■『特捜戦隊デカレンジャー』感想まとめ2■
“1! エマージェンシー
2! デカレンジャー
3! Action!
4! Perfect!
5! Get on!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜戦隊デカレンジャー』
感想の、まとめ2(Episode.06〜Episode.10)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕 ・
〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕 ・
〔まとめ6〕
〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・
〔まとめ9〕 ・ 〔まとめ10〕 ・
〔総括&構成分析〕
- ◆Episode.06「グリーン・ミステリー」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久)
-
ゲストキャラの姉妹の地球人名が、「和崎宏美・良美」と実にストレートすぎるもじり(笑)
街で車を切断して暴れ回るアリエナイザー・ジューザ星人ブライディ。駆けつけたデカレンジャーは変身するが、
何故か頭にぞうきんを乗せているセンちゃん、ごく普通にそのまま変身。
「俺は車が大っ嫌いなんだよ!」
ブライディは高い戦闘力を見せ、適当にデカレンジャーを蹴散らすと逃走。これまでは特に前科も無いブライディが、
なぜ突然の犯罪行為に走ったかは不明だが、とっ捕まえてデリートしてやる、と息巻くバン。
「まーまー、落ち着いてバン」
「センちゃんは暢気すぎるよ! 何これ!」
「あれ?」
「なんで、ずーっとぞうきん乗せてるの!」
ツッコんだ!
センの推測によると、出動前に拭き掃除をしていたセンがボスの席になんとなく座ってしまったところあまりの気持ちよさについうたた寝してしまい、
夢の中で温泉気分になって手ぬぐいのつもりで頭に乗せていたのでは……との事。思わず納得してしまうバンだが、
すぐにそういう話ではない、と思い直す。
「どーして怒んないスかボス! 俺が、こんなアホな事してたら、即カミナリですよね!」
「ん……ああ、まあ……センだからな」
いい椅子に座っている事が判明したボス、バンの抗議を適当にスルー。他のメンバーも納得の表情。
「前から不思議だったんスけどセンちゃんってこんなんでデカレンジャーとしてありなんスか」
「ありだ」
「昼行灯の内蔵助よ」
「へ?」
「やるときゃやるから、センちゃんは」
ジャスミンのフォローでその場は収まるが、バンのキレ方が秀逸(笑)
後どう見ても、このチームの要はセンちゃんだと思います。
その時、再び同様の自動車切断事件が発生したとの連絡がもたらされる。しかも今度はドライバーの女性が死亡したという。
被害者は和崎良美……地球警察の現場検証中に死体が変貌したというその正体は、リドミハ星人カーミアであった。
リドミハ星人は、水の豊かな母星が滅びた後、宇宙各地で散り散りになって暮らしている植物型宇宙人であり、
カーミアは姉のカーサス(地球人名:宏美)と共にひっそりと暮らしていた所を、事件の被害に遭ったのだった。
激高したバンは思わず車を叩いて怪我をするが、買い物から帰って来て妹の死を知った姉のカーサスは、そんなバンの傷を、
空気中の水蒸気を集めて水を作り出すリドミハ星人の特殊能力によって洗い流す。
その姿を見つめるセンちゃんは、カーサスが取り落とした買い物袋の中の冷凍野菜ピラフを気にするのであった。
「泣いてる……」
捜査会議で、単細胞にカマキリ野郎に怒るバン。一方、何かが腑に落ちない、と考え込むセン。考えに没頭するあまり、
椅子をひっくり返してなおそのまま、という所までやったのは良い演出。
「いやなーんか、気になるんだよねぇ……」
ホージー回よりもむしろ、バンとの対比がわかりやすく出ていて面白いのはなんとしたものか(笑)
センちゃんは別行動で事件を改めて調べ、4人はマーフィーを使ってブライディを捜す事に。
赤「俺……やっぱセンちゃんは駄目かも」
黄「駄目って?」
赤「なーんか、イライラしちゃうんだよなぁ」
黄「若さだよ……バンちゃん」
単純に、メイン回の順番がまだなのでキャラ付け、という事かもしれませんが、今回ジャスミンが、終始センちゃんをフォロー。
ジャスミンさんも昔センちゃんと揉めたりしたのだろうか、と含みも持たせて面白い。
和崎家最寄りのスーパーで野菜ピラフを購入したセンは、それを持って和崎家へ。カーサスに、水を出す以外にも何か――
例えば金属のような固い物を切ることは出来ますか? と問いかける。
「私を疑ってらっしゃるの?」
「すいません、因果な商売でして」
と、改めて刑事ドラマっぽく展開。オトナ視聴者はまあ大体、事件の真相の推測がつくわけですが、
ミステリとして要点を押さえた構造になっています。
一方、ブライディを見つけ出した4人だったが、ブライディは殺人事件との関わりを否定。
車が大嫌いなのはかつて妻子を交通事故で失った為であり、
今回の事件を起こしたのは若者の無謀運転につい怒りを抑えられなくなっての事だと釈明する。しかし元より単細胞に加え、
女性にちょっと優しくされて舞い上がっているバンは聞く耳持たずに攻撃し、ブライディは再び逃走。
センちゃんは再合流した4人に、真犯人は恐らくカーサスである、と告げる。
「俺は派手な立ち回りは好きじゃないけど、その分いろんな角度からじっくり考える事は出来る。そして信じてるんだ。
そこからしか見えない真実もある、ってね」
センちゃん、遠回しに、じっくり考えない二人を批難。
問題は、いったいどうやって車を切断したのか……スワンの調査で、二度目の方が切断面が滑らかで鋭い、という事がわかり、
シンキングポーズを発動したセンは、ある事を閃く。その裏付けを取っている頃、カーサスはエージェント・アブレラに連絡をつけ、
アブレラは逃走中のブライディを見つけ出す。
「丁度いいい実験台ができた」
呟きと共に放たれたコウモリがブライディを噛むと、なんとブライディ巨大化。
どうする事かと思われたロボ戦ですが、さっそくエージェントの暗躍で、怪人が巨大化するように。思いの外ざっくりと解決されました(笑)
合流した5人はデカマシンで発進し、デカレンジャーロボに。生身がそのまま巨大化した割には強力なブライディだったが、
現場保存テープで動きを封じると、ロボットのままジャッジメント!
