■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ4■


“プロフェッショナル くぎ付けになる
地球署のセレブ It's Judgement time! デカレンジャー”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』 感想の、まとめ4(Episode.16〜Episode.20)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆Episode.16「ジャイアント・デストロイヤー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希)
 「私って、悪い機械なんでしょ?」
 自分の正体を知ってしまい、ギーガスに取り込まれた夢を見て呻き苦しむフローラを励ますセン。
 「たとえ作られた目的がそうでも、フローラにはもう、正しい心が生まれてるんだ」
 「ここに居て、いいの?」
 「当たり前さ」
 そんなセンをフローラは心配する……と、“人間の心”の存在を短時間で表現する為に“他人を心配する心”としてきたのは、 分かりやすいところ。これで視聴者に、前回無表情だったフローラに確かに心が芽生えている事が伝わりますし、 話の流れもスムーズに回ります。
 「みんなの幸せを守る為に、時には誰かが危険を冒さなきゃならない」
 だから自分達は日々の訓練を受けているんだ、とフローラを優しく諭したセンは、彼女の破壊やむなし、という状況を起こさない為にも、 ギーガスとメテウスの行方を追って出動。
 マシンモンスター・ギーガスが成長しきれば、その大きさは都市一つ分ともなり、まさしく究極の破壊兵器と化してしまう。
 「奥の手を出す時が来たようだ……」
 「……言うと思った。でも、デカベースクローラーの更にその先は、上手く行くかどうかわかんないわよ」
 「それが上手く行かなければ、もう打つ手はない」
 「そうなった時、地球の運命を握っているのは、実はあの、アンドロイドの子かもしれないわね」
 「うむ」
 そんなボスとスワンの会話を、耳にしてしまうフローラ。
 「私が、運命を……」
 センの言葉を思い起こし、何かを考えたフローラは、何故かデカベースから姿を消してしまう……連絡を受けたセン、とりあえず逆立ち(笑)  フローラの行動に心当たりが閃いたセンは、マーフィーを呼び出してその行方を追う。そして臭跡を追った先で目にしたのは、 メテウスと接触するフローラの姿であった。
 「私はギーガスの頭脳。やらなければならない事があるの」
 フローラは、メテウスに作成されたアンドロイド・メリアとしての使命に目覚めてしまったのか? 身構えるデカレンジャー、 銃を持ち上げるホージー、だがセンが一人、フローラの方へ一歩を踏み出す。
 「フローラ……君は自らギーガスに取り込まれて、破壊を止めるつもりなんだろう」
 「なに?」
 「自分を犠牲にするなんて、そんな事しなくてもいいんだ」
 「センは、何度も命がけで私を助けてくれた。私が、みんなを助ける方法は、これしかないの」
 そう、未発達な自己意識の中で目覚めた他者を慈しむ心、いくつかの情報を統合したフローラは、 自分が犠牲になる事でギーガスを止めるのが“自分に出来る最善”だと結論を出したのであった。
 しかし、センはそれを否定する。
 「君みたいに小さな存在が犠牲になるなんて、そんな悲しい事しちゃいけない。そんな事をさせない為に、 俺たちデカレンジャーは居るんだ」
 職業戦隊ゆえに自明であったデカレンジャーにおける“ヒーローの存在意義”を、 ここで改めてびしっと入れてきたのは良かった。
 「時に誰かが危険を冒さなければならない」が、それは決して自己犠牲ではない。自己犠牲にしない為に訓練を積み、 それにふさわしい能力と技術を持って誰かが犠牲になるのを防ぐ為に戦う、それが、デカレンジャーというヒーロー。
 4年後の『炎神戦隊ゴーオンジャー』でも武上純希はテーマとして盛り込んでいますが、“ライトスタッフとしてのヒーロー” というのは、この時期の武上さんのテーマ性だったのか。
 「セン……」
 「さあ、一緒に行こう」
 フローラに向けて手を伸ばし、近づいていくセンちゃん。そのセンに向けて、メテウスの銃が火を噴く! 爆炎がセンを飲み込むが、 その中から現れたのは、一切ひるむ事なく前進し続けるデカグリーン!
 変身後もダッシュするわけでなく、手を差し伸べたポーズのまま、ゆっくりと前に歩み続ける、 というのが非常に格好良い。
 メテウスの連射をものともせず、ただただ、前進していくデカグリーン。
 「な、貴様!?」
 遂にその歩みは思わず後ずさったメテウスの目の前に達し、グリーンは開いた手を、拳の形に握りしめる。
 「フローラは、俺が守る!」
 グリーンの正拳を浴びて、吹っ飛ぶ破壊王。
 デカゲージ満タン時のセンちゃんは、ひたすら凄い。
 それこそ笑ってしまうぐらいの格好良さで、ボスも甘くなるわけです(笑)。
 「ティタン星人メテウス、34の惑星で発明した兵器を使い、破壊活動を繰り返した上、大量殺人を犯した罪で、ジャッジメント!」
 判決:さくっと殺っちゃって
 Dバズーカを構えるデカレンジャー。だが……
 「俺は、破壊王メテウス様だ! てめえらの手にかかるぐらいなら、玉砕するぜ!  辞世の句……裁かれて 刑場の露と なるよりも 自ら割れて 裂けて散るかも。うぉぉぉぉぉぉぉ!」
 破壊王、手にした装置をポチッと押して、爆発四散……というまさかの新パターン(笑)
 「自分で自分に刑を科すとは……」
 「さすが破壊王というか」
 犯罪者の自爆に感心してしまうのが、血まみれの宇宙警察スピリット!
