た台詞。
 「なんでも気持ちでやってしまうんですね」
 そしてその前向きな行動力の根っこを、すぱっと否定するテツ。
 「わりいかよ」
 「感情は往々にして攻撃の計算を狂わせる。だから戦いにおいては気持ちを出すな。俺はそう習いました」
 「そんなの知るか!」
 「お話になりませんね」
 残りの4人も追いつき出動しようとするが、テツは5人に待機を命令。もしそれを破れば、命令違反でデカレンジャーの解散もありうる、 と厳命して一人で出動する。
 テツの乗り物は、一輪バイク・マシンボクサー。未来すぎて普通に乗って走れないデザインの為、走行シーンは完全にCG処理。 ……それで追加されたOPで、一人だけ変だったのか。まあ、CG追加なので、走行シーンの新規撮影しないで済んでたりもするのですが。 途中で通りすがりの一般市民の子供に「凄い」と言わせるなど、デカブレイクのニューヒーローポイントを補強。
 暴れ回るブリッツとサキュバスの前に現着したテツ、恐怖を味わわせてやる、という二人にも全く怯みはしない。
 「ナンセンス。俺は今までに戦いの中で恐怖を味わった事は一度もない。恐怖を味わうのは、おまえたち犯罪者のほうだ」
 そう、剣山で囲まれた土俵で相撲したり、油風呂に入ったり、 硫酸の入ったティーカップを頭の上に載せて座禅組んだりなどなどして育成された、スペシャルポリスの最精鋭部隊・特凶に、 「恐怖」の二文字は存在しない。
 やはり戦闘に入るとちょっと性格が変わるっぽいテツ、これが宇宙警察純粋培養の、あっけらかんとしたデリートモンスター!
 「特凶秘伝の必殺拳法、星拳アクセルブローを、見せてやる!」
 (※「せいけん」の漢字は適当にあてました)
 兄妹の繰り出したメカ人間を相手に、デカブレイクのアクション見せ場で、様々な属性攻撃を放つ左腕のギミック見せ。 灼熱拳ファイヤーフィストでは火球を放ち、剛力拳パワーフィストでは倒れた工場の煙突を投げつけてメカ人間輪っか3体をまとめてデリート。 先日、デカレンジャーが1対1で手も足も出なかったので、少なくともノーマルデカの3倍以上の戦闘力というヒエラルキー。
 オールドファンとしては『仮面ライダースーパー1』を思い出す所ですが、惜しげも無い特殊ギミックで、 単独でかなりの技を使える所など、マスター同様、ブレイクも単体ヒーローぽいコンセプトなのか。
 メカ人間を蹴散らしたブレイクに襲いかかる兄妹、吹き飛ばされるブレイクだが、華麗なブレイクダンスを披露すると反撃開始、 2対1でも兄妹を圧倒する。
 ここは結局、ヘルズ3兄妹のデータに基づいて戦闘している、という描写はなく(設定上はそうなのかもしれませんが)、ただ強い、 というだけになってしまったのは少々残念。
 兄妹を追い詰めていくブレイクだったが、ブリッツがサキュバスを巻き込んで魔法陣による超必殺技を放ち、 まさかの攻撃でさしものブレイクも大ダメージを受けてしまう。妹を巻き添えにする事もいとわないブリッツの非道さに動揺した所を押し込まれ、 危機に陥った所を寸前で救ったのはデカレッド。
 赤「やっぱり来たぜ!」
 そして命令違反を承知の上で並ぶデカレンジャー。
 青「ふっ、正義が勝つってのを見せるためにな」
 桃「解散させるなら、させなさいよ!」
 黄「この星はあたし達が守る!」
 「あなたたちじゃ無理です」
 緑「無理かどうか見てなよ、特凶くん!」
 ブリッツに突撃する5人だが、悲しいかな、戦力と力量の差は残酷。
 (確かに、力と技のバランスはいい。しかし! この相手には無理です。通用しない!)
 ブレイクの戦況分析通り、見事に通用しない5人。
 だが……5人は立ち上がり、くじけない。
 何故なら、無法なアリエナイザーを前に、正義のスペシャルポリスが諦めるわけにはいかないのだ。
 「まだまだ……これからだぜ。正義はなぁ……正義は必ず勝つんだ!」
 粘るデカレンジャーにブリッツは再び魔法陣による超必殺技を放ち、5人は直撃を受けるが、しかし根性で耐える。
 「あのスーツでは、どう計算しても耐えきれない筈なのに、どうして……」
 その時、ブレイクの脳裏に浮かぶ、スワンの言葉。
 ――それまで不可能だったことでも、できちゃったりして――

 つまり 恋 の 魔 法 ですか?!