「ジューザ星人ブライディ、器物損壊、およびリドミハ星人殺害の罪で、ジャッジメント!」
ひゃっはー、緑色のカマキリ野郎は消毒だーっ!! と意気上がるデカレッドだったが、
判決は、○。
「えー、うそぉ?!」
っておい。
どうしてバンは、容疑者をデリートしたくてしたくてしたくてたまらないのかッ!!
ここまで純然たる、バーサーカー系レッドというのも、居そうでなかなか居なかったような(笑)
そして改めて、確たる証拠もなく印象だけでデリートに持ち込もうとする現場のデカレンジャーに対し、
宇宙最高裁判所が最低限のストッパーにはなっている事が判明しました(^^;
辺境の風が冷たいゼ。
動きを封じられたブライディはジャイロワッパーによりデカベースへと転送され、デカグリーンは「ここからが本番だ」と、
この戦闘の様子を見ていたカーサスの前に降り立ち変身を解く。
「真犯人は、貴女です」
「まだそんな事を……ふざけないで!」
「我々の印象を良くしようとして、バンの傷を洗い流したのは、ミスでしたね」
妹が死んだ直後に冷静すぎた反応、そして何より、表面の氷が溶けていた冷凍ピラフ。
「つまり貴女は……もっと前からあの現場に居た!」
どうやって車を切断したのか? その問いかけにセンは変身すると、駐車場に停めてあった車を持ち上げ、カーサスめがけて投げつける。
駆け寄るレッドが間に合わず、反射的に手の中から放出した高圧水流で車を両断するカーサス。
リドミハ星人は水蒸気を集めて作った水を、高速で放出する事が出来たのだ!
あの日、ブライディによる自動車の切断事件を見知ったカーサスは、妹の車を家の前で待ち受けると、
同様の事件に見えるように高圧水流のカッターで切断。妹を亡き者にすると、警察による現場検証を待って、
いかにも今帰宅したように装って自分への嫌疑を逸らしたのである。
センの見事な謎解きに、本性を見せるカーサス。実は、リドミハ星人は母星を失った放浪宇宙人などではなく、
宇宙警察の目すらかいくぐり、水の豊かな星を次々と侵略している、極めて攻撃性の強い宇宙人であった。
姉妹は地球侵略の調査にやってきた先遣部隊であったが、妹のカーミアが地球に思い入れを持ち地球人との共存を訴えた為に、
カーサスは裏切り者として妹を始末したのである。
「こんな野蛮な星の人間達と共存しようだなんて……もっと大事な事が、私達には、あるというのに!」
「馬鹿言っちゃいけない。他人に罪をなすりつけて、実の妹まで手にかけて、そうまでしてやるべき事なんて……
あるわけがないだろぉぉ!!」
ぶちぎれデカグリーンに向け、迸る水流攻撃。そこからの、ドロップキック。剣を取り出しての斬撃に、思わぬ華麗な回転キック。
だが、コンクリートの壁に叩きつけられながらも、緑はそこから猛然と立ち上がる。
「残念ながら、打たれ強いんだよ俺は!」
その迫力に後ずさるカーサスに反撃をお見舞いし、5人揃ってジャッジメント。
「リドミハ星人カーサス、数々の星の侵略及び、殺人の罪でジャッジメント!」
判決:死刑
……て、え、あれ? この人、これまで宇宙警察ですら掴んでいなかったリドミハ星人による侵略活動の全貌を解明する為の大事な証人ではないのでしょうか。
この場でデリートしていいのか、宇宙警察。
「ターゲットロック!」「ストライクアウト!」
そんな躊躇は一切捨て置いてDバズーカが炸裂し、カーサスはデリート爆散。
「これにて一件コンプリート。この世に解けない、謎はない」
一人だけ爆発をバックに歩み去り、えらく格好良く決めるデカグリーン。
デカベースに転送された巨大ブライディは、原因は不明なままだがメディカルスタッフの治療により元の大きさに戻り、ひとまず落着。
リドミハ星人の件も本部に連絡され、本部の力で一網打尽っスね、と鼻息の荒いバン。
証人はその場で抹殺して(証言の録音ぐらいしているでしょうが)、後は一族郎党皆殺しとか、
どれだけ前のめりなのか宇宙警察。
「センちゃん、ごめん。俺センちゃんの事侮ってた! 今回の事で俺、見直したぜ! いきなり車投げるなんて、俺より大胆だもん。
これからもよろしくな」
そ こ か。
えーつまりなるほど、今回の諸々のバンの言動とこれまでのデカレンジャーの活動を見るに、
宇宙警察というのはそもそも血まみれの戦闘集団であり、バンの言う
「センちゃんはデカレンジャーとしてどうなのか」というのは、その捜査力などを軽んじていたというよりは、
デカレンジャーとしてはバンのような血に飢えたハッピーデリーターの方が一般的である、と。
刑事になった理由?
決まってるじゃねえか。
ヘド以下の犯罪者どもに鉛玉をぶち込めるからよ!
(ぐるぐる目玉で)
みたいなのが、極めて平均的なデカレンジャーである、と。
「けど、もしあいつが犯人じゃなかったら、どうする気だったんだ、センちゃんは」
「センちゃんに“たら”はないのよ」
と最後もジャスミンのフォローが入り、センちゃんの
「デカミドリ……」
という寝言でオチ。
いかにもな悪人がそうではなかったパターン、劇中初の「デリート不許可」、わかりやすいミステリ構造、
と特撮刑事ものとしての一つの形を煮詰めたようなエピソードで面白かったです。バンもツッコんだ車投げは、
探偵物のクライマックスで探偵が真犯人に罠を仕掛けて口を割らせる展開の、ヒーロー物的パロディといったところか。
キャラ話を2話構成でやられるとテンポが悪くなる事を懸念していたのですが、5話・6話と1話でまとめてテンポ良く進み、
作品世界のバランスも見えてきました。ジャッジメントのだいたいの基準とか、宇宙警察の性質とか(笑) ただこの構成だったら、
ホージー回は後回しにして、何となく優秀ぽい感じで動かしておいて、そのホージーがミスをして抜け殻になる前後編、
みたいな持ってき方でも良かったよーな。
- ◆Episode.07「サイレント・テレパシー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
-
捜査本部でESPカードに興じる、バンとジャスミン。
認定エスパーに今更、ESPカード4枚当てさせてもという気もしますが、バンを感心させるならこれぐらいで充分という事か。
俺もやってみる、と息巻くバンだが、
青「やめとけバン、ESPカードは、単細胞には、向いてない」
黄「じゃあ、ホージーなら向いてる?」
青「え?」
きついツッコミはいったーーーーーー!