 メテウスはデリートされ、フローラを救出したデカレンジャーだったが、怪重機を平らげたギーガスが地上に出現、 コントロールプラグラムの無いままに暴れ出す。デカロボで立ち向かうデカレンジャーだが、デカロボを上回る大きさにまで成長し、 複数の触手を振り回すギーガスの前に銃も剣も効かず、苦戦に陥る。
 そして……身を潜めていたフローラの前に自爆した筈のメテウスが姿を現す。自爆装置は3Dホログラムによる偽装で、 割り切りの早い破壊王は、しかしそれほど潔いわけではなかったのだ。
 「いくら人間らしい仕草をしたってな、しょせん機械は、人間にはなれねえんだよ」
 フローラを捕らえて戦闘プラグラムをインプットしようとするメテウスだったが、背後から組み付き、膝蹴りを浴びせる青い影!  犬着ぐるみ状態では初のアクションを披露したのは、そう、時代劇展開なら任せとけ、昭和鬼畜系ヒーローこと地球署ボス、 ドギー・クルーガー!
 「誰にも指一本触れさせないと、センと約束したからな」
 センちゃんにだけいい格好はさせないと、真のイケメンパワーを発動するボス。
 「おのれぇ……」
 「行くぞ! エマージェンシー・デカマスター!」
 今日もノリノリの地獄の番犬は、フローラを後ろにかばって刀を振るうと、メテウスの連射を弾いて全弾撃墜。
 「待ってくれ、俺も破壊王。辞世の句を……」
 同ネタで逃れようとする破壊王に、サムズダウンのポーズ。
 その指さした先に破壊王が視線を動かすと、弾いた弾がマークに。
 「俺に誤魔化しは通じない。今度こそ本当に、デリートだ! ベガスラァァァッッシュ!!」
 今度こそ間違いなく抹殺されたメテウスであったが、ギーガスの脅威は止まらない。この難敵に対抗する為、宇宙警察地球署は、 その奥の手を発動する!
 大苦戦するデカロボを援護するデカベースクローラー。そして発動する、デカベース最終形態。
 「超巨大機動・デカベースロボ!!」

 凄く普通に立ち上がった。

 クローラー形態から立ち上がり、人間型超巨大ロボになったその姿こそ、地球署の奥の手にしてデカベース最強の姿・デカベースロボ。
 ……というかこれ、グレートタイタン(笑)(『超新星フラッシュマン』)
 フラッシュ星人からの技術供与が激しく疑われます。
 前回、移動要塞に大喜びしていたら、まさかの、ロボ変形。しかも合体とかではなく、完全に独立した2号ロボ。
 デカレンジャーは、デカロボからデカベロボへと乗り移り、真ん中で一人だけ椅子に座っているボスに階級組織の上下関係を感じてみたりする。 デカロボの1.5倍以上はあろうかという超巨体のデカベロボはその大火力でギーガスを圧倒すると、 最後はみんなで叫ぶ必殺技(何言っているのか全くわからない)でギーガスを撃滅。
 明らかにいきすぎた火力を、地球人類に見せつけるのであった。
 ベースそのものが変形するという大仕掛けであり(それが日常な某戦隊もありますが)、 さすがに切り札中の切り札中という扱いかと思われますが、物語部分を全部吹き飛ばすやりすぎ感(^^;
 その辺りも凄く、グレートタイタン(笑)
 さすがに20年近く経っているので、グレートタイタンより動くけど!
 スワンさんがあれこれ言っていた割には、なんのトラブルも無く変形・戦闘してしまい、出来ればそこで一頓挫欲しかった所。 尺の問題もあるしノリを優先したのでしょうが、少々、勿体なかった。
 サブタイトルは当然、二つのロボットを掛けたのでしょうが、何だろうこの一方的なデストロイヤー感。
 こうしてメテウスとギーガスはデリートされ、残されたフローラは地球署の働きかけもあり、独立した人格を認められ、 宇宙警察本部で働く事になる。
 「色々、すまなかった」
 本部へ向けて出発するフローラに、ホージーさんが謝った!(笑)
 さすがにいたいけな少女に銃向けたり「分解しちゃえ」と言ったのはどうかと思ったのか、まあ、クールな判断と性格悪いは別なので、 わかりやすいフォローを入れたのは良かったと思います。
 「センと別れるのは、とても悲しい。でも……アンドロイドは、涙を流せないから」
 「馬鹿だな、永遠の別れじゃないんだ。こういう時は、笑っていいんだよ」
 「セン……」
 「1+1は」
 「に!」
 最後までセンちゃんいい男で、大団円。
 実は今回、悪役宇宙人と関わる女性キャラ、それを信じて守ろうとするデカ、信じる力で大勝利、 と劇の基本構造は前回の武上前後編(バン、ベッドの下に潜り込む編)とかなり近く、焼き直してやり直しというか、 まこと素材というのは料理法次第であるな、と。
 次回、だ、ダンディ!

◆Episode.17「ツインカム・エンジェル」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
 謎の物質・悪魔のスパイスの取引現場に踏み込むべく、張り込みをするデカレンジャー。現場で作戦指示を出すウメコだが、 端からダメ出しをされる。
 ……あれ、本当にリーダーなのかウメコ。
 いよいよ取引が成立した瞬間、犯人グループの確保に動くデカレンジャー。ウメコのミスで逃げられそうになってしまうも、 ジャスミンが上手く先回り、デカイエローの激しいカースタントの末、ブツの確保に成功する。ジャスミンの活躍と自分のミスに、 風呂場で落ち込むウメコ。
 「なーんか私、リーダーらしくないかな〜、いまいち」
 本当に本当にリーダーなのか。
 ホージーさんの存在意義はいったい。
 「前から思ってたんだよね。みんなジャスミンの事は尊敬してるけど、あたしの事はおこちゃま扱い、っていうか。…………決めた。 あたし生まれ変わる!」
 かくてウメコのイメチェン大作戦、胸にクールなハードボイルド、が始まったのであった。
 「遅いぞウメコ……あ」
 ジャスミンを意識したストレートの髪型で颯爽と本部に現れたウメコの姿に、硬直するボス。
 「「「「え?」」」」
 「どうしたんだおまえ」
 「前からですよ」
 「「「はぁ??」」」
 「さ、ぼやぼやしてる暇は無し。作戦会議、どーんとやってみるミソ」
 痛々しいものを見る目になるジャスミン(笑)
 ウメコはジャスミンの口調も真似、エスパーの真似事まで始めてバンの肩に手を置く。
 ナレーション「ウメコは、エスパーではない。だから触れても、何もわからないのだ」
 いつものナレーション多発を逆手に取り、淡々としているのが素敵(笑)
 「ねえウメコ、一言いっていい?」
 「ようござんすよ」
 「ミソのつけかた、変」
 そこか!