 多分、ちょっと違う。
 「これが……気持ちで戦うってことか」
 感情は計算を狂わせる。
 しかし、計算を超える力も生むのだ。
 5人は魔法陣をぶち破ってブリッツに怒濤の連携攻撃を浴びせ、よろめくブリッツ。
 「凄い! なんか、いい!」
 ……あ、踏み外しちゃった、足。
 「凄いですよ、みなさん! 見直しました、俺」
 若干ブレイクの宗旨替えが早い来もしますが、しかしまあ、根性論で戦う辺境吹き溜まりの平デカが、 作戦でもチームワークでもなく気合いで、勝てる筈の無い敵を追い詰めてしまったのだから、真エリートとしては、 強烈なカルチャーショックを受けても仕方がありません。
 なんというかこう、凄い優秀で頭のいい仕事の出来るエリートが、 ふとしたきっかけでオカルトにかぶれる瞬間を見てしまった気がする。
 「ジャッジだ特凶!」
 「リバーシア星人ブリッツ、大量殺人、破壊、略奪の限りを尽くし、79の惑星を消滅させ、 地球に混乱をおこした罪で……ジャッジメント!」
 勿論、デリート許可。
 ハイブリッドマグナムと、星拳アクセルブロー奥義・必殺拳スティックハンマーの合わせ技で、6人のデカはブリッツをデリート。 この、ヤックデカルチャ! な勝利に6人の心は一気に一つになる。
 だが……死んだと思われていたサキュバスが立ち上がり、最後の力で放出した生命エネルギーによる魔術でブリッツは復活し、 怪重機を呼び出すと逃亡。
 前々回の最初から登場しているのに、超必殺技巻き添えで終わりだとあんまりだなぁ……と思っていたサキュバスに、 しっかり仕事があって良かった。
 逃げる怪重機を追い、修理完了したデカマシンが出動してデカレンジャーロボ・ビルドアップ。デカバイクも出動し、 強引にそれにまたがるデカレンジャーロボ。「無茶苦茶ですねぇ」とブレイクは嫌そうだけど、 明らかにこの為に作られている感じなのですが。……或いは、スワンさんがメンテのついでに恋の魔法でそれとなく改造したのか。 この辺り、宇宙のスペシャルポリスの統一規格(多分)なので、新メカとのいきなりの合体にあまり無理がないのはいい所。
 デカバイクに乗ったデカレンジャーロボ――ライディングデカレンジャーロボは怪重機を追跡、 巨大ロボット同士でのチェイスシーンという面白展開。巨大メカのミニチュアに凝った今作らしいアクションで、 追跡から主題歌アレンジで弾幕を突っ切って戦闘にもつれこむ流れは非常に格好よくなりました。 デカレンジャーロボはデカバイクのパトエネルギーを連結し、ランディングジャスティスフラッシャー。 ブースト機動の怪重機と交錯しながら互いに撃ちまくる、というハッタリの効いた高速戦闘で、見事にゴッチュウ!
 勢いの突き抜けた、爽快感のある、いいロボ戦でした。
 「先輩、計算を超えた戦い、楽しませてもらいましたよ」
 そして真エリート、辺境で悪い遊びを覚えてしまう。
 全滅しかけたり仕事が無くなりそうになったり免職の危機だったり色々あったけど、これにて一件コンプリート。 お役御免となったテツは本部へ帰還……する筈だったが、勉強と新たな特別指定凶悪犯の来襲の可能性を考慮し、 長官の許可を得てしばらく地球署に勤務する事になる。
 「いやー、スワンさんと離れるのが辛くなっちゃいまして」
 スワンさんの肩に手を回そうとするが、空振り。
 華麗に回避したスワンさんが話しながら、ボスの方へ近づいていくというが、ときめきポイントです。
 ありがとうございました。
 なおテツ、スワンさんが華麗にかわしてくれなかったら、Dソードベガが飛んできた可能性が高いので要注意。
 それが地球署のジャスティス。
 「楽しみね、ドギー。あの子が増えて、5人がどんなふうに進化するのか」
 「ふっ、そうだな」
 久々の夫婦モードです。ご馳走様です。
 もう少し引っ張るのかと思いましたが、真エリートデカは高速で地球署に馴染み、予想外に早く、落着。
 恐るべし、恋の魔法。
 テツは、マスターを尊敬しているか、スワンさんに転ぶか、どちらかのネタを入れてきそうだなぁとは思っていたのですが、 両方でした(笑)
 それ以上に、バン及び地球のデカレンジャーに感動を覚えてしまったようですが。
 新キャラとの人間関係でしばらくごたつく、というのは個人的にはあまり好きではないので、さっぱりまとまってくれたのは良し。
 個人的にはホージーさんが“エリート仲間”としてわかりあった雰囲気で近づこうとして、 「え? 頭に虫わいてるんですか?」的な態度を取られて再起不能になる、というのもちょっぴり見たかったけど。
 結果的に3話構成のデカブレイク登場編となりましたが、大逆転からデリート寸前まで行くもブリッツ出現→ デカブレイク無双でボンゴブリン抹消→6人の力を合わせてブリッツ抹消からライディングデカレンジャーロボ、と、 3編それぞれにクライマックスとひとまずの決着を付けつつバトルをインフレさせていく事で、 あまり間延びしなかったのも良かったところ。
 ブレイクの特殊攻撃、ブリッツの魔術攻撃、スーパーマシンのアピール、そして正義は勝つ展開、 と児童層の好きそうなものをキャッチーかつふんだんに盛り込み、わかりやすいヒーロー展開でまとめた、というのは、 どちらかというと理屈っぽい造りだった今作で、新キャラ登場とともに若干の路線補正か。
 そういう意味でこれまでの流れに対して少々のズレは感じるも、しかし気持ちのいい展開に収めたと思います。
 この爽快感、大事。
 どうでもいいけど、ラストの捜査本部シーンで、さらっとセンちゃんが高速でペン回しをしていた。