結局、メンバー4人がそれぞれ図柄を口にするが、開いたカードは、ウメコ入浴の図。
ボス「お茶目になったな、ジャスミン」
「前からですよ」
ボス「そうか」
なんとなく過去を匂わせる会話。
にしても、デカレンジャーは男3人が大きくて、それに負けじとボスも大きくした為、ウメコより背あるジャスミンですら、
ボスと並べた時の画が凄い。
だがそんな穏やかな時間は、長くは続かない。怪重機エンバーンズが街に出現し、デカレンジャー出動。
えらいレトロなデザインのエンバーンズが変なパラボラを向けると、ビルが丸ごと一つ消失。
パトストライカーのアームにジャッジメントソードを持たせる簡易アタックで挑みかかるバンだが、
怪重機はあっさりとテレポートで姿を消してしまう。現場で怪重機を見つめて何か合図を送っていた少年に気付くジャスミンだったが、
少年もまた、忽然と姿を消していた。
……て、「怪獣使いと少年」?
冒頭でこの少年に「手伝ってくれるよね、願いを叶えてあげるから」と話しかける怪しいテディベアの演出といい、
今回は微妙に円谷っぽい。
消えたビルもまた、どこかへテレポートしたのかもしれない……デカレンジャーはビルを捜索するが、
それが何と長野県の山中で発見されたと連絡が入る。調査へ赴いた5人が見たのは、数百人が居た筈なのに無人のビル。そして、
現場に残された二つの人形。いったいここで何があったのか……? ジャスミンが人形を調べた結果、恐ろしい事実が判明する。
二体の人形は、アリエナイザーによってフィギュアにされた、生きた人間だったのだ!
人形の記憶シーンにおける、ぎょろ目の目立つ宇宙人のシルエットといい、どうやら今回は明確な円谷オマージュ。
まあ今作自体が、たぶん企画段階から『ウルトラマン』シリーズを意識しているとは思われますが。
コンセプトの時点で避けられませんし、変に逃げようとするよりは、むしろスッキリ(変身時のポーズも多分、オマージュですし)。
「無事にコレクションが完成したら、連れて行ってあげるね、星の世界に」
謎の少年、テディベア、フィギュアにされた二人、行方不明の数百人……果たして怪重機まで持ち出した犯人の正体と目的は何なのか?
ジャスミンは現場に居た少年について遅れて報告するが、少年自身はアリエナイザーではない、と考えていた。
「だからなんで!」
「違うと思うから」
「なんだよそれ! 全然理由になってないじゃん!」
どうやらキレキャラで行くらしいバン(笑) まあ何というか、凄く、似合ってる(笑) あとバンのいい所は、
キレて突っかかるけど、一切後を引かないというか、5歩ぐらい歩くと忘れているっぽい所(笑)
ホージーとかだと、絶対、日記につける。
再び街に怪重機が出現し、今度は最初から特捜合体。しかしワッパーをテレポート能力で消され、またも怪重機の逃走を許してしまう。
現場に再びあの少年を発見したジャスミンはロボを降りて少年を追い、熊のぬいぐるみと話しているのを発見。
いきなり熊を撃つ(笑)
大丈夫、これが平均的な、デカレンジャー。
胸にキラリとハードボイルド!
「安心して。あなたの味方よ。お願い、話を聞かせて」
あなた今、少なくとも少年に友好的だった宇宙熊、問答無用で射殺しておいてそれですか。
少年に過去の自分と同じものを感じていたジャスミンは、テレパシーによる接触を試みるが拒絶される。
ここで、「ジャスミンはエスパー云々〜」というナレーションは説明しすぎで要らなかったと思いますが、この後、
テレパシーのイメージシーンになるので、わかりやすさに配慮でやむを得なかったか。少年を手前に置いて、
その奥でそっと手袋を外すカットが良かっただけに、出来ればそのまま流れで行ってほしかったけど。
「孤独なのね、あなたも」
しかし、ジャスミンのその言葉が少年の心の扉をわずかに開かせる。その隙間から、少年について知るジャスミン。
「人間が嫌いで、こんな星に居るのが嫌で、そんな時、あの人形に声をかけられた。
物質をテレポートさせるあなたの力を貸してくれたら、どこか別の星に連れてってあげる、って」
振り返る少年。
「私もあなたと同じ、エスパーよ」
交渉フェーズに入る事に成功するジャスミンだったが、そこへ仲間がやってきて、少年は態度を硬化させてしまう。
「だったら! だったらなんでこんな仲間が居るんだよ! 同じなもんか!」
ドラム缶テレポート攻撃で少年は逃げ出し、後には無残に撃ち抜かれた熊の人形だけが残される。
少年を利用している黒幕は何者なのか……ジャスミンとバンは少年を追い、残り3人は過去の犯罪ファイルから事件の謎を探ろうとする。
ガチャガチャで気分転換をはかったセンちゃん、いきなりの閃きからシンキングポーズ。
その導き出した解答は……現場に残された二人は、“だぶり”だった。
データベースを確認した結果、フィギュア状態で残されていた二人が、ともに双子だった事が判明する。
アリエナイザーは二人だけをフィギュアにしたのではなく、ビル内の全員をフィギュアにした後で、
“だぶり”だと判断した二人だけを放置していったのである。恐らく、目的は地球人のフィギュアコレクション……
収集癖のある宇宙犯罪者をリストアップした結果、過去にも幾つもの星で人々をフィギュア化してきたクウォータ星人ダゴネールが捜査線上に浮かび上がる。
スワンの分析では、あと5時間の内にフィギュア化された人々を助け出さないと、状態が固定されて元に戻れなくなってしまう。
焦るデカレンジャーだが、その頃ダゴネールはエージェント・アブレラに、より強力な助っ人の派遣を依頼していた……。
エージェントさん、毎度ぶら下がっているのがそろそろ大変になってきたのか、初めての、地面芝居。
限界まで力を振り絞ってのサイコメトリによって少年の居場所を突き止めたジャスミンとバンだったが、その前に、
アブレラが派遣した強力な助っ人……新型メカ人間・イーガロイドが立ちはだかる。
ジャスミンの説得を振り切りイーガロイドと共に行こうとする少年は、まだまだ、綺麗なお姉さんより星の世界に興味津々のお年頃。
アブレラ自慢の新製品・イーガロイドは、イエローとレッドを圧倒。
ここまで、強いのだけが取り柄だったデカレッド(バン)の株価が、急降下!