 「え? そう?」
 「ていうか、なに考えてるわけ?」
 「なにって、あたしは……」
 そこへスワンから、悪魔のスパイスの成分分析が完了したとの報が入る。悪魔のスパイスには常習性のある禁止薬物がブレンドされており、 その混ざった料理を食べた者は、食べ続けるのを止められなくなってしまう恐ろしい調味料であった。いったい何者が、 この調味料を地球に密輸しようとしたのか……マーフィーが反応を見せる大銀河飯店が怪しいと睨んだデカレンジャーは、 まずは男3人がその捜査へと向かう。
 大銀河飯店のオーナーシェフ・ワン役は、ダンディ坂野。演技がちがちで危険水域(^^; 正直アフレコは、 エピソードにダメージを与えているレベル。『オンエアバトル』時代から、なんか嫌いにはなれないのですがダンディ。
 なお世間的な人気の旬は2003年頃だったようで、放映当時はピークは過ぎたけど顔見ればちびっ子も知っているかな、 ぐらいの頃だった模様。
 捜査のカモフラージュの筈が、出された食事に手を出してしまい、あっさりと悪魔のスパイスの陥穽に落ちてしまうダメンズ共。 まあそもそも、「ちょっと休憩で昼食に」という言い訳の時点で、詰んでいた気はするのですが。 ワンはアリエナイザー・オズチュウ星人イーアルとしての正体を現すと、帽子から変な光線を浴びせ、3人の意識を奪う。
 3人との連絡が途絶えた事で、出動する女子二人。ジャスミンは、アイドルから女優への路線変更をはかるウメコに疑問を呈す。
 「ジャスミンを見習って、ジャスミンみたいになるの。ジャスミンの言う通りにするから、よろしくね」
 「やだ」
 「え? なんで?」
 「やだから」
 「そんな〜」
 「限りなく無駄だと思うし」
 この辺りは、ジャスミンの微妙に口べたな所がうまく出た会話。
 明らかに誤解を招く台詞で8割方凄くこじれそうな所でこじれないのは、ウメコの性格のいい所ではありますが(笑)
 結局ウメコを翻意させる事はできず、その行為に「そっちこそ……なんで」と呟くジャスミンであったが、いざ現場に着くと、 二人の息はぴったり。SPライセンスの特殊機能でチャイナドレス姿に変装して店内に潜り込むと、 揚げ餃子にされそうになっているダメンズ共を発見する。
 オズチュウ星人イーアルの目的、それは悪魔のスパイスで虜にした(下味も兼ねてる?)生物を具材にした餃子を作る事であった!
 今回、女子二人を派手に活躍させる、という事だけが目的になっていて全体としてディテールの扱いが凄く雑なのですが、 イーアルはマッド料理宇宙人として、しっかり描けばもっと面白いアリエナイザーになったと思われ、少し勿体ない。
 よくわからないけど素で高速計算も出来るらしいジャスミンの指示で、二人はあわや餃子寸前の野郎達を救い出し、逃亡するイーアル。 だが、追い詰められたイーアルは宇宙酔拳を発動。その不規則かつ強力な攻撃に叩きのめされた二人は変身が解除されてしまい、 一旦物陰へと身を隠す。
 「そうだ……!」
 「なに?!」
 「やめとく。……あたしの考えなんて、どうせ駄目だもん」
 一瞬対策を閃くが、自分に自信が持てなくなっているウメコは、ジャスミンを頼ろうとする。
 なお作戦指示の判断ミスが続いて落ち込むウメコに、追い打ちでトドメを刺したのはホージーさん である事をここに付記しておきます。
 「ジャスミンお願い、何か作戦考えて! 早くしないとあたし達!」
 そんなウメコに、一閃するジャスミンの平手打ち。
 「見損なった。微妙にじゃなくて、激しく見損なった」
 「ジャスミン……」
 「私ずっと、ずーっと憧れてたんだよ」
 「誰に?」
 「決まってるじゃない、ウメコによ」
 「うそ……」
 「嘘じゃない。ウメコは私と違って、とんでもないやり方で、突っ走れるじゃない」
 そこか!
 お互いに無いものに憧れ、そして認め合う、という女性コンビものの鉄板展開ですが、外見から入ったウメコに対し、 素直さとか明るさとかそういう話かと思っていたら、ジャスミン脳はあくまで現場レベルの話だった!