◆Episode.24「キューティー・ネゴシエーター」◆ (監督:辻野正人 脚本:武上純希)
 いきなり半裸を披露する真エリート。
 お馴染みウメコのバスタイム……と見せて、ウメコから一番風呂を奪い取ったテツ、アリエナイザー工場襲撃の報に、いち早く現場へ。 この際、「しばらく勉強の為に地球に残る事になった」と前回のオチをナレーションで改めて補足。
 現場に居たのはメカ人間と、バリス星人アッティカ・アルパチ。クライムファイルに犯罪歴のないアルパチだが、 とりあえず変身したブレイクは竜巻拳トルネードフィストでメカ人間を軽く蹴散らす。
 「おまえ、弱いな!」
 工場に入り込もうとするアルパチが手にしていたのは、周辺一帯を吹き飛ばす威力を持つ、強力なグラビトン爆弾。
 「大人しくするな! 爆発させないぞ!」
 「え?」
 意味不明な発言に虚を突かれた正直者は、電撃触手で掴まれて変身が解除され、人質として工場内部へ引きずり込まれてしまう……。
 早くも二連敗気味のブレイクは、非論理的な出来事に即応できない、というベタな弱点なのか。
 犯人が強力な爆弾を所持している、という事で無理な突入作戦を諦め、立てこもり犯との交渉に切り替えるデカレンジャー。 交渉役にはホージーとウメコが立候補するが、ボス、ウメコを指名。
 これは、テツへのスパルタなのか、ホージーさんへの安定した信頼の薄さなのか。
 地球署の指示で周辺地域に避難命令が出されて無人になる中、アルパチとの交渉へ望んだウメコは、そういう言語の種族なのか、 翻訳装置の故障なのか、アルパチが逆さ言葉を使っている事に気付く……。
 というわけで逆さ言葉のやり取りで面白みを、というシナリオなのですが、正直、面白いというより面倒くさい感じに。 わかりやすさも考慮したのか、途中からは「……じゃない!」と否定語をつけるだけになりますし(^^;
 立てこもり犯との交渉をそのままアリエナイザー犯罪に置き換える、という状況設定自体は面白かったのですけれども。
 アルパチの要求は、宇宙警察に逮捕された息子の釈放。いい感じに交渉を進めたウメコは爆弾を回収する事に成功するが、
 「そこを、押せ!(押してはいけない)」
 という言葉に、ついスイッチを思いっきり押してしまう。起動した爆弾の爆発まであと1時間……爆弾を止めるには、 アルパチの息子が持つ鍵を使うしかないが、ボスとスワンの調査では、アルパチjr.は地球署はおろか、 近隣の宇宙警察のどこにも拘留されておらず、逮捕記録もない……。
 この言葉に態度を硬化させたアルパチは爆弾を取り戻し、もう待っていられないと突入するデカレンジャー。
 既に人質の存在が忘却されていますが、宇宙警察だし、人質はテツだし、二重の意味で仕方ない。
 スペシャルポリス 心得の条
 我が命我が物と思わず
 ジャッジメント、あくまで陰にて
 己の器量伏し、デリート如何にても果たすべし
 なお 死して屍拾う者なし 死して屍拾う者なし 死して屍拾う者なし
 ウメコは必死に4人を止め、更にそれをフォローするテツ(この場合、想定される最初の被害者はまず自分なので、 決していい話ではない)。地下からの微妙な振動に気付いたセンちゃんがシンキングタイムで、無人となったポイント241に、 地球銀行がある事がわかる。そう、アルパチjr.は逮捕されたのではなく誘拐されたのであり、 全てはアルパチによる爆弾騒ぎで周辺地域を無人にすると共にデカレンジャーの目を引きつけている間に、 地下金庫を襲って大量の金塊を強奪しようという、ドラド星人ゴルドムの犯罪計画だったのである。
 真相を悟った5人はテツを放置して地球銀行の地下へと向かい、金塊運搬の真っ最中だったゴルドム&メカ人間と戦闘開始。
 「一つ! 卑怯にも身代わりをたてこもらせ!」
 「二つ! 不審な爆弾で人を街から追い払い!」
 「三つ! 見つからないように金庫を襲う!」
 「四つ! よーく考えた作戦だけど!」
 「五つ! いつでも悪事はばれるもんなのよ!」
 インストゥメンタルの「デカレンジャー・アクション」をBGMに、5人がそれぞれ台詞→アクションを順番に行っていく、 という格好いい演出。
 まあ今回、ここ格好良かったからいいか、みたいな。
 最後は連係攻撃でウメコスペシャルアタックが炸裂し、逃亡したゴルドムは怪重機テリブルテーラー2を機動。 ウメコの態度に宇宙警察を信じる事にしたアルパチに解放されたテツがデカバイクマシンで攻撃し、デカレンジャーロボもビルドアップ。
 「ドラド星人ゴルドム、子供を誘拐し、罪もない宇宙人を騙して利用した罪、そして99の星における銀行強盗、 その際の大量殺人の罪で、ジャッジメント!」
 意外と前科の多かったゴルドム、デリート許可。バイクロボの竜巻斬りで抹殺され、デカロボは今回、ジャッジメントしただけ。
 そして父と子は感動の再会を果たし……愛情を確かめ合う親子の後ろの石像は、誰だ(笑)
 ドタバタあったもののグラビトン爆弾も起爆解除され、めでたしめで…………この後、 アルパチ父は宇宙警察に対する爆弾テロ容疑でジャッジメントされるわけですが、 お上にも慈悲があるのかないのか、それはお奉行様次第。
 シナリオとして致命的なのは、ウメコがアルパチの心を開いた理由が、“背後関係も全くわからないまま、 息子の釈放を勝手に約束した”事で、交渉及び警察ものとしては、さすがに破綻してしまっています。 どだい尺の問題で細かい交渉の妙とかを入れるのは難しいにしても(あの<レスキューポリス>シリーズでも、 立てこもり展開は記憶にない)、テロリストの要求を丸呑みしてどうする。その暴挙で爆弾を回収する事に成功したので、 スーパーネゴシエイトと言えない事もないかもしれませんが(^^;
 次回、センちゃんまたモテる?