少年の心を救うべく懸命に立ち上がるデカイエロー、迫るタイムリミット……デカレンジャーは、この窮地を乗り越える事が出来るのか?!
- ◆Episode.08「レインボー・ビジョン」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
-
「信じるもんか……誰も信じるもんか!」
頑なな少年が見つめる中、イーガロイドに苦戦するレッドとイエローのもとへ残り3人が駆けつけるが、まとめて吹っ飛ばされる。
「今のおまえらは俺の敵ではない。もっと腕を磨いておけ」
なんだ、どうしてこんなに男らしいんだ、イーガロイド(笑)
声優(中井和哉)か、声優の影響なのか?(この時期にどのぐらいの扱いだったかわかりませんが)
「お金さえあれば、悪い事でもなーんでも、しほーだいー!」
少年はイーガロイドと共にクウォータ星人ダゴネールのアジトへ。フィギュア化された人間は風船状態で保管されるという設定で、
風船に埋め尽くされた部屋が実にサイケ。
人間が完全にフィギュア化してしまうまで、残りあと3時間……超能力の使いすぎで倒れたジャスミンだったが、
目を覚ますとすぐに飛び出していく。
「ボス、ちょっと行ってきます! うっすらですが、感じたんです。あの子の、心の叫びを。早く保護しないと!」
ちゃんと断っていくあたり、真面目だ(笑)
「なんでだよ?! なんでそこまでやろうとすんだ!」
「似てるから、昔の私に。ちょっと前まで、私もあんな目をしてた」
後を追いかけてきたバンに、ジャスミンはデカレンジャーになる前の過去を語る……。
当て字っぽいと思っていたジャスミンさんの名前でしたが、過去シーンで、普通に地球人であった事が判明。いや、
茉莉花ってごく自然に「ジャスミン」と読んでいたのですが、まあ確かに「まりか」と読ませれば、それほどおかしくもないか(^^;
少女時代、テレパシー能力を制御できずに周囲の人々の心を無作為に読んでしまい孤立、
親友だと思っていた少女の本音まで知って絶望したジャスミンは、街に飛び出した所でアリエナイザーの犯罪と遭遇、
犯人の手で絶体絶命に追い込まれる。
(目ぇあけたら死ぬんだ…………それでもいいかな。みんな、あたしの事、気味悪がるし……友達なんか、いらないし。死んでも、
いいや……)
だが死を覚悟した瞬間、一発の銃弾がアリエナイザーを貫き、ジャスミンの命を救う。そこに立っていたのは、宇宙警察のデカ、
ドギー・クルーガー――後の地球署ボスであった。
緊急事態だったとはいえ、警告無しで背後から一発で射殺とか、さすがボス。
たぶん、殺しのライセンスを持っているのでジャッジメントも不要です。
地球人のエスパーのスカウトでもしようと思っていたのか、ジャスミンの事情を知るボスは、自らに絶望する彼女を優しく諭す。
「君自身が君の力を嫌っていたら、誰も君のことは好きにならない」
「なれないもん! こんな自分なんか」
ボス、手慣れた感じで女子高生の肩に手を回す。
「俺が保証する。君は、ひとりぼっちじゃない。だから、自分を嫌いになっちゃいけない」
圧倒的なイケメン度、歴代戦隊のダメンズ達は、
土下座して爪の垢を煎じて飲むように。
雨に濡れたジャスミンの体を優しく抱きしめるボス。
「どうして、こんな……あたたかいの……」
犬だからさ(待て)
(※犬の平均体温は38度前後)
そしていつしか、雨上がりの空には美しい虹がかかるのだった……。
一方、一度は逃げ出した少年だったが、熊のぬいぐるみではなくタコ型宇宙人を見て我に返ったのか、
じわじわと綺麗なお姉さんの色香に惑わされつつあった。
ダゴネールはそんな少年をせっつき、より効率的に、建物ごとではなく中の人間だけをテレポートするようにと指示を出す。
綺麗なお姉さんの幻影を振り切り、テレポートへ向かう少年。その反応を感じ取るジャスミン。そしてデカベースでは、
シンキングタイム(ぽくぽくぽく……ちーん!)に入ったセンちゃんが、ダゴネールの次の動きにあたりをつけていた。
前回、テレポートさせようとして途中でデカレンジャーの妨害を受けた学校へ向かった少年だったが、中は無人。
焦って姿を見せたダゴネールを背後から撃って現れる、制服コスプレの、ウメコ・ホージー・センちゃん。
「地上最強の女子高生とその仲間よ!」
両サイドから反論が一切ないので、やっぱりリーダーなのか、ウメコ。
このシーン、ダゴネールが前回テレポートさせ損ねた高校にこだわってまた狙ってくるに違いない……と臨時休校にして罠を張った、
というのは良いのですが、デカレンジャー3人が生徒に扮装して囮になったわけでもなんでもないので、
実はコスプレの意味がゼロ(笑)
明らかに、ウメコがまだまだ現役に負けない事を証明する為に学生服を着たがっただけとしか思えません。
無人の学校で人影がちらほらと通りすがる、という演出そのものは格好良かったのですが、それが誘い込んでいるという感じにはならず、
いまひとつ“罠”っぽくならなかったのは、惜しかった。
逃げ出す少年とダゴネールだったが、校庭にはバンとジャスミンが駆けつける。
「私は君の心の叫びを感じてここへ来た」
「う、嘘だ!」
率直なところ、ジャスミンさんに正面からこれ言われると、ハードボイルドすぎてちょっと怖い(笑)
ダゴネールの指示で、5人をテレポートしようとする少年へ向けて、一人歩み寄るジャスミン。
「いいよ、私をテレポートするならしても」
少年の胸にはこれまでの、ジャスミンの真っ直ぐな呼びかけが去来する。ジャスミンを、信じる事が出来るのか。それとも、人間は皆、
自分の敵なのか。
「でも信じて、君は独りぼっちなんかじゃない、だから……」
少年を優しく抱きしめ、直接、ビジョンを送り込むジャスミン。
「だから、自分を嫌いにならないで」
「なんで……なんでこんなあったかいんだよ」
思 春 期 だからさ
少年の裏切りに激怒したダゴネールは全員まとめてフィギュア化してやると魔法のステッキを振り上げるが、
少年がそれをテレポート能力で奪い取ると、踏みつけ破壊。
……いや、人々を治すのに必要になる可能性があるから、重要そうなマジックアイテムをいきなり破壊するのはやめような!