 「ジャスミン……」
 「でももう今日でやめる。ウメコがそんななら、今日できっぱり見損なう!」
 「そんなのやだ! ジャスミンに見損なわれるのなんて、やだ!」
 ウメコはウメコ、ジャスミンはジャスミン、一方的に頼るのではなく、互いが信頼し合える仲間である事を見つめ直したウメコは、 やおら立ち上がると、いつのもの髪型に戻して、イーアルに突撃。酒瓶を奪って自分も酒を飲むと、内なるクンフーに目覚め、 酔拳には酔拳、宇宙酔拳見よう見まね、でイーアルを打ち破る。
 ジャスミンとウメコは海岸にイーアルを追い詰め、ここで流れ出す、本人達の歌唱による二人のテーマソング。 明るくポップ系の歌ながら、「ジャッジメント」の一節は入れずにはいられない所が、宇宙警察スピリット。
 ヒーローが酒瓶奪って酔っ払い展開はどうなんだろう、と思ったら、
 「良い子は絶対、真似しちゃ駄目よ! お酒は二十歳から!」
 と戦闘中の台詞でちゃんとフォロー入れました(笑)
 ピンクとイエローの連続攻撃により、イーアルの帽子の催眠装置が破壊され、正気に戻る人々。役立たず達も目を覚まして駆けつけるが、 その前でイーアルは自らのツボを押して巨大化(笑)  酔いつぶれたウメコに替わって、デカマスターが5号機の運転代行。
 「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。絶対にな」
 お酒ネタも00年代になると大変だなぁ(^^;
 「オズチュウ星人イーアル、宇宙薬物取締法違反、および35の星における大量餃子化殺人の罪で、ジャッジメント!」
 巨大イーアルは特に何をする間もなく、ウルトラ水流からジャスティスフラッシャーで瞬殺デリート。
 「大量餃子化殺人」の言霊も面白いし、怪人としてのポテンシャルを生かし切れなかった感じで、勿体ない。まあ、 ダンディの演技の問題も正直ありましたが(^^;
 焦点はあくまで女性コンビという事で、そこまで含めたキャスティングでもあったのでしょうけど。
 デカマスターの使い方は、面白かった。
 事件が解決し、捜査本部に大量の餃子を持ってくるウメコ、げんなりする野郎達。そこへジャスミン、バスローブ姿で登場。
 「茉莉花ちゃん、良い子強い子元気な子」
 「ジャスミン、おまえまさか、ウメコになるつもりじゃ……」
 ボス、本気で嫌そう。
 「なーんてね」
 ジャスミンとウメコは微笑み合い、互いの友情と同僚としての敬意を再確認すると共に、駄目な男達を引っ張っていかなければ、 と内心深く決意するのであった。
 バンと誰か、以外でメンバー同士がメインで絡むエピソードは、17話にして今回が初。満を持しての女性コンビエピソードで、 荒川稔久の煩悩が炸裂。
 煩悩しか入ってないというか。
 そんな煩悩回のEDは、ジャスミンとウメコがエアギターしながらコスプレ披露したりしつつ劇中で使われたテーマソング (「girls in trouble! DEKARANGER」)を歌うというエンジェルエンド。野郎共も一応、バックバンドで参加しますが、 存在感は限りなく透明。
 女性戦士に歌を唄わせる事を生きがいに戦隊脚本を書き続ける荒川稔久、遂にED乗っ取りで、新たな形のアイドル回を成立させる(笑)
 いやまあ勿論、これはスタッフ全体の仕業ですが、主犯は間違いない。
 というか今回のエピソード全部、やっつけ気味な内容からして、このEDの為の前振りじゃないかという(笑)
 次回……もコスプレ強化で京都からお届けいたします。

◆Episode.18「スペシャルポリス、西へ」◆
 じゃなかった、
◆Episode.18「サムライ・ゴーウエスト」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久)
 未確認飛行物体の目撃情報が相次ぐ京都へと出張する事になるデカレンジャー。
 OPから、
 「特捜戦隊デカレンジャー!」
 「「どすえ」」
 と、細かい遊びの好きな坂本監督という事でか、妙にノリノリな太秦回。
 「拙者の愛した京の都は、何者かに侵略されたでござるか」
 未確認飛行物体の正体であるどこか時代錯誤なゾイナー星人ベートニンは、京都へやってきたデカレンジャーを侵略者呼ばわり。
 …………えー、あー、うん……どうなんだろう、常々この地球は植民地化さている疑惑があるわけですが、 少なくとも『デカレン』時空において、ベートニンさんの視点が間違っているとは、現時点で言い切れないキガスル。
 ベートニンの繰り出した「赤座剣法・雷神剣」を受けて吹き飛ぶデカレンジャー。 変身の解けたバンの顔を見たベートニンは急に刀を収めて親しげに近づいてくる。
 「おお!? その顔は、赤座伴之進どのか!」
 それは、新撰組に加わっていたと赤座家では伝えられていた、バンの先祖の名であった。 空腹で目を回したベートニンの心をジャスミンが読むと、ベートニンがかつて、不時着した地球で伴之進に救われていた事がわかる。 伴之進との交流で武士道に目覚めたベートニンは新撰組の志に共感し、京都を守る為に自分も戦うと決意を固め、 一度故郷に戻って修行をした上で、再び地球を訪れたのであった……140年後に。
 平均寿命6万年のゾイナー星人にとっては、140年も数ヶ月程度の感覚であり、 ゆえにベートニンは幕末から変貌した京の都の姿を理解できなかったのである。
 京都はともかく、スペシャルポリスの存在すら把握していなかった辺り、種族の特性以上に、かなり頓珍漢な人格っぽいですが(笑)  或いは種族的に困った宇宙人なのか。
 今は幕末の京都ではない事を理解して貰おうにも、デカレンジャーはすっかり侵略者と誤解されてしまっている。 穏当にお引き取り願おうとセンちゃんが一計を案じ、コスプレ大作戦発動。
 デカレンジャーは気を失っているベートニンを東映太秦映画村へと運び込み、ナレーションが細かくCM(笑)  この東洋のハリウッドにおいてバンは伴之進へとなりかわり、映画村のセットを用いてベートニンにここが幕末の京都であると誤解させようとする……。

 ジャスミン、さらっと男装で沖田総司。

 これがまた激はまり。
 センちゃん=近藤勇、ホージー=土方歳三、ウメコ=町娘A、という扮装もそれぞれしっくりきており、 コスプレ適性高いなデカレンジャー(笑)
 あとバンは普段、茶色のつんつん髪の為に、猿顔系(失敬)の印象が先に立ちますが、カツラつけると(カツラ引き締め効果も含めて)、 さすがにまあ、綺麗な顔立ちしているな、と。
 意外とこのメンバーで『大江○捜査網』出来そうですよ、ボス!