◆Episode.25「ウィットネス・グランマ」◆ (監督:辻野正人 脚本:武上純希)
 怪重機・ハンタージェットが地球に飛来。職質に無言だと思ったら、いきなりの土下座で、機能停止。内部を調べるデカレンジャーだが、 中は何故か無人で、操縦席には空っぽの魔法瓶みたいな物が置かれているばかり。 果たして怪重機を操縦していたアリエナイザーはどこに消えたのか……?
 実はアリエナイザーの正体は、人間の目には見えないガス状生命体・スピリト星人ビョーイ。 様々な惑星の人間に乗り移っては犯罪を繰り返しているという悪質な犯罪宇宙人であった。周囲を捜索中だったセンちゃんは、 そのスピリト星人を見る事が出来る目を持った少女が、憑依された人間に追われている所を助ける。
 見た目一般人だけどアリエナイザー、というのを表現する為か、憑依された民間人のアクションがかなり派手。 今作ここまでとちょっと毛色の違うアクションで、面白くなりました。
 憑依された地球人は、テツのキックを受けて逃亡。山道で気絶している所を発見される。果たしてビョーイはどこに消えたのか。 デカレンジャーは、スピリト星人を見る事が出来る目を持った少女――その正体は老婆のような宇宙漢方の医者・ シンノー星人ハクタクを連れ、デカベースに帰還するのであった。
 目に見えないスピリト星人を、憑依した人間からいぶり出す方法を知っているというハクタク。 センちゃんがその方法を聞き出す担当になるが、地球人の少女と老婆のような本来の姿に自在に変身するハクタクは素直に協力してはくれない。
 「だいたいおまえたち地球人は外見で、物事を判断しすぎ」
 ……ええまあ、いきなり一斉に銃向けたので全く反論できません。
 まずは機嫌を直してもらう所から始めなければいけないのか……とその時、ハクタクがいきなりの狙撃を受ける。 デカベース内部で狙われたという事は、誰かが既に憑依されている? と、ハクタクと共に外部へ逃亡するセンちゃん、 というサスペンス展開。
 いったい誰が体を乗っ取られているのか……1人で追いかけたテツ、第一発見者のウメコ……現場でのそれぞれの行動から、 取り憑かれた可能性を検討するセンちゃん。
 「ホージーは前科がある」