デカレンジャーは変身し、ダゴネールは「先生! お願いします!」とイガグリさんを召喚。イーガロイドは雑魚メカ人間を呼び出し、
前回やられっぱなしだった分、今回は派手な雑魚戦。レッドとバロム1の戦いは、なんかもう、よくわからない事に(^^; また、
敵をバーチャル空間に閉じ込めて攻撃する、ミラージュディメンションなるSPライセンスの新機能が炸裂。
「スキルアップしたな。そうでなければつまらん」
雑魚を一掃したデカレンジャーの前に、悠々と立ちふさがるイーガロイド。
だからどうしてこの人、元ただの球体のくせにやたら偉そうなのか。
しかし、その戦闘力は本物。必殺剣・クロスバーストが炸裂し、またも吹き飛ばされる5人のデカレンジャー。
「終わりだな」
だが、宇宙警察は狂気の戦闘集団である。一度や二度叩きのめされた程度で泣いたり笑ったり出来なくなるような人材は、
そもそもデカレンジャーにはなれないのだ!
「この程度じゃ、痛くも痒くも、ないのよ!」
「みんな、わかってるよな!」
「当然!」
「一度戦った相手の攻撃は、ちゃんと頭に、いれてるさ!」
「それが、プロってもんだ!」
「一気にいくべし!」
「「「「ロジャー!」」」」
「おまえたちに何が出来る」
勿論、火力で勝負。
デカレンジャーはマーフィーを召喚し、Dバズーカを発動。必殺技と必殺技がぶつかり合い、一時は押され気味になるが、
最後は気合いで逆転勝利。
「戦いは、ノリのいい方が勝つんだよ!」(by未来の誰か)
いきなりの強敵だったイーガロイドでしたが、火力勝負で割とあっさり撃破。今後の戦闘力バランス、
エージェントさんのお仕事の行方が、少々心配です(^^;
追い詰められたダゴネールは怪重機でデカレンジャーに襲いかかり、デカマシン発進でデカレンジャーロボ・ビルドアップ。
ここで雨が降り出し、雨中の決戦となると、どうしても「怪獣使いと少年」を想起するわけですが、話の筋は全然違うけど
(「怪獣使いと少年」はもっと絶望的に酷い話)やはり少しオマージュ入っているのか、これで「怪獣使いと少年」
思い出す私がおかしいのか。
「クウォータ星人ダゴネール。24の星における人間フィギュア化致死罪で、ジャッジメント!」
ロボ状態からのジャッジメントで、判決は、もちろん死刑。
ジャスティスフラッシャーが炸裂し、怪重機エンバーンズごとダゴネールは大爆死。
……て、今頃気付いたけど、「怪重機」って露骨に「かいじゅう」入っていますね。
今でこそ東映特撮に傾倒していますが、もともと円谷育ちなので、色々気になってすみません(^^;
「これにて一件コンプリート、この世に止まない、雨はない」
各メンバーの決め台詞も、これにてコンプリート。
センちゃんとジャスミン(「解けない謎はない」「止まない雨はない」)、ホージーとウメコ(「スーパークールにパーフェクト」
「後はお風呂でゆっくりーと」)がセットであった事が判明し、改めてホージーの立ち位置が窺えます。
スーパークール=お風呂
パーフェクト=ゆっくりーと
………………頑張れホージー、明日があるさ!!
というかボスも、頭脳労働がセンちゃん一択になっているので、肉体派エリート(失笑)のホージーさんにも、
プライドをくすぐる仕事の委託をたまにはお願い致します。
かくて今日も宇宙の悪は滅殺された。
ダゴネールの死と共にフィギュア化された人々は元に戻り、新商品のイガグリ先生すら倒された事に、エージェント・アブレラは、
デカレンジャーに対する警戒を強くするのであった……。
というか宇宙警察さんは、その場で極刑システムの為に犯罪者の背後関係を全く洗えず、
未だにエージェントのエの字の気配すら掴めていないのは、やはり警察組織としてはどうなのだろう(笑)
出てきた悪から叩きつぶしていけばいつか大本に辿り着けるさ方式、恐ろしい、恐ろしすぎる。
最後は少年が、いつか自分もスペシャルポリスになりたいと語り、雨上がりの空にかかった虹を見つめて大団円。
孤独なエスパーものとしては定番の展開でしたが、前後編でテンポ良くまとめました。
全体的に好感を持てるキャラクターになっているのは、今作の強み。ジャスミンの過去とボスを繋げたのも良し。
一点、難を言えば、ステッキを破壊する事で少年が過去の自分と訣別する、というイメージシーンを重視しすぎて、人々の回復が、
「アリエナイザーを倒したら治りました」になってしまった所。
様々なご都合の中で、しかしどうしても気になる所、というのは人それぞれかと思いますが(例えば、場所移動の強引さなどは、
気にならないタチ)、私どうしても「機械的なプロセスでバッドステータスになった人々が、怪人を倒したら説明なく治ってしまう」
というのが特撮脚本で是正していって欲しい部分なので、00年代の作品としてはここはもうちょっと工夫してほしかった。
まあ、回収したステッキを解析……とかいうシーンを入れるとどうしてもテンポが、というのもわかるのですが。
せめて事前にフィギュアを調べた際にスワンさんに「アリエナイザーを倒せば……」とか言わせておくだけでも違ったのですけど。
次回……あー、騙されてるわー(断言)
- ◆Episode.09「ステイクアウト・トラブル」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希)
-
銀河の果ての監獄衛星プリズロンから、天才爆弾屋・ザムザ星人シェイクが脱獄。
置き土産として監獄衛星をまるごと吹っ飛ばしたシェイクは行方をくらますが、
その恋人であるマイラが地球に潜伏中という情報がもたらされ、地球署は彼女を監視する事になる。
とりあえず、宇宙警察に、「監獄」という概念があった事にビックリです!