 ベートニンを新撰組に迎えるにはまだ実力不足、と思わせる為に、その辺りの町娘であるウメコですらベートニンより強いのだ、 と特殊効果の人に協力してもらって、居合い斬り(嘘)でわら人形を爆発させるデカレンジャー。
 幕末の京都は悪鬼夜狼の巷ですので、町娘でもこれぐらいは!
 またここは、敢えて仕掛けの裏舞台と重ねて特殊効果スタッフを見せる、というメタ気味の演出が坂本監督らしくて面白かったところ。
 ……問題はこの作戦自体が、星に帰ってまた修行して数百年後にやってくるのではないか、というその場しのぎの先送りな所ですが(笑)
 地球人類の特殊効果にベートニンは愕然とし、首尾良く運んだかと思われた作戦だったが……バンが転んで、色々とばれる。 映画村の外に飛び出して自分が謀られた事に気付いたベートニンと接触したのは、これも出張中だったらしいエージェント・アブレラ。 アブレラは、ベートニンの愛した京都は既になく、むしろ子孫達によって破壊されようとしている、と吹き込むと、 いっそ神社仏閣を奪い取って君の理想の京都を作ってみないか? と取引を持ちかける。
 ベートニンを追うデカレンジャーの前に姿を見せたのは、キングタンス、ならぬ、超巨大怪重機・ビッグドローワー。 怪重機は次々と京都の名刹を吸い込み、その巨体の中に収納していく。あまりの巨大さに対抗する為、デカベースクローラー、西へ。
 やっぱりこれ、飛んで欲しかったなぁ(笑)
 先行したデカマシンをものともしない超巨大怪重機とぶつかり合う、デカベースロボ! 各デカマシン収納状態でデカベロボになると、 よりパワーを発揮できる、という設定が明かされましたが、「200%」はたぶんボスが適当に言っている。
 重要文化財を収納したタンスを直接破壊できない……と怪重機をサーチした結果、 それを操っているのはベートニンではなくメカ人間である事が判明する。ベートニンはどこかで怪重機を操っているのか……?  ボスから「サムライの魂を教えてやるんだ」とDソードベガを借り受けたバンは、ベートニンを探し、 すっかりやさぐれてしまったベートニンと直接対決に臨む。
 デカレッドvsベートニンは、竹林の中での立ち回り。両者の「赤座剣法・雷神剣」がぶつかり合った結果、子孫の根性か、 マジックアイテム・Dソードベガの補正効果か、一歩上回ったレッドが勝利。
 「ゾイナー星人ベートニン、重要地球文化財窃盗の罪で、ジャッジメント」
 宇宙最高裁判所の判決は……○(デリート不許可)。
 「謎の男から誘いを受けたでござるが、きっぱり断ったでござる」
 そう、あくまでベートニンはビッグドローワーの行為を傍観していただけで、決して犯罪行為に手を染めていたわけでは無かったのである。
 ……というかこの場合、仮に取引していたら、前後の事情による情状酌量の余地などなく容赦なくデリート許可されたのかどうかの方が、 気になります(笑)
 宇宙警察及び宇宙最高裁判所は、窃盗に荷担していたかどうかの○か×かと、窃盗はデリートに値するかどうかの○か×かを、 故意に混ぜているキガスル。
 (6話のカマキリ宇宙人は、デリート不許可の上で、器物破損などの罪には問われる、という話になっていましたが)。
 しかしベートニンは、子孫の志に打たれたとかそういったものではなく、単純に「負けたので勝った方が正しい」みたいな改心の仕方で、 根本的に、悪意はないけどはた迷惑、なタイプ(笑) 平均寿命で理由つけているけど、寿命関係なく困った人と思われます。 後まあ細かい所では、悪人ではないベートニン(デリートされない)がアブレラと取引をせず大した話もしなかった為に 「謎の男」で流されてしまい、デカレンジャーが相変わらずアブレラさんの存在に近づけないままとなっています。
 この辺りよく考えると、アブレラさんはアブレラさんで、“情報を入手するなど微塵も考えずに即刻デリートする” という宇宙警察の体質を踏まえているのであまり気にせず犯罪者と直接交渉していると思われ、げに大宇宙は修羅の巷。
 犯罪は自己責任で☆
 一方デカベロボは、ビッグドローワーの吸収システムを破壊して重要文化財を解放すると、必殺攻撃で超巨大怪重機を撃破。 取引を一度は断られるも、怪重機の性能をプロモーションする事で改めて売りつけようとしたアブレラさんだったが、 企みが失敗に終わりすごすごと飛んで逃げていくのであった。
 かくてベートニンは故郷へと帰っていき、折角の京都を楽しむデカレンジャー。というか上司達がコスプレを楽しみたいが為に、 臨時休暇をねじこんだ疑惑。
 スワンさんは着物姿のうなじで坊や達を悩殺し、着流しを纏う犬。
 なんかちょっとバカップル。
 EDの、デカレンジャーのひみつ☆コーナーは、
 「エマージェンシー・新撰組!」
 「かつら・オン!」
 と、最後まで変にノリノリ。
 辻褄よりも楽しさ優先の太秦お祭り回ではありますが、宇宙警察にもお役所的事なかれ主義の闇を見る作戦の立案者がセンちゃんで、 策士策に溺れる所が描かれたのは、ちょっとした全体のバランス調整か。
 次回、残念ホージーさんの株は上がるのか、それともまた下がるのか……○か×かの二つに一つ、それが宇宙のジャッジメントタイム!