 ひ ど す ぎ る (笑)

 「宇宙人に狙われる体質かも」

 残・念・体・質

 ひとまずハクタクの地球での隠れ家に向かう2人だったが、抹殺の依頼を受けたアブレラのメカ人間が急襲。 イガグリ先生と相討ちに持ち込む、というここぞでの恐るべき強さを発揮したグリーンだったが重傷を負い、 ハクタクの隠れ家に運び込まれる。センちゃんを看病したハクタクは、そもそも地球に来た目的である、 スピリト星人をいぶり出す薬草を探しに行き、センちゃんは負傷を押してシンキングタイム。
 ……難儀な性癖です(笑)
 「薬……?! よしそれだ、その方法だ」
 隠れ家にメンバーを呼び出したセンちゃんは、これまでの事情を説明。
 「この中に、乗り移られている人間が居る」
 「また、ホージーさんだったりして」
 「なにぃ?!」
 ……なんかすっかり、ホージーさんは作っている側でも、いじられキャラで安定してしまった模様(笑)
 真エリートも出てきたしね……もう、初期設定なんて、丸めて燃えるゴミに出した方が、皆幸せになれるんですよ。
 センちゃんがハクタクの薬箱から取り出したのは、乗り移られているかどうかを判断する丸薬。 普通の人が飲むと激しいくしゃみが出るが、乗り移られているとくしゃみが出ない……まずは自分から、と飲み込んだセンちゃん、 激しいくしゃみ。続けて飲んだ5人だが、くしゃみが出るのはバンだけ。しかし……
 「ビョーイが乗り移ってるのは……バンだね。これはただの、ビタミン剤さ。飲んだってくしゃみなんか出るわけないんだ」
 見事にブラフに引っかかったバンは暴れだすが、そこに戻ってきたハクタクが自ら囮になると、 発見した薬草の場所へ憑依バンを誘き出し、いぶりだしに成功。 怪重機に戻ったビョーイが逃げだそうとする所をライディングデカレンジャーロボで追跡し、撃ち落とす。
 「スピリト星人ビョーイ、48の惑星において住民に乗り移り、破壊の限りを尽くした罪で、ジャッジメント!」
 今回もデカロボがジャッジメント、デカバイクロボが「成敗!」担当でずんばらりん。
 まあ、毎度ライディングジャスティスフラッシャーは大変なので、致し方ない役割分担か。
 最後はハクタクからプレゼントを受け取ったセンちゃん、開けると玉手箱で老人化。似合いのカップルにされてめでたしめでたし?  というオチ。なお、おまけコーナーで無事に回復しました。
 アンドロイド少女から宇宙を股に掛ける老婆まで、センちゃんのモテスキルに死角なし。オーソドックスで、 シンプルにテンポ良くまとまったサスペンスシナリオ。全体の構成としては、デカブレイク登場編の後、 テツと各メンバーを絡めてそれぞれに感心させる、という流れになるのか。
 そんなわけで次回、

真のエリートとは何かを問う感動巨編!
「リーダーはウメコな。ホージー……ああ、ホージーはそこの書類でも整理していてくれ」
「俺は……」
「なあ相棒。相棒って、ホントにエリートなのか……?」
「俺は――」
「ホージー先輩って、存在意義ないですよね」
「――俺は燃えるゴミじゃない、燃えないゴミなんだ!」

 (※予告には、本編にない台詞が含まれている場合があります)
 み、見るのが怖い(笑)

→〔その6へ続く〕

(2015年7月2日)
(2017年3月14日 改訂)
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