やはり、辺境地域以外では、逮捕とか収監とか存在するのか。
それとも宇宙警察にも穏健派と武闘派による勢力争いとかあるのか。
「ちっ、これだからなまくらの連中は! 犯罪者なんざ、見つけたらその場でデリートしちまうのが、一番後腐れがねえんだよ。
いいか、宇宙警察鉄と血の掟、逃げるヤツはアリエナイザーだ! 逃げないヤツは訓練されたアリエナイザーだ! 犯罪撲滅、
撃つべし、撃つべし、撃つべし!!」
みたいな。
こうして、ウメコとバンが若夫婦設定で張り込み体勢に入るが、脳まで大腿筋なバンは、この任務にやる気ゼロ。
「好みにどんぴしゃ、ストライクの女の子の見張り役ならともかく、ザムザ星人の女性だろ?」
ところが、カーテンの隙間から見えたマイラの姿は
「ストラーイク! 一球入魂ど真ん中」
どんどん、最低フラグだけを積んでいくバン(笑)
というか、バンとホージー(同じ箱)に、女性がらみの捜査させたら駄目だと思うのですが、ボス。
やる気ゼロから打って変わって、すっかり舞い上がるバンは、食料買い出しの帰り道、
えらく古典的なちんぴらにマイラが絡まれているのを見て、張り込みの約束事を破って助けに入ってしまう。しかも、
マイラの名前をつい口に出してしまった事から、慌てて自分を水道工事屋と名乗り、ミスがミスを呼ぶとんとん拍子で、
マイラの部屋の水道の具合を見る事に。
勿論、向かいのアパートで張り込んでいるウメコに見つかる。
「伴番さん、私の秘密を聞いてくれますか?」
いきなり、水道工事屋の兄ちゃんに、自分が宇宙人であると告白するマイラ(この辺り、
この世界観で宇宙人の存在がどのぐらい一般化しているのかは、微妙に謎。宇宙犯罪者・アリエナイザー、という認識はあるようですが)。
マイラによると、彼女は自分を強引に恋人にしようとする暴力的な宇宙人(シェイク)から逃げて地球にやってきたという。だが、
いつその宇宙人が自分を追って姿を見せるかわからない……それに怯える生活を送っているというマイラを守ってみせる、
と盛り上がるバン。
そんなバンに、信頼と誠実さを大事にするザムザ星人として、真実のリングという一組の腕輪を取り出すマイラ。
「私と、信頼で結ばれてもらえませんか?」
「結ばれます! 真実一路、もう喜んで!」
駄目だこいつ。
マイラはお互いの腕にリングをつけ、何故かバンに密着。
明らかに危険な女ですが、ころっと転がる赤座伴番。
「もう、二人の間に嘘はありません。もし嘘をついたら……リングから気の遠くなるような痛みが」
(ええー!!)
駄目だこいつ。
張り込み部屋に戻ったバンは、ウメコから説教。口止め料としてシュークリーム100個……は可哀想なので50個を要求される。
駄目だこのコンビ。
張り込みコンビとしては、考え得る限り最悪の組み合わせなので、そもそもボスの命令ミスという気もしないでもありません。
バンに経験を積ませる為、というのはわかりますが、なぜコンビがウメコなのか。
ボスの思考をシミュレートしてみると、
カモフラージュの為に男二人というわけにはいかない→女性刑事のどちらか→ジャスミンとバンが夫婦設定など俺の目の黒い内は許さん→ウメコでいいや
……私情だ! 思いっきり私情だボス!
一方、ホージー達3人は、タレコミ情報を元に、シェイクを海岸の洞窟で待ち伏せていた。情報通りに姿を見せ、
洞窟の中からアタッシュケースを持ち出してきたシェイクを逮捕しようとするデカレンジャー。
「俺を見つたけところまでは、ラッキーの女神が微笑んでたらしいな。ここから後は涙雨だぜ」
「残念だったな。涙の彼女を微笑ませる事にかけちゃあ」
「ふっ」
「んー」
「俺はプロだぜ」
気取った台詞を応酬してみせたホージーさん、サイドの二人の反応が生暖かい。
シェイクは毎度お馴染みのメカ人間を繰り出すと、デカレンジャーがそれと戦っている内にテレポートで逃亡。
逃げ出したシェイクはアブレラと接触し、アブレラさん、初の絡み芝居。アタッシュケースの中身は、
パワーエナジーを注ぐ事で地球を簡単に吹き飛ばす事の出来るレベルの、超強力爆弾であった。
そしてシェイクがそのエネルギーを預けているのが……マイラ。
駄目すぎる張り込み部屋では、ウメコのお風呂タイム中に、マイラの部屋に入った空き巣をバンが発見。突入して空き巣を撃退するが、
なぜかそのまま部屋に居座り、はぁはぁ興奮しながら部屋を物色開始。
……いや、たぶん荒らされた品物を善意で元に戻しているのでしょうが、
普通にに考えて住人の違和感なく全て元通りに戻すのはまず不可能であり、
鍵の開いた部屋中に指紋を残しているだけです。まあ、脳まで上腕二頭筋だから仕方ない。
バンが変質者稼業に勤しんでいる頃、シェイクを確保し損ねた3人が張り込み部屋に応援にやってくる。
シュークリームの差し入れに動揺するウメコ、向かいの部屋で不審な動きをしているバンに気付いてしまうセンちゃん。
タイミング悪くそこにマイラが帰宅し、玄関で鉢合わせしそうになったバン、なぜかベッドの下へ隠れる。
おまわりさん、早く来て。
「買収されたな。ウメコもバンもプロ失格だぞ!」
なんかもう、そういうレベルではないような。
ちゃんと揉み消さないと、ボスのクビが飛びそうな勢いです。
荒らされた部屋の様子にマイラが愕然とする中(半分空き巣、半分バン)、そこへシェイクがやってくる。
エナジーを渡せと迫るシェイクだが、マイラはそんなものは知らないと否定。マイラを助ける為にバンは思わずベッドの下から飛び出し、
変身した4人も駆けつける。
狭い部屋の中で対峙する絵は、ちょっと間抜け。シェイクは多分、撮影中に何度か頭ぶつけている疑惑。
「また会えたな。今日は女神を微笑ませるぜ!」
すっかり残念路線の定着してしまったホージーさん。
なお相棒は今回で、「残念」から、最低&変態に乗り換えました。
どちらがいいのか、誰も知らない、知られちゃいけない。
「なに隠れてんだバン、懲罰問題は後回しだ。さっさとチェンジしろ」
「え? なんのこと。人違いだよ、俺、水道工事屋さんだし」
リングによる痛みをこらえるバン、どこまでも最低な(^^;
デカレンジャーに囲まれたシェイクは、怪重機シノビシャドー(凄い名前)を召喚。
しぶとく誤魔化そうとしていたバンだがマイラを瓦礫からかばって変身し、デカマシン出動。名前通りの動きを見せる怪重機は、
デカレンジャーロボの射撃を身軽に回避してみせる。
「宇宙忍法・分身の術だぜ!」
「ふんっ、そんな攻撃じゃあ、女神を泣かすことはできないぜ?」
残念ブルー、すっかりこのフレーズが気に入ってしまったらしい。
ここまでしつこくやってしまったからには、武上脚本だけではなく、他の回でも貫いていただきたい(笑)
デカレンジャーロボは、新必殺のジャンプ斬りを決めるが、シノビシャドーの分身に逃げられてしまう。
そして仕事を言い訳にする潔くないバンは、マイラから平手打ち。
馬鹿だけど真っ直ぐ、とか、単細胞の熱血漢、とか通り越して、その場しのぎの誤魔化しを繰り返して最後は「違うんだ」
「仕事で……」と潔くない言い訳に終始する、というごくごくストレートな駄目人間になってしまい、
さすがにこれはどうなのか。
キャラクターとしてここまで貯金があったのならまだいいのですが、バンって全然貯金がないので、借金だけが膨れあがっていきます。
また、キャスティング予算の都合上ままありがちなのですが、マイラさんが美人ゲストヒロインとしては、少々説得力に欠けます(^^;
よく眠れない表現なのか、目の下に隈メイクしているように見えるのが輪を掛けている気がしますが、気のせい?