◆Episode.19「フェイク・ブルー」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久)
 ウージョン星人ジンチェ操る怪重機vsデカロボ、冒頭から巨大戦。燃料プラントを襲って目的を達成したジンチェは逃亡を図るが、 立ちふさがったデカベロボの攻撃を受けて、怪重機は爆発四散。
 もう少し切り札っぽく使うのかと思いましたが、割と出てくるデカベロボ(^^;
 スワンさんが頻繁な変形を嫌がっているのに、ボスがノリノリで動かしていそう。
 怪重機から脱出したジンチェは、デカベロボが手に入ればもっとデカい悪事が働けるかもしれない……と考えるが、 そこへ駆けつけるデカレンジャー。
 相変わらず、真面目にやると長い名乗り……ちょっと数えてみたのですが、約30秒。
 今回Youtube配信時間で見ると、Aパートが12分58秒、Bパートが11分47秒。
 OP・EDなどを除いた実時間が20分58秒でまあ約21分とすると、内30秒の締める割合はおよそ2.3%……うん、 細かく計算したら却って、多いのか少ないのかよくわからなくなりました(笑) まあ、見ていてテンポ的に長く感じるのは確か。
 ただこうやって、たまに挟んでくれるのは嬉しい。
 デカレンジャーはジンチェを制圧し、逮捕・連行。
 …………あれ、今日、裁判所お休み?
 これまで数々のアリエナイザーを問答無用でジャッジメントしてきただけに、今回に限って逮捕する、 というのは何らかの理由は欲しかったところ。容疑段階ならともかく、冒頭であからさまに破壊活動していますし。
 確保したジンチェを留置場へ連れて行くホージーだったが、ジンチェの秘術・魂入れ替えにより、体を交換されてしまう。 なんとジンチェは、額と額をつける事で他者と肉体を交換する特殊能力を持ち「入れ替わりすぎて自分が何者なのか、覚えてねぇ」という、 極めて特異なアリエナイザーだったのだ!
 偽ホージーはデカブルーに変身してジンチェ(魂ホージー)を叩きのめすと翻訳装置を破壊して弁解不能にし、 哀れアリエナイザーの姿で留置場に叩き込まれるホージーさん。
 ここまでの展開は少々雑(特に、逮捕の理由がない事)だったのですが、この状況設定は面白すぎます(笑)
 偽ホージーは楽しそうな悪人顔になるとデカベロボを乗っ取る為にベース内部を探し回り、 関係者以外立ち入り禁止の部屋に入ると……そこはウメコのバスルームだった。
 危うく覗きの軽犯罪でジャッジメントされそうになるが、なんとか許してもらう偽ホージー。 クライムファイルからジンチェが既にデリート許可対象である事が判明し、「さっさとデリートしちゃいましょう」 とほくそ笑む偽ホージーだったが、アリエホージーが脱獄。ベース内が緊急警戒態勢に入り、メンバーがジンチェを探しに散らばる中、 偽物はデカベロボの秘密を探るが、そこへアリエホージーが掴みかかる。
 もう一度、おでことおでこをごっつんこすれば元に戻れるのでは、と組み付くアリエホージーだったが、 駆けつけたバンに殴り飛ばされ、皆に銃を向けられる羽目に。
 緑「往生際が悪いねぇ〜」
 桃「男は引き際が肝心よ」
 黄「そーだそーだと言いました、まる」
 (なに言ってんだよ! みんな)
 アリエナイザーになって初めてわかる、宇宙警察の恐ろしさ。
 偽青「助かったぜ、相棒」
 赤「ああ……え?!」
 「「「ええ?!」」」
 赤「相棒! 遂に俺のこと認めてくれたのか!
 喜びのあまり、ホージーの体に抱きつくバン(笑)
 (馬鹿! 俺が言う筈ないだろ)
 翻訳装置を破壊されて意志疎通のできないアリエホージーは、テレパシーで心を読んで貰おうとジャスミンに抱きつこうとするが、
 「不埒者!」
 と、張り飛ばされ、蹴られる。
 器と中身でそれぞれ痴漢行為に走るホージーさんとか、面白すぎるぞ今回(笑)
 偽ホージーは巧く言いくるめてまたも単独行動を取り、逃げたアリエホージーを追う4人。
 (バン、センちゃん、ジャスミン、ウメコ……おまえ達にさえわかってもらえないなんて)
 今気付く、自分の人徳のう・す・さ。
 偽ホージーはスワン部屋に辿り着き、唸るマーフィーを問答無用で銃撃。スワンを気絶させるが、緊急コールで駆けつけるボス。 変身しての戦闘で、当然のように偽ブルーを圧倒するデカマスターだったが、この体を斬ったらもう元には戻れないぞ、 という言葉に動揺した所を蹴り落とされてしまう。
 ……というか、言われるまで斬る気満々だったなマスター。
 その頃、逃亡中に川岸で黄昏れていたアリエホージーは、ジンチェの言動と思考をトレースし、 その目的がデカベースロボ乗っ取りにあると気付く。デカベースに急ぎ戻るアリエホージーは、 ちょうど入り口の所で出くわした4人の銃撃を浴びながらも、気合いで突っ切る!
 (デリートなんか怖がってたまるか! 今突入して何とか出来るのは、俺しか居ないんだ!)
 アリエホージーがデカベースに突入した直後にシャッターが閉まり、勧告無しに起動シークエンスを開始するデカベース。
 「終わりだ。この街もこの星のデカどももな!」
 遂に乗っ取りに成功した偽ホージーはデカベースロボを起動させると、眼下の都市へ向けて必殺技のチャージを開始する。
 ……よくよく考えると冒頭からマスター1人で動かしていたし、サムライ回の時は途中でバンが抜けていたし、 デカベロボは動かすのも必殺技使うのも特に6人乗っている必要が無い、非常にスマートなロボットである事が判明。
 それはそれとして大型破壊兵器の運用ミスで、植民惑星との国際問題まっしぐら!
 このままだと地球署全員、宇宙のシベリア送りだ!
 だが発動の寸前、コックピットに飛び込んだアリエホージーが偽ブルーに組み付いてそれを阻止。 両者はもつれあって外へと飛び出して戦い、ウージョン星人の体の扱いに慣れてきたのか、 肉体派エリートの力を見せて偽ブルーを押さえ込むアリエホージー。
 「いいのか?! 俺を倒せばおまえの体はもう、永久に無くなるんだぞ。それでもいいのかっ」
 (構うもんか……。姿形は変わっても、戸増宝児は永遠に不滅なんだ!!)
 ホージー死すとも残念は死なず!
 残念キャラの伝統は、きっと未来の誰かが受け継いでくれるに違いない。
 悲壮な決意を固めるアリエホージーだったが、いい所でまたも4人が駆けつけてきてしまう。
 「これで形勢逆転だっつーの」
 しかし、余裕を取り戻す偽ホージーの両脇をがっちりと捕まえる、赤と緑。皆の促しをうけ、 偽ホージーにダッシュ頭突きを決めるアリエホージー。
 両者の額がごっつんこで、激しく光がスパークし……
 「……戻ったのか? ……相棒!」
 「――相棒って言うな!」
 お約束が炸裂し、ホージーさん、無事復活。
 ホージーの「相棒」発言……ジャスミンに抱きつこうとしたアリエナイザー……デカベースへの突入………… 外でシベリア送りの恐怖に震えている間に、積み重なった微妙な違和感について皆で考えていたらしく、ホージーさん、ちょっと感動。
 最初にホージーがジンチェを留置場へ連れて行く際にバンの「相棒」発言の後、わざわざ追いかけて小声で「相棒って言うな」 とやっていたのですが、このやり取りがジンチェの耳に届いていない、というのは細かい伏線だったらしく、 このネタもひたすら繰り返していた甲斐がありました。
 立場逆転したジンチェは運試しのコインを投げるが、それを空中でかっさらうマーフィー。 マーフィーが放り投げたコインを一刀両断するマスター。
 「おまえの運もここまでだ!」
 と、途中退場組も復活。ここで落とした分を見せ場で補強される辺り、マスターは愛されすぎです(笑) まあついで(?)に、 マーフィーも格好良いシーンが与えられたので良し。
 ホージー変身し、マスターも加えた地球署一斉攻撃からDバズーカで、ジンチェをデリート。自ら攻撃はせず、 コンビネーション攻撃の踏み台に徹するマスター、上司の優しさ(斬ると倒してしまうから)。
 「これにて一件コンプリート。スーパークールにパーフェクト」
 かくて思わぬ地球署最大の崖っぷち、国際問題で全員宇宙のシベリア送りの危機は回避され、穏やかな捜査本部の空気に、 感動継続中のホージーさん。
 「いえ、この雰囲気が、いいなぁ……って思っただけです」
 「あら、ホージー泣いてるの?」
 「俺がそんなわけないじゃないですか」
 まあ本気で消される寸前だったので、 生死の淵を覗くと人格も変わろうというものです。
 とまあこんな感じで、広大な宇宙では、いったいどんな宇宙人が、思わぬ特殊能力を持っているかわからないので、 宇宙警察では現場での速やかな抹殺が推奨されている、というエピソードでした(え?)。
 一応見せ場回で、出来も悪くなかったのに、差し引きするとどうも+−0で株が上がった気がしないのが、 もはやホージーさんの素敵な所だと思う(笑) 瀬戸際で出てくる台詞が「戸増宝児は永遠に不滅なんだ!!」 辺りの素直に応援できない感じというか(笑)

◆Episode.20「ランニング・ヒーロー」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子)
 「宇宙警察地球署のみんな、げんきー」
 地球署にかかってくる爆破事件の予告……それは、 宇宙各地のスペシャルポリスを標的に数々の破壊活動を繰り返してきた正体不明の犯罪者バイズ・ゴアからの挑戦状であった!
 「今日は、君たち地球署と、ゲームをしたいんだ。ゲームの名前は、爆弾探し」
 巧妙な知能犯にして愉快犯のバイズ・ゴアは、非道な内容とは裏腹に、声も喋り方も子供っぽくて陽気。
 その要求するゲームは、メンバーの1人がプレイヤーとなって、バイズ・ゴアの指定したポイントへ時間内に向かう、というもの。 バイズ・ゴアは既に、地球のあるポイントに惑星破壊爆弾を仕掛けており、間に合えばその仕掛けた場所のヒントを教えるが、 間に合わなければ地球はドカン。
 既に爆弾が仕掛けられている以上、爆発の阻止と犯人の逮捕の為には、このゲームに乗るしかない、とボスはバンをプレイヤーに指定。
 「インポッシブル! 今回のような繊細で緻密な交渉が(以下略)」
 いやホージーさん貴方今、犯人を「ふざけるな!」とか刺激したばかりじゃないですか(笑)
 バンは指定されたポイントへ向かい、指示のあった装置のタイマーを止めると、機械から出てきたヒントは、 「8」と書かれた一枚のカード。そして一緒に置いてあった携帯電話から、犯人の新たな指示が下される。
 密かに待機していたジャスミンにカードから犯人の残留思念を読んで貰おうとするバンだったが、 どこからか監視していた犯人からルール違反禁止、と突然の狙撃を受けてしまう。罰則として、変身も車も禁止され、 生身で次のポイントへと走る事になるバン……一方、デカベースではホージーが犯人の居場所を割り出す為、銃撃の弾道を計算する。
 役に立った!