まあ、バンの好みにどストライクなら仕方ないし、やむを得ない部分ではありますが。
次回、サブタイトル事故。
- ◆Episode.10「トラスト・ミー」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希)
-
2013年に聞くと実に困ったサブタイトルなのですが、某人が首相になったのは2009年なので、
2004年時点ではこの言葉が後年、実に何とも言えない意味合いを持つ事になろうとは、スタッフ一同、
想像だにしなかったに違いありません(笑)
またもシェイクには逃げられたデカレンジャーだが、シェイクの狙いがマイラに預けた何かである事が判明。
地球署はマイラの保護を申し出るが、それを拒否され、彼女を追いかけるバン。
「騙すつもりはなかったんだ! でも君を張り込むのは仕事だったから!」
「嘘の次は言い訳?」
よし、言ってやれ。
ごく普通に最低男の道を歩むバンはホージーにも「捜査に、個人の感情を持ち込むなんて、プロ失格だ!」と説教を受け、
さすがに事件から外される事に。残り4人のメンバーがマイラのガードに当たる事になり、部分的に共犯のウメコは落ち込むバンを慰める。
「ホージーさんの言う事は、いちいちごもっとも。でもしょうがないよね、好きになっちゃったんだもん」
……う、ウメコさん? なんかホージーさんに対してトゲがアリマセンカ。
さっそくマイラをガードする4人だったが、そこへシェイクの放ったメカ人間が現れ、変身して戦闘。
デカレンジャーが足止めを受けてマイラと分断される中、事件を外されたバンはスワン部屋でうろうろしていた。
「散歩でもしてくれば?」
そんなバンの足を止める、大人の女。
「捜査から外されても、散歩ぐらいいいんじゃない? 散歩してて、偶然誰かと出会って、自分の気持ちを伝えたとしても、
文句言われる筋合いじゃないわ」
「ありがとうスワンさん!」
バンは地球署を飛び出してマイラの元へと急ぎ、そのマイラはマンションの前で、
かつてシェイクが自分に唯一くれたプレゼントの事を思い出していた。それは前回、いかにも意味ありげに出ていた鳥のぬいぐるみ……て、
元彼からのプレゼント、近所の子供にあげてたのか(笑)
どうなんですか、それは、どうなんですか。
嫌な昔の男(本人談)からの贈り物を、手元に残しておくでも目の届かない所に捨てるのでもなく、
微妙な距離感の所に置いておくというのはどうなんですか。
そして隣人の女の子は、本当に「ティアラちゃん」なのか。いや、秘密を共有している潜伏宇宙人とかかもしれないけど。
マイラは鳥のぬいぐるみを手に入れると、それをシェイクの目の届かない所に隠そうとする。
……え、この人、本当に裏が無いのに、前回、バンにあのいきなりなモーションと告白だったの???(^^;
この前後編のポイントだったのですが、マイラさんはちょっと人格が雑すぎて、どう捉えていいのか困ります。それとも、
物凄くお人好しで、袖すり合うも多生の縁で他人をすぐに信じては裏切られる人生を送ってきたのでせうか…………は?!
どこかにそんな不器用な男が居たような。
そうか、この人たぶん、並行世界の剣崎○真。(※今作と『仮面ライダーブレイド』は同年の放映)
マイラのマは、一真のマ!
そう考えると、全て筋が通る(おぃ)
というわけで、人気のない波止場へ向かった剣崎マイラだったが、そこでシェイクに捕まってしまう。
「君のお耳は桜貝。俺の囁き波の音。銀河の海へ船出する。二人の行く手に愛の星。……またよりを戻して、幸せになろうぜ」
終始、酔っ払った台詞を口にし続けるシェイクですが、これは是非日下さん(スーツアクター日下秀明:『鳥人戦隊ジェットマン』
のグレイなど、しばしば、中で演じたキャラクターの声優も務める)でって感じで書いたのかなぁ。何となくそれっぽい。
シェイクは鳥のぬいぐるみに隠していたエナジーカプセルを奪い取るが、そこへティアラちゃんからマイラの行き先を聞いたバンが駆けつける。
「許して貰えるなんて思ってないけど、でも頼む! せめておれに君を守らせてくれ! いや、君が嫌だと言っても、命をかけて必ず君を守る!」
マイラを傷つけた事を謝罪し、真実のリングを掲げるバン。煌めくリングは、その言葉が、バンの誠心誠意の真心である事を証明する。
変身したバンは、シェイク&メカ人間軍団と交戦し、久々にジュウクンドー全開。
「二度とマイラさんの前に姿を現すんじゃない!」
「ふん! モテない男の御託だな!」
すみません、ちょっと優しくされると簡単に転がって、本当にすみません。
モテる男の力で、デカレッドを追い込むシェイク。強烈な光線攻撃を受けて変身が解除され、地面に転がったバンへ向け、
シェイクはエナジーを込めたベイビーちゃん(爆弾)の照準を向ける。バン絶体絶命の危機に飛び出したマイラは、
嘘をつく事によるリングの苦痛に耐え、そんな男はどうでもいいから二人で宇宙へ行きましょう、
とバンを助けるためにシェイクに言い寄る。一瞬、マイラに騙されていたのか、と考えるバンだったが、
彼女の表情にその本心に気付くと、力を振り絞って立ち上がる。
「マイラさんもういいよ。嘘なんかつかないでいい。俺は約束を守る! 君を守り抜く!!
うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
S.P.D! S.P.D!
気合いで再変身したバン、突撃。
「真実一路ぉ!!」
ひとつ! 非道な悪事を憎み!
ふたつ! 不思議な事件を追って!
ここで入る挿入歌(「デカレンジャー・アクション」)が、曲、入れ方、ともに格好いい。
シナリオ微妙でも、演出が良ければ見られる好例に(笑)
デカレッドはシェイクを気合いで圧倒し、そこへやってくる4人の仲間。揃い踏みしたデカレンジャーは、名乗りをあげる。
デカレンジャーの名乗りは格好いいけど長すぎるので、尺にしてもテンポにしても微妙に入れるのが難しそうなのですが、
今回は綺麗にはまりました。
「貴様らを五色の花火にして打ち上げてやる!」
あくまでも気取った言い回しで対抗するシェイク。
あー、ホージーさんとシェイクによる、バディムービー『48地球時間』が見たい(笑)
シェイクはシノビシャドーを召喚し、デカレンジャーロボもビルドアップ。
分身を回転撃ちで撃破し擬態も見破るデカレンジャーロボだったが、シェイクはエナジーを込めて強化したミサイルを放ち、
直撃を受けて倒れるデカロボ。
緑「さすが宇宙一のマッドボンバーだな」
青「おいおい、そんな言葉聞いたら女神が、泣いちまうぜ」
駄目だこの人。
黄「でも、打つ手無し」
続けてトドメと放たれた1000倍強化ミサイルだったが、レッド気合いの操作で、なんとミサイル白刃取り。
デカロボは強化ミサイルをそのまま投げ返し、シノビシャドー爆発、シェイクは脱出。
「ザムザ星人シェイク、監獄衛星プリズロン爆破事件の主犯として、宇宙騒乱罪、及び大量虐殺の罪で、ジャッジメント!」
追撃したデカレンジャーはジャッジメントタイム。Dバズーカ発動でデリート執行し、
ここに天才爆弾屋は汚い花火となって消滅するのであった。
「これにて一件コンプリート! メガロポリスは日本晴れ!」
事件は解決し、ドキドキしながらマイラの前に立つバン。笑顔の彼女にかけられた言葉は……
「今日からあなたは……、私の、真実の、友達です」
地球にいいお友達が出来て嬉しい宣言。
更に、「新しい彼氏が出来たら真っ先に報告します」と、そこからの昇格はあり得ない宣言で追い打ち。
意気消沈のバンを残して、朗らかに去って行くのであった。
「ま、そんなとこだろ」
「なんだと相棒!」
「相棒じゃない」
「心の友だろ!」
残念フォルダの供。
「馬鹿、懲罰問題が取り消しになっただけでも有り難く思え」
「励ましてくれよー」
で幕。
10話は後半たっぷり尺を取ったバトルは盛り上がり、そこまで悪くはないのですが、幾ら何でも、
9話におけるバンの捜査ミス&変態行為と、マイラの性格破綻ぶりが、あまりに酷すぎ。
この展開でまとめるなら、9話であそこまでバンを最低にしなくても良かったような。
尺と作劇の都合上、デカレンジャーがある程度失敗をする(主に犯人取り逃がし)のは許容する所だとは思いますが、
イージーミスに人格的マイナスを重ねる(チンピラから助けたのはヒーロー的行動としてOKなミスだが、その後、
マイラの名前を口にしたのはイージーミス。そこからその場しのぎの嘘を重ねたのは人格的マイナス。
そしてそれらを報告しなかったのは、許容範囲を超えたミス)というのは、いただけません。
その辺りの、刑事物とヒーロー物のバランス、6話までである程度作品世界のリアリティラインが落ち着いたのが、
サブライターの参加でまた少し狂ってしまった感じ。
(そもそもホージーさんが「パーフェクト」とか言い出さなければ、ああ、デカレンジャー捜査の基本レベルはこのぐらいなのね、
で済んだのに、下手に「パーフェクト」とか言い出したので、全然パーフェクトに見えないぞ、
となってしまったのは結構尾を引いていると思うので、主にホージーが悪い)
後マイラが、いくらチンピラにからまれて危ない所を救われたとはいえ、自称水道工事屋の怪しい男を女一人の部屋に連れ込み、
いきなり「私、実は宇宙人なの。悪い宇宙人に追われていて、心配で夜も眠れないの」と告白。
思わせぶりに大事そうなリングを渡してお互いにはめた上に抱きついて、「もうこれで二人の間に嘘はないわ」とのたまった挙げ句に、
昔の男が抹殺されたら「それじゃあずっといいお友達でいましょう」って……
ジャッジメントしたら有罪じゃないですかね、この女。
助けてくれた相手をやたらに信頼する、所までは時代劇展開でアリかとは思いますが、なんの水を向けられたわけでもないのに、
「私宇宙人なの、悪い宇宙人に追われているの」と告白始めるのは、さすがに無理筋。
なんか本当はもっと悪い女展開(バンを利用して脱獄したシェイクと縁を切ろうとした)の筈だったのが土壇場で待ったがかかって、
強引に修正したのでその名残が展開の随所に残ってしまった、とでも考えた方がまだスッキリします
(あの昭和からやってきたチンピラとか、シェイクの爆弾隠し場所のタレコミとか、ぬいぐるみが隣の女の子に預けられている所とか)。
……うーん、考えれば考えるほどこれ、最後までマイラを信じるも利用されていただけで手ひどく傷つくバン、
うまいことシェイクを宇宙警察に抹消してもらったマイラ(本人に逮捕されるほどの犯歴はなし)が「騙される方が悪いのよ、坊や」
みたいな感じで去って行くところをウメコが平手打ち一発決めて、「それでも人を信じるのがバンのいいところ」みたい感じの、
バンいい奴話だったのではなかろうか本当は。
気を取り直して次回、残念ブルーは、株価を上げる事が出来るのか!?
→〔その3へ続く〕
(2013年2月5日)
(2017年3月14日 改訂)
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