 20話にしてよやく、ホージーさんにそれらしい活躍の場所が与えられた気がする(感涙)
 (※ジャスミンでも出来そう、禁句)
 走るバン、狙撃地点へ向かう青と桃、と場面を交互に切り替えながら展開。
 指定ポイントに辿り着いたバンだが広大なスタジアムで装置を見つけられず、思いあまって逆立ち。
 ナレーション「これは、センのシンキングポーズである。はたして、バンにも有効なのだろうか」
 「あーーー、やっぱセンちゃんじゃねーからわっかんねー」
 無効だった。
 が、最終的に階段落ちから偶然発見、今度のヒントは「▽」……。
 一方、狙撃地点へ突入した青と桃はメカ人間を撃破してビルの屋上へと辿り着くが、そこにあったのは自動の狙撃装置と、 「ざんねんでしたー」のクラッカー。
 「今までの敵とは、違う……」と、卑劣な知能犯らしさを見せます。
 この間、ジャスミンとセンちゃんは捜査本部で謎解き、とメンバーの役割分担をうまく演出。
 第三のヒントに辿り着いたバンは、ゲームとそれに伴う大量虐殺を心から愉しむバイズ・ゴアへの怒りのあまり、 連絡手段である携帯電話を地面に叩きつけそうになるが、「壊して困るのはそちらだ」という言葉に思いとどまり、 第四の指定ポイントへと走る。
 第三のヒントは「M」……3つのヒントとウメコのしかめっ面を見たセンちゃん、命がけの長時間シンキングポーズから、遂に閃く。 バンがひたすら走る中、惑星破壊爆弾が仕掛けられていると思われるポイントへ向かう4人だが、その前に立ちはだかるメカ人間輪っか。 4体のメカ人間輪っかとの1対1の戦いでは、輪っかの戦闘力はデカ個人を上回る。
 バンがジャケット脱いで寺の石段を駆け上る中、メカ輪っかに追い詰められる4人だったが、その窮地を救ったのは、デカマスター!
 「貴様らなど、俺1人で充分だ」
 まあ、2話続けて地球壊滅レベルの危機なので、マスターも出し惜しみしている余裕がありません。
 マスターは4人を爆弾の解除に向かわせるとメカ人間輪っかと4対1で戦うが(以下略)。
 宇宙刑事、鬼畜!
 一方、ギリギリで装置に辿り着いたバンがタイマーを止めると、中から出てきたヒントは、折りたたまれた白紙。 これは本当にヒントなのか? 怒るバンに「謎は掛けるけど、嘘は書かない」とうそぶくバイズ・ゴアは、 楽しげに「考える時間は1分!」と宣告。4つのヒントを前に悩むバンだが答は出ず、遂に時間切れ。 ゲームオーバーで惑星破壊爆弾のスイッチを入れるバイズ・ゴアだったが、爆弾は起爆しない。そこへ、 無事に爆弾の解除に成功した4人がやってくる。
 爆弾がセットされていたのは、ポイント371。
 「8」「▽」「M」は、それぞれ「3」「7」「1」の鏡文字。最後のヒントは、「半分に折った紙」そのものだったのだが、 眉間に皺を寄せたウメコが手にした鏡を見たセンちゃんは、いち早くその真相に気付いたのである (ここでウメコの表情を指摘したのがスワンさんで、全員が事件解決の要素にしっかり絡んでいる)。
 それを知らずに走っていたバンも(知らせると犯人に伝わる可能性があるからなのですが)、 結果として犯人の目を引きつける役割を果たしており、ここでは知らずに真剣に走り悩んでいた事こそが重要であり、 道化になっていないのもいい所。
 爆弾は不発に終わり、ゲームはデカレンジャーの勝利、だがバイズ・ゴアは正体不明のまま姿を消そうとする。しかし――
 「おまえの居場所も、もうわかってるんだ」
 突然のバンの断言に、ランナーズ・ハイで頭おかしくなった? と酷い反応を見せる4人。
 しかしバンには確信があった。
 常にバンの行動を近くで見ていたバイズ・ゴアの言動、第三のヒント発見の際に携帯電話を壊そうとした時の動揺…… 連絡手段だった携帯電話のカバーをバンが強引にはぎ取ると、その中に潜んでいたのは小型の宇宙人!
 そう、バイズ・ゴアの正体は、平均身長5.8センチのゲルマー星人であり、常にバンに一番近い位置から、 このゲームを悪趣味に見つめ、操作していたのである!
 最初に、バンとジャスミンが接触した光景を映していたカメラが、お約束のよくわからない謎視点カメラと見せて、 実は真相のヒントになっていた、というのはお見事。またそれを、後半に行くにつれてわかりやすくしている演出も秀逸。
 バイズ・ゴアは怪重機キャノングラディエーター2に乗り込み、デカロボ、久々の見せ場。
 「ゲルマー星人、バイズ・ゴア! 15の惑星破壊罪・騒乱罪、及び地球破壊未遂の罪で、ジャッジメント!」
 当然デリート許可で、ジャスティスフラッシャーで抹消。
 「これにて一件コンプリート! はーー、疲れた〜」
 周到な知能犯に対し、理屈を超えるバンの野生の勘を見込んだボスのデカの直感が当たり、事件は無事に解決。最後は、 オイル(餌)をこぼしてマーフィーに追いかけられるバン、また走ってる……でオチ(なお、おまけコーナーでも走らされる)。
 まっしぐらに突き進むバンであるからこそ犯人の思惑を乗り越え、上述したように結果的に囮として役目を果たしたのに加え (そもそもデカレンジャーの目的は、ゲームのクリアではなく爆弾解除と犯人逮捕なので)、 しっかりと犯人の居場所を突き止める見せ場もある、というバランスが巧く収まりました。
 また、純粋な頭脳労働だと役に立たない(立てるとバランスが崩れてしまう)ウメコにもアクションと閃きのヒントという役割を与え、 各キャラクターの活躍もしっかり分担。逆にこういう回では、ジャスミンはちょっと目立たないぐらいで丁度よく、それでも、 超能力を封じられるシーンをしっかり入れており、綺麗にまとまりました。
 後に『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(2007)でメインライターを務める横手美智子が、戦隊初参加(東映ヒーロー作品としては、 『燃えろ!!ロボコン』にも参加)で、デカレンジャーのチームワークを巧く描写。
 衝撃のデカマスター登場からデカベースロボ起動で序盤戦を終えた『デカレンジャー』が、 中盤戦に入ってく中での前回今回と単発エピソードで、上司二人を含め、“チームとしてのデカレンジャー”がまとまってきている、 という2編となりました。
 特にホージーさんが、ジャッジメント寸前となり、人情の温かさに触れ、人格改造されたのが大きい。
 次回、ダーティーエンジェルズ結成?!

→〔その5へ続く〕

(2013年3月5日)
(2017年3月14日 改訂)